JP5269679B2 - 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム - Google Patents

燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム、すなわち燃料電池の燃料水素を製造するための原燃料を前処理するとともに、原燃料及び水蒸気の混合流を前処理するシステムに関し、また、燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器における原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムに関する。
燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)や固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料である水素は、炭化水素系などの原燃料を水蒸気改質法により改質することで製造される。水蒸気改質法では水蒸気改質器が用いられ、原燃料を水蒸気による改質反応により水素リッチな改質ガスへ変えられる。水蒸気改質用の改質触媒としてはNi系、Ru系等の触媒が用いられる。この反応は大きな吸熱を伴うので、反応の進行のためには熱が必要であり、400℃程度以上の温度が必要である。その加熱に必要な熱を供給する手段として外部加熱型と内部加熱型が知られている。
図1(a)は、原料の処理から水蒸気改質器等を経てPEFCあるいはSOFCに至るまでの態様を説明する図で、外部加熱型の場合を示している。図1(a)のとおり、概略、バーナあるいは白金等の燃焼触媒を配置した燃焼部(加熱部)と改質触媒を配置した改質部により構成される。改質部では原燃料を水蒸気と反応させて水素リッチな改質ガスが生成される。このため燃焼部での燃料ガスの空気による燃焼により発生した燃焼熱(ΔH)が改質部に供給される。内部加熱型(オートサーマル方式)では、原燃料と水蒸気の混合ガスに空気または酸素を混合し、燃焼触媒の存在下で原燃料を部分燃焼させ、その熱を利用して水蒸気改質反応により水素を製造する。
原燃料が例えばメタンである場合の改質反応は「CH4+2H2O→CO2+4H2」で示される。生成する改質ガス中には未反応のメタン、未反応の水蒸気、炭酸ガスのほか、一酸化炭素(CO)が副生して8〜15%(容量%、以下%について同じ)程度含まれている。このため改質ガスは、副生COを炭酸ガスに変えて除去するためにCO変成器にかけられる。CO変成器では銅ー亜鉛系や白金触媒等の触媒が用いられるが、その触媒を機能させるには200〜250℃程度の温度が必要である。CO変成器中での反応は「CO+H2O→CO2+H2」で示され、この反応で必要な水蒸気としては水蒸気改質器において未反応の残留水蒸気が利用される。
CO変成器から出る改質ガスは、未反応のメタンと余剰水蒸気を除けば、水素と炭酸ガスとからなっている。このうち水素が目的とする成分であるが、CO変成器を経て得られる改質ガスについても、COは完全には除去されず、微量のCOが含まれている。PEFCに供給する燃料水素中のCO含有量は100ppm(容量ppm、以下ppmについて同じ)程度が限度であり、これを越えると電池性能が著しく劣化するので、CO成分はPEFCへ導入する前にできる限り除去する必要がある。
このため、改質ガスはCO変成器によりCO濃度を1%程度以下まで低下させた後、CO酸化器にかけられる。ここで空気や酸素等の酸化剤ガス(以下、代表して「空気」と言う)が添加され、COの選択的酸化反応(CO+1/2O2=CO2)により、COを100ppm程度以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下というように低減させる。CO酸化器の作動温度は100〜150℃程度である。こうして精製された水素がPEFCの燃料極に供給される。
燃料電池がSOFCである場合にはCOも燃料となるので、CO変成器及びCO除去器は不要であり、水蒸気改質器で生成した水素及びCOを含む改質ガス、あるいは水素、CO及びメタン(メタンはSOFCの燃料極、支持基板に含まれるNi等の金属により水素、COへ改質される)を含む改質ガスがSOFCの燃料極に供給される。
本明細書中、水蒸気改質器からなる水素製造装置を含む水素製造システム、水蒸気改質器、CO変成器、CO酸化器を含む水素製造装置を含む水素製造システムを“改質器系”と称し、改質用に水蒸気改質器に供給する燃料を“原燃料”と称している。また、当該原燃料およびその改質に使用する水及び/又は水蒸気のうちの一方または両方を適宜“原料”と称している。
〈原燃料中の硫黄化合物について〉
原燃料である都市ガスやLPガスには、漏洩保安を目的とする付臭剤としてメルカプタン類、スルフィド類、あるいはチオフェン類などの硫黄化合物が付臭剤として添加されている。また、ガソリンや灯油などには、原油からの精製プロセスで脱硫されなかった微量の硫黄化合物が含まれている。
改質触媒は、それらの硫黄化合物により被毒して性能劣化を来すので、原燃料はそれらの硫黄化合物を除去するために脱硫器〔図1(a)参照〕へ導入される。脱硫済み原燃料には水及び/又は水蒸気が混合され、水蒸気改質器へ導入される。脱硫済み原燃料へは水の状態で混合してもよく水蒸気発生器等で発生した水蒸気の状態で混合してもよい。原燃料及び水蒸気の混合流は、温度約400℃に加熱した後、改質触媒層へ導入される。
〈原燃料中の高級炭化水素について〉
原燃料中に炭素数6以上の高級炭化水素が含まれていると、水蒸気改質器が約400℃以下の低温で、改質反応が起っていないときは、当該高級炭化水素が分解されずに水蒸気改質器内の改質触媒表面に付着、吸着して、改質触媒の性能低下が生じる。このことから、水蒸気改質器が低温で、改質反応が起っていないときは、高級炭化水素は、硫黄化合物の場合と同じく、水蒸気改質器へ導入する前に予め除去しておく必要がある。
ところが、高級炭化水素は、水蒸気改質器が約400℃以上の高温で、改質反応が起っているときは水蒸気改質器内で分解されるため、高級炭化水素に起因する改質触媒の性能低下は起らない。このことから、高級炭化水素は水蒸気改質器が高温で改質反応が起っているときは水蒸気改質器へ導入する前に予め除去する必要はなく、硫黄化合物のみを除去すればよいことになる。
原燃料中の硫黄化合物と高級炭化水素についての以上の事実は、燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムとして配慮すべき重要な事項である。しかし、従来技術においては、水蒸気改質器が低温で改質反応が起っていないときだけではなく、高温で改質反応が起っているときをも含めて、すべての運転様式、運転方式にわたって硫黄化合物も高級炭化水素も吸着、除去しているため、大量の吸着剤が必要となり、装置の大型化や吸着剤のコスト増となっていた。
本出願人は、原燃料中の硫黄化合物と高級炭化水素に係るそれらの問題点を解決する燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムを先に出願している〔特許文献1(出願日:平成20年8月9日)〕。なお、特許文献2には、改質器における改質触媒への原料−水蒸気混合物の流入側に脱硫触媒を有する脱硫部を配置し、脱硫触媒の温度領域を炭素析出反応が進行しない範囲に維持する改質器の運転方法が提案されているが、これは水蒸気改質器が低温で改質反応が起っていないときと、水蒸気改質器が高温で改質反応が起っているときとを操作条件とする特許文献1の発明とは内容的に異にし、直接関連するものではない。
特願2008−206472号 特開2007−126330号公報
〈原燃料改質用の水及び/又は水蒸気中の硫黄化合物について〉
それらの先行技術のほか、原燃料中の硫黄化合物の除去については各種方法、システムが採られている。ところが、硫黄化合物に関して、燃料電池用の水蒸気改質器において、原燃料の水蒸気改質反応に用いる原料水は、濾材やイオン交換樹脂を用いて精製してはいるものの、濾材やイオン交換樹脂などにトラブルが生じた場合には、硫黄分が改質触媒に流入してしまう恐れがある。
本発明は、原燃料中の硫黄化合物、高級炭化水素、また原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄化合物について生じる以上の問題点を解決してなる、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムを提供することを目的とし、また、本発明は、燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器における原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムを提供することを目的とするものである。
本発明(1)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
原燃料を改質器系の水蒸気改質器に供給する導管に硫黄化合物吸着剤充填容器と高級炭化水素吸着剤充填容器を配置するとともに、
改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、且つ、
前記水蒸気改質器の温度の高低に応じて原燃料の流路を硫黄化合物吸着剤充填容器または高級炭化水素吸着剤充填容器へ切替えるようにしてなることを特徴とする。
より詳しくは、本発明(1)は、
燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
(A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
(B)前記一方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、他方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管と前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料を前記高級炭化水素吸着剤充填容器へ通して高級炭化水素を吸着除去し、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
ことを特徴とする。
本発明(2)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
(A)原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
(B)前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、高級炭化水素吸着剤充填容器を経ずに、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなることを特徴とする。
本発明(3)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
(A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置するとともに、前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
(B)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結して、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を、高級炭化水素吸着剤充填容器を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなることを特徴とする。
本発明(4)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
(A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
(B)前記一方の分岐管に順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を配置するとともに、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記一方の分岐管に配置した高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなることを特徴とする。
本発明(5)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
(A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
(B)前記一方の分岐管に順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記一方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなることを特徴とする。
本発明(6)は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。そして、
(A)原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、当該硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
(B)前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
(C)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結して、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、当該硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器に連結し、且つ、
(D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
(E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
(F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなることを特徴とする。
本発明(1)〜(6)の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムは、前記改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時、及び、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時の制御要素として水蒸気改質器改質部の計測温度、またはそれを間接的に計測できる箇所の計測温度を基に行うことができる。
また、本発明(1)〜(6)の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムは、PEFCに燃料水素を供給するための水素製造用原燃料、原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システム、および、SOFCに燃料水素、COを供給するための水素製造用原燃料、原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムとして適用することができる。
本発明(7)は、燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器における原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムである。そして、
前記一体型多重円筒式水蒸気改質器が
(a)円筒状容器内に改質触媒層、CO変成触媒層及びCO除去触媒層を一体化して配置し、改質触媒層、CO変成触媒層を経た改質ガスに空気を混合した後、CO除去触媒層に供給するようにし、
(b)CO変成触媒層とCO除去触媒層との間に、1個の改質ガス流通孔を有する第1の仕切板と1個の改質ガス流通孔を有する第2の仕切板との2枚の仕切板を配置し、
(c)前記第1の仕切板及び前記第2の仕切板は、第1の仕切板とCO変成触媒層との間、第1の仕切板と第2の仕切板との間、第2の仕切板とCO除去触媒層との間に、それぞれ間隔を置いて配置され、
(d)前記第1の仕切板の改質ガス流通孔と前記第2の仕切板の改質ガス流通孔とが周方向に反対側に位置するように配置してなる一体型多重円筒式水蒸気改質器であり、且つ、
(e)前記改質触媒層の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなることを特徴とする。
本発明(7)は、参考発明である。
本発明(7)の燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器における原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムにおいて、その一体型多重円筒式水蒸気改質器の態様として、以下(A)〜(C)の構造を採ることができる。
(A)前記第1の仕切板の改質ガス流通孔と前記第2の仕切板の改質ガス流通孔とが周方向に180±10°の範囲で反対側に位置するように配置する。
(B)前記CO変成触媒層を経た改質ガスに混合する空気供給管を、一体型多重円筒式水蒸気改質器の上方から順次、CO除去触媒層用支持板、前記第2の仕切板、前記第1の仕切板を貫通して配置し、前記空気供給管の空気放出用開口を前記CO変成触媒層と前記第1の仕切板との間に臨ませる。
(C)前記CO変成触媒層を経た改質ガスに混合する空気供給管を、一体型多重円筒式水蒸気改質器の上方から順次、CO除去触媒層用支持板、前記第2の仕切板を貫通して配置し、前記空気供給管の空気放出用開口を前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に臨ませる。
本発明(7)に係る燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器における原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムは、PEFCに燃料水素を供給するための原燃料及び水蒸気の混合流の前処理システムとして適用することができる。
本発明の前処理システムによれば下記(a)〜(g)の効果が得られる。
(a)本発明(1)〜(6)によれば、原燃料中に含まれている炭素数6以上の高級炭化水素を、水蒸気改質器が低温で改質反応が起っていないときに除去することにより、当該高級炭化水素が分解されずに水蒸気改質器内の改質触媒表面に付着、吸着することを無くし、改質触媒の性能低下を防止することができる。
(b)本発明(1)〜(6)によれば、水蒸気改質器が高温で改質反応が起っているときは、硫黄化合物のみを除去することにより、高級炭化水素吸着剤の使用量を抑制することができる。
(c)従来技術においては、低温で改質反応が起っていないときだけではなく、高温で改質反応が起っているときをも含めて、すべての運転様式、運転方式にわたって高級炭化水素をも吸着しているため、大量の吸着剤が必要となり、装置の大型化や吸着剤のコスト増となっていたが、本発明(1)〜(6)によれば、上記(a)〜(b)の効果により、吸着剤の使用量を少なくし、全体的に前処理システムの大容量化を抑えて低コストすることができる。
(d)本発明(1)〜(6)によれば、(a)〜(d)の効果により、メンテナンスフリーな燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムとすることができる。
(e)本発明(1)〜(6)において、制御要素として時間または原燃料の流量を利用することにより、その制御機構をさらにシンプル化することができる。
(f)本発明(1)〜(7)によれば、原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置したことにより、該混合流中の硫黄分を極微量にまで除去するので、硫黄分による改質触媒の被毒を長期間にわたり防止することができる。
(g)本発明(7)によれば、改質触媒層中の改質触媒を長期間にわたり硫黄分による被毒を防止し、その劣化を防止することができる。これにより、メンテナンスフリーな燃料電池の燃料水素製造用一体型多重円筒式水蒸気改質器とすることができる。
原料の処理から水蒸気改質器等を経てPEFCあるいはSOFCに至るまでの態様、及び、ガード触媒部の配置態様を示す図 本発明(1)の態様を説明する図 本発明(2)の態様を説明する図 本発明(3)の態様を説明する図 本発明(4)の態様を説明する図 本発明(5)の態様を説明する図 本発明(6)の態様を説明する図 本発明(7)を適用する一体型多重円筒型水蒸気改質器を説明する図 本発明(7)を適用する一体型多重円筒型水蒸気改質器を説明する図 本発明(7)を適用する一体型多重円筒型水蒸気改質器を説明する図 本発明(7)の態様を説明する図 本発明(7)の態様を説明する図
本発明は、燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムである。以下、本発明の前提となる技術との関連を含めて本発明を順次説明する。
〈各発明に共通する態様〉
本発明の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムは、水蒸気改質器を含む水素製造装置、または、水蒸気改質器、CO変成器及びCO酸化器を含む水素製造装置、すなわち、それら機器を含む改質器系の前段に配置する。
そして、燃料電池の燃料である水素製造用の原燃料から硫黄化合物、高級炭化水素を除去するための前処理システムである。そのうち、水蒸気改質器を含む水素製造装置は燃料電池がSOFCの場合に使用され、水蒸気改質器、CO変成器及びCO酸化器を含む水素製造装置は燃料電池がPEFCの場合に使用される。
改質器系における水蒸気改質器には多重円筒式水蒸気改質器その他、各種形式、構造の水蒸気改質器があり、多重円筒式水蒸気改質器にも各種形式、構造のものがあるが、本発明は、それらいずれの形式、構造の水蒸気改質器に供給する原料の前処理システムとしても適用される。
原燃料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、都市ガス、LPガス、天然ガス、ガソリン、灯油、その他の炭化水素(2種以上の炭化水素の混合物を含む)が使用される。炭化水素にメタノール等のアルコール類やエーテル類を含んでいてもよい。
前述のとおり、都市ガスやLPガスにはメルカプタン類、スルフィド類、あるいはチオフェン類などの硫黄化合物が付臭剤として添加され、ガソリンや灯油などには原油からの精製プロセスで脱硫されなかった微量の硫黄化合物が含まれている。
また、都市ガスやLPガスには、硫黄化合物系付臭剤のほか、付臭剤として炭化水素の1種であるシクロヘキセン(cyclohexene:C610)を添加すること、硫黄化合物とシクロヘキセンを合わせて添加することも知られている(特許文献3)。
加えて、天然ガスは都市ガスなどの原料としても使用されるが、主成分であるメタンのほか、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、炭素数6(C=6)以上の炭化水素が含まれている。例えば見附油田(新潟)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.40%、申川油田(秋田)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.43%、片貝ガス田(新潟)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.10%、勇払沖(北海道)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.04%と言うように含まれている(非特許文献1)。
特開昭54−58701号公報 平成9年7月、社団法人日本ガス協会発行「都市ガス工業概要(製造編)」p.12〜14
前述のとおり、炭素数6以上の高級炭化水素については、水蒸気改質器の改質部が約400℃以下の低温で改質反応が起っていないときには、分解されずに水蒸気改質器内の改質触媒表面に付着し、これに起因して改質触媒の性能低下が生じる。このため、炭素数6以上の高級炭化水素は、水蒸気改質器が低温で改質反応が起っていないときは、硫黄化合物と同じく、水蒸気改質器へ導入する前に予め除去しておく必要がある。
一方、水蒸気改質器が約400℃以上の高温で改質反応が起っているときは、炭素数6以上の高級炭化水素が水蒸気改質器の改質部で分解されるので、改質触媒の性能低下は起らない。このため、水蒸気改質器が高温で改質反応が起っているときは、水蒸気改質器へ導入する前に炭素数6以上の高級炭化水素を除去する必要はなく、硫黄化合物のみを除去すればよいことになる。
そこで、本発明においては、水蒸気改質器の改質部の温度条件として、水蒸気改質器で改質反応が起っているか否かを基準乃至目安として、炭素数6以上の高級炭化水素の除去が必要なときに、その除去を行うことを基本とするものである。このことから、本発明においては、水蒸気改質器の改質部の温度条件として、その温度が約400℃以下であるかそれ以上であるかは水蒸気改質器での改質触媒の性能低下が起らず、有効な改質反応が起っているか否かの基準乃至目安として重要な要件である。
〈硫黄化合物吸着剤充填容器及び硫黄化合物吸着剤について〉
本発明における硫黄化合物吸着剤充填容器は、容器に硫黄化合物吸着剤を充填することで構成される。硫黄化合物吸着剤により、原燃料に含まれるメルカプタン類、サルファイド類、あるいはチオフェン類などの硫黄化合物、あるいは原油由来の硫黄化合物を吸着除去する。硫黄化合物吸着剤としては活性炭、金属化合物、ゼオライト、金属担持のゼオライト(ゼオライトにAg、Cu、Zn、Fe、Co、Niなどの金属を担持したもの)、その他各種あるが、いずれも使用される。
それらの硫黄化合物吸着剤は、常温域はもちろん、それより高い温度でも有効な硫黄化合物吸着剤も含まれる。一例としてAgなどの金属担持のゼオライトの場合、常温域から70℃程度の温度まで有効である。
〈高級炭化水素吸着剤充填容器及び高級炭化水素吸着剤について〉
本発明における高級炭化水素吸着剤充填容器は、容器に高級炭化水素吸着剤を充填することで構成される。高級炭化水素吸着剤としては、炭素数6以上の炭化水素、特に炭素数6〜9の炭化水素、例えばヘキサン(含:その異性体)、シクロヘキセン、ヘプタン(含:その異性体)、オクタン(含:その異性体)、ノナン(含:その異性体)を選択的に吸着する吸着剤であれば特に限定はないが、その好ましい例として金属担持のゼオライトや添着活性炭(=金属または臭素を担持した活性炭)が挙げられる。
そのうち、金属担持のゼオライトとしては、好ましくはゼオライトにAg、Cu、Zn、Fe、Co及びNiから選ばれた1種又は2種以上の遷移金属をイオン交換により担持してなる吸着剤を使用することができる。ゼオライトとしては、好ましくはX型ゼオライト、Y型ゼオライト及びβ型ゼオライトが用いられる。金属担持のゼオライトは粒状、ペレット状等適宜の形状で使用される。
活性炭は、その形状により、粒状活性炭、粉末活性炭、繊維状活性炭などがあり、粒状活性炭には破砕状活性炭、造粒活性炭などがある。本発明における高級炭化水素吸着剤としての“金属担持の活性炭”における担体活性炭としては、それらいずれ何れの形状のものも使用できるが、容器に充填して使用する観点から言えば、それらのうち粒状活性炭であるのが好ましい。
本発明において、高級炭化水素吸着剤として使用する添着活性炭は、それら活性炭に金属、臭素等を担持したものであり、金属としてはAg、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Li、Na、Kが挙げられる。これら金属の1種または2種以上を活性炭に含浸、担持することで製造される。金属は、その微粉または化合物の懸濁液の形(すなわち水あるいは有機溶媒に懸濁した形)で活性炭に含浸することで担持してもよく、水溶性化合物の形で水溶液とし、活性炭に含浸することで担持してもよい。
〈実験例1〉
ここで、硫黄化合物吸着剤充填容器に充填する硫黄化合物吸着剤の硫黄化合物吸着性、高級炭化水素吸着剤充填容器に充填する高級炭化水素吸着剤の高級炭化水素吸着性について、その実測例を示すと表1〜2のとおりである。測定条件は以下のとおりとした。
温度:25℃、原料ガス:脱硫済み都市ガス(都市ガス13Aから硫黄化合物を除去した都市ガス13A)、流量:1L/min、SV:60000hr-1、高級炭化水素(シクロヘキセン)濃度:3〜10ppm、硫黄化合物(メチルメルカプタン)濃度:3〜10ppm、成分分析:ガスクロマトグラフ(硫黄分=FPD、高級炭化水素=FID、検出下限はいずれも0.1ppm)。吸着性能は、高級炭化水素、硫黄分が吸着剤層出口において検出されるまでに吸着剤に吸着された各成分の量(=吸着された成分の質量/吸着剤の質量×100)より算出した。
試験ガスは、上記のとおり、脱硫済み都市ガスすなわち付臭剤として添加された硫黄化合物を除去した都市ガス13Aに、別途、(a)高級炭化水素としてのシクロヘキセンと硫黄化合物としてのメチルメルカプタンを添加したものと、(b)高級炭化水素としてのシクロヘキセンのみを添加したものとを使用したものである。このうち(a)の場合を表1に示し、(b)の場合を表2に示している。なお、表1中、金属酸化物はCuO:21mass%、MnO2:76mass%、残部K2CO3の混合物である。
Figure 0005269679
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表1のとおり、原料ガスに硫黄化合物と高級炭化水素を混入した場合、Ag−Y型ゼオライト(=Ag担持のY型ゼオライト)は、硫黄化合物を0.41mass%−S(=硫黄分としての吸着量、以下同じ)、高級炭化水素を2.15mass%吸着し、添着活性炭は、硫黄化合物を0.96mass%−S、高級炭化水素を0.20mass%吸着し、金属酸化物は、硫黄化合物を1.93mass%−S、高級炭化水素を0.37mass%吸着する。
表2のとおり、原料ガスに高級炭化水素のみを混入した場合、Ag−Y型ゼオライトは高級炭化水素を8.52mass%吸着し、添着活性炭は高級炭化水素を2.60mass%吸着する。なお、都市ガスには、天然ガスを主原料とする場合、それに由来してC6以上の高級炭化水素が極微量含まれるが、これも吸着される。
このようにAg−Y型ゼオライト、添着活性炭、金属酸化物は、硫黄化合物も吸着することから、いずれも本発明における硫黄化合物吸着剤として使用することができる。このうちAg−Y型ゼオライトは、硫黄化合物と高級炭化水素を含む原料ガスから、硫黄化合物よりも、高級炭化水素を多く吸着するので、高級炭化水素吸着剤として特に有用である。また、添着活性炭吸着剤についても、それに準じる高級炭化水素吸着剤として利用することができる。
また、Ag−Y型ゼオライトは、炭素数1〜5の炭化水素の吸着能に比べて、炭素数6以上の炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキセン等の高級炭化水素の吸着能が大きいので、炭素数5以下の炭化水素に比べて、炭素数6以上の高級炭化水素を優先的に除去することができる。
本発明においては、高級炭化水素吸着剤充填容器を、改質器系の起動時、停止時である“改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時”のみで利用するので、高級炭化水素吸着剤容器に充填する高級炭化水素吸着剤は、炭素数5以下の低級炭化水素に比べて、炭素数6以上の高級炭化水素をより多く、選択的に吸着する吸着剤を使用する。低級炭化水素に比べて、高級炭化水素を選択的に吸着する吸着剤であれば、硫黄化合物を吸着しても差し支えない。
〈ガード触媒部及びガード触媒部に配置する硫黄化合物吸着剤について〉
本発明においては、改質器系における水蒸気改質器における改質触媒の前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を完全に乃至極微量にまで脱硫するガード触媒部を配置する。ガード触媒部に配置する硫黄化合物吸着剤としては、温度約350℃から約450℃で原燃料と水蒸気の混合流中の硫黄分を極微量にまで除去する性能を有する硫黄化合物吸着剤を使用する。
図1(b)にガード触媒部の配置態様を示している。原燃料は、まず脱硫剤に通されて硫黄化合物を除去した後、原料水が混合される。原燃料と水の混合流は予熱器Tに通され、ここで350℃程度以上に加熱され、原燃料と水蒸気の混合流となる。原燃料と水蒸気の混合流はガード触媒部に導入される。ガード触媒部において、原燃料と水蒸気の混合流中の硫黄分が完全に乃至極微量にまで除去される。
これを、一体型多重円筒型水蒸気改質器を例に言えば、図8のとおり(後述〈一体型多重円筒型水蒸気改質器についての各部位の温度について〉の箇所)、改質触媒層16中の原燃料及び水蒸気の混合流の入口側端部で450℃、改質触媒層16への原燃料及び水蒸気の入口側で400℃程度となり、その混合流の温度は改質触媒層16への入口側から離れるに従い漸次低くなる。そして、ガード触媒部Gは改質触媒層16への原燃料及び水蒸気の入口側に配置することになるので、ガード触媒部Gには約350℃から450℃前後の温度で脱硫性能を発揮する脱硫剤を配置する。
ここで、ガード触媒部に配置する硫黄化合物吸着剤の硫黄化合物吸着性について、その実測例を示すと実験例2〜4、表3〜4のとおりである。
〈実験例2〉
実験例2では、ガード触媒部の脱硫剤の硫黄吸着量について評価する実験を行った。脱硫剤として、Cu−Zn系脱硫剤〔直径1.4〜1.0mmに整粒:ズードケミー触媒社製、MDC−7(商品名)〕を使用した。当該Cu−Zn系脱硫剤10cm3を円筒状容器内に充填し、円筒状容器は外周から加熱するようにした。
この円筒状容器に、ドライベース(Dry)として脱硫済み都市ガス(13A)にCOSを3ppm添加した試験用原料ガスをその一端から他端に向けで流通させた。また、ウェットベース(Wet)として、その円筒状容器に、脱硫済み都市ガス(13A)にCOSを3ppm添加した試験用原料ガスと水蒸気(steam)との混合ガスをその一端から他端に向けで流通させた。空間速度(GHSV)=9,000h-1、S/C比=2.5、脱硫剤層の温度=250℃、400℃、破過基準=15ppbとした。
表3はその結果である。表3のとおり、ウェットベース(Wet)つまり水蒸気が入ると、温度250℃では吸着硫黄(=S)量が少なくなったが、400℃まで温度を上げることで吸着硫黄量が増加した。
Figure 0005269679
〈実験例3〉
実験例3では、実験例2で使用したのと同じCu−Zn系脱硫剤〔直径1.4〜1.0mmに整粒:ズードケミー触媒社製、MDC−7(商品名)〕を予め、つまり試験前に、水蒸気を含む窒素雰囲気で熱処理したものを使用した点を除き、実験例2と同じ条件で試験した。表4に、事前熱処理条件、その結果を示している。
表4のとおり、400℃で水蒸気を流通させて熱処理したものは、新品(表3の最下段)と殆ど変化無しの吸着硫黄量を示したが、500℃で水蒸気を流通させて熱処理したものは、吸着硫黄量が顕著に低下した。これらの結果から、Cu−Zn系脱硫剤は350℃から450℃前後までの使用が最適と考えられる。
Figure 0005269679
〈実験例4〉
実験例2〜3において、破過基準の15ppbに至るまでの間に極微量の硫黄がCu−Zn系脱硫剤からリークしている可能性が考えられるが、分析の定量下限の制約から、直接硫黄濃度を測定することはできない。Cu−Zn系脱硫剤からリークする硫黄量は極微量(10ppb以下)であるが、分析の定量下限の制約から、直接硫黄濃度を測定することはできない。ここで、脱硫剤の後段に改質触媒を配置して長時間の試験を行い、改質触媒に付着した硫黄量を分析することでリーク硫黄濃度を測定する手法(特許第2683531号公報)が知られている。
特許第2683531号公報
実験例4では、当該手法を利用して、Cu−Zn系脱硫剤による吸着硫黄量を測定した。実験例2と同様にして、円筒状容器中に順次、実験例2で使用したのと同じCu−Zn系脱硫剤(整粒せず)12cm3と改質触媒〔ズードケミー触媒社製、RUA(商品名)〕30cm3を充填し、脱硫済み都市ガス(13A)をその一端(上流側)から他端に向けで流通させた。ガード触媒(Cu−Zn系脱硫剤)層での空間速度(GHSV)=3500h-1、改質触媒(RUA)層での空間速度(GHSV)=1400h-1(RUA)とし、S/C比=2.5とした。
本実験例4のフローは図1(b)に相当するが、本実験では図1(b)中、原燃料と水との混合流の予熱器Tでは、その混合流の温度を350℃まで加熱し、ガード触媒(層)から改質触媒(層)に続く長手方向の温度は、図1(b)に示す温度となるように別途電熱ヒータにより加熱した。図1(b)中、脱硫器として示す箇所にAg担持ゼオライトを充填した。
実験例4において、実験開始から2000時間経過した時点において、Cu−Zn系脱硫剤をリークする硫黄分を測定したところ、1.4〜2.1ppbであった。また、その時点で改質触媒を観察したところ、その性状に変化はなく、硫黄は全く付着していなかった。このことから、ガード触媒部で完全に硫黄分が除去できたものと考えられる。
本発明において、ガード触媒部に使用する脱硫剤としてはCu−Zn系脱硫剤が使用でき、またそれと同様な性能を有する脱硫剤であれば使用することができる。
以下、本発明(1)〜(7)の態様について順次説明する。
〈本発明(1)の態様〉
本発明(1)の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムにおいては、原燃料を改質器系の水蒸気改質器に供給する導管に硫黄化合物吸着剤充填容器と高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、且つ、改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置する。そして、水蒸気改質器の温度の高低に応じて原燃料の流路を硫黄化合物吸着剤充填容器または高級炭化水素吸着剤充填容器へ切替えるようにする。
図2は、本発明(1)の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムを説明する図である。図2(a)はその起動時、停止時を示し、図2(b)はその運転時を示している。以下の記載において、各機器等に添記の符号は各図面中の符号である。図2において、改質器系については、図1に示すように水蒸気改質器、CO変成器及びCO除去器が原燃料及び水蒸気の混合流の流れ方向でみてこの順序に配置される。
原燃料の導管を分岐して一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐し、その分岐部位に切替え弁83を配置する。一方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器81を配置し、他方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器82を配置する。硫黄化合物吸着剤充填容器81からの出口側導管と高級炭化水素吸着剤充填容器82からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器の改質部への原燃料供給管に連結する。
改質部への原燃料供給管には開閉弁86を備える水供給管を連結して原燃料供給管を流れる原燃料に水を混合する。原燃料供給管における水供給管の連結箇所の後部に原燃料と水との混合流の予熱器Tを配置する。さらに、予熱器Tに続く改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部Gを配置する。
ガード触媒部Gには、例えば前記Cu−Zn系脱硫剤のような高性能の脱硫剤を配置する。水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前の温度はおおよそ350〜450℃の範囲であるので、脱硫剤としては、極微量で含まれる硫黄分をその温度範囲で吸着、除去できる脱硫剤を使用する。この点、本発明(2)〜(7)についても同様である。
本前処理システムにおいて、改質器系のうち水蒸気改質器には温度計測器すなわち温度センサ84を配置し、温度センサ84と切替え弁83の間にコントローラ85を配置する。コントローラ85としては、例えば、記憶装置、入出力装置を伴う中央処理装置(CPU)を使用する。CPUには演算装置、制御装置が備えられている。温度センサ84により起動時以降、水蒸気改質器の改質部の温度を計測、検知し、コントローラ85を介して切替え弁83を操作する。なお、コントローラ85は、水素の供給先であるPEFCの起動、停止の信号を基に切替え弁83の切替え、開閉弁86の切替えを行う役割もする。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、予熱器T、ガード触媒部Gを経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
この操作は、前処理システムの起動時に相当しており、この状態を改質器系における水蒸気改質器の改質部の温度、より具体的には改質部の改質触媒の温度が改質反応が起る高温である約400℃になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
ここで高級炭化水素は、水蒸気改質器の改質部の温度が室温から約400℃までの範囲では分解されずに水蒸気改質器の改質部の改質触媒表面に付着するので、その温度範囲で高級炭化水素吸着剤充填容器82に通して吸着除去するものである。ここで、上記約400℃とは、正に400℃である場合のほか、その前後を含む意味であり、具体的には400℃乃至その前後の範囲で設定する。この点、後述本発明(2)〜(6)の態様についても同様である。
本発明(1)〜(6)の「燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システム」においては、おおよそ“前処理システムの起動開始→燃料水素の製造開始→水蒸気改質器、燃料電池の通常運転→燃料電池の停止→前処理システムの停止開始(水蒸気改質器の改質部への水の供給停止=燃料水素の製造停止)→前処理システムの停止終了”と言うように進む。このうち燃料電池の停止と前処理システムの停止開始は同時ないしほぼ同時となる。
この進行で言えは、原燃料を高級炭化水素吸着剤充填容器82に通すのは、前処理システムの起動開始から燃料水素の製造開始までの間、すなわち水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に昇温するまでの間と、燃料水素の製造停止時以降、水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に下がった時点から前処理システムの停止終了までの間となる。
水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に下がった時点から前処理システムの停止終了までの間については後述〈運転停止時以降の態様〉のとおりである。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が一方の分岐管へ流れるように切替え弁83を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器81を経て改質器系の水蒸気改質器に供給し、併せて、開閉弁86を開に切替えて、水を原燃料に混合して混合流とし、予熱器T、ガード触媒部Gを経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
なお、水蒸気改質器は通常運転の開始時以降、さらに温度を上げて例えば680℃とし、この温度で運転が続けられる。この温度も通常運転時の温度であるが、本明細書においては、当該温度(例えば680℃)を便宜上、定常運転をする温度つまり定常運転温度と称している。
通常運転時の操作は前処理システム、燃料電池の通常運転時に相当しており、この状態を停止時に至るまで続ける。そのように、通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81とガード触媒部Gを利用する。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。これにより、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをパージ用のガスによりパージする必要がある。パージ用のガスつまりパージガスとしては窒素などの不活性ガスのほか、原燃料も使用される。この点、本発明(2)〜(6)の態様についても同様である。
原燃料をパージガスに使用する態様としては通常、前処理システムに供給していた原燃料が引き続き利用される。この場合には、水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に下がった時点から常温に低下するまでの間、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、パージ用の原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、予熱器T、ガード触媒部Gを経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
このように、運転停止時以降、原燃料をパージガスに使用するに際して、水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に下がった時点から常温に低下するまでの間、原燃料を必ず高級炭化水素吸着剤充填容器82を経由して通すようにすることは、本発明(2)〜(6)の態様についても同様である。
本発明(1)の態様においては、そのように、高級炭化水素吸着剤充填容器82は前処理システムの起動開始時からの所定期間と、運転停止時以降の限られた期間のみに利用することになるので、その容量を小さくすることができる。この点、本発明(2)〜(6)の態様についても同様である。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、“前処理システムの起動開始→燃料水素の製造開始→水蒸気改質器、燃料電池の通常運転→燃料電池の停止→前処理システムの停止開始(水蒸気改質器の改質部への水の供給停止=燃料水素の製造停止)→前処理システムの停止終了”と言うように進む各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全ないし極微量にまで除去されるので、長期間にわたり改質触媒は硫黄分による被毒が防止される。
改質器系は、前述図1のとおり、燃料電池がPEFCの場合は水蒸気改質器とCO変成器とCO選択酸化器をこの順に連結して構成し、燃料電池がSOFCの場合は改質器系は水蒸気改質器で構成される。図2〜6には燃料電池がPEFCの場合を示しているが、燃料電池がSOFCの場合も同様である。SOFCの場合は、図2〜6中、改質器系は水蒸気改質器により構成することになる。
〈本発明(2)の態様〉
図3は、本発明(2)の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムを説明する図である。図3(a)はその起動時、停止時を示し、図3(b)はその運転時を示している。図3中、改質器系については、図1に示すように水蒸気改質器、CO変成器及びCO除去器が原燃料及び水蒸気の混合流の流れ方向でみてこの順序に配置される。
原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器81を配置する。硫黄化合物吸着剤充填容器81からの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐し、その分岐部位に切替え弁83を配置する。そのうち、一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器82を配置し、且つ、高級炭化水素吸着剤充填容器82からの出口側導管と他方の分岐管を改質器系の水蒸気改質器の改質部への原燃料供給管に連結する。原燃料供給管以降の構成については、予熱器T、ガード触媒部G、コントローラ85関係等を含めて図2と同様である。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
この操作は、前処理システムの起動時に相当しており、この状態を改質器系における水蒸気改質器の改質部の温度、より具体的には改質部の改質触媒の温度が改質反応が起る高温である約400℃になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が他方の分岐管へ流れるように切替え弁83を操作し、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、原燃料供給管に流れるようにし、併せて開閉弁86を開に切替える。これにより原燃料と水の混合流を予熱器Tで加熱し、原燃料と水蒸気の混合流を改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。この状態を停止時に至るまで続ける。そのように通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81のみを利用する。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。このため、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをパージガスによりパージする。パージガスとして前処理システムに供給していた原燃料を利用する場合には、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、前処理システムの起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、その混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
〈本発明(3)の態様〉
図4は、本発明(3)の燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムを説明する図である。図4(a)は起動時、停止時を示し、図4(b)は運転時を示している。
原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐する。その分岐部位に切替え弁83を配置するとともに、前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器82を配置する。高級炭化水素吸着剤充填容器82からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結する。そして、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器81を配置し、且つ、当該硫黄化合物吸着剤充填容器81からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器の改質部への原燃料供給管に連結する。原燃料供給管以降の構成については、予熱器T、ガード触媒部Gの配置、コントローラ85関係等を含めて図2と同様である。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにする。この状態を改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、併せて開閉弁86を開に切替える。
これにより、原燃料と水の混合流を予熱器Tで加熱し、原燃料と水蒸気の混合流を改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。この状態を停止時に至るまで続ける。そのように、通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81のみを利用する。この操作は前処理システムの通常運転時に相当しており、この状態を停止時に至るまで続ける。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。このため、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをパージガスによりパージする。パージガスとして前処理システムに供給していた原燃料を利用する場合には、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81を経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、前処理システムの起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、その混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
〈本発明(4)の態様〉
図5は、本発明(4)の燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムを説明する図である。図5(a)は起動時、停止時を示し、図5(b)は通常運転時を示している。
原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐し、その分岐部位に切替え弁83を配置する。前記一方の分岐管に順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81a、高級炭化水素吸着剤充填容器82を配置し、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器81bを配置する。そして、前記一方の分岐管に配置した高級炭化水素吸着剤充填容器82からの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器81bからの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器の改質部への原燃料供給管に連結する。原燃料供給管以降の構成については、予熱器T、ガード触媒部Gの配置、コントローラ85関係等を含めて図2と同様である。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81a、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにする。この状態を改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、前記切替え弁83を原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように切替え、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器81bを経て改質器系の水蒸気改質器に供給する。併せて開閉弁86を開に切替える。
これにより、原燃料と水の混合流を予熱器Tで加熱し、原燃料と水蒸気の混合流を改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81bのみを利用する。この状態を停止時に至るまで続ける。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。このため、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをパージガスによりパージする。パージガスとして前処理システムに供給していた原燃料を利用する場合には、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81a、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、原燃料を必ず高級炭化水素吸着剤充填容器82を経由して通すようにする。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、前処理システムの起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、その混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
〈本発明(5)の態様〉
図6は、本発明(5)の燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムを説明する図である。図6(a)は起動時、停止時を示し、図6(b)は運転時を示している。
原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁83を配置する。前記一方の分岐管に順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81aを配置するとともに、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器81bを配置する。そして、前記一方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器81aからの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器81bからの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結して構成する。原燃料供給管以降の構成については、予熱器T、ガード触媒部Gの配置、コントローラ85関係等を含めて図2と同様である。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81aを経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにする。この状態を改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、前記切替え弁83を原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように切替え、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器81bを経て改質器系の水蒸気改質器に供給する。併せて開閉弁86を開に切替える。
これにより、原燃料と水の混合流を予熱器Tで加熱し、原燃料と水蒸気の混合流を改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81bのみを利用する。この状態を停止時に至るまで続ける。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。このため、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをガスによりパージする必要がある。パージガスとして前処理システムに供給していた原燃料を利用する場合には、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81aを経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、原燃料を必ず高級炭化水素吸着剤充填容器82を経由して通すようにする。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、前処理システムの起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、その混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
〈本発明(6)の態様〉
図7は、本発明(6)の燃料電池の燃料水素製造用原燃料の前処理システムを説明する図である。図7(a)は起動時、停止時を示し、図7(b)は運転時を示している。
原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器81aを配置する。当該硫黄化合物吸着剤充填容器81aからの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁83を配置する。前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器82を配置し、且つ、当該高級炭化水素吸着剤充填容器82からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結する。そして、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器81bを配置するとともに、当該硫黄化合物吸着剤充填容器81bからの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結して構成する。原燃料供給管以降の構成については、予熱器T、ガード触媒部Gの配置、コントローラ85関係等を含めて図2と同様である。
〈起動時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時〉
上記構成において、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81a、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81bを経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにする。この状態を改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になるまで続ける。この間、開閉弁86は閉とする。
〈通常運転時:改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時〉
改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温になった時点、すなわち、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器81a、硫黄化合物吸着剤充填容器81bを経て、改質器系の水蒸気改質器に供給する。併せて開閉弁86を開に切替える。
これにより、原燃料と水の混合流を予熱器Tで加熱し、原燃料と水蒸気の混合流を改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、通常運転時には、高級炭化水素吸着剤充填容器82を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器81aと硫黄化合物吸着剤充填容器81bとを利用する。この状態を停止時に至るまで続ける。
〈運転停止時以降の態様〉
燃料電池の運転停止に伴う燃料水素の製造停止開始時には、開閉弁86を閉にして水の供給も停止する。このため、その時点から水蒸気改質器の改質部で改質反応が起ることはないが、改質器系内に滞留するガスによる改質触媒等への悪影響を回避するために、その滞留ガスをガスによりパージする必要がある。パージガスとして前処理システムに供給していた原燃料を利用する場合には、原燃料を前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁83を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器81a、高級炭化水素吸着剤充填容器82、硫黄化合物吸着剤充填容器81bを経て改質器系の水蒸気改質器の改質部に供給する。このように、原燃料を必ず高級炭化水素吸着剤充填容器82を経由して通すようにする。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、前処理システムの起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流はガード触媒部Gを通ることになる。これにより、その混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
〈原燃料流路切替えの制御要素を時間または原燃料の流量とする態様〉
以上は、原燃料の流路を硫黄化合物吸着剤充填容器または高級炭化水素吸着剤充填容器へ切替える上での制御要素として温度を利用する場合であるが、その制御要素として「時間」または「原燃料の流量」を利用することもできる。
そのうち、時間を制御要素として利用する場合、改質器系において、その起動開始から改質部温度が400℃乃至その前後になるまでの時間は、予備実験等により予め把握できるので、当該時間を制御要素として利用する。また、改質器系において、その停止開始から改質部温度が400℃乃至その前後に下がるまでの時間は、予備実験等により予め把握できるので、当該時間を制御要素として利用する。
また、原燃料の流量を制御要素として利用する場合、改質器系において、その起動開始から水蒸気改質器の改質部の温度が400℃乃至その前後になるまでの原燃料の流量は、予備実験等により予め把握できるので、当該原燃料の流量を制御要素として利用する。また、改質器系において、その停止開始から水蒸気改質器の改質部の温度が約400℃に下がるまでの原燃料の流量は、予備実験等により予め把握できるので、当該原燃料の流量を制御要素として利用する。
〈本発明(7)の態様:多重円筒式水蒸気改質器に適用する態様〉
本発明の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムは、改質触媒層、CO変成触媒層及びCO除去触媒層を一体化した多重円筒式水蒸気改質器に対しても適用することができる。以下、その態様例を図8〜10を用いて説明する。
本発明(7)は、参考発明である。
一体型多重円筒式水蒸気改質器において、CO変成触媒層とCO除去触媒層との間に仕切板を2枚配置し、それぞれに周方向に反対側に改質ガス流通孔を1つだけ設置し、CO変成触媒層出口ガス(CO変成済み改質ガス)と空気との混合ガスを1箇所に集合させる構造とする。この構造は、本出願人の出願:特願2008−028234号(出願日:平成20年2月7日)に係るものである。
特願2008−028234号
図8のとおり、直径を順次大きくした、第1円筒体1、第2円筒体2及び第3円筒体3が中心軸を同一にして間隔を置いて配置され、第3円筒体3の上部には第3円筒体3より直径を大きくした第4円筒体4が配置されている。図8中一点鎖線はその中心軸を示し、矢印は軸方向を示している。第1円筒体1の内側には中心軸を同じくして、第1円筒体1より直径の小さい円筒状の伝熱隔壁すなわち輻射筒5が配置され、輻射筒5内にはバーナ6が配置されている。バーナ6は、中心軸部に配置され、輻射筒5の内側に上蓋兼バーナ取付台7を介して取り付けられている。なお、輻射筒5は必須ではない。
輻射筒5は、その下端と第1円筒体1の底板8の間に間隔を設けて配置してあり、この間隙と、これに連なる輻射筒5と第1円筒体1の間の空隙とがバーナ6からの燃焼排ガスの排気通路9を形成している。底板8は第1円筒体1の直径に対応した直径で円盤状に構成されている。排気通路9は、その上部で排気通路9の上蓋(上蓋兼バーナ取付台7の下面)と隔壁10(後述予熱層14とCO除去触媒層36の上蓋)の間の間隙を経て燃焼排ガス排出管11に連なり、燃焼排ガスはここから排出される。
符号12は原燃料の供給管である。第1円筒体1と第2円筒体2の間の空間内には、その上部に予熱層14、予熱層14に続く下部に改質触媒層16が設けられている。予熱層14の内部に棒材15が螺旋状に配置され、これにより予熱層14の内部に1つの連続した螺旋状のガス通路が形成されている。改質触媒層16の改質触媒は、その下端部で多孔板、網目体等の支持体17で支持されている。
供給管12から供給された原料ガスは、混合部13で水(水蒸気)が混合された後、予熱層14を経て、改質触媒層16に導入され、混合ガス中の炭化水素系原料が下降しながら水蒸気により改質される。改質触媒層16における改質反応は吸熱反応であり、バーナ6で発生する燃焼熱を吸収して改質反応が進行する。すなわち、バーナ6での燃焼ガスが輻射筒5と第1円筒体1の間の排気通路9を流通して通過するときに、燃焼ガスの熱が改質触媒層16に吸収され、改質反応が進行する。
第2円筒体2の下端は第3円筒体3の底板18との間に間隔を置いて配置してあり、第2円筒体2と第3円筒体3の間は、改質ガスの流通路19を構成している。底板18は第3円筒体3の直径に対応した直径で円盤状に構成されている。改質ガスは、第2円筒体2の下端と第3円筒体3の底板18の間で折り返して第2円筒体2と第3円筒体3の間で形成された流通路19を流通する。第3円筒体3の上部には第3円筒体3より直径を大きくした第4円筒体4が配置され、第2円筒体2と第4円筒体4の間にCO変成触媒層22が設けられている。
第3円筒体3の上端部と第4円筒体4の下端部には板体20(第3円筒体3の直径に相当する部分は第3円筒体3で占められるので、ドーナツ状の板体)が配置され、板体20の上に、間隔を置いてガス流通用の複数の孔を有する支持板21(第2円筒体2の直径に相当する部分は第2円筒体2で占められるので、ドーナツ状の支持板)が配置されている。CO変成触媒層22は、支持板21とガス流通用の複数の孔を有する仕切板23(第2円筒体2の直径に相当する部分は第2円筒体2で占められるのでドーナツ状の仕切板、CO変成触媒層22の上部)の間に設けられている。支持板21、仕切板23は金属製等の網目体で構成してもよく、この場合には網目体の網目がガス流通孔となる。流通路19を流通した改質ガスは、支持板21の孔を経てCO変成触媒層22に供給される。
CO変成触媒層22は、第2円筒体2と第4円筒体4の間に設けられている。CO変成器から出る改質ガスは、CO除去触媒層36に供給される。CO除去触媒層36へは改質ガス中のCOを選択的に酸化するための空気供給管が配置される。
以上の構造の一体型多重円筒式水蒸気改質器において、空気供給管の空気放出用開口の位置については、〈空気供給管の空気放出開口を第1の仕切板とCO変成触媒層との間に臨ませる態様〉と、〈空気供給管の空気放出開口を第1の仕切板と第2の仕切板との間に臨ませる態様〉との2通りの態様をとることができる。まず、空気放出用開口を第1の仕切板とCO変成触媒層との間に臨ませる態様について説明し、次いで、空気放出用開口を第1の仕切板と第2の仕切板との間に臨ませる態様について説明する。
〈空気供給管の空気放出開口をCO変成触媒層と第1の仕切板との間に臨ませる態様〉
図9は空気供給管の空気放出用開口をCO変成触媒層と第1の仕切板との間に臨ませる態様を説明する図である。図9(a)は縦断面図、図9(b)は図9(a)中の第2の仕切板2を取り出し、平面図として示した図、図9(c)は図9(a)中の第1の仕切板1を取り出し、平面図として示した図である。図9は、前述図8で言えば、図8中“}C”として示す部分、すなわちCO除去触媒層及びこれに関連するその上下の部分を抜き出して示したものに相当し、第2円筒体2より内側の構造についての図示は省略している。この点、後述図10においても同様である。なお、図9(b)〜(c)は図9(a)に比べて幾分縮小して示している。
図9(a)のとおり、(A)CO変成触媒層22の上面との間に間隔を置いて1個の改質ガス流通孔52を有する第1の仕切板51を配置し、(B)第1の仕切板51との間に間隔を置いて1個の改質ガス流通孔55を有する第2の仕切板54を配置し、(C)第2の仕切板54の上部に間隔を置いてCO除去触媒層36を配置する。CO除去触媒層36は第2円筒体2と第4円筒体4より小径の第5円筒体37との間に配置されている。そして、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52と第2の仕切板54の改質ガス流通孔55とが周方向に相対する位置、すなわち周方向に反対側に位置するように配置する。
ここで、上記“周方向に相対する位置”あるいは“周方向に反対側に位置するように配置”とは、周方向に、すなわち軸方向(図8参照)に対して直角の方向に180°反対側の位置のほか、±10°を限度にずれてもよい意味である。これを第1の仕切板51の改質ガス流通孔52を基に言えば、改質ガス流通孔52の位置に対して、第2の仕切板54の改質ガス流通孔55は周方向に170〜190°の範囲の位置となり、第2の仕切板54の改質ガス流通孔55を基に言えば、改質ガス流通孔55の位置に対して、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52は周方向に170〜190°の範囲の位置となる。
前記構成(A)により形成されたCO変成触媒層22の上面との間、より詳しくはその上部の、CO変成済み改質ガス流出用の複数の孔を有する仕切板23(前述のとおり、仕切板23は金属製等の網目体で構成してもよく、この場合には網目体の網目がCO変成済み改質ガスの流出孔となる)と第1の仕切板51との間の隙間に空気を供給する。より具体的には、空気供給管30からの空気放出用開口を第1の仕切板とCO変成触媒層22との間で且つ、第4円筒体4寄りの位置に臨ませる。
なお、空気放出用開口は、図9では、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52と相対する側、すなわち180°反対側の位置に設けた場合を示している。そして、この場合が空気とCO変成済み改質ガスとの混合の観点から最も好ましいが、空気放出用開口は第4円筒体4寄りのうち、第4円筒体4の曲面方向に、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52の位置から離れた適宜の位置に設けることができる。
空気供給管30の空気放出用開口から放出される空気は、CO変成触媒層22から、すなわちその上部の仕切板23から流出するCO変成済み改質ガスと混合しながら、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52を経て(を介して)、第1の仕切板51と第2の仕切板54との間の隙間に流入する。
第2の仕切板54の改質ガス流通孔55は、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52に対して、周方向に反対側に配置されているので、空気とCO変成済み改質ガスは、第1の仕切板51と第2の仕切板54との間の隙間で混合しながら、改質ガス流通孔52側から改質ガス流通孔55へ向けて流れ、改質ガス流通孔55を経て(を介して)、第2の仕切板54とCO除去触媒層36との間の隙間に流入する。
第2の仕切板54とCO除去触媒層36との間の隙間に流入した空気とCO変成済み改質ガスの混合ガスは、支持板34の複数個の孔35からCO除去触媒層36へ流入し、CO除去触媒層36ではCO変成済み改質ガス中のCOを除去する。
改質ガス流通孔52、55は、図9(b)〜(c)に示すように孔としてもよく、孔は仕切板51、54をプレス加工〔=押抜き(punching),以下“プレス加工”について同じ〕することで形成できる。孔の形状は円形でも3角形、4角形などの多角形でよい。図9(c)中A−A線断面を図9(c)′に示している。また、改質ガス流通孔52、55は、図9(a)に示すように当該孔に短管を配置した形でもよい。短管は円筒管でもよく、断面3角形、断面4角形などの管でもよい。
〈空気供給管の空気放出開口を第1の仕切板と第2の仕切板との間に臨ませる態様〉
図10は、空気供給管の空気放出用開口を第1の仕切板と第2の仕切板との間に臨ませる態様を説明する図である。図10(a)は縦断面図、図10(b)は図10(a)中の第2の仕切板2を取り出し、平面図として示した図、図10(c)は図10(a)中の第1の仕切板1を取り出し、平面図として示した図である。なお、図10(b)〜(c)は図10(a)に比べて幾分縮小して示している。
図10(a)のとおり、(A)CO変成触媒層22の上面との間に間隔を置いて1個の改質ガス流通孔52を有する第1の仕切板51を配置し、(B)第1の仕切板51との間に間隔を置いて1個の改質ガス流通孔55を有する第2の仕切板54を配置し、(C)第2の仕切板54の上部に間隔を置いてCO除去触媒層36を配置する。そして、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52と第2の仕切板54の改質ガス流通孔55とが周方向に相対する位置、すなわち反対側に位置するように配置する。
上記構成(A)により形成された、1個の改質ガス流通孔52を有する第1の仕切板51と第1の仕切板51との間に間隔を置いて1個の改質ガス流通孔55を有する第2の仕切板54との間の隙間に空気を供給する。より具体的には、空気供給管30の空気放出用開口を第1の仕切板と第2の仕切板との間で且つ、第4円筒体4寄りの位置に臨ませる。
なお、図10においては、空気放出用開口を第1の仕切板51の改質ガス流通孔52と同じ側に設けた場合を示している。そして、この場合が放出空気とCO変成済み改質ガスとの混合の観点から最も好ましいが、空気放出用開口は第4円筒体4寄りのうち、第1の仕切板51の改質ガス流通孔52の位置に対して、第4円筒体4の曲面方向(第4円筒体4の曲面に沿った方向)に、幾分ずれた位置に設けてもよい。
第1の仕切板51の改質ガス流通孔52に対して、第2の仕切板54の改質ガス流通孔55は、周方向に反対側に配置されているので、空気とCO変成済み改質ガスは、第1の仕切板51と第2の仕切板54との間の隙間で混合しながら、改質ガス流通孔52側から改質ガス流通孔55へ向けて流れ、改質ガス流通孔55を経て(を介して)、第2の仕切板54とCO除去触媒層36との間の隙間に流入する。
改質ガス流通孔52、55は、図10(b)〜(c)に示すように孔としてもよく、孔は仕切板51、54をプレス加工することで形成できる。孔の形状は円形でも3角形、4角形などの多角形でよい。図10(c)中A−A線断面を図10(c)′に示している。改質ガス流通孔52、55は、図10(a)に示すように当該孔に短管を配置した形でもよい。
〈原燃料供給管、空気供給管、水供給管、燃焼排ガス導出管、改質ガス導出管の配置〉
以上の構造に加えて、原燃料供給管、空気供給管、水供給管、燃焼排ガス導出管、改質ガス導出管を円筒状容器の上部より供給、導出する構造としてなることができる。
この構造を、図8を用いて説明する。図8中“}D”として示す部分が、それら原燃料供給管、空気供給管、水供給管、燃焼排ガス導出管、改質ガス導出管及びこれらに関連する部分である。
図8のとおり、脱硫器を経た原燃料供給管12、水供給管26は、上蓋兼バーナ取付台7及び隔壁61を貫通して配置し、その開口を隔壁61と隔壁10(CO除去触媒層36の上蓋)との間に臨ませる。その取り付けは、上蓋兼バーナ取付台7及び隔壁61における原燃料供給管12、水供給管26の配置位置に例えばプレス加工することで貫通穴を形成し、当該貫通穴にそれぞれ原燃料供給管12、水供給管26を嵌挿すなわち貫入することで行うことができる。各貫入箇所における原燃料供給管12、水供給管26の外周と各貫通穴との間は金属ろう材、溶接等によりシールする。
空気供給管30は、上蓋兼バーナ取付台7、隔壁61、隔壁10、第2の仕切板54及び第1の仕切板51を貫通して配置し、その開口を第1の仕切板51の下部(CO変成触媒層22の上部の仕切板23との間)に臨ませる。その取り付けは、上蓋兼バーナ取付台7、隔壁61、隔壁10、第2の仕切板54及び第1の仕切板51における空気供給管30の配置位置を例えばプレス加工することで貫通穴を形成し、当該貫通穴に空気供給管30を嵌挿することで行うことができる。各貫入箇所における空気供給管30の外周と各貫通穴との間は金属ろう材、溶接等によりシールする。
燃焼排ガス排出管11は、上蓋兼バーナ取付台7を貫通して配置し、その開口を上蓋兼バーナ取付台7と隔壁61との間に臨ませる。その取り付けは、上蓋兼バーナ取付台7における燃焼排ガス排出管11の配置位置に例えばプレス加工することで貫通穴を形成し、当該貫通穴に燃焼排ガス排出管11を嵌挿することで行うことができる。貫入箇所における燃焼排ガス排出管11の外周と貫通穴との間は金属ろう材、溶接等によりシールする。
改質ガス導出管40は、上蓋兼バーナ取付台7、隔壁61及び隔壁10を貫通して配置し、その開口を隔壁10の下部(仕切板38との間)に臨ませる。その取り付けは、改質ガス導出管40の位置における、上蓋兼バーナ取付台7、隔壁61及び隔壁10における改質ガス導出管40の配置位置に例えばプレス加工することで貫通穴を形成し、当該貫通穴に改質ガス導出管40を嵌挿することで行うことができる。各貫入箇所における改質ガス導出管40の外周と各貫通穴との間は金属ろう材、溶接等によりシールする。
本発明によれば、原燃料供給管、空気供給管、水供給管、燃焼排ガス導出管、あるいは改質ガス導出管を、一体型円筒式水蒸気改質器を形成する円筒の側面に設置するのではなく、上蓋兼バーナ取付台の上部より抜き出す構造とすることにより、必要な穴を例えばプレス加工などの簡単な手段だけで行うことができる。
この点、従来の一体型円筒式水蒸気改質器のように、それらの配管を円筒体(第4円筒体4等)の外周に配置する場合には円筒体の曲面に穴を設け、これにそれら配管を嵌合する必要があることなどからその作業が困難でコスト高になるが、本発明によれば、平板にプレス加工などの簡単な手段で穴を設け、その穴にそれらの配管を嵌挿、貫入するだけであるので、製造コストを低減することができる。
〈一体型多重円筒型水蒸気改質器についての各部位の温度について〉
図8中、一体型多重円筒型水蒸気改質器についての各部位の温度の実測例を示している。図8のとおり、CO変成触媒層22中、その下部の第2円筒体2寄りで450℃程度、改質触媒層16中、その上端部で450℃、下端部で680℃程度となり、改質触媒層16の上部で400℃程度である。なお、図8に示すような一体型多重円筒型水蒸気改質器は上下逆置きにも設置されるが、この場合には改質触媒層16、CO変成触媒層22等の部材の相互の配置関係は上下逆位置となる。
そのように、改質触媒層16中の原燃料及び水蒸気の混合流の入口側端部で450℃、改質触媒層16への原燃料及び水蒸気の混合流の入口側で400℃程度となるが、その混合流の温度は改質触媒層16への入口側から離れるに従い漸次低くなる。そして、ガード触媒部Gは改質触媒層16への原燃料及び水蒸気の入口側に配置することになるので、ガード触媒部Gには約350℃から450℃前後の温度で脱硫性能を発揮する脱硫剤を配置する。
そのようにガード触媒部Gを配置した態様を図11に示している。また、一体型多重円筒型水蒸気改質器においては、CO変成触媒層22を高温CO変成触媒層Xと低温CO変成触媒層Yの2層とする態様でも構成される。そのようにCO変成触媒層22を2層で構成した態様の一体型多重円筒型水蒸気改質器についてガード触媒部Gを配置した態様を図12に示している。
〈ガード触媒部Gについて〉
以上のように、一体型多重円筒型水蒸気改質器の原料についても、起動開始時から停止終了までの各操作中、原燃料及び水蒸気の混合流が水蒸気改質器へ流れている限り、その混合流は400℃前後でガード触媒部Gを通ることになる。そして、ガード触媒部Gにはその温度で有効な脱硫剤を配置しているので、原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分は改質触媒に流入する前に完全乃至極微量にまで除去されるので、改質触媒は硫黄分による被毒が防止され、長期間にわたり劣化することがない。
81、81a、81b 硫黄化合物吸着剤充填容器
82 高級炭化水素吸着剤充填容器
83 切替え弁
84 温度計測器(温度センサ)
85 コントローラ(例:CPA)
86 開閉弁
1〜4 第1円筒体〜第4円筒体
5 輻射筒
6 バーナ
7 上蓋兼バーナ取付台
8 第1円筒体1の底板
9 燃焼ガスの流路
11 燃焼排ガス排出管
12 原燃料導入管
14 原燃料と水及び/又は水蒸気の混合流の予熱層
15 螺旋状棒材
16 改質触媒層
18 第3円筒体3の底板
19 改質ガス流路
22 CO変成触媒層
X 高温CO変成触媒層
Y 低温CO変成触媒層
26 水及び/又は水蒸気導入管
30 CO除去用空気供給管
36 CO除去触媒層
37 第5円筒体
40 改質ガス導出管
G ガード触媒部

Claims (7)

  1. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
    (B)前記一方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、他方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管と前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料を前記高級炭化水素吸着剤充填容器へ通して高級炭化水素を吸着除去し、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  2. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
    (B)前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、高級炭化水素吸着剤充填容器を経ずに、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  3. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置するとともに、前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
    (B)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結して、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を、高級炭化水素吸着剤充填容器を経ずに、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  4. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
    (B)前記一方の分岐管に順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を配置するとともに、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記一方の分岐管に配置した高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  5. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
    (B)前記一方の分岐管に順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、前記他方の分岐管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記一方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管に配置した硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器への原燃料供給管に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  6. 燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムであって、
    (A)原燃料の導管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、当該硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を一方の分岐管と他方の分岐管の二つに分岐して、その分岐部位に切替え弁を配置し、
    (B)前記一方の分岐管に高級炭化水素吸着剤充填容器を配置し、
    (C)前記高級炭化水素吸着剤充填容器からの出口側導管と前記他方の分岐管を連結して、当該連結管に硫黄化合物吸着剤充填容器を配置するとともに、当該硫黄化合物吸着剤充填容器からの出口側導管を改質器系の水蒸気改質器に連結し、且つ、
    (D)改質器系における水蒸気改質器の改質触媒の配置箇所の直前に原燃料及び水蒸気の混合流中の硫黄分を脱硫するガード触媒部を配置してなり、
    (E)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時には、原燃料が前記一方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を順次、硫黄化合物吸着剤充填容器、高級炭化水素吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て改質器系の水蒸気改質器に供給するようにし、
    (F)改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時には、原燃料が前記他方の分岐管へ流れるように前記切替え弁を操作して、原燃料を硫黄化合物吸着剤充填容器、硫黄化合物吸着剤充填容器を経て、改質器系の水蒸気改質器に供給するようにしてなる
    ことを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システムにおいて、前記改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起らない低温時、及び、改質器系における水蒸気改質器の温度が改質反応が起る高温時の温度の計測、検知を、前記水蒸気改質器改質部に配置した温度センサ(84)により計測、検知することで行い、当該計測、検知温度を基に切替え弁(83)を制御するようにしてなることを特徴とする燃料電池の燃料水素製造用原料の前処理システム。
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