以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1乃至図9は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、透過型表示装置および面光源装置の概略構成を示す断面図であり、図2は、光学シートの上面図であり、図3乃至図5は光学シートのシート面への法線方向に沿った断面図である。
図1に示された透過型表示装置10は、透過型表示部15と、透過型表示部15の背面側に配置され透過型表示部15を背面側から面状に照らす面光源装置20と、を備えている。透過型表示部15は、例えば、液晶表示パネル(LCDパネル)から構成され、この場合、透過型表示装置10は液晶表示装置として機能する。ここでLCDパネルとは、ガラス等からなる一対の支持板と、支持板間に配置された液晶と、液晶分子の配向を一つの画素を形成する領域毎に電場によって制御する電極と、を有するパネルである。支持板間の液晶は、一つの画素を形成する領域毎にその配列を変化させられ得るようになっている。この結果、液晶表示パネル15は面光源装置20からの略均一な面内輝度分布の面状光を画素毎に透過させるか又は遮断し、画像を形成するためのシャッターとして機能するようになる。
一方、面光源装置20は、図1に示すように、光源25と、光源25からの光の進行方向を偏向して当該光を透過させる光学シート40と、光学シート40の入光側に配置された集光シート30と、光学シート40の出光側に配置された偏光分離フィルム35と、を有している。また、図1に示す例においては、集光シート30の入光側に、光を拡散させる光拡散シート38がさらに設けられている。面光源装置20は、例えばエッジライト(サイドライト)型等の種々の形態で構成され得るが、本実施の形態においては、直下型のバックライトユニットとして構成されている。このため、光源25は光学シート40の入光側において光学シート40と対面するようにして配置されている。また、光源25は、光学シート40の側に開口部(窓)を形成された箱状の反射板28によって背面側から覆われている。
なお、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から光学シート40等を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図1、図3〜図5においては上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から光学シート40等を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
また、本件において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
さらに、本件において「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面(凹凸面の場合は包絡面にも相当)のことを指す。そして、本実施の形態においては、光学シート40のシート面、集光シート30のシート面、偏光分離フィルム35のフィルム面、光拡散シート38のシート面、面光源装置15の発光面、および、透過型表示装置10の表示面は、互いに平行となっている。さらに、本願において「正面方向」とは、光学シート40のシート面に対する法線の方向nd(例えば図3参照)であり、また、面光源装置20の発光面の法線方向等にも一致する。
光源25は、例えば、線状の冷陰極線管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球、面状のEL(電場発光体)等の種々の態様で構成され得る。本実施の形態においては、図1および図4(二点鎖線)に示すように、光源25は、これらの図に於いて紙面に直行する方向に線状に延びる複数の冷陰極線管を有している。反射板28は、光源25からの光を光学部材30側へ向けるための部材であり、反射板28の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。
次に、集光シート30は、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させ、正面方向(法線方向)ndの輝度を集中的に向上させるためのシート状部材である。図9に示す例において、集光シート30は、そのシート面上のある方向(配列方向)に沿って並べて配列された複数の単位プリズム31を有している。なお、図9は、集光シート(プリズムシート)30のシート面への法線方向ndおよび単位プリズム31の配列方向の両方に平行な主切断面において、集光シート(プリズムシート)30を示している。
本例において、単位プリズム31は、集光シート30のシート面上において、その配列方向に直交する方向(例えば図3〜5に於いて紙面に直行する方向)に直線状に延びている。図示された単位プリズム31は、その長手方向に直交する断面において、直角二等辺三角形形状を有している。このような集光シート30として、米国3M社から入手可能な「BEF」(登録商標)を用いることができる。
また、偏光分離フィルム35は、入射光の偏光状態に基づいて、入射光のうち特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有したシート状部材である。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルム35として、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。
さらに、光拡散シート38は、入射光を拡散させ、好ましくは入射光を等方拡散させ、光源25の構成に応じた輝度ムラ(管ムラとも云う)を緩和し、輝度の面内分布を均一化させて光源25の像を目立たなくさせるためのシート状部材である。このような光拡散シート38として、基部と、基部内に分散され光拡散機能を有した光拡散性粒子と、を含むシートが用いられ得る。一例として、反射率の高い材料から光拡散性粒子を構成することにより、あるいは、基部をなす材料とは異なる屈折率を有する材料から光拡散性粒子を構成することにより、光拡散性粒子に、光拡散機能を付与することができる。
次に、光学シート40について説明する。図2乃至図4に示すように、光学シート40は、シート状の本体部45と、シート状の本体部45の一方の面46上に二次元配列された多数の単位形状要素(単位光学要素)50と、を有している。
図2に示すように、単位形状要素50は、本体部45の一方の面46上に隙間を空けて配列されている。そして、本実施の形態においては、本体部45の一方の面46上のうちの単位形状要素50が設けられていない全領域が、粗面45aとして構成されている。すなわち、本実施の形態において、本体部45の一方の面46の全領域に、単位形状要素50または粗面45aが形成されている。その一方で、本実施の形態においては、図4および図5に示すように、本体部45は、前記一方の面46に対向する他方の面47として、光学シート40の入光側面41をなす平滑な面を有している。
なお、本明細書で用いる「粗面」とは、光学的な意味合いでの粗面を意味するものである。すなわち、ここでは、或る程度の割合の可視光が、粗面45aから光学的作用を及ぼされ、粗面45aを通過する光が散乱されるようになる程度の表面粗さを有した面を意味している。したがって、例えば、粗面45の算術平均粗さRa(JISB0601)が最長の可視光波長(0.380μm)以上となっていれば、十分、粗面に該当する。また、散乱作用を期待する上では、粗面45の算術平均粗さRa(JISB0601)が20μm以下となっていることが好ましい。
同様に、「平滑な面」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味するものである。すなわち、ここでは、或る程度の割合の可視光が、光学シート40の入光側面41(本体部45の他方の面47)においてスネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、本体部45の他方の面47(光学シート40の入光側面41)の算術平均粗さRa(JISB0601)が最短の可視光波長(0.38μm)以下となっていれば、十分、平滑に該当する。
次に、単位形状要素50について説明する。多数の単位形状要素50は、フライアイレンズを構成するようになっている。本願におけるフライアイレンズとは、蝿の目レンズとも呼ばれ、平面上の異なる二方向のそれぞれに、規則的な間隔で又は非規則的(ランダム)に、配列された多数の単位レンズを有するレンズ部材のことを意味している。なお、本実施の形態では、多数の単位形状要素50は互いに同一に構成されている。
本実施の形態において、各単位形状要素50の面46上へ射影された形状は、言い換えると、光学シート40のシート面への法線方向ndから観察した場合(図2参照)における各単位形状要素50の形状は、実質的に六回対称となっている。すなわち、各単位形状要素50の面46上へ射影された形状は、光学シート40の法線方向ndと平行で当該単位形状要素50の中心を通る軸線を中心として、当該形状を60°回転(1/6回転)させた場合に、回転前と略合一な形状となる。より具体的には、各単位形状要素50の面46上へ射影された形状は、六つの角が丸味を持つとともに六つの辺も外側に膨らみ出した曲線となるように、正六角形を変形させた形状となっている。
とりわけ、本実施の形態においては、図3に示すように、光学シート40のシート面と平行な方向における各単位形状要素50の断面形状は、本体部45の一方の面46から離間するに連れて、しだいに小さくなっていく。すなわち、本実施の形態においては、本体部45の一方の面46上に位置する各単位形状要素50の底面が、略六回対称な形状であって、六つの角が丸味を持つとともに六つの辺が外側に膨らみ出た曲線となるように、正六角形を変形させた形状となっている。
まず、このような単位形状要素50の本体部45への配列について説明する。本実施の形態においては、図2の平面図(上面図)に示すように、本体部45への射影形状が六回対称である各単位形状要素50を最密に平面充填する構造から少し各単位形状要素同士を離間させた配列にて、多数の単位形状要素50が本体部45の一方の面46上に配列されている。すなわち、一つの単位形状要素50が、等間隔を空けて円周状に六回対称に配置された六つの単位形状要素50によって周囲から取り囲まれるようになっている。このような配列は、所謂結晶における六方最密充填構造から少し各単位要素を離間した配列に対応する。また、このような配列においては、単位形状要素50は、光学シート40の一方の面46の全領域を覆うようには形成されておらず、この結果、光学シート40の一方の面が、平坦な領域として、つまり本体部45のシート面と概ね平行な領域として、単位形状要素50に覆われることなく部分的に残存している。なお、本実施の形態においては、後述するように、また、図3に示すように、隣り合う単位形状要素50の間に露出するこの平坦な面は、粗面50aとして形成されている。
さらに言い換えると、多数の単位形状要素50は、60°の角度で互いに対して傾斜した本体部45の一方の面46上の異なる二つの方向に、共通の一定ピッチで、配列されている。つまり、図2に示すように、多数の単位形状要素50は、本体部45のシート面上の第1方向d1に沿って一定のピッチで配列されているとともに、本体部45のシート面上の第2方向d2に沿っても一定のピッチで配列されており、この第1方向d1と第2方向d2とは互いに対して60°の角度だけ傾斜している。さらに言い換えると、本体部45の一方の面46上において、最も近接した三つの単位形状要素50の配置中心51が、本体部45の一方の面46上で、正三角形の頂点上にそれぞれ位置するように、多数の単位形状要素50が配列されている。
なお、上述したように、光源25は線状に延びる複数の冷陰極線管から構成されている。一方、単位形状要素50からなるフライアイレンズは、単位レンズ(単位形状要素50)の形状および配列が面46上において、回転対称で等方的である為、光学シート40のシート面上の任意の方向に沿った面内において、光の進行方向を変化させることができる。したがって、細長状の光源25の長手方向ds(図2参照)や光源25の配列方向(dsと直交する方向)を考慮することなく単位形状要素50の配列方向を設定したとしても、光源25の配列方向に沿った面内で光の進行方向を同様に且つ等方的に変化させることが可能となる。これにより、光源25の配列構成に起因して生ずる輝度の面内ばらつき(管むら)を低減し、光源25の配列構成に応じて視認されるようになる光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。なお、図2に図示する例においては、光学シート40のシート面への法線方向ndから観察した場合に、各光源25の長手方向dsと、単位形状要素50の配列方向の一つd1が、平行となっている。
次に、単位形状要素50の形状についてさらに詳細に説明する。
上述したように、光学シート40のシート面と平行な方向における各単位形状要素50の断面形状は、本体部45の一方の面46から離間するに連れて、しだいに小さくなっていく。したがって、図3に示されている断面であって、単位形状要素50の配列方向(例えば、上述した方向d1)と、本体部45のシート面の法線方向ndに沿った方向と、に平行な断面(以下において、単に「主切断面」とも呼ぶ)において、本体部45のシート面に沿った単位形状要素50の幅は、本体部45から離間するにつれて小さくなる。
また、本実施の形態においては、単位形状要素50の立体形状は、光学シート40の法線方向と平行で当該単位形状要素50の中心を通る軸線を中心として、当該形状を60°回転(1/6回転)させた場合に、回転前と略合一な立体的な形状となる。すなわち、単位形状要素50は、立体的に六回対称となっている。したがって、本実施の形態における単位形状要素50の外輪郭は、本体部45から最も離間した頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1(図3参照)に沿った断面において、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向ndと平行な軸線を中心として線対称となる。
さらに、本実施の形態における単位形状要素50の外輪郭は、曲面のみによって構成されている。したがって、本体部45のシート面への法線方向ndと平行な断面において、単位形状要素50の外輪郭は曲線のみによって形成されている。
図3に示すように、単位形状要素50は、本体部45に隣接した基端部54と、頂部53を含む先端部56と、を有している。このうち、まず、基端部54における単位形状要素50の外輪郭の詳細について説明する。なお、本明細書において、単位形状要素の外輪郭および本体部の表面の外輪郭について論じる場合、光を等方拡散させ得る微細な凹凸(例えば、後述する単位形状要素の表面に形成された粗面50aの凹凸)や、不規則かつ局所的に変形した形状(例えば、後述する凹部59a)等は、無視することとする。凹凸については、例えば、凹凸によって画定される粗面(凹凸面)の凹凸を平均化した中心面或は粗面(凹凸面)の包絡面を当該部分の外輪郭として取り扱うことができる。また、局所的な変形(例えば、後述する凹部59a)は、変形がなかった場合の形状を、当該部分の外輪郭として取り扱うことができる。
特に図3に示されているように、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55は、当該基端部54における外輪郭55の両端部以外において、当該基端部54における外輪郭55の両端部を結ぶ直線La1よりも内側(言い換えると、当該単位形状要素50の中心の側)に位置しており、当該基端部54における外輪郭55の両端部を結ぶ直線La1の外側に延びていない。さらには、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55は、当該基端部54における外輪郭55の両端部を結ぶ直線La1と、当該基端部54における外輪郭55の本体部45側の端部を通過し本体部45のシート面に平行な直線La2と、当該基端部54における外輪郭55の上端部を通過し本体部45の法線方向ndに平行な直線La3と、によって囲まれる三角形の領域内に位置している。そして、単位形状要素50の外輪郭55は、主切断面において、本体部45の一方の面12aに滑らかに接続している。
さらに詳細には、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1(図3参照)に沿った断面において、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55(外輪郭線)に対する接線Laと、本体部45のシート面と、によってなされる角度θaが、当該接線Laの外輪郭55に対する接点が本体部45の法線方向ndに沿った方向において本体部45に近付くにつれて、小さくなる。なお、ここで言う「角度θaが本体部45に近付くにつれて小さくなる」とは、本体部45に近付くにつれて角度θaが、少なくとも平均的には、広義の減少函数になることを意味するものであり、本体部45に近付くにつれて角度θaが小さくなるように変化し続けることだけでなく、角度θaが一定で変化しない領域を含んでも良い。
言い換えると、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55に対する接線Laの傾きが、当該接線Laの外輪郭55に対する接点が本体部45の法線方向ndに沿った方向において本体部45に近付くにつれて、本体部45の一方の面46に沿うようになる。つまり、接線Laの傾きが、接点が本体部45に近付くにつれて小さくなる。すなわち、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、本体部45の一方の面46をx軸として単位形状要素50の基端部54の外輪郭55を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数は単位形状要素50の基端部54に対応する領域において下に凸となる。
とりわけ図3に示す例においては、基端部54における外輪郭55に対して当該外輪郭55の本体部45側の端部において接する接線Laが、本体部45の一方の面46と略平行となる。このような場合、単位形状要素50の外輪郭55は、本体部45の一方の面46に対して極めて滑らかに接続するようになる。
次に、先端部56における単位形状要素50の外輪郭の詳細について説明する。特に図3に示されているように、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57は、当該先端部56における外輪郭57の本体部45側の端部と単位形状要素50の頂部53とを結ぶ直線Lb1よりも外側(言い換えると、当該単位形状要素50の中心とは反対の側)に位置しており、当該先端部56における外輪郭57の本体部45側の端部と単位形状要素50の頂部53とを結ぶ直線Lb1の内側に延びていない。さらには、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57は、当該先端部56における外輪郭57の本体部45側の端部と単位形状要素50の頂部53とを結ぶ直線Lb1と、当該単位形状要素50の頂部53を通過し本体部45のシート面に平行な直線Lb2と、当該先端部56における外輪郭57の本体部45側の端部を通過する本体部45の法線Lb3と、によって囲まれる三角形の領域内を通過している。
さらに詳細には、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57(外輪郭線)に対する接線Lbと、本体部45のシート面と、によってなされる角度θbが、当該接線Lbの外輪郭57に対する接点が本体部45の法線方向ndに沿った方向において本体部45から離間するにつれて、小さくなる。なお、ここで言う「角度θbが本体部45から離間するにつれて小さくなる」とは、本体部45から離間するにつれて角度θbが、少なくとも平均的には、広義の減少函数になることを意味するものであり、本体部45から離間するにつれて角度θbが小さくなるように変化し続けることだけでなく、角度θbが一定で変化しない領域を含んでも良い。尚、接線Lbと本体部45のシート面とが平行となる場合(接線Lbが図3に於けるLb2のように延びる場合)は、該接線と該シート面とは、通常幾何学で定義される如く、無限遠に於いて角度0で交差すると解する。
言い換えると、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57に対する接線Lbの傾きが、当該接線Lbの外輪郭57に対する接点が本体部45の法線方向ndに沿った方向において本体部45から離間するにつれて、本体部45のシート面に沿うようになる。つまり、接線Lbの傾きは、接点が頂部53に近付くにつれて小さくなる。すなわち、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、本体部45の一方の面46をx軸として単位形状要素50の先端部56の外輪郭57を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数は単位形状要素50の先端部56に対応する領域において上に凸となる。
とりわけ図3に示す例においては、先端部56における外輪郭57に対して頂部53において接する接線Laが、本体部45の一方の面46と略平行(交差角°θb≒0)となる。このような場合、単位形状要素50の先端部56の外輪郭57は、頂部53を挟んで滑らかに変化するようになる。
さらに、図3に示すように、本実施の形態において、単位形状要素50は、先端部56と基端部54とから構成され、先端部56と基端部54とが隣接して配置されている。つまり、先端部56における単位形状要素50の外輪郭57と基端部54における単位形状要素50の外輪郭55とは直接接続されている。そして、先端部56における単位形状要素50の外輪郭57に対する接線Lbおよび基端部54における単位形状要素50の外輪郭55に対する接線Laは、当該接線La,Lb同士が近付くにつれて、接線La,Lb間に形成される角度が小さくなっていく。この結果、先端部56における単位形状要素50の外輪郭57と、基端部54における単位形状要素50の外輪郭57と、が連続的に滑らかに接続されるようになる。
さらに詳細には、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向nd1に沿った断面において、先端部56における単位形状要素50の外輪郭57に対する接線Lbおよび基端部54における単位形状要素50の外輪郭55に対する接線Laは、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57と単位形状要素50の基端部54における外輪郭55とが接続する位置にて接する(一致する、重なる)ようになっている。すなわち、頂部53を通過する本体部45のシート面の法線方向ndに沿った断面において、本体部45の一方の面46をx軸として単位形状要素50の外輪郭55,57を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数は、基端部54と先端部56との接続点において数学的に連続し、且つ、基端部54と先端部56との接続点において変曲点を有するようになる。結果として、先端部56における単位形状要素50の外輪郭57と、基端部54における単位形状要素50の外輪郭55と、が極めて滑らかに接続されるようになる。且つ、該変曲点が基端部54と先端部56との境界を定義する。
図2〜図4に図示された形態に於いては、隣接する単位形状要素50同士の間に本体部45の一方の面46が露出して平坦面(平坦な領域)を構成し、該平坦面46と基端部54とによりフライアイレンズ構造の谷部42が構成されるようになっている。但し、単位形状要素50同士は間に間隙を置かずに隣接し、隣接する単位形状要素50同士の間には本体部45の一方の面46が露出した平坦面が存在しないようにしてもよい。すなわち、隣接する曲面状の基端部54同士が直接接続して基端部54のみによって、フライアイレンズの谷部42が構成されるようにしてもよい。そして、本発明に於いては、これらの何れの形態に於いても、少なくとも「素抜け」の原因となる該フライアイレンズ構造の谷部42に、粗面が形成されている。
なお、以上の文脈からも当然に理解され得るように、ここで用いた「平坦な領域(平坦な面)」は、上述した「平滑な面」とは区別されるものである。「平坦な領域(平坦な面)」は、単位形状要素50による凹凸形状との比較で用いており、単位形状要素50の凹凸よりも小さな寸法の凹凸が形成された面のことを云う。平坦か否かについて検討する場合には、光を等方拡散させ得る微細な凹凸(粗面)等を無視し、例えば凹凸によって画定される粗面(凹凸面)の凹凸を平均化した中心面或は粗面(凹凸面)の包絡面を当該部分の輪郭(面)として特定する。そして、「平坦な領域(平坦な面)」は、シート状の本体部45の一方の面46のうちの、単位形状要素50が形成されることなく単位形状要素50の間に露出した領域(面)を含む概念である。したがって、本体部45の単位形状要素50の間に露出した領域に、光等方散乱作用を及ぼし得る粗面が形成されていたとしても、この領域を平坦な領域(平坦な面)と取り扱う。また、ここでの「平坦」とは、本体部45のシート面と完全に平行であることを要求されず、例えば、単位形状要素50の近傍において、その輪郭が単位形状要素50の形成にともなって僅かに変形して(例えば盛り上がって)曲面状に形成された面に対しても、用いられる。
ところで、図2および図3に示す例においては、本体部45の一方の面46のうちの単位形状要素50が設けられていない領域だけでなく、単位形状要素50の表面にも粗面(凹凸)50aが形成されている(ただし、図2および図3以外の図においては省略)。図2および図3から理解され得るように、本体部45の面46上の粗面45aの方が、単位形状要素50の表面上の粗面50aよりも粗くなっている。また、単位形状要素50の表面上の粗面50aは、頂部53の近傍よりも本体部45に近い側において粗くなっている。すなわち、単位形状要素50の表面上のうちの粗面50aが形成されている領域においては、粗面50aの粗さは頂部53から離間するにつれて粗さは粗くなっていく。また、頂部53および頂部53の近傍には粗面(凹凸)50aが形成されていない。
また、本実施の形態においては、図3に示すように、単位形状要素50の表面、とりわけ頂部53付近における単位形状要素50の表面には、凹部59aが形成され、また、単位形状要素50内には、気泡59bが形成されている(ただし、図3以外の図においては省略)。なお、異なる単位形状要素50間において、凹部59aおよび気泡59bの位置は一定となっていない。また、多数の単位形状要素50の中には、凹部59aおよび気泡59bが形成されていない単位形状要素50も含まれている。ところで上述したように、粗面(凹凸)の粗さを検討する際には、
なお、以上のような構成からなる単位形状要素50の一具体例として、以下のように、各寸法を設計することができる。本体部45の一方の面46上における単位形状要素50の配置ピッチP(図2参照)を20μm〜300μmとすることができる。300μmを過ぎるとモアレ(縞)が発生し好ましくない。また、光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った本体部45の一方の面46からの単位形状要素50の突出高さH(図3参照)を8μm〜140μmとすることができる。
次に、以上のような構成からなる光学シート40の製造方法の一例について説明する。
以上のような光学シート40において、本体部45と単位形状要素50との間の界面において、透過光に対して積極的に光学的作用を及ぼす必要はない。したがって、図6に示すような成型装置60を用いた賦型によって、同一の材料から光学シート40を一体的に形成することができる。なお、材料としては、成型性が良好であるとともに入手が容易であり、且つ優れた光透過性を有する樹脂、一例として、硬化物の屈折率が1.57である透明な多官能ウレタンアクリレートオリゴマーとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート系モノマーとの組成物の架橋硬化物が、好適に用いられる。
まず、成型装置60について説明する。図6に示すように、成型装置60は、略円柱状の外輪郭を有した成型用型70を有している。円柱状成型用型70の外周面(側面)に該当する部分に、円筒状の型面(凹凸面)72が形成されている。円柱状からなる成型用型70は、円柱の外周面の中心を通過する中心軸線CA、言い換えると、円柱の横断面の中心を通過する中心軸線CAを有している。そして、成型用型70は、中心軸線CAを回転軸線として回転しながら(図6参照)、成型品としての光学シート40を成型するロール型として構成されている。
図7および図8に示すように、型面72には、光学シート40の単位形状要素50を賦型するための凹部74が形成されている。また、型面72の凹部74が形成されていない全領域に、粗面76が形成されている。さらに、凹部74の内面にも粗面78が形成されている。
凹部74は、図8に示すように、加工対象物の一部分に対して熱エネルギーを集中して加え、当該一部分を溶解および気化させて取り除く熱的除去加工によって形成され得る。熱的除去加工によれば、加工対象物としての円筒状または円柱状からなる基材71に対し、エネルギーを高密度で局所的に加えて当該基材71の一部分を溶融除去し、基材71の表面に凹部74を形成することができる。また、図8に示すように、熱的除去加工において、溶融物は気化して飛散するようになる。そして、溶融物の少なくとも一部分が、形成される凹部74の周囲における基材71の表面に付着する。この結果、基材71に付着した堆積物によって円筒状または円柱状からなる基材71の外周面71a上に粗面が形成されていく。このように、熱的エネルギー除去加工によれば、凹部74の形成と並行して、凹部74の周囲に粗面76を形成することができる。したがって、成型用型70の作製コストを安価に抑えることが可能となる。
なお、凹部74の形成中、すなわち、エネルギーの照射中、気化した溶融物の少なくとも一部を、形成されていく凹部74の表面にも付着させ、凹部74の表面にも粗面78を形成することができる。また、熱的除去加工によれば、凹部74の表面に形成された粗面78が、凹部74の最深部から最浅部に近付くにつれて粗くなっていくようにすることができる。
図7に示すように、上述した単位形状要素50の平面配列に対応して、凹部74が基材71の外周面71a上に形成されていく。具体的には、図7に示すように、凹部74は、基材71の外周面71a上の一方向da1に沿って一定のピッチで配列されるとともに、基材71の外周面71a上の他方向da2であって一方向da1に対して60°傾斜した他方向da2に沿っても同一の一定のピッチで配列されるように、基材71の外周面71aに形成されていく。
なお、基材71上に凹部74を一つだけ形成した場合、凹部74は、球または回転楕円体の一部分に対応する輪郭を有するようになる。したがって、凹部74の平面形状(成型用型60の中心軸線CAに直交する方向から観察した場合の凹部74の形状)は、略円形状となる。しかしながら、図7に示すように、隣り合う凹部74が近接して配置されるようにして基材71上に凹部74を形成すると、隣り合う二つの凹部74の対向する部分が直線状に変形する。このような変形は、一つの凹部74のうちの、隣り合う他の凹部74に最も近接するようになる領域において、最も顕著となる。したがって、作製された凹部74の基材71の外周面71a上での輪郭は、円弧状形状から大きく変形している。そして、このような変形により、上述した単位形状要素50の六回対称な立体形状に対応した六回対称な輪郭を有する凹部74が形成されるようになる。
また、熱エネルギー加工によれば、上述した単位形状要素50の断面外輪郭に対応した断面輪郭を有した凹部74を形成することができる。すなわち、凹部74は、中心軸線CAに沿った断面において、曲線のみからなる輪郭を有するようになる。この際、凹部74の曲線状の輪郭を全体的に滑らかな曲線とすることができ、さらに、凹部74の輪郭と基材71の外周面71aとの接続を滑らかで連続的な接続とすることも可能である。また、中心軸線CAに沿った断面において、凹部74の輪郭が、最深部と最浅部との間に一つの変曲点含むようにすることができる。
熱的エネルギー除去加工として、電子ビームを基材71に照射する方法、放電を基材71に照射する方法、あるいは、プラズマアークを基材71に照射する方法等が挙げられる。ただし、空気中で加工できることや、X線の発生に対する防護が不要であること等の利点を有することから、レーザ光を収束させて基材71に照射することにより基材71にエネルギーを加える方法を、熱的エネルギー除去加工として採用することが有効である。レーザ光を用いた熱的エネルギー除去加工によれば、外周面71aがセラミックからなる基材71に対して、凹部74および粗面76,78を容易かつ安価に安定して形成することができる。
図6に示すように、成型装置60は、帯状に延びるシート材(成型用基材シート)48を供給する成型用基材供給装置62と、供給されるシート材48と成型用型70の型面72との間に流動性を有した材料49を供給する材料供給装置64と、シート材48と成型用型70の凹凸面72との間の材料49を硬化させる硬化装置66と、をさらに有している。硬化装置66は、硬化対象となる材料49の硬化特性に応じて適宜構成され得る。
次に、このような成型装置60を用いて光学シート40を作製する方法について説明する。まず、成型用基材供給装置62から、例えば透明性を有した樹脂からなるシート材48が供給される。供給されたシート材48は、図6に示すように、成型用型70へと送り込まれ、成型用型70と一対のローラ68とによって、型70の凹凸面72と対向するようにして保持されるようになる。
また、図6に示すように、シート材48の供給にともない、シート材48と成型用型70の型面72との間に、材料供給装置64から流動性を有する材料49が供給される。このとき、型面72上の全領域が材料49によって覆われるように、材料49が供給される。ここで、「流動性を有する」とは、成型用型70の型面72へ供給された材料49が、型面72の凹部74および粗面76,78内に入り込み得る程度の流動性を有することを意味する。なお、供給される材料49としては、成型に用いられ得る種々の既知な材料を用いることができる。以下に示す例においては、材料供給装置64から電離放射線硬化型樹脂が供給される例について説明する。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線(UV)を照射されることにより硬化するUV硬化型樹脂や、電子線(EB)を照射されることによって硬化するEB硬化型樹脂を選択することができる。
その後、成型用シート材48は、型70の型面72との間を電離放射線硬化型樹脂によって満たされた状態で、硬化装置66に対向する位置を通過する。このとき、硬化装置66からは、電離放射線硬化型樹脂19の硬化特性に応じた電離放射線が放射されており、電離放射線はシート材48を透過して電離放射線硬化型樹脂49に照射される。この結果、型面72上の電離放射線硬化型樹脂が硬化して、硬化した電離放射線硬化型樹脂から、単位形状要素50と、粗面45aを有した本体部45の一方の面46側の表層部と、がシート材48上に形成されるようになる。
なお、型70の型面72と材料49との間に空気を混入させておくことにより、図3に示すように、単位形状要素50の表面に凹部59aを形成すること、また、単位形状要素50内に気泡59bを形成することが可能となる(ただし、図3以外の図においては省略)。なお、このようにして形成される凹部59aや気泡59bは、単位形状要素50の頂部53近傍に形成されやすくなる。
その後、図6に示すように、シート材48が型70から離間し、これにともなって、型面72の凹部74内に成型された単位形状要素50がシート材48とともに型70から引き離される。この結果、上述した光学シート40が得られる。
なお、上述したように、型面72はその全領域上に材料49が延び渡り、シート材48は型70の表面に接触していない。この結果、作製された光学シート40の本体部45は、シート材49とシート状に硬化した材料48とから構成されるようになる。そして、硬化した材料48によって粗面45aが形成されている。このような方法によれば、成型された単位形状要素50が、離型時に、型70内に部分的に残留してしまうことを効果的に防止することも可能となる。
以上のようにして、ロール型として構成された成型用型70がその中心軸線CAを中心として一回転している間に、流動性を有した材料49を型70内に供給する工程と、型70内に供給された材料49を型70内で硬化させる工程と、硬化した材料49を型70から抜く工程と、が型70の型面72上において順次実施されていき、光学シート40が得られる。
次に、以上のような光学シート40、面光源装置20および透過型表示装置10の作用について説明する。
まず、透過型表示装置10および面光源装置20の全体的な作用について説明する。
光源25で発光された光は、直接または反射板28で反射した後に観察者側に進む。観察者側に進んだ光は、光拡散シート38で等方拡散された後に、集光シート30に入射する。
図9に示すように、集光シート30の単位プリズム31から出射する光L91は、単位プリズム31の出光側面(プリズム面)において屈折する。この屈折により、正面方向ndから傾斜した方向に進む光L91の進行方向は、集光シート30へ入射する際における光の進行方向と比較して、主として、集光シート30のシート面への法線方向ndに対する角度が小さくなる側へ曲げられる。このような作用により、上述したように、単位プリズム31は、出射光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、単位プリズム31は、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。
このような集光作用は、正面方向ndに対して大きな傾斜角度で進む光に対して効果的に及ぼされ得る。したがって、光源25からの光が大きな入射角度で入射するために正面方向輝度が低くなる傾向がある領域、具体的には、隣り合う二つの光源25の中間点に対面する位置を中心とした集光シート30内の領域において、輝度が低くなり過ぎてしまうことを単位プリズム31の集光作用により防止することができる。一方、正面方向ndから大きく傾斜しない方向へ進む光L92は、図9に示すように、単位プリズム31の出光側面(プリズム面)で全反射し、その進行方向を入光側(光源側)へ転換する。この結果、光源25の直上に位置する光学シート40の領域において、輝度が高くなり過ぎてしまうことを防止することができる。すなわち、集光シート30によれば、光源25の発光部の配列に応じて発生する輝度ムラ(管ムラ)を効果的に低減しながら、正面方向輝度を高めることができる。
集光シート30を出光した光は、光学シート40に入射する。光学シート40では、集光シート30の光学作用によって高められた正面方向輝度を維持しながら、透過光が拡散される。この結果、輝度の面内分布を均一化させ、光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。また、輝度の角度分分布の変化を滑らかにすることもできる。なお、光学シート40の作用については、後に詳述する。
光学シート40を出光した光は、その後、偏光分離フィルム35を透過し、さらに正面方向輝度を高められる。透過型表示部15は、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させる。これにより、透過型表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
次に、光学シート40の作用についてさらに詳述する。
光学シートへ入射した光は、単位形状要素50、または、本体部45の一方の面46のうちの単位形状要素50が形成されていない領域へ向かう。まず、単位形状要素50へ向かった光に対して及ぼされる一般的な光学的作用について説明する。
図3乃至5に示すように、光学シート40の単位形状要素50から出射する光L31,L41,L51−L54は、単位形状要素(単位レンズ)50の出光側面(レンズ面)において屈折する。この屈折により、正面方向ndから傾斜した方向に進む光L31,L41,L51−L53の進行方向(出射方向)は、光学シート40へ入射する際における光の進行方向と比較して、主として、光学シート40のシート面への法線方向ndに対する角度が小さくなる側へ曲げられる。このような作用により、単位形状要素50は、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、単位形状要素50は、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。
このような単位形状要素50の集光作用は、正面方向ndから大きく傾斜して進む光に対して効果的に及ぼされる。このため、輝度が低下しやすくなる傾向にある光源25から離れた領域において、効果的に輝度を向上させることが可能となる。
一方、図4に示すように、正面方向ndに対する進行方向の傾斜角度が小さい光L42は、単位形状要素50の出光側面(レンズ面)において全反射を繰り返し、その進行方向を入光側(光源側)へ転換する。このため、光学シート40よりも光源側に配置された集光シート30や光拡散シート38による拡散の程度にも依るが、光源25から小さな入射角度で多くの光が入射するようになる傾向がある光源25の直上位置において、輝度が高くなり過ぎることを防止することができる。
このような光源25からの離間距離に依存して透過光に対して単位形状要素50から主として及ぼされる光学的作用が相違することから、光源25の発光部の配列に応じて発生する輝度ムラ(管ムラ)を効果的に低減し、光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることができる。
上述したように、単位形状要素50は、フライアイレンズをなし、本体部45の一方の面46上の異なる二方向に配列されている。つまり、単位形状要素50は、本体部45の一方の面46上において、二次元配列されている。したがって、単位形状要素50からなるフライアイレンズは、光学シート40のシート面上の任意の方向に沿った面内において、光の進行方向を変化させることができる。この結果、光源25の配列方向を考慮することなく光学シート40を光源25上に配置したとしても、単位形状要素50による集光機能および光拡散機能が発揮されるようになる。
次に、本体部45の一方の面46のうちの単位形状要素50が形成されていない領域へ向かう光に対して及ぼされる光学的作用について説明する。
上述したように、本体部45の一方の面46のうちの隣り合う二つの単位形状要素50間の隙間に相当する領域には、透過光に対して光学作用を及ぼし得る粗面45aが、さらに詳細には、透過光を散乱させる機能を有する粗面45aが、形成されている。したがって、本体部45の一方の面46上における単位形状要素50の間の領域に向かう光L32,L43,L44,L55は、当該領域に形成された粗面45aによって、等方拡散するようになる。すなわち、本体部45の一方の面46上における単位形状要素50間から、光が、その進行方向を変更されることなく、そのままの進行方向で出光すること、いわゆる「素抜け」を防止することができる。
したがって、粗面45aが形成されていない従来のフライアイレンズシートと比較して、光学シート40の光拡散機能が改善されるようになる。また、一方の面46上の粗面45aで拡散させる光は、粗面45aが形成されていない場合に管ムラを目立たせてしまう光(典型例としては、図4に示された光L44)である。したがって、本実施の形態による光学シート40によれば、従来のフライアイレンズシートと比較して、管ムラの発生を効果的に防止することができる。また、本実施の形態による光学シート40によれば、優れた光拡散機能を有するため、従来のフライアイレンズシートと比較して、視野角を広げることができるとともに、輝度の角度分布をより滑らかに変化させることができる。
以上のように、単位形状要素50の集光作用によって正面方向輝度を維持しながら、単位形状要素50の光拡散作用および粗面45aの光拡散作用によって輝度の面内バラツキを効果的に改善することができる。
また、光学シート40の単位形状要素50は、以下に説明するように、その特徴的な構成に基づいて、さらなる有用な光学的作用を透過光に対して及ぼすことができる。
単位形状要素50の配置間隔は、光源25の配置間隔と比較して、非常に狭くなっている。したがって、光源25の構成(配列)に応じた輝度ムラ(管ムラ)が集光シート30の出光側面に残存している場合、図5に示すように、当該輝度ムラを生じさせている光L51−L54は、一つの単位形状要素50へ、同一の入射角度で入射するようになる。一方、本実施の形態においては、本体部45のシート面への法線方向ndと平行な断面において、単位形状要素50の外輪郭は曲線のみによって形成されている。すなわち、単位形状要素50の出光側面(レンズ面)の正面方向ndに対する傾斜角度は、一定ではなく、位置によって異なる。したがって、図5に示すように、単位形状要素50に入射した平行光L51−L54が当該単位形状要素50から出射する際の出射方向は、当該光L51−L54が単位形状要素50の出光側面(レンズ面)上のどの位置に入射するかによって、異なってくる。これにより、上述したように、透過光の出射方向が正面方向となす角度をある程度の角度範囲内に絞り込むことができるとともに、当該絞り込まれた角度範囲内における輝度の角度分布の変化を滑らかにすることができる。すなわち、曲面状の外輪郭を有した単位形状要素50によって、光学シート40に集光機能を付与するだけでなく、優れた光拡散機能も付与することができる。
なお、本実施の形態においては、単位形状要素50の表面にも粗面50aが形成されている。また、単位形状要素50の表面、とりわけ頂部53付近における表面には、凹部59aが形成され、また、単位形状要素50内には、気泡59bが形成されている。これらの粗面50a、凹部59aおよび気泡59bによっても、単位形状要素50の光拡散機能が増強される。これにより、正面方向輝度をより均一化させ、管ムラの発生をさらに効果的に防止することができる。また、視野角をさらに広角化させることができるとともに、輝度の角度分布をさらに滑らかに変化させることが可能となる。
また、上述したように、単位形状要素50は、基端部54と、頂部53を含む先端部56と、を含んでいる。そして、本体部45のシート面の法線に沿った断面において、先端部56における外輪郭57は上(出光側)に凸となっているのに対し、基端部54における外輪郭55は下(入光側)に凸となっている。すなわち、先端部56の断面形状は、一般的に集光作用に対して理想的であるとされている円形状の一部分や楕円形状の一部分等となるように構成することができ、これにより、先端部56に対して優れた集光機能を付与することができる。
一方、下(入光側)に凸の外輪郭55を有する基端部54の集光機能は、先端部56の集光機能よりも弱くなる。図5には、下(入光側)に凸なっている基端部54の外輪郭55から出射する光L51,L56の出射方向と、上(出光側)に凸なっている外輪郭55aから出射する光L51a,L56aの出射方向と、の比較が示されている。ここで、図5に二点鎖線で示された上(出光側)に凸の外輪郭55aは、先端部56の外輪郭57から延長して連続的に延び出し、先端部56とともに一つの楕円の輪郭上を延びている。
単位形状要素50の下に凸の外輪郭55を有した部分から出射する光L51の出射方向は、上に凸の外輪郭55aを有した部分から出射する光L51aの出射方向と比較して、正面方向となす角度が大きくなる。さらに、下に凸の外輪郭55を有した基端部54に大きな入射角度で入射する光L56に対しては、当該光L56の進行方向の正面方向に対する角度が大きくなるように当該光L56の進行方向を変化させるようになる。すなわち、下に凸の外輪郭55を有した基端部54は、上に凸の外輪郭55を有した先端部56と比較して、集光機能を弱められる一方で、光拡散機能を向上させられている。そして、基端部54における光拡散機能は、正面方向ndに対して大きく傾斜して進む光に対して効果的に及ぼされる。
ところで、下に凸の外輪郭55を有した基端部54は、本体部45に隣接する位置に配置されている。このため、先端部56へ入射する光と比較して、基端部54へ入射する光は、正面方向ndに対して大きく傾斜して進む光を多く含むようになる。したがって、基端部54の外輪郭55での屈折により、基端部54へ入射する光に対して効果的に光拡散作用を及ぼすことができる。また当然に、正面方向ndに対して大きく傾斜して進む光は、単位形状要素50から出射する際に進行方向を正面方向側へ絞られ得るものの、それでも比較的に大きな出射角度で単位形状要素50から出射する傾向を有する。すなわち、基端部54による光拡散作用は、主に、正面方向輝度の向上に寄与しない光に対して及ぼされるようになる。したがって、基端部54による光拡散作用は、正面方向輝度の低下を積極的に引き起こすものではない。
このような基端部54および先端部56を有する単位形状要素50によれば、少なくとも正面方向輝度の大きな低下を防止しながら、好ましくは、正面方向輝度を維持または改善しながら、光の進行方向を広角化させることができる。すなわち、従来のフライアイレンズシートから比較的に大きな出射角度で出射していた光の出射角度をさらに大きくすることができる。
なお、上述したように、上述したように、単位形状要素50の表面に形成された粗面50aは、頂部53の近傍よりも本体部45に近い側、すなわち、より強い光拡散機能を有した基端部54において粗くなっている。このような単位形状要素50の表面に形成された粗面50aの粗さ分布によれば、基端部54での光拡散機能によって広角化させられた角度範囲内において、輝度の角度分布の変化を極めて効果的に滑らかにすることができる。
その一方で、頂部53およびその近傍からは、正面方向を中心とした狭い角度範囲内の方向に向けて比較的多くの光が出射するようになる。そして、頂部53およびその近傍には、光拡散機能を有した粗面50aが形成されていない。したがって、正面方向輝度に寄与し得る光に対して光拡散作用を及ぼして正面方向輝度を低下させてしまうことを、防止することができる。
ところで、出射角度が大きくなるように進行方向を変更させられて単位形状要素50の基端部54から出射する光の一部(例えば、図5の光L56)は、当該単位形状要素の隣に位置する単位形状要素50に入射する。そして、この隣に位置する単位形状要素50によって、出射角度が小さくなるように当該光の進行方向が変化させられ、あるいは、いったん光源側に戻されて再利用され、結果として正面方向輝度(正面方向の輝度)の向上に寄与するようになり得る。
さらに、上述したように、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55と、本体部45の一方の面46と、は滑らか且つ連続的に接続されている。また、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55と、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57と、も滑らか且つ連続的に接続されている。したがって、輝度の角度分布をさらに滑らかに変化させることが可能となる。
以上のような本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46上における隣り合う二つの単位形状要素50間の隙間に、光拡散機能を有した粗面(凹凸面)45aが形成されている。もし仮に、隣り合う単位形状要素50間の領域が平滑面であったとすると、当該領域に入射した光源光は直進するようになる。したがって、光源25の構成に応じて生じる管ムラが目立ってしまう。その一方で、本実施の形態によれば、従来のフライアイレンズシートにおいて管ムラを目立たせていた光が、粗面45aで等方拡散するようになる。すなわち、本体部45の一方の面46上における単位形状要素50が形成されていない領域から、光が、その進行方向を変更されることなく、そのままの進行方向で出光すること、いわゆる「素抜け」を防止することができる。したがって、粗面45aが形成されていない従来のフライアイレンズシートと比較して、光学シート40の少なくとも光拡散機能を改善することができる。また、図5の光L55の軌跡からもわかる樣に、本来正面方向輝度に貢献せずに斜め方向に抜けてしまう光L55が拡散されることにより、何割かは正面方向に向かう成分に変換される。この成分により正面方向輝度を多少補うことができる。この結果、本実施の形態による光学シート40によれば、従来のフライアイレンズシートと比較して、正面方向輝度を効果的に維持しながら、輝度の面内バラツキを改善することができる。併せて、本実施の形態による光学シート40によれば、優れた光拡散機能を有するため、従来のフライアイレンズシートと比較して、視野角を広げることができるとともに、輝度の角度分布をより滑らかに変化させることができる。さらには、光学シート40が優れた集光機能だけでなく優れた光拡散機能も有するので、面光源装置20に組み込まれる光学シート40の枚数を削減することも可能となる。これにより、面光源装置20の製造コストを効果的に削減することができるとともに、面光源装置20の作製を容易化させることができる。
また、本実施の形態によれば、単位形状要素50の構成を適宜設計すること、また、本体部45の一方の面46において単位形状要素50が形成される領域の範囲を適宜調節すること等によって、所望の光学特性を光学シート40に付与することができる。
さらに、本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46のうちの単位形状要素50が形成されていない全領域が、粗面となっている。このような本実施の形態によれば、「素抜け」を効果的に防止することができ、面光源装置20(透過型表示装置10)の光学特性をさらに改良することができる。
さらに、本実施の形態によれば、単位形状要素50は、最密に平面充填した状態から少し各要素同士を離間せしめた配列によって、本体部45の一方の面46上に配列されている。このような本実施の形態によれば、本体部45の一方の面46上に単位形状要素50を密に配列することが可能となる。これにより、単位形状要素50による光学作用を透過光に対して効果的に及ぼすことが可能となる。また、単位形状要素50を密に配置することよって、本体部45の一方の面46上における単位形状要素50が配置されていない領域を必要最小限に縮小化することができ、これにより、「素抜け」をさらに効果的に防止することができる。
さらに、本実施の形態によれば、本体部45のシート面の法線方向ndに沿った断面において、単位形状要素50の基端部54における外輪郭55は、当該基端部54における外輪郭55の両端部を結ぶ直線よりも内側に位置している。このような基端部54によれば、基端部54に入射した光の出射方向と正面方向とがなす角度(基端部54に入射した光の出射角度)が大きくなるように、当該光の進行方向を変化させることが可能となる。この基端部54の光学的作用は、正面方向に対して比較的に大きな角度をなして進む光に対して及ぼされるようになる。そして、単位形状要素50へ入射する光のうちで単位形状要素50の基端部54へ入射する光には、正面方向ndに対して比較的に大きな角度をなして進む光が比較的に多く含まれるようになる。つまり、基端部54へ入射する光の進行方向を効果的に広角化させることができる。したがって、従来のフライアイレンズシートから比較的に大きな出射角度で出射していた光の出射角度をさらに大きくすることができる。その一方で、本体部45のシート面の法線方向ndに沿った断面において、単位形状要素50の先端部56における外輪郭57は、当該先端部56における外輪郭57の本体部側の端部と単位形状要素50の頂部53とを結ぶ直線よりも外側に位置している。このような先端部56によれば、単位形状要素50へ入射する光のうちで単位形状要素50の先端部56へ入射する光には、従来のフライアイレンズシートと同様に、集光作用を及ぼすことができる。且つ前記の如く、本体部45上の粗面45aによって若干ではあるが正面方向輝度が補われる。これらのことから、正面方向輝度を実質的に維持しなから、同時に、視野角を広角化させることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
単位形状要素50の立体形状、断面形状または底面形状を適宜変更することができる。例えば、上述した実施の形態において、単位形状要素50が、断面において、曲線のみからなる外輪郭を有する例を示したが、これに限られない。一例として、単位形状要素50が、断面三角形形状を有するようにしてもよい(立体形状で言うと、単位形状要素50が円錐となっていてもよい)。その他、所望の光学特性(集光機能、光拡散機能、收差、再帰反射性等)に応じて、単位形状要素50の主切断面外輪郭として、双曲線、放物線、サイクロイド、カーヂオイド、正規分布曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線(sn函数、cn函数等)、ベッセル函数曲線、或は、ランキンの卵型の一部に相当する形状を、適宜採用することもできる。また、上述した実施の形態において、単位形状要素50の底面(本体部45に接続する面)が六回対称な形状からなる例(図2参照、即ち光学シート40のシート面の法線ndを回転軸とする60°回転対称となる例)を示したが、これに限られない。例えば、単位形状要素50の底面が、楕円となる形状、或は三角形、四角形、五角形、六角形、八角形の多角形形状として形成されてもよい。さらに、上述した実施の形態において、光学シート40の単位形状要素50がすべて同一の構成を有する例を示したが、これに限られない。高さ、断面形状および底面形状等の少なくとも一つが互いに異なる複数種類の単位形状要素50が、光学シート40に含まれていてもよい。
また、上述した実施の形態において、単位形状要素50の表面に粗面50aが形成されている例を示したが、これに限られない。また、粗面50aの粗さ分布も上述した実施の形態における例に限定されるものではない。さらに、上述した実施の形態において、単位形状要素50の表面に凹部59aが形成され、また、単位形状要素50の内部に気泡59bが形成されている例を示したが、これに限られない。
さらに、上述した実施の形態において、本体部45の一方の面46のうちの出光側に露出した部分と、単位形状要素50の裾部分と、によってフライアイレンズの谷部42が形成され、この谷部領域42の全域に粗面45a,50aが形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、隣り合う単位形状要素50の基端部54が接触するように配置され、単位形状要素50の裾部分のみよってフライアイレンズの谷部42が形成されるようにしてもよい。また、フライアイレンズの谷部42の全領域に粗面が形成されている必要はなく、一例として、上述したように、単位形状要素50の基端部54が平滑面として形成されていてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、フライアイレンズを構成する単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上において、互いから60°傾斜した二つの方向に沿って、一定のピッチで並べて配列されている例を示したが、これに限られない。例えば、単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上において、直交する二方向に沿って、一定ピッチで並べて配列されるように(正方格子状に配列)してもよい。また、単位形状要素50が、本体部45の一方の面46上にランダムに配列されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、熱的除去加工により形成された成型用型70を用いて光学シート40を作製する例を示したが、これに限られない。例えば、熱的除去加工以外の方法により形成された型を用いて光学シート40を作製してもよいし、そもそも賦型以外の方法により光学シート40を作製してもよい。
さらに、図10(a)〜図10(d)に示すように、光拡散機能を有した光拡散材81が、光学シート40内に分散されていてもよい。図10(a)および図10(b)に示す例において、光拡散材81は単位形状要素50内に分散されている。また、図10(c)に示す例において、本体部45は、一方の面46をなす光拡散層82を有しており、この光拡散層82内に光拡散材81が分散されている。さらに、図10(d)に示す例において、本体部45は、一方の面46とは反対側の他方の面47をなす光拡散層83を有しており、この光拡散層83内に光拡散材81が分散されている。このように光拡散機能を有する光拡散材81を光学シート40内に分散させた場合には、正面方向輝度の面内バラツキをさらに抑制し、光源の像をさらに目立たなくさせることができる。これにより、従来のレンズアレイの入光側及び/又は出光側に配置されて用いられてきた別部材としての光拡散シートを、面光源装置および表示装置から省略することにも貢献することができる。なお、このような効果を期待する上で、図10(a)〜図10(c)に示す例において、さらに、本体部45の他方の面が、平滑な面47に代えて、光拡散層83(図10(d)参照)によって形成されるようにしてもよいし、あるいは、エンボス加工等により作成された粗面84として形成されるようにしてもよい。ここで、光学シート40に分散され得る光拡散材81としては、光反射性を有した粒状物、または、母材(光拡散材81が分散されるベースとなる材料)85とは異なる屈折率を有した粒状物を用いることができる。光拡散材81の粒径は、例えば、1〜10μmとすることができる。また、光拡散材81をなす具体的な材料としては、樹脂や無機材料を用いることができる。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。無機材料としては、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子、硼珪酸硝子、フリント硝子等の硝子、石英、螢石、永晶石、アルミナ、炭酸カルシウム、ジルコニア等を用いることができる。また、光拡散材81の添加量は、母材85の質量:光拡散材81の質量が、100:0.1〜100:100程度となるように設定され得る。
さらに、上述した実施の形態において、面光源装置20の光源25の発光部が、線状に延びる例陰極線管からなる例を示したが、これに限られない。光源25として、点状のLED(発光ダイオード)や面状のEL(電場発光体)等からなる発光部を用いることも可能である。また、上述した実施の形態において、光学シート40が直下型の面光源装置20に適用されている例を示したが、これに限られない。上述した光学シート40を、例えばエッジライト型(サイドライト型等とも呼ばれる)の面光源装置に適用することも可能であり、このような場合においても、光学シート40は直下型の面光源装置20に適用された場合と略同様の作用効果を奏することができる。
さらに、上述した実施の形態において、光学シート40が組み込まれた面光源装置20および透過型表示装置10の全体構成の一例を説明したが、これに限られない。例えば、集光シート30、偏光分離フィルム35および光拡散シート38の配置位置を適宜変更してもよいし、集光シート30、偏光分離フィルム35および光拡散シート38の一以上を削除してもよいし、他のシート状部材を追加して面光源装置20および透過型表示装置10に組み込むようにしてもよい。
一例として、上述した実施の形態において、集光シート30が断面二等辺三角形形状の単位プリズム31を有する例を示したが、これに限られない。例えば、単位プリズム31の断面形状が、諸特性付与等の目的で、三角形形状に変調、変形を加えた形状であってもよい。具体例として、光学機能を適宜調整するために単位プリズム31の断面形状が、図11に示すように三角形のいずれか一以上の辺が折れ曲がった(屈曲した)形状、三角形のいずれか一以上の辺が湾曲した形状(所謂扇形)、三角形の頂点近傍を彎曲させて丸みを帯びさせた形状、三角形のいずれか一以上の辺に微小凹凸を付与した形状であってもよい。また、単位プリズム31の断面形状が、三角形形状以外の形状、例えば台形等の四角形、五角形、或は六角形等の種々の多角形形状を有するようにしてもよい。さらに、単位プリズム31が、断面において、円または楕円形状の一部分に相当する形状を有するようにしてもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
上記実施の形態で説明した成型用型の作製方法により、成型用型を作製した。より詳細には、セラミックからなる外周面を有する円柱状の基材に対してレーザ加工を施し、成型用型を作製した。
得られた成型用型を用い、上記実施の形態で説明した光学シートの製造方法により、光学シートを作製した。作製された光学シートは、上記実施の形態で説明した構成を有していた。具体的には、光学シートは、シート状の本体部と、本体部上に配列されフライアイレンズを構成する多数の単位形状要素と、から構成されていた。
多数の単位形状要素は、図2に示すように、いわゆる最密に平面充填した構造から少し各要素同士を離間せしめた構成で、本体部の一方の面(出光側の面)上に配列されていた。最も近接して隣り合う二つの単位形状要素のピッチとなる中心間距離の平均は、85μmとした。さらに、単位形状要素の本体部からの突出高さの平均は、30μmとした。また、本体部の一方の面上のうちの単位形状要素が配列されていない全領域に、粗面が形成されていた。この粗面の粗さは、JISB0601に準拠して測定した算術平均粗さRaは6.2μm(JISB0601)であった。さらに、各単位形状要素の表面にも粗面が形成されており、粗面の粗さは、頂部の側から本体部の側に向けて粗くなっていた。さらに、複数の単位形状要素には、図3に示すように、表面に凹部が形成されるとともに気泡が混入していた。
また、各単位形状要素の形状も、上記実施の形態で説明した構成とした。例えば、各単位形状要素は、本体部のシート面への法線方向に延びる軸線を中心として略六回対称な形状となっていた。単位形状要素は、当該単位形状要素の頂部を通過するとともに本体部の法線方向に沿った断面において、曲線のみからなる外輪郭を有していた。また、単位形状要素の断面外輪郭を近似した曲線は、頂部と本体部との間に一つの変曲点を有し、先端部において上(出光側)に凸であり、基端部において下(入光側)に凸であった。
得られた光学シートを用いて実施例に係る透過型表示装置を作製した。また、実際に市販されている液晶表示装置(液晶テレビ)を用いて比較例に係る透過型表示装置を作成した。得られた透過型表示装置に対して、正面方向輝度および正面方向輝度の面内分布を評価した。
以下、各透過型表示装置、評価方法および評価結果について説明する。
・実験1
〔透過型表示装置の構成〕
(実施例1)
市販されている液晶表示装置と、上述した光学シートと、を用いて実施例1に係る透過型表示装置を作製した。実施例1に係る透過型表示装置は、図12に示すように、光源、光拡散板、集光シート、光学シート、光拡散シート1、光拡散シート2、偏向分離フィルム、および、液晶表示パネルを、この順番で含むようにした。実施例1に係る透過型表示装置に組み込まれた光学シート以外の部材は、市販されている液晶表示装置の透過型表示装置に組み込まれていた部材をそのまま利用した。
光源は、細長状に延びる複数の冷陰極線管とした。光拡散板、光拡散シート1および光拡散シート2は、基部と、基部とは異なる屈折率を有し基部中に分散された光拡散性粒子と、から構成され、光を等方拡散させる機能を有するのとした。集光シートは、3M社から入手可能なBEF(登録商標)とした。偏向分離フィルムは、3M社から入手可能なDBEF(登録商標)とした。
(比較例1)
図12に示すように、光源、光拡散板、集光シート、マイクロレンズシート(フライアイレンズシート)、光拡散シート1、光拡散シート2、偏向分離フィルム、および、液晶表示パネルを、この順番で使用して比較例2に係る透過型表示装置を作製した。比較例1に係る透過型表示装置に組み込まれたマイクロレンズシート以外の部材は、実施例1で使用したものと同一の部材とした。すなわち、比較例1に係る透過型表示装置は、実施例1に係る透過型表示装置の光学シートをマイクロレンズシートに置き換えた点のみにおいて実施例1に係る透過型表示装置と異なり、その他の点は実施例1に係る透過型表示装置と同一にした。
比較例1に係る透過型表示装置で用いたマイクロレンズシートは、シート状の本体部と、本体部上に配列されフライアイレンズを構成する多数の単位形状要素と、から構成されていた。単位形状要素は、本体部の一方の面(出光側の面)上にランダムに配列されていた。各単位形状要素は、表面が平滑な回転楕円体の一部分に相当する形状を有していたが、その大きさはばらついていた。単位形状要素の底面円形状の平均中心間距離は、85μmであった。さらに、単位形状要素の本体部からの平均突出高さは、30μmであった。
なお、比較例1に係る光学シートの本体部上には、単位形状要素のみが配置されていた。本体部の一方の面のうちの単位形状要素が配置されていない領域には、本体部の平滑な出光側面が露出していた。本体部の一方の面上において、単位形状要素が占めている領域は、全領域の88%程度であった。
(比較例2)
市販されている液晶表示装置(液晶テレビ)そのものを、比較例2に係る透過型表示装置として用いた。
図12に示すように、光源、光拡散板、集光シート、二枚のマイクロレンズシート(フライアイレンズシート)、光拡散シート1、光拡散シート2、偏向分離フィルム、および、液晶表示パネルを、この順番で使用して比較例2に係る透過型表示装置を作製した。比較例2に係る透過型表示装置に組み込まれたマイクロレンズシート以外の部材は、実施例1で使用したものと同一の部材であった。すなわち、比較例2に係る透過型表示装置は、実施例1に係る透過型表示装置の光学シートを二枚のマイクロレンズシートに置き換えた点のみにおいて実施例1に係る透過型表示装置と異なり、その他の点は実施例1に係る透過型表示装置と同一であった。
また、比較例2に係る透過型表示装置で用いたマイクロレンズシートは、比較例1に係る透過型表示装置で用いたマイクロレンズシートと同一であった。すなわち、上述した比較例1に係る透過型表示装置は、比較例2に係る透過型表示装置に組み込まれた二枚のマイクロレンズシートのうちの一枚を抜き取ることによって作製した。
〔評価方法および評価結果〕
(正面方向輝度)
実施例1、比較例1および比較例2に係る透過型表示装置で全面白色を表示した状態で、正面方向輝度(cd/m2)の測定を行った。輝度の測定には、トプコン製のBM−7を用いた。輝度測定結果を図12に示す。図12においては、実施例1に係る透過型表示装置についての測定値に対する、各透過型表示装置についての測定値の割合を百分率で表している。
(輝度の面内分布)
実施例1、比較例1および比較例2に係る透過型表示装置で全面白色を表示した状態で、光源の配列方向における正面方向輝度の分布を測定した。輝度の測定には、フランス、ELDIM社製のEZ−contrastを用いた。輝度の面内分布測定結果を図13に示す。図13に示されたグラフの縦軸においては、各位置での輝度の測定値を、ある位置での輝度の測定値に対する割合(百分率)として表している。図13に示されたグラフにおいて、輝度が上昇している位置は、光源としての冷陰極線管の直上に相当する位置であった。
・実験2
〔透過型表示装置の構成〕
(実施例2)
市販されている液晶表示装置と、上述した光学シートと、を用いて実施例2に係る透過型表示装置を作製した。実験2で利用した市販の液晶表示装置は、実験1で利用した市販の液晶表示装置とは異なる製造者によって製造され異なる構成を有する表示装置とした。
実施例2に係る透過型表示装置は、図14に示すように、光源、光拡散板、光拡散シート1、集光シート、光学シート、および、液晶表示パネルを、この順番で含むようにした。実施例2に係る透過型表示装置に組み込まれた光学シート以外の部材は、市販されている液晶表示装置に組み込まれていた部材をそのまま利用した。
光源は、細長状に延びる複数の冷陰極線管であった。光拡散板および光拡散シート1は、基部と、基部とは異なる屈折率を有し基部中に分散された光拡散性粒子と、から構成され、光を等方拡散させる機能を有するのとした。集光シートは、3M社から入手可能なBEF(登録商標)であった。
(比較例3)
図14に示すように、光源、光拡散板、光拡散シート1、集光シート、光拡散シート2、および、液晶表示パネルを、この順番で使用して比較例3に係る透過型表示装置を作製した。比較例3に係る透過型表示装置に組み込まれた光拡散シート2以外の部材は、実施例2で使用したものと同一の部材とした。すなわち、比較例3に係る透過型表示装置は、実施例2に係る透過型表示装置の光学シートを光拡散シート2に置き換えた点のみにおいて実施例2に係る透過型表示装置と異なり、その他の点は実施例2に係る透過型表示装置と同一にした。
比較例3に係る透過型表示装置で用いた光拡散シート2は、基部と、基部とは異なる屈折率を有し基部中に分散された光拡散性粒子と、から構成され、光を等方拡散させる機能を有するのとした。
(比較例4)
市販されている液晶表示装置(液晶テレビ)そのものを、比較例4に係る透過型表示装置として用いた。
図14に示すように、光源、光拡散板、光拡散シート1、集光シート、二枚の光拡散シート2、および、液晶表示パネルを、この順番で使用して比較例4に係る透過型表示装置を作製した。比較例4に係る透過型表示装置に組み込まれた光拡散シート2以外の部材は、実施例2で使用したものと同一の部材であった。すなわち、比較例4に係る透過型表示装置は、実施例2に係る透過型表示装置の光学シートを二枚の光拡散シート2に置き換えた点のみにおいて実施例2に係る透過型表示装置と異なり、その他の点は実施例2に係る透過型表示装置と同一であった。
また、比較例4に係る透過型表示装置で用いた二枚の光拡散シート2は、比較例3に係る透過型表示装置で用いた光拡散シート2と同一であった。すなわち、上述した比較例3に係る透過型表示装置は、比較例4に係る透過型表示装置に組み込まれた二枚の光拡散シート2のうちの一枚を抜き取ることによって作製した。
〔評価方法および評価結果〕
(正面方向輝度)
実施例2、比較例3および比較例4に係る透過型表示装置で全面白色を表示した状態で、正面方向輝度(cd/m2)の測定を行った。輝度の測定には、トプコン製のBM−7を用いた。輝度測定結果を図14に示す。図14においては、実施例2に係る透過型表示装置についての測定値に対する、各透過型表示装置についての測定値の割合を百分率で表している。
(輝度の面内分布)
実施例2、比較例3および比較例4に係る透過型表示装置で全面白色を表示した状態で、光源の配列方向に正面方向輝度の分布を測定した。輝度の測定には、フランス、ELDIM社製のEZ−contrastを用いた。輝度の面内分布測定結果を図15に示す。図15に示されたグラフの縦軸においては、各位置での輝度の測定値を、ある位置での輝度の測定値に対する割合(百分率)として表している。図15に示されたグラフにおいて、輝度が上昇している位置は、光源としての冷陰極線管の直上に相当する位置であった。