JP5273279B1 - 回転体の製造装置及び回転体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布の開始端と終了端を繋いで回転体を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、周方向の他の部位の厚みとの差を低減する。
【解決手段】感光体製造装置10は、回転部22と、基体14の外周面に塗布液Lを吐出する吐出ユニット24と、回転部22及び吐出ユニット24を制御する制御ユニット50と、を有している。ここで、制御ユニット50は、塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EBとが重なるように吐出ユニット24からの塗布液Lの吐出を停止し、塗布液Lの供給停止後に回転部22を動作させる。これにより、塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EBが繋がれると共に、塗布液Lの重なった部位(繋ぎ目)が平滑になるので、塗布の開始端と終了端を繋いで感光体12を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、周方向の他の部位の厚みとの差を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転体の製造装置及び回転体の製造方法に関する。
特許文献1の無端ベルトの製造方法は、芯体を回転させながら皮膜形成樹脂であるポリイミド前駆体溶液を吐出して芯体にらせん状に付着させ、ブレード(へら)を押し当てて平滑化している。
特許文献2の中間転写部材の製造方法は、基体にスリットダイを接触又は近接させながら、該スリットダイより塗工液を押出して塗布し、基体に被覆層を形成させることで、中間転写部材を製造している。
特許文献3の塗布装置は、中空のハウジングと、塗料通路を有するヘッドと、ヘッドをハウジング内の軸方向に移動させる駆動装置とからなる塗料開閉吸引ユニットを有している。そして、ヘッドの移動により塗料供給口から塗料流入口への塗料の流れを遮断すると同時にノズル内の塗料をハウジング内へ吸引できるように構成している。
特開2007−54812号公報 特開2000−147913号公報 特開平7−68208号公報
本発明は、塗布の開始端と終了端を繋いで回転体を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、周方向の他の部位の厚みとの差を低減することができる回転体の製造装置及び回転体の製造方法を得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る回転体の製造装置は、基体を回転する回転部と、該基体に塗布液を吐出する吐出部と、該回転部により該基体を回転させながら、該吐出部から塗布液を吐出させて該基体に塗布液を塗布させ、該吐出部により吐出された塗布液の塗布開始端と塗布終了端とが重なるように該吐出部からの塗布液の吐出を停止させ、該基体に塗布された塗布液を乾燥させる前に該回転部による回転動作を維持したまま該回転部の回転数を減少させて設定時間又は設定回転数まで該基体を複数回回転させる制御手段と、を有する。
本発明の請求項2に係る回転体の製造装置は、基体を回転する回転部と、吐出圧が塗布開始期間、塗布途中期間、塗布終了期間の順に低くなるように塗布液の吐出圧を変更可能とされ、該基体に塗布液を吐出する吐出部と、該回転部により該基体を回転させながら、該吐出部から塗布液を吐出させて該基体に塗布液を塗布させ、該吐出部により吐出された塗布液の塗布開始端と塗布終了端とが重なるように該吐出部からの塗布液の吐出を停止させ、該基体に塗布された塗布液を乾燥させる前に該回転部による回転動作を維持したまま設定時間又は設定回転数まで該基体を複数回回転させる制御手段と、を有する。
本発明の請求項3に係る回転体の製造装置は、前記吐出部には、前記吐出部からの塗布液の吐出を停止するときに塗布液を吸引する吸引手段が設けられている。
本発明の請求項4に係る回転体の製造装置は、前記吐出部及び前記基体を相対的に接近離間する方向に移動する移動手段が設けられ、前記制御手段は、前記吐出部を前記基体に近づけてから塗布液の吐出を開始させ、前記吐出部からの塗布液の吐出を停止するときに前記吐出部を前記基体から遠ざける。
本発明の請求項5に係る回転体の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転体の製造装置を用いて、回転する前記基体の外周面に前記塗布開始端と前記塗布終了端とが重なるように塗布液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程で塗布液が塗布された前記基体を設定時間又は設定回転数で回転させる回転工程と、前記回転工程で前記設定時間又は前記回転数で回転された前記基体の外周面に塗布された塗布液を乾燥させる乾燥工程と、を有する。
請求項1の発明は、塗布液の塗布開始端と塗布終了端を重ねない構成に比べて、塗布の開始端と終了端を繋いで回転体を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、周方向の他の部位の厚みとの差を低減することができる。
請求項2の発明は、塗布液を一定の圧力で吐出する構成に比べて、塗布液が重なる部位の厚みが厚過ぎたり薄過ぎたりするのを抑制することができる。
請求項3の発明は、塗布液の塗布が終了するときに塗布液を吸引しない構成に比べて、塗布液が重なる部位の厚みが厚くなり過ぎるのを抑制することができる。
請求項4の発明は、塗布液の塗布が終了するときに供給部を基体から遠ざけない構成に比べて、供給部と塗布液が接触するのを防ぐことができる。
請求項5の発明は、塗布液の塗布開始端と塗布終了端を重ねない方法に比べて、塗布の開始端と終了端を繋いで回転体を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、周方向の他の部位の厚みとの差を低減することができる。
本発明の第1実施形態に係る感光体の製造装置を模式的に示す全体構成図である。 本発明の第1実施形態に係るスリットダイを移動する移動ユニットを模式的に示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係る蓋部材を移動する蓋移動ユニットを模式的に示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係る制御ユニットにおける各項目の設定画面である。 本発明の第1実施形態に係る各項目のタイミングチャートである。 (A)、(B)、(C)本発明の第1実施形態に係るスリットダイの移動及び塗布液の塗布動作を示す工程図である。 (A)比較例として、基体に形成された感光体の下引き層の理想状態を示す展開図である。(B)、(C)比較例として、基体に形成された感光体の下引き層の塗布開始端、塗布終了端に凹凸が形成された状態を示す展開図である。 (A)、(B)比較例として、基体に形成された感光体の下引き層の理想状態を示す展開図である。(C)、(D)比較例として、基体に形成された感光体の下引き層の塗布開始端、塗布終了端が中央部に比べて細くなった状態を示す展開図である。 (A)本発明の第1実施形態に係る基体とスリットダイの吐出口との間隔及び下引き層の膜厚を示す模式図である。(B)本発明の第1実施形態に係る感光体の下引き層の塗布開始端と塗布終了端を重ねた状態を示す模式図である。 (A)、(B)、(C)、(D)、(E)本発明の第1実施形態に係る蓋部材の移動及び塗布液の塗布動作を示す工程図である。 (A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)本発明の第1実施形態に係るスリットダイの吐出口の洗浄動作を示す工程図である。 本発明の第1実施形態に係る感光体の層構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る感光体の製造装置を模式的に示す全体構成図である。 (A)、(B)、(C)本発明の第2実施形態に係る基体の移動及び塗布液の塗布動作を示す工程図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る回転体の製造装置及び回転体の製造方法の一例について説明する。
(全体構成)
図1には、第1実施形態に係る回転体の製造装置の一例として、後述する回転体の一例としての感光体12(図12参照)を製造する感光体製造装置10が示されている。感光体製造装置10は、円筒状の基体14の外周面に塗布液Lを塗布する塗布ユニット20と、塗布ユニット20から基体14への塗布液の塗布(吐出)を制御する制御手段の一例としての制御ユニット50と、洗浄液Lを後述する洗浄室64内に導入する導入手段の一例としての導入ユニット60と、を有している。なお、制御ユニット50は、導入ユニット60による洗浄液Lの循環動作の制御も行う。
塗布ユニット20は、基体14を回転する回転部22と、基体14の外周面に塗布される塗布液Lを吐出する吐出部の一例としての吐出ユニット24と、吐出ユニット24の後述するスリットダイ26及び基体14を相対的に接近離間する方向に移動する移動手段の一例としての移動ユニット40と、が設けられ、基体14が一回りする間(360°に限らない)に基体14の外周面の周方向に塗布液Lを塗布するように構成されている。
回転部22は、台座(図示省略)に取り付けられ基体14を回転可能に支持する支持部22Aと、基体14を周方向に回転させるモータ22Bと、を有している。モータ22Bは、電源(図示省略)及び制御ユニット50に接続されており、電源からの通電によって回転する。また、モータ22Bの回転動作(ON、OFF)は、制御ユニット50によって制御されており、制御ユニット50では、モータ22Bの回転数(設定回転数)及び回転時間(設定時間)が設定されている。
吐出ユニット24は、基体14の外周面に塗布液Lを吐出する吐出手段の一例としてのスリットダイ26と、塗布液Lが内部に貯留された貯留タンク28と、貯留タンク28の底部とスリットダイ26とに接続された流路の一例としての供給配管32と、供給配管32内の塗布液Lをスリットダイ26へ供給(圧送)する供給ポンプ30と、供給配管32から貯留タンク28へ塗布液を戻す戻り配管34と、供給配管32と戻り配管34とを切り替える三方弁36と、吐出ユニット24からの塗布液Lの吐出を停止するときに塗布液Lを吸引する吸引手段の一例としての吸引部38と、を有している。
ここで、図1において、基体14を回転軸方向に見て、X方向は右方向、−X方向は左方向、Y方向は上方向、−Y方向は下方向、Z方向は奥行き方向、−Z方向は手前方向に相当している。そして、図中の「○」の中に「×」が記載されたものは、手前から奥へ向かう矢印(奥行き方向)を意味し、図中の「○」の中に「・」が記載されたものは、奥から手前へ向かう矢印(手前方向)を意味する。
スリットダイ26は、Z方向を長手方向とすると共にX方向側(基体14の外周面と対向する側)に開口した吐出口26Aと、Z方向に間隔をあけて複数配置されると共にX方向を軸方向として吐出口26Aに接続された分岐管26Bと、複数の分岐管26Bの吐出口26A側とは反対側に接続されZ方向を軸方向とするマニホールド26Cと、マニホールド26Cと供給配管32とを接続する接続管26Dと、を有している。なお、吐出口26AのZ方向の長さは、感光体12の下引き層12A(図12参照)のZ方向の長さとほぼ同じ長さとなっている。
貯留タンク28は、Y方向上部に戻り配管34の下端が接続されており、Y方向下部に供給配管32の一端が接続されている。これにより、貯留タンク28では、戻り配管34内を流れた塗布液Lが内部に貯留されると共に、底部(Y方向下部)から供給配管32へ塗布液Lが供給されるようになっている。
供給ポンプ30は、供給配管32(貯留タンク28に近い側)に取り付けられており、電源(図示省略)からの通電によって作動(ON)し、供給配管32内の塗布液Lをスリットダイ26へ供給(圧送)する。なお、供給ポンプ30のON、OFFは、制御ユニット50によって切り替えられる。また、供給ポンプ30は、塗布液Lの吐出圧を0、P1、P2、P3(P1>P2>P3>0)と変更可能となっている(図5参照)。ここで、塗布液Lは、三方弁36が供給配管32の下流側を閉じた状態で循環されて流れ続けている。これは、供給ポンプ30を停止させると、運転を開始してもすぐには設定圧力に達しないためである。
三方弁36は、制御ユニット50によって塗布液Lの流れる行き先が切り替えられるようになっており、塗布液Lを基体14へ塗布するときは戻り配管34側を閉止すると共に供給配管32側(下流側)を開放し、塗布液Lを基体14へ塗布しないときは戻り配管34側を開放すると共に供給配管32側(下流側)を閉止する。
図6(A)に示すように、吸引部38は、供給配管32に設けられた本体38Aと、本体38A内で移動可能に設けられたピストンシリンダ38B(一軸ロボシリンダ)とを有している。本体38A内には、内部空間を仕切る隔壁38Cが設けられており、隔壁38Cには貫通孔38Dが形成されている。ピストンシリンダ38Bの動作は、制御ユニット50により制御される。なお、吸引部38は、吐出口26Aから基体14への塗布液Lの吐出終了後に塗布液Lを吸引し、塗布液Lが吐出口26Aから後述する洗浄室64(図1参照)内へ吐出された後は吸引を行わないように、制御ユニット50により制御されている。
また、ピストンシリンダ38Bの一端には、貫通孔38Dを閉塞可能な大きさで径方向に拡幅された拡幅部38Eが形成されている。そして、塗布開始時に拡幅部38Eが移動して貫通孔38Dが開放されることで、塗布液Lがスリットダイ26側へ供給可能となり、塗布終了時にピストンシリンダ38Bが貫通孔38Dの閉止方向に移動することで、塗布液Lが吸引部38側へ吸引される。一例として、ピストンシリンダ38Bのシリンダストロークは5mm以上30mm以下となっており、吸引部38による吸引量(サックバック量)は0.5ml(ミリリットル)/回以上3.0ml/回以下となっている。また、供給配管32内において塗布液Lに作用する送液圧力は、0.1MPa以上0.5MPa以下となっており、この範囲内に吐出圧P1、P2、P3(図5参照)が含まれている。
図2に示すように、移動ユニット40は、第1モータ42によってX方向又は−X方向に移動するXステージ44と、Xステージ44上に固定された第2モータ46によってY方向又は−Y方向に移動するYステージ48とを有している。そして、Yステージ48上には、スリットダイ26が固定されている。なお、Yステージ48の高さは予め調整されているため、感光体12(図12参照)の製造時に移動させるのは、基本的にXステージ44のみである。
Xステージ44は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ43が配置された構成となっており、第1モータ42がボールネジ43を正回転、逆回転することでX方向、−X方向に移動可能となっている。同様に、Yステージ48は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ47が配置された構成となっており、第2モータ46がボールネジ47を回転することでY方向、−Y方向に移動可能となっている。なお、第1モータ42及び第2モータ46は、制御ユニット50に接続されており、制御ユニット50からの指示により動作する。
図3に示すように、感光体製造装置10は、スリットダイ26が塗布液Lの吐出動作を行っていないときに吐出口26Aを覆って洗浄室64を形成する蓋部材62と、蓋部材62をスリットダイ26に対して接近離間する方向に移動する蓋移動手段の一例としての蓋移動ユニット70と、を有している。
蓋移動ユニット70は、第3モータ72によってY方向又は−Y方向に移動するYステージ74と、Yステージ74上に固定された第4モータ76によってX方向又は−X方向に移動するXステージ78と、を有している。そして、Xステージ78上には、蓋部材62が固定されている。これにより、蓋部材62は、スリットダイ26の吐出口26Aに対して相対移動可能とされ、少なくとも吐出口26Aを覆ったときに洗浄室64を形成するようになっている。
Yステージ74は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ73が配置された構成となっており、第3モータ72がボールネジ73を回転することでY方向、−Y方向に移動可能となっている。同様に、Xステージ78は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ77が配置された構成となっており、第4モータ76がボールネジ77を回転することでX方向、−X方向に移動可能となっている。なお、第3モータ72及び第4モータ76は、制御ユニット50(図1、2参照)に接続されており、制御ユニット50からの指示により動作する。
図1に示すように、蓋部材62は、Z方向を長手方向とする箱状の部材であり、Z方向に見て、X方向に延びる底壁62Aと、底壁62AのX方向端部でY方向に直立した側壁62Bと、側壁62BのY方向端部から−X方向に延びる上壁62Cと、を有している。そして、蓋部材62は、−X方向側が開放されて開口部62Dが形成されている。また、開口部62Dの周縁部には、スリットダイ26と接触して洗浄室64を密閉する閉塞部材63が取り付けられている。閉塞部材63は、ゴム製であり、スリットダイ26と蓋部材62が接触したときに変形してスリットダイ26と蓋部材62との隙間を塞ぐようになっている。
さらに、蓋部材62は、底壁62AのX方向中央でZ方向に間隔をあけて複数形成されると共にY方向に貫通した複数の貫通孔62E(1箇所のみ図示し残りは図示省略)と、上壁62CのX方向中央でZ方向に間隔をあけて複数形成されると共にY方向に貫通した複数の貫通孔62F(1箇所のみ図示し残りは図示省略)と、を有している。
導入ユニット60は、洗浄液Lが内部に貯留された貯留タンク61と、貯留タンク61の底部と蓋部材62の貫通孔62Fとに接続された供給管65(貫通孔62Fと同数)と、供給管65内の洗浄液Lを洗浄室64へ供給(圧送)する供給ポンプ66と、供給管65から貯留タンク61へ洗浄液Lを戻す戻り管67と、供給管65と戻り管67とを切り替える三方弁68と、貫通孔62Eと貯留タンク61とに接続された戻り管69(貫通孔62Eと同数)と、を有している。なお、供給管65の蓋部材62側の端部及び戻り管69の蓋部材62側の端部には、Z方向を長手方向とするマニホールド(図示省略)が設けられている。そして、供給管65及び戻り管69は、このマニホールドによりZ方向に間隔をあけて複数分岐されている。
貯留タンク61は、戻り管67内又は戻り管69内を流れた洗浄液Lが内部に貯留されると共に、底部(Y方向下部)から供給管65へ洗浄液Lが供給されるようになっている。
供給ポンプ66は、供給管65の貯留タンク61側に取り付けられており、電源(図示省略)からの通電によって作動(ON)し、供給管65内の洗浄液Lを蓋部材62へ供給(圧送)する。なお、供給ポンプ66のON、OFFは、制御ユニット50によって切り替えられる。
三方弁68は、制御ユニット50によって洗浄液Lの流れる行き先が切り替えられるようになっており、洗浄液Lを蓋部材62へ供給するときは戻り管67側を閉止すると共に供給管65側(下流側)を開放し、洗浄液Lを蓋部材62へ供給しないときは戻り管67側を開放すると共に供給管65側(下流側)を閉止する。
導入ユニット60は、蓋部材62が吐出口26Aを覆っているとき、供給ポンプ66により供給管65を介して洗浄室64内に洗浄液Lを導入すると共に、洗浄室64から戻り管69を介して貯留タンク61へ洗浄液Lを排出するようになっている。なお、蓋部材62において貫通孔62F、62Eが−Y方向(鉛直下方向)に配置されており、洗浄液Lは、洗浄室64内を−Y方向に流れるようになっている。これは、洗浄液Lを−X方向に流した場合、スリットダイ26の吐出口26A内に洗浄液Lが進入し易くなってしまうためである。
(制御ユニットの構成)
図1に示すように、制御ユニット50は、感光体製造装置10全体の制御をつかさどるCPU(図示省略)と、プログラム格納用及びワーク用として使用されるメモリ(図示省略)と、各種パラメータが設定される設定手段の一例としての液晶パネル52(図4参照)と、を含んで構成されている。そして、制御ユニット50は、回転部22及び吐出ユニット24を制御し、吐出ユニット24のスリットダイ26を基体14に近づけてから塗布液Lの吐出を開始させ、スリットダイ26からの塗布液Lの吐出を停止するときにスリットダイ26を基体14から遠ざけるプログラム設定となっている。
また、制御ユニット50は、回転部22で基体14を回転させながら吐出ユニット24から塗布液Lを吐出させて基体14に塗布液Lを塗布させ、吐出ユニット24で吐出された塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EB(図9(B)参照)とが重なるように、吐出(塗布)開始からの経過時間及び基体14の回転角のいずれか一方に基づいて吐出ユニット24からの塗布液Lの吐出を停止し、吐出ユニット24からの塗布液Lの吐出停止後に設定時間又は設定回転数で基体14を複数回で回転させるプログラム設定となっている。
さらに、制御ユニット50は、塗布開始時、塗布途中、塗布終了時の順に、供給ポンプ30によるスリットダイ26からの塗布液Lの吐出圧が低くなるプログラム設定となっている。一例として、制御ユニット50は、塗布液Lの吐出圧が、塗布開始時にP1、塗布途中にP2、塗布終了時にP3(P1>P2>P3)と低くなるプログラム設定となっている(図5参照)。
加えて、制御ユニット50は、塗布液Lの吐出停止の条件が満たされたときに吐出ユニット24の吸引部38に塗布液Lを吸引させるプログラム設定となっている。即ち、制御ユニット50は、スリットダイ26の吐出口26Aから基体14への塗布液Lの吐出終了後に塗布液Lを吸引させる。
なお、塗布液Lの吐出停止の条件とは、塗布ユニット20で塗布された塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EB(図9(B)参照)とが重なるように設定された、吐出開始時点からの経過時間Δt及び吐出開始位置からの基体14の回転角Δθのいずれか一方による。そして、経過時間Δtは、誤差αを考慮して設定されており、回転角Δθは、誤差βを考慮して設定されている。ここでは一例として、塗布開始時点からの経過時間Δtの経過時点で塗布液Lが供給停止されるようになっている。
また、制御ユニット50は、導入ユニット60が洗浄液Lの供給を停止するのに先立ってスリットダイ26(供給ポンプ30)を動作させて、吐出口26Aから洗浄室64内へ塗布液Lを吐出させる制御を行うプログラム設定となっている。さらに、制御ユニット50は、塗布液Lが吐出口26Aから洗浄室64内へ吐出された後は吸引部38が吸引を行わないように制御を行うプログラム設定となっている。
図4に示すように、液晶パネル52には、パラメータ設定画面が表示されるようになっている。一例として、液晶パネル52には、図1に示す基体14のワーク径[mm]、スリットダイ26の上下位置[mm](基準位置からのY方向距離)、スリットダイ26の前後位置[mm](基準位置からのX方向距離)、基体14の塗布開始角度[°](回転開始角度)、基体14の塗布停止角度[°](回転停止角度)、スリットダイ26の基体14に対する離脱角度[°](X方向に対する移動方向の角度)、及び三方弁36(バルブ)の動作遅れ時間[秒(sec)]の選択肢が、マトリクスで表示されるようになっている。詳細には、各パラメータについて、5つの値が表示されており、選択された値が他の値とは異なる色で表示されるようになっている。なお、具体的な数値については表示を省略する。
また、制御ユニット50には、図5に示すように、各種制御のためのタイミングチャートが設定されている。なお、図中に示された時点t1からt12までは、一例として記載したものであり、異なる時点で設定されてもよい。導入ユニット60(図1参照)のタイミングチャートについては図示を省略している。
感光体製造装置10(図1参照)の装置動作は、時点t1で起動(ON)され、時点t2までON状態が保持(継続)され、時点t12で停止(OFF)される設定となっている。なお、tの数字が大きいほど後の時点であることを表している。
スリットダイ26(図1参照)の高さ位置は、時点t1から時点t2までで基準位置P0から位置PHへ移動し、時点t2から時点t8まで位置PHで保持し、時点t8から時点t10までで位置PHから基準位置P0へ移動する設定となっている。また、スリットダイ26の前後位置は、時点t1から時点t2までで基準位置P0から位置PFへ移動し、時点t2から時点t7まで位置PFで保持し、時点t7から時点t8までで位置PFから基準位置P0へ移動する設定となっている。
モータ22B(図1参照)の単位時間当たりの回転数(回転速度に相当)は、時点t1から時点t3までで0からNHへ増加し、時点t3から時点t7までNHで保持され、時点t7から時点t9まででNHからNLへ減少する。さらに、モータ22Bの単位時間当たりの回転数は、時点t9から時点t11までNLで保持され、時点t11から時点t12まででNLから0へ減少する設定となっている。なお、時点t3から時点t7までは基体14(図1参照)が1回転+Nα(Nα<1)で回転し、時点t9から時点t11までは基体14が複数回転するようになっている。
基体14の回転角度は、時点t4から時点t7までで0°から360°へ増加している。即ち、基体14は、時点t4から時点t7までで1回転する設定となっている。
供給ポンプ30(図1参照)は、時点tに関わらず連続して動作している。また、三方弁36は、時点t4で供給配管32の下流側を開放(ON)し、時点t7まで開放状態が保持(継続)され、時点t7で供給配管32の下流側を閉塞(OFF)する設定となっている。そして、供給ポンプ30による吐出口26A(図1参照)からの塗布液Lの吐出圧は、時点t4まで0、時点t4から時点t5までがP1、時点t5から時点t6までがP2、時点t6から時点t7までがP3、時点t7以降が0に設定されている。なお、既述のように、P1>P2>P3である。また、下引き層12A(図12参照)の乾燥前の膜厚d(図9(A)参照)が得られるとき(通常の)吐出圧がP2である。
(感光体の構成)
次に、感光体製造装置10によって製造される感光体12の構成について説明する。
図12に示すように、感光体12は、基体14と、基体14の外周面に層形成された下引き層12Aと、下引き層12Aの外周面に層形成された電荷発生層12Bと、電荷発生層12Bの外周面に層形成された電荷輸送層12Cと、を含んで構成されている。なお、本実施形態では図示及び説明を省略するが、電荷輸送層12Cの外周面に保護層を形成してもよい。
基体14は、導電性を有している。基体14の材質の例として、アルミニウムやステンレス、ニッケルなどの金属が使用可能であり、用途に応じて適したものが選択される。感光体12の基体14としては、一般にアルミニウムが用いられるが、アルミニウムの場合は表面に傷が付きやすいので、表面にニッケルなどのめっき処理を行うのがよい。
下引き層12Aは、例えば酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、及びこれらの共重合体、又は、硬化性金属有機化合物(例えばジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤など)を、単独又は複数混合して塗布形成した層である。必要に応じて、酸化亜鉛や酸化チタンなどの粉体を分散してもよい。酸化亜鉛、酸化チタンの分散は、電気特性の向上や光散乱性の向上などを目的としており、下引き層12Aの固形分に対して、一例として、重量比で30重量%添加されている。また、酸化亜鉛の粒径は、一例として、4μmとなっている。
下引き層12Aを構成する塗布液L(図1参照)は、樹脂成分を溶解した分散媒中に添加微粉末(酸化亜鉛含む)を添加して分散処理を行うことで得られる。添加微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。このようにして得られた塗布液Lを用いて、感光体12の下引き層12Aを形成するが、下引き層の膜厚は、0.1μm以上10μm以下が好ましい。
電荷発生層12B(CGL(Carrier Generation Layer))は、電荷発生剤(CGM(Carrier Generation Material))を、バインダー樹脂(例えばポリビニルブチラール等)に分散して、塗布形成される。CGMは、例えば、ビスアゾ顔料、アズレニウム、スクアリウム、銅フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどが挙げられる。CGLの厚さは、通常は0.1μm以上1μm以下である。
電荷輸送層12C(CTL(Carrier Transport Layer))は、電荷輸送剤(CTM(Carrier Transport Material))を、バインダー樹脂(例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル等)と混合して、塗布形成される。CTMには例えば、ベンジジン化合物、トリフェニルアミン化合物などが挙げられる。CTLの厚さは、10μm以上50μm以下が好ましい。
ここで、下引き層12A、電荷発生層12B、電荷輸送層12Cの形成用の各塗布液における溶剤(分散媒)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテルなどの環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などが用いられる。溶剤は、乾燥が速いものよりも遅いものが好ましく、常温で1分間以上5分間以下放置しても溶剤乾燥量が5%以下であるものが望ましい。
なお、本実施形態では一例として、下引き層12Aを基体14の外周面に層形成するときの感光体製造装置10(図1参照)による塗布液L(図1参照)の塗布について説明するが、電荷発生層12B又は電荷輸送層12C形成時の塗布に用いてもよい。
(比較例により形成される下引き層)
次に、比較例により形成される下引き層12Aについて説明する。なお、本実施形態と同様の部材、部位については、本実施形態と同じ符号を用いて説明を省略する。
図1に示すスリットダイ26から塗布液Lを吐出すると共に基体14を360°回転させて塗布した比較例の場合、図7(A)に展開図で示すように、形成された下引き層12Aの皮膜は、幅方向(Z方向)及び周方向(R方向)において、塗布開始端EA及び塗布終了端EBが直線である形の整った長方形となることが望ましい。
しかし、スリットダイ26からの塗布液Lの吐出状況によっては、図7(B)に示すように塗布開始端EAがぎざぎざに波打ったり、塗布終了端EBのZ方向中央部分が丸くなるなど、長方形にならない場合がある。また、図7(C)に示すように、塗布開始端EA及び塗布終了端EBが波打つ場合もある。これは、塗布開始時に塗布液Lを吐出する際、徐々に圧力が上がって塗布液Lが流出したり、塗布終了時に塗布液Lの吐出が徐々に止まる場合に生じる。これらは塗布液Lの性質にもより、塗布液Lがニュートン流体である場合や、塗布時の外気温で粘度が1Pa・sよりも低い場合に発生しやすい。
一方、塗布液Lの塗布開始端EA及び塗布終了端EBの膜厚は、図8(A)に示すようにR方向中央部分の膜厚dと同じである方が、基体14の1回転で塗布開始端EA及び塗布終了端EBをつなげた場合に、図8(B)に示すように繋ぎ目の膜厚に変化がないので望ましい。
しかし、塗布液Lの粘度が低く流動しやすい場合は、図8(C)に示すように塗布開始端EA及び塗布終了端EBがなだらかに(薄く)なる。この場合、塗布開始端EAと塗布終了端EBをつなげると、図8(D)に示すように、繋ぎ目に膜厚が不足する箇所が生じることになる。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
(塗布ユニットの作用)
図9(A)に示すように、初期状態において、基体14の外周面とスリットダイ26の吐出口26A端部との間隔は、一例として、設定膜厚dよりも大きい2dとなっている。
続いて、図6(A)に示すように、塗布ユニット20では、制御ユニット50(図1参照)からの指示によりXステージ44が基準位置からX方向に移動する。これにより、スリットダイ26が基体14の外周面と対向する位置(一例として、基体14の外周面とスリットダイ26の吐出口26A端部との間隔がd(図9(A)参照)の位置)に配置される。なお、吐出口26Aは、基体14の回転中心(図示省略)に向けて配置されている。また、図6(A)、(B)、(C)では、第2モータ46及びYステージ48(図1参照)の図示を省略している。
続いて、図6(B)に示すように、吸引部38の拡幅部38Eが貫通孔38Dを開放し、塗布液Lが供給可能な状態となる。なお、図1に示すように、三方弁36は、供給ポンプ30からスリットダイ26までの供給配管32を開放しており、戻り配管34側は閉止している。この状態において供給ポンプ30が動作し、且つピストンシリンダ38B(図6(B)参照)が塗布液Lを押し出すことで、図6(B)に示すように、基体14の外周面に塗布液Lが吐出開始(塗布開始)される。また、塗布液Lの塗布開始に合わせてモータ22Bが基体14の回転を開始する。そして、基体14が1回転強(一例として360.5°だけ回る時間Δt)の回転を行う間、塗布液Lの吐出圧は、P1、P2、P3(図5参照)と減圧される。このようにして、回転する基体14の外周面に塗布液Lが塗布される(塗布工程の一例)。
塗布液Lは、吐出(塗布)開始時において、通常の吐出圧P2よりも高い吐出圧P1で吐出される。これにより、スリットダイ26の吐出口26A付近に供給されている塗布液Lの量が少ない場合でも、基体14に塗布される塗布液Lの量が不足することが抑制される。また、塗布液Lは、吐出(塗布)終了時において、通常の吐出圧P2よりも低い吐出圧P3で吐出される。これにより、塗布開始端EAに塗布終了端EBを重ねる場合に、基体14の外周面に余分な(設定以上の)塗布液Lが残留することが抑制され、スリットダイ26を移動させたときの塗布液Lの糸引きなどが抑制される。
続いて、図6(C)に示すように、塗布液Lの供給停止の条件が満たされたとき(一例として、塗布開始時点から経過時間Δt(360.5°回転する時間)が経過した時点)、三方弁36(図1参照)がスリットダイ26側の供給配管32を閉止するように切り替えられ、塗布液Lの供給が停止されると共に、吸引部38が塗布液Lを吸引する。これにより、塗布液Lが重なる(つながる)部位に過剰な塗布液Lが残留することが抑制され、塗布液Lの厚みが厚過ぎたり薄過ぎたりすることが抑制される。
さらに、吸引部38が塗布液Lを吸引するとき、Xステージ44が−X方向に移動して、スリットダイ26を基体14から距離2d(図9(A)参照)だけ遠ざける。これにより、スリットダイ26と塗布液Lとの接触が防止される。なお、距離2d(間隔2d)は、乾燥前の塗布液Lの膜厚以上であることが望ましく、1mm以上とするのがよい。また、塗布液L塗布中のスリットダイ26と基体14との間隔は、塗布液Lの膜厚にもよるが、0.1mm以上0.5mm以下とすることが望ましい。さらに、スリットダイ26の移動時間(図5の時点t7から時点t8までの時間)は、0.1秒以下であることが望ましい。
ここで、図9(B)に示すように、基体14が360.5°回転したことにより、塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なる。これにより、塗布開始端EAと塗布終了端EBが確実に繋がる。そして、塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なった部分の膜厚がdよりも大きく(一例として1.2d)なる。また、塗布開始端EAと塗布終了端EBは先細り形状となっているため、塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なっても、この重なり部分の膜厚は2dよりも小さくなる。
続いて、図6(C)に示すように、モータ22Bは、単位時間当たりの回転数をNHからNLへ低下(図5参照)させると共に、塗布液Lが塗布された基体14を、設定時間(図5の時点t9から時点t12までの時間)で回転させる(回転工程の一例)。これにより、塗布液Lは、図9(B)に示す重なり部分が徐々にならされ(レベリングされ)、平滑になってくる。そして、塗布液Lは、図9(A)に示すR方向でばらつきが抑制された膜厚となる。即ち、塗布開始端EAと塗布終了端EBを繋いで感光体12(図12参照)を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、R方向の他の部位の厚みとの差が低減される。なお、塗布液Lの厚さにもよるが、塗布液LTのレベリングの時間は、30秒以上5分以下であることが望ましい。また、レベリング時の環境温度は、25℃程度(常温)が望ましい。
このようにして、図12に示すように、基体14の外周面に下引き層12Aが形成される。なお、下引き層12Aの乾燥工程では、基体14を加熱して溶剤を乾燥させる。乾燥方法としては、基体14を乾燥炉に入れる方法、基体14に熱風を吹き付ける方法、赤外線加熱方法など任意の公知の方法でよい。乾燥中も塗布液L(塗膜)が垂れないように、基体14を回転させ続けることが望ましい。そして、下引き層12A上に他の塗布装置を用いて電荷発生層12B、電荷輸送層12C、及び保護層(図示省略)が形成されることにより、感光体12が形成される。
(導入ユニットの作用)
図10(A)に示すように、基体14への塗布液Lの塗布を行わないとき、吐出ユニット24では、三方弁36がOFF状態(スリットダイ26側の供給配管32が閉止状態)となっており、供給ポンプ30で送液される塗布液Lは、戻り配管34を経由して貯留タンク28へ戻り、再び供給ポンプ30へ循環する。このとき、蓋部材62はスリットダイ26の吐出口26Aを覆っている。
続いて、図10(B)に示すように、蓋移動ユニット70において、Yステージ74(図3参照)が−Y方向に移動すると共に、Xステージ78(図3参照)が−X方向に移動する。これにより、蓋部材62がスリットダイ26の−Y方向側(下方側)に配置され、スリットダイ26がX方向に移動可能となる。そして、スリットダイ26が移動ユニット40(図1参照)によりX方向に移動し、基体14と対向配置される。
続いて、図10(C)、(D)に示すように、三方弁36がON状態(スリットダイ26側の供給配管32が開放状態)となり、図11(A)に示すように、スリットダイ26から基体14へ塗布液Lが塗布される。
続いて、図10(E)に示すように、基体14への塗布液Lの塗布終了時、スリットダイ26が移動ユニット40(図1参照)により−Xに移動し、三方弁36がOFF状態となる。このとき、吸引部38による吸引が行われることで、図11(B)に示すように、スリットダイ26では、吐出口26A内の塗布液Lの量が減少した状態(供給不足状態)となっている。
続いて、図10(E)に示すように、蓋移動ユニット70において、Xステージ78(図3参照)がX方向に移動すると共にYステージ74(図3参照)がY方向に移動し、さらにXステージ78が−X方向に移動する。これにより、図11(C)、(D)に示すように、蓋部材62がスリットダイ26の吐出口26A(あるいは吐出口26Aの周縁部)に取り付けられる(取付工程の一例)。そして、スリットダイ26と蓋部材62とで囲まれた洗浄室64が形成される。
続いて、図1において、制御ユニット50が、三方弁68により戻り管67側を閉止させると共に供給管65側を開放させ、導入ユニット60(供給ポンプ66)を動作させる。これにより、図11(E)に示すように、洗浄室64内に洗浄液Lが導入されると共に排出され、洗浄液Lが供給管65及び戻り管69を循環する(導入工程の一例)。
続いて、図11(F)に示すように、制御ユニット50(図1参照)は、導入ユニット60(図1参照)が導入動作を停止する前に供給ポンプ30(図1参照)を動作させ、洗浄室64内に塗布液Lを吐出させる(吐出工程の一例)。なお、吸引部38(図1参照)は、塗布液Lが吐出口26Aから洗浄室64内へ吐出された後は、塗布液Lの吸引を行わない。
続いて、図1において、三方弁68を閉止することにより、洗浄室64への洗浄液Lの供給が停止されると共に戻り管69から貯留タンク61へ洗浄液Lが排出される。これにより、図11(G)に示すように、洗浄室64から洗浄液Lが抜き取られる。この抜き取り動作と共に、Xステージ78(図3参照)がX方向に移動し、Yステージ74(図3参照)が−Y方向に移動して、さらにXステージ78が−X方向に移動する。これにより、図10(B)及び図11(H)に示すように、蓋部材62がスリットダイ26の吐出口26Aから退避される(退避工程の一例)。
続いて、図10(B)、(C)、(D)、(E)に示すように、スリットダイ26は、回転する基体14(次に製造する感光体12(図12参照)の基体14)に塗布液Lを吐出して下引き層12Aを成膜する(成膜工程の一例)。そして、図12に示すように、成膜された下引き層12A上に他の塗布装置を用いて電荷発生層12B、電荷輸送層12C、及び保護層(図示省略)が形成されることにより、次の感光体12が形成される。
このように、図1に示す感光体製造装置10において、スリットダイ26が塗布液Lの吐出動作を行っていないとき、吐出口26A及びその周縁部が洗浄液Lで洗浄される。ここで、制御ユニット50は、導入ユニット60が洗浄液Lの導入を停止するのに先立ってスリットダイ26を動作させ、吐出口26Aから洗浄室64内へ塗布液Lを吐出させている。これにより、吐出口26A付近で洗浄液Lにより薄まっている塗布液Lが排出されるので、吐出口26A内の塗布液Lの濃度低下が抑制され、次回の塗布液Lの塗布を開始するときの塗布不良が抑制される。
一方、吸引部38は、既述のように、吐出口26Aから基体14への塗布液Lの吐出終了後に塗布液Lを吸引するが、塗布液Lが吐出口26Aから洗浄室64内へ吐出された後は、塗布液Lの吸引を行わない。これにより、スリットダイ26が洗浄液Lを吸引して塗布液Lが薄まることが抑制される。
次に、感光体12の実施例について説明する。
(実施例)
一例として、外径30mm、肉厚1mm、Z方向の長さ340mmのアルミニウム製の基体14を用いて感光体12を製造する。基体14の表面は、球形アルミナ粒子によるホーニング処理により算術平均粗さRa0.2μmに粗面化した。次いで、表面には、共重合ナイロン樹脂(商品名:CM8000、東レ製)のメタノール溶液をスプレーで塗布して0.5μm厚の下引き層12Aを形成した。
一方、特開2004−348092号記載の方法で感光層溶液を作製した。即ち、電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°において明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン3重量部、電子輸送材料として3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノンを40重量部、正孔輸送材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを80重量部、バインダー樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)150重量部、さらに4フッ化エチレン樹脂粒子10重量部を加え、溶剤としてシクロペンタノン1000重量部とともにボールミル中で24時間分散あるいは溶解させ、単層型感光層用の塗布液Lを調合した。固形分濃度は22重量%、粘度は0.4Pa・sである。
この液を供給ポンプ30(モーノポンプ)により、0.72cm/秒でスリットダイ26のマニホールド(図示省略)に送る。供給配管32の途中には、エアーで駆動するピストンシリンダ38Bの動作により、塗布開始時に瞬時に0.3cm/秒の塗布液Lを押し出し、塗布終了時には瞬時に0.5cm/秒の塗布液Lを吸引する吸引部38を設置した。その手前には三方弁36を設け、塗布しない時は塗布液Lをスリットダイ26には送らず、戻り配管34から貯留タンク28に戻す。
スリットダイ26として、スリット幅0.3mm、スリット長さ20mm、リップ1mm、マニホールド径15mmで、塗布幅(Z方向幅)320mmのものを用いた。
基体14は、12rpmで回転させた。スリットダイ26と基体14の外周面との間隔は2mmである。塗布開始時には、スリットダイ26を基体14の外周面に0.2mmまで接近させ、三方弁36を切り替えて送液を開始すると共に、ピストンシリンダ38Bを押して塗布液Lが吐出口26A(スリット)から直ちに吐出するようにした。5秒後に基体14が1回転した際、ピストンシリンダ38Bを吸引すると共に、三方弁36を切り替えて送液を止め、スリットダイ26を基体14外周面から2mmの位置に引き離した。これにより、基体14表面に約120μm厚の塗膜が形成されたが、継ぎ目にはまだ筋が見られた。
続いて、基体14をそのまま30秒間回転させ続けることで、塗膜表面に見られた継ぎ目の筋は消失した。
続いて、基体14を10rpmで回転させながら、150℃に設定された乾燥炉(図示省略)に入れ、20分間乾燥させた。これにより、膜厚26μmの単層感光層が形成された感光体12が得られた。
次に、感光体12の比較例について説明する。
(比較例)
本実施例の塗布液Lの溶剤をテトラヒドロフラン800重量部に替え、他は同様にして塗布液を調合した。固形分濃度は26重量%、粘度は0.5Pa・sである。この液を用いて従来公知の浸漬塗布法で基体14に塗布液を塗布した。すなわち、基体14の軸方向を垂直にして0.6m/分の速度で塗液に浸漬し、2秒間停止した後、0.18m/分の速度で塗布液から引き上げた。この場合、塗布操作に要した時間は約150秒であり、本実施例の5秒に比べて大幅に時間を要した。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る回転体の製造装置及び回転体の製造方法の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図13には、第2実施形態に係る回転体の製造装置の一例としての感光体製造装置100が示されている。感光体製造装置100は、感光体製造装置10(図1参照)のスリットダイ26の位置が固定されると共に、移動ユニット40(図1参照)に換えて回転部22を移動させる移動ユニット110が設けられた構成となっている。なお、導入ユニット60(図1参照)については同様の構成のため、図示及び説明を省略する。
移動ユニット110は、台座111上に固定された第1モータ112によってX方向又は−X方向に移動するXステージ114と、Xステージ114上に固定された第2モータ116によってY方向又は−Y方向に移動するYステージ118とを有している。そして、Yステージ118上には、Y方向に直立した支柱119によって、支持部22Aが回転可能に支持されている。なお、Yステージ118の高さは予め調整されているため、感光体12(図12参照)の製造時に移動させるのは、基本的にXステージ114のみとなっている。
Xステージ114は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ113が配置された構成となっており、第1モータ112がボールネジ113を回転することでX方向、−X方向に移動可能となっている。同様に、Yステージ118は、一例として、間隔をあけて配置された2本のシャフト(図示省略)の間にボールネジ117が配置された構成となっており、第2モータ116がボールネジ117を回転することでY方向、−Y方向に移動可能となっている。なお、第1モータ112及び第2モータ116は、制御ユニット50に接続されており、制御ユニット50からの指示により動作する。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図14(A)に示すように、感光体製造装置100では、制御ユニット50(図13参照)からの指示によりXステージ114が−X方向に移動する。これにより、基体14の外周面がスリットダイ26の吐出口26Aと対向する位置に配置される。なお、吐出口26Aは、基体14の回転中心(図示省略)に向けて配置されている。このとき、図9(A)に示すように、基体14の外周面とスリットダイ26の吐出口26A端部との間隔は、一例として、設定膜厚dよりも大きい2dとなっている。
続いて、図14(B)に示すように、吸引部38の拡幅部38Eが貫通孔38Dを開放し、塗布液Lが供給可能な状態となる。なお、図13に示すように、三方弁36は、供給ポンプ30からスリットダイ26までの供給配管32を開放しており、戻り配管34側は閉止している。この状態において供給ポンプ30が動作し、且つピストンシリンダ38B(図14(B)参照)が塗布液Lを押し出すことで、図14(B)に示すように、基体14の外周面に塗布液Lが吐出開始(塗布開始)される。また、塗布液Lの塗布開始に合わせてモータ22Bが基体14の回転を開始する。そして、基体14が1回転強(一例として360.5°)の回転を行う間、塗布液Lの吐出圧は、P1、P2、P3(図5参照)と減圧される。このようにして、回転する基体14の外周面に塗布液Lが塗布される(塗布工程の一例)。
続いて、図14(C)に示すように、塗布液Lの供給停止の条件が満たされたとき(一例として、塗布開始時点から経過時間Δtが経過した時点)、三方弁36(図13参照)がスリットダイ26側の供給配管32を閉止するように切り替えられ、塗布液Lの供給が停止されると共に、吸引部38が塗布液Lを吸引する。これにより、塗布液Lが重なる(つながる)部位に過剰な塗布液Lが残留することが抑制され、塗布液Lの厚みが厚過ぎたり薄過ぎたりすることが抑制される。
さらに、吸引部38が塗布液Lを吸引するとき、Xステージ114がX方向に移動して、基体14をスリットダイ26から距離2d(図9(A)参照)だけ遠ざける。これにより、スリットダイ26と塗布液Lとの接触が防止される。
ここで、図9(B)に示すように、基体14が360.5°回転したことにより、塗布液Lの塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なる。これにより、塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なった部分の膜厚がdよりも大きく(一例として1.2d)なる。また、塗布開始端EAと塗布終了端EBは先細り形状となっているため、塗布開始端EAと塗布終了端EBが重なっても、この重なり部分の膜厚は2dよりも小さくなる。
続いて、モータ22Bは、単位時間当たりの回転数をNHからNLへ低下(図5参照)させると共に、塗布液Lが塗布された基体14を、設定時間(図5の時点t9から時点t12までの時間)で複数回、回転させる(回転工程の一例)。これにより、塗布液Lは、図9(B)に示す重なり部分が遠心力によって徐々にならされ(レベリングされ)、図9(A)に示すR方向で均等な膜厚となると共に、内部の組成が均等になる。即ち、塗布開始端EAと塗布終了端EBを繋いで感光体12(図12参照)を製造するときの繋ぎ部分の厚みと、R方向の他の部位の厚みとの差が低減される。
これらの製造工程により、図12に示すように、基体14の外周面に下引き層12Aが形成される。なお、下引き層12Aの乾燥工程では、基体14を加熱して溶剤を乾燥させる。乾燥中も塗布液L(塗膜)が垂れないように、基体14を回転させ続けることが望ましい。そして、下引き層12A上に他の塗布装置を用いて電荷発生層12B、電荷輸送層12C、及び保護層(図示省略)が形成されることにより、感光体12が形成される。
このように、基体14側を移動ユニット110で移動させることにより、スリットダイ26周辺のスペース(空き空間)が広がるので、導入ユニット60の配置が行いやすくなる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
回転体の製造装置は、感光体製造装置10、100に限らず、他の例として、無端ベルトの製造装置に用いてもよい。
無端ベルトを製造するには、ポリイミド樹脂(PI)やポリアミドイミド樹脂(PAI)のような皮膜形成樹脂の溶液を基体14上に塗布し、皮膜形成後に基体14から皮膜を剥離する。PIの場合はその前駆体を用いることもある。これらの溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドなどの非プロトン系極性溶剤が用いられる。溶液の濃度・粘度等は適宜選択されるが、望ましい溶液の固形分濃度は10質量%以上40質量%以下、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下である。
半導電性の無端ベルトを形成する場合、樹脂溶液に導電性粒子を分散する。例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイトなどの炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等のウィスカー、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。中でも、液中の分散安定性、半導電性の発現性、価格などの観点で、カーボンブラックは特に望ましい。
無端ベルトの場合は、乾燥後に望ましくは250℃以上450℃以下、より望ましくは300℃以上350℃以下程度で、20分間以上60分間以下、PI前駆体皮膜を加熱させることでイミド化反応が起こり、PI樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することが望ましい。皮膜形成樹脂がPAIの場合には、溶剤を乾燥させるだけで皮膜が形成される。この加熱工程では基体14(芯体)を加熱炉に入れるが、乾燥工程のように基体14の回転は不要であるので、基体14の軸方向を垂直にして立てて加熱炉に入れるのがよい。
加熱終了後、基体14を加熱炉から取り出し、形成された樹脂皮膜を基体14から抜き取る。得られた皮膜の端部は、不要部分が切断され、無端ベルトとなる。無端ベルトには、必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工などが施されることがある。
(無端ベルトの実施例)
一例として、外径30mm、肉厚0.5mm、長さ350mmのSUS304製円筒基体(芯体)を用いて無端ベルトを製造する。芯体の表面は、球形アルミナ粒子によるブラスト処理によりRa0.4μmに粗面化した。続いて、表面にはシリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布して、300℃で1時間焼き付け処理を施した。
塗布液としては、PI前駆体溶液(商品名:UワニスS、宇部興産製、固形分濃度18%、溶剤はN−メチルピロリドン、粘度5Pa・s)を用いた。この塗布液をモーノポンプにより、3.0cm/秒でスリットダイ26のマニホールドに送る。配管途中には、エアで駆動するピストンシリンダ38Bの動作により、塗布開始時には瞬時に0.5cm/秒の液を押し出し、塗布終了時には瞬時に0.5cm/秒の液を吸引する吸引部38を設置した。また、吸引部38の手前には三方弁36を設け、塗布しない時は液をスリットダイ26には送らず、戻り配管34から貯留タンク28に戻す。
スリットダイ26として、スリット幅0.5mm、スリット長さ20mm、リップ1mm、マニホールド径15mmで、塗布幅320mmのものを用いた。芯体を製造装置に配置し、12rpmで回転させた。スリットダイ26と芯体表面との間隔は2mmである。塗布開始時には、スリットダイ26を芯体表面に0.4mmまで接近させ、三方弁36を切り替えて送液を開始すると共に、ピストンシリンダ38Bを押して塗布液がスリットから直ちに吐出するようにした。5秒後に芯体が1回転した際、吸引部38により吸引すると共に、三方弁36を切り替えて送液を止め、スリットダイ26を芯体表面から2mmの位置に引き離した。これにより、芯体表面には500μm厚の塗膜が形成され、芯体をそのまま1分間回転させ続けることで、塗膜表面に見られた継ぎ目の筋は消失した。
続いて、芯体を10rpmで回転させながら、150℃に設定された乾燥炉に入れ、20分間乾燥させた。その後、芯体を乾燥炉から出して垂直にして加熱炉に入れ、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、残留溶剤の乾燥と樹脂のイミド化反応を同時に行った。そして、室温に冷えた後、芯体から樹脂皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。膜厚を測定すると90μmであり、継ぎ目に筋は見られなかった。この無端ベルトは定着ベルトに用いることが可能である。
(比較例1)
上記の実施例において、吸引部38を使用せず、他は同様にして回転塗布を行った。芯体表面には約500μm厚の塗膜が形成されたが、塗布開始端と終了端はなだらかであり、継ぎ目においては膜厚が不足した状態の筋が見られた。この筋は塗布後に芯体を回転させ続けても消失することはなかった。得られた無端ベルトは、筋以外の部分は膜厚が90μmであったが、筋の部分では膜厚が約60μmしかなく、強度が弱いために折れ曲がりやすかった。
(比較例2)
上記の実施例において、塗布前後においてスリットダイ26を移動させず、芯体表面から0.4mmの位置に固定して他は同様にして回転塗布を行った。塗布開始時においては正常に塗膜が形成されたが、塗布終了時に塗布液の吐出を止め、芯体の回転を止めても、まだスリットダイ26の先端が塗膜表面に接しており、芯体を取り外した際にはスリットダイ26の先端と塗布液がつながって離れて盛り上がりが生じ、いわゆる離液線が形成された。得られた無端ベルトは、離液線以外の部分は膜厚が90μmであったが、離液線の部分では膜厚が約120μmあり、定着ベルトとして用いるには不都合であった。
移動ユニット40、110は、ボールネジを用いるものに限らず、リニアサーボモータを用いてもよい。また、移動ユニット40、110におけるXステージ、Yステージの組み付け順が入れ替わっていてもよい。
さらに、塗布液LTの塗布開始端EAと塗布終了端EBを重ねるにあたり、基体14の単位時間当たりの回転角度は、360°以上でなくともよく、他の条件によっては、例えば、359.5°(360°よりも小さい値)であってもよい。
加えて、吐出ユニット24からの塗布液Lの塗布の停止は、塗布開始からの経過時間に限らず、基体14の回転角に基づいて行ってもよい。
10 感光体製造装置(回転体の製造装置の一例)
12 感光体(回転体の一例)
14 基体
22 回転部
24 吐出ユニット(吐出部の一例)
38 吸引部(吸引手段の一例)
40 移動ユニット(移動手段の一例)
50 制御ユニット(制御手段の一例)
100 感光体製造装置(回転体の製造装置の一例)
110 移動ユニット(移動手段の一例)
EA 塗布開始端
EB 塗布終了端
塗布液

Claims (5)

  1. 基体を回転する回転部と、
    該基体に塗布液を吐出する吐出部と、
    該回転部により該基体を回転させながら、該吐出部から塗布液を吐出させて該基体に塗布液を塗布させ、該吐出部により吐出された塗布液の塗布開始端と塗布終了端とが重なるように該吐出部からの塗布液の吐出を停止させ、該基体に塗布された塗布液を乾燥させる前に該回転部による回転動作を維持したまま該回転部の回転数を減少させて設定時間又は設定回転数まで該基体を複数回回転させる制御手段と、
    を有する回転体の製造装置。
  2. 基体を回転する回転部と、
    出圧が塗布開始期間、塗布途中期間、塗布終了期間の順に低くなるように塗布液の吐出圧を変更可能とされ、該基体に塗布液を吐出する吐出部と、
    該回転部により該基体を回転させながら、該吐出部から塗布液を吐出させて該基体に塗布液を塗布させ、該吐出部により吐出された塗布液の塗布開始端と塗布終了端とが重なるように該吐出部からの塗布液の吐出を停止させ、該基体に塗布された塗布液を乾燥させる前に該回転部による回転動作を維持したまま設定時間又は設定回転数まで該基体を複数回回転させる制御手段と、
    を有する回転体の製造装置。
  3. 前記吐出部には、前記吐出部からの塗布液の吐出を停止するときに塗布液を吸引する吸引手段が設けられている請求項1又は請求項2に記載の回転体の製造装置。
  4. 前記吐出部及び前記基体を相対的に接近離間する方向に移動する移動手段が設けられ、
    前記制御手段は、前記吐出部を前記基体に近づけてから塗布液の吐出を開始させ、前記吐出部からの塗布液の吐出を停止するときに前記吐出部を前記基体から遠ざける請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転体の製造装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転体の製造装置を用いて、回転する前記基体の外周面に前記塗布開始端と前記塗布終了端とが重なるように塗布液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で塗布液が塗布された前記基体を設定時間又は設定回転数で回転させる回転工程と、
    前記回転工程で前記設定時間又は前記回転数で回転された前記基体の外周面に塗布された塗布液を乾燥させる乾燥工程と、
    を有する回転体の製造方法。
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