JP5265223B2 - 多層光記録媒体用シート、光記録媒体用多層構造体及び多層光記録媒体 - Google Patents

多層光記録媒体用シート、光記録媒体用多層構造体及び多層光記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、多層光記録媒体用シート、光記録媒体用多層構造体及びそれを有する多層光記録媒体に関する。さらに詳しくは、本発明は、各層及び層全体の厚み精度が高く、かつ光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制してクロストークの発生を低減し得る多層光記録媒体を作製するための多層光記録媒体用シート、該シートを用いて形成された光記録媒体用多層構造体、及びこの多層構造体を有する、前記の特性をもつ多層光記録媒体に関するものである。
近年、光記録媒体における記録情報の高密度化を目的として、多光子吸収性材料を利用した多層光記録媒体が提案されている。この多層光記録媒体におけるクロストークを低減するために、光記録層と光記録層の層間に非光記録層を介在させる構成が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながらこのような積層構造のものは通常スピンコート法によって各層を形成し、積層する方法が用いられるが、大面積化が困難であり、材料に制限が生じるなどの問題があった。
このような問題を解決する方法として本発明者らは、多光子吸収性材料により構成される光記録層薄膜シートと感圧接着剤により構成される非光記録層薄膜シートを積層する方法を発明した(例えば、特許文献3参照)。これらのシートを用いる製造方法によれば、簡便にかつ大面積で製造することが可能となった。
しかしながら、この場合、多光子吸収性材料や感圧接着剤の種類、あるいは環境条件によっては、経時により、多光子吸収性材料が、感圧接着剤で構成される非光記録層薄膜シート側に移行、拡散し、クロストークが発生するおそれがあるなどの問題があった。
特開平11−250496号公報 特開2000−67464号公報 特開2005−209328号公報
本発明は、このような事情のもとで、各層及び層全体の厚み精度が高く、かつ光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制してクロストークの発生を低減し得る多層光記録媒体を作製するための多層光記録媒体用シート、該シートを用いて形成された光記録媒体用多層構造体、及びこの多層構造体を有する、前記の特性をもつ多層光記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、色素材料薄膜からなる光記録層と感圧接着剤層とが積層された構造を有し、かつ色素材料薄膜からなる光記録層を構成する色素材料が、ある値以上の分子量を有する高分子量のものである多層光記録媒体用シートにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]複数の光記録層が積層された繰り返し構造を有する多層光記録媒体を作製するためのシートであって、色素材料薄膜からなる光記録層と感圧接着剤層とが積層された構造を有し、かつ上記色素材料薄膜を構成する色素材料が、多光子吸収性材料を含み、分子量が600以上であり、上記感圧接着剤層を構成する感圧接着剤のガラス転移温度Tgが−60〜70℃であることを特徴とする多層光記録媒体用シート、
[2]色素材料の数平均分子量Mnが2,000〜100,000である上記[1]項に記載
の多層光記録媒体用シート、
[3]多光子吸収性材料が、シアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ピラン色素、キノン色素、アントラキノン色素、チリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、ポリエン色素、ジフェニルアミン色素、キナクドリン色素、アズレニウム色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、スチレン系色素、フェニレンビニレン色素、トリフェニルアミン系色素、カルバゾール系色素、ポリ[2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]アクリレート]、1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン、ポリ[4−(2,2−ジシアノビニル)−N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン−アルト−(イソホロンジイソシアナート)]−ウレタンのうちのいずれか1種であることを特徴とする上記[1]又は[2]項に記載の多層光記録媒体用シート、
[4]感圧接着剤の接着力が、500〜50,000mN/25cmである上記[1]〜[]項のいずれかに記載の多層光記録媒体用シート、
]多層光記録媒体を作製する際のラミネート温度が、感圧接着剤のTgよりも10℃以上高く、かつ120℃以下である上記[1]〜[]項のいずれかに記載の多層光記録媒体用シート、
]上記[1]〜[]項のいずれかに記載のシートを用いて形成され、かつ色素材料薄膜からなる光記録層と、感圧接着剤層とが交互に積層されていることを特徴とする光記録媒体用多層構造体、
]内部に位置情報を設けてなる上記[]項に記載の光記録媒体用多層構造体、及び
]上記[]又は[]項に記載の多層構造体を有することを特徴とする多層光記録媒体、
を提供するものである。
本発明によれば、各層及び層全体の厚み精度が高く、かつ光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制してクロストークの発生を低減し得る多層光記録媒体を作製するための多層光記録媒体用シート、該シートを用いて形成された光記録媒体用多層構造体、及びこの多層構造体を有する、前記の特性をもつ多層光記録媒体を提供することができる。
まず、本発明の多層光記録媒体用シート(以下、単にシートと称することがある。)について説明する。
[多層光記録媒体用シート]
本発明の多層光記録媒体用シートは、複数の光記録層が積層された繰り返し構造を有する多層光記録媒体を作製するためのシートであって、色素材料薄膜と感圧接着剤層とが積層された構造を有し、かつ上記色素材料薄膜を構成する色素材料の分子量が600以上であることを特徴とする。
(色素材料薄膜)
本発明のシートにおいては、光記録層である色素材料薄膜を構成する色素材料は、分子量が600以上であることを要する。この分子量が600未満であれば、該シートを用いた多層光記録媒体において、特に湿熱環境下において感圧接着剤層への色素材料の移行を十分に抑制することができず、その結果クロストークの発生が生じ、本発明の目的が達せられない。感圧接着剤層への色素材料の移行抑制の観点から、前記色素材料の好ましい分子量は数平均分子量Mnが2,000以上である。数平均分子量Mnの上限に特に制限はないが、あまり大きすぎると溶解性が悪く、良好な塗工面が得られにくくなるので、通常100,000程度である。
このような高分子量の色素材料は、例えば必要に応じ後述のマトリクスとなる高分子化合物に対して、主鎖あるいは側鎖成分として化学結合させることにより得ることができる。
なお、前記分子量は、分子量が未知の色素材料については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定されるポリスチレン換算の値である。
本発明のシートにおいて、光記録層である色素材料薄膜を構成する材料については、分子量が600以上であって、多光子吸収性材料を含むものが好ましく、特に制限されず、従来光記録媒体における光記録層の構成材料として知られている材料の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
多光子吸収性材料とは、2つ以上の光子を同時に吸収し、励起状態へと遷移する性質を有する化合物を意味する。その中でも実用に十分な記録感度を得るという観点から、二光子吸収断面積が0.1GM以上の二光子吸収性材料を含むものが好ましく、特に100GM以上の二光子吸収性材料を含むものがさらに好ましい。このような材料としては、例えば多光子吸収性材料を単独で構成したものや、例えば多光子吸収性材料と、励起された多光子吸収性材料からのエネルギー移動によって変化を起こす他の反応性化合物とで構成したもの、これらを必要に応じマトリクスに配合した材料で構成してもよい。なお、前記「GM」は、10-50cm4・s・molecule-1・photon-1を意味する。
前記マトリクスを構成する材料は、無機材料であっても有機材料であってもよいが、本発明のシートの製造の簡便さや、材料の選択肢の多さなどの点から、有機系の高分子材料が好ましい。この高分子材料はホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、そのモノマーの種類、分子量、重合形態などについては特に制限はない。
<高分子材料>
前記高分子材料の具体例としては、各種ポリエチレン、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン/環状オレフィン共重合体、環状オレフィン系樹脂などのポリオレフィン類、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体又はその金属塩、ポリメチルメタクリレート、脂環式アクリル樹脂などのポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン、パーフルオロアルケニルビニルエーテル重合体などのフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、オレフィン/N−置換マレイミド共重合体、アリルカーボネート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。これらの高分子材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<多光子吸収性材料>
前記多光子吸収性材料としては特に制限はなく、様々な化合物を用いることができる。当該多光子吸収性材料としては、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ピラン色素、キノン色素、アントラキノン色素、チリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、ポリエン色素、ジフェニルアミン色素、キナクドリン色素、アズレニウム色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、スチレン系色素、フェニレンビニレン色素、トリフェニルアミン系色素、カルバゾール系色素などが挙げられる。
この多光子吸収性材料は、前記のマトリクスとなる高分子化合物に対して、主鎖あるいは側鎖成分として化学結合したものであってもよいし、単にマトリクス中に分散あるいは溶解していてもよい。主鎖あるいは側鎖成分として化学結合したものとして、ポリ[2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]アクリレート]、ポリ[4−(2,2−ジシアノビニル)−N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン−アルト−(イソホロンジイソシアナート)]−ウレタンなどが挙げられる。
このような多光子吸収性化合物を用いて記録する方式としては、例えば、アゾ基やC=C基、C=N基含有化合物のように、光によって異性化する材料や、(メタ)アクリレート化合物のように光によって重合反応を起こす材料、有機フォトクロミック材料のように光によって可逆的な構造変化を起こす材料、光によって電荷分布が起こる有機リフラクティブ材料などを用いて屈折率変調を読み取る方式や、光によって蛍光特性が変化する材料を用いて蛍光を読み取る方式、光によって酸を発生する材料と酸発色性色素の組み合わせや、消色剤と消色性色素を組み合わせて、吸収率変調や屈折率変調を読み取る方式などが挙げられる。これらの記録方式において、多光子吸収性化合物自身が、このような光反応性を有していても良いし、多光子吸収によって励起された多光子吸収性化合物から、他の反応性化合物へのエネルギー移動によって反応を起こしても良い。
本発明のシートにおいては、前記色素材料薄膜の厚さについては特に制限はないが、通常0.04〜50μm程度、好ましくは0.05〜10μmである。
(感圧接着剤層)
本発明のシートにおいて、感圧接着剤層を構成する感圧接着剤は、ガラス転移温度Tgが−60〜70℃の範囲にあるものが好ましい。このTgが−60℃未満では、一般に感圧接着剤の染み出しの問題が生じるようになる。一方、該Tgが70℃を超えると感圧接着剤層の接着力が著しく低下し、接着剤層としての機能を発揮することができなくなるおそれがある。好ましいTgは、−50〜90℃の範囲である。
本発明における感圧接着剤としては、光学用途の面からアクリル系感圧接着剤が好ましい。
このアクリル系感圧接着剤としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル系共重合体及び架橋剤を含むものを用いることができる。
<(メタ)アクリル酸エステル系共重合体>
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有するモノマーと、所望により用いられる他のモノマーとの共重合体を好ましく挙げることができる。
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、活性水素をもつ官能基を有するモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる他のモノマーの例としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量は、重量平均分子量で30万〜200万の範囲が好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
本発明においては、この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<架橋剤>
アクリル系感圧接着剤における架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系感圧接着剤において架橋剤として慣用されているもの、例えばポリイソシアナート化合物、エポキシ樹脂、アジリジン系化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などの中から、適宜選択することができるが、感圧接着剤層の変色(黄変)に起因する光透過率の変化が起きにくく、レーザ照射による変質が生じにくい脂環式ポリイソシアナート系化合物、脂肪族ポリイソシアナート系化合物、脂環式エポキシ系化合物、脂肪族エポキシ系化合物、金属キレート化合物又は脂肪族アジリジン系化合物が好ましい。
金属キレート化合物としては、特に制限はなく、アクリル系感圧接着剤における金属キレート系化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができる。この金属キレート系化合物には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズなどのキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。
脂環式ポリイソシアナート系化合物や脂肪族ポリイソシアナート系化合物としては、例えばイソホロンジイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、シクロペンチレンジイソシアナート、シクロヘキシレンジイソシアナート、メチルシクロヘキシレンジイソシアナート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。
脂環式エポキシ系化合物や脂肪族エポキシ系化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエステル、アジピン酸グリシジルエステル、セバシン酸グリシジルエステルなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えばジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレートなどが挙げられる。
脂肪族アジリジン系化合物としては特に制限はなく、アクリル系感圧接着剤における脂肪族アジリジン系化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができる。脂肪族アジリジン系化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(2−メチル−1−アジリジンプロピオネート)、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、2,2'−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、などが挙げられる。
本発明においては、前記の脂環式ポリイソシアナート系化合物、脂肪族ポリイソシアナート系化合物、脂環式エポキシ系化合物、脂肪族エポキシ系化合物、金属キレート化合物及びアジリジン系化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、感圧接着剤としての性能の観点から、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜3.0質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部の範囲で選定される。
当該感圧接着剤には、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤などを添加することができる。
本発明のシートにおける感圧接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常1〜100μm程度、好ましくは2〜30μmである。
本発明のシートにおいては、必要に応じ、該シートを補強するための透明樹脂層や、多層光記録媒体内部に位置情報を設けるために、記録ピット及び/又はグルーブとして表面に凹凸を有する位置情報付与層、さらには光導波層、反射層、誘電体層などを存在させてもよい。
この場合、例えば前記透明樹脂層は、色素材料薄膜と感圧接着剤との間又は色素材料薄膜上に設けることができ、また位置情報付与層は、それを形成させる利便性の観点から、感圧接着剤層とは反対側の最外層に設けるのが有利である。
(透明樹脂層)
本発明のシートにおいては、所望により透明樹脂層を設けることで、該シートが補強され、その結果、該シートを積層して、本発明の多層構造体や多層光記録媒体を作製する際に、前記色素材料薄膜層にしわが生じるのを抑制することができる。
当該透明樹脂層の材料については、透明性を有し、かつ補強性を効果的に発揮し得ると共に、本発明のシートの光学特性を損なうことのない材料であればよく、特に制限はない。このような材料としては、例えばトリアセチルセルロース、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、変性アクリル系樹脂、光重合性オリゴマーの硬化物、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどを挙げることができるが、これらの中で複屈折の少ないものが好ましく、具体的にはトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好適である。
本発明においては、透明樹脂層は、前記樹脂材料をフィルム状の形態で用いて形成してもよいし、前記樹脂材料を含む塗工液を用いるコーティング法によって形成してもよい。
本発明においては、前記材料からなる透明樹脂層は、シートの補強効果及び光記録媒体としての信頼性の観点から、ガラス転移温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70〜250℃であり、また破断伸度が、好ましくは300%未満、より好ましくは250%以下、さらに好ましくは1〜200%である。厚さは、補強効果を有し、しわの発生を効果的に防止し得ると共に、実用的な記録密度を得る観点から、1〜100μmが好ましく、より好ましくは2〜90μm、さらに好ましくは2〜80μmである。
この透明樹脂層のガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠し、入力補償示差走査熱量測定装置[パーキンエルマー社製、装置名「Pyrisl DSG」]を用いて、−80℃から250℃の温度範囲で、捕外ガラス転移開始温度を測定し、ガラス転移温度(Tg)とした値である。また、破断伸度は、JIS K 7161及びJIS K 7127に準拠して測定した試料が降伏点を持たない場合には引張り破壊ひずみを、降伏点を持つ場合には引張り破壊呼びひずみを破断伸度とした値である。
当該透明樹脂層は、その上に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施したものであってもよい。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は透明樹脂層の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
(位置情報付与層)
本発明のシートに所望により設けることのできる位置情報付与層は、その形成方法に特に制限はないが、例えば感圧接着剤層とは反対側の最外層に、エネルギー線硬化型転写層を設け、これに記録ピット及び/又はグルーブとして、表面に凹凸を有するスタンパの形状を転写したのち、エネルギー線を照射して硬化させることにより、形成することができる。前記エネルギー線硬化型転写層は、エネルギー線硬化型高分子材料を用いて形成することができる。
本発明において、エネルギー線硬化型高分子材料とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋する高分子材料を指す。
本発明で用いる前記エネルギー線硬化型高分子材料としては、例えば(1)アクリル系重合体とエネルギー線硬化型重合性オリゴマー及び/又は重合性モノマーと所望により光重合開始剤を含む高分子材料、(2)側鎖に重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型官能基が導入されてなるアクリル系重合体と所望により光重合開始剤を含む高分子材料などを挙げることができる。
前記(1)の高分子材料において、アクリル系重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、所望により用いられる活性水素をもつ官能基を有する単量体及び他の単量体との共重合体、すなわち(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を好ましく挙げることができる。
前記エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステル、活性水素をもつ官能基を有する単量体及び他の単量体については、前述のアクリル系感圧接着剤の説明において示したとおりである。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体中、(メタ)アクリル酸エステル成分は、通常5〜100質量%程度、好ましくは50〜95質量%含有され、活性水素をもつ官能基を有する単量体成分は、通常0〜95質量%程度、好ましくは5〜50質量%含有される。また、その他単量体成分は、0〜30質量%程度含有することができる。
当該高分子材料において、アクリル系重合体として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量は、重量平均分子量で5万以上が好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。
本発明においては、この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エネルギー線硬化型重合性オリゴマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ポリオールアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記重合性オリゴマーの重量平均分子量は、GPC法で測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜70,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲で選定される。
この重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、エネルギー硬化型重合性モノマーとしては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの単官能性アクリレート類、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性アクリレート類が挙げられる。これらの重合性モノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの重合性オリゴマーや重合性モノマーの配合量は、通常(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の固形分100質量部に対し、3〜400質量部程度である。
また、エネルギー線として、通常紫外線又は電子線が照射されるが、紫外線を照射する際には、光重合開始剤を用いることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン]などが挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
配合量は、上述のエネルギー線硬化型高分子材料の固形分100質量部に対し、通常0.1〜10質量部である。
次に、前記(2)の高分子材料において、側鎖にラジカル重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型官能基が導入されてなるアクリル系重合体としては、例えば前述の(1)の高分子材料において説明したアクリル系重合体のポリマー鎖に−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH2などの活性点を導入し、この活性点とラジカル重合性不飽和基を有する化合物を反応させて、該アクリル系重合体の側鎖にラジカル重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型官能基を導入してなるものを挙げることができる。
アクリル系重合体に前記活性点を導入するには、該アクリル系重合体を製造する際に、−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH2などの官能基と、ラジカル重合性不飽和基とを有する単量体又はオリゴマーを反応系に共存させればよい。
具体的には、前述の(1)の高分子材料において説明したアクリル系重合体を製造する際に、−COOH基を導入する場合には(メタ)アクリル酸などを、−NCO基を導入する場合には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアナートなどを、エポキシ基を導入する場合には、グリシジル(メタ)アクリレートなどを、−OH基を導入する場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレートなどを、−NH2基を導入する場合には、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどを用いればよい。
これらの活性点と反応させるラジカル重合性不飽和基を有する化合物としては、例えば2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアナート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどの中から、活性点の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。
このようにして、アクリル系重合体の側鎖に、前記活性点を介してラジカル重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化型官能基が導入されてなるアクリル系重合体、すなわち(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が得られる。
このエネルギー線硬化型官能基が導入された(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、重量平均分子量が100,000以上のものが好ましく、特に300,000以上のものが好ましい。なお、上記重量平均分子量は、GPC法により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。
また、所望により用いられる光重合開始剤としては、前述の(1)の高分子材料の説明において例示した光重合開始剤を用いることができる。
本発明のシートにおいては、エネルギー線硬化型転写層の厚さは、通常2〜50μm程度、好ましくは3〜30μmである。
(多層光記録媒体用シートの構造)
本発明の多層光記録媒体用シートにおいては、例えば前述のように、色素材料薄膜と感圧接着剤層と、所望により設けられる透明樹脂層及び/又は位置情報付与層などを有し、かつ所望により設けられる位置情報付与層と、感圧接着剤層は、それぞれ最外側に配設された構造を有している。そして、前記の位置情報付与層を形成するためのエネルギー線硬化型転写層及び感圧接着剤層には、それらを保護するために、それぞれの表面に剥離フィルムを貼付することができる。
所望により設けられる透明樹脂層は、感圧接着剤層と色素材料薄膜との間、又は色素材料薄膜とエネルギー線硬化型転写層との間に介在させることができるが、前述した透明樹脂層の機能を効果的に発現させる観点から、色素材料薄膜とエネルギー線硬化型転写層との間に介在させることが好ましい。
前記剥離フィルムとしては、特に制限はないが、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、及びこれらのポリオレフィンフィルムやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムなどにシリコーン樹脂などの剥離剤を塗布して剥離剤層を設けたものなどが挙げられる。また、これらの剥離フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
図1〜図4は、それぞれ本発明の多層光記録媒体用シートの異なる例を示す断面図であって、図1で示される本発明の多層光記録媒体用シート10は、色素材料薄膜1と感圧接着剤層2とが積層されていると共に、その両面に、それぞれ第1剥離フィルム3及び第2剥離フィルム4が貼着された構造を有している。
図2で示される本発明の多層光記録媒体用シート10aは、色素材料薄膜1と感圧接着剤層2とが積層されていると共に、色素材料薄膜1上に、さらに透明樹脂層5が積層され、かつ感圧接着剤層2側に第2剥離フィルム4が貼着された構造を有している。
図3で示される本発明の多層光記録媒体用シート10bは、色素材料薄膜1と感圧接着剤層2とが積層されていると共に、色素材料薄膜1側に、表面に記録ピット及び/又はグルーブ6a(位置情報)が設けられた硬化転写層6が積層され、かつ感圧接着剤層2側に第2剥離フィルム4が貼着された構造を有している。
図4で示される本発明の多層光記録媒体用シート10cは、色素材料薄膜1と感圧接着剤層2とが積層されていると共に、色素材料薄膜1側に、さらに透明樹脂層5及び表面に記録ピット及び/又はグルーブ6a(位置情報)が設けられた硬化転写層6が順に積層され、かつ感圧接着剤層2側に第2剥離フィルム4が貼着された構造を有している。
なお、前記透明樹脂層らを、光導波層、反射層、誘電体層などに置き換えることができる。
(多層光記録媒体用シートの作製)
図1に示す本発明の多層光記録媒体用シート10は、以下のようにして作製することができる。
まず、第1剥離フィルム3の剥離性を有する面上に、色素材料薄膜形成用材料を適当な濃度で含む塗工液を、公知の塗布手段、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、乾燥塗膜の厚さが所定の厚さになるように塗布、乾燥して色素材料薄膜1を形成させ、色素材料薄膜1と第1剥離フィルム3との色素材料シートAを作製する。
一方、第2剥離フィルム4の剥離剤層上に、感圧接着剤塗工液を、公知の方法、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、乾燥塗膜の厚さが所定の厚さになるように塗布、乾燥して感圧接着剤層2を形成させ、その上に仮付け剥離フィルムを貼着させることにより、両面剥離フィルム付き感圧接着剤層2を作製する。
次に、この両面剥離フィルム付き感圧接着剤層2の仮付け剥離フィルムを剥がし、感圧接着剤層2の露出面に、前記色素材料シートAの色素材料薄膜1が接するように貼合することにより、図1で示す多層光記録媒体用シート10が得られる。
図2に示される多層光記録媒体用シート10aは、以下のようにして作製することができる。
透明樹脂層となる樹脂フィルムの一方の面に、色素材料薄膜形成用材料を適当な濃度で含む塗工液を、前記と同様にして、乾燥塗膜の厚さが所定の厚さになるように塗布、乾燥して色素材料薄膜を形成させ、色素材料薄膜と透明樹脂層との色素材料シートBを作製する。
次いで、前記のようにして得られた両面剥離フィルム付き感圧接着剤層2の仮付け剥離フィルムを剥がし、感圧接着剤層2の露出面に、上記色素材料シートBの色素材料薄膜1が接するように貼合することにより、図2で示される多層光記録媒体用シート10aが得られる。
図3で示される多層光記録媒体用シート10bは、以下のようにして作製することができる。
まず、エネルギー線硬化型転写層を形成するための塗工液(以下、転写層形成用塗工液と称する。)を調製する。この転写層形成用塗工液は、前述したエネルギー線硬化型高分子材料と共に、所望により、架橋剤、粘着付与剤、酸化安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤などを、適当な溶媒中に、塗工に適した濃度になるように溶解又は分散させることにより、調製することができる。
このようにして調製された転写層形成用塗工液を、第3剥離フィルムの剥離剤層上に、公知の方法、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、乾燥塗膜の厚さが所定の厚さになるように塗布、乾燥してエネルギー線硬化型転写層を形成させ、該転写層と第3剥離フィルムとの積層体Cを作製する。
一方、前記で得られた図1で示される多層光記録媒体用シート10の剥離フィルム3を剥がし、色素材料薄膜1を露出させる。次いで、この露出した色素材料薄膜1面に、前記積層体Cのエネルギー線硬化型転写層面を貼合させたのち、第3剥離フィルムを剥がし、エネルギー線硬化型転写層面を露出させる。次に、表面に記録ピット及び/又はグルーブパターンが刻まれたスタンパの凹凸形状面が、エネルギー線硬化型転写層に接するように、ゴムローラーなどで圧着したのち、エネルギー線を照射して、該転写層を硬化させ、その後、前記スタンパを剥がして取る。
エネルギー線としては、通常紫外線又は電子線が用いられる。紫外線は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、キセノンランプなどで得られ、一方、電子線は電子線加速器などによって得られる。このエネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。このエネルギー線の照射量としては、例えば紫外線の場合には、光量で100〜5,000mJ/cm2が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
このようにして、エネルギー線硬化型転写層は、表面に記録ピット及び/又はグルーブ6aが設けられた硬化転写層6となり、図3で示される多層光記録媒体用シート10bが得られる。
図4で示される多層光記録媒体用シート10cは、以下のようにして作製することができる。
前記図3で示される多層光記録媒体用シート10bの作製の場合と同様にして、まずエネルギー線硬化型転写層と第3剥離フィルムとの積層体Cを作製する。
次に、前記で得られた図2で示される多層光記録媒体用シート10aの透明樹脂層5面に、前記積層体Cのエネルギー線硬化型転写層面を貼合させたのち、第3剥離フィルムを剥がし、エネルギー線硬化型転写層面を露出させる。次に、表面に記録ピット及び/又はグルーブパターンが刻まれたスタンパの凹凸形状面が、エネルギー線硬化型転写層に接するように、ゴムローラーなどで圧着したのち、エネルギー線を照射して、該転写層を硬化させ、その後、前記スタンパを剥がして取ることにより、図4で示される多層光記録媒体用シート10cが得られる。
次に、本発明の光記録媒体用多層構造体について説明する。
[光記録媒体用多層構造体]
本発明の光記録媒体用多層構造体は、前述した本発明のシートを用いて形成されてなる、色素材料薄膜と感圧接着剤層が交互に積層されてなる2層構造ユニットが複数積層された構造、あるいは表面に記録ピット及び/又はグルーブが設けられた硬化転写層と色素材料薄膜と感圧接着剤層とが順に積層された3層構造のユニットや、前記3層構造のユニットにおいて、硬化転写層と色素材料薄膜との間、又は色素材料薄膜と感圧接着剤層との間に透明樹脂層を介在させてなる4層構造のユニットが、感圧接着剤層を介して、複数積層された構造などを有している。
本発明の多層構造体における前記ユニットの積層数は特に制限はないが、通常2〜200層程度、好ましくは3〜100層である。1層では十分な記録密度が得られず、200層を超えると各層での光の吸収や層間での光の反射などによって情報の書き込みや読み込みに不具合を生じる可能性がある。
なお、本発明の多層光記録媒体用シートを用いてラミネートする場合、ラミネート温度は、感圧接着剤のTgよりも10℃以上高く、かつ120℃以下であることが好ましく、該Tgよりも10℃以上高く、かつ115℃以下であることがより好ましい。このような範囲の温度でラミネートすることにより、色素材料の劣化を抑制すると共に、容易にラミネートが可能となる。
図5は、本発明の光記録媒体用多層構造体の構成の1例を示す断面図であり、光記録媒体用多層構造体20は表面に記録ピット及び/又はグルーブ(位置情報)6a(図示せず)が設けられた硬化転写層6を備えたガラス板やポリカーボネート樹脂などからなる基板7上に、感圧接着剤層と色素材料薄膜が交互に多層積層されて、感圧接着剤層2−1、色素材料薄膜1−1、感圧接着剤層2−2、色素材料薄膜1−2、感圧接着剤層2−3、色素材料薄膜1−3、・・・・・・感圧接着剤層2−n、色素材料薄膜1−nが設けられ、さらに最上層に第1剥離フィルム3が設けられた構造を有する。
このような構造の光記録媒体用多層構造体20は、例えば前記図1の多層光記録媒体用シート10から、第2剥離フィルム4を剥がし、露出した感圧接着剤層2(図5では感圧接着剤層2−1)と、基板7上の硬化転写層6が対面するようにして、両者を接合させる。次いで、この積層体から、第1剥離フィルム3を剥離して色素材料薄膜1−1を露出させ、この色素材料薄膜1−1と、別の多層光記録媒体用シート10から、第2剥離フィルム4を剥がして露出した感圧接着剤層2(図5では、感圧接着剤層2−2)とが対面するようにして両者を接合させる。以下同様の手順で順次積層を繰り返すことにより、色素材料薄膜がn層積層されてなる光記録媒体用多層構造体20が得られる。
なお、ガラス板やポリカーボネート樹脂などからなる基板7上に、表面に記録ピット及び/又はグルーブ(位置情報)が設けられた硬化転写層6を形成させるには、以下に示す方法を用いることができる。
まず、前述で説明したように、エネルギー線硬化型転写層形成用塗工液を調製し、この塗工液を、基板7の表面に、公知の方法、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、乾燥塗膜の厚さが所定の厚さになるように塗布、乾燥してエネルギー線硬化型転写層を形成させる。次いで、表面に記録ピット及び/又はグルーブパターンが刻まれたスタンパの凹凸形状面が、エネルギー線硬化型転写層に接するように、ゴムローラーなどで圧着したのち、エネルギー線を照射して、該転写層を硬化させ、その後、前記スタンパを剥がして取る方法を用いることができる。
このようにして得られた光記録媒体用多層構造体20には、最上層に、第1剥離フィルム3が設けられているが、本発明においては、この第1剥離フィルム3を剥がし、別の光透過性保護フィルムや感圧接着剤層付きの光透過性保護フィルムを貼付することができる。この光透過性保護フィルムについては特に制限はなく、従来、光記録媒体の保護フィルムとして慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。この保護フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜600μm程度、好ましくは20〜150μmである。また、前記感圧接着剤層を構成する感圧接着剤としては、アクリル系感圧接着剤が好ましい。この感圧接着剤層の厚さは、通常5〜60μm程度である。
本発明はまた、前記の光記録媒体用多層構造体を有する光記録媒体をも提供する。
本発明の光記録媒体における情報の記録・再生方法については特に制限はなく、多層光記録媒体における情報の記録・再生方法として従来公知の方法の中から、適宜選択して用いることができる。
本発明の光記録媒体は、各層及び層全体の厚み精度が高く、かつ光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制してクロストークの発生を低減し得るなどの優れた特性を有している。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)感圧接着剤のガラス転移温度
各例で得られた感圧接着剤を示差走査熱量測定装置[ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSC Q2000」]により昇温・降温速度20℃/分で測定した。
(2)色素材料分子量及び数平均分子量
分子量が不明な色素材料はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定し、ポリスチレン換算で表した。
(3)色素材料の移行性
剥離フィルム/色素材料薄膜層(0.5μm)/感圧接着剤層(7μm)/剥離フィルムによって構成される多層光記録媒体用シートの、色素材料薄膜層の非貼付面側から感圧接着剤層の赤外吸収スペクトルを、フーリエ変換赤外分光分析装置[Perkin Elmer社製、「Spectrum One」]を使用したダイヤモンドATR法により測定した。
次に、赤外吸収スペクトル測定後の多層光記録媒体用シートを80℃、90%RHの湿熱環境化で24時間放置し移行を促進させた。その後、色素材料薄膜層の非貼付面側から感圧接着剤層の赤外吸収スペクトルをフーリエ変換赤外分光分析装置[Perkin Elmer社製、「Spectrum One」]を使用したダイヤモンドATR法により測定した。
得られた赤外吸収スペクトルにおいて、色素材料由来のベンゼン環のピークである1600cm-1のピーク面積を、湿熱促進前を(B)、湿熱促進後を(A)とし、吸収ピーク面積を比較した。|(A)−(B)|≦0.06であれば移行が無い、|(A)−(B)|>0.06であれば、移行性が有ると判断した。
(4)クロストーク
色素材料移行性の試験において使用した積層サンプルの感圧接着剤層側の剥離フィルムを剥がして露出した感圧接着剤層にポリビニルアルコール[日本合成化学工業社製:「ゴーセノール T−350」]の光透過性保護フィルム(20μm)を設け、チタンサファイアフェムト秒レーザ(波長760nm)を光源とする共焦点光学系で、色素材料薄膜層にレーザ光照射を25回行った。レーザ光の平均強度は60(mW)とし、照射時間は128ミリ秒(秒)とした。次いで、共焦点レーザ走査顕微鏡[カールツァイス社製:「LSM5 PASCAL」]において、633nm He−Neレーザを使用して、色素材料薄膜と接していない感圧接着剤層側における照射箇所直上面の観察を行った。通常この層には、記録がないはずであるが、色素材料が移行した場合記録スポットができる、いわゆるクロストークが観察される。25点中感圧接着剤層に記録スポットが観察された数を調査した。
(5)接着力
感圧接着剤の接着力測定は、各例で得られた感圧接着シートの剥離フィルムを剥離してポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績株式会社製、「コスモシャイン A4100」](50μm)と貼り合わせ、さらに逆側の剥離フィルムを剥離し感圧接着剤層を試験板(PMMA板)に圧着した後、JIS Z 0327に準じて180°引き剥がし粘着力を接着力として測定した。
<色素材料シートの作製>
製造例1
色素材料としてポリ[2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]アクリレート][アルドリッチ社製:Poly(Disperse Red13 acrylate)]10g、クロロホルム45g及びシクロヘキサノン45gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材にアルキド樹脂剥離層を設けてなる第1剥離フィルムの剥離層面に、上記塗工液をグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させた。得られた塗膜の厚さは約0.5μmであった。このシートを色素材料シートaとする。
製造例2
色素材料シートとして1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン[東京化成工業(株)製]10g、トルエン90gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートbを得た。
製造例3
色素材料としてポリ[4−(2,2−ジシアノビニル)−N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン−アルト−(イソホロンジイソシアナート)]−ウレタン[アルドリッチ社製]10g、テトラヒドロフラン90gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートcを得た。
製造例4
色素材料として2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]エタノール[アルドリッチ社製:Disperse Red13]10g、クロロホルム45g及びシクロヘキサノン45gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートdを得た。
製造例5
色素材料として2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]アクリレート[アルドリッチ社製:Disperse Red13 acrylate]10g、クロロホルム45g及びシクロヘキサノン45gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートeを得た。
製造例6
色素材料としてトリ−P−トリルアミン[東京化成工業(株)製]10g、クロロホルム45g及びシクロヘキサノン45gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートfを得た。
製造例7
質量比率1:1で色素材料としてDisperse Red13[アルドリッチ社製]とバインダーとしてポリメチルメタクリレート[アルドリッチ社製、重量平均分子量(Mw):350000]を混合したこの混合物10gに、クロロホルム45g及びシクロヘキサノン45gを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した以外、製造例1と同様の方法にて色素材料シートgを得た。
<両面剥離フィルム付き感圧接着剤層(感圧接着剤シート)の作製>
製造例8
n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(組成質量比96/4、重量平均分子量;50万)の酢酸エチル溶液100g(固形分濃度30質量%)にアルミキレート系架橋剤[綜研化学社製、商品名「M−5A」、固形分濃度5質量%]8gを加えて均一になるまで撹拌し、塗工液とした。
次にナイフコーターを用いて上記の塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーン剥離剤層を設けた第2剥離フィルム(厚み38μm)の剥離剤層面にキャストし、90℃で1分間乾燥した。その後、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコーン樹脂からなる剥離剤層を設けた仮付け剥離フィルムの剥離剤層面とゴムローラーを用いて貼り合わせ、感圧接着剤シートAとした。得られた感圧接着剤層の厚みは、およそ7.0μmであった。
製造例9
n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体(組成質量比:70/20/10、重量平均分子量;50万)の酢酸エチル溶液100g(固形分濃度30質量%)にヘキサメチレンジイソシアナート系架橋剤[東洋インキ社製、商品名「BXX4773」、固形分濃度37.5質量%]1gを加えて均一になるまで撹拌し、塗工液とした以外、製造例8と同様の方法にて感圧接着剤シートBを得た。
製造例10
n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体(組成質量比:60/30/10、重量平均分子量;50万)の酢酸エチル溶液100g(固形分濃度30質量%)にヘキサメチレンジイソシアナート系架橋剤[東洋インキ社製、商品名「BXX4773」、固形分濃度37.5質量%]1gを加えて均一になるまで撹拌し、塗工液とした以外、製造例8と同様の方法にて感圧接着剤シートCを得た。
製造例11
n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体(組成質量比:50/40/10、重量平均分子量;50万)の酢酸エチル溶液100g(固形分濃度30質量%)にヘキサメチレンジイソシアナート系架橋剤[東洋インキ社製、商品名「BXX4773」、固形分濃度37.5質量%]1gを加えて均一になるまで撹拌し、塗工液とした以外、製造例8と同様の方法にて感圧接着剤シートDを得た。
実施例1
製造例8の感圧接着剤シートAから第2剥離フィルムを剥離し、色素材料シートaと貼り合わせ、2本のゴムロールで室温(25℃)にて圧着し、多層光記録媒体用シートを作製し、これを用いて色素材料の移行性、クロストークの試験を行った。
また、感圧接着剤シートAから接着力を確認するためのシートを作製した。
これらの結果を第1表に示す。
実施例2〜12及び比較例1〜4
第1表に示す感圧接着剤シート及び色素材料シートを用い、実施例1と同様な操作を行い、移行性の有無、クロストーク及び接着力を評価した。結果を第1表に示す。
Figure 0005265223
第1表から分かるように、本発明のシート(実施例1〜12)は、いずれも色素材料の移行がなく、クロストークが発生しない。これに対し、比較例1〜4のシートは、いずれも色素材料の移行が認められ、クロストークが発生している。
本発明の多層光記録媒体用シートは、各層及び層全体の厚み精度が高く、かつ湿熱環境下においても光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制してクロストークの発生を低減し得る多層光記録媒体を作製することができる。
本発明の多層光記録媒体用シートの1例の構成を示す断面図である。 本発明の多層光記録媒体用シートの異なる例の構成を示す断面図である。 本発明の多層光記録媒体用シートの別の異なる例の構成を示す断面図である。 本発明の多層光記録媒体用シートの別の異なる例の構成を示す断面図である。 本発明の光記録媒体用多層構造体の構成の1例を示す断面図である。
符号の説明
1、1−1、1−2、1−3、1−n 色素材料薄膜
2、2−1、2−2、2−3、2−n 感圧接着剤層
3 第1剥離フィルム
4 第2剥離フィルム
5 透明樹脂層
6 硬化転写層
6a 記録ピット及び/又はグルーブ
7 基板
10、10a、10b、10c 多層光記録媒体用シート
20 光記録媒体用多層構造体

Claims (8)

  1. 複数の光記録層が積層された繰り返し構造を有する多層光記録媒体を作製するためのシートであって、色素材料薄膜からなる光記録層と感圧接着剤層とが積層された構造を有し、かつ上記色素材料薄膜を構成する色素材料が、多光子吸収性材料を含み、分子量が600以上であり、上記感圧接着剤層を構成する感圧接着剤のガラス転移温度Tgが−60〜70℃であることを特徴とする多層光記録媒体用シート。
  2. 色素材料の数平均分子量Mnが2,000〜100,000である請求項1に記載の多層光記録媒体用シート。
  3. 多光子吸収性材料が、シアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ピラン色素、キノン色素、アントラキノン色素、チリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、ポリエン色素、ジフェニルアミン色素、キナクドリン色素、アズレニウム色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、スチレン系色素、フェニレンビニレン色素、トリフェニルアミン系色素、カルバゾール系色素、ポリ[2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]アクリレート]、1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン、ポリ[4−(2,2−ジシアノビニル)−N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン−アルト−(イソホロンジイソシアナート)]−ウレタンのうちのいずれか1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層光記録媒体用シート。
  4. 感圧接着剤の接着力が、500〜50,000mN/25cmである請求項1〜のいずれか1項に記載の多層光記録媒体用シート。
  5. 多層光記録媒体を作製する際のラミネート温度が、感圧接着剤のTgよりも10℃以上高く、かつ120℃以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の多層光記録媒体用シート。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のシートを用いて形成され、かつ色素材料薄膜からなる光記録層と、感圧接着剤層とが交互に積層されていることを特徴とする光記録媒体用多層構造体。
  7. 内部に位置情報を設けてなる請求項に記載の光記録媒体用多層構造体。
  8. 請求項6又は7に記載の多層構造体を有することを特徴とする多層光記録媒体。
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