JP5266609B2 - 圧電素子、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、インクジェット記録装置に代表される、液滴吐出装置に関する。また、この液滴吐出装置に利用される圧電素子、及び液滴吐出ヘッドに関する。
従来より、複数のノズルから液滴を吐出し、用紙等の記録媒体に印字を行う液滴吐出装置には、インクジェット記録装置があり、このインクジェット記録装置は、小型で安価、静寂性等の種々の利点があり、広く市販されている。特に、圧電素子を用いて圧力室内の圧力を変化させてインク滴を吐出するピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーの作用でインクを膨張させてインク滴を吐出する熱インクジェット方式の記録装置は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
このようなインクジェット記録装置に於ける圧電素子は、通常、圧電体と圧電体を挟持する2つの電極とで構成されている。この電極材料としては、熱的安定性に富むAu,Ag,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt等の貴金属及びそれらの合金・酸化物が適用されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許3371391号明細書 特開平11−348285号公報
しかしながら、従来の電極材料は、産出量が少なく高価であるといった問題があると共に、圧電体に対する吸着性が充分でない、すなわち、圧電体の下部電極からの剥離や圧電体からの上部電極層の剥離が発生するといった問題もあり、改善が望まれている。
従って、本発明は、上記問題点を鑑み、良好な電極能を有しつつ低コストで、且つ圧電体に対する充分な吸着性を有する圧電素子、及びそれを備える液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。また、この液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置を提供することも目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
即ち、本発明の圧電素子は、
チタン酸ジルコン酸系の圧電体と、前記圧電体を挟持する2つの上部電極及び下部電極と、を有し、
前記上部電極及び前記下部電極の少なくも一方は、前記圧電体の構成元素であるの拡散を抑制する拡散抑制伝導層、及び前記拡散抑制伝導層よりも抵抗が低い低抵抗伝導層を積層して構成され、
前記拡散抑制伝導層は、Ta,V,Nb,Mo,W,Zr,及びHfの金属の元素を1種以上含む窒化物、前記金属の元素を1種以上含む珪化物、並びに、前記金属の元素を1種以上含む硼化物から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であり、
前記低抵抗伝導層は、前記金属、又は前記金属の元素を1種以上含む合金から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であること特徴としている。
本発明の圧電素子では、上部電極及び下部電極の少なくも1層の電極材料として、上記物質を適用することで、圧電体への充分な吸着性が確保され、圧電体の下部電極からの剥離や上部電極層の圧電体からの剥離が防止される。また、これらの物質は、貴金属に比べ、産出量も多く低コストであると共に、良好な電極能(電気導電性)を有する。
ここで、上記物質を電極材料として適用すると、圧電体への充分な吸着性が確保され、圧電体の下部電極からの剥離や上部電極層の圧電体からの剥離が防止できる理由は以下の通りであると推測される。
Ta,V,Nb,Mo,W,Zr,及びHfの金属、前記金属の元素を1種以上含む合金、前記金属の元素を1種以上含む窒化物、前記金属の元素を1種以上含む珪化物、並びに、前記金属の元素を1種以上含む硼化物の電極素材は、圧電素子作製時において、表面に均一で、かつ、例えば数10Å以下の超薄層の酸化層を形成した後、圧電体構成素材との安定した拡散層を形成し、圧電体との充分な吸着層を形成することができる。また、同様に、上部電極上の保護層とも充分な吸着性を保つことができる。他方、上記素材の酸化物は誘電性を呈するが、数10Å以下の超薄膜であるため、下部電極と上部電極に挟まれた圧電体の強誘電性を損なわない。
このように、本発明の圧電素子では、例えば。圧電体−電極層間に例えば数10Å以下の超薄層の酸化層を形成し、圧電体構成素材との安定した拡散層を形成するため、充分な吸着性を得ることができる。また、電極層−保護層間の吸着性も確保することができる。
これに対し、Au,Ag,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt等の貴金属及びそれらの合金・酸化物を電極層に適用した圧電素子では、繰り返し動作中に、下部電極−圧電体間、圧電体−上部電極間、または、上部電極−保護層間の剥離を引き起こすことがしばしば観測され、この現象により、圧電体素子が所望の変位を損なってしまう。
本発明の圧電素子において、前記上部電極及び前記下部電極の少なくも一方は、拡散抑制伝導層及び低抵抗伝導層を積層して構成される。また、この場合、前記拡散抑制伝導層は、前記圧電体と直接接触するように積層していることがよい。また、前記拡散抑制伝導層は、前記金属の元素を1種以上含む窒化物、前記金属の元素を1種以上含む珪化物、又は前記金属の元素を1種以上含む硼化物から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であ。一方、前記低抵抗伝導層は、前記金属、又は前記金属の元素を1種以上含む合金から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であ
本発明の圧電素子において、前記上部電極及び前記下部電極の少なくも一方は、不活性元素を吸蔵していることがよい。
本発明の圧電素子において、前記圧電体は、気相成長法又は液相成長法で形成されることがよい。また、この場合、気相成長又は液相成長により形成される前記圧電体は、堆積時に結晶化されていてもよいし、その前駆体を堆積後、熱過程により結晶化されていてもよい。また、気相成長又は液相成長により形成される前記圧電体は、稠密な結晶相を呈する前記下部電極上に形成されることがよい。
本発明の圧電素子において、前記下部電極の表面には、前記圧電体の動作領域の除いて絶縁層が被覆していることがよい。また、前記圧電体は、前記下部電極表面に直接積層(絶縁層が介在することなく積層)されていてもよい。
本発明の圧電素子において、前記圧電体の動作領域を除く領域で、前記上部電極及び前記下部電極とそれぞれ電気的に接続される上部配線及び下部配線を有することがよい。この場合、前記上部配線と前記下部配線とは、互いに異なる階層に配設していることがよい。また、前記上部電極及び前記下部電極と、上部配線及び下部配線とは、互いに異なる階層に配設していることがよい。
また、本発明の液滴吐出ヘッドは、上記本発明の圧電素子を有することを特徴としている。
また、本発明の液滴吐出装置は、上記本発明の液滴吐出ヘッドを有することを特徴としている。
本発明によれば、良好な電極能を有しつつ低コストで、且つ圧電体に対する充分な吸着性を有する圧電素子、及びそれを備える液滴吐出ヘッドを提供することができる。また、この液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置を提供することもできる。
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。また、以下の実施形態においては、インク(液体)の流路構成については図面も含め省略して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態のインクジェット記録ユニットによる印字領域を示す図である。
本実施形態に係るインクジェット記録装置10(液滴吐出装置)は、図1に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴(液滴)を吐出して記録媒体Pに画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材29が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する。
排出部22は、記録部20で画像が形成された用紙が排紙ベルト23を介してトレイ25に収納するものである。
記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間には、記録媒体Pが搬送される用紙搬送路が構成されている。スターホイール17と搬送ロール19とで記録媒体Pを挟持しつつ連続的に(停止することなく)搬送する。そして、この用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該記録媒体Pに画像が形成される。
メンテナンス部18は、インクジェット記録ユニット30(記録ヘッド32)に対して対向配置されるメンテナンス装置21で構成されており、インクジェット記録ユニット30(記録ヘッド32)に対するキャッピングや、ワイピング、さらにダミージェットやバキューム等の処理を行うことができる。
インクジェット記録ユニット30のそれぞれは、インクジェット記録ヘッド32を1つ又は複数備えている。また、図示しないが、複数のインクジェット記録ヘッド32が備えられている場合、記録ヘッド32は用紙搬送方向と直交する方向に配置される。用紙搬送路を連続的に搬送される記録媒体Pに対し、記録ヘッド32のノズル(不図示)からインク滴を吐出することで、記録媒体P上に画像が記録される。なお、インクジェット記録ユニット30は、たとえば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、少なくとも4つ配置されている。
また、図2に示すように、それぞれのインクジェット記録ユニット30による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される記録媒体Pの用紙最大幅PWよりも長くされており、インクジェット記録ユニット30を紙幅方向に移動させることなく記録媒体Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている(いわゆるFull Width Array(FWA))。ここで、印字領域とは、用紙の両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
次に、インクジェット記録ユニット30のインクジェット記録ヘッド32について詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの底面図である。図4は、第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける圧電体周辺を示す部分拡大平面図である。図5は、図4のA−A断面図である。図6は、図4のB−B断面図である。
インクジェット記録ヘッド32は、図3に示すように、圧電素子34(圧電体48)が、例えば、2560bits(例えば、8行×320列)のマトリックス状(碁盤目列)に配列されており、各行毎で列方向(記録媒体Pに沿って21μmシフトしている。これにより、1200dpiの解像度を得ることができるようになっている。
2560bitsの圧電素子34で構成される圧電体群36の幅方向の両端部には、支持基板40の長手方向に沿って、複数の駆動チップ42が等間隔で配設されている。
そして、各圧電素子34を構成する信号電極50(信号配線62)に接続された引き回し配線44は、支持基板40の長手方向に対して直交する方向(幅方向)へ引き回され、最終的に駆動チップ42のパッドのピッチとの整合性を図り、電気的接続が行われる。ここで、引き回し配線44の配線長を短くする為には、支持基板40の幅方向で圧電素子34を二つに分け、支持基板40の幅方向に沿って引き回し配線44を引き回す方が望ましい。
また、ここでは、圧電素子34を2560bitsのマトリックス状に配列し、圧電素子34の各行毎で列方向に沿って21μmシフトさせ、インクジェット記録ヘッド32に対して記録媒体Pが1回通過することで、記録媒体Pには1200dpiの画像が形成されることになるが、必ずしも、圧電素子34の各行毎で列方向に沿ってシフトさせる(圧電素子34の各行を千鳥配列させる)必要はない。
例えば、インクジェット記録ヘッド32を搬送される記録媒体Pの幅方向に沿って移動可能とし、インクジェット記録ヘッド32に対して記録媒体Pが1回通過する毎に、インクジェット記録ヘッド32を相対的にシフトさせることにより、記録媒体Pのn回の通過で所望の解像度が得られるようにしても良い。
インクジェット記録ヘッド32は、図4〜6に示すように、圧電素子34(圧電体48)が、2560bits(8行×320列)のマトリックス状に配列され、各行毎で列方向に沿って例えば21μmシフトしている。
圧電素子34は、振動板(ダイアグラム)を有する基板52上に設けられており、共通電極46(下部電極)、圧電体48、及び信号電極50(上部電極)がこの順で積層して構成されている。
また、共通電極46表面には、圧電体48の動作領域48A(圧電体48が圧力室内でインク(液体)に変位を与える動作領域)を除いて第1層間絶縁層54が設けられており、当該領域の除いて第1層間絶縁層54が共通電極46と圧電体48との間に介在している。一方、信号電極50表面、及び後述する共通電極46と電気的に接続される共通配線60表面には、第2層間絶縁層56が配設されている。また、後述する信号電極50と電気的に接続される信号配線62表面には、保護層58が配設されている。但し、この保護層58は、信号配線62のみを被覆するようにして、圧電体48の動作領域48Aを除いて配設されている。
以下、共通電極46及び信号電極50について説明する。共通電極46は、各圧電体48の行毎に形成され、320bitsの圧電体48に対して共通化されている。そして、共通電極46には、これとは異なる階層に配設された共通配線60と圧電体48の非動作領域において接続されている。この共通配線60により、共通電極の電流密度が低減され、電極素材の劣化予防される。また、共通配線60は共通電極46とは独立して設けることができ、この電極材料としてAl、Cu、Ag等の固有抵抗値10μΩcm以下の材料を適用することで、配線抵抗を十分低下させることができる。
一方、信号電極50は、各圧電体48毎に形成され、それぞれ、これとは異なる階層に配設された信号配線62と圧電体48の非動作領域において接続されている。信号配線62は共通電極46とは独立して設けることができ、この電極材料としてAl、Cu、Ag等の固有抵抗値10μΩcm以下の材料を適用することで、配線抵抗を十分低下させることができる。
図示しないが、共通配線60及び信号配線62は引き回されて、それぞれ第1層間絶縁層54及び第2層間絶縁層56に設けられた開口に設けられたパッドを通じて引き回し配線44(図3参照)と接続され、これを介して駆動チップ42と接続される。
なお、共通電極46、共通配線60及び信号配線62は、図示しないが、それぞれ吸着層(例えば、Ti 100Å)を介して積層されている。
また、共通配線60及び信号配線62は、互いに異なる階層(第2層間絶縁層56を介して積層)に設けられており、これにより、圧電体48をマトリックス状に配設し高画素密度化を図ることができる。また、図示しないが、同様の観点や、配線抵抗値を低減させるため、圧電体48における各行の信号配線62を異なる階層に設けることもできる。
共通電極46及び信号電極50は、低抵抗伝導層と拡散抑制伝導層との複数層構成としてもよし、いずれかの単層構造としてもよい。低抵抗伝導層は、低抵抗の電極自身として機能する伝導層である。一方、拡散抑制伝導層は、圧電体48構成元素(例えば、ピエゾに代表される圧電体では鉛(Pb))の拡散を抑制し、圧電体48自身の劣化を緩和する機能を有する伝導層である。このため、拡散抑制効果を最大限に発揮するためには、複数層構成の場合、圧電体48に近い方から拡散抑制伝導層、低抵抗伝導層の順に積層させる、即ち、拡散抑制伝導層に直接接触させるよう積層することがよい。
なお、共通電極46及び信号電極50は、低抵抗導電層又は拡散抑制伝導層の単層構成で各電極を構成することもできるが、低抵抗導電層のみでは拡散抑制効果がなく、拡散抑制伝導層のみでは固有抵抗が高くなることが多いため、低抵抗伝導層と拡散抑制伝導層との複数層構成とすることがよい。
そして、これら低抵抗伝導層と拡散抑制伝導層の少なくとも1層として、高融点金属、高融点金属の元素を1種以上含む合金(以下、単に合金と称する)、高融点金属の元素を1種以上含む窒化物(以下、単に窒化物と称する)、高融点金属の元素を1種以上含む珪化物(以下、単に珪化物と称する)、及び高融点金属の元素を1種以上含む硼化物(以下、単に硼化物と称する)から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層を適用している。この高融点金属としては、Ta,V,Nb,Mo,W,Ti,Zr,及びHfから選択される。以下、この電気導電体層を高融点金属電気伝導層と称することがある。なお、この高融点金属電気伝導層は、共通電極46及び信号電極50の両方に適用してもよいし、いずれか一方でもよい。
但し、本実施形態では、高融点金属としては、Ta,V,Nb,Mo,W,Zr,及びHfの金属から選択される。
これら高融点金属、合金、窒化物、珪化物、及び硼化物は、良好な導電性を示して電極能を発揮することができると共に、高い融点を示し、圧電体48形成時(例えば圧電体の結晶化)の高温雰囲気下におきても安定した挙動を呈することができる。また、吸着力が高いため、電極剥がれも防止される。また、上記の窒化物、珪化物、硼化物のうち、母体金属内に窒素,珪素,又は硼素元素が侵入して構成される侵入形固溶体結晶構造は、稠密な元素配置即ち稠密な結晶構造をとり、圧電体48の構成物質(例えば、Pb)の拡散を効果的に抑制する拡散抑制伝導層に適している。一方、窒化物、珪化物、硼化物と比べ、低い固有抵抗値を有する高融点金属及び合金は、低抵抗伝導層に適用することがよい。
拡散抑制伝導層に好適に適用し得る電極材料を以下列挙する
Ta2N,TaN0.1,TaN0.8,TaN,Ta62.57,Ta4N,Amorphous−TaNx,
TaB2,TaB,Amorphous−TaBx,
TaSi2,Ta5Si,β−Ta5Si3,α−Ta5Si3,Ta2Si,Ta3Si,Ta4Si,Ta3.28Si0.72,Amorphous−TaSix,
VN,V2N,V62.7,VN0.2,VN0.35,Amorphous−VNx,VB2,V1.5450,Amorphous−VBx,
VSi2,V3Si,V5Si3,Amorphous−VSix,
Nb2N,NbN,NbN0.95,Nb4.622.14,Nb43.92,Nb43,Amorphous−NbNx,
Amorphous−NbBx,
NbSi2,Nb3Si,Amorphous−NbSix,
MoN,Mo2N,Amorphous−MoNx,
MoB4,Mo0.83,Mo2B,Amorphous−MoBx,
MoSi2,Mo5Si3,Amorphous−MoSix,
WN,W2N,Amorphous−WNx,
WB4,W25,Amorphous−WBx,
Wsi2,W5Si3,W3Si,Amorphous−WSix,
TiN,Ti2N,TiN0.26,TiN0.30,Amorphous−TiNx,
TiB2,Amorphous−TiBx,
TiSi2,TiSi,Ti5Si4,Ti5Si3,Amorphous−TiSix,
ZrN0.28,ZrN,Amorphous−ZrNx,
ZrB2,Amorphous−ZrBx,
ZrSi2,ZrSi,Zr5Si3,Amorphous−ZrSix,
HfB2,HfN0.40,HfN,Amorphous−HfNx,
HfB,Amorphous−HfBx,
HfSi2,Hf5Si4,Hf2Si,Hf5Si3,Amorphous−HfSix等
これらの中でも、Ta2N,TaN0.1,TaN0.8,TaN,TaB2,TaSi2,V2N,V62.7,VN,VN0.35,VB2,VSi2,V5Si3,Nb2N,NbN,NbN0.95,Nb4.622.14,NbSi2,MoN,MoB4,MoSi2,WN,WB4,W5Si3,TiN,Ti2N,TiB2,ZrN0.28,ZrB2,HfB2が特に好適である。
一方、低抵抗伝導層に好適に適用し得る電極材料を以下列挙する。
α−Ta(bcc−Ta),β−Ta(Tetragonal Ta),bcc−V,bcc−Nb,bcc−Mo,α−W(bcc−W),β−W(cubic−W),α−Ti(hcp−Ti),β−Ti(bcc−Ti),hcp−Zr,β−Zr(bcc−Zr),hcp−Hf,
TaMo,TaTi,TiAl,TaW,TaHf,TiW等
ここで、共通電極46及び信号電極50の具体的構成の具体的一例を以下に示す。なお、右の数値は膜厚を示す。また、積層構造の場合、記載順が基板52側からの積層順序を示す。
1)共通電極46構成:低抵抗伝導層:α−Ta(2000Å)
信号電極50構成:低抵抗伝導層:α−Ta(3000Å)
2)共通電極46構成:低抵抗伝導層/拡散抑制伝導層:α−Ta(1500Å)/TaNx(500Å)
信号電極50構成:拡散抑制伝導層/低抵抗伝導層:TaNx(500Å)/(α−Ta(2500Å)
3)共通電極46構成:拡散抑制伝導層/低抵抗伝導層:TaNx(500Å)/α−Ta(2500Å)
信号電極50構成:低抵抗伝導層/拡散抑制伝導層:α−Ta(2500Å)/TaNx(500Å)
共通電極46及び信号電極50の少なくも一方には、不活性元素を吸蔵していることが望ましい。具体的には、電極の構成層に、He,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn等の不活性元素を0.001mol〜1mol吸蔵することが望ましい。これにより、電極の構造相転移を抑制することができる。例えば、スパッタリング法では高周波プラズマ雰囲気中の気相成長や、高周波プラズマによる基板バイアス雰囲気中の気相成長により、電極の構成層に不活性元素を吸蔵することができる。また、MOCVD法では、微量の不活性気体を反応室に導入することにより達成できる。この不活性元素の吸蔵により、粗密な結晶構造を形成後、例えば、圧電体48の結晶化のために熱過程を施した場合でも稠密な構造への相転移を抑制することができる。
具体的には、例えば、共通電極46として低抵抗伝導層β−Ta及び拡散抑制伝導層Ta2Nを形成後、圧電体48の前駆体を堆積し、600℃雰囲気下における熱過程を施した場合でも、低抵抗伝導層β−Taがα−Taに転移することがなくなる。
また、共通電極46及び信号電極50は、高融点金属電気伝導層と共に、熱的安定性に富むAu,Ag,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt等の貴金属及びそれらの合金・酸化物から選択される貴金属電気伝導層を有していてもよい。具体的には、例えば、低抵抗伝導層として貴金属電気伝導層を適用し、拡散抑制伝導層として高融点金属電気伝導層を適用する形態、低抵抗伝導層として高融点電気伝導層及び貴金属電気伝導層の積層体、拡散抑制伝導層として高融点電気伝導層及び貴金属電気伝導層の積層体をそれぞれ適用する形態、などが挙げられる。
なお、本実施形態では、下部電極を共通電極46、上部電極を信号電極50として適用した形態を説明したが、これに限定されるわけではない。即ち、下部電極を信号電極50、上部電極を共通電極46として適用した形態であってもよい。
以下、圧電体について説明する。圧電体48は、スパッタリング法(Sputtering)、MOCVD法(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition)、ゾルゲル法(Sol−Gel)、水熱法(Hydro−Thermal Method)、エアロゾル法(Aero−Sol)等の気相成長法或いは液相成長法で形成されていることがよい。この気相成長法或いは液相成長法は、従来の焼結後の圧電体を研磨・張り合わせなどによる機械的形成方法に比べ、圧電体の高密度化・高精度化・低コスト化が実現可能となる。
ここで、スパッタリング法とは、イオン衝撃によって被膜生成源(陰極)の表面から被膜材料(ターゲット)を構成する原子、分子が飛び出し、周囲の物体が被膜する結果となることで、これを利用して物体表面に薄膜を形成させる方法である。また、CVD法とは、気相の分子を加熱した基板上に流し、熱分解反応などによる生成物を基板上に蒸着させる方法である。
さらに、エアロゾル法とは、音速の加速微粒子を基板に衝突させ、粒子の運動エネルギーを粒子と基板及び粒子間の接合エネルギーに変換する成膜方法のことであり、ソルゲル法とは、液体中に固体微粒子が均一に分散したゾル状態から微粒子間に引力相互作用が働き3次元網目構造へ発展したゲル状態を経て成膜する方法である。
また、気相成長法或いは液相成長法では、堆積時(気相成長時或いは液相成長時)に圧電体48を結晶化させる方法と、圧電体48の前駆体を堆積(気相成長又は液相成長)した後、熱過程により圧電体48を結晶化させる方法がある。前者の方法により得られる圧電体48としての結晶体は例えば500℃以上高温雰囲気下で形成され、後者の方法により得られる圧電体48の前駆体は例えば500℃以下の低温雰囲気下で形成される。特に、スパッタリング法及びMOCVD法では高温雰囲気下の結晶成長が可能であるが、低温雰囲気下に較べ堆積速度が低く、低温雰囲気下の前駆体形成後、結晶化する方法はデバイス化作成プロセスの点からはよい。一方、ゾルゲル法及びエアロゾル法では、低温雰囲気下の前駆体形成後、結晶化する方法を適用することが必要である。
気相成長法或いは液相成長法では、圧電体48を稠密な結晶相を呈する共通電極46(好適には、高融点金属電気伝導層を適用した拡散抑制伝導層)上に形成することがよい。特に、圧電体48の前駆体を堆積(気相成長又は液相成長)した後、熱過程により結晶化させて圧電体48を形成する場合に、圧電体48を稠密な結晶相を呈する共通電極46(好適には、高融点金属電気伝導層を適用した拡散抑制伝導層)上に形成することがよい。
これは、粗密な結晶相を有する共通電極46(例えば、高融点金属電気伝導層を適用した低抵抗伝導層)上に圧電体前駆体を堆積した後、結晶化を行う場合、共通電極46(例えば、高融点金属電気伝導層を適用した低抵抗伝導層)は構造相転移を誘起し稠密な結晶相に転移してしまうことがある。この現象が生じると堆積した圧電体の結晶化を乱し、信号電極50が堆積される圧電体48表面に微小な亀裂(マイクロ クラック)を誘起することがある。このため、圧電体48を稠密な結晶相を呈する共通電極46(好適には、高融点金属電気伝導層を適用した拡散抑制伝導層)上に形成することがよい。
また、圧電体48を構成する材料としては電圧を印加した際に変形可能な公知の圧電体材料であれば特に限定されないが、例えば液滴吐出用としては、その必要とされる特性上の観点から、圧電定数が比較的大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧電体を用いる。
以下、絶縁層としての第1層間絶縁層54、第2層間絶縁層56、保護層58について説明する。これらの絶縁層の絶縁材料としては、絶縁性と耐気体(酸素)透過性と耐液性を有していれば特に制限はないが、特に、圧電体48と接触する絶縁層の場合、圧電体48(圧電素子34)の静電容量を上昇させてしまうことがあるため、低い比誘電率を有する絶縁材料、すなわち、圧電体素材に対して例えば1/10以下の比誘電率素材を用いることがよい。圧電体48の比誘電率は例えば500以上であり、絶縁層の比誘電率は100以下が要求される。このような絶縁材料としては、酸化珪素(USG: Un−Doped Silicate Glass),窒化珪素,BPSG(Boro−Phospho−Silicate Glass),FSG(Fluorinated Silicate Glass), Black Diamond, FDLC(Fluorinated Diamond−like Carbon), 珪素酸窒化物, USGにCを添加したSiCO,炭化珪素,タンタル酸化物,アルミニウム酸化物、ジルコニア酸化物,チタニウム酸化物等の無機絶縁材料が挙げられる。
以下、本実施形態に係る圧電素子の製造方法の具体的一例を示す。図7は、図5における製造工程を示す工程図である。図8は、図6における製造工程を示す工程図である。
まず、図7(A)及び図8(A)に示すように、単結晶珪素5μm、熱酸化膜1μm及び単結晶珪素300μmからなる基板52の片面に、スパッタリング法によりTi 100Å/α−Ta 1500Å/TaNx 500Åを堆積・描画を行い、低抵抗導電層(α−Ta)及び拡散防止層(TaNx)の積層体からなる共通電極46(下部電極)を形成する。なお、この低抵抗導電層(α−Ta)及び拡散防止層(TaNx)には、上記スパッタリング中に、基板52側に高周波プラズマを発生させて、基板近傍をプラズマ状態に晒して、Arを吸蔵させた。
ここで、Tiは下地基板との吸着層である。α−Ta 1500Åは固有抵抗値数10μΩcm程度の低抵抗伝導層である。また、タンタル窒化物TaNxは拡散抑制伝導層である。この拡散抑制伝導層は100Å以上の厚さで形成することが望ましい。なお、図中、共通電極46は、圧電体48の動作領域48Aを包含する帯状パターンに描画されているが、この限りではない。
そして、第1層間絶縁層54としてSiO2 5000ÅをCVD法により形成した後、圧電体48の動作領域48A上の絶縁層を除くため、第1層間絶縁層54に開口54Aをホトリソグラフィ及びエッチングにより設ける。このとき、共通電極46と共通配線60との電気的接続を図るための開口は設けられない。
次に、図7(B)及び図8(B)に示すように、圧電体48としてPZT(Lead Zirconate Titanate)を550℃雰囲気下でスパッタリング法により5μm堆積し、この堆積時に結晶化した。さらに、スパッタリング法により信号電極50としてTaNx 500Å/α−Ta 1500Åを順次堆積する。なお、この低抵抗導電層(α−Ta)及び拡散防止層(TaNx)には、上記スパッタリング中に、基板52側に高周波プラズマを発生させて、基板近傍をプラズマ状態に晒して、Arを吸蔵させた。
ここで、α−Ta 1500Åは固有抵抗値数10μΩcm程度の低抵抗伝導層である。また、タンタル窒化物TaNxは拡散抑制伝導層である。また、圧電体48は、堆積時に結晶化を行ったが、例えば、300℃雰囲気下でスパッタリン法により、PZT前駆体を堆積した後、600℃雰囲気下で熱過程を施し結晶化させることもせきる。
そして、反応性イオンエッチング法(RIE:Reactive Ion Etching)により信号電極50及び圧電体48を順次エッチングする。この際、共通電極46端部(圧電体48の非動作領域)は第1層間絶縁層54下にあり、エッチング雰囲気下に晒されることはない。
このように、第1層間絶縁層54における、圧電体48の動作領域48Aを確保し、これと電気的接続を図るための開口と、共通配線との電気的接続を図るための開口とを、異なる工程で開口することで、下部電極としての共通電極46と圧電体48が同時にエッチング雰囲気に晒されることがなく、共通電極46と圧電体48とエッチング選択比を配慮せずに両領域の電気的接続を図ることができる。
ここで、圧電体48の領域境界(端面)は基板面に対して10〜80°の傾斜を設けることが望ましい。80°以上の急激な傾斜では、充分なステップ・カバリッジ(Step Coverage)を得ることができず、信号電極50と電気的接続される信号配線62の断線を招くことがある。10°以下の穏やかな傾斜では、圧電体48の間隔や圧電体と共通配線60との間隔が拡がり、圧電体48の配列を高密度に配置することが難しくなることがある。
次に、図7(C)及び図8(C)に示すように、共通電極46と共通配線60との電気的接続を図るため、圧電体48の非動作領域における第1層間絶縁層54をエッチングして開口を設け、共通電極46を露出させる。そして、TiNx 100Å/Ti 100Å/Al 5000Å/Ti 100Å/TiNx200Åを堆積し描画・エッチングを行い、共通配線60を形成すると共に共通電極46と電気的に接続する。
次に、図7(D)及び図8(D)に示すように、第2層間絶縁層56として酸窒化珪素SiOxNy 7000Åをプラズマ(Plasma)CVD法により堆積し、露出している信号電極50及び共通配線60を覆うように形成する。
次に、図7(E)及び図8(E)に示すように、信号電極50と信号配線62との電気的接続を図るため、圧電体48の非動作領域における第2層間絶縁層56をエッチングして開口を設け、信号電極50を露出させる。そして、Ti 100Å/Al 7000Åを堆積・描画し、信号配線62を形成すると共に信号電極50と電気的に接続する。
なお、信号電極50と信号配線62の電気的接続は圧電体48の動作領域48A近傍にて図られている。また、第2層間絶縁層56は、共通配線60と信号配線62とのの層間分離を行い、両者を異なる階層に設ける為に機能する他、圧電体48の側壁における保護層としても機能する。
次に、図7(F)及び図8(F)に示すように、保護層58として、窒化珪素SiNx 5000Åをプラズマ(Plasma)CVD法により堆積・描画し、信号配線62のある領域を被覆する。
ここで、圧電体48の動作領域48Aに堆積した膜は圧電体変位に束縛を与える場合がある。このため、保護層58は、圧電体48の動作領域48Aを除くように信号配線62のある領域のみを被覆している。同様の観点から、第2層間絶縁層56も、圧電体48の動作領域48Aにおける保護層58も、圧電体48側壁を除き除去することもできる。なお、これに限られず、保護層58を、圧電体48の動作領域48Aを含む全面を被覆するように形成することも可能である。
このようにして、圧電素子34を形成することができる。
以上説明した本実施形態に係るインクジェット記録装置では、圧電素子34の共通電極46(下部電極)及び信号電極50(上部電極)の少なくとも一方の構成層として、高融点金属電気伝導層を適用することで、当該電極は、良好な電極能を有しつつ低コストで、且つ圧電体に対する充分な吸着性を有する。
また、圧電素子34の共通電極46(下部電極)には、圧電体48の動作領域48Aを除いて第1層間絶縁層54で被覆されているので、信号電極50及び圧電体48の描画の際、エッチングによって共通電極46にダメージが与えられることがなくなる。
このような圧電素子34を備えるインクジェット記録ヘッド32、そして、このインクジェット記録装置は、低コスト化が可能であるばかりでなく、信頼性も向上している。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける圧電体周辺を示す部分拡大平面図である。図10は、図9のA−A断面図である。図11は、図9のB−B断面図である。
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、図9〜11に示すように、第1実施形態に係る圧電素子34において共通電極46の圧電体48の非動作領域を被覆する第1層間絶縁層54を設けない形態である。
以下、本実施形態に係る圧電素子の製造方法の一例を示す。図12は、図10における製造工程を示す工程図である。図13は、図11における製造工程を示す工程図である。
まず、図12(A)及び図13(A)に示すように、基板52としての熱酸化膜5μmを成長させた単結晶珪素基板300μmの片面に、スパッタリング法によりTi 100Å/α−Ta 1500Å/TaNx 2000Åを堆積・描画を行い、低抵抗導電層(α−Ta)及び拡散防止層(TaNx)の積層体からなる共通電極46(下部電極)を形成する。
ここで、拡散抑制層の厚みは、拡散抑制効果を発揮するために100Å以上がよく、一方、圧電体48のエッチング際に露出する共通電極46のオーバーエッチング量を考慮すると5000Å以下であることがよい。
次に、図12(B)及び図13(B)に示すように、圧電体48としてPZT(Lead Zirconate Titanate)を550C雰囲気下でスパッタリング法により5μm堆積し、この堆積時に結晶化する。さらに、スパッタリング法により信号電極50としてTaNx 500Å/α−Ta 1500Åを順次堆積する。
そして、反応性イオンエッチング法(RIE:Reactive Ion Etching)により信号電極50及び圧電体48を順次エッチングする。この際、共通電極46端部(圧電体48の非動作領域)、即ち圧電体48描画領域以外の共通電極46は、エッチング雰囲気下に晒され、500〜1000Å程度オーバーエッチングされ、共通電極46における拡散抑制層の最終膜厚が1000〜1500Å程度となる。なお、本実施形態では、基板52として6インチ基板を用いたが、大面積になるに従いオーバーエッチング量は拡大するため、その場合、共通電極46(表面露出する拡散抑制層)の厚さのマージンをさらにとる必要がある。
次に、図12(C)及び図13(C)に示すように、共通電極46表面における圧電体48の非動作領域に、TiNx 100Å/Ti 100Å/Al 5000Å/Ti 100Å/TiNx200Åを堆積し描画・エッチングを行い、共通配線60を形成すると共に共通電極46と電気的に接続する。
その後、図12(E)〜(F)及び図13(E)〜(F)に示すようにして圧電素子34を作製する。これらの工程は第1実施形態(図7(E)〜(F)及び図8(C)〜(F)参照)と同様である。
本実施形態は、上記以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上説明した本実施形態に係るインクジェット記録装置では、圧電素子34において圧電体48を、共通電極46表面に絶縁層を介在させることなく直接設けているので、第1実施形態に比べ、構造の単純化、作製工程の簡略化を図ることができる。
このような圧電素子34を備えるインクジェット記録ヘッド32、そして、このインクジェット記録装置は、低コスト化が可能であるばかりでなく、信頼性も向上している。
なお、本実施形態では、紙幅対応のFWAの例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)の装置にも適用することができる。
また、本実施形態では、記録媒体P上へ画像(文字を含む)を記録するものであったが、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、これに限定されるものではない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用的に用いられる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置全般に適用することができる。
第1実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。 第1実施形態のインクジェット記録ユニットによる印字領域を示す図である。 第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの底面図である。 第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける圧電体周辺を示す部分拡大平面図である。 図4のA−A断面図である。 図4のB−B断面図である。 図5における製造工程を示す工程図である。 図6における製造工程を示す工程図である。 第2実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける圧電体周辺を示す部分拡大平面図である。 図9のA−A断面図である。 図9のB−B断面図である。 図10における製造工程を示す工程図である。 図11における製造工程を示す工程図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12 用紙供給部
14 レジ調整部
16 記録ヘッド部
17 スターホイール
18 メンテナンス部
20 記録部
21 メンテナンス装置
22 排出部
30 インクジェット記録ユニット
32 インクジェット記録ヘッド
34 圧電素子
46 共通電極
48 圧電体
50 信号電極
52 基板
54 第1層間絶縁層
56 第2層間絶縁層
58 保護層
60 共通配線
62 信号配線

Claims (14)

  1. チタン酸ジルコン酸系の圧電体と、前記圧電体を挟持する2つの上部電極及び下部電極と、を有し、
    前記上部電極及び前記下部電極の少なくも一方は、前記圧電体の構成元素であるの拡散を抑制する拡散抑制伝導層、及び前記拡散抑制伝導層よりも抵抗が低い低抵抗伝導層を積層して構成され、
    前記拡散抑制伝導層は、Ta,V,Nb,Mo,W,Zr,及びHfの金属の元素を1種以上含む窒化物、前記金属の元素を1種以上含む珪化物、並びに、前記金属の元素を1種以上含む硼化物から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であり、
    前記低抵抗伝導層は、前記金属、又は前記金属の元素を1種以上含む合金から選択される少なくとも1種で構成される電気伝導層であること特徴とする圧電素子。
  2. 前記拡散抑制伝導層は、前記圧電体と直接接触するように積層していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記上部電極及び前記下部電極の少なくも一方は、不活性元素を吸蔵していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  4. 前記圧電体は、気相成長法又は液相成長法で形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  5. 気相成長又は液相成長により形成される前記圧電体は、堆積時に結晶化されることを特徴とする請求項4に記載の圧電素子。
  6. 気相成長又は液相成長により形成される前記圧電体は、その前駆体を堆積後、熱過程により結晶化されることを特徴とする請求項4に記載の圧電素子。
  7. 気相成長又は液相成長により形成される前記圧電体は、稠密な結晶相を呈する前記下部電極上に形成されることを特徴とする請求項4に記載の圧電素子。
  8. 前記下部電極の表面には、前記圧電体の動作領域の除いて絶縁層が被覆していることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  9. 前記圧電体は、前記下部電極表面に直接積層されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  10. 前記圧電体の動作領域を除く領域で、前記上部電極及び前記下部電極とそれぞれ電気的に接続される上部配線及び下部配線を有することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  11. 前記上部配線と前記下部配線とは、互いに異なる階層に配設していることを特徴とする請求項10に記載の圧電素子。
  12. 前記上部電極及び前記下部電極と、前記上部配線及び下部配線とは、互いに異なる階層に配設していることを特徴とする請求項10に記載の圧電素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の圧電素子を有する液滴吐出ヘッド。
  14. 請求項13に記載の液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置。
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