JPH11254827A - 情報記録方法およびその方法に使用する光記録媒体 - Google Patents
情報記録方法およびその方法に使用する光記録媒体Info
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- JPH11254827A JPH11254827A JP10059313A JP5931398A JPH11254827A JP H11254827 A JPH11254827 A JP H11254827A JP 10059313 A JP10059313 A JP 10059313A JP 5931398 A JP5931398 A JP 5931398A JP H11254827 A JPH11254827 A JP H11254827A
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- Optical Recording Or Reproduction (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 記録パワーが低く、高出力で記録感度良好
に、情報を記録する方法を提供する。 【解決手段】 トリフルオロメチル基を有する基を置換
基として有する金属フタロシアニン色素により記録層が
基板上に形成された光記録媒体を用いて、情報を記録す
る方法であって、記録層にレーザー光を入射させて、金
属フタロシアニン色素の金属フタロシアニン骨格を保持
しながら、金属フタロシアニン色素からトリフルオロメ
チル基および/またはそれを含む基を離脱させる。
に、情報を記録する方法を提供する。 【解決手段】 トリフルオロメチル基を有する基を置換
基として有する金属フタロシアニン色素により記録層が
基板上に形成された光記録媒体を用いて、情報を記録す
る方法であって、記録層にレーザー光を入射させて、金
属フタロシアニン色素の金属フタロシアニン骨格を保持
しながら、金属フタロシアニン色素からトリフルオロメ
チル基および/またはそれを含む基を離脱させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光によっ
て情報を記録する方法およびそのような方法に使用する
ための情報の記録・再生が可能な光記録媒体に関する。
て情報を記録する方法およびそのような方法に使用する
ための情報の記録・再生が可能な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザー光を用いて情報を記録再
生する光記録媒体として、基板上に記録層を形成し、そ
の上に反射層および保護層を形成したものが種々ある
が、その一つに、有機色素を含有して記録層を形成する
ものがある。これは、レーザー光を基板側から記録層に
照射すると、レーザー光が記録層に一部透過吸収され、
照射部分が局部的に加熱され、溶融、蒸発、昇華または
分解等の物理的あるいは化学的変化が生じることによ
り、ピットを形成し、情報を記録するものである。
生する光記録媒体として、基板上に記録層を形成し、そ
の上に反射層および保護層を形成したものが種々ある
が、その一つに、有機色素を含有して記録層を形成する
ものがある。これは、レーザー光を基板側から記録層に
照射すると、レーザー光が記録層に一部透過吸収され、
照射部分が局部的に加熱され、溶融、蒸発、昇華または
分解等の物理的あるいは化学的変化が生じることによ
り、ピットを形成し、情報を記録するものである。
【0003】こうしてできあがったピット情報は、それ
以外の部分と光学的性質が変化するので、記録時より弱
いパワーのレーザー光を照射することにより再生され
る。
以外の部分と光学的性質が変化するので、記録時より弱
いパワーのレーザー光を照射することにより再生され
る。
【0004】記録層に用いられる材料は色素等の有機化
合物であり、これを溶剤に溶解させた後、スピンコート
法などのウエット工法により基板上に記録層を形成する
のが一般的である。このため、用いられる色素等の有機
化合物には、その分子構造内に、溶剤への溶解性を向上
させる置換基が導入されている。
合物であり、これを溶剤に溶解させた後、スピンコート
法などのウエット工法により基板上に記録層を形成する
のが一般的である。このため、用いられる色素等の有機
化合物には、その分子構造内に、溶剤への溶解性を向上
させる置換基が導入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のウエット工法用色素材料では、基板にポリカーボ
ネート樹脂などの耐溶剤性の低い材質を用いると、色素
を溶解する溶剤として、基板材質への溶解性の小さいア
ルコール系やセロソルブ系などを用いたにもかかわら
ず、記録層を形成する際に、基板の最表面をごく僅かに
溶解するため、塗工液の回収液に基板樹脂材料が微量に
混入し、色素材料の再使用のために分離精製コストが発
生する、あるいは、再使用時に形成される記録層の特性
が劣化する等の問題点を有していた。
従来のウエット工法用色素材料では、基板にポリカーボ
ネート樹脂などの耐溶剤性の低い材質を用いると、色素
を溶解する溶剤として、基板材質への溶解性の小さいア
ルコール系やセロソルブ系などを用いたにもかかわら
ず、記録層を形成する際に、基板の最表面をごく僅かに
溶解するため、塗工液の回収液に基板樹脂材料が微量に
混入し、色素材料の再使用のために分離精製コストが発
生する、あるいは、再使用時に形成される記録層の特性
が劣化する等の問題点を有していた。
【0006】色素材料としてフタロシアニン系色素が使
用される場合があるが、その溶剤への溶解性を向上させ
て可溶化することによって、フタロシアニン系色素本来
の優れた耐光性が劣化してしまうという問題点もある。
用される場合があるが、その溶剤への溶解性を向上させ
て可溶化することによって、フタロシアニン系色素本来
の優れた耐光性が劣化してしまうという問題点もある。
【0007】蒸着法などのドライ工法により記録層を形
成する場合も、色素材料の昇華性を利用するため、材料
自身にある程度の耐熱性がなければ、プロセス中に材料
が分解し、成膜することができない。そのため、耐熱性
の高い材料を選択しなければならないため、記録に大き
いパワーを必要とし、逆に、パワーが大きくないと、記
録感度が低く特性が不十分であるといった問題点を有し
ていた。従って、記録パワーが少なくても記録感度が高
くなる情報の記録方法を提供することが望まれている。
成する場合も、色素材料の昇華性を利用するため、材料
自身にある程度の耐熱性がなければ、プロセス中に材料
が分解し、成膜することができない。そのため、耐熱性
の高い材料を選択しなければならないため、記録に大き
いパワーを必要とし、逆に、パワーが大きくないと、記
録感度が低く特性が不十分であるといった問題点を有し
ていた。従って、記録パワーが少なくても記録感度が高
くなる情報の記録方法を提供することが望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するもので、1つの要旨において、基板およびその上の
記録層を有して成る光記録媒体において、記録層を形成
する色素材料として、金属フタロシアニン骨格(中心金
属の代わりに2個の水素原子を有する場合を含む)を有
する化合物であって、金属フタロシアニン骨格に結合す
る置換基(フタロシアニン骨格が中心金属を含む場合で
あって、その金属が置換基を有する場合にはその置換基
をも含む)の少なくとも1つが、電子吸引(または求
引)性基であるか、あるいは少なくとも1つの電子吸引
性基を含む基であるものを使用した光記録媒体を使用
し、これにレーザー光を照射して、記録層の照射部分の
光学的性質を照射されていない部分と異ならせることに
よって情報を記録する方法を提供する。
するもので、1つの要旨において、基板およびその上の
記録層を有して成る光記録媒体において、記録層を形成
する色素材料として、金属フタロシアニン骨格(中心金
属の代わりに2個の水素原子を有する場合を含む)を有
する化合物であって、金属フタロシアニン骨格に結合す
る置換基(フタロシアニン骨格が中心金属を含む場合で
あって、その金属が置換基を有する場合にはその置換基
をも含む)の少なくとも1つが、電子吸引(または求
引)性基であるか、あるいは少なくとも1つの電子吸引
性基を含む基であるものを使用した光記録媒体を使用
し、これにレーザー光を照射して、記録層の照射部分の
光学的性質を照射されていない部分と異ならせることに
よって情報を記録する方法を提供する。
【0009】この光学的性質の差異は、レーザー光によ
る光記録媒体への情報の記録が、記録した情報のレーザ
ー光による再生を可能にするものであれば、その種類お
よび程度に関しては特に限定されるものではない。その
ような差異には、例えば、再生に使用するレーザー光に
対する光吸収量(吸収率または吸光度)、レーザー光に
対する光反射量(反射率)、これらの組み合わせが含ま
れる。
る光記録媒体への情報の記録が、記録した情報のレーザ
ー光による再生を可能にするものであれば、その種類お
よび程度に関しては特に限定されるものではない。その
ような差異には、例えば、再生に使用するレーザー光に
対する光吸収量(吸収率または吸光度)、レーザー光に
対する光反射量(反射率)、これらの組み合わせが含ま
れる。
【0010】従って、1つの要旨では、本発明は、基板
上に少なくとも1種の有機色素を含む記録層を有して成
る光記録媒体にレーザー光を入射させることによって、
記録層に情報を記録する方法であって、有機色素は、一
般式(a):
上に少なくとも1種の有機色素を含む記録層を有して成
る光記録媒体にレーザー光を入射させることによって、
記録層に情報を記録する方法であって、有機色素は、一
般式(a):
【化2】 [式中、置換基X1〜X16は、相互に同じでも、ある
いは異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換お
よび未置換のアルキル基、置換および未置換のアルコキ
シ基、置換および未置換のアルキルチオ基、置換および
未置換のアリール基、置換および未置換のアリールオキ
シ基、置換および未置換のアリールチオ基、ニトロ基な
らびにアミノ基から成る群から選択される基であり、M
は、2個の水素原子、2価の金属原子、置換基が結合し
た3価の金属の誘導基および置換基が結合した4価の金
属の誘導基から成る群から選択され、3価および4価の
金属に結合する置換基は、置換基X1〜X16と同じ群
から選択され、全ての置換基の内の少なくとも1つの置
換基は、電子吸引性基であるか、あるいは少なくとも1
つの電子吸引性基を含む。]で示される、金属フタロシ
アニン骨格およびそれに結合した置換基により構成され
る金属フタロシアニン色素であり、レーザー光の入射に
よって、金属フタロシアニン色素から、金属フタロシア
ニン骨格を実質的に維持した状態で、電子吸引性基およ
び/または電子吸引性基を含む基が実質的に脱離し、そ
の結果、情報の再生に使用するレーザー光に対する記録
層の吸収量(または吸収率)が変化する、一般的には増
加することを特徴とする方法を提供する。
いは異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換お
よび未置換のアルキル基、置換および未置換のアルコキ
シ基、置換および未置換のアルキルチオ基、置換および
未置換のアリール基、置換および未置換のアリールオキ
シ基、置換および未置換のアリールチオ基、ニトロ基な
らびにアミノ基から成る群から選択される基であり、M
は、2個の水素原子、2価の金属原子、置換基が結合し
た3価の金属の誘導基および置換基が結合した4価の金
属の誘導基から成る群から選択され、3価および4価の
金属に結合する置換基は、置換基X1〜X16と同じ群
から選択され、全ての置換基の内の少なくとも1つの置
換基は、電子吸引性基であるか、あるいは少なくとも1
つの電子吸引性基を含む。]で示される、金属フタロシ
アニン骨格およびそれに結合した置換基により構成され
る金属フタロシアニン色素であり、レーザー光の入射に
よって、金属フタロシアニン色素から、金属フタロシア
ニン骨格を実質的に維持した状態で、電子吸引性基およ
び/または電子吸引性基を含む基が実質的に脱離し、そ
の結果、情報の再生に使用するレーザー光に対する記録
層の吸収量(または吸収率)が変化する、一般的には増
加することを特徴とする方法を提供する。
【0011】本発明の方法において、金属フタロシアニ
ン色素の置換基とは、一般式(a)においてX1〜X1
6で表される置換基、およびMが3価または4価の金属
の誘導基である場合に金属に結合する置換基の双方を意
味し、また、金属フタロシアニン骨格とは、一般式
(a)からそのような置換基を除いた部分、即ち、一般
式(a)の環状骨格を形成する部分(いわゆる金属フタ
ロシアニン)を意味する。尚、金属の誘導基とは、金属
が3価または4価の場合には、金属に置換基が結合して
形成される基であって、金属フタロシアニン骨格に金属
原子を介して結合している基を意味する。尚、金属フタ
ロシアニン色素または金属フタロシアニン骨格という場
合、特に断らない限り、Mが2個の水素原子である場合
も含むものとして使用している。
ン色素の置換基とは、一般式(a)においてX1〜X1
6で表される置換基、およびMが3価または4価の金属
の誘導基である場合に金属に結合する置換基の双方を意
味し、また、金属フタロシアニン骨格とは、一般式
(a)からそのような置換基を除いた部分、即ち、一般
式(a)の環状骨格を形成する部分(いわゆる金属フタ
ロシアニン)を意味する。尚、金属の誘導基とは、金属
が3価または4価の場合には、金属に置換基が結合して
形成される基であって、金属フタロシアニン骨格に金属
原子を介して結合している基を意味する。尚、金属フタ
ロシアニン色素または金属フタロシアニン骨格という場
合、特に断らない限り、Mが2個の水素原子である場合
も含むものとして使用している。
【0012】また、金属フタロシアニン色素の置換基と
しての電子吸引性基、あるいは置換基が含む電子吸引性
基とは、当該技術分野または化学分野において一般的に
使用されている意味で使用している。特に好ましい電子
吸引性基は、例えば炭素数が1〜5、好ましくは1〜3
のポリハロゲン化アルキル基(ハロゲンは、例えばフッ
素および/または塩素である)であり、より好ましくは
パーハロゲン化アルキル基(例えばトリフルオロメチル
基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル
基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプ
タクロロプロピル基等)である。
しての電子吸引性基、あるいは置換基が含む電子吸引性
基とは、当該技術分野または化学分野において一般的に
使用されている意味で使用している。特に好ましい電子
吸引性基は、例えば炭素数が1〜5、好ましくは1〜3
のポリハロゲン化アルキル基(ハロゲンは、例えばフッ
素および/または塩素である)であり、より好ましくは
パーハロゲン化アルキル基(例えばトリフルオロメチル
基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル
基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプ
タクロロプロピル基等)である。
【0013】電子吸引性基またはそれを含む基は、金属
フタロシアニン骨格のベンゼン環および/または中心金
属(即ち、Mが2価の金属である場合はその金属を意味
し、3価または4価の金属誘導基である場合は、結合し
ている置換基を除いた部分、即ち、金属自体)に置換基
として結合する。置換基が電気吸引性基を含む場合、電
気吸引性基および別の基により置換基を構成してよい。
例えば、置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、酸素(オキシ基)および/またはイオウ(チオ
基)などの基を更に有し、好ましくは、このような基を
介して金属フタロシアニン骨格のベンゼン環および/ま
たは中心金属に結合してもよい。また、このような基は
別の置換基を有してよい。この場合、電子吸引性基は、
置換基の好ましくは先端に近い側(即ち、フタロシアニ
ン骨格から遠い側)、より好ましくは先端またはその付
近(例えば、置換基が鎖状の複数の炭素により構成され
る場合では、最先端の炭素、その隣の炭素)に位置す
る。
フタロシアニン骨格のベンゼン環および/または中心金
属(即ち、Mが2価の金属である場合はその金属を意味
し、3価または4価の金属誘導基である場合は、結合し
ている置換基を除いた部分、即ち、金属自体)に置換基
として結合する。置換基が電気吸引性基を含む場合、電
気吸引性基および別の基により置換基を構成してよい。
例えば、置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、酸素(オキシ基)および/またはイオウ(チオ
基)などの基を更に有し、好ましくは、このような基を
介して金属フタロシアニン骨格のベンゼン環および/ま
たは中心金属に結合してもよい。また、このような基は
別の置換基を有してよい。この場合、電子吸引性基は、
置換基の好ましくは先端に近い側(即ち、フタロシアニ
ン骨格から遠い側)、より好ましくは先端またはその付
近(例えば、置換基が鎖状の複数の炭素により構成され
る場合では、最先端の炭素、その隣の炭素)に位置す
る。
【0014】特に好ましい態様では、電子吸引性基を含
む置換基は、置換基を構成する原子として酸素または硫
黄原子を含み、これを介して金属フタロシアニン骨格に
結合している。従って、そのような好ましい置換基は、
例えばトリフルオロ−メトキシまたはメチルチオ基、ト
リフルオロ−エトキシまたはエチルチオ基、ビス(トリ
フルオロメチル)−プロポキシまたはプロピルチオ基、
トリフルオロメチル−フェノキシまたはフェニルチオ基
ならびにこれらの基において少なくとも一部分のフッ素
原子が塩素原子に置換された基を挙げることができる。
む置換基は、置換基を構成する原子として酸素または硫
黄原子を含み、これを介して金属フタロシアニン骨格に
結合している。従って、そのような好ましい置換基は、
例えばトリフルオロ−メトキシまたはメチルチオ基、ト
リフルオロ−エトキシまたはエチルチオ基、ビス(トリ
フルオロメチル)−プロポキシまたはプロピルチオ基、
トリフルオロメチル−フェノキシまたはフェニルチオ基
ならびにこれらの基において少なくとも一部分のフッ素
原子が塩素原子に置換された基を挙げることができる。
【0015】尚、本明細書において、「金属フタロシア
ニン色素」とは、一般式(a)により示される化合物
(置換基を含む)を意味し、「金属フタロシアニン骨
格」とは、一般式(a)から置換基を除いた環状の基
(Mを含む、但し、Mが置換基を含む誘導基である場合
は、金属のみ)を意味する。
ニン色素」とは、一般式(a)により示される化合物
(置換基を含む)を意味し、「金属フタロシアニン骨
格」とは、一般式(a)から置換基を除いた環状の基
(Mを含む、但し、Mが置換基を含む誘導基である場合
は、金属のみ)を意味する。
【0016】本発明の方法において、光の入射により脱
離する基は、電子吸引性基が置換基として直接結合して
いる場合には、電子吸引性基である。置換基が電子吸引
性基を有する基である場合、脱離する基は、最も大きい
場合では、電子吸引性基を含む置換基自体であり、最も
小さい場合は電子吸引性基自体であってよく、従って、
脱離する基は、電子吸引性基を含む置換基と電子吸引性
基との間のいずれの大きさの基であってもよい。
離する基は、電子吸引性基が置換基として直接結合して
いる場合には、電子吸引性基である。置換基が電子吸引
性基を有する基である場合、脱離する基は、最も大きい
場合では、電子吸引性基を含む置換基自体であり、最も
小さい場合は電子吸引性基自体であってよく、従って、
脱離する基は、電子吸引性基を含む置換基と電子吸引性
基との間のいずれの大きさの基であってもよい。
【0017】即ち、本発明の方法において、金属フタロ
シアニン骨格から離脱する基は、電子吸引性基自体;置
換基の一部分であって、電子吸引性基を含む基;および
/または電子吸引性基を含む置換基全体であってよい。
脱離する基は、これらの基の少なくとも1種であり、複
数の種類の基が脱離してもよい。これらの基が脱離する
のであれば、これらの基に加えて、これらの基以外の基
も同時に金属フタロシアニン色素から脱離しても勿論問
題はない。
シアニン骨格から離脱する基は、電子吸引性基自体;置
換基の一部分であって、電子吸引性基を含む基;および
/または電子吸引性基を含む置換基全体であってよい。
脱離する基は、これらの基の少なくとも1種であり、複
数の種類の基が脱離してもよい。これらの基が脱離する
のであれば、これらの基に加えて、これらの基以外の基
も同時に金属フタロシアニン色素から脱離しても勿論問
題はない。
【0018】電子吸引性基および/それを含む基の脱離
に際して、金属フタロシアニン骨格は実質的に維持され
るが、この維持される金属フタロシアニン骨格は、脱離
した基の残りに対応する基を置換基として有していても
よい。
に際して、金属フタロシアニン骨格は実質的に維持され
るが、この維持される金属フタロシアニン骨格は、脱離
した基の残りに対応する基を置換基として有していても
よい。
【0019】例えば、金属フタロシアニン骨格の電子吸
引性基(例えばトリフルオロメチル基)を有する1つの
置換基(例えばトリフルオロメトキシ基)の鎖の途中
(例えば酸素と炭素との間の結合部)から電子吸引性基
を含む基が脱離して、残りの基(例えばオキシ基)が金
属フタロシアニン骨格に結合したまま残ってよい。
引性基(例えばトリフルオロメチル基)を有する1つの
置換基(例えばトリフルオロメトキシ基)の鎖の途中
(例えば酸素と炭素との間の結合部)から電子吸引性基
を含む基が脱離して、残りの基(例えばオキシ基)が金
属フタロシアニン骨格に結合したまま残ってよい。
【0020】例えば、電子吸引性基が、トリフルオロメ
チル基であり、それを含むトリフルオロエトキシ基が置
換基として金属フタロシアニン骨格に結合している場
合、脱離する基は、例えばトリフオロエトキシ基、トリ
フルオロメチル基(従って、メトキシ基が骨格にまだ残
っている)またはトリフルオロエチル基(従って、オキ
シ基が骨格にまだ残っている)であってよい。
チル基であり、それを含むトリフルオロエトキシ基が置
換基として金属フタロシアニン骨格に結合している場
合、脱離する基は、例えばトリフオロエトキシ基、トリ
フルオロメチル基(従って、メトキシ基が骨格にまだ残
っている)またはトリフルオロエチル基(従って、オキ
シ基が骨格にまだ残っている)であってよい。
【0021】例えば、電子吸引性基が、トリフルオロメ
チル基であり、それを含むトリフルオロブトキシ基が置
換基として金属フタロシアニン骨格に結合している場
合、脱離する基は、例えばトリフルオロメチル基(従っ
て、エトキシ基が骨格にまだ結合している)、トリフル
オロエチル基(従って、メトキシ基が骨格に残ってい
る)またはトリフルオロブトキシ基であってよい。
チル基であり、それを含むトリフルオロブトキシ基が置
換基として金属フタロシアニン骨格に結合している場
合、脱離する基は、例えばトリフルオロメチル基(従っ
て、エトキシ基が骨格にまだ結合している)、トリフル
オロエチル基(従って、メトキシ基が骨格に残ってい
る)またはトリフルオロブトキシ基であってよい。
【0022】特に、一般式(a)で表される有機色素に
おいて、少なくとも1つの電子吸引性基を有する少なく
とも1つの置換基が、その端部に位置する酸素または硫
黄を介して金属フタロシアニン骨格に結合しているのが
好ましく、この場合、本発明の方法において、酸素また
は硫黄が骨格に残るように、電子吸引性基および/また
は電子吸引性基を含む基が脱離するのが好ましい。
おいて、少なくとも1つの電子吸引性基を有する少なく
とも1つの置換基が、その端部に位置する酸素または硫
黄を介して金属フタロシアニン骨格に結合しているのが
好ましく、この場合、本発明の方法において、酸素また
は硫黄が骨格に残るように、電子吸引性基および/また
は電子吸引性基を含む基が脱離するのが好ましい。
【0023】本発明において、「骨格を実質的に維持す
る」および「電子吸引性基が実質的に脱離する」とは、
記録層に存在する金属フタロシアニン色素の全てについ
て、金属フタロシアニン骨格が維持され、かつ、電子吸
引性基が実質的に脱離することを必ずしも意味するもの
ではなく、本発明の課題を達成できる程度で、記録層に
存在する少なくとも一部分の金属フタロシアニン色素に
関して、従来の情報記録方法と比べて、本発明の課題の
少なくとも1つが達成されるように、「骨格を維持す
る」かつ「電子吸引性基が脱離する」という意味で使用
している。
る」および「電子吸引性基が実質的に脱離する」とは、
記録層に存在する金属フタロシアニン色素の全てについ
て、金属フタロシアニン骨格が維持され、かつ、電子吸
引性基が実質的に脱離することを必ずしも意味するもの
ではなく、本発明の課題を達成できる程度で、記録層に
存在する少なくとも一部分の金属フタロシアニン色素に
関して、従来の情報記録方法と比べて、本発明の課題の
少なくとも1つが達成されるように、「骨格を維持す
る」かつ「電子吸引性基が脱離する」という意味で使用
している。
【0024】また、本発明は、別の要旨において、基板
上に有機色素により形成された記録層を有して成り、有
機色素として上記一般式(a)で示される少なくとも1
種の金属フタロシアニン色素を使用した光記録媒体を用
いて情報を記録する方法であって、記録層にレーザー光
を入射させて、金属フタロシアニン色素から、金属フタ
ロシアニン骨格を実質的に維持した状態で、電子吸引性
基および/または電子吸引性基を含む基を実質的に脱離
させることを特徴とする方法を提供する。
上に有機色素により形成された記録層を有して成り、有
機色素として上記一般式(a)で示される少なくとも1
種の金属フタロシアニン色素を使用した光記録媒体を用
いて情報を記録する方法であって、記録層にレーザー光
を入射させて、金属フタロシアニン色素から、金属フタ
ロシアニン骨格を実質的に維持した状態で、電子吸引性
基および/または電子吸引性基を含む基を実質的に脱離
させることを特徴とする方法を提供する。
【0025】更に、本発明は、更にもう1つの要旨にお
いて、一般式(a)で示される少なくとも1種の金属含
有フタロシアニン色素を含む記録層を基板上に有して成
る光記録媒体を用いて情報を記録する方法であって、記
録層にレーザー光を入射させて、記録層にレーザー光を
入射させて、その部分の記録層の光学的性質を他の部分
と異なるようにすることを特徴とする情報の記録方法を
提供する。
いて、一般式(a)で示される少なくとも1種の金属含
有フタロシアニン色素を含む記録層を基板上に有して成
る光記録媒体を用いて情報を記録する方法であって、記
録層にレーザー光を入射させて、記録層にレーザー光を
入射させて、その部分の記録層の光学的性質を他の部分
と異なるようにすることを特徴とする情報の記録方法を
提供する。
【0026】本発明の方法によれば、レーザー光を照射
することにより、記録層を形成する金属フタロシアニン
色素からは、金属フタロシアニン骨格を保持しながら
も、電子吸引性基および/または電子吸引性基を含む基
が脱離して、記録層の光学的性質(例えば再生に使用す
るレーザー光の吸収率、反射率、屈折率またはこれらの
組み合わせ)を変化させることによって情報を光記録媒
体に記録する。
することにより、記録層を形成する金属フタロシアニン
色素からは、金属フタロシアニン骨格を保持しながら
も、電子吸引性基および/または電子吸引性基を含む基
が脱離して、記録層の光学的性質(例えば再生に使用す
るレーザー光の吸収率、反射率、屈折率またはこれらの
組み合わせ)を変化させることによって情報を光記録媒
体に記録する。
【0027】このような本発明では、堅牢性を有する金
属フタロシアニン骨格が保持されるため、記録された情
報が長時間安定に保持されることになる。その結果、記
録された情報は耐久性(例えば耐光性、耐湿性)に富
む。また、電子吸引性基は極性が大きいため、電子吸引
性基自体またはそれを含む基は、情報の記録に使用する
レーザー光のような比較的小さいエネルギーによっても
励起され易く、金属フタロシアニン色素から離脱され、
その結果、記録層の光学的性質を変えることができる。
従って、本発明の方法では、従来の方法との比較におい
て、小さい記録パワーで情報を記録できると共に、11
Tなどの長ピットでも高出力が確保され、信号波形に歪
みがなく記録感度が良好となる。
属フタロシアニン骨格が保持されるため、記録された情
報が長時間安定に保持されることになる。その結果、記
録された情報は耐久性(例えば耐光性、耐湿性)に富
む。また、電子吸引性基は極性が大きいため、電子吸引
性基自体またはそれを含む基は、情報の記録に使用する
レーザー光のような比較的小さいエネルギーによっても
励起され易く、金属フタロシアニン色素から離脱され、
その結果、記録層の光学的性質を変えることができる。
従って、本発明の方法では、従来の方法との比較におい
て、小さい記録パワーで情報を記録できると共に、11
Tなどの長ピットでも高出力が確保され、信号波形に歪
みがなく記録感度が良好となる。
【0028】更に、本発明は、もう1つの要旨におい
て、上述の方法において使用する、一般式(a)で示さ
れる金属フタロシアニン色素を記録層に用いた光記録媒
体をも提供する。
て、上述の方法において使用する、一般式(a)で示さ
れる金属フタロシアニン色素を記録層に用いた光記録媒
体をも提供する。
【0029】本発明において、記録層に使用する金属フ
タロシアニン色素は、少なくとも1つの電子吸引性基を
含む置換基を少なくとも1つ有する。そのような置換基
の数は少なくとも1つであればよく、一般的には多い方
が好ましい。従って、金属フタロシアニン色素の大部分
の置換基、例えば全ての置換基が、電子吸引性基自体で
あるか、および/または電子吸引性基を含んでもよい。
また、置換基が電子吸引性基を含む場合、1つの置換基
が含む電子吸引性基の数も少なくとも1つであれば十分
であり、例えば2つ含んでもよい。
タロシアニン色素は、少なくとも1つの電子吸引性基を
含む置換基を少なくとも1つ有する。そのような置換基
の数は少なくとも1つであればよく、一般的には多い方
が好ましい。従って、金属フタロシアニン色素の大部分
の置換基、例えば全ての置換基が、電子吸引性基自体で
あるか、および/または電子吸引性基を含んでもよい。
また、置換基が電子吸引性基を含む場合、1つの置換基
が含む電子吸引性基の数も少なくとも1つであれば十分
であり、例えば2つ含んでもよい。
【0030】本発明の方法に使用する光記録媒体は、追
記型のCDまたはDVDとして従来から知られているも
のと、記録層に使用されている色素が上述のように特定
のものであるという点を除いて、実質的に異ならない。
しかしながら、情報の記録に使用するレーザー光の波長
および記録した情報の再生に使用するレーザー光の波長
は、従来から使用されているものに限定されるものでは
なく、必要に応じて他の波長(例えば、記録用に770
〜800nm、再生用に770〜830nm)を用いる
ことも可能である。従って、本発明の方法に使用する光
記録媒体は、基板上に、少なくとも記録層、反射層およ
び保護層とを順次形成してなるものであってよく、記録
層は、レーザー光(例えば770〜800nmの波長)
を照射することにより、その照射の前後で光学的性質が
変化することにより情報を記録できるものであり、ま
た、レーザー光(例えば770〜830nmの波長)を
照射することにより記録した情報を再生できるものであ
る。
記型のCDまたはDVDとして従来から知られているも
のと、記録層に使用されている色素が上述のように特定
のものであるという点を除いて、実質的に異ならない。
しかしながら、情報の記録に使用するレーザー光の波長
および記録した情報の再生に使用するレーザー光の波長
は、従来から使用されているものに限定されるものでは
なく、必要に応じて他の波長(例えば、記録用に770
〜800nm、再生用に770〜830nm)を用いる
ことも可能である。従って、本発明の方法に使用する光
記録媒体は、基板上に、少なくとも記録層、反射層およ
び保護層とを順次形成してなるものであってよく、記録
層は、レーザー光(例えば770〜800nmの波長)
を照射することにより、その照射の前後で光学的性質が
変化することにより情報を記録できるものであり、ま
た、レーザー光(例えば770〜830nmの波長)を
照射することにより記録した情報を再生できるものであ
る。
【0031】尚、本発明の方法において、レーザー光を
用いて情報を記録する前後では、記録層の光(特に可視
光)吸収スペクトルは大きく変化し、大部分の場合にお
いて、同じ波長においては吸収量が増加する。これは、
記録層のレーザー光に対する吸収率、反射率等が変化す
ることを意味する。いずれの理論により拘束されるもの
ではないが、このことは、電子吸引性基および/または
それを含む基が金属フタロシアニン色素から脱離するこ
とにより、記録層の光学的性質が大きく変化するためで
あると考えられ、この変化は、本発明の方法における情
報記録に何らかの形で寄与するものと推定される。
用いて情報を記録する前後では、記録層の光(特に可視
光)吸収スペクトルは大きく変化し、大部分の場合にお
いて、同じ波長においては吸収量が増加する。これは、
記録層のレーザー光に対する吸収率、反射率等が変化す
ることを意味する。いずれの理論により拘束されるもの
ではないが、このことは、電子吸引性基および/または
それを含む基が金属フタロシアニン色素から脱離するこ
とにより、記録層の光学的性質が大きく変化するためで
あると考えられ、この変化は、本発明の方法における情
報記録に何らかの形で寄与するものと推定される。
【0032】金属フタロシアニン色素の置換基(即ち、
X1〜16および場合により存在する金属に結合した置
換基)としてのハロゲン原子は、例えばフッ素、塩素、
臭素または沃素原子であってよく、置換または未置換の
アルキル基は、炭素数が1〜11、好ましくは1〜7で
あり、直鎖または分岐型でもよく、例えばメチル基、エ
チル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブ
チル基またはtert−ブチル基などであってよい。置
換または未置換のアルコキシ基についても同様に、炭素
数が1〜11、好ましくは1〜7であり、直鎖または分
岐型でよく、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル
基、プロポキシ基などであってよい。
X1〜16および場合により存在する金属に結合した置
換基)としてのハロゲン原子は、例えばフッ素、塩素、
臭素または沃素原子であってよく、置換または未置換の
アルキル基は、炭素数が1〜11、好ましくは1〜7で
あり、直鎖または分岐型でもよく、例えばメチル基、エ
チル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブ
チル基またはtert−ブチル基などであってよい。置
換または未置換のアルコキシ基についても同様に、炭素
数が1〜11、好ましくは1〜7であり、直鎖または分
岐型でよく、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル
基、プロポキシ基などであってよい。
【0033】置換または未置換のアルキルチオ基につい
ても同様に、炭素数が1〜11、好ましくは1〜7であ
り、直鎖または分岐型でもよく、メチルチオ基、エチル
チオ基、tert−ブチルチオ基などが挙げられる。置
換または未置換のアリール基としては炭素数が6〜1
5、好ましくは6〜9であり、フェニル基、ナフチル
基、ピロール基などが挙げられる。置換または未置換の
アリールオキシ基としては、炭素数が6〜15、好まし
くは6〜9であり、フェノキシ基などが代表的である。
置換または未置換のアリールチオ基としては、炭素数が
6〜15、好ましくは6〜9であり、フェニルチオ基な
どが代表的である。
ても同様に、炭素数が1〜11、好ましくは1〜7であ
り、直鎖または分岐型でもよく、メチルチオ基、エチル
チオ基、tert−ブチルチオ基などが挙げられる。置
換または未置換のアリール基としては炭素数が6〜1
5、好ましくは6〜9であり、フェニル基、ナフチル
基、ピロール基などが挙げられる。置換または未置換の
アリールオキシ基としては、炭素数が6〜15、好まし
くは6〜9であり、フェノキシ基などが代表的である。
置換または未置換のアリールチオ基としては、炭素数が
6〜15、好ましくは6〜9であり、フェニルチオ基な
どが代表的である。
【0034】また、Mが金属である場合において、2価
金属としては、Cu、Co、Zn、Ni、Co、Fe、
Pd、Pt、Sn、Mgなどであってよい。3価金属と
しては、Al、Ga、Inなどが挙げられ、4価金属と
しては、Si、Ge、Sn、Ti、Vなどがあってよ
い。Mが3価または4価金属の場合、金属は置換基を有
しており、この置換基は、炭素数が1〜11、好ましく
は1〜7であってよく、例えば、ハロゲン原子、酸素原
子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、フェニル
基、フェノキシ基などがよく知られている。尚、金属M
は、2個の水素原子であってもよい。
金属としては、Cu、Co、Zn、Ni、Co、Fe、
Pd、Pt、Sn、Mgなどであってよい。3価金属と
しては、Al、Ga、Inなどが挙げられ、4価金属と
しては、Si、Ge、Sn、Ti、Vなどがあってよ
い。Mが3価または4価金属の場合、金属は置換基を有
しており、この置換基は、炭素数が1〜11、好ましく
は1〜7であってよく、例えば、ハロゲン原子、酸素原
子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、フェニル
基、フェノキシ基などがよく知られている。尚、金属M
は、2個の水素原子であってもよい。
【0035】本発明の好ましい1つの態様では、電子吸
引性基はトリフルオロメチル基である。これを有する、
金属フタロシアニン色素の置換基としては、例えば炭素
数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、、プロピ
ル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ
基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基等)、アルキ
ルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、、プロピルチ
オ基、ブチルチオ基等)、フェニル基、フェノキシ基、
フェニルチオ基等の少なくとも1つの水素原子、特に基
の先端またはその付近の少なくとも1つの水素原子が、
トリフルオロメチル基により置換されたものを例示でき
る。
引性基はトリフルオロメチル基である。これを有する、
金属フタロシアニン色素の置換基としては、例えば炭素
数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、、プロピ
ル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ
基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基等)、アルキ
ルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、、プロピルチ
オ基、ブチルチオ基等)、フェニル基、フェノキシ基、
フェニルチオ基等の少なくとも1つの水素原子、特に基
の先端またはその付近の少なくとも1つの水素原子が、
トリフルオロメチル基により置換されたものを例示でき
る。
【0036】より具体的には、ペンタフルオロプロポキ
シフェニル基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビス
(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロプ
ロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ、パーフルオロ
ブチルヘキシルオキシ基、パーフルオロプロポキシテト
ラフルオロプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエ
チルチオ基、2,2ービス(トリフルオロメチル)プロ
ポキシ基、パーフルオロメチルエチルチオ基等を電子吸
引性基を有する基として例示できる。
シフェニル基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビス
(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロプ
ロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ、パーフルオロ
ブチルヘキシルオキシ基、パーフルオロプロポキシテト
ラフルオロプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロエ
チルチオ基、2,2ービス(トリフルオロメチル)プロ
ポキシ基、パーフルオロメチルエチルチオ基等を電子吸
引性基を有する基として例示できる。
【0037】本発明の方法において、レーザー光が記録
層に一部吸収され、照射部分が局部的に加熱されると、
上述の金属フタロシアニン色素は、安定な金属フタロシ
アニン骨格が実質的に壊れないで、好ましくは分子の末
端に導入された電子吸引性基またはそれを含む基が金属
フタロシアニン色素から脱離する。このような電子吸引
性基を含む基は、立体的に嵩高い置換基である場合が多
いことから、金属フタロシアニン色素の分子同士の会合
性が小さくなり、情報の記録時における光吸収により分
子内振動が増幅される。特に、電子吸引性基が置換基の
末端またはその付近に位置する場合に、このことが顕著
である。その結果、金属フタロシアニン骨格を維持した
ままで、電子吸引性基またはそれを含む基が金属フタロ
シアニン色素から容易に脱離しやすくなるので、低パワ
ーでの記録が可能となり、高出力で高感度な記録再生特
性が得られる。
層に一部吸収され、照射部分が局部的に加熱されると、
上述の金属フタロシアニン色素は、安定な金属フタロシ
アニン骨格が実質的に壊れないで、好ましくは分子の末
端に導入された電子吸引性基またはそれを含む基が金属
フタロシアニン色素から脱離する。このような電子吸引
性基を含む基は、立体的に嵩高い置換基である場合が多
いことから、金属フタロシアニン色素の分子同士の会合
性が小さくなり、情報の記録時における光吸収により分
子内振動が増幅される。特に、電子吸引性基が置換基の
末端またはその付近に位置する場合に、このことが顕著
である。その結果、金属フタロシアニン骨格を維持した
ままで、電子吸引性基またはそれを含む基が金属フタロ
シアニン色素から容易に脱離しやすくなるので、低パワ
ーでの記録が可能となり、高出力で高感度な記録再生特
性が得られる。
【0038】また、電子吸引性基(例えばトリフルオロ
メチル基)を含む置換基(置換基自体が電子吸引性基で
ある場合を含む)を金属フタロシアニン骨格に導入する
ことにより、分子間相互作用が小さくなるので、金属フ
タロシアニン色素は、一般的に、そのような置換基を有
さないフタロシアニンより容易に昇華することができ、
このようなフタロシアニンは光記録媒体の記録層を形成
する蒸着法に適する。更に、この電子吸引性基の導入
は、フタロシアニン系色素本来の耐光性を実質的に損う
ことがない。
メチル基)を含む置換基(置換基自体が電子吸引性基で
ある場合を含む)を金属フタロシアニン骨格に導入する
ことにより、分子間相互作用が小さくなるので、金属フ
タロシアニン色素は、一般的に、そのような置換基を有
さないフタロシアニンより容易に昇華することができ、
このようなフタロシアニンは光記録媒体の記録層を形成
する蒸着法に適する。更に、この電子吸引性基の導入
は、フタロシアニン系色素本来の耐光性を実質的に損う
ことがない。
【0039】従って、金属フタロシアニン色素の置換基
として電子吸引性基(例えばトリフルオロメチル基)を
少なくとも1つ有する金属フタロシアニン色素を用いる
ことにより、記録感度が良好で、耐光性に優れた光記録
媒体が得られ、このような媒体を使用すると情報を良好
に記録・保持できる。
として電子吸引性基(例えばトリフルオロメチル基)を
少なくとも1つ有する金属フタロシアニン色素を用いる
ことにより、記録感度が良好で、耐光性に優れた光記録
媒体が得られ、このような媒体を使用すると情報を良好
に記録・保持できる。
【0040】尚、本発明の方法において、照射されるレ
ーザー光の少なくとも一部分を吸収することによって、
金属フタロシアニン色素は、金属フタロシアニン骨格を
保持しながら、電子吸引性基および/または電子吸引性
基を含む基が脱離することは、照射前後における光記録
媒体の記録層の成分を質量分析法により分析することに
より確認した(後述の実施例2参照)。
ーザー光の少なくとも一部分を吸収することによって、
金属フタロシアニン色素は、金属フタロシアニン骨格を
保持しながら、電子吸引性基および/または電子吸引性
基を含む基が脱離することは、照射前後における光記録
媒体の記録層の成分を質量分析法により分析することに
より確認した(後述の実施例2参照)。
【0041】上述のような本発明の方法に使用する光記
録媒体は、記録層を構成する金属フタロシアニン色素に
ついて、その蒸発または昇華開始温度が、100〜35
0℃の範囲であるのが好ましく、更に、蒸発または昇華
開始温度は分解温度より約50〜400℃低いであるの
が好ましい。このような金属フタロシアニン色素は、金
属フタロシアニン骨格に結合する置換基を種々変えるこ
とによって得ることができる。
録媒体は、記録層を構成する金属フタロシアニン色素に
ついて、その蒸発または昇華開始温度が、100〜35
0℃の範囲であるのが好ましく、更に、蒸発または昇華
開始温度は分解温度より約50〜400℃低いであるの
が好ましい。このような金属フタロシアニン色素は、金
属フタロシアニン骨格に結合する置換基を種々変えるこ
とによって得ることができる。
【0042】後述の実施例において例示する金属フタロ
シアニン色素の蒸発開始温度および分解温度は、この好
ましい範囲内にある。本明細書において、「蒸発または
昇華開始温度」とは、水晶振動子等よりなる膜厚モニタ
ーを用いて蒸着レートが1Å/sになる条件下で、熱電
対等よりなる温度モニターによって測定される蒸発源温
度を意味する。また、「分解温度」とは、示差走査熱量
計(DSC)を用いて、不活性ガス中1気圧なる条件下
で測定される分解を表す発熱ピーク温度を意味する。
シアニン色素の蒸発開始温度および分解温度は、この好
ましい範囲内にある。本明細書において、「蒸発または
昇華開始温度」とは、水晶振動子等よりなる膜厚モニタ
ーを用いて蒸着レートが1Å/sになる条件下で、熱電
対等よりなる温度モニターによって測定される蒸発源温
度を意味する。また、「分解温度」とは、示差走査熱量
計(DSC)を用いて、不活性ガス中1気圧なる条件下
で測定される分解を表す発熱ピーク温度を意味する。
【0043】尚、金属フタロシアニン色素の蒸発または
昇華開始温度が100℃を下回るものは、光記録媒体の
輸送や保存時での環境変化による影響を受け、信頼性の
確保ができない場合がある。また、350℃を越えるも
のは、相対的に分解温度が高くなるため、レーザー光に
よる記録パワーが高くなる等、記録感度の低下が著しい
場合がある。
昇華開始温度が100℃を下回るものは、光記録媒体の
輸送や保存時での環境変化による影響を受け、信頼性の
確保ができない場合がある。また、350℃を越えるも
のは、相対的に分解温度が高くなるため、レーザー光に
よる記録パワーが高くなる等、記録感度の低下が著しい
場合がある。
【0044】また、金属フタロシアニン色素の蒸発また
は昇華開始温度と分解温度との差が、50℃より小さく
なると、蒸着法で記録層を形成する際、蒸発源の温度を
上記開始温度より20〜30℃程度高めに設定すること
や、蒸発源の温度バラツキ等により、蒸発源の中で色素
の分解が徐々に始まり、均質な記録層が形成できない場
合がある。また、400℃より高くなると、このことは
色素の分解温度が相対的に高くなっていることを意味し
ているので、記録パワーが高くなり、記録感度が著しく
低下する場合がある。
は昇華開始温度と分解温度との差が、50℃より小さく
なると、蒸着法で記録層を形成する際、蒸発源の温度を
上記開始温度より20〜30℃程度高めに設定すること
や、蒸発源の温度バラツキ等により、蒸発源の中で色素
の分解が徐々に始まり、均質な記録層が形成できない場
合がある。また、400℃より高くなると、このことは
色素の分解温度が相対的に高くなっていることを意味し
ているので、記録パワーが高くなり、記録感度が著しく
低下する場合がある。
【0045】本発明の方法において使用する光記録媒体
は、特に好ましい態様では、記録層を構成する金属フタ
ロシアニン色素の中心金属が2価金属であり、Co、C
u、Zn、NiまたはPdであるのがより好ましい。
は、特に好ましい態様では、記録層を構成する金属フタ
ロシアニン色素の中心金属が2価金属であり、Co、C
u、Zn、NiまたはPdであるのがより好ましい。
【0046】金属フタロシアニン色素の中心が無金属
(Mが水素原子)のものは、11Tなどの長ピットの波
形歪みがややあり、信号品質が若干低下する場合があ
る。一方、2価金属のものでは、11Tでの出力も高
く、波形歪みのほとんど無い。特にCo、Cu、Zn、
NiまたはPdである場合は、低い記録パワーでも情報
を記録できるので好ましい。
(Mが水素原子)のものは、11Tなどの長ピットの波
形歪みがややあり、信号品質が若干低下する場合があ
る。一方、2価金属のものでは、11Tでの出力も高
く、波形歪みのほとんど無い。特にCo、Cu、Zn、
NiまたはPdである場合は、低い記録パワーでも情報
を記録できるので好ましい。
【0047】本発明の方法において使用する光記録媒体
は、基板上に螺旋状の溝が設けてあり、その溝形状につ
いて、溝幅とトラックピッチ(以下、TPと称す)との
比、及びレーザー波長λ,基板の屈折率nとしたときの
溝深さが、それぞれ次の範囲としたものである: 溝幅/TP:0.25〜0.45 溝深さ:(λ/4n)の20〜80%
は、基板上に螺旋状の溝が設けてあり、その溝形状につ
いて、溝幅とトラックピッチ(以下、TPと称す)との
比、及びレーザー波長λ,基板の屈折率nとしたときの
溝深さが、それぞれ次の範囲としたものである: 溝幅/TP:0.25〜0.45 溝深さ:(λ/4n)の20〜80%
【0048】本発明の方法において使用する光記録媒体
において、蒸着法により記録層を形成すると、蒸発源よ
り蒸発または昇華した色素は、基板全面に対して基板の
溝に沿って均一に成膜される。そのため、基板の溝部と
溝間での記録層の段差は、溝深さで決まるので、トラッ
キングエラー信号は、基板の溝深さで調整することが可
能となる。
において、蒸着法により記録層を形成すると、蒸発源よ
り蒸発または昇華した色素は、基板全面に対して基板の
溝に沿って均一に成膜される。そのため、基板の溝部と
溝間での記録層の段差は、溝深さで決まるので、トラッ
キングエラー信号は、基板の溝深さで調整することが可
能となる。
【0049】尚、基板の溝幅/TPが0.25より小さ
くなると、レーザー光のスポット径に対する溝幅の割合
が小さくなり、溝間からの反射光量が支配的となってト
ラッキングエラー信号が小さくなってしまう場合があ
る。また、0.45より大きくなると溝部と溝間との反
射光量の差が小さくなり、ラジアルコントラストが小さ
くなるなど光記録媒体としての特性が低下する場合があ
る。また、溝深さが、(λ/4n)の20%より小さく
なるとトラッキングエラー信号が小さくなり、また、8
0%より大きくなると反射率が低くなり光記録媒体とし
ての特性が低下する場合がある。
くなると、レーザー光のスポット径に対する溝幅の割合
が小さくなり、溝間からの反射光量が支配的となってト
ラッキングエラー信号が小さくなってしまう場合があ
る。また、0.45より大きくなると溝部と溝間との反
射光量の差が小さくなり、ラジアルコントラストが小さ
くなるなど光記録媒体としての特性が低下する場合があ
る。また、溝深さが、(λ/4n)の20%より小さく
なるとトラッキングエラー信号が小さくなり、また、8
0%より大きくなると反射率が低くなり光記録媒体とし
ての特性が低下する場合がある。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明の方法の実施に使用する光
記録媒体は、記録層に使用されている色素を除いて公知
の追記型の光記録媒体と実質的に同じである。本発明の
方法の実施に使用できる光記録媒体を、図1に模式的断
面拡大図で示す。
記録媒体は、記録層に使用されている色素を除いて公知
の追記型の光記録媒体と実質的に同じである。本発明の
方法の実施に使用できる光記録媒体を、図1に模式的断
面拡大図で示す。
【0051】光記録媒体は、図1に示すように、基板
1、記録層2、反射層3および保護層4を有して成る。
必要に応じて、情報の記録・再生特性を向上させる目的
で、従来技術にて形成されているように、記録層2の上
側および/または下側に、下地層、中間層、記録補助層
などを設けてもよい。尚、基板1は溝(図示せず)を有
する。
1、記録層2、反射層3および保護層4を有して成る。
必要に応じて、情報の記録・再生特性を向上させる目的
で、従来技術にて形成されているように、記録層2の上
側および/または下側に、下地層、中間層、記録補助層
などを設けてもよい。尚、基板1は溝(図示せず)を有
する。
【0052】光記録媒体に用いられる基板1は、記録す
るレーザー光の透過率が85%以上あり、かつ光学的異
方性の小さいものが望ましい。その材料は、例えば、ガ
ラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレ
フィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リメタクリル酸メチル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ
樹脂、アリル樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等
が挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂は、射出
(圧縮)成形機による成形が可能なため量産性が高く、
特に耐衝撃性の優れたポリカーボネート樹脂が最も一般
的である。
るレーザー光の透過率が85%以上あり、かつ光学的異
方性の小さいものが望ましい。その材料は、例えば、ガ
ラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレ
フィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リメタクリル酸メチル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ
樹脂、アリル樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等
が挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂は、射出
(圧縮)成形機による成形が可能なため量産性が高く、
特に耐衝撃性の優れたポリカーボネート樹脂が最も一般
的である。
【0053】こうして形成する基板は、特に厚みの制限
はなく、板状でもフィルム状でも良い。その形状は、円
形やカード状でもよく、大きさにも特に制限はない。ま
た、基板上に他の層、例えばSiO2等の耐溶剤層やエ
ンハンス層を設けてもよい。
はなく、板状でもフィルム状でも良い。その形状は、円
形やカード状でもよく、大きさにも特に制限はない。ま
た、基板上に他の層、例えばSiO2等の耐溶剤層やエ
ンハンス層を設けてもよい。
【0054】更に、基板の記録層側の表面には、レーザ
ー光の進行路を導くための手段が設けてある。これは、
例えば所定間隔に形成されたピットからなるアドレスピ
ットでもよいがスパイラル状もしくは同心円状等の案内
溝が望ましい。その溝に沿ってレーザー光が進行して記
録再生することができる。
ー光の進行路を導くための手段が設けてある。これは、
例えば所定間隔に形成されたピットからなるアドレスピ
ットでもよいがスパイラル状もしくは同心円状等の案内
溝が望ましい。その溝に沿ってレーザー光が進行して記
録再生することができる。
【0055】上記基板の案内溝側に形成する記録層2
は、一般式(a)に示す金属フタロシアニン色素により
形成される。この色素は、情報の記録に使用するレーザ
ー光の波長である程度の光吸収があるものであって、金
属フタロシアニン骨格が保持された状態で電子吸引性基
またはそれを含む基が離脱するのであれば、金属フタロ
シアニン骨格に導入される置換基は特に限定されない。
金属フタロシアニン骨格に導入する置換基を種々変える
ことにより、使用するレーザー光の波長に合わせて色素
の吸収特性を調整することができる。
は、一般式(a)に示す金属フタロシアニン色素により
形成される。この色素は、情報の記録に使用するレーザ
ー光の波長である程度の光吸収があるものであって、金
属フタロシアニン骨格が保持された状態で電子吸引性基
またはそれを含む基が離脱するのであれば、金属フタロ
シアニン骨格に導入される置換基は特に限定されない。
金属フタロシアニン骨格に導入する置換基を種々変える
ことにより、使用するレーザー光の波長に合わせて色素
の吸収特性を調整することができる。
【0056】また、記録層を形成するための色素は1種
である必要は必ずしもなく、上述のトリフルオロメチル
基含有フタロシアニンを複数、あるいは公知の色素と混
合してもよい。記録特性などを改良するために、大環状
アザアヌレン系色素(フタロシアニン系色素、ナフタロ
シアニン系色素、ポルフィリン系色素等)、ポリメチン
系色素(シアニン系色素、メロシアニン系色素、スチリ
ル系色素、スクアリリウム系色素等)、アゾ系色素、ジ
チオール金属錯体、アントラキノン系色素等の他の有機
色素、ニトロセルロース、エチルセルロース、アクリル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂、分散
剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を本発明の効果を
損なわない範囲で併用することもできる。
である必要は必ずしもなく、上述のトリフルオロメチル
基含有フタロシアニンを複数、あるいは公知の色素と混
合してもよい。記録特性などを改良するために、大環状
アザアヌレン系色素(フタロシアニン系色素、ナフタロ
シアニン系色素、ポルフィリン系色素等)、ポリメチン
系色素(シアニン系色素、メロシアニン系色素、スチリ
ル系色素、スクアリリウム系色素等)、アゾ系色素、ジ
チオール金属錯体、アントラキノン系色素等の他の有機
色素、ニトロセルロース、エチルセルロース、アクリル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂、分散
剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を本発明の効果を
損なわない範囲で併用することもできる。
【0057】本発明の方法に使用する光記録媒体の記録
層の形成方法は、適宜、ドライ工法またはウエット工法
を選択または併用すればよい。電子吸引性基を有する置
換基を有する上記金属フタロシアニン色素では、分子の
特性を活かして形成させるためには、ドライ工法、特に
蒸着法により記録層を形成するのがより適当であり、生
産性に優れている。この蒸着法は、高真空下で色素を加
熱・蒸発させ、蒸発した色素を基板にて析出させる既知
の方法であり、その詳細は、例えば特開昭54−164
627号公報を参照できる。
層の形成方法は、適宜、ドライ工法またはウエット工法
を選択または併用すればよい。電子吸引性基を有する置
換基を有する上記金属フタロシアニン色素では、分子の
特性を活かして形成させるためには、ドライ工法、特に
蒸着法により記録層を形成するのがより適当であり、生
産性に優れている。この蒸着法は、高真空下で色素を加
熱・蒸発させ、蒸発した色素を基板にて析出させる既知
の方法であり、その詳細は、例えば特開昭54−164
627号公報を参照できる。
【0058】上記金属フタロシアニン色素をウエット法
により基板に適用して記録層を形成する場合、セロソル
ブ系溶剤(例えばエチルセロソルブ)、アルコール系溶
剤(例えばフッ素アルコール)を使用して溶液を調製
し、これをスピンコート法により適用する。このような
ウエット法の詳細は、例えば特開平2−16083号公
報を参照できる。
により基板に適用して記録層を形成する場合、セロソル
ブ系溶剤(例えばエチルセロソルブ)、アルコール系溶
剤(例えばフッ素アルコール)を使用して溶液を調製
し、これをスピンコート法により適用する。このような
ウエット法の詳細は、例えば特開平2−16083号公
報を参照できる。
【0059】反射層3は、金、銀、銅、白金、アルミニ
ウム等の金属およびこれらを主成分とした合金、Mg
O、ZnO、SnO等の金属酸化物、SiN4 、Al
N、TiO等の窒化物などの材料から形成する。中で
も、絶対反射率が高く、保存安定性に優れている金は最
適であるが、使用するレーザー光で情報を記録・再生す
るのに必要な反射率が確保できれば何れでもよい。この
反射層は、真空蒸着法、スパッタ法などにより形成でき
る。
ウム等の金属およびこれらを主成分とした合金、Mg
O、ZnO、SnO等の金属酸化物、SiN4 、Al
N、TiO等の窒化物などの材料から形成する。中で
も、絶対反射率が高く、保存安定性に優れている金は最
適であるが、使用するレーザー光で情報を記録・再生す
るのに必要な反射率が確保できれば何れでもよい。この
反射層は、真空蒸着法、スパッタ法などにより形成でき
る。
【0060】保護層4は、上記基板と同様に、耐衝撃性
が優れ、低硬化収縮性を兼ね備えた樹脂により形成す
る。これは例えば、紫外線硬化樹脂をスピンコート法に
より塗布したのち、これに紫外線を照射して硬化させる
ことにより形成する。この他、エポキシ樹脂、アクリル
樹脂、シリコーン系ハードコート樹脂等を使用してもよ
い。
が優れ、低硬化収縮性を兼ね備えた樹脂により形成す
る。これは例えば、紫外線硬化樹脂をスピンコート法に
より塗布したのち、これに紫外線を照射して硬化させる
ことにより形成する。この他、エポキシ樹脂、アクリル
樹脂、シリコーン系ハードコート樹脂等を使用してもよ
い。
【0061】本発明の方法において、使用できるレーザ
ー光は、上述のように、情報の記録に際して、金属フタ
ロシアニン骨格を保持しながら、電子吸引性基またはそ
れを有する基を離脱させることができるものであれば、
特に限定されるものではない。通常、770〜830n
mの波長、例えば770〜800nmの波長を有するレ
ーザー光を使用できる。また、記録に用いるレーザー光
の記録パワーは、約4〜8mW程度で十分である。
ー光は、上述のように、情報の記録に際して、金属フタ
ロシアニン骨格を保持しながら、電子吸引性基またはそ
れを有する基を離脱させることができるものであれば、
特に限定されるものではない。通常、770〜830n
mの波長、例えば770〜800nmの波長を有するレ
ーザー光を使用できる。また、記録に用いるレーザー光
の記録パワーは、約4〜8mW程度で十分である。
【0062】
【実施例】下記の実施例1〜8にて合成した金属フタロ
シアニン色素を用いて本発明の方法に使用する光記録媒
体を製造した。表1に金属フタロシアニン色素の置換基
を示す。尚、表1には、比較例1〜3として合成したフ
タロシアニン系色素の置換基も示している。
シアニン色素を用いて本発明の方法に使用する光記録媒
体を製造した。表1に金属フタロシアニン色素の置換基
を示す。尚、表1には、比較例1〜3として合成したフ
タロシアニン系色素の置換基も示している。
【0063】
【表1】
【0064】(実施例1)実施例1では、記録層として
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
【0065】3−[2−(トリフルオロメチル)フェノ
キシ]フタロニトリルの合成 冷却管をつけた反応フラスコに、3−ニトロフタロニト
リル(8.7g)、2−(トリフルオロメチル)フェノ
ール(9.4g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、
ジメチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気
流下、攪拌しながら50℃まで昇温した。50℃で3時
間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500
ml)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化
合物(13.5g)を得た。
キシ]フタロニトリルの合成 冷却管をつけた反応フラスコに、3−ニトロフタロニト
リル(8.7g)、2−(トリフルオロメチル)フェノ
ール(9.4g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、
ジメチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気
流下、攪拌しながら50℃まで昇温した。50℃で3時
間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500
ml)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化
合物(13.5g)を得た。
【0066】α,α,α,α−テトラキス[2−(トリ
フルオロメチル)フェノキシ]銅フタロシアニンの合成 次に、冷却管をつけた反応フラスコに、上記フタロニト
リル誘導体(3.5g)、1−ペンタノール(18m
l)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウ
ンデセン(以下DBUと略)(2.7g)、塩化第一銅
(0.4g)を仕込み窒素気流下110℃で5時間攪拌
した後、加熱を止め反応液をメタノール(200ml)
に注加、さらに水(40ml)を加え析出した結晶を濾
集、乾燥して粗製品(1.8g)を得た。
フルオロメチル)フェノキシ]銅フタロシアニンの合成 次に、冷却管をつけた反応フラスコに、上記フタロニト
リル誘導体(3.5g)、1−ペンタノール(18m
l)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウ
ンデセン(以下DBUと略)(2.7g)、塩化第一銅
(0.4g)を仕込み窒素気流下110℃で5時間攪拌
した後、加熱を止め反応液をメタノール(200ml)
に注加、さらに水(40ml)を加え析出した結晶を濾
集、乾燥して粗製品(1.8g)を得た。
【0067】この粗製品をカラムクロマトグラフィ(シ
リカゲル/トルエン:酢酸エチル=40:1)により精
製して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキス
[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]銅フタロシ
アニン(1.6g)を得た。
リカゲル/トルエン:酢酸エチル=40:1)により精
製して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキス
[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]銅フタロシ
アニン(1.6g)を得た。
【0068】光記録媒体の製造 ポリカーボネート樹脂で射出成形した、外径120m
m、内径15mm、厚さ1.2mmの透明基板の記録層
側に、幅0.6μm、深さ70nm、TP1.6μmの
スパイラル状の案内溝が設けた。この基板上に、上記金
属フタロシアニン色素を蒸着して(操作圧力:10-4T
orr以下)厚さ200nmの記録層を設けた。このと
きの蒸発開始温度は190℃であり、蒸発開始温度と分
解温度との差は220℃であった。
m、内径15mm、厚さ1.2mmの透明基板の記録層
側に、幅0.6μm、深さ70nm、TP1.6μmの
スパイラル状の案内溝が設けた。この基板上に、上記金
属フタロシアニン色素を蒸着して(操作圧力:10-4T
orr以下)厚さ200nmの記録層を設けた。このと
きの蒸発開始温度は190℃であり、蒸発開始温度と分
解温度との差は220℃であった。
【0069】その上に、金のスパッタ膜よりなる厚さ1
00nmの反射膜および紫外線硬化樹脂(大日本インキ
(株)製ダイキュアクリアSD−17)よりなる厚さ7
μmの保護層を設けて光記録媒体を作製した。尚、溝幅
/TPは0.38であり、レーザー波長λを788n
m、基板の屈折率nを1.55とすると、溝深さは(λ
/4n)の55%である。
00nmの反射膜および紫外線硬化樹脂(大日本インキ
(株)製ダイキュアクリアSD−17)よりなる厚さ7
μmの保護層を設けて光記録媒体を作製した。尚、溝幅
/TPは0.38であり、レーザー波長λを788n
m、基板の屈折率nを1.55とすると、溝深さは(λ
/4n)の55%である。
【0070】(実施例2)実施例2では、記録層として
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
【0071】3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロプロポキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノー
ル(9.0g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、ジ
メチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気流
下、攪拌しながら50℃まで昇温した。50℃で4時間
攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500m
l)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合
物(13.2g)を得た。
ロプロポキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノー
ル(9.0g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、ジ
メチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気流
下、攪拌しながら50℃まで昇温した。50℃で4時間
攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500m
l)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合
物(13.2g)を得た。
【0072】α,α,α,α−テトラキス(2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)銅フタロシア
ニンの合成 次に、反応フラスコに、上記フタロニトリル誘導体(1
3.1g)、1−ペンタノール(90ml)、DBU
(10.8g)、塩化第一銅(1.5g)を仕込み窒素
気流下攪拌しながら110℃まで昇温した。同温度で5
時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(40
0ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品
(10.1g)を得た。この粗製品をジオキサン(80
0ml)に溶解し攪拌しながら60℃に昇温し活性白土
(1g)を加え30分攪拌、濾過して活性白土層を除い
た後、濾液をエバポレーターで濃縮、乾固した。固形分
をメタノール(400ml)に分散した後、濾過、結晶
を乾燥して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラ
キス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキ
シ)銅フタロシアニン(3.3g)を得た。
3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)銅フタロシア
ニンの合成 次に、反応フラスコに、上記フタロニトリル誘導体(1
3.1g)、1−ペンタノール(90ml)、DBU
(10.8g)、塩化第一銅(1.5g)を仕込み窒素
気流下攪拌しながら110℃まで昇温した。同温度で5
時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(40
0ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品
(10.1g)を得た。この粗製品をジオキサン(80
0ml)に溶解し攪拌しながら60℃に昇温し活性白土
(1g)を加え30分攪拌、濾過して活性白土層を除い
た後、濾液をエバポレーターで濃縮、乾固した。固形分
をメタノール(400ml)に分散した後、濾過、結晶
を乾燥して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラ
キス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキ
シ)銅フタロシアニン(3.3g)を得た。
【0073】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ180nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、210
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ180nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、210
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
【0074】光照射による電子吸引性基またはそれを含
む基の脱離の確認 得られた光記録媒体に、DC信号を加えた記録レーザー
光を基板側から照射して情報の記録を実施した。記録済
み光記録媒体から保護膜および反射膜を除去した後、記
録層をプロパノール中に溶解させてサンプルを得た。未
記録の光記録媒体についても同様に処理した。尚、記録
済み光記録媒体については、記録層の下層部(約半分)
は、十分に溶解ぜずに基板上の残存した。
む基の脱離の確認 得られた光記録媒体に、DC信号を加えた記録レーザー
光を基板側から照射して情報の記録を実施した。記録済
み光記録媒体から保護膜および反射膜を除去した後、記
録層をプロパノール中に溶解させてサンプルを得た。未
記録の光記録媒体についても同様に処理した。尚、記録
済み光記録媒体については、記録層の下層部(約半分)
は、十分に溶解ぜずに基板上の残存した。
【0075】得られた双方のサンプルについて、質量分
析を実施した。双方のサンプルについて、質量数116
7に大きいピークが観測された。これは、本実施例の金
属フタロシアニン色素の分子量である。また、観察され
たマススペクトルの主たる差(即ち、未記録のサンプル
についてのマススペクトルを、記録済みのサンプルにつ
いてのマススペクトルから差し引いたスペクトル)を図
2に示す。
析を実施した。双方のサンプルについて、質量数116
7に大きいピークが観測された。これは、本実施例の金
属フタロシアニン色素の分子量である。また、観察され
たマススペクトルの主たる差(即ち、未記録のサンプル
についてのマススペクトルを、記録済みのサンプルにつ
いてのマススペクトルから差し引いたスペクトル)を図
2に示す。
【0076】図示するように、レーザー光を照射するこ
とにより、769、900および1035の質量数にお
いて大きいピーク差が生じた。これは、金属フタロシア
ニン色素から、ペンタフルオロプロピル基がそれぞれ3
つ、2つおよび1つ脱離した分子の質量数に相当する。
即ち、電子吸引性基を含む基が、金属フタロシアニン色
素から脱離したことを意味する。
とにより、769、900および1035の質量数にお
いて大きいピーク差が生じた。これは、金属フタロシア
ニン色素から、ペンタフルオロプロピル基がそれぞれ3
つ、2つおよび1つ脱離した分子の質量数に相当する。
即ち、電子吸引性基を含む基が、金属フタロシアニン色
素から脱離したことを意味する。
【0077】(実施例3)実施例3では、記録層として
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
(表1)に示す金属フタロシアニン色素を用いた。尚、
この化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、そ
の合成法を以下に示す。
【0078】反応フラスコに実施例2の色素合成操作と
同様にして得たフタロニトリル誘導体(5.5g)、1
−ペンタノール(36ml)、DBU(3.6g)を仕
込み、窒素気流下攪拌しながら115℃まで昇温した。
同温度で5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノ
ール(300ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥
して粗製品(2.7g)を得た。
同様にして得たフタロニトリル誘導体(5.5g)、1
−ペンタノール(36ml)、DBU(3.6g)を仕
込み、窒素気流下攪拌しながら115℃まで昇温した。
同温度で5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノ
ール(300ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥
して粗製品(2.7g)を得た。
【0079】この粗製品をテトラヒドロフラン(140
ml)に投入し攪拌しながら活性白土(2.7g)を加
え15分攪拌後、濾過して濾液をエバポレーターで濃
縮、乾固した。固形分をメタノール(260ml)に分
散した後、濾過、結晶を乾燥して、目的化合物である
α,α,α,α−テトラキス(2,2,3,3,3−ペ
ンタフルオロプロポキシ)フタロシアニン(2.0g)
を得た。
ml)に投入し攪拌しながら活性白土(2.7g)を加
え15分攪拌後、濾過して濾液をエバポレーターで濃
縮、乾固した。固形分をメタノール(260ml)に分
散した後、濾過、結晶を乾燥して、目的化合物である
α,α,α,α−テトラキス(2,2,3,3,3−ペ
ンタフルオロプロポキシ)フタロシアニン(2.0g)
を得た。
【0080】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ190nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、240
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ190nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、240
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
【0081】(実施例4)実施例4では、記録層として
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
【0082】3−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(8.2
g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、ジメチルホル
ムアミド(350ml)を仕込み、窒素気流下、攪拌し
ながら50℃まで昇温した。50℃で5時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(1
2.9g)を得た。
シ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(8.2
g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、ジメチルホル
ムアミド(350ml)を仕込み、窒素気流下、攪拌し
ながら50℃まで昇温した。50℃で5時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(1
2.9g)を得た。
【0083】α,α,α,α−テトラキス(2,2,2
−トリフルオロエトキシ)ニッケルフタロシアニンの合
成 次に、反応フラスコに、上記フタロニトリル誘導体(1
2.9g)、1−ペンタノール(90ml)、DBU
(10.8g)、塩化ニッケル(2.0g)を仕込み窒
素気流下攪拌しながら110℃まで昇温した。同温度で
5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(4
00ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥して粗製
品(9.6g)を得た。この粗製品をテトラヒドロフラ
ン(800ml)に溶解し攪拌しながら活性白土(4
g)を加え5分攪拌後、濾過して活性白土層を除いた
後、濾液をエバポレーターで濃縮、乾固した。固形分を
メタノール(400ml)に分散した後、濾過、結晶を
乾燥して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキ
ス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニッケルフタ
ロシアニン(1.3g)を得た。
−トリフルオロエトキシ)ニッケルフタロシアニンの合
成 次に、反応フラスコに、上記フタロニトリル誘導体(1
2.9g)、1−ペンタノール(90ml)、DBU
(10.8g)、塩化ニッケル(2.0g)を仕込み窒
素気流下攪拌しながら110℃まで昇温した。同温度で
5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(4
00ml)に注加し析出した結晶を濾集、乾燥して粗製
品(9.6g)を得た。この粗製品をテトラヒドロフラ
ン(800ml)に溶解し攪拌しながら活性白土(4
g)を加え5分攪拌後、濾過して活性白土層を除いた
後、濾液をエバポレーターで濃縮、乾固した。固形分を
メタノール(400ml)に分散した後、濾過、結晶を
乾燥して、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキ
ス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニッケルフタ
ロシアニン(1.3g)を得た。
【0084】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ200nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は260℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ200nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は260℃で
あった。
【0085】(実施例5)実施例5では、記録層として
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
【0086】3−[2,2−ビス(トリフルオロメチ
ル)プロポキシ]フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノー
ル(11.8g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、
ジメチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気
流下、攪拌しながら60℃まで昇温した。60℃で5時
間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500
ml)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化
合物(12.8g)を得た。
ル)プロポキシ]フタロニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノー
ル(11.8g)、無水炭酸カリウム(13.8g)、
ジメチルスルホキシド(350ml)を仕込み、窒素気
流下、攪拌しながら60℃まで昇温した。60℃で5時
間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500
ml)に注加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化
合物(12.8g)を得た。
【0087】α,α,α,α−テトラキス[2,2−ビ
ス(トリフルオロメチル)プロポキシ]コバルトフタロ
シアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(4.
8g)、1−ペンタノール(27ml)、DBU(4.
6g)、塩化コバルト(0.65g)を仕込み窒素気流
下110℃で5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメ
タノール(150ml)に注加、さらに水(30ml)
を加え析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品(2.5
g)を得た。この粗製品をカラムクロマトグラフィ(シ
リカゲル/トルエン:テトラヒドロフラン=80:1)
により精製して、目的化合物であるα,α,α,α−テ
トラキス[2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロポ
キシ]コバルトフタロシアニン(0.34g)を得た。
ス(トリフルオロメチル)プロポキシ]コバルトフタロ
シアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(4.
8g)、1−ペンタノール(27ml)、DBU(4.
6g)、塩化コバルト(0.65g)を仕込み窒素気流
下110℃で5時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメ
タノール(150ml)に注加、さらに水(30ml)
を加え析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品(2.5
g)を得た。この粗製品をカラムクロマトグラフィ(シ
リカゲル/トルエン:テトラヒドロフラン=80:1)
により精製して、目的化合物であるα,α,α,α−テ
トラキス[2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロポ
キシ]コバルトフタロシアニン(0.34g)を得た。
【0088】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ280nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、250
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は170℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ280nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、250
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は170℃で
あった。
【0089】(実施例6)実施例6では、記録層として
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、こ
の化合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その
合成法を以下に示す。
【0090】反応フラスコに、実施例5で用いた合成操
作と同様にして得られたフタロニトリル誘導体(6.4
g)、1−ペンタノール(46ml)、DBU(6.1
g)、塩化亜鉛(0.91g)を仕込み窒素気流下11
0℃で6時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノー
ル(160ml)に注加、水(40ml)を加え析出し
た結晶を濾集、乾燥して粗製品(5g)を得た。この粗
製品(3.1g)をカラムクロマトグラフィ(シリカゲ
ル/トルエン:酢酸エチル=30:1)により精製し
て、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキス
[2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ]亜
鉛フタロシアニン(1.8g)を得た。
作と同様にして得られたフタロニトリル誘導体(6.4
g)、1−ペンタノール(46ml)、DBU(6.1
g)、塩化亜鉛(0.91g)を仕込み窒素気流下11
0℃で6時間攪拌した後、加熱を止め反応液をメタノー
ル(160ml)に注加、水(40ml)を加え析出し
た結晶を濾集、乾燥して粗製品(5g)を得た。この粗
製品(3.1g)をカラムクロマトグラフィ(シリカゲ
ル/トルエン:酢酸エチル=30:1)により精製し
て、目的化合物であるα,α,α,α−テトラキス
[2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ]亜
鉛フタロシアニン(1.8g)を得た。
【0091】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ190nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、220
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は250℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ190nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、220
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は250℃で
あった。
【0092】(実施例7)実施例7では、記録層として
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。その合
成法を以下に示す。
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。その合
成法を以下に示す。
【0093】3,4,5,6−テトラキス(2,2,2
−トリフルオロエトキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコにテトラフルオロフタロニトリル(10
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(50
g)、無水炭酸カリウム(55g)、ジメチルホルムア
ミド(30ml)を仕込み、50℃で3時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(2
5.2g)を得た。
−トリフルオロエトキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコにテトラフルオロフタロニトリル(10
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(50
g)、無水炭酸カリウム(55g)、ジメチルホルムア
ミド(30ml)を仕込み、50℃で3時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(500ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(2
5.2g)を得た。
【0094】ヘキサデカ(2,2,2−トリフルオロエ
トキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(25
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(100m
l)、DBU(20.4g)を仕込み窒素気流下攪拌し
ながら55℃まで温度を上げ塩化第一銅(1.6g)を
仕込みさらに温度を上げ80℃で6時間攪拌した。その
後、加熱を止め冷却、水(50ml)を滴下して析出し
た結晶を濾集、乾燥して(16.3g)の粗製品を得
た。この粗製品(12.5g)をカラムクロマトグラフ
ィ(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=2:1)で精
製、乾燥して、目的化合物であるヘキサデカ(2,2,
2−トリフルオロエトキシ)銅フタロシアニン(11.
6g)を得た。
トキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(25
g)、2,2,2−トリフルオロエタノール(100m
l)、DBU(20.4g)を仕込み窒素気流下攪拌し
ながら55℃まで温度を上げ塩化第一銅(1.6g)を
仕込みさらに温度を上げ80℃で6時間攪拌した。その
後、加熱を止め冷却、水(50ml)を滴下して析出し
た結晶を濾集、乾燥して(16.3g)の粗製品を得
た。この粗製品(12.5g)をカラムクロマトグラフ
ィ(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=2:1)で精
製、乾燥して、目的化合物であるヘキサデカ(2,2,
2−トリフルオロエトキシ)銅フタロシアニン(11.
6g)を得た。
【0095】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ180nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ180nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は220℃で
あった。
【0096】(実施例8)実施例8では、記録層として
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。その合
成法を以下に示す。
(表1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。その合
成法を以下に示す。
【0097】反応フラスコに実施例7の合成操作と同様
にして得たフタロニトリル誘導体(2.5g)、2,
2,2−トリフルオロエタノール(10ml)、DBU
(2g)を仕込み窒素気流下攪拌しながら55℃まで温
度を上げ塩化パラジウム(0.29g)を仕込みさらに
温度を上げ80℃で9時間攪拌した。その後、加熱を止
め冷却、水(10ml)を滴下して析出した結晶を濾
集、乾燥して粗製品(1.4g)を得た。この粗製品を
カラムクロマトグラフィ(シリカゲル/トルエン:酢酸
エチル=2:1)で精製、乾燥して、目的化合物である
ヘキサデカ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)パラ
ジウムフタロシアニン(0.41g)を得た。
にして得たフタロニトリル誘導体(2.5g)、2,
2,2−トリフルオロエタノール(10ml)、DBU
(2g)を仕込み窒素気流下攪拌しながら55℃まで温
度を上げ塩化パラジウム(0.29g)を仕込みさらに
温度を上げ80℃で9時間攪拌した。その後、加熱を止
め冷却、水(10ml)を滴下して析出した結晶を濾
集、乾燥して粗製品(1.4g)を得た。この粗製品を
カラムクロマトグラフィ(シリカゲル/トルエン:酢酸
エチル=2:1)で精製、乾燥して、目的化合物である
ヘキサデカ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)パラ
ジウムフタロシアニン(0.41g)を得た。
【0098】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1と同様にし
て、基板上に蒸着により厚さ330nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、140
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は290℃で
あった。
て、基板上に蒸着により厚さ330nmに形成し、光記
録媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、140
℃であり、蒸発開始温度と分解温度との差は290℃で
あった。
【0099】(実施例9)実施例9では、溝形状とし
て、幅0.4μm、深さ50nm、TP1.6μmの基
板上に、実施例2で用いた色素を同様にして形成して、
光記録媒体を作製した。溝幅/TPは0.25であり、
レーザー波長λを788nm、基板の屈折率nを1.5
5とすると、溝深さは(λ/4n)の39%である。
て、幅0.4μm、深さ50nm、TP1.6μmの基
板上に、実施例2で用いた色素を同様にして形成して、
光記録媒体を作製した。溝幅/TPは0.25であり、
レーザー波長λを788nm、基板の屈折率nを1.5
5とすると、溝深さは(λ/4n)の39%である。
【0100】また、上記実施例1〜9と比較するため
に、比較例1〜7の光記録媒体を作製した。
に、比較例1〜7の光記録媒体を作製した。
【0101】(比較例1)比較例1では、記録層として
(表1)に示す分岐アルコキシ基を導入した(トリフル
オロメチル基を含まない)フタロシアニン系色素を用い
た。尚、この化合物は、α位置換の異性体を含むもので
あり、その合成法を以下に示す。
(表1)に示す分岐アルコキシ基を導入した(トリフル
オロメチル基を含まない)フタロシアニン系色素を用い
た。尚、この化合物は、α位置換の異性体を含むもので
あり、その合成法を以下に示す。
【0102】3−(2−ペンチルオキシ)フタロニトリ
ルの合成 反応フラスコに3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2−ペンタノール(12g)、無水炭酸カリウム
(26g)、ジメチルスルホキシド(100ml)を仕
込み、窒素気流下、攪拌しながら70℃まで昇温した。
70℃で16時間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却
後、水(500ml)に注加し、析出した結晶を濾集、
乾燥して目的化合物(4.4g)を得た。
ルの合成 反応フラスコに3−ニトロフタロニトリル(8.7
g)、2−ペンタノール(12g)、無水炭酸カリウム
(26g)、ジメチルスルホキシド(100ml)を仕
込み、窒素気流下、攪拌しながら70℃まで昇温した。
70℃で16時間攪拌した後、加熱を止め反応液を冷却
後、水(500ml)に注加し、析出した結晶を濾集、
乾燥して目的化合物(4.4g)を得た。
【0103】α,α,α,α−テトラキス(2−ペンチ
ルオキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(4.
3g)、1−ペンタノール30ml、DBU(4.6
g)を仕込み窒素気流下攪拌しながら85℃にして塩化
第一銅(0.57g)を仕込みその後95℃で9時間攪
拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(200m
l)に注加、さらに水(20ml)を加え析出した結晶
を濾集、乾燥して粗製品(1.5g)を得た。この粗製
品をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/トルエン:
酢酸エチル=30:1)により精製して、目的化合物で
あるα,α,α,α−テトラキス(2−ペンチルオキ
シ)銅フタロシアニン(0.84g)を得た。
ルオキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(4.
3g)、1−ペンタノール30ml、DBU(4.6
g)を仕込み窒素気流下攪拌しながら85℃にして塩化
第一銅(0.57g)を仕込みその後95℃で9時間攪
拌した後、加熱を止め反応液をメタノール(200m
l)に注加、さらに水(20ml)を加え析出した結晶
を濾集、乾燥して粗製品(1.5g)を得た。この粗製
品をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/トルエン:
酢酸エチル=30:1)により精製して、目的化合物で
あるα,α,α,α−テトラキス(2−ペンチルオキ
シ)銅フタロシアニン(0.84g)を得た。
【0104】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1の基板上に、
同様にして蒸着により厚さ150nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、180℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は210℃であ
った。
同様にして蒸着により厚さ150nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、180℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は210℃であ
った。
【0105】(比較例2)比較例2では、記録層とし
て、トリフルオロメチル基のうちフッ素が1個水素に置
換された(表1)に示すフタロシアニン系色素を用い
た。尚、この化合物は、α位置換の異性体を含むもので
あり、その合成法を以下に示す。
て、トリフルオロメチル基のうちフッ素が1個水素に置
換された(表1)に示すフタロシアニン系色素を用い
た。尚、この化合物は、α位置換の異性体を含むもので
あり、その合成法を以下に示す。
【0106】3−(2,2,3,3,4,4,5,5−
オクタフルオロペンチルオキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに3−ニトロフタロニトリル(5.2
g)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオ
ロペンタノール(8.4g)、無水炭酸カリウム(8.
3g)、ジメチルスルホキシド(21ml)を仕込み、
窒素気流下、50℃で5時間攪拌した後、加熱を止め反
応液を冷却後、水(300ml)に注加し、析出した結
晶を濾集、乾燥して目的化合物(8.2g)を得た。
オクタフルオロペンチルオキシ)フタロニトリルの合成 反応フラスコに3−ニトロフタロニトリル(5.2
g)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオ
ロペンタノール(8.4g)、無水炭酸カリウム(8.
3g)、ジメチルスルホキシド(21ml)を仕込み、
窒素気流下、50℃で5時間攪拌した後、加熱を止め反
応液を冷却後、水(300ml)に注加し、析出した結
晶を濾集、乾燥して目的化合物(8.2g)を得た。
【0107】α,α,α,α−テトラキス(2,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキ
シ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(3.
6g)、1−ペンタノール(20ml)、DBU(2.
3g)、塩化第一銅(0.28g)を仕込み窒素気流下
攪拌しながら100℃で5時間攪拌した後、加熱を止め
反応液をメタノール(100ml)に注加し水(30m
l)を滴下して析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品
(2.8g)を得た。この粗製品をカラムクロマトグラ
フィ(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=40:1)
により精製して目的化合物であるα,α,α,α−テト
ラキス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチルオキシ)銅フタロシアニン(1.4g)を
得た。
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルオキ
シ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(3.
6g)、1−ペンタノール(20ml)、DBU(2.
3g)、塩化第一銅(0.28g)を仕込み窒素気流下
攪拌しながら100℃で5時間攪拌した後、加熱を止め
反応液をメタノール(100ml)に注加し水(30m
l)を滴下して析出した結晶を濾集、乾燥して粗製品
(2.8g)を得た。この粗製品をカラムクロマトグラ
フィ(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=40:1)
により精製して目的化合物であるα,α,α,α−テト
ラキス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチルオキシ)銅フタロシアニン(1.4g)を
得た。
【0108】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1の基板上に、
同様にして蒸着により厚さ160nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、200℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は270℃であ
った。
同様にして蒸着により厚さ160nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、200℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は270℃であ
った。
【0109】(比較例3)比較例3では、記録層とし
て、フェノキシ基のベンゼン環がフッ素置換された(表
1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、この化
合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その合成
法を以下に示す。
て、フェノキシ基のベンゼン環がフッ素置換された(表
1)に示すフタロシアニン系色素を用いた。尚、この化
合物は、α位置換の異性体を含むものであり、その合成
法を以下に示す。
【0110】3−(ペンタフルオロフェノキシ)フタロ
ニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(3.4
g)、ペンタフルオロフェノール(4.4g)、無水炭
酸カリウム(2.8g)、ジメチルスルホキシド(10
ml)を仕込み、窒素気流下、50℃で5時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(200ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(5.
8g)を得た。
ニトリルの合成 反応フラスコに、3−ニトロフタロニトリル(3.4
g)、ペンタフルオロフェノール(4.4g)、無水炭
酸カリウム(2.8g)、ジメチルスルホキシド(10
ml)を仕込み、窒素気流下、50℃で5時間攪拌した
後、加熱を止め反応液を冷却後、水(200ml)に注
加し、析出した結晶を濾集、乾燥して目的化合物(5.
8g)を得た。
【0111】α,α,α,α−テトラキス(ペンタフル
オロフェノキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(5
g)、1−ペンタノール(30ml)、DBU(3.4
g)、塩化第一銅(0.5g)を仕込み窒素気流下攪拌
しながら100℃で8時間攪拌した後、加熱を止め反応
液をメタノール(300ml)に注加し析出した結晶を
濾集、乾燥して粗製品(4.2g)を得た。この粗製品
をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/テトラヒドロ
フラン)により精製して、目的化合物であるα,α,
α,α−テトラキス(ペンタフルオロフェノキシ)銅フ
タロシアニン(1.7g)を得た。
オロフェノキシ)銅フタロシアニンの合成 次に、反応フラスコに上記フタロニトリル誘導体(5
g)、1−ペンタノール(30ml)、DBU(3.4
g)、塩化第一銅(0.5g)を仕込み窒素気流下攪拌
しながら100℃で8時間攪拌した後、加熱を止め反応
液をメタノール(300ml)に注加し析出した結晶を
濾集、乾燥して粗製品(4.2g)を得た。この粗製品
をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/テトラヒドロ
フラン)により精製して、目的化合物であるα,α,
α,α−テトラキス(ペンタフルオロフェノキシ)銅フ
タロシアニン(1.7g)を得た。
【0112】光記録媒体の製造 こうして得られた色素を用いて、実施例1の基板上に、
同様にして蒸着により厚さ190nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は280℃であ
った。
同様にして蒸着により厚さ190nmに形成し、光記録
媒体を作製した。この色素の蒸発開始温度は、170℃
であり、蒸発開始温度と分解温度との差は280℃であ
った。
【0113】(比較例4)比較例4では、日本触媒
(株)製の可溶化フタロシアニン色素(TX−104
A)をエチルセロソルブに3wt%で溶解した塗工液を
作り、これを基板上に、スピンコート法により厚さ15
0nmに形成し、光記録媒体を作製した。尚、基板にお
いて、溝幅/TPは0.25であり、レーザー波長λを
788nm、基板の屈折率nを1.55とすると、溝深
さは(λ/4n)の86%である。
(株)製の可溶化フタロシアニン色素(TX−104
A)をエチルセロソルブに3wt%で溶解した塗工液を
作り、これを基板上に、スピンコート法により厚さ15
0nmに形成し、光記録媒体を作製した。尚、基板にお
いて、溝幅/TPは0.25であり、レーザー波長λを
788nm、基板の屈折率nを1.55とすると、溝深
さは(λ/4n)の86%である。
【0114】(比較例5)比較例5では、富士写真フィ
ルム(株)製のシアニン色素(OM−55)をエチルセ
ロソルブに3wt%で溶解した塗工液を作り、これを比
較例4と同じ基板上に、スピンコート法により厚さ15
0nmに形成し、比較例4と同様にして光記録媒体を作
製した。
ルム(株)製のシアニン色素(OM−55)をエチルセ
ロソルブに3wt%で溶解した塗工液を作り、これを比
較例4と同じ基板上に、スピンコート法により厚さ15
0nmに形成し、比較例4と同様にして光記録媒体を作
製した。
【0115】(比較例6)比較例6では、2,9,1
6,23−テトラーt−ブチルフタロシアニン銅(アル
ドリッチ社製、製品名42316−5、式(a)の置換
基X2、X6、X10およびX14がC(CH3)3−に
より置換されたもの)を用いて実施例1と同様に光記録
媒体を作成した。使用した基板は、実施例1と同等のも
のであった。この色素の蒸発開始温度は、200℃であ
り、蒸発開始温度と分解温度との差は230℃であっ
た。
6,23−テトラーt−ブチルフタロシアニン銅(アル
ドリッチ社製、製品名42316−5、式(a)の置換
基X2、X6、X10およびX14がC(CH3)3−に
より置換されたもの)を用いて実施例1と同様に光記録
媒体を作成した。使用した基板は、実施例1と同等のも
のであった。この色素の蒸発開始温度は、200℃であ
り、蒸発開始温度と分解温度との差は230℃であっ
た。
【0116】(比較例7)比較例7では、オクタペンチ
ルオキシ銅フタロシアニン(各α位にペンチルオキシ基
を有するもの)(アルドリッチ社製、製品名38661
−8、式(a)の置換基X1、X4、X5、X8、X
9、X12、X13およびX16がCH3(CH2)3O
−により置換されたもの)および分解促進剤としてのフ
ェロセンを用いて比較例4と同様に光記録媒体を作成し
た。使用した基板は、比較例5と同等のものであった。
ルオキシ銅フタロシアニン(各α位にペンチルオキシ基
を有するもの)(アルドリッチ社製、製品名38661
−8、式(a)の置換基X1、X4、X5、X8、X
9、X12、X13およびX16がCH3(CH2)3O
−により置換されたもの)および分解促進剤としてのフ
ェロセンを用いて比較例4と同様に光記録媒体を作成し
た。使用した基板は、比較例5と同等のものであった。
【0117】尚、蒸発(または昇華)開始温度は、1×
10-5torr以下の真空度で色素を加熱して水晶発振
式膜厚計の値が0.1nm/秒となった時の蒸発源の温
度とした。また、分解温度は、窒素ガス雰囲気中での示
差走査熱量分析の発熱温度とした。また、合成に際して
目的物が得られたか否かの確認は、質量分析、NMRお
よび元素分析により行った。
10-5torr以下の真空度で色素を加熱して水晶発振
式膜厚計の値が0.1nm/秒となった時の蒸発源の温
度とした。また、分解温度は、窒素ガス雰囲気中での示
差走査熱量分析の発熱温度とした。また、合成に際して
目的物が得られたか否かの確認は、質量分析、NMRお
よび元素分析により行った。
【0118】上記のように作製した光記録媒体は、パル
ステック製CD−Rテスターを用いて、波長788n
m、線速1.4m/秒で記録再生して、記録パワー、1
1T出力を測定した。また11Tでの信号波形歪みを観
察し、波形歪みの大きいものを(×)、歪みの小さいも
のを(△)、歪みのほとんど無いものを(○)として評
価した。尚、実施例のトリフルオロメチル基含有フタロ
シアニンを用いた光記録媒体については、C/N値が5
5dBであり、良好な記録を示し、比較例の色素を用い
た光記録媒体については、C/N値が50〜55dBで
あった。更に、耐光性試験としてスガ試験機(株)製キ
セノンロングライフフェードメーターにおいて、150
時間照射後の特性劣化がほとんどないものを(○)、劣
化が大きいものを(×)として評価した。結果を表2に
示す:
ステック製CD−Rテスターを用いて、波長788n
m、線速1.4m/秒で記録再生して、記録パワー、1
1T出力を測定した。また11Tでの信号波形歪みを観
察し、波形歪みの大きいものを(×)、歪みの小さいも
のを(△)、歪みのほとんど無いものを(○)として評
価した。尚、実施例のトリフルオロメチル基含有フタロ
シアニンを用いた光記録媒体については、C/N値が5
5dBであり、良好な記録を示し、比較例の色素を用い
た光記録媒体については、C/N値が50〜55dBで
あった。更に、耐光性試験としてスガ試験機(株)製キ
セノンロングライフフェードメーターにおいて、150
時間照射後の特性劣化がほとんどないものを(○)、劣
化が大きいものを(×)として評価した。結果を表2に
示す:
【0119】
【表2】
【0120】表2において、トリフルオロメチル基を持
たない比較例1〜4と実施例1〜8とを比較すると明ら
かなように、トリフルオロメチル基を有することによ
り、記録パワーが低減され、11Tの出力が高く、波形
歪みが改善され、安定した特性を得ることができること
が判る。また、本発明の実施例の中でも、フタロシアニ
ン系色素の中心が、無金属のもの(実施例3)より、金
属を有するものの方が、高出力で、波形歪みへの改善効
果が大きく、特に、Co、Cu、Zn、Niは特性のバ
ランスが良好である。また、トリフルオロメチル基の数
が多くなるほど(実施例1〜8)、記録パワーが低減さ
れる傾向にあり、出力は徐々に高くなっていることか
ら、末端のトリフルオロメチル基が、記録感度の向上に
有効であることが明らかとなった。
たない比較例1〜4と実施例1〜8とを比較すると明ら
かなように、トリフルオロメチル基を有することによ
り、記録パワーが低減され、11Tの出力が高く、波形
歪みが改善され、安定した特性を得ることができること
が判る。また、本発明の実施例の中でも、フタロシアニ
ン系色素の中心が、無金属のもの(実施例3)より、金
属を有するものの方が、高出力で、波形歪みへの改善効
果が大きく、特に、Co、Cu、Zn、Niは特性のバ
ランスが良好である。また、トリフルオロメチル基の数
が多くなるほど(実施例1〜8)、記録パワーが低減さ
れる傾向にあり、出力は徐々に高くなっていることか
ら、末端のトリフルオロメチル基が、記録感度の向上に
有効であることが明らかとなった。
【0121】更に、実施例2と比較例5および7の光記
録媒体に関して、耐光性試験および耐湿性試験を実施し
た。これは、各例において製造した光記録媒体にレーザ
ー光(波長790nm、記録パワー7〜8mW)を用い
て情報(ランダム信号)を記録し、その後、耐光性試験
については屋外で太陽光線に曝すことにより、また、耐
湿性試験については60゜C、相対湿度90%の雰囲気
中に放置することにより、反射率およびエラーレートが
どのように変化するかを測定した。その結果を、耐光性
試験については図3(a)および(b)に、また、耐湿
性試験については図4(a)および(b)に示してい
る。
録媒体に関して、耐光性試験および耐湿性試験を実施し
た。これは、各例において製造した光記録媒体にレーザ
ー光(波長790nm、記録パワー7〜8mW)を用い
て情報(ランダム信号)を記録し、その後、耐光性試験
については屋外で太陽光線に曝すことにより、また、耐
湿性試験については60゜C、相対湿度90%の雰囲気
中に放置することにより、反射率およびエラーレートが
どのように変化するかを測定した。その結果を、耐光性
試験については図3(a)および(b)に、また、耐湿
性試験については図4(a)および(b)に示してい
る。
【0122】これらの図から明らかなように、本発明の
方法により情報を記録する場合、耐光性および耐湿性に
優れた情報記録が可能となることが判る。これは、本発
明の方法において、情報の記録に際して、堅牢性を有す
るフタロシアニン骨格が保持されることによる。
方法により情報を記録する場合、耐光性および耐湿性に
優れた情報記録が可能となることが判る。これは、本発
明の方法において、情報の記録に際して、堅牢性を有す
るフタロシアニン骨格が保持されることによる。
【0123】更に、実施例2および比較例6において製
造した光記録媒体において、情報の記録前後の主として
可視光領域の吸収スペクトルを測定した。その結果を図
5、図6に示す。明らかなように、本発明の方法により
情報を記録した場合に、光の吸収スペクトルが大きく変
化していることが判る。同じ波長で比較すると、本発明
の方法では、吸収が大きく増加していることが判る。
造した光記録媒体において、情報の記録前後の主として
可視光領域の吸収スペクトルを測定した。その結果を図
5、図6に示す。明らかなように、本発明の方法により
情報を記録した場合に、光の吸収スペクトルが大きく変
化していることが判る。同じ波長で比較すると、本発明
の方法では、吸収が大きく増加していることが判る。
【0124】
【発明の効果】以上のように本発明の情報記録方法で
は、光記録媒体が基板上にレーザー光を透過吸収する記
録層と、反射層、保護層を順次形成して成り、記録層の
構成材料として、トリフルオロメチル基を有する置換基
を有するフタロシアニン骨格を有するもの使用してお
り、このような光記録媒体を使用して情報を記録する
と、堅牢性を有するフタロシアニン骨格が保持された状
態で、トリフルオロメチル基またはそれを含む基を離脱
させることができる。その結果、記録パワーを低くする
ことができ、また、記録された情報は、11Tなどの長
ピットでも高出力で波形歪みが小さく、記録感度が良好
も再生でき、更に、耐光性に優れている。
は、光記録媒体が基板上にレーザー光を透過吸収する記
録層と、反射層、保護層を順次形成して成り、記録層の
構成材料として、トリフルオロメチル基を有する置換基
を有するフタロシアニン骨格を有するもの使用してお
り、このような光記録媒体を使用して情報を記録する
と、堅牢性を有するフタロシアニン骨格が保持された状
態で、トリフルオロメチル基またはそれを含む基を離脱
させることができる。その結果、記録パワーを低くする
ことができ、また、記録された情報は、11Tなどの長
ピットでも高出力で波形歪みが小さく、記録感度が良好
も再生でき、更に、耐光性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の実施に用いる光記録媒体の模
式断面図である。
式断面図である。
【図2】 実施例2において製造した光記録媒体の記録
前と記録後のマススペトルの差を示すグラフである。
前と記録後のマススペトルの差を示すグラフである。
【図3】 本発明の方法により記録した光記録媒体の耐
光性を、図3(a)においては反射率により、図3
(b)においてはエラーレートにより示すグラフであ
る。
光性を、図3(a)においては反射率により、図3
(b)においてはエラーレートにより示すグラフであ
る。
【図4】 本発明の方法により記録した光記録媒体の耐
湿性を、図4(a)においては反射率により、図4
(b)においてはエラーレートにより示すグラフであ
る。
湿性を、図4(a)においては反射率により、図4
(b)においてはエラーレートにより示すグラフであ
る。
【図5】 本発明の方法によれば、記録前後の光吸収ス
ペクトルが大きく変化する様子を示すグラフである。
ペクトルが大きく変化する様子を示すグラフである。
【図6】 比較例6の場合の記録前後の光吸収スペクト
ルが変化する様子を示すグラフである。
ルが変化する様子を示すグラフである。
1:基板、2:記録層、3:反射層、4:保護層。
Claims (11)
- 【請求項1】 有機色素を含む記録層を基板上に有して
成る光記録媒体にレーザー光を入射させることによっ
て、記録層に情報を記録する方法であって、 有機色素は、一般式(a): 【化1】 [式中、置換基X1〜X16は、相互に同じでも、ある
いは異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換お
よび未置換のアルキル基、置換および未置換のアルコキ
シ基、置換および未置換のアルキルチオ基、置換および
未置換のアリール基、置換および未置換のアリールオキ
シ基、置換および未置換のアリールチオ基、ニトロ基な
らびにアミノ基から成る群から選択される基であり、M
は、2個の水素原子、2価の金属原子、置換基が結合し
た3価の金属の誘導基および置換基が結合した4価の金
属の誘導基から成る群から選択され、3価および4価の
金属に結合する置換基は、置換基X1〜X16と同じ群
から選択され、全ての置換基の内の少なくとも1つの置
換基は、電子吸引性基であるか、あるいは少なくとも1
つの電子吸引性基を含む。]で示される、金属フタロシ
アニン骨格およびそれに結合した置換基により構成され
る少なくとも1種の金属フタロシアニン色素であり、 レーザー光の入射によって、金属含有フタロシアニン色
素から、金属フタロシアニン骨格を実質的に維持した状
態で、電子吸引性基および/または電子吸引性基を含む
基が実質的に脱離し、その結果、情報の再生に使用する
レーザー光に対する記録層の吸収量が変化することを特
徴とする方法。 - 【請求項2】 電子吸引性基は、パーフルオロアルキル
基およびパークロロアルキル基から選択される請求項1
記載の方法。 - 【請求項3】 レーザー光の入射前において、有機色素
の電子吸引性基を含む置換基は、酸素または硫黄原子を
有し、これを介して金属フタロシアニン骨格に結合して
いる請求項1または2記載の方法。 - 【請求項4】 電子吸引性基は、トリフルオロメチル基
およびトリクロロメチル基から選択される請求項1〜3
のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 Mは、Co、Cu、Zn、NiまたはP
dである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 - 【請求項6】 基板は、螺旋状の溝を有し、その溝形状
は、溝幅のトラックピッチに対する比が0.25〜0.
45であり、また、レーザー波長をλ、基板の屈折率を
nとすると、溝深さが(λ/4n)の20〜80%であ
るようになっている請求項1〜5のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項7】 金属フタロシアニン色素は、その蒸発ま
たは昇華開始温度が100〜350℃であり、また、蒸
発または昇華開始温度と分解温度との差が50〜400
℃である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 - 【請求項8】 記録層は、金属フタロシアニン色素を蒸
着することにより形成されている請求項1〜7のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項9】 基板上に、請求項1〜5のいずれかに記
載の金属フタロシアニン色素を含む記録層を有して成る
光記録媒体を用いて情報を記録する方法であって、 記録層にレーザー光を入射させて、金属フタロシアニン
色素から、金属フタロシアニン骨格を実質的に維持した
状態で、電子吸引性基および/または電子吸引性基を含
む基が実質的に脱離することを特徴とする方法。 - 【請求項10】 基板上に、請求項1〜5のいずれかに
記載の金属含有フタロシアニン色素を含む記録層を有し
て成る光記録媒体を用いて情報を記録する方法であっ
て、 記録層にレーザー光を入射させて、記録層にレーザー光
を入射させて、その部分の記録層の光学的性質を他の部
分と異なるようにすることを特徴とする情報の記録方
法。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの方法に使
用する光記録媒体であって、基板上に形成された記録層
が、有機色素として請求項1〜5のいずれかに記載の金
属フタロシアニン色素を含む媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10059313A JPH11254827A (ja) | 1998-03-11 | 1998-03-11 | 情報記録方法およびその方法に使用する光記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10059313A JPH11254827A (ja) | 1998-03-11 | 1998-03-11 | 情報記録方法およびその方法に使用する光記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11254827A true JPH11254827A (ja) | 1999-09-21 |
Family
ID=13109760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10059313A Pending JPH11254827A (ja) | 1998-03-11 | 1998-03-11 | 情報記録方法およびその方法に使用する光記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11254827A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009238315A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Lintec Corp | 多層光記録媒体用シート、光記録媒体用多層構造体及び多層光記録媒体 |
JP2010015632A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
JP2010015631A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
JP2010165443A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
US7781026B2 (en) * | 2006-12-19 | 2010-08-24 | Xerox Corporation | Ink compositions |
JP2017066099A (ja) * | 2015-09-30 | 2017-04-06 | 株式会社日本触媒 | フタロシアニン化合物および該フタロシアニン化合物を含む組成物 |
-
1998
- 1998-03-11 JP JP10059313A patent/JPH11254827A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7781026B2 (en) * | 2006-12-19 | 2010-08-24 | Xerox Corporation | Ink compositions |
JP2009238315A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Lintec Corp | 多層光記録媒体用シート、光記録媒体用多層構造体及び多層光記録媒体 |
JP2010015632A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
JP2010015631A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
US8304167B2 (en) | 2008-07-02 | 2012-11-06 | Sony Corporation | Optical information recording medium |
JP2010165443A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Sony Corp | 光情報記録媒体 |
JP4721078B2 (ja) * | 2009-01-19 | 2011-07-13 | ソニー株式会社 | 光情報記録媒体 |
US8223618B2 (en) | 2009-01-19 | 2012-07-17 | Sony Corporation | Optical information recording medium capable of changing the light absorption amount |
JP2017066099A (ja) * | 2015-09-30 | 2017-04-06 | 株式会社日本触媒 | フタロシアニン化合物および該フタロシアニン化合物を含む組成物 |
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