JP3744360B2 - 光学記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機色素を記録層に用いた追記型光学記録媒体に係わるものであり、詳しくは青色レーザー対応の追記型光学記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、発振波長の短い半導体レーザーの開発が進められ、従来使用されているレーザーの波長780nm、830nmよりも短波長のレーザー光を用いた高密度の記録再生可能な光学記録媒体が求められている。従来提案されている光学記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物光記録媒体、有機色素系光記録媒体等があるが、これらの中で有機色素系光記録媒体は、コスト的に安価で且つ製造プロセス工程も容易であるという点で優位性を有するものと考えられている。
【0003】
現在、有機色素系光学記録媒体には、反射率の高い金属層を有機色素層の上に積層したタイプの書き込み型コンパクトディスク(CD−R)が量産化され広く知られているが、このCD−Rの記録再生に使用されるレーザーよりもさらに短波長の赤色半導体レーザーで記録する高密度の有機色素系光学記録媒体(DVD−R)も開発され、実用化されている。しかし、より短波長のレーザー発振が可能になるに従い、今後、更により一層の高密度化を狙って、DVD−Rよりもさらに短波長のレーザー、即ち青色半導体レーザー(波長350nm〜530nm)で記録再生可能な光学記録媒体の必要性が高まってくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、CD−R或いはDVD−Rとして使用されている光学記録媒体は、短波長の青色半導体レーザーで記録再生すると、反射率が低く記録再生ができないという問題を有している。
本発明は、青色半導体レーザーによって記録再生が可能な有機色素系光学記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは青色半導体レーザーに高い感受性を有する有機色素について種々検討した結果、特定の構造式で表されるカルボスチリル誘導体または1,8−ナフチリジン化合物が、青色半導体レーザーに対応する光学記録媒体の記録層に使用し得ることを知得し本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明の要旨は、基板上に、レーザーによる情報の記録及び/又は再生が可能な記録層が設けられ、該記録層がオクタフルオロペンタノール溶媒を用いたスピンコート法により成膜された光学記録媒体において、該記録層が、下記一般式[I]で示されるカルボスチリル化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体に存する。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、XはC−R6を表す。カルボスチリル化合物の置換基R 1 〜R 6 は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜18直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、飽和または不飽和の複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメイト基、スルホン酸アミド基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基であるか、あるいはR 1 〜R 6 のうち隣接する2つが結合して形成する5〜6員環の飽和炭化水素環か飽和複素環であり、
R 7 およびR 8 は、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基、又は、R 7 とR 8 、R 7 とR 6 、及びR 8 とR 5 の1以上が結合して形成した環であり、R 7 とR 6 、及びR 8 とR 5 の1以上が結合して形成した環である場合には、置換基を有していてもよい飽和炭化水素環である。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明につき詳細に説明する。
本発明で使用される前記一般式[I]の化合物は、350〜530nmの青色光領域に吸収を有し、青色レーザーでの記録に適する色素である。
前記一般式(1)において、R1〜R8で表される置換基としては次のようなものが例示される。水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基; 2-チエニル基、2-ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシ基;カルボキシル基;−OCOR9で表されるアシルオキシ基;−NR10R11で表されるアミノ基;−NHCOR12で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR13で表されるカーバメート基;−NHSO2R14で表されるスルホンアミド基;−COOR15で表されるカルボン酸エステル基;−CONR16R17で表されるカルバモイル基等が挙げられる。
【0010】
それらの置換位置は特に限定されず、複数の置換基を有する場合、同種でも異なってもよい。
またR1〜R8の内、隣接する2つが環を形成する場合としては、基本骨格であるキノリン環に縮合する、飽和または不飽和の炭化水素環または複素環、R7とR8が窒素原子と共に形成するピペリジニル基、ピロリジニル基等の含窒素複素環やさらに酸素原子を含んだモルホリニル基、或いはR7とR8、R7とR6、またはR8とR5が結合して形成するジュロリジン環等が挙げられる。これらの環はさらに置換基を有していても良い。
【0011】
このような環を有する例としては、例えば下記の構造が挙げられる。
【0012】
【化3】
【0013】
上記構造式中には記載していないが、各化合物においてR1〜R8のうち隣接する2つが結合して形成した環は、置換基を有していても良い。
R9〜R20はそれぞれ水素原子、置換されてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換されてもよい直鎖、分岐または環状のアルケニル基、置換されてもよいアリール基、または置換されてもよいアラルキル基を表す。
また、R1〜R20で示される基に含まれるアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基は、更に置換されていても良い。この場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは置換基でさらに置換されていてもよい。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;テトラヒドロフリル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n-プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられている。
カルボスチリル化合物の置換基R1〜R 6 として好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニルオキシ基、アリール基、飽和または不飽和の複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメイト基、スルホンアミド基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基、スルファモイル基、スルホン酸エステル基であるか、あるいはこれらR1〜R6のうち隣接する2つが結合して飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成する場合である。
【0014】
より好ましいものは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、飽和または不飽和の複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメイト基、スルホン酸アミド基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基であるか、あるいはR1〜R6のうち隣接する2つが結合して5〜6員環の飽和炭化水素環か飽和複素環を形成する場合である。
【0015】
特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜18直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基、アシル基、カルボン酸エステル基等が挙げられ、最も好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基である。
R7およびR8として好ましいものは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アシル基を表すか、あるいはR7とR8、R7とR6、またはR8とR5が結合して形成した環である。
【0016】
より好ましくは水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜18直鎖または分岐のアルケニル基、アシル基、あるいはR7とR8、R7とR6、またはR8とR5が結合して形成した飽和炭化水素環または飽和複素環である。
中でも特に好ましくは水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい隣接する置換基同士で縮合する飽和炭化水素環である。
R 7 とR 8 とが隣接する置換基同士で縮合する飽和炭化水素環を形成する場合には、R 7 およびR 8 のいずれかが、炭素数3〜6の分岐のアルキル基であり、R 7 およびR 8 が、隣接する置換基同士で縮合するメチル基で置換された飽和炭化水素環を形成していることが好ましい。
一般式[I]で表される化合物の好ましい例としては下記のものが挙げられる。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
これら本発明の金属キレート色素は、例えば該色素を含む溶液から記録層の成膜を形成する際の、薄膜形成性に優れているので、光学記録媒体の記録層に使用する色素として極めて有用である。また本発明の金属キレート色素は、該色素を含有する記録層がより短い波長(350nm〜500nm)領域にレーザー光による記録再生に適した強度の吸収を有しているため、短波長レーザーに対応する記録再生用光学記録媒体に使用する色素として、極めて有用である。
【0027】
本発明の光学記録媒体は、基本的には基板と前記化合物を含む記録層とから構成されるものであるが、さらに必要に応じて基板上に下引き層、金属反射層、保護層等を設けても良い。
好ましい層構成の一例としては、記録層上に金、銀、アルミニウムのような金属反射層および保護層を設けた高反射率の媒体が挙げられる。
【0028】
以下、この構造の媒体を例に、本発明の光学記録媒体について説明する。
本発明の光学記録媒体における基板の材質としては、基本的には記録光及び再生光の波長で透明であればよい。
このような材質としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるもの、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けたもの等を使用することができる。
【0029】
高生産性、コスト、耐吸湿性などの点からは、射出成型ポリカーボネートが好ましい。
耐薬品性、耐吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。
また高速応答などの点からは、ガラス基板が好ましい。
記録層に接して樹脂基板または樹脂層を設け、その樹脂基板または樹脂層上に記録再生光の案内溝やピットを有していてもよい。案内溝がスパイラル状の場合、この溝ピッチが0.5〜1.2μm程度であることが好ましい。
基板上、または必要に応じて下引き層等を設けた上に、本発明の化合物を含む記録層を形成する。
【0030】
記録層の成膜方法としては、スピンコート法が挙げられる。量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましい。
【0031】
スピンコート法による成膜の場合、回転数は500〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、場合によっては加熱あるいは溶媒蒸気にあてる等の処理を行っても良い。
スピンコート法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、例えば、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
【0032】
記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α-ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
さらに、必要に応じて他系統の色素を併用することもできる。他系統の色素としては、主として記録用のレーザー波長域に適度な吸収を有するものであればよく、特に制限されない。また、CD-Rのような770〜830nmから選ばれた波長の近赤外レーザーやDVD-Rのような620〜690nmから選ばれた赤色レーザーでの記録に適する色素を併用して、複数の波長域でのレーザー光による記録に対応する光学記録媒体とすることもできる。
他系統の色素としては含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
【0033】
記録層の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なる為、特に限定するものではないが、通常50〜300nmである。
記録層の上には、反射層を形成してもよく、その膜厚は好ましくは、厚さ50〜300nmである。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Cr及びPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これらを主成分とする以外に下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。なかでもAgを主成分としているものはコストが安い点、高反射率が出やすい点、更に後で述べる印刷受容層を設ける場合には地色が白く美しいものが得られる点等から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50%以上のものをいう。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0034】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
反射層の上に形成する保護層の材料としては、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。UV硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0035】
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。
また、反射層面に更に基板を貼り合わせてもよく、また反射層面相互を内面とし対向させ光学記録媒体2枚を貼り合わせても良い。基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜等を成膜してもよい。
【0036】
なお、記録再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。
本発明の光学記録媒体について使用されるレーザー光は、高密度記録のため波長は短いほど好ましいが、特に350〜530nmのレーザー光が好ましい。かかるレーザー光の代表例としては、中心波長410nm、515nmのレーザー光が挙げられる。
【0037】
波長350〜530nmの範囲のレーザー光の一例は、410nmの青色または515nmの青緑色の高出力半導体レーザーを使用することにより得ることができるが、その他、例えば、(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザー、または(b)半導体レーザーによって励起され、且つ基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な固体レーザーのいずれかを第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによっても得ることができる。
上記のSHGとしては、反転対称性を欠くピエゾ素子であればいかなるものでもよいが、KDP、ADP、BNN、KN、LBO、化合物半導体などが好ましい。第二高調波の具体例としては、基本発振波長が860nmの半導体レーザーの場合、その倍波の430nm、また半導体レーザー励起の固体レーザーの場合は、CrドープしたLiSrAlF6結晶(基本発振波長860nm)からの倍波の430nmなどが挙げられる。
上記のようにして得られた本発明の光学記録媒体への記録は、基板の両面または片面に設けた記録層に0.4〜0.6μm程度に集束したレーザー光を照射することにより行う。レーザー光の照射された部分には、レーザー光エネルギーの吸収による、分解、発熱、溶解等の記録層の熱的変形が起こり、光学特性が変化する。
【0038】
記録された情報の再生は、レーザー光により、光学特性の変化が起きている部分と起きていない部分の反射率の差を読みとることにより行う。
【0039】
【実施例】
以下本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例によって限定されるものではない。
[化合物の合成法]
7−アミノ置換カルボスチリルの合成法は、今までに複数の合成方法が報告されているが、一般的な製法としては、下記化10に示すようなm−フェニレンジアミン誘導体とβ―ケトエステル誘導体の環化反応が挙げられる(ref. J.O.C.56,3(1991)980、J.Med.Chem.31,7(1988)1347等)。これらの反応は、1,8−ナフチリジンの合成にも適用することができる。
【0040】
【化13】
【0041】
また7−アシルアミノ体の合成法については、例えばアセトアミド体については7−アミノカルボスチリルを無水酢酸中で硫酸存在下撹拌することにより合成できることが報告されている(J.Chem.Eng.data.13,3(1968)440)。
実施例1
前記した例示化合物(1)で示される4−メチル−7−アミノ−2(1H)−キノロン(acros社製;クロロホルム中での最大吸収波長(λmax)=348nm、モル吸光係数1.7×104)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これをろ過してできた溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜のλmaxは353nmであった。
実施例2
例示化合物(2)で示される4−メチル−7−ジメチルアミノ−2(1H)−キノロン(acros社製;クロロホルム中でのλmax=363nm、モル吸光係数2.1×104)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これをろ過してできた溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜のλmaxは、380nmであった。
実施例3
【0042】
【化14】
【0043】
上記構造式▲1▼で表される、N,N−ジエチル−m−フェニレンジアミン4.93g(0.03mol)と、▲2▼で表されるベンゾイル酢酸エチル5.77g(0.03mol)の混合溶液を撹拌しながらオイルバスにより180℃で9h加熱した。
その後、加熱により析出した固体にメタノール20mlを添加し、1h還流させた後、生成物を濾過した。濾過物はメタノール50ml中に懸濁させ、1h室温で撹拌した後に濾過して、濾過物を乾燥させることにより例示化合物(3)で示される生成物1.31gを得ることができた。生成物のクロロホルム中のλmaxは373.5nm、モル吸光係数2.1×104であった。
【0044】
この化合物をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これをろ過してできた溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜のλmaxは、382nmであった。
実施例4〜12
以下、前記の合成法に準じて例示化合物(4)〜(11)の化合物を合成し、膜スペクトルを測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
例えばこの塗布膜上に、スパッタリング法等にて銀膜を成膜して反射層を形成し、更に紫外線硬化型樹脂をスピンコート等にて塗布・UV照射により硬化させて保護層を形成し、光学記録媒体とすることができる。この光学記録媒体は、塗布膜のλmaxの値より、例えば中心波長410nmの半導体レーザーによる記録再生が可能であることが明らかである。
【0048】
【発明の効果】
本発明化合物の含有溶液は、短波長のレーザー光による記録再生に適した吸収を有する塗布膜を形成することが出来、且つ成膜性にも優れているので、本発明化合物を用いた記録層を有する記録媒体は、短波長レーザーに対応する記録再生用光学記録媒体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3にて合成した化合物の、クロロホルム溶液中での吸収スペクトルである。
【図2】 実施例3にて合成した化合物の、塗布膜の吸収スペクトルである。
【図3】 実施例8にて合成した化合物の、DMF溶液中での吸収スペクトルである。
【図4】 実施例8にて合成した化合物の、塗布膜での吸収スペクトルである。
Claims (3)
- 基板上に、レーザーによる情報の記録及び/又は再生が可能な記録層が設けられ、該記録層がオクタフルオロペンタノール溶媒を用いたスピンコート法により成膜された光学記録媒体において、該記録層が、下記一般式[I]で示されるカルボスチリル化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体。
R 7 およびR 8 は、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基、又は、R 7 とR 8 、R 7 とR 6 、及びR 8 とR 5 の1以上が結合して形成した環であり、R 7 とR 6 、及びR 8 とR 5 の1以上が結合して形成した環である場合には、置換基を有していてもよい飽和炭化水素環である。) - 一般式[I]においてR 7 又はR 8 のいずれかが、炭素数3〜6の分岐のアルキル基であり、R 7 およびR 8 が、隣接する置換基同士で縮合するメチル基で置換された飽和炭化水素環を形成していることを特徴とする請求項1に記載の光学記録媒体。
- 情報の記録又は再生のレーザー波長が 350nm 〜 530nm であることを特徴とする請求項1〜2に記載の光学記録媒体。
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