JP5267033B2 - 着磁パルサリング及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
特に、永久磁石の径方向の芯ずれは磁気パルスの累積ピッチ誤差を悪化させ、アンチロックブレーキシステムの誤作動の原因となる。
また、保持部材の規制部は、磁気センサによる磁気検出範囲よりも径方向内側で永久磁石の移動を規制するので、この規制部が磁気センサの磁気検出精度に悪影響を与えることはほとんどない。また、磁気センサの磁気検出範囲を覆うように規制部が設けられる場合に比べて、永久磁石と磁気センサとのギャップを小さくすることができるので、検出感度を向上させることが可能となる。
このような構成によって、支持部材と保持部材とを直接的に強固に結合することができ、支持部材に接着された永久磁石を保持部材によって確実に保持することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施形態に係る着磁パルサリングが適用されたセンサ付き転がり軸受装置の構成を示す断面図である。このセンサ付き転がり軸受装置1は、自動車など車両の駆動輪を懸架装置に対して回転自在に支持するものである。
内軸2は、前記駆動輪が取り付けられる車軸であるとともに、当該センサ付き転がり軸受装置1の回転輪(回転体)を構成しており、フランジ部2aが形成された内軸本体8と、この内軸本体8の車両内側(図1中紙面右側)他端に嵌合固定された円環状の内輪部材9とを備えている。
また、内軸2には、軸方向に貫通する貫通孔2cが設けられており、この貫通孔2cには、前記駆動輪を駆動するためのドライブシャフトDが挿入されている。ドライブシャフトDと、内軸2とは、貫通孔2cの内周面及びドライブシャフトDの外周面それぞれに形成されたスプライン溝によってスプライン嵌合されるとともに、当該ドライブシャフトDの先端に取り付けられたナットd1を締め付けることで、一体回転可能に固定されている。
上記構成によって、センサ付き転がり軸受装置1は、内軸2を外輪3に対して回転自在に支持しており、内軸2に固定される駆動輪を回転自在に支持する。
芯金10は、SUS430,SECC,SPCC,SPCD,SPCE等の冷延鋼板をプレス加工することによって形成されており、その内周端部には、当該芯金10と着磁パルサリング11との間をシールするシールリング10aが加硫接着等によって固定されている。
支持部材20は、芯金10と同様、SUS430,SECC,SPCC,SPCD,SPCE等の冷延鋼板をプレス加工することによって円環状に形成された部材であり、内軸2の内輪部材9に一体回転可能に固定されている。従って、この支持部材20に接着された環状磁石12についても、内軸2に対して一体回転可能である。なお、支持部材20に対する環状磁石12の接着の態様及び保持部材30による環状磁石12の保持の態様については、後に詳述する。
また、支持部材20の外周面は、シールリング10aが摺接するように構成されており、支持部材20は、シール部材7におけるスリンガとしての機能を兼ね備えている。
磁気センサSは、磁極の変化を検知するセンサであり、当該センサ付き転がり軸受装置1が搭載される車両の制御装置に接続されている。そして、磁気センサSは、内軸2の回転に応じて変化する着磁パルサリング11の磁極の変化を検知し、その検知信号を車両の制御装置に出力する。前記制御装置は、磁気センサSの検知信号に基づいて、内軸2の回転速度を認識し、前記車両のアンチロックブレーキシステム等の制御に反映させる。
図2は、着磁パルサリング11のみを拡大して示した断面図である。図2において、支持部材20は、内輪部材9に固定される円筒部21と、この円筒部21の一端部(右端部)から径方向外方に延びるフランジ部22とを有し、断面L字形状に形成されている。このフランジ部22の一側面(右側面)には環状磁石12の他側面(左側面)が接着剤によって接着されている。すなわち、フランジ部22と環状磁石12との間には接着剤層40が介在し、この接着剤層40は、環状磁石12のほぼ側面全体に亘る範囲で設けられている。また、この接着剤層40は、ゴム等のエラストマーをベースとした弾性接着剤によって形成され、その硬化物は弾性を有している。
保持部材30は、SUS304等のオーステナイト系ステンレスのような非磁性体の金属によって形成されており、軸方向に沿って延びる円筒状の嵌合部31と、この嵌合部31の軸方向一端部(右端部)から径方向外方へ延びるフランジ状の規制部32とを有している。嵌合部31は、内輪部材9の外周面に圧入によって嵌合固定されている。また、嵌合部31は、支持部材20の円筒部21の内周面に圧入によって嵌合固定されている。
また、環状磁石12の一側面の内周側には凹部12aが形成されており、この凹部12aに規制部32が嵌り込んでいる。そして、規制部32の先端面は、環状磁石12の凹部12a内の周面12a1に当接しており、これによって環状磁石12の径方向の移動が規制されている。また、規制部32の一側面と環状磁石12の一側面とは概ね面一となっている。なお、凹部12aの周面12a1と規制部32の先端面との間には隙間が設けられていてもよく、この隙間に接着剤が充填されていてもよい。このような隙間を設けることによって、保持部材30を着磁パルサリング11に組み付けるときに、センサSに対する環状磁石12の対向面が、規制部32との干渉で傷ついてしまうの防止することができ、また、着磁パルサリング11と規制部30との組付誤差や寸法誤差を吸収することができる。
なお、本実施形態のように切り欠き33と凸部12bとの噛み合いや、規制部32の先端面と凹部12aの周面12a1との係合が無くても、保持部材30の規制部32と支持部材20のフランジ部22との間で環状磁石12を強く挟持することによって環状磁石12の周方向、径方向の移動を規制することが可能である。
この切り欠き33は、規制部32から嵌合部31にまで延長して形成されており、環状磁石12の内周部は、嵌合部31によって径方向内側から覆われた部分と、切り欠き33によって径方向内方へ開放された部分12eとが交互に設けられている。
一方、この規制部32に当接される環状磁石12の内周側には、規制部32の傾斜に沿ったテーパー面12cを含む複数の凹部12aが形成され、周方向に隣接する凹部12a間には、切り欠き33に噛み合う凸部12bが形成されている。
また、環状磁石12の内周部は、一部12eが切り欠き33によって径方向内方へ開放しているので、保持部材30と環状磁石12と支持部材20とによって囲まれた空間に水等が浸入したとしても、切り欠き30から排出することができる。
本実施形態では、保持部材30の規制部32が、嵌合部31から径方向外方に垂直に延びておらず、嵌合部31とは反対方向へ向けて円弧状に湾曲しながら延び、全体として嵌合部31よりも径方向外方へ膨出した形状に形成されている。そして、環状磁石12の内周面は、フランジ部22側ほど内径が小さくなるような傾斜面12cに形成され、この傾斜面12cに円弧状の規制部32が当接している。したがって、本実施形態においても第2の実施形態と同様に、規制部32によって環状磁石12の軸方向及び径方向の移動を同時に規制することができる。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、環状磁石12の一側面(右側面)の内周側に形成された凹部12a内に保持部材30の規制部32が挿入されているが、凹部12a内の側面12a2と規制部32との間には隙間が形成されている。本実施形態において、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏するが、隙間の分だけ環状磁石12の若干の移動が許容される。
このように凹部12a内の側面12a2と規制部32との間に隙間が形成されていると、着磁パルサリング11を内輪部材9に組み付けるときに、保持部材30を内輪部材9の外周面に強く押し込んだとしても規制部32によって環状磁石12を強く圧迫することが少なくなり、環状磁石12の割れ等の損傷を防止することができる。
なお、これらの隙間は、環状磁石12と保持部材30との寸法誤差や組付誤差を吸収し、着磁パルサリング11を内輪部材9に組み付けるときの環状磁石12の損傷を防止するに十分な寸法であり、かつ保持部材30によって環状磁石12の移動を規制する作用を妨げない程度に設定される。
このような弾性層42を設けるには、図9(b)に示すように、保持部材30の嵌合部31と規制部32との間の角部に、周方向に間隔をあけて複数箇所(図例では等間隔に3箇所)に弾性接着剤43を塗布しておき、予め環状磁石12を接着しておいた支持部材20の円筒部21に保持部材30の嵌合部31を嵌合させる。これにより、保持部材30に塗布しておいた弾性接着剤43が各隙間に拡がり、かつ乾燥することによって弾性層42を形成する。
なお、弾性層42を構成する弾性接着剤43は、接着剤層40と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
特に、図9(b)に示すように、周方向に間隔をあけて複数箇所に弾性層42を充填すると、外部への弾性層42のはみ出しを効果的に抑制することができる。
本実施形態では、保持部材30の嵌合部31が、支持部材20の円筒部21に内嵌されておらず、当該円筒部21に対して軸方向に並べて配置されている。円筒部21と嵌合部31の内径は同一とされ、ともに内輪部材9の外周面に嵌合している。また、嵌合部31は、環状磁石12の厚さと略同じ軸方向長さに形成されている。
本実施形態では、第9の実施形態と同様に、保持部材30の嵌合部31が支持部材20の円筒部21に内嵌されておらず、円筒部21と嵌合部31とが互いに軸方向に並べて配置されている。また、本実施形態では、円筒部21の右端部が径方向外側に屈曲され、この屈曲によって生じた内輪部材9の外周面と円筒部21との間の空間に円筒部21の径方向内側に嵌合部31の左端部が挿入されている。また、保持部材30の規制部32は、嵌合部31とは反対方向(右方向)へ傾斜しながら径方向外方へ延び、環状磁石12の内周側に形成された凹部12aのテーパー状の傾斜面12cに当接している。また、保持部材30の嵌合部31と環状磁石12の内周面との間、及び嵌合部31と支持部材20の円筒部21との間には隙間が形成され、この隙間に接着剤層40を構成する弾性接着剤40aが充填され、この弾性接着剤40aは、円筒部21と嵌合部31との間から径方向内方へ膨出する膨出部40bを有している。
2 内軸(回転輪)
3 外輪(固定輪)
4 玉(転動体)
11 着磁パルサリング
12 環状磁石(永久磁石)
12b 凸部
20 支持部材
21 円筒部
22 フランジ部
30 保持部材
31 嵌合部
32 規制部
33 切り欠き
S 磁気センサ
Claims (3)
- 環状のフランジ部を有し、かつ回転輪に対して一体回転可能に設けられる支持部材と、
前期フランジ部の一側面に接着され、かつ周方向に所定間隔で配列された多数の磁極を有するとともにその磁極の変化が磁気センサによって検出される環状の永久磁石と、
前記フランジ部に対する所定の接着位置に前記永久磁石を保持するための環状の保持部材と、を備えており、
前記保持部材が、前記回転輪に一体回転可能に嵌合する筒状の嵌合部と、この嵌合部から径方向外方に突出し、前記磁気センサの磁気検出範囲よりも径方向内側において前記永久磁石の軸方向及び径方向の移動を規制する規制部とを有し、
前記保持部材の規制部に周方向に複数の切り欠きが形成され、
前記永久磁石に、前記切り欠きに噛み合う突部が周方向に複数形成され、
前記保持部材と前記永久磁石との間に、接着剤を充填可能な径方向の隙間が形成されていることを特徴とする着磁パルサリング。 - 前記支持部材が、前記フランジ部の径方向内端から軸方向に延びる円筒部を有しており、
前記保持部材の嵌合部が、前記円筒部の内周面に嵌合されている請求項1に記載の着磁パルサリング。 - 固定輪及び回転輪と、
これらの間に転動自在に配置された転動体と、
前記回転輪に一体回転可能に固定された請求項1または2のいずれか1項に記載の着磁パルサリングと、
前記着磁パルサリングの磁極の変化を検出することによって前記回転輪の回転状態を検出する磁気センサと、を備えていることを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。
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