JP3972571B2 - 金属キレート色素及びこれを含む光学記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アゾ系化合物と金属との金属キレート色素、及びそれを用いた光学記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザーを用いる光学記録は、高密度の情報の記録、保存及び再生を可能とするため、近年活発に開発が行われている。この光学記録に使用される記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化型光学記録媒体、カルコゲン酸化物光学記録媒体、有機色素系光学記録媒体等が従来から提案されているが、これら媒体の中でも、安価であるという点及び製造プロセスの簡便性の点から、有機色素系光学記録媒体が優位性を有する。
【0003】
有機色素系光学記録媒体として一般に量産されているのは、追記可能なコンパクトディスク(CD―R)である。これは、反射率の高い金属層を、有機色素を含む記録層に積層した層構成を有するものである。
CD―Rの記録層に用いる色素としては、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、金属キレート系色素など種々のものが提案され、実用化がなされている。本発明者らは、この中でも、耐光性、耐環境性に優れる金属キレート系色素に着目し、この系統の色素を用いた光学記録媒体を多数提案してきた(特再表平3―818057、特開平6―65514等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近のコンピューターの高速化に伴い、従来の8倍以上の速さで情報の記録が可能なCD―Rの開発が望まれている。このような性能を有するCD−Rを実現すべく、本発明者らは、既に特願平11―125645、特願平11―210397等に記載の光学記録媒体を提案してきたが、更に高性能の光学記録媒体が要求されている。本発明は、記録層に新規なアゾ系化合物と金属との金属キレート色素を含有させることにより、この要求に応じようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る、アゾ系化合物と金属との金属キレート色素は、下記一般式(I)で示されるものである。
【0006】
【化9】
【0007】
(式中、環Aは芳香族環を表し、ヨウ素原子以外にも置換基を有していてもよい。Xは−CR1R2−、−NR1−、−S−、−O−のいずれかを表し、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。環Bは芳香族環を表し、Z以外にも置換基を有していてもよい。Zは、金属とのキレート形成に関与する活性水素を有する基を表す。)
また、本発明に係る光学記録媒体は、記録層に、上記一般式(I)で示されるアゾ系化合物と金属との金属キレート色素を含有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る金属キレート色素は、下記一般式(I)で示されるものである。
【0009】
【化10】
【0010】
一般式(I)中、環Aは、ヨウ素原子以外にも置換基を有していてもよい芳香族環を表わす。このような置換基としては特に制限はなく、例えば、(1)メチル基、エチル基、ブチル基、へキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基;(2)メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、へキシルオキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基;(3) メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、へキシルチオ基など炭素数1〜6のアルキルチオ基;(4) アセチル基、プロピオニル基、バレリル基、ピバロイル基などの炭素数2〜7のアルキルカルボニル基;(5) メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などの炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;(6)ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基などの炭素数2〜7のアルケニル基;(7) メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基などの炭素数1〜10のアルキルアミノ基;(8)メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基;(9)フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜16のアリール基;(10)ベンジル基、フェネチル基などの炭素数7〜17のアラルキル基;(11)フェニルカルボニル基などの炭素数7〜17のアリールカルボニル基;(12)フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;(13)ホルミル基;(14)アミノ基;(15)シアノ基;(16)ニトロ基;(17)水酸基;(18)チオシアン酸基;等が挙げられる。
【0011】
ここで、(1)〜(8)の置換基のアルキル基部分は、環状、鎖状、直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。また、(1)〜(11)に示す各置換基は、その炭化水素部分の水素がさらに他のもので置換されていてもよい。例えば、(1)〜(11)に示す置換基に、更にハロゲン原子が結合していてもよい。この場合のハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましく、その置換位置及び置換個数は任意に選択することができる。また、例えば、(9)のアリール基に更に(1)のアルキル基が結合していてもよい。
【0012】
Xは、−CR1R2―、―NR1−、―S―、−O―から選ばれるが、−S−であることが好ましい。尚、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
一般式(I)中、
【0013】
【化11】
【0014】
の部分構造としては、例えば、表1に示すものが挙げられる。
【0015】
【表1】
【0016】
これら部分構造において、X1、X2のいずれか一方、及びX3はヨウ素原子である。また、X1、X2の他方、及びX4ないしX8が示す置換基としては、メチル基、ニトロ基、チオシアナト基(−SCN)、フッ素原子等挙げられる。
A環部分にヨウ素原子以外の置換基を有するものとしては、例えば、下記表2に示すものが挙げられる。
【0017】
【表2】
【0018】
一般式(I)において、環Bは、Z以外の置換基を有していてもよい芳香族環を表し、Z以外の置換基としては、環Aにおける置換基として挙げたものと同様のものを挙げることができる。
金属とのキレート形成に関与する活性水素を有する置換基であるZは、活性水素を有する基であれば特に制限はないが、好ましくは、−SH、―SO2H、−SO3H、―NH2、−NHR3、―OH、−COOH、―B(OH)2、―PO(OH)2、―NHCOH、―NHCOR3、又は−NHSO2R3であり、最も好ましくは、−SO3Hである。
【0019】
ここで、R3は、置換基を有していても良い芳香族環又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。芳香族環としては、例えば、フェニル基を挙げることができる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、へキシル基などを挙げることができる。
尚、R3が有してもよい置換基は、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子が好ましい。
【0020】
Zが−SO3Hのように陰イオンに解離しうる基である場合、金属キレート色素形成に際しては、アゾ系化合物はそのままの形で使用しても、何らかの陽イオンとの塩の形で使用しても良い。陽イオンとしては、Na、Li、K等の無機系陽イオン、又は、P(C6H5)4 +、N(C2H5)4 +、N(tert−C4H9)4 +、N(C6H5)(CH3)3 +などの有機系陽イオンを挙げることができる。
【0021】
一般式(I)中、
【0022】
【化12】
【0023】
の部分構造として好ましいものとして、置換基を有していてもよい下記構造が挙げられる。
【0024】
【化13】
【0025】
これら部分構造のうち、環Bとして好ましいのは、置換基を有していてもよいジュロリジン環である。また、Z以外の置換基としては、メチル基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メトキシ基、シアノ基、塩素原子、フェニル基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。
このような部分構造の具体例としては、表3に示すものが挙げられる。
【0026】
【表3】
【0027】
一般式(I)のアゾ系化合物としては、例えば、表4に示すものを挙げることができる。
【0028】
【表4】
【0029】
アゾ系化合物とキレートを形成する金属としては、キレート形成能を有する任意のものを用いることができるが、好ましくは遷移金属であり、より好ましくは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Pd、Pt、Ru、Rh、Osのいずれかであり、最も好ましくは、Ni又はCoのいずれかである。
本発明に係る、アゾ系化合物と金属との金属キレート色素の一般的な製造方法は以下の通りである。
【0030】
まず、下記構造の化合物を公知の方法によりジアゾ化する。
【0031】
【化14】
【0032】
次に、得られたジアゾした化合物を下記構造の化合物にカップリングさせれば、本発明に係る金属キレート色素を形成するアゾ系化合物を得ることができる。
【0033】
【化15】
【0034】
このアゾ系化合物を、水、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合溶媒中で、金属又はその塩と反応させると金属キレート色素を得ることができる。有機溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド,メタノール,エタノールなどを用いることができる。
金属塩の陰イオンとしては、SCN-、SbF6 -、Cl-、Br-、F-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、TiF6 -、SiF6 2-、ZrF6 2-、(C6H5)SO3 -、B(C6H5)4 -、などの1価又は2価の陰イオンが好ましく、特にCH3COO-、Cl-が好ましい。
【0035】
本発明に係る光学記録媒体は、記録層に含有させる色素が異なる以外は、公知のものと同様の構造を有している。すなわち、基本的には、基板と前記の金属キレート化合物を含む記録層とから構成されるが、通常はこれに、さらに金属反射層及び保護層等が付加されている。尚、基板と記録層の間や反射層と記録層の間に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上、基板の耐溶剤性向上等のために、公知の無機系又は有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0036】
以下に、このような光学記録媒体の一例について説明する。
基板は、記録光及び再生光を透過する材料で形成されていればよい。このような性質を有する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂、又はガラス等が挙げられる。基板は、通常は上記のいずれか一種の材料で形成されているが、ガラス板上に光硬化樹脂その他の放射線硬化樹脂層を有する積層構造のものでもよい。
【0037】
基板を何で形成するかは、光学記録媒体に要求される性能によって、適宜選択することができる。すなわち、高生産性、コスト、耐吸湿性等を重視するならば、射出成型したポリカーボネート基板を使用することが好ましく、耐薬品性、耐吸湿性等を重視するならば、非晶質ポリオレフィン基板を使用することが好ましく、高速応答性等を重視するならば、ガラス基板を使用することが好ましい。
【0038】
基板は、記録層と接する側に、記録・再生光の案内溝やピットを有していてもよい。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが好ましいが、紫外線硬化樹脂層が積層されている基板の場合には、この層を形成する際に付与することもできる。案内溝がスパイラル状の場合、この溝ピッチは0.3〜1.2μm程度であることが好ましい。
【0039】
記録層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等、一般に行われている薄膜形成法が用いられる。これらの方法のうち、量産性やコスト面からは、スピンコート法を使用することが好ましく、均一な膜厚の記録層を得る点からは、真空蒸着法を使用することが好ましい。
【0040】
例えば、スピンコート法による場合、基板の回転数は、通常、500〜5000rpmに設定される。また、スピンコートの後、加熱あるいは溶媒蒸気にあてる等の処理を行うこともできる。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等では、本発明に係る金属キレート色素を適当な溶媒に溶解し、これに所望により他の成分を加えて塗布液を調製し、これを基板に塗布して記録層を形成する。
【0041】
溶媒としては、基板を侵さないものであれば特に制限はない。例えば、ジアセトンアルコール、3-ヒドロキシ-3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
【0042】
真空蒸着法の場合は、例えば、本発明に係る金属キレート色素及び必要に応じて他の色素や各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-2〜10-5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより、記録層を形成する。
【0043】
記録層には、本発明に係る金属キレート色素以外に、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物等や、記録感度向上のために、金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。
遷移金属キレート化合物を形成するキレート形成剤としては、例えば、アセチルアセトン、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等が挙げられる。
【0044】
また、金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものをいい、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。用いられる金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
【0045】
また、本発明に係る金属キレート色素と共に他系統の色素を併用して、記録層を形成してもよい。このような色素としては、主として記録用のレーザー波長域に適度な吸収を有するものが用いられる。また、異なる波長域に吸収を有する色素を適宜併用することにより、CD−Rに用いられる波長770〜830nm程度の近赤外レーザーやDVD−Rに用いられる波長620〜690nm程度の赤色レーザー、又は波長410nmや515nmなどのいわゆるブルーレーザーなど、複数の記録光に対応可能な光学記録媒体を得ることもできる。
【0046】
他系統の色素としては含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
【0047】
さらに記録層には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を含有していてもよい。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0048】
記録層の膜厚は、記録方法などにより異なるが、通常10nm〜5μm、好ましくは70nm〜3μmである。
反射層は、厚さ50〜300nmであるのが好ましい。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Cr及びPdの金属を単独、あるいは合金にして用いることができる。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として好ましい。
【0049】
反射層は、これら材料を主成分とするが、これら以外に種々の材料を副成分として含むものであってもよい。このような材料として、例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。これらの副成分を含有する反射層の場合、主成分として最も好ましいのはAgである。Agを使用すれば、コストを低くすることができるだけでなく、反射率も高いものが得られる。さらに、Agを使用すると反射層の地色が白くなるため、後で述べる印刷受容層を光学記録媒体上に設けた場合に、光学記録媒体の外観が美しくなるという利点もある。尚、ここで「主成分」とは、反射層全体に対し当該成分の含有率が50重量%以上のものをいう。
【0050】
また、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて形成した多層膜を反射層とすることも可能である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
保護層の材料としては、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。保護層を有機物質で形成する場合は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を用いることができる。一方、保護層を無機物質で形成する場合は、SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等を用いることができる。
【0051】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを使用して保護層を形成する場合は、適当な溶剤にこれらの樹脂を溶解した塗布液を用いて成膜した後、乾燥すればよい。
UV硬化性樹脂を使用して保護層を形成する場合は、UV硬化性樹脂をそのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を用いて成膜した後、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層に形成してもよい。
【0052】
保護層の成膜方法としては、用いる材料に応じてスピンコート法、キャスト法、スパッタ法、化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法により保護層を形成するのが好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、好ましくは、3〜30μmである。
【0053】
また、反射層面に更に基板を貼り合わせてもよく、また2枚の光学記録媒体を反射層面を対向させて貼り合わせても良い。さらに、基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜等を成膜してもよい。
なお、記録再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタによる印刷、又は各種筆記用具による記入が可能な印刷受容層を設けてもよい。
【0054】
本発明の光学記録媒体について使用されるレーザー光としては、N2、He−Cd、Ar、He−Ne、ルビー、半導体、色素レーザーなどが挙げられる。この中でも、軽量であること、コンパクトであること、取り扱いの容易さ等から半導体レーザーが好適である。
上記のようにして得られた本発明の光学記録媒体への記録は、基板上に設けた記録層に1μm程度に集束したレーザー光を照射することにより行う。レーザー光の照射された部分には、レーザー光エネルギーの吸収による、分解、発熱、溶解等の記録層の熱的変形が起こり、光学特性が変化する。
【0055】
記録された情報の再生は、レーザー光により、光学特性の変化の発生部分と、未発生部分の反射率の差を読みとることにより行う。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)金属キレート色素の製造
2―メチル−1、2、3、4―テトラハイドロキノリン25gを1―ブロモ−3−クロロプロパン中に加え、かきまぜながら12時間還流させた。放冷後、得られた結晶を濾取し、水400ml中に分散させ、炭酸ナトリウムを添加してpHを9とした。この混合物をトルエン120gで抽出し、水層を廃棄したのち、トルエン層を濃硫酸54gで抽出することによりメチルジュロリジンの硫酸溶液を得た。この硫酸溶液を60%発煙硫酸59g中に、40℃を越えない温度で滴下し、さらに15〜25℃で2時間かきまぜたのち氷水224g中に放出し、2―メチルジュロリジンスルホン酸(下記の構造式に示す2種類の化合物の混合物)の水溶液を得た。
【0057】
【化16】
【0058】
この溶液にメタノール180ml、尿素0.93g及び酢酸ナトリウム4.55gを加えた。さらにpH3.5となるまで10%アンモニア水を加え、カップリング溶液とした。
次に、日本化学会誌92,1021(1971)を参考に、2―アミノベンゾチアゾールとヨウ素および過ヨウ素酸を用いて合成した、2―アミノ−6−ヨウドベンゾチアゾール4.97gを酢酸38g中に加え、この混合物をかきまぜながら、これに85%リン酸32g及び硫酸6.0gを加え、5℃以下に冷却した。この反応液に43%ニトロシル硫酸の硫酸水溶液6.4gを5℃以下で加え、さらに5℃以下で2時間かきまぜ、ジアゾ溶液とした。
【0059】
このようにして準備したカップリング溶液とジアゾ溶液を使用して、アゾ系化合物を合成した。詳細な方法を以下に示す。
まず、カップリング溶液中に、ジアゾ溶液を少しずつ滴下した。このとき、pHは3から3.5の範囲を保つように10%アンモニア水を適宜加え、カップリング溶液の温度は5℃を越えないように外部から冷却した。
【0060】
ジアゾ液の滴下終了の後、さらに5℃以下で1時間かきまぜた後、28%アンモニア水を加えpHを8とし、15〜25℃でさらに1時間かきまぜ、得られた結晶を濾取した。
この結晶を水150ml中に分散させ、室温で1時間かきまぜたのち濾取し、下記2種類の構造式で表されるアゾ系化合物(混合物)の茶色の結晶を得た。
【0061】
【化17】
【0062】
このアゾ系化合物の湿結晶18mmol相当をメタノール318ml中に加え、室温で1時間かきまぜたのち、濾過して不溶解物を除去した。濾液を室温でかきまぜながら、酢酸ニッケル4水和物1.69gをメタノール15ml中に溶解させた溶液を滴下した。室温で1時間かきまぜたのち生成した結晶を濾取し、少量のメタノールで洗浄・乾燥して、目的とする本発明のアゾ系化合物と金属との金属キレート色素4.80gを得た。
【0063】
この金属キレート色素は複数のキレート化合物の混合物と考えられるが、その代表的な構造式は、下記に示す通りである。この金属キレート色素のクロロホルム溶液中の最大吸収波長は691nm、分子量を1165.5と仮定した時の分子吸光係数は12.2万であった。クロロホルム溶液中の吸収スペクトルを図1に示す。
【0064】
【化18】
【0065】
(2)光学記録媒体作成
(1)で得られた金属キレート色素の、オクタフルオロペンタノール3%溶液を調整し、この溶液を孔径0.22μmのフィルターでろ過し、色素溶液を得た。
この色素溶液をあらかじめ案内溝を形成した、射出成型ポリカーボネート樹脂基板(直径120mm)上に滴下し、スピナー法により塗布し、80℃で5分間乾燥した。得られた塗布膜の最大吸収波長は724nmであった。塗布膜の吸収スペクトルを図2に示す。次にこの塗布膜の上にスパッタリング法により、膜厚1000ÅのAg膜を成膜し反射層とした。
【0066】
さらに、この反射膜の上に紫外線硬化性樹脂をスピンコートし、これに紫外線を照射して硬化させ、膜厚5μmの保護層を形成した。
(3)評価
(2)で得た光学記録媒体を11.2m/sで回転させながら、中心波長780nmのレーザー光を記録パワー15.5mWで照射し、EFM信号を記録した。
【0067】
次にこの記録部を中心波長780nmのCDプレーヤーを用いて再生したところ良好な再生信号を得た。
また、この光学記録媒体の、耐光性(キセノンフェードメーター加速テスト:20時間)、及び保存安定性試験(70℃、85%RH:100時間)試験を行ったところ、初期と比べて感度および記録特性の劣化はみられず、光学記録媒体として極めて優れたものであった。
比較例1
実施例1とほぼ同様の処方で合成した、代表的な構造が下記構造である金属キレート色素を用いて実施例1と同様の条件で光学記録媒体を作成した。
【0068】
【化19】
【0069】
この光学記録媒体を11.2m/sで回転させながら、中心波長780nmのレーザー光を記録パワー15.5mWで照射し、EFM信号を記録した。
次にこの記録部を中心波長780nmのCDプレーヤーを用いて再生したところノイズが多く再生も不安定であった。
一方、この光学記録媒体を11.2m/sで回転させながら、中心波長780nmのレーザー光を記録パワー18.5mWで照射し、EFM信号を記録した後、記録部を中心波長780nmのCDプレーヤーを用いて再生したところ、良好な再生信号を得た。
【0070】
実施例1は比較例1より低い記録パワーで良好な再生が可能であることから、本発明の光学記録媒体は、記録感度が良好で高速記録に適していることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、市場で求められている高速記録に対応可能で、記録感度の優れる光学記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成した金属キレート色素のクロロホルム溶液中の吸収スペクトルである。
【図2】実施例1で射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に形成した金属キレート色素の塗布膜の吸収スペクトルである。
Claims (10)
- Zが、−SH、―SO2H、−SO3H、―NH2、−NHR3、―OH、−COOH、―B(OH)2、―PO(OH)2、―NHCOH、―NHCOR3、及び−NHSO2R3(但し、R3は、置換基を有していても良い、芳香族環又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)よりなる群から選ばれた基であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の金属キレート色素。
- アゾ系化合物とキレートを形成する金属が、遷移金属であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の金属キレート色素。
- アゾ系化合物とキレートを形成する金属が、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Pd、Pt、Ru、Rh、及びOsよりなる群から選ばれたものであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の金属キレート色素。
- 基板上にレーザーによる情報の記録が可能な記録層が設けられた光学記録媒体において、該記録層が、請求項1ないし8のいずれかに記載の金属キレート色素を含有することを特徴とする光学記録媒体。
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