本発明の請求項1記載の発明は、換気せずに室内空気の絶対湿度を低下させる除湿運転と室内空気を加熱する加熱運転を行うことができる除湿加熱手段と、前記除湿加熱手段の除湿運転と加熱運転とを切替える運転切替え手段と、室内の空気を排出する換気運転を行う換気手段と、換気による給気の湿度を検知する給気湿度検知手段と、前記除湿加熱手段と前記運転切替え手段と前記換気手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は前記給気湿度検知手段の検知した湿度が所定の値よりも低い場合に前記換気手段により換気運転を行うとともに前記除湿加熱手段と前記運転切替え手段により加熱運転を行い、室内の温度を検知する室内温度検知手段を備え、前記制御手段は前記給気湿度検知手段の検知した湿度が所定の値よりも高い場合、前記室内温度検知手段の検知した温度が所定の値よりも低い場合には加熱運転を行い、所定の値よりも高い場合には除湿運転を行う衣類乾燥機であり、換気による給気の湿度が比較的低い場合には換気によって室内の湿気を効率よく排出することができ、同時に加熱によって室内の温度を比較的高くすることができるため、加熱と換気を行うことにより除湿を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることが可能であり、換気による給気の湿度が比較的低い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。また、換気による給気の湿度が比較的高い場合には換気によって室内の湿気を効率よく排出することができないため、除湿を行うことにより加熱と換気を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることが可能であり、換気による給気の湿度が比較的高い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。また、低温時には除湿量が低下するため、はじめから除湿を行う場合よりも室温が上昇した後に除湿を始めることで衣類を速く乾燥させることが可能であり、室内の温度が比較的低い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項2記載の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器と室内の空気を吸って再び室内に空気を吹出す送風手段からなる空調手段と、前記空調手段の室内空気の絶対湿度を低下させる除湿運転と室内空気を加熱する加熱運転とを切替える運転切替え手段と、室内の空気を排出する換気運転を行う換気手段と、換気による給気の湿度を検知する給気湿度検知手段と、前記空調手段と前記運転切替え手段と前記換気手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は前記給気湿度検知手段の検知した湿度が所定の値よりも低い場合に前記換気手段により換気運転を行うとともに前記空調手段と前記運転切替え手段により加熱運転を行い、室内の温度を検知する室内温度検知手段を備え、前記制御手段は前記給気湿度検知手段の検知した湿度が所定の値よりも高い場合、前記室内温度検知手段の検知した温度が所定の値よりも低い場合には加熱運転を行い、所定の値よりも高い場合には除湿運転を行う衣類乾燥機であり、換気による給気の湿度が比較的低い場合には換気によって室内の湿気を効率よく排出することができ、同時に加熱によって室内の温度を比較的高くすることができるため、加熱と換気を行うことにより除湿を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることが可能であり、換気による給気の湿度が比較的低い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。また、換気による給気の湿度が比較的高い場合には換気によって室内の湿気を効率よく排出することができないため、除湿を行うことにより加熱と換気を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることが可能であり、換気による給気の湿度が比較的高い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。また、低温時には除湿量が低下するため、はじめから除湿を行う場合よりも室温が上昇した後に除湿を始めることで衣類を速く乾燥させることが可能であり、室内の温度が比較的低い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項3記載の発明は、運転切替え手段は、換気手段による換気風路と送風手段による循環風路のいずれかの風路上に蒸発器が配置されるように風路を切替えるダンパーである衣類乾燥機であり、除湿運転をする場合には蒸発器が循環風路上に配置されるように風路を切替え、加熱運転をする場合には蒸発器が換気風路上に配置されるように風路を切替えることにより、蒸発器を分割することなく除湿と加熱を切替える衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項4記載の発明は、衣類を乾燥させる室とは異なる室から排気する別室換気手段を備え、運転切替え手段は、前記別室換気手段による別室換気風路と送風手段による循環風路のいずれかの風路上に蒸発器が配置されるように風路を切替えるダンパーである衣類乾燥機であり、加熱運転をする場合には蒸発器が別室換気風路上に配置されるように風路を切替えることにより、加熱されていない別室の空気を利用して加熱運転をする場合に必要な冷熱の排出を十分に行うことができるため、十分な加熱量を確保する衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項5記載の発明は、室内の温度を検知する室内温度検知手段を備え、制御手段は前記室内温度検知手段が検知した温度が所定の値よりも高い場合には換気手段により換気運転を行う衣類乾燥機であり、高温時には除湿量が低下するため、除湿のみを行う場合よりも換気をして室温上昇を抑制しながら除湿を行うことにより衣類を速く乾燥させることが可能であり、室内の温度が比較的高い場合に衣類が最も速く乾燥するように除湿と加熱と換気を組み合わせた制御を行う衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項6記載の発明は、制御手段は給気湿度検知手段が検知した湿度が低いほど換気量が大きくなるように換気手段を制御する衣類乾燥機であり、給気の湿度が低いほど換気によって室内の湿気を排出する効果が大きいため、換気量を大きくすることにより室温上昇の抑制と湿気排出の促進の両方の効果から衣類を速く乾燥させることが可能であり、除湿をしながら換気を行う場合に衣類が最も速く乾燥するように換気量を設定する衣類乾燥機を提供することができる。
また本発明の請求項7記載の発明は、制御手段は室内温度検知手段または給気温度検知手段が検知した温度が高いほど換気量が大きくなるように換気手段を制御する衣類乾燥機であり、室内の温度が高いほど室温上昇を抑制する必要性が大きく、また換気による給気温度が高いほど室温上昇を抑制する効果が小さいため、換気量を大きくすることにより室温上昇の抑制の効果を大きくして衣類を速く乾燥させることが可能であり、除湿をしながら換気を行う場合に衣類が最も速く乾燥するように換気量を設定する衣類乾燥機を提供することができる。
(実施の形態1)
実施の形態1の衣類乾燥機について、図1〜図5を参照しながら説明する。
衣類乾燥機は天井裏に設置され、室内には衣類を吊るすための竿が少なくとも1本あるものとする。衣類乾燥機は竿に吊るされた衣類を乾かすためのものである。衣類乾燥機が設置される室としては主に浴室を想定しているが、他にも脱衣室、サウナ室、衣類乾燥専用室、あるいは空き部屋等の居室や廊下としてもよい。いずれの室においても天井に衣類乾燥機が存在し、衣類乾燥機の下方に竿等が存在し、竿等に複数の衣類が吊るされている状況を想定している。
まずは衣類乾燥機の構成について図1を参照しながら説明する。図1は衣類乾燥機を真上から見た状態を示す断面構成図である。
衣類乾燥機は、除湿加熱手段および空調手段としての圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3、蒸発器4からなる冷凍サイクルを備える。凝縮器2を通る空気は冷媒との熱交換の結果加熱され、蒸発器4を通る空気は逆に冷却される。通過する空気が冷却されて露点温度を下回る場合は結露が発生し、空気中に含まれる水分が除去される。除去された水分は水受け5(図示せず)に溜められ、ポンプ6(図示せず)によってドレン水として屋外に排出される。ポンプ6は衣類乾燥機が除湿運転をしている間断続的に動作してドレン水を排出するものとするが、水受け5に水位センサー等を設置して水がある程度溜まったらドレン水を排出するようにしてもよい。なお冷凍サイクルは圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3、蒸発器4の順に冷媒が循環するように構成されているものとするが、冷媒管等の図示は省略する。
また衣類乾燥機は制御手段としてのマイクロコンピューター7(以下、マイコン7と呼ぶ)を備える。マイコン7は各種の情報を入力し、判断を行い、衣類乾燥機の動作を指示する。マイコン7はタイマー機能及び記憶機能を有し、必要に応じて時間を測定したり情報を記憶したりすることができるものとする。マイコン7による判断の詳細なフローは後述する。マイコン7と各種センサー、モーター等とは信号線等で連結されているものとするが、信号線等の図示は省略する。
また衣類乾燥機は除湿加熱手段の一部としての、また送風手段としての送風ファン8(点線にて図示)、送風ファン8を動作させるためのモーター9(図示せず)、室内から空気を吸込む吸込み口10と吸込み口11、室内に空気を吹出す吹出し口12を備える。
送風ファン8はクロスフローファンまたはシロッコファンとし、素材としては耐熱性の樹脂または金属製とする。送風ファン8及びモーター9の選定に当たっては、一例として風量が200〜400[m3/h]程度得られるようにする。
吸込み口10と吸込み口11はそれぞれに開閉を行うダンパー13、14(図示せず)とモーター15、16(図示せず)を備え、必要に応じて吸込み口10、11を開くようにマイコン7がモーター15、16を制御する。
また衣類乾燥機は換気手段としての換気ファン17、換気ファン17を動作させるためのモーター18、室内から空気を吸込む吸込み口19、空気を屋外に排出する排気口20を備える。
換気ファン17は空気を吸込むときに圧力が必要な場合にも風量が確保できるようにシロッコファンとし、素材としては樹脂または金属製とする。モーター18は風量を変えられるようにDCモーターとする。換気ファン17及びモーター18の選定に当たっては、一例として風量が0〜400[m3/h]程度得られるようにする。吸込み口19は開閉を行うダンパー21とモーター22(いずれも図示せず)を備え、必要に応じて吸込み口19を開くようにマイコン7がモーター22を制御する。
また衣類乾燥機は別室換気手段としての吸気口23を備え、前述した換気ファン17、モーター18、排気口20も別室換気手段として働く。吸気口23はダクト24(図示せず)を介して衣類を乾燥させる室とは異なる室(以下、別室と呼ぶ)の換気用吸込み口25(図示せず)と連結されており、別室換気手段全体として別室の空気を吸って屋外に排出することができる。別室は衣類を乾燥させる室の換気経路上の風上にあたる隣室を想定しており、衣類を乾燥させる室を浴室とした場合には脱衣室が最も適している。
また衣類乾燥機は給気温度検知手段としての温度センサー26と給気湿度検知手段としての湿度センサー27を備える。温度センサー26はサーミスタとし、湿度センサー27は測定範囲が0〜100%までと広く、かつ応答性のよい高分子膜湿度センサーとする。
温度センサー26と湿度センサー27は吸気口23の内部に設置され、換気ファン17を作動させ別室の空気を排気している際に別室の温湿度を検知することができる。温度センサー26と湿度センサー27を別室ではなく衣類乾燥機本体内部の別室換気経路上に配置することにより、マイコン7と各センサーを連結する信号線を本体内部に配置するだけでよくなり、構造が簡易となる。別室の温湿度が換気によって室内へ供給される空気の温湿度とほぼ等しいと考えられることから、温度センサー26と湿度センサー27によって簡易な構造で換気による給気の温湿度を推測することができるようになる。
また衣類乾燥機は除湿運転と加熱運転の運転切替え手段としてのダンパー28〜30を備える。ダンパー28〜30はそれぞれモーター31〜33(図示せず)を備え、モーター31〜33はマイコン7の指示を受けてダンパーの開閉を行う。
ここで、除湿運転と加熱運転を行う際のダンパーの動作について図2を参照しながら説明する。図2は衣類乾燥機を真上から見た状態を示す断面構成図である。ダンパーが点線になっている箇所はダンパーが開いた状態であることを示す。吸込み口、換気口が点線になっている箇所は口が閉じた状態であることを示す。
はじめに加熱運転時の換気風路Vと循環風路Cについて図2(a)を参照しながら説明する。図2(a)は加熱運転時の衣類乾燥機を示す断面構成図である。ダンパー28、29は開いた状態にし、ダンパー30は閉じた状態にする。また吸込み口19も閉じた状態にする。図2(a)の矢印V1〜V4は換気風路Vでの空気の動きを示し、矢印C1は循環風路Cでの空気の動きを示している。
加熱運転時の換気風路Vについて説明する。吸気口23から別室の空気が本体内に入る(V1)と同時に吸込み口10から室内の空気が本体内に入り(V2)、両者の空気は混合した状態で蒸発器4を通過しながら冷媒と熱交換を行い、冷却される。その後冷却された空気は換気ファン17によって排気口20から屋外に排出され(V3、V4)、これにより冷熱を排出することができる。室内だけでなく加熱されていない別室からも換気を行いその空気で冷熱を排出することによって、室内の湿気を排出しながら加熱量を十分確保することが可能となる。
もしも室内からの換気ですべての冷熱を排出しようとすると、浴室内の加熱された空気を冷やして屋外に排出することになるので、排出する空気の温度が別室からの換気も利用した場合と比較して高くなるため、加熱量が不十分になってしまう可能性がある。
加熱運転時の循環風路Cについて説明する。室内の空気が吸込み口11から本体内に吸込まれ、凝縮器2を通過するときに加熱され(C1)、最後に送風ファン8によって吹出し口12から室内に送り出される。これにより室内空気を加熱することができる。
以上の換気風路Vと循環風路Cによって衣類乾燥機は室内空気を加熱するとともに換気することができる。室内を換気する必要のない場合には吸込み口10を閉じた状態にすれば良い。加熱運転時には、圧縮機1に投入されたエネルギーに冷凍サイクルの熱効率を掛けた分のエネルギーに、換気による移動を加えた(または差し引いた)エネルギーが室内空気を加熱することになる。
次に除湿運転時の風路について図2(b)を参照しながら説明する。図2(b)は除湿運転時の衣類乾燥機を示す断面構成図である。ダンパー28、29は閉じた状態にし、ダンパー30は開いた状態にする。また吸込み口11も閉じた状態にする。図2(b)の矢印V5、V6は換気風路Vでの空気の動きを示し、矢印C2、C3は循環風路Cでの空気の動きを示している。
除湿運転時の換気風路Vについて説明する。吸込み口19から本体内部に吸込まれた室内の空気(V5)が換気ファン17によって排気口20から屋外に排出される(V6)。このとき換気量は換気ファン17のモーター18によって調節できるようにしておく。
加熱運転時の循環風路Cについて説明する。吸込み口10から本体内に吸込まれた室内の空気が、はじめに蒸発器4を通過して冷却および除湿され(C2)、次に凝縮器2を通過して加熱され(C3)、最後に送風ファン8によって吹出し口12から室内に送り出される。これにより室内空気を除湿することができる。
以上の換気風路Vと循環風路Cによって衣類乾燥機は室内空気を除湿するとともに換気することができる。室内を換気する必要のない場合には吸込み口19を閉じた状態にし、換気ファン17を停止させれば良い。除湿運転時には圧縮機1に投入されたエネルギーと水分が蒸発器4に結露する際の蒸発潜熱が室内空気を加熱することになる。
このようにダンパー28〜30の制御によって風路を変えることにより、蒸発器4を分割することなく加熱運転と除湿運転を切替えることが可能となる。従って冷媒の配管を一通りとすることができ、構造が簡易になるとともに価格を抑えることができる。
また衣類乾燥機は、使用者が衣類乾燥機を操作するための操作板34(図示せず)を備える。操作板34は衣類を乾燥させる室やその隣の室に設置され、電源を入れるボタン34a、運転を開始するボタン34b、運転終了までの時間を指示するボタン34c、残り時間を表示する表示板34d(いずれも図示せず)を備える。衣類乾燥のための運転モードの他にも暖房や換気や送風のための運転モード等を設定し、モードを選択するためのボタンを備えるようにしてもよい。操作板34はマイコン7に接続され、使用者が指示した内容をマイコン7が受け取って衣類乾燥機の制御を行う。
また衣類乾燥機は、金属製または樹脂製の筐体35及び樹脂製の化粧パネル36(図示せず)を備える。筐体35は天井裏に設置される。
ここで、各構成要素の関係を図3に示す。図3は各構成要素間の情報の流れを示すブロック図である。各種の情報はマイコン7に集約され、マイコン7は衣類乾燥機に動作の指示を出すという流れになっている。なおここではダンパー毎に1つずつモーターが備えられているとしたが、同時に動かすダンパー(例えばダンパー28とダンパー29)はまとめて一つのモーターで動かす構成にした方が価格を抑えることができる。
次に、衣類乾燥機の動作の概要について図4を参照しながら説明する。図4は衣類乾燥機の動作を示すフロー図である。なお衣類乾燥機には衣類乾燥のための運転モード以外にも暖房、換気、送風等を行う運転モードを設定してもよいが、衣類乾燥以外の運転モードの動作については説明を省略する。
はじめに使用者が電源を入れて運転時間を指定した後、運転を開始する(S01)。マイコン7はその情報を受け取ると、まず湿度センサー27を用いて換気による給気の湿度φvと温度Tvを検知する(S02)。マイコン7はφvが設定値φ1よりも小さいかどうかを判断し(S03)、φvがφ1よりも小さい場合、加熱運転と換気運転を行って(S04)衣類を乾燥させる。またφvがφ1以上である場合、次にマイコン7はTvが設定値T1よりも小さいかどうかを判断する(S05)。TvがT1よりも小さい場合、はじめに加熱運転を行った(S06)後に除湿運転を行って(S07)衣類を乾燥させる。またTvがT1以上である場合、除湿運転と換気運転を行って(S08)衣類を乾燥させる。最後に時間がきたらマイコン7は衣類乾燥機の運転を停止する(S09)。
以下、各フローの詳細な内容について説明する。
はじめに運転時間の指定と運転開始(S01)について説明する。使用者は運転終了までの時間を指示するボタン34cを操作して運転終了までの時間を指定した後、運転を開始するボタン34bを操作して運転開始を指示する。マイコン7は運転終了までの時間についての情報を受け取って記憶しておき、運転を開始する。
次に給気の湿度φvと温度Tvの検知(S02)について説明する。マイコン7はモーター31〜33に指示を出して、ダンパー28、29を開いた状態にし、ダンパー30を閉じた状態にする。またモーター15、18、22に指示を出して吸込み口10、19を閉じた状態にし、換気ファン17を作動させる。すると別室の空気が給気口23から排気口20に向けて流れる。このときの換気量は一例として100〜200[m3/h]とする。
マイコン7は換気ファン17を作動させて1分程度経過した時点の湿度を湿度センサー27から、また温度を温度センサー26から読み取り、それぞれ給気の湿度φvと温度Tvとして記憶する。別室の温湿度は厳密には給気の温湿度と同じではないが、別室が衣類を乾燥させる室の換気経路上の風上の隣室、あるいはその周辺の室であれば概ね同じ温湿度になると見なすことができる。マイコン7は給気の湿度φvと温度Tvを検知した後、換気ファン17を停止させる。
次に給気の湿度φvが設定値φ1よりも小さいかどうかの判断(S03)について説明する。マイコン7には予め設定値φ1が記憶されているようにする。設定値φ1は一例として30[%RH]とする。この設定値は衣類乾燥機の除湿・加熱能力、浴室の断熱性能、干される衣類の量などによって最適値が異なるため、予め実験や計算によって検討した上で決定しておくのが良い。マイコン7は検知した給気の湿度φvと設定値φ1を比較する。
次に加熱運転と換気運転を行う動作(S04)について説明する。マイコン7は衣類乾燥機を図2(a)で示された状態にし、モーター9、18に指示を出して送風ファン8と換気ファン17を作動させると同時に圧縮機1に指示を出して冷凍サイクルを作動させる。このとき送風ファン8による循環風量は一例として200〜400[m3/h]とし、換気ファン17による換気量は一例として300〜400[m3/h]とする。またマイコン7は冷凍サイクルを作動させた時点からの時間を測定する。
ここで、衣類からの水分蒸発は式1によって表される。衣類を速く乾燥させるには、衣類から蒸発した水分をいかに速く室外に排出するかということが重要になる。これは室内の湿気を室外に排出することでX
rを小さくすることができるためである。室内の湿気を室外に排出するためには、換気か除湿を行う必要がある。
除湿によって室内の湿気を除去する場合、換気をしないため、除湿量は換気による給気の湿度状態とは基本的に関係ない。しかし換気によって室内の湿気を排出する場合、排出する湿気の量は式2によって表され、換気による給気の絶対湿度が低いほど同じ換気量で排出できる湿気の量は多くなる。よって給気の絶対湿度が低いほど除湿するよりも換気で湿気を排出した方が有利ということになる。但し換気をすると湿気とともに熱を排出してしまうので、給気の温度が高温になるほど換気が除湿よりも有利ということになる。ここでは給気の温度の影響を考慮して給気の絶対湿度ではなく相対湿度によって除湿をするか加熱と換気をするかを判断するようにしているが、もちろん絶対湿度を検知して絶対湿度で判断するようにしてもよい。
このように換気による給気の湿度が低い場合に換気と加熱で衣類を乾燥させると、室内の温度を大きな加熱量で速く上昇させるとともに換気によって湿気を速く排出させることができ、結果として除湿を行う場合よりも速く衣類を乾燥させることができる。衣類を速く乾燥することができれば使用者の満足感が向上するとともに、運転時間の短縮によって消費エネルギーを抑制することも可能になる。なお衣類の乾燥を自動で検知して衣類乾燥機の運転を停止させるようにすると、さらに消費エネルギーをさらに抑制することができる。
次に給気の温度Tvが設定値T1よりも小さいかどうかの判断(S05)について説明する。S03において換気による給気の湿度φvが設定値φ1以上であると判断された場合、基本的に除湿運転によって衣類を乾燥させることになる。換気による給気の湿度が比較的高く、換気による湿気排出の効果が期待できない場合、除湿により加熱と換気を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることができる。しかし冷凍サイクルを利用した除湿では低温あるいは高温時に除湿量が低下するという特徴があり、除湿運転を始める前に給気の温度を検知することにより、除湿量の低下に対応する制御を行うことができる。
マイコン7には予め設定値T1が記憶されているようにする。設定値T1は一例として20[℃]とする。この設定値はφ1と同様、衣類乾燥機の除湿・加熱能力、浴室の断熱性能、干される衣類の量などによって最適値が異なるため、予め実験や計算によって検討した上で決定しておくのが良い。マイコン7は検知した給気の温度Tvと設定値T1を比較する。
次に加熱運転(S06)とその後の除湿運転(S07)を行う動作について説明する。給気の温度Tvが比較的低温であった場合、室内もやはり低温であると考えられ、除湿運転をした場合に除湿量が小さい可能性が高い。そこで、除湿運転をする前に加熱運転を行うことで室温を上昇させることにより、結果的にはじめから除湿運転を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることができる。
マイコン7は加熱運転をする際、衣類乾燥機を図2(a)で示された状態からモーター15に指示を出して吸込み口10を閉じた状態にし、モーター9に指示を出して送風ファン8を作動させると同時に圧縮機1に指示を出して冷凍サイクルを作動させる。このとき送風ファン8による循環風量は一例として200〜400[m3/h]とする。またマイコン7は冷凍サイクルを作動させた時点からの時間を測定する。このとき室内は換気をしないようにすることで、室温を速く上昇させることができる。加熱運転は一定の時間(例えば5分間)行い、その後除湿運転に切替える。加熱運転を行う時間は給気の温度Tvが低いほど長くなるように設定してもよい。
マイコン7は続いて除湿運転をする際、衣類乾燥機を図2(b)で示された状態からモーター22に指示を出して吸込み口19を閉じた状態にし、モーター9に指示を出して送風ファン8を作動させると同時に圧縮機1に指示を出して冷凍サイクルを作動させる。このとき送風ファン8による循環風量は一例として200〜400[m3/h]とする。
次に除湿運転と換気運転を行う動作(S08)について説明する。給気の温度Tvが比較的高温であった場合、室内もやはり高温であると考えられ、除湿運転をした場合に室温の上昇にともなって除湿量が低下する可能性が高い。そこで、除湿運転と同時に換気運転を行うことにより室温上昇を抑制することができ、結果的に除湿運転のみを行う場合よりも衣類を速く乾燥させることができる。
マイコン7は衣類乾燥機を図2(b)で示された状態にし、モーター9、18に指示を出して送風ファン8と換気ファン17を作動させると同時に圧縮機1に指示を出して冷凍サイクルを作動させる。このとき送風ファン8による循環風量は一例として200〜400[m3/h]とする。またマイコン7は冷凍サイクルを作動させた時点からの時間を測定する。
このとき換気ファン17による換気量は給気の温湿度によって段階的に変化させるようにする。換気量の変化を含めた衣類乾燥機の制御の一例を図5に示す。図5は給気の温湿度による制御の一例を示す概念図である。図5の縦軸は給気の絶対湿度、横軸は給気の温度を表している。
除湿と換気をする場合の換気量は図5に示したように給気の湿度が低いほど大きくなるように設定すると、衣類をより速く乾燥させることができる。給気の湿度が高いと換気によって除湿量の低下を抑制できても逆に湿気が室内に流入してしまうことになるが、給気の湿度が低いと換気によって除湿量の低下を抑制できる上に室内の湿気を排出することもでき、効率が良いためである。
また除湿と換気をする場合の換気量は図5に示したように給気の温度が高いほど大きくなるように設定すると、衣類をより速く乾燥させることができる。これは給気の温度が高いほど除湿量が低下する温度に速く到達してしまうため、換気量を大きくすると温度上昇を大幅に抑制し、除湿量の低下を防ぐことができるためである。
最後に運転停止の動作(S09)について説明する。マイコン7は加熱運転と換気運転(S04)または加熱運転の後に除湿運転(S06、07)または除湿運転と換気運転(S08)という動作を継続しながら、冷凍サイクルの運転を始めた時点からの時間を測定する。マイコン7が記憶している使用者の指定した運転時間と測定している時間が一致した時点で、マイコン7は圧縮機1に指示を出して冷凍サイクルの運転を停止し、また全てのモーターの運転を停止し、衣類乾燥機の運転を終了する。
(実施の形態2)
実施の形態2における衣類乾燥機について説明する。
はじめに衣類乾燥機の構造について図6を参照しながら説明する。図6は衣類乾燥機を真上から見た状態を示す断面構成図である。衣類乾燥機は室内温度検知手段としての温度センサー40、41をそれぞれ吸込み口10、11の内部に備える。温度センサー40、41はともにサーミスタとし、検知した温度情報はマイコン7によって読み取られるように構成する。温度センサー40、41以外の構造については実施の形態1に記載の衣類乾燥機と同様であり、各構成要素については説明を省略するとともに、実施の形態1に記載の衣類乾燥機と同じ記号を使用する。
次に衣類乾燥機の動作の概要について図7を参照しながら説明する。図7は衣類乾燥機の動作を示すフロー図である。S01〜S06までは実施の形態1と同様であるので説明を省略するとともに実施の形態1に記載の衣類乾燥機と同じ記号を使用するものとする。
S06で加熱運転を開始した後、マイコン7は加熱運転をしながら室内温度Trを検知する(S07)。マイコン7は検知された室内温度Trが設定値T2より小さいかどうかの比較を行い(S08)、小さい場合は加熱運転を継続し(S07)、そうでない場合は除湿運転を始める(S09)。またS05で給気の温度Tvが設定値T1より大きいと判断された場合、マイコン7は室内温度Trを検知し(S10)、その結果に応じて換気量を決定した(S11)上で除湿運転と換気運転を行う(S12)。最後に時間がきたらマイコン7は衣類乾燥機の運転を停止する(S13)。
はじめに加熱運転中の室内温度の検知(S07)について説明する。マイコン7はモーター9に指示を出して送風ファン8を作動させ、温度センサー41を用いて本体内に吸込まれた室内空気の温度Trを測定する。この測定は加熱運転中断続的(例えば1分ごと)に行うことで、室温を逐次観察し、室温が上昇しすぎることを防止するようにする。
次に室内温度Trが設定値T2より小さいかどうかの比較(S08)について説明する。マイコン7には予め設定値T2を記憶させておき、室内温度Trを検知するごとに設定値T2との比較を行う。設定値T2はその温度まで室温が上昇すれば除湿を行った場合に十分除湿量を確保できるということを示す温度であり、一例として22[℃]とする。室内温度Trと設定値T2を比較することにより加熱運転(S06)を行う時間を最適化し、実施の形態1の衣類乾燥機のように予め決められた時間だけ加熱運転を行う場合よりも衣類を速く乾燥させることができる。
室内温度Trが設定値T2以上であった場合、マイコン7は加熱運転(S06)から除湿運転(S09)に切替える。除湿運転(S09)については実施の形態1の衣類乾燥機の除湿運転(S07)と同様であり、ここでの説明は省略する。
次にS05で給気の温度Tvが設定値T1より大きいと判断された場合の室内温度Trの検知(S10)について説明する。マイコン7は衣類乾燥機を図2(b)で示された状態にし、モーター9に指示を出して送風ファン8を作動させ、温度センサー40を用いて本体内に吸込まれた室内空気の温度Trを測定する。
次に換気量の決定(S11)について説明する。ここでの換気量は除湿運転時の換気量であり、室内が高温になり過ぎるのを防ぎ、除湿量の低下を抑制する意味を持つ。除湿量の低下を抑制すると室内を低湿度の状態に持っていくことができ、除湿のみをした場合よりも衣類を速く乾燥させることができる。このとき室内温度Trが高いほど換気量を大きく設定することにより、除湿量の低下をより効果的に抑制し、衣類をより速く乾燥させることができる。換気量は一例として、25[℃]までは0[m3/h]、30[℃]までは30[m3/h]、35[℃]までは60[m3/h]、35[℃]以上は100[m3/h]とし、この情報を予めマイコン7に記憶させておく。マイコン7は検知されたTrと換気量の情報とを比較し、換気量を決定する。
次に除湿運転と換気運転(S12)について説明する。この動作は概ね実施の形態1の衣類乾燥機の除湿運転と換気運転(S08)と同様であるが、換気量はS11で決定された換気量にする。S12を継続する間、断続的(例えば10分ごと)に室内温度Trの検知(S10)に戻るようにし、室温上昇に対応して換気量を変化させていくものとする。
最後に運転停止の動作(S13)を行う。S13は実施の形態1の衣類乾燥機の運転停止の動作(S09)と同様である。
(参考の形態1)
参考の形態1における衣類乾燥機について説明する。
はじめに衣類乾燥機の構造について説明する。衣類乾燥機は操作板34に衣類量指定手段としての衣類量切替えボタン34e(図示せず)を備える。衣類量切替えボタン34eは2または3段階(例えば「多め」と「少なめ」)を設定しておき、使用者は衣類量切替えボタン34eを操作することにより、乾燥させる衣類の量を指定することができる。衣類量切替えボタン34e以外の構造については実施の形態2に記載の衣類乾燥機と同様であり、各構成要素については説明を省略するとともに、実施の形態2に記載の衣類乾燥機と同じ記号を使用する。
次に衣類乾燥機の動作について説明する。運転時間の指定と運転開始(S01)では、使用者は運転時間を指定する際、同時に乾燥させる衣類の量を衣類量切替えボタン34eによって指定するものとする。指定された衣類の量についての情報は運転時間の情報とともにマイコン7に送られる。
S02以降の動作については実施の形態2に記載の衣類乾燥機と同様であり、各フローについては実施の形態2に記載の衣類乾燥機と同じ記号を使用するとともに、説明を省略する。但しφ1、T1、T2及びS11の換気量については実施の形態2に記載の衣類乾燥機と異なるので、以下その部分について説明する。
はじめに設定値φ1について説明する。衣類の量が多い場合、乾燥時に発生する水分の量も多くなり、それだけ大量の湿気を室内から室外に排出する必要がある。加熱と換気によって衣類を乾燥させる場合、大量の湿気を排出するためにそれだけ多くの換気を行う必要がある。しかし換気量を大きくすること(または同じ換気量で時間を長くすること)は、同時にそれだけ多くの熱を室内から室外に排出することを意味し、効率が悪くなる場合がある。一方除湿によって衣類を乾燥させる場合、大量の湿気を除湿するとそれだけ室内が加熱されることになり、効率としては悪くならない。
従って加熱と換気によって衣類を乾燥させるか除湿によって衣類を乾燥させるかを判断する設定値φ1を、衣類量が多いと指定された場合には衣類量が少ないと指定された場合よりも低くすることにより、給気がより低い湿度のときまで除湿で衣類を乾燥させることになり、衣類量に応じて衣類をより速く乾燥させることができる。設定値φ1は一例として、衣類量が少ないと指定された場合には30[%RH]、衣類量が多いと指定された場合には20[%RH]とする。
次に設定値T1について説明する。衣類の量が多い場合、大量の水分が蒸発するため、蒸発潜熱が奪われ、加熱をしても室内温度の上昇は比較的遅くなる。さらに浴室の断熱性能が低い場合には室内温度はさらに上昇しにくくなり、加熱運転(S06)をする時間が必要以上に長くなってしまい、その間室内の湿気は排出されないことになるので、結果的に衣類の乾燥が遅くなってしまう可能性がある。
従ってはじめに加熱運転を行うかはじめから除湿運転を行うかを判断する設定値T1を、衣類量が多いと指定された場合には衣類量が少ないと指定された場合よりも低くすることにより、給気がより低い温度のときまではじめから除湿で衣類を乾燥させることになり、衣類量に応じて衣類をより速く乾燥させることができる。設定値T1は一例として、衣類量が少ないと指定された場合には20[℃]、衣類量が多いと指定された場合には15[℃]とする。
次に設定値T2について説明する。T1と同様の理由により、加熱運転(S06)から除湿運転(S09)へと切替えるかどうかを判断する設定値T2を、衣類量が多いと指定された場合には衣類量が少ないと指定された場合よりも低くすることにより、室内温度がより低い温度のときに加熱から除湿へと運転を切替えることになり、衣類量に応じて衣類をより速く乾燥させることができる。設定値T2は一例として、衣類量が少ないと指定された場合には25[℃]、衣類量が多いと指定された場合には20[℃]とする。
最後に除湿運転と換気運転(S11)を行う際の換気量について説明する。衣類の量が多い場合、大量の水分が蒸発する。換気量を大きくすることは湿気とともに熱の排出を促進することになるが、衣類の量が大きいと大量の水分が蒸発するため、室内の湿気は比較的多くなる一方で室内の温度上昇は鈍くなり、湿気と熱のバランスが変わるため、換気量が大きい方が衣類乾燥には有利となる。従って衣類量が多いと指定された場合には衣類量が少ないと指定された場合よりも換気量を大きくすることにより、衣類量に応じて衣類をより速く乾燥させることができる。換気量は一例として、20[℃]までは20[m3/h]、25[℃]までは60[m3/h]、30[℃]までは100[m3/h]、35[℃]までは200[m3/h]、35[℃]以上は300[m3/h]とする。