JP5277865B2 - 熱硬化性樹脂組成物及び接着性フィルム - Google Patents
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Description
一方、アルキル基を有しないフェノールとホルムアルデヒドとから得られるフェノールノボラックに、エポキシ基含有エチレン系共重合体を混合して得られる熱硬化性樹脂組成物が脆性破損に対して強靭な硬化物を与えることが特開昭53−126053号公報に開示されている。
本発明の目的は、フィルム加工性及びハンダ耐熱性に優れた接着性フィルムを与える熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
すなわち、本発明は、下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物;
(A):炭素数2〜20のアルキル置換基を有するフェノールノボラック又は二重結合を含む脂環式化合物のフェノール付加物
(B):下記(b1)と(b2)とを重合して得られるエポキシ基含有エチレン系共重合体
(b1)エチレン及び/又はプロピレン
(b2)下記一般式(1)で表される単量体
(式中、Rは二重結合を有する炭素数2〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基には、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基が置換していてもよい。Xは単結合又はカルボニル基を表す。)
また、本発明の接着性フィルムは、薄膜においても接着性に優れ、さらに電子線を照射してなる接着性フィルムは、熱硬化の際に、樹脂分の流出が著しく抑制される。
さらに、該接着性フィルムに被着体を積層し熱硬化せしめると、接着性及びハンダ耐熱性に優れ、接着剤層が低弾性率である積層体が得られる。
このような優れた特性を利用して、本発明の積層体は、例えば、半導体封止材料、太陽電池やEL(エレクトロルミネセンス)ランプなどの電子部品封止材料、集積回路/基板間のダイボンディングシート及び基板間の層間絶縁層、プリント配線板のソルダーレジストなどに使用し得る。
アルキル基としては、例えば、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、脂環式アルキル基などが挙げられ、具体的には、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n-ウンデカニル基、n−オクタデシル基、n−ドデシル基などの直鎖状アルキル基;イソプロピル基、t-ブチル基、エチルヘキシル基などの分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基などが挙げられる。
アルキル基としては、中でも、炭素数4〜18程度のアルキル基が好ましい。
本発明のアルキル置換基を有するフェノールノボラックは、通常、アルキル置換基を有するフェノールを2〜5程度有するフェノールノボラックを主成分とするものである。
アルキル置換基を有するフェノールノボラックとして、例えば、「ヒタノール1501(登録商標)」(日立化成(株)製)、「タッキロール101(登録商標)」(田岡化学工業(株)製)、「タマノル7508(登録商標)」(荒川化学工業(株)製)などの市販のアルキル置換基を有するフェノールノボラックを用いてもよい。
二重結合を含む脂肪族化合物のフェノール付加物として、例えば、日石特殊フェノール樹脂「PP」シリーズ(日本石油化学(株)製)などが市販されている。
二重結合を含む脂環式化合物のフェノール付加物として例えば、「YP−90LL」(ヤスハラケミカル(株)製)、日石特殊フェノール樹脂「DPP」シリーズ(日本石油化学(株)製)、日石特殊フェノール樹脂「DPA」シリーズ(日本石油化学(株)製)などの市販品を用いてもよい。
二重結合を含む脂環式化合物のフェノール付加物としては、ポリブタジエンとテルペン系樹脂との混合物等とフェノールとの反応生成物なども含まれる。
(式中、Rは二重結合を有する炭素数2〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基には、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基が置換していてもよい。Xは単結合又はカルボニル基を表す。)
で表される単量体(b2)とを重合して得られるエポキシ基含有エチレン系共重合体である。
中でも、(b1)としては、エチレンが好ましい。
(b2)を具体的に例示すれば、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、及びスチレン-p-グリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテルならびにグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート及びイタコン酸グリシジルエステル等の不飽和グリシジルエステル等が挙げられる。
また、(B)成分における(b1)に由来する構造単位の含有量としては、(B)成分のエポキシ基含有エチレン系共重合体100重量部に対し、(b1)単位が30〜99重量部程度であることが好ましい。
(b3)としては、中でも、プロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルが好適である。
熱硬化性樹脂組成物における(A)成分及び(B)成分の重量比率としては、通常、(A)/(B)=4/96〜50/50程度である。
また、熱硬化性樹脂組成物には、(A)及び(B)成分の硬化反応を促進させるため、アミン化合物、イミダゾール類、有機リン化合物などのエポキシ樹脂の硬化促進剤を含有させてもよい。
本発明における(C)成分としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤として2種類以上の酸化防止剤を組み合わせて使用してもよく、とりわけ、ゲル防止効果及び着色の観点からフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤のいずれも使用することが好適である。
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、
本発明の組成物におけるフェノール系酸化防止剤の配合量は、成分(A)100重量部に対し、通常、0.005〜2重量部程度、好ましくは0.01〜1重量部程度、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部程度である。
(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜9程度のアルキル基等を表す。)
で示されるスピロ型、又は、下記一般式(10)
(式中、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜9程度のアルキル基等を表す。)
で示されるケージ形のものなどが挙げられる。
このようなホスファイトエステルは、通常、一般式(9)と(10)の混合物が使用される。
また、フェニル基におけるR1〜R6の置換位置は、2,4,6位が好ましい。
本発明の組成物におけるリン系酸化防止剤の配合量は、成分(A)100重量部に対して、通常、0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。
イオウ系酸化防止剤として、2種類以上のイオウ系酸化防止剤を使用してもよい。
本発明の組成物におけるイオウ系酸化防止剤の配合量は、成分(A)100重量部に対して0.005〜2重量部程度、好ましくは0.01〜1重量部程度、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部程度とするのが望ましい。
さらに、着色剤、無機フィラー、加工安定剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、核剤、滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を本発明の熱硬化性樹脂組成物に含有させてもよい。
熱硬化性樹脂組成物をソルダーレジストに供する場合、プリント配線板の表面の導体回路をマスクするために、着色剤として、フタロシアニングリーン、カーボンブラックなどの色素、顔料等を通常、使用する。
接着性フィルムを得るための溶融混練温度としては使用する樹脂の溶融温度以上で、120℃程度以下であることが好ましく、とりわけ、90℃〜110℃程度の溶融混練温度が好適である。該溶融混練温度が120℃以下であると、得られる接着性フィルムの「フィッシュアイ」が低減される傾向にあることから、好ましい。
押出成形して得られる接着性フィルムの厚みとしては、通常、5μm〜2mm程度であり、好ましくは8μm〜1mmである。
接着剤は、有機溶媒及び/又は水(以下(D)成分という)を含有する。ここで有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メタノール、ブタノール、ポリエチレングリコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールなどのアルコール類、塩化メチレンなどの塩素化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素などが挙げられる。
(D)成分としては、2種類以上の(D)成分を使用してもよい。
(D)成分が有機溶媒である場合、芳香族炭化水素及びケトン類が好適に用いられる。
尚、接着剤として用いられる(A)成分及び(B)成分のそれぞれ分子量としては、通常、接着剤として均一溶解することが可能で、しかも、塗布が可能な粘度を与える分子量である。
接着剤を塗工して得られるの接着性フィルムの厚さとしては、約3μm程度以上であれば、接着性に優れる傾向があり、好ましくは3〜100μm程度、とりわけ好ましくは3〜50μm程度である。
中でも、ロールコーターを用いて接着性フィルムを製造すると、薄膜から厚膜に至るまで膜の厚さを容易に制御し得ることから好適である。
本発明で用いられる電子線とは、電圧によって加速された電子の束であり、50〜300kV程度の電圧で加速させる低エネルギー型、300〜5000kV程度の電圧で加速させる中エネルギー型、5000〜10000 kV 程度の電圧で加速させる高エネルギー型に分類されるが、本発明は、通常、低エネルギー型の電子線を用いる。
電子加速器としては、例えば、リニアカソード型、モジュールカソード型、薄板カソード型、低エネルギー走査型などが挙げられる。
所望の電子線量を1回で照射してもよいが、例えば、80kGy程度以上の電子線を照射する場合、電子線照射後の接着性フィルムの外観保持したり、電子線照射により接着性フィルムの架橋密度をより増加させるために、複数回、好ましくは2回、電子線を照射するのが好ましい。
被着体は異なる2種類以上の被着体を用いてもよい。
本発明の積層体の製造方法を支持基材が積層されている接着性フィルムを具体例として説明すると、接着性フィルムから支持基材を剥離し、接着性フィルムの両面又は片面に被着体を積層したのち熱硬化する方法;接着性フィルムの支持基材を積層していない面に被着体を積層したのち、接着性フィルムから支持基材を剥離したのち、必要に応じて、支持基材を剥離した面に該被着体とは異なる被着体を積層したのち熱硬化する方法;接着性フィルムの支持基材を積層していない面と被着体とを積層し、熱硬化したのち、接着性フィルムから支持基材を剥離する方法などが挙げられる。
また、熱硬化する際に、加熱可能なプレス機を用いて、0〜6MPa で加圧してもよい。
被着体の性状としては特に限定されないが、例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状などが挙げられる。
また、被着体には、必要に応じて、離型剤、メッキなどの被膜、本発明以外の樹脂組成物からなる塗料による塗膜、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理等を実施してもよい。
被着体として、合成高分子材料及び金属の複合材料である集積回路、プリント配線板などの電子・電気部品等が好ましく用いられる。
(A)、(B)及び(D)成分は以下を使用した。なおMFR(メルトフローレート)はJIS−K7210に準拠し、190℃、2160g荷重の条件下で測定した値を示した。
A−1:田岡化学工業(株)製「タッキロール 101」、
炭素数11のアルキル基が置換されたフェノールを主成分とする
アルキル基置換フェノールノボラック樹脂
A−2:荒川化学工業(株)製「タマノル 7508」、
アルキル基置換フェノールノボラック樹脂
A−3:日本石油化学(株)製「PP−700−MX60」
液状ポリブタジエンのフェノール変性物、
60重量%キシレン/メチルエチルケトン溶液
A−4:荒川化学工業(株)製「タマノル 759」、
アルキル基が置換されていないフェノールノボラック樹脂
A−5:日本石油化学(株)製「PP−700−300」
液状ポリブタジエンのフェノール変性物
B−1:住友化学工業(株)製 エチレン-アクリル酸メチル-グリシジル
メタクリレート共重合体、
グリシジルメタクリレート含有量 5.4重量%、
アクリル酸メチル含有量 26.9重量%、
(MFR=253g/10分)
B−2:住友化学工業(株)製 エチレン-アクリル酸メチル-グリシジル
メタクリレート共重合体、
グリシジルメタクリレート含有量 11.2重量%、
アクリル酸メチル含有量 26.2重量%、
MFR=230g/10分
B−3:住友化学工業(株)製 エチレン-グリシジルメタクリレート
共重合体、グリシジルメタクリレート含有量 18.0重量%、
(MFR=350g/10分)
C−1:β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン
酸ステアリルエステル
(フェノール系酸化防止剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製
Irganox 1076)
C−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(リン系酸化防止剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製
Irgafos 168)
C−3:ペンタエリスリルテトラキス−3−ラウリルチオプロピオネート
(イオウ系酸化防止剤、住友化学製 Sumilizer TP-D)
E−1:四国化成工業(株)製「キュアゾール 2E4MZ」、
2−エチル−4−メチルイミダゾール
接着剤を調製したのち、支持基材に接着剤を塗工し、乾燥して得られる接着性フィルムの製造例
(1)(A)成分含有溶液((A)成分と(D)成分の混合物)の調製
<(A−1)溶液の調製>
(A−1)成分20重量部及びトルエン80重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、20重量%の(A−1)成分を含有したトルエン溶液を得た。
<(A−2)溶液の調製>
(A−2)成分20重量部及びアセトン80重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、20重量%の(A−2)成分を含有したアセトン溶液を得た。
<(A−3)溶液の調製>
(A−3)成分20重量部及びメチルエチルケトン80重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、20重量%の(A−3)成分を含有したメチルエチルケトン溶液を得た。
<(A−4)溶液の調製>
市販されている60重量%の(A−4)成分を含有したキシレン/メチルエチルケトン溶液、PP−700−MX60を使用した。
<(B−1)溶液の調製>
(B−1)成分30重量部及びトルエン70重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、30重量%の(B)成分を含有したトルエン溶液を得た。
<(B−2)溶液の調製>
(B)成分30重量部及びトルエン70重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、30重量%の(B)成分を含有したトルエン溶液を得た。
<(E−1)溶液の調製>
(E−1)成分20重量部及びトルエン80重量部をフラスコに取り、80℃で保温しながら1時間攪拌溶解して、20重量%の(E−1)成分を含有したトルエン溶液を得た。
かくして得られた、(D)成分に溶解された(A)成分([A−1〜A−4])、(D)成分に溶解された(B)成分([B−1〜B−2])及び(D)成分に溶解された(E)成分([E−1])を、(表1〜3に記載の混合比率(固形分、重量部)で、室温にて10分間攪拌・混合することにより、接着剤を得た。尚、混合比率(固形分、重量部)とは、(A)成分、(B)成分及び(E)成分のみの重量比を表し、(D)成分の重量比は反映されていない。また、混合比率(%)とは、(D)成分を含めた(A)〜(E)の各成分の重量百分率を表す。
上記(4)によって得られた接着剤を、マイヤーバーコーターを用いて支持基材として離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ(株)製「FF−50」、片面離型処理PETフィルム、支持基材の厚さ 50μm)の離型処理面に塗布し、90℃のオーブンにて3分間乾燥させることにより、支持基材と接着剤層との2層からなる接着性フィルムを得た。なお、接着剤を塗工する量を調整することにより、接着剤層の厚さが4μm、8μm及び20μmの3種類の接着性フィルムを製造した。ハンダ耐熱性試験には、接着剤層の厚さが20μmの接着性フィルムを供した。
上記(4)によって得られた接着剤を、マイヤーバーコーターを用いて支持基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学(株)製「DIAFOIL T600E50 W07」、両面コートPETフィルム、支持基材の厚さ 50μm)の片面に塗布し、90℃のオーブンにて3分間乾燥させることにより、接着性フィルムを得た。なお、接着剤を塗工する量を調整することにより、接着剤層の厚さが4μm、8μm及び20μmの3種類の接着性フィルムを製造した。剥離試験には、接着剤層の厚さが20μmの接着性フィルムを供した。
上記(5)及び(6)にて得られた、接着性フィルムの外観を目視にて観察した。結果を表1〜3にまとめた。
尚、接着性フィルム外観観察の判定は下記の基準に従った。
○:接着性フィルムが透明であるもの
×:接着性フィルムが不透明であるもの
上記(5)にて得られた、接着剤層の厚さが20μmの接着性フィルム(2層)の接着剤層の面と、プリント配線板(松下電工(株)製 片面銅張り積層板 R-1705(FR4プリント配線板))の配線パターンの面とを積層し、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製「ファーストラミネーター VA−700」)を用いて上下ロール温度100℃、線圧14.5kg/cm、速度0.5m/分の条件にて熱圧着した。続いて熱プレスを用いて100℃、2MPaの条件下、10分間熱圧着した。さらに熱プレスを用いて180℃、2MPaの条件下、60分間熱硬化させた後、積層体表面の離型PETフィルムを剥がして積層体を得た。
得られた積層体を、タバイエスペック製 SOLDERABILITY TESTER EST−11を用い、260℃のハンダ浴へ10秒間浸漬した。これを1サイクルとして6サイクル繰返し後、表面外観を目視観察した。結果を表1〜3にまとめた。
尚、ハンダ耐熱試験の判定は下記の基準に従った。
○:熱硬化した接着剤層の外観に異常(剥離、膨れ)がなく、
ハンダもぐりがないもの
×:熱硬化した接着剤層の外観に異常(剥離、膨れ)がある、
又はハンダもぐりがあるもの
上記(6)にて得られた接着性フィルムの接着剤層の面と、樹脂付銅箔及びプリント配線板(松下電工(株)製 片面銅張り積層板 R-1705(FR4プリント配線板))の非配線パターンの面とを積層し、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製「ヒートシールテスター TP−701−B」)を用いて上下バーから、180℃、0.1MPa(ゲージ圧力)の圧力で60分間ヒートシールし、積層体を得た。得られた積層体を温度23℃、相対湿度50%の条件下にて1時間状態調製した後、積層体から10mm幅×100mm長さ(接着長さ25mm)の試験片を切り出し、温度23℃、相対湿度50%の条件下にて、剥離速度50mm/秒、剥離角度90°で剥離試験を実施した。結果を表1〜3にまとめた。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を押出成形して得られる接着性フィルムの製造例
<製造例1>
B−3(100部)、C−1(0.1部)、C−2(0.1部)及びC−3(0.05部)をドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、120℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練して得られたもの95部とA−1を5部とをドライブレンドし熱硬化性樹脂組成物を得た。続いて、(株)東洋精機製ラボプラストミルΦ20mm押出し機T−ダイス付を用いて、押出し機シリンダー温度を100℃、T−ダイス温度を90℃、及びエアギャップは2cmに設定した。上記熱硬化性樹脂組成物を上記押出し機を用いて、約50μm厚みの接着性フィルムを作製した。
B−1(100部)、C−1(0.1部)、C−2(0.1部)、C−3(0.05部)及びフェザーミルと奈良式粉砕機(三回)にて粉砕したA−5(10部)をドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、120℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練し熱硬化性樹脂組成物を得た。続いて、(株)東洋精機製ラボプラストミルΦ20mm押出し機T−ダイス付を用いて、押出し機シリンダー温度を100℃、T−ダイス温度を90℃、及びエアギャップは2cmに設定した。上記熱硬化性樹脂組成物を上記押出し機を用いて、約50μm厚みの接着性フィルムを作製した。
B−1(100部)、C−1(0.1部)、C−2(0.1部)、C−3(0.05部)及びフェザーミルと奈良式粉砕機(三回)にて粉砕したA−5(2.5部)をドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、120℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練し熱硬化性樹脂組成物を得た。続いて、(株)東洋精機製ラボプラストミルΦ20mm押出し機T−ダイス付を用いて、押出し機シリンダー温度を100℃、T−ダイス温度を90℃、及びエアギャップは2cmに設定した。上記熱硬化性樹脂組成物を上記押出し機を用いて、約50μm厚みの接着性フィルムを作製した。
上からアルミ箔、補強材(50μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム)、製造例1〜3で得られた接着性フィルム、被着体(銅箔付基板及びプリント配線板(松下電工(株)製 片面銅張り積層板 R-1705(FR4プリント配線板))の非配線パターンの面)及びアルミ箔を順次積層し、ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、上部より180℃、0.5MPaの圧力で60分間保持し積層体の一部(25mm幅)を接着し、本発明の積層体を得た。
得られた積層体のアルミ箔を剥がし、温度23℃、湿度50%にて1時間静置した。その後、積層体を10mm幅×100mm長さ(接着長さ25mm)に切り出し、温度23℃、湿度50%にて接着していない部分をつかみ、剥離速度50mm/秒、剥離角度90°でピール剥離試験を実施した。また、同様にして作成した積層体を前記と同様にハンダ耐熱試験に供した。結果は表4にまとめた。
<支持基材に押出成形して得られる接着性フィルムの製造例>
エアギャップが4cm、φ40mmのT−ダイを備えた押出し機をシリンダー温度を100℃、T−ダイ温度を90℃に設定した。続いて、 B−1(100部)、C−1(0.1部)、C−2(0.1部)、C−3(0.05部)及びフェザーミルと奈良式粉砕機(三回)にて粉砕したA−2(10部)をドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、120℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練した熱硬化性樹脂組成物を、該押出し機にて溶融混練したのち、シリコン系離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ製SC−38)の離型剤が塗布された面に、該熱硬化性樹脂組成物を押出成形し、約10μm厚みの熱硬化性樹脂組成物から得られる層とポリエチレンテレフタレートフィルムとの二層からなる接着性フィルムを得た。
支持基材を含有する接着性フィルムの製造例で得られた接着性フィルムの熱硬化性樹脂組成物から得られる層に、被着体としてプリント配線板(松下電工製 両面銅張り積層板 R-1705)を積層し、支持基材の上から100℃、3MPa、10分の条件で熱圧着したのち、180℃、3MPa、60分の条件で熱硬化させて、積層体を得た。続いて、得られた積層体を温度23℃、湿度50%にて1時間静置した。その後、積層体を10mm幅×100mm長さに切り出し、温度23℃、湿度50%にて支持基材をつかみ、剥離速度100mm/秒、剥離角度180°でピール剥離試験を実施した。剥離強度0.01N/cm以下で支持基材は剥離したが、接着性フィルムは剥離しなかった。また、同様にして作成した積層体を前記と同様にハンダ耐熱試験を実施したところ、接着剤層の外観に異常(剥離、膨れ)は
認められなかった。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を押出成形した後、得られた成形物を電子線照射して得られる接着性フィルムの製造例
<製造例>
B−3(100部)、C−1(0.1部)、C−2(0.1部)及びC−3(0.05部)をドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、120℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練して得られたもの100部とA−5を2.5部とをドライブレンドし、Φ30mmの同方向二軸押出し機(L/D=42)に供給し、140℃の温度下、180rpmのスクリュー回転数、16Kg/時間の供給速度にて溶融混練して熱硬化性樹脂組成物を得た。次に、Φ40mm押出し機T−ダイス付を用いて、押出し機シリンダー温度を100℃、T−ダイス温度を90℃に設定し、離型PETフィルム上に硬化性樹脂組成物を溶融押出ラミネーションすることで、接着性フィルム(厚さ105μm)/離型PETフィルム(厚さ38μm)から構成される2層フィルムを作製した。
続いて、岩崎電気(株)製、加速電圧100〜200kV、照射線幅450mmの電子線照射装置を用い、前記2層フィルムの熱硬化性樹脂組成物の側を加速電圧200kVにて100kGyの電子線にて照射したのち、再び、同様な条件で2回目の電子線照射を実施し、熱硬化性樹脂組成物の層の厚さが105μm接着性フィルムを得た。得られたフィルムは積層体の製造に供した。
熱硬化性樹脂組成物の層の厚さが105μmである、電子線照射して得られた接着性フィルム(2層)について、熱硬化性樹脂組成物の層と、銅板(JIS H 3100、タフピッチ銅、厚さ0.5mm)とを積層し、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製「ファーストラミネーター VA−700」)を用いて上下ロール温度150℃、線圧14.5kg/cm、速度0.5m/分の条件にて熱圧着した。続いて積層体表面の離型PETフィルムを剥がし、接着フィルム側にポリイミドフィルム(宇部興産(株)製 ユーピレックスS:厚さ50μm)を積層し、ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、上下より200℃、0.5MPaの圧力で10秒間ポリイミドフィルムをシール幅25mmにて熱圧着した。さらに得られた積層体を150℃のオーブン中で2時間熱硬化することで剥離試験用積層体を得た。
得られた積層体から10mm幅の剥離試験用試験片を切り出し、50mm/分の剥離速度にて90度剥離を実施した結果を表5に記載した。
熱硬化性樹脂組成物の層の厚さが105μmである、電子線照射して得られた接着性フィルム(2層)から直径6mm円の試験片を打ち抜き、離型PETを剥離除去した。得られた試験片をスライドガラス(厚さ1.5mm)と銅板(JIS H 3100、タフピッチ銅、厚さ0.5mm)との間に挟み、初期の試験片直径を計測した。ここで得られた値を熱圧着前の直径とした。得られた積層体をヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、上下より180℃、0.5MPaの圧力で10秒間25mm幅にて熱圧着し、得られた試験片の直径を測定した。ここで得られた値を熱圧着後の直径とした。得られた測定値より、下記式(I)を用いて接着性フィルムの樹脂成分が被着体からのはみ出しやすさの指標である流出生を算出し、18%の低い流動性が示された。
参考例12における(A)成分(A−5)の使用量、電子線の照射量が表5に記載のとおりである以外は参考例12と同様にして、接着性フィルム、積層体を製造し、得られた積層体について、実施例1と同様に、剥離試験及び流動性試験を実施した。結果を参考例12とともに表5にまとめた。尚、参考例18は、電子線照射を1回のみ実施した。
Claims (14)
- (b2)に由来する構造単位の含有量が(B)成分のエポキシ基含有エチレン系共重合体100重量部に対して、1〜30重量部であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、(b1)と(b2)と下記(b3)とを重合して得られる共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(b3):エチレンと共重合可能な官能基を有し、エポキシ基と反応し得る官能基を有しない単量体であって、(b1)及び(b2)とは異なる単量体 - (B)成分のエポキシ基含有エチレン系共重合体における(b1)に由来するエチレン単位の含有量が、(B)成分100重量部に対し、30〜75重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)成分、及び(B)成分の重量比率が、(A)/(B)=4/96〜50/50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、酸化防止剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (C)成分として、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物と下記(D)成分とを含有する接着剤。
(D):有機溶媒及び/又は水 - (D)成分100重量部に対する(A)及び(B)成分合計重量が10〜150重量部であることを特徴とする請求項8に記載の接着剤。
- 請求項8又は9に記載の接着剤を支持基材に塗工し、乾燥して得られる接着性フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を押出成形してなる接着性フィルム。
- 請求項10又は11に記載の接着性フィルムを、さらに電子線で照射してなることを特徴とする接着性フィルム。
- 請求項12に記載の接着性フィルムが、電子線を複数回、照射してなることを特徴とする接着性フィルム。
- 請求項10〜13のいずれかに記載の接着性フィルムと被着体とを積層し、熱硬化して得られる積層体。
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