JP3726469B2 - インクジェット式記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクをノズルから噴射して記録用紙にドットを形成させるオンデマンド方式のインクジェット式記録ヘッドに係り、特に、圧電体に電気的エネルギーを与え、振動板を変位させることによって、インクが溜められた加圧室に圧力を加え、インク噴射を行う圧電方式のインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明にかかわる従来技術として、例えば米国特許第5265315号明細書に、薄膜圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッドの構造が開示されている。
【0003】
図2に、従来のインクジェット式記録ヘッドの主要部断面図を示す。この断面図は、細長い形状の加圧室の幅方向に、インクジェット式記録ヘッドの主要部を切断した様子を示す。
【0004】
インクジェット式記録ヘッドの主要部は、加圧室基板500とノズル基板508を貼り合わせた構造となっている。加圧室基板500は、厚み約150μmのシリコン単結晶基板501上に、振動板膜502、共通電極となる共通電極503、圧電体膜504、および個別電極となる上部電極505が順次形成されている。シリコン単結晶基板501には、加圧室506a〜cが、シリコン単結晶基板501の厚み方向に貫通するようにエッチング加工されて形成されている。ノズル形成基板508の各加圧室506a〜cに対応する位置には、ノズル509a〜cが設けられている。
【0005】
このようなインクジェット式記録ヘッドの製造技術は、米国特許第5265315号明細書等に示されている。加圧室基板の製造工程では、まず厚さ150μm程度の厚さのシリコン単結晶基板(ウェハ)を、個々の加圧室基板を設けるための単位領域に区分けする。ウェハの一方の面には、加圧室に圧力を加えるための可撓性のある振動板膜が設けられる。さらにこの振動板膜上の加圧室に対応する位置には、圧力を発生する圧電体膜がスパッタ法やゾルゲル法等の薄膜製法により一体的に形成される。ウェハの他方の面には、レジストマスクの形成、エッチングを繰り返し、幅が130μmでウェハの厚みと同じ高さを有する側壁で各々が仕切られた加圧室の集合が形成される。これらの製法により、例えば、従来のインクジェット式記録ヘッドでは、加圧室506a〜cの幅が170μmとし、解像度約90dpi(ドット・パー・インチ)のノズル509の列を、記録用紙に33.7度の角度で向けることにより、300dpiの印字記録密度を達成していた。
【0006】
図3に、前記従来のインクジェット式記録ヘッドの動作原理の説明図を示す。同図は、図2で示したインクジェット式記録ヘッドの主要部に対する電気的な接続関係を示したものである。駆動電圧源513の一方の電極は、配線514を介し、インクジェット式記録ヘッドの共通電極503に接続される。駆動電圧源513の他方の電極は、配線515およびスイッチ516a〜cを介して、各加圧室506a〜cに対応する上部電極505に接続される。
【0007】
同図では、加圧室506bのスイッチ516bのみが閉じられ、他のスイッチ516a、cが開放されている。スイッチ516が開いている加圧室506cは、インク吐出の待機時を示す。吐出時には、スイッチ516が閉じられる(516b)。電圧は、矢印Aに示す圧電体膜504の分極方向と同極性、換言すると分極時の印加電圧の極性と同じように電圧が印加される。圧電体膜504は、厚み方向に膨張すると共に、厚み方向と垂直な方向に収縮する。この収縮で圧電体膜504と振動板膜502の界面に圧縮の剪断応力が働き、振動板膜502および圧電体膜504は同図の下方向にたわむ。このたわみにより、加圧室506bの体積が減少しノズル509bからインク滴512が飛び出す。その後再びスイッチ516を開くと(516a)、たわんでいた振動板膜502等が復元し、加圧室体積の膨張により、図示しないインク供給路より加圧室506aへインクが充填される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例の構造にて、印字記録密度を向上するためには、以下のような問題点を有していた。
【0009】
その第1点として、記録密度を向上することが困難であった。インクジェットプリンタ装置に対しては、高精細に印字する要求が日々高まってきている。この目的に対応するためには、インクジェット式記録ヘッドの一つのノズルから噴射するインク量を少なくし、ノズルを高密度化することが必要不可欠となる。ノズルをスキャン方向に傾ければ、更に印字密度が向上する。加圧室とノズルのピッチは等しい為、高精細印字を達成するためには、加圧室を高密度化して集積する必要がある。例えば、解像度180dpiのインクジェット式記録ヘッドでは、約140μmの加圧室のピッチが必要である。すなわち、インク噴射圧力、噴射量の最適化計算を行うと、加圧室の幅を約100μm、加圧室の側壁の厚さを約40μmとするのが理想的である。
【0010】
ところが、加圧室の側壁には構造上の制約がある。すなわち、ある加圧室に圧力が加えられた際、側壁の高さ、すなわち、ベース基板の厚さが側壁の幅に比べあまりに高いと側壁の剛性が不足する。側壁の剛性が不足すると、側壁がたわみ、本来インクを噴射させるべきでない隣の加圧室からもインクが発射される(以下この現象を「クロストーク」という)。
【0011】
例えば、図3に示すように、加圧室506bに圧力が加えられると、側壁507a、bの剛性が不足しているため、側壁がBの方向にたわむ。すると加圧室506a、cの圧力も上がるため、ノズル509a、cからもインクが吐出してしまう。この現象は、インクジェット式記録ヘッドの解像度を高めれば、高めるほど壁の厚みが薄くなるため顕著になってくる。
【0012】
クロストークを防止するためには、側壁の厚さを大きくすればよい。しかし、インクジェット式記録ヘッドの解像度を高めるという需要に応じるためには、側壁の厚さをあまり厚くすることができない。
【0013】
一方、側壁の高さ、すなわちベース基板の厚さを側壁の厚さに比べ低くして、インク加圧室のコンプライアンスを小さくすることによってもクロストークを防止できる。ところが、製造工程においてウェハを安全に取り扱うためには、ウェハ全体に十分な機械的強度が要求されるため、ウェハには一定の厚さが必要である。例えば直径4インチφのシリコン基板の場合、150μmよりウェハの厚みを薄くすると、ウェハが撓んだり、製造工程中の取扱い(ハンドリング性)が非常に困難になるのである。したがって、解像度を向上させつつ側壁の剛性を確保し、クロストークを防止するのが困難であった。
【0014】
第2点として、工業的に、安価に、インクジェット式記録ヘッドを作成することが困難であった。インクジェット式記録ヘッドの単価を下げるには、ウェハを大面積化(例えば直径6、或いは8インチφ)し、一時に形成できる加圧室基板の数を増やせばよい。ところが、上述したように、ウェハの面積を大きくするほど、必要なウェハ自体の機械的強度を得るためにウェハの厚みを厚くする必要がある。ウェハの厚みを厚くすれば、上述したように、クロストークを防止することができなくなるのである。
【0015】
本発明は係る課題を解決するために、製造中の取り扱いを困難にすることなく、ベース基板を薄くすることができるインクジェット記録式ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、ベース基板の厚みを低減させてクロストークを防止することができるインクジェット記録式ヘッドの製造方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、ベース基板の厚みを自在に管理できるインクジェット記録式ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は係る目的を達成するために、ベース基板にインク加圧室を形成する工程と、この加圧室を加圧する圧電体層を形成する工程と、この圧電体層に対する共通電極を形成する工程と、この圧電体層に対する個別電極を形成する工程と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、前記ベース基板の厚さをインク加圧室の高さより大きい値に設定し、このベース基板を前記圧電体層の形成パターン、例えばドットパターンに合わせてエッチングして前記インク加圧室のパターンを形成する工程と、前記インク加圧室のパターンを形成した後に、前記ベース基板の前記加圧室側全体厚をエッチングして減ずる工程を有することを特徴とするものである。
【0017】
前記ベース基板の当初の厚さは、インク加圧室を形成する迄の製造工程の最中でベース基板のハンドリング性に支障がない程度の値であることが好ましい。すなわち、前記ベース基板の望ましい当初の厚さは、インク加圧室の高さのほぼ2倍以上である。前記ベース基板の当初の厚さは、200μmから2mm厚の範囲である。
【0018】
本発明はさらに、前記ベース基板に前記インク加圧室のパターンでマスクを形成し、このマスクに基づいて当該ベース基板を途中までハーフエッチングし、次いで、このインク加圧室側のベース基板の全体を、前記インク加圧室のエッチングを完成させる過程でエッチングするようにしたことを特徴とするものである。前記インク加圧室が形成されたベース基板は、各チップに分割された後に、前記インク加圧室の先端にインクを吐出するノズル手段が設置される。
【0019】
本発明はさらに、ベース基板にインク加圧室を形成する工程と、この加圧室を加圧する圧電体を形成する工程と、この圧電体に対する共通電極を形成する工程と、この圧電体層に対する個別電極を形成する工程と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、前記インク加圧室を所定のパターンで前記ベース基板をエッチングして形成した後に、前記インク加圧室側のベース基板の全体厚をエッチングするようにしたことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、インク加圧室を形成する際にベース基板の全体厚がエッチングされるために、インク加圧室を形成する迄の製造過程において、ベース基板の厚さを取り扱い性に支障を与えない範囲にすることが可能となり、インク加圧室を形成した時には、ベース基板の厚さを小さくできるので、クロストークの発生を防止することができる。本発明によれば、インクジェット式記録ヘッドの製造に当たって、比較的厚い膜厚のシリコンウエハを使用することができるので、大型のシリコンウエハを使用してインクジェット式記録ヘッドを使用することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図4に、本発明に係るインクジェット式記録ヘッドの全体構成の斜視図を示す。ここでは、インクの共通流路が、加圧室基板内に設けられるタイプを示す。
【0023】
図4に示すように、インクジェット式記録ヘッドは、加圧室基板1、ノズルユニット2及び加圧室基板1が取り付けられる基体3から構成される。
【0024】
加圧室基板1は、本発明に係る製造方法によりシリコン単結晶基板(以下「ウェハ」という)上に形成された後、各々に分離される。加圧室基板1の製造方法の詳細については後述する。加圧室基板1は、複数の短冊状の加圧室106が設けられ、すべての加圧室106にインクを供給するための共通流路110を有する。加圧室106の間は、側壁107により隔てられている。加圧室基板1の基体3側(図4では図示されない面)には、振動板膜が設けられており、振動板膜の基体3側には、振動板膜に圧力を加える圧電体薄膜素子が設けられている。
【0025】
ノズルユニット2は、加圧室基板1に蓋をするように貼り付けられる。加圧室基板1とノズルユニット2とを貼り合わせた際に、加圧室106に対応することになるノズルユニット2上の位置には、インク滴を噴射するためのノズル21が設けられる。各加圧室106には、図示しない圧電体薄膜素子が配置される。各圧電体薄膜素子の電極からの配線は、フラットケーブルである配線基板4に集められ、基体3の外部に取り出される。
【0026】
基体3は、金属等の鋼体であり、インク液を溜めることができると同時に加圧室基板の取り付け台となる。
【0027】
図5に本形態のインクジェット式記録ヘッドの主要部、すなわち、加圧室基板とノズルユニットの層構造を示す。ここでは、インクの共通流路が、加圧室基板ではなく、リザーバ室形成基板に形成されるタイプを示す。
【0028】
加圧室基板1の構造については、後述する。ノズルユニット2は、連通路27が形成された連通路基板26、複数のインク供給孔25を有するインク供給路形成基板24、インクリザーバ室23を有するリザーバ室形成基板22、および複数のノズル21を有するノズル形成基板20によって構成される。圧力室基板1とノズルユニット2とは、接着剤によって接合されている。前記インクリザーバ室23は、図4における共通流路と同等の働きを備える。
【0029】
なお、図5は、簡略化の為、ノズルが1列4ヶで、縦2列に構成した構造図を示すが、実際には、ノズル数、列数には限定されず、どのような組み合わせでもよい。
【0030】
図1(1)乃至(4)は、本発明の第1の実施形態に係わる工程を示すものである。(1)はベース基板10であるシリコン基板上にインク加圧室106のパターンに合わせて圧電体素子(共通電極103+圧電体104+個別電極105)が形成されている。さらに、ベース基板10の圧電体素子が対向している箇所には、二酸化シリコンからなるマスク102がインク加圧室106をエッチングするためのパターンに則して形成されている。先ず、(1)の構造に至るまでのプロセスについて説明する。
【0031】
図6(a)に示すように、所定の大きさと厚み(例えば、直径100mm、厚さ220μm)の(110)面を有するシリコン単結晶基板10に対し、その全面に熱酸化法により二酸化シリコンからなるエッチング保護層(熱酸化膜)102を形成する。
【0032】
圧電体薄膜の形成に関しては、シリコン単結晶基板10の一方の面(能動素子側)のエッチング保護層102表面にスパッタ成膜法等の薄膜形成方法により、共通電極103となる白金を、例えば800nmの厚みで成膜する。この際、白金層とその上下の層の間の密着力を上げるために、極薄のチタン、クロム等を中間層として介してもよい。なお、この共通電極103は振動板膜を兼ねることになる。
【0033】
その上に圧電体膜前駆体104bを積層する。本実施例では、チタン酸鉛とジルコン酸鉛とのモル配合比が55%,45%となるようなPZT系圧電膜の前駆体を、ゾルゲル法にて、最終的に0.9μm厚みとなるまで6回の塗工/乾燥/脱脂を繰り返して成膜した。なお、種々の試行実験の結果、この圧電膜の化学式が、PbCTiAZrB3〔A+B=1〕にて表される化学式中のA、Cが、0.5≦A≦0.6、0.85≦C≦1.10の範囲内で選択すれば、実用に耐えうる圧電性を得ることができた。成膜方法は、本方法に限らず高周波スパッタ成膜やCVD等を用いてもよい。
【0034】
次いで、(b)に示すように、基板全体を圧電体膜前駆体を結晶させるために加熱する。本例では、赤外線輻射光源17を用いて、基板の両面から、酸素雰囲気中で650℃で3分保持した後、900℃で1分加熱し、自然降温させることにより、圧電体膜の結晶化を行なった。この工程により、圧電体膜前駆体24は上記の組成で結晶化および焼結し、圧電体膜104となった。
【0035】
次いで、(c)に示すように、圧電体膜104上に個別電極膜105を形成する。本例では、個別電極105を200nm厚の金をスパッタ成膜法にて形成した。
【0036】
次いで、(d)に示すように、個別電極105および圧電体膜104に対し、加圧室106が形成されるべき位置に合わせて、適当なエッチングマスク(図示せず)を施した。その後、所定の分離形状にイオンミリングを用いて同時に形成した。
【0037】
次いで、(e)に示すように、共通電極103を同じく適当なエッチングマスク(図示せず)を施した後、所定の形状にイオンミリングを用いて形成した。
【0038】
この構造を備えたもののインク加圧室106側にある二酸化シリコンに、インク加圧室のパターンに合わせたフォトリソを施すことにより、図1(1)に示すように、インク室側に二酸化シリコンマスク102が得られた。次いで、(2)の工程では、圧電体と個別電極の上に、フッ素樹脂からなるパッシベーション膜を形成する。
【0039】
(3)の工程では、ベース基板10のインク室106側をウエットエッチングして、前記二酸化シリコンマスク102のパターンにしたがってインク室のパターンを形成する。この際、シリコン基板を振動板103Aまで到達しないように途中までハーフエッチングする。インク室102のパターンを形成するための二酸化シリコンマスク102の膜厚は、シリコン基板10がハーフエッチングされた状態でこの二酸化シリコンマスクがほぼ消失するような範囲に形成される。
【0040】
(3)の状態からさらにエッチングを進めると、二酸化シリコンマスク102が消失した段階で、インク加圧室106側のシリコン基板10がエッチングされる。すなわち、(4)に示すように、ハーフエッチングされたインク加圧室106は、さらにエッチングされて振動板を形成する二酸化シリコン103Aまで到達する。また、インク加圧室に隣接するシリコン基板10自体も同時にエッチングされることにより、インク加圧室106側の基板自体の厚さも減じられていく。この後、基板が各チップ毎に、例えば10mm角のサイズで分割(カッティング)される。さらに、インク加圧室側にノズルプレートを貼着してインクジェット式記録ヘッドが完成される。
【0041】
この一連の工程の流れから分かるように、(1)−(3)の工程までは、ベース基板10の全体の厚さH1を、製造工程におけるベース基板の取り扱いに支障が無い範囲に維持することができる。(4)の工程の後では、ベース基板が個々のチップに分割されるので、基板10の厚さが減じられてもその剛性を損なうことにはならない。この一連の工程によって、二酸化シリコンマスク102の膜厚を制御することにより、ベース基板の膜厚を自由に制御できるため、ベース基板の剛性を維持したまま最終的には、インクジェット式記録ヘッドにおけるベース基板の膜厚を低減できる。その結果、インク加圧室のコンプライアンス(撓み易さの指標)を小さくしてクロストークの発生を防止することができる。
【0042】
ここに説明されたインクジェット式記録ヘッドにおいては、インク加圧室の高さを、100μmにすることが可能となる。すなわち、基板のサイズ(4−8インチφ)が大型化することに伴い、基板の厚みが厚くなっても、ハーフエッチング量は100μmに一定にすることで、常に一定の壁高さを確保できることになる。通常であると、4インチサイズの基板で基板の高さは400μm、8インチサイズで800μmである。
【0043】
図7の(1)−(5)は、本発明に係わる第2の実施形態を示す工程図である。この実施形態が図1に示された第1の実施形態と異なるところは次のとおりである。図7の(2)において、図1の(2)より、インク加圧室を形成するための二酸化シリコンマスクの膜厚が大きく設定されている。換言すれば、インク加圧室の高さを酸化膜の厚さに依存させず、この高さを制御し易いようにする。(3)の工程では、インク加圧室に相当するシリコン基板10を一定の厚さまでハーフエッチングする。その際、インク加圧室に隣接するシリコン基板にはインク室形成用の二酸化シリコンマスク102が残存しているので、(4)の工程に示すように、これをエッチングして除去する。次いで、(5)の工程に示すように、さらに続けて、シリコン基板とインク加圧室を同時にエッチングする。この結果、図1の(4)に示すと同様な構造のインクジェット式記録ヘッドを得ることができる。
【0044】
図1及び図7のハーフエッチングを行う上で最適な条件は、次のとおりである。
【0045】
(3)の工程で、ハーフエッチングする場合、100μmのエッチングを行い、(5)の工程でハーフエチング部が二酸化シリコンに到達するまでエッチングする。最終的にH2の厚さは100μmとなる。また、(3)のエッチング方法は、ウエットの他にドライエッチングでも良い。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造中の取り扱いを困難にすることなく、ベース基板を薄くすることができるインクジェット記録式ヘッドの製造方法を提供することができる。
【0047】
また、本発明によれば、ベース基板の厚みを低減させてインクジェット式記録ヘッドのクロストークを防止することができる。さらに、本発明によれば、ベース基板の厚みを自在に管理できるインクジェット記録式ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインクジェット式記録ヘッドの製造工程図である。
【図2】従来の加圧室基板の加圧室の長手方向に直角な面における断面図である。
【図3】従来の加圧室基板の駆動原理およびその問題点を説明する加圧室の長手方向に直角な面における断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図5】インクジェット式記録ヘッドの主要部、すなわち、加圧室基板とノズルユニットの層構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係わるインクジェット式記録ヘッドの製造工程の途中段階までを示す一部断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係わるインクジェット式記録ヘッドの製造工程図である。
【符号の説明】
1…加圧室基板
2…ノズルユニット
3…基体
4…配線基板
10…シリコン単結晶基板(ウェハ)
102…熱酸化膜(振動板膜)
103…共通電極
104…圧電体膜
105…個別電極
106…加圧室

Claims (8)

  1. ベース基板にインク加圧室を形成する工程と、この加圧室を加圧する圧電体層を形成する工程と、この圧電体層に対する共通電極を形成する工程と、この圧電体層に対する個別電極を形成する工程と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、
    前記ベース基板の厚さをインク加圧室の高さより大きい値に設定し、
    前記ベース基板を前記圧電体層の形成パターンに合わせてエッチングして前記インク加圧室のパターンを形成する工程と、
    前記インク加圧室のパターンを形成した後に、前記ベース基板の前記加圧室側全体厚をエッチングして減ずる工程を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記圧電体層の形成パターンを形成する工程の後に、前記圧電体層と前記個別電極上にパッシベーション膜を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記ベース基板の当初の厚さが、インク加圧室の高さのほぼ2倍以上である請求項1又は2に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記ベース基板に前記インク加圧室のパターンでマスクを形成し、このマスクに基づいて当該ベース基板を途中までハーフエッチングし、次いで、このインク加圧室側のベース基板の全体を、前記インク加圧室のエッチングを完成させる過程でエッチングするようにした請求項1又は2に記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記インク加圧室が形成されたベース基板を各チップに分割した後に、前記インク加圧室の先端にインクを吐出するノズル手段を設置する工程を備える請求項1記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  6. ベース基板にインク加圧室を形成する工程と、この加圧室を加圧する圧電体を形成する工程と、この圧電体に対する共通電極を形成する工程と、この圧電体層に対する個別電極を形成する工程と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方法であって、
    前記インク加圧室を所定のパターンで前記ベース基板をエッチングして形成した後に、前記インク加圧室側のベース基板の全体厚をエッチングするようにしたインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  7. 前記ベース基板をハーフエッチングした後、マスクを除去して、さらにベース基板のエッチングをインク加圧室が完成するまで行った請求項3記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  8. 前記ベース基板をハーフエッチングの際にマスクが消失するように、このマスクの膜厚が設定されている請求項3記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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