JP5267879B2 - ボックスカルバートの耐震補強構造 - Google Patents
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すなわち、図10(a)に示すようにボックスカルバート1を軟弱地盤2中に施工する場合、ボックスカルバート1の両側の地盤に対して地盤改良を行って地盤変形を拘束し得る地盤改良体4を安定な硬質地盤3まで根入れした状態で形成することにより、地盤改良体4によりボックスカルバート1を両側から補強して耐震性能を向上させることが行われている。
そのようなロッキング変形は図11に示すように地盤改良体4の幅寸法Wを充分に大きくすることで防止できるが、その場合は相当なコスト増が不可避であるし、想定される地盤変形量に比べて過度の補強を行うことになるので合理的ではなく現実的ではない。
さらに、特許文献2に示される補強手法は軟弱地盤よりも低剛性の免震壁により地盤変形を吸収するものであるから、軟弱地盤が充分に低剛性である場合にはそれよりもさらに低剛性の免震壁を形成する必要があり、そのため適用可能な地盤条件が限定されて広く一般に適用できるものではない。
さらに、側部改良体の下端をボックスカルバートの底面の位置に揃えることが好ましい。
図1に示すものは、軟弱地盤2中に設置したボックスカルバート1の耐震補強としてその周囲地盤を地盤改良してボックスカルバートを外側から補強する地盤改良体10を形成するものであるが、その地盤改良体10をボックスカルバート1の両側の側面にそれぞれ接しているがその底部は硬質地盤3には達していない側部改良体11と、ボックスカルバート1の上面に接する上部改良体12とにより構成して、それら側部改良体11と上部改良体12の全体を門型をなすように一体に形成することにより、この地盤改良体10の上部での幅寸法を下部の幅寸法よりも大きくしたものとなっている。
すなわち、地盤改良体10の上部(地表面の位置)での幅寸法W1は両側の側部改良体11の幅寸法Wsと上部改良体12の幅寸法Wuの合計値(W1=2Ws+Wu)となっているが、底部での実質的な幅寸法W2は両側の側部改良体11の幅寸法Wsの合計値(W2=2Ws)となっており、当然に後者に比べて前者が大きくなっている。
特に本実施形態の地盤改良体10は側部改良体11と上部改良体12とが門型に一体化されているので、図10に示した従来一般の地盤改良体4や、特許文献1に示される構造のように単にトンネルの両側に地盤改良部を設ける場合に比べればその全体が自ずと充分に高剛性となっていて、ボックスカルバート1を両側と上方の3方から有効に保護し得るものである。
しかも、軟弱地盤2は地震時には深部よりも表層部ほど大きく変形することから、本実施形態の地盤改良体10はそのような軟弱地盤2の各部の変形量に対応して上部における幅寸法W1を底部の幅寸法W2よりも大きくしており、それにより従来のように地盤改良体10の全体の幅寸法を無駄に大きくせずともロッキングを有効に防止でき、必要最小限の幅寸法で地盤変形に合理的に抵抗し得るものとなっている。
また、特許文献2に示される構造のように低剛性の免震壁を設ける場合のように地盤条件に制約をうけることもなく、様々な条件の地盤に対して広く適用できるものである。
・caseA:改良前(地盤改良体による補強のないもの)
・caseB:従来の地盤改良体によるもの(図10に示す従来例に相当するもの)
・caseC:従来の地盤改良体によるもの(図11に示す従来例に相当するもの)
・caseD:本発明の地盤改良体によるもの(図1に示す実施形態に相当するもの)
・caseE:本発明の地盤改良体によるもの(図3(a)に示す実施形態に相当するもの)
図6および図7に示されるように、地盤改良体による補強のないcaseAでは大きな変形が見られ、従来例のcaseBによることでは改良前のcaseAに対して最大せん断力および最大曲げモーメントのいずれについても逆効果となっている。
同じく従来例のcaseCでは地盤改良体の幅を大きくすることでを最大曲げモーメントについては若干の改善効果が見られるものの、最大せん断力については逆効果であり、有効な補強効果が得られていない。
それに対し、本発明のcaseDおよびcaseEでは最大せん断力と最大曲げモーメントの双方について充分な改善効果が見られ、本発明の有効性が実証されている。
特に、側部改良体の下端をボックスカルバートの底面の位置に揃えているcaseEでは顕著な効果が見られる。これは図6(e)に示されているように地盤改良体とその側方地盤とが一体となってそのまま横方向に変位することにより、ボックスカルバートには地盤変形による外力が殆ど作用しないためであると考えられる。
2 軟弱地盤
3 硬質地盤
10 地盤改良体
11 側部改良体
12 上部改良体
12a 補助上部改良体
Claims (5)
- ボックスカルバートの周囲地盤を地盤改良して形成した地盤改良体によってボックスカルバートを外側から補強して耐震性能を向上させるための構造であって、
前記地盤改良体を、ボックスカルバートの側面に接するとともに底部が硬質地盤の上方に位置するように形成されて硬質地盤に根入れされない側部改良体と、ボックスカルバートの上面に接して前記側部改良体と一体に形成された上部改良体とにより構成し、該地盤改良体全体の上部の幅寸法を底部の幅寸法よりも大きくしてなり、
前記地盤改良体を倒立L型の断面形状をなすように形成してなることを特徴とするボックスカルバートの耐震補強構造。 - ボックスカルバートの周囲地盤を地盤改良して形成した地盤改良体によってボックスカルバートを外側から補強して耐震性能を向上させるための構造であって、
前記地盤改良体を、ボックスカルバートの側面に接するとともに底部が硬質地盤の上方に位置するように形成されて硬質地盤に根入れされない側部改良体と、ボックスカルバートの上面に接して前記側部改良体と一体に形成された上部改良体とにより構成し、該地盤改良体全体の上部の幅寸法を底部の幅寸法よりも大きくしてなり、
前記地盤改良体をT型の断面形状をなすように形成してなることを特徴とするボックスカルバートの耐震補強構造。 - 請求項1または2記載のボックスカルバートの耐震補強構造であって、
前記地盤改良体をその上面が地表面の位置となるように形成してなることを特徴とするボックスカルバートの耐震補強構造。 - 請求項1または2記載のボックスカルバートの耐震補強構造であって、
前記地盤改良体の全体を地表面下に形成してなることを特徴とするボックスカルバートの耐震補強構造。 - 請求項1〜4のいずれか1項記載のボックスカルバートの耐震補強構造であって、
前記側部改良体の下端を前記ボックスカルバートの底面の位置に揃えたことを特徴とするボックスカルバートの耐震補強構造。
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