JP5264067B2 - 成形用サーモトロピック液晶ポリマー樹脂組成物 - Google Patents

成形用サーモトロピック液晶ポリマー樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、成形用サーモトロピック液晶ポリマー組成物およびその成形体に関する。
近年サーモトロピック液晶ポリマーはその優れた流動性、寸法精度、機械強度、耐熱性等の特徴を生かした分野において利用が拡大してきている。特に、環境面での観点から鉛ハンダの使用が禁止となったことを受けて、鉛フリーハンダの使用に全面的に置き換わってきた。その結果、リフロー温度が非常に高温となってきたことに伴い、サーモトロピック液晶ポリマーの耐熱性もまた同時に高くなる必要がでてきた。
例えば、サーモトロピック液晶ポリマー組成物及びその製造方法(特許文献1)、樹脂組成物(特許文献2)及びポリエステル樹脂組成物(特許文献3)で開示される従来技術を高耐熱サーモトロピック液晶ポリマーに適用し、ハンダリフロー工程等の加熱処理を行うと、成形品の表面に気泡(以下これを「ブリスター」という)が生じる問題が現れる。そしてブリスターが少しでも発生すると製品化できず歩留まりは0となり、全く使用できなくなるという問題を生じる。さらに、ポリエステルの加水分解が加工温度が高くなることにより促進されるため、機械的物性、とりわけ衝撃強度の低下が著しく、6−チタン酸カリウム繊維による補強効果は十分に得られていなかった。
特開平02−014246号公報 特開平07−053848号公報 特開平02−016150号公報
本発明の課題は、6−チタン酸カリウム繊維を充填材とするブリスターの発生を抑え、且つ機械的強度とりわけ衝撃強度を向上させたサーモトロピック液晶ポリマー組成物およびその成形体を提供することにある。
本発明は、以下の発明に係る。
1.(a)表面自由エネルギーが20〜50mN/mとなる表面処理剤を用いて表面処理後の吸油量が130ml/100g以下に調製された6−チタン酸カリウム繊維と、(b)サーモトロピック液晶ポリマーとを含むことを特徴とする成形用サーモトロピック液晶ポリマー樹脂組成物。
2.(a)表面自由エネルギーが20〜50mN/mとなる表面処理剤を用いて表面処理後の吸油量が130ml/100g以下に調製された6−チタン酸カリウム繊維と、(b)サーモトロピック液晶ポリマーとを含む樹脂組成物を成形して得られる、ブリスターの発生の無い成形体。
本発明の成形用サーモトロピック液晶ポリマー樹脂組成物によって、ブリスターが発生せず、且つ機械的強度の高い、さらには衝撃強度が大幅に向上された成形体が得られる。
本発明で使用されるサーモトロピック液晶ポリマーとしては、溶融時光学的異方性を示し、且つ熱可塑性を有するポリマーである。溶融時に光学的異方性を示すポリマーは溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を有している。本発明においては従来公知のものを広く使用でき、例えば全芳香族(コ)ポリエステル、全芳香族(コ)ポリエステルアミド、芳香族−脂肪族(コ)ポリエステル、芳香族ポリアゾメチン、芳香族ポリエステルカーボネート等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
全芳香族(コ)ポリエステル及び全芳香族(コ)ポリエステルアミドとは、ポリマー鎖を構成するどのモノマー成分にも少なくとも1個の芳香環を有することから、全芳香族と称され、分子構造が剛直となるが故に、ポリマーは溶融相に於いて液晶性を示すことが可能となる。このようなモノマー成分としては、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフトイル等の芳香族ジオール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,6−ジカルボキシナフトイル等の芳香族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ桂皮酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸等の芳香族アミノカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
全芳香族(コ)ポリエステル及び全芳香族(コ)ポリエステルアミドは、これらモノマー成分から常法に従い容易に製造される。全芳香族(コ)ポリエステルは、例えば特開昭56−104932号公報や特開昭57−44622号公報に開示されている方法に従い、また全芳香族(コ)ポリエステルアミドは、例えば米国特許第4182842号明細書に開示されている方法に従い、それぞれ製造される。
芳香族−脂肪族(コ)ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレートとp−ヒドロキシ安息香酸との共重合体を例示できる。
芳香族ポリアゾメチンの具体例としては、ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フェニレンニトリロエチリジン−1,4−フェニレンエチリジン)、ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フェニレンニトリロメチリジン−1,4−フェニレンメチリジン)、ポリ(ニトリロ−2−クロロ−1,4−フェニレンニトリロメチリジン−1,4−フェニレンメチリジン)等を例示できる。
芳香族ポリカーボネートとしては、例えば米国特許第4107143号明細書、同4284757号明細書等に開示されているものが広く用いられる。
本発明で用いられるサーモトロピック液晶ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量が約5千〜約20万、特に約1万〜約5万であるのが好適である。サーモトロピック液晶ポリマーの重量平均分子量が小さ過ぎると、得られる樹脂組成物の機械物性が低下する傾向となり、一方該ポリマーの重量平均分子量が大き過ぎると、斯かるポリマーの製造が困難である上に、該ポリマーの溶融粘度が高くなり、そのため得られる樹脂組成物の成形加工性が困難になる傾向が生ずるので、いずれも好ましくない。
本発明のサーモトロピック液晶ポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲内で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、顔料等の着色剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、ケッチェンブラック等の導電性付与剤、炭酸カルシウム等の粉末状物質、マイカ等の薄片(鱗片)状充填材、ガラス繊維、炭素繊維等の強化材等を適宜配合することもできる。
本発明で使用されるチタン酸カリウムとしては、KO・6TiOなる化学式を有し、pHが6〜8、望ましくは6.5〜7.5であり、X線回折チャート2θ=13.8°の特性ピークにおける半値幅が0.35以下、望ましくは0.27以下の高結晶性6−チタン酸カリウム繊維である。ここでpHとは、6−チタン酸カリウム繊維の1重量%水懸濁液(脱イオン水使用)を10分間撹拌後、20℃で測定した値をいう。またX線回折チャート2θ=13.8°の特性ピークにおける半値幅とは、2θ=13.8°におけるピーク高さをH、1/2Hでのピーク幅をWとすると、W/Hで表される値をいう。後者の値は、6−チタン酸カリウム繊維の結晶化度を示す指標となり、半値幅が小さい程結晶化度が大きいことを示すものである。上記半値幅の下限は0.2が好ましい。
本発明で使用される上記特性値を有する6−チタン酸カリウム繊維は例えば下記に示す方法に従い製造される。即ち、KO、KCO等のKO成分及びTiO、TiO含有化合物等のTiO2成分から水熱法、フラックス法、焼成法、溶融法等の従来公知の方法に従って6−チタン酸カリウム繊維を製造し、次にこれを700℃以上、好ましくは750〜850℃の高温で熱処理して2θ=13.8°の特性ピークにおける半値幅が0.35以下、望ましくは0.27以下の高結晶化品とした後、酸処理及び水洗により結晶系を変えることなく、pH6〜8の微酸性〜微塩基性の所謂中性領域に調整された6−チタン酸カリウム繊維とすることができる。
本発明で用いられる6−チタン酸カリウム繊維の繊維径及び繊維長は、特に限定されるものではないが、繊維径は通常0.01〜2μm程度、好ましくは0.05〜1μm程度、また繊維長は通常2〜500μm程度、好ましくは5〜100μm程度、アスペクト比(繊維長/繊維径)は10以上、好ましくは30以上が適当である。
更に、本発明の組成物には、本発明の目的を損わない範囲で強化材、充填材を併用することもできる。これらの強化材、充填材の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、アスベスト繊維、グラファイト、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデン等の繊維状、粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーが挙げられる。また、これらの強化剤、充填剤についてもシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他の表面処理剤で処理したものを用いてもよい。
本発明で使用される表面処理としては、サーモトロピック液晶ポリマーの成形加工温度において熱安定性が良好で物理的、化学的に安定であり、且つガラス板上に均一に処理された時の表面自由エネルギーが20〜50mN/mであり、さらには表面処理後の吸油量が130ml/100g以下、好ましくは80〜130ml/100gであれば特に限定されるものではなく、一般のカップリング剤を使用することができる。例えば、デシルトリメトキシシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フルオロアルキルシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等で処理することができる。
表面自由エネルギーが20〜50mN/m以外のカップリング剤であっても、2種以上を混合することにより、表面自由エネルギーを20〜50mN/mとしても良い。例えば、表面自由エネルギーが50以上のカップリング剤と20以下のカップリング剤を混合することにより20〜50とすることができる。
表面自由エネルギーが50mN/mを超えるとサーモトロピック液晶ポリマーよりも表面自由エネルギーが高いため、混練、成形加工時の6−チタン酸カリウム繊維の破損により破損面から溶出するカリウムイオンを制御できないため液晶ポリマーの加水分解が促進される。一方、表面自由エネルギーが20mN/m未満ではリフロー時の加熱による熱膨張によって液晶ポリマーと6−チタン酸カリウム繊維の界面が剥離し、ブリスターが発生する。また、吸油量が130ml/100gを超えると極端に液晶ポリマーとの相溶性が低下するため著しく生産性が低下し、さらには表面処理された6−チタン酸カリウム繊維の充填量を増加できないという問題が生じる。そのため、表面自由エネルギーの範囲は20〜50mN/mで調整された6−チタン酸カリウム繊維を液晶ポリマーに充填することが好ましい。
表面自由エネルギーの測定方法は、ガラス板上へメタノールで10倍希釈したカップリング剤を均一に塗布し、85℃で1時間加熱後、110℃で1時間加熱処理を行った。表面自由エネルギーの測定は水とヨウ化メチレンの2液静的接触角を測定することから算出される一般的な方法を用いた。
吸油量の測定は、精製アマニ油法〔JIS K5101−13−1〕を用いた。
本発明において、6−チタン酸カリウム繊維への表面処理方法としては、あらかじめカップリング剤を基材表面へ処理する方法として乾式法及び湿式法が知られており、どちらの方法も使用することができる。さらにカップリング剤をコンパウンド時に直接添加するインテグラルブレンド法も使用することができる。その際の表面処理濃度は6−チタン酸カリウム繊維に対して0.1〜3.0%、好ましくは0.5〜1.0%程度が適当である。
本発明において、サーモトロピック液晶ポリマーと表面処理6−チタン酸カリウム繊維の配合量としては、サーモトロピック液晶ポリマー100重量部に対して表面処理6−チタン酸カリウム繊維を5〜100重量部程度、好ましくは10〜70重量部程度配合するのがよい。表面処理6−チタン酸カリウム繊維の配合量が5重量部未満では成形時の計量性が不安定なうえ、機械的強度の向上が少なく、加えて耐熱性の向上に効果が得られない。一方、表面処理6−チタン酸カリウム繊維の配合量が100重量部を超えると混練性が低下すると共に衝撃強度の著しい低下、さらに成形品の表面外観が損なわれるため好ましくない。
本発明の成形用サーモトロピック液晶ポリマー組成物は、通常の成形方法を用いて成形体を製造することができる。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形等の成形方法を挙げることができる。
本発明では、機械的特性、耐熱性、薄肉成形性、寸法安定性及び摺動性に優れ、且つ表面平滑性に代表される優れた成形品外観を与える樹脂組成物が得られる。この特徴を生かし、電機・電子・電送関係部品、自動車関係部品、精密機械関連部品、音響関連部品、光ファイバー関連部品、OA機器関係部品、化学装置関連部品等の用途に主に使用される。具体的な用途としては、コネクター、ソケット、コイルボビン、リレーケーススイッチ、センサー、モールドボス、LEDランプ、各種ギア、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク、コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用器具、オイルレス軸受け、船尾軸受け、水中軸受けなどの各種軸受け、モーター部品、ライター、タイプライター、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計、オルターネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペンサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、その他各種用途に有用である。
本発明樹脂組成物を製造するに当たっては、特に限定はなく、この分野で公知の製造方法を広く適用することができる。例えば、サーモトロピック液晶ポリマーと6−チタン酸カリウム繊維とを予めヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等を利用して予備混合してから、或いはそれぞれ別々に溶融混合機に供給して溶融混練すればよい。形状の安定したペレットを製造するには、ロータリータイプのミストカット方式に従うのがよい。該方式は、サーモトロピック液晶ポリマーと6−チタン酸カリウム繊維とを溶融混合機で均一に混合後、ミストカットペレタイザーにてペレット化を行なう方法である。より具体的には、サーモトロピック液晶ポリマーと6−チタン酸カリウム繊維とを溶融混合機で均一に溶融混練後、ストランド状に押出したダイ部に直交するように高速回転するロータリーカッターを配置し、且つ一端に設けたノズルから水とエアーを混合して発生したミストをカッティングチャンバーに充満させた状態でホットカットを行なえばよい。通常行なわれている方法で一旦ストランド状に溶融物を引き取り、水槽で冷却後、一般的なペレタイザーでペレット化しても、サーモトロピック液晶ポリマーが押出方向に結晶化して完全に固化している状態のところに剪断力が加わってもストランドが砕けてワラクズ状となり、通常の熱可塑性樹脂で得られるようなペレットを製造することは困難である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
実施例1〜2及び比較例1〜4
サーモトロピック液晶ポリマーとして全芳香族ポリエステル系のゼナイト6000〔デュポン(株)製〕を使用した。
また、6−チタン酸カリウム繊維としてpH6.5〜7.5、X線回折チャート2θ=13.8゜の特性ピークにおける半値幅が0.25である6−チタン酸カリウム繊維としてTISMO N〔大塚化学(株)製、平均繊維径0.3μm、平均繊維長15μm〕を使用した。
サーモトロピック液晶ポリマーと各種表面処理TISMO Nをそれぞれ70、30重量%配合した。
ゼナイト6000及びTISMO Nはそれぞれ二軸押出機〔TEX44αII、(株)日本製鋼所製〕のメインホッパー及びサイドフィーダーから別々に供給し、シリンダー温度340℃にて溶融混練した後、ミストカットペレタイザーを使用してペレット化後、脱水乾燥して、小豆状の卵白色の均一なペレットを得た。
得られたペレットを油圧式射出成形機〔FS−150N、日精樹脂工業(株)製〕にてシリンダー温度340℃、金型温度100℃の条件にて射出成形して各試験片を得た。
引張特性、曲げ特性、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)及び熱変形温度は、それぞれASTM D−638、D−790、D−256、D−648に準拠して測定した。また、同様に上記で得られたペレットを電動式射出成形機〔SE100D、住友重機械工業(株)製〕にてシリンダー温度340℃、金型温度130℃の条件にて短冊試験片(幅12.7mm、長さ127mm、厚さ0.8mm)を成形し、これをブリスター性の評価に用いた。ブリスター性の評価は半田槽〔TOP−303B、テクノデザイン工業(有)製〕を用いて260℃に均一に加熱し、上記短冊試験片を5分間浸漬させた後、固化した半田を除去し、スタンドルーペにて試験片の膨れを目視検査した。試験片数は10本とし、ブリスター発生本数を数えた。判定基準は以下の通りである。ブリスターが1本でも発生すると製品化できず歩留まりは0となる。
判定基準
○ ・・・ブリスター発生本数が0本
× ・・・ブリスター発生本数が1〜5本
××・・・ブリスター発生本数が5〜10本
実施例1では、表面処理剤としてデシルトリメトキシシラン〔KBM−3103C、信越化学工業(株)製〕をTISMO Nに対して1.0%処理を行った。
実施例2では表面処理剤としてフェニルトリメトキシシラン〔AY 43−040東レ・ダウコーニング(株)〕及びフルオロアルキルシラン〔XC95−A9715、GE東芝シリコーン(株)製〕をそれぞれ0.5%をTISMO Nに表面処理を行った。
比較例1は未処理品、比較例2〜4はそれぞれγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン〔A−187、日本ユニカー(株)、以下エポキシシランと略す〕、フルオロアルキルシラン、メチルトリエトキシシラン〔KBE−13、信越化学工業(株)〕を1.0% TISMO Nに表面処理を行った。各表面処理TISMO Nと表面自由エネルギーの関係について表1に示す。
A:デシルトリメトキシシラン
B:フェニルトリメトキシシラン
C:フルオロアルキルシラン
D:エポキシシラン
E:メチルトリエトキシシラン
Figure 0005264067
表2に上記表面処理TISMO Nを液晶ポリマーに充填したときの結果を示す。
Figure 0005264067
上記表2から、次のことが明らかである。即ち、実施例1及び実施例2のIZOD衝撃強度は、比較例1、比較例2及び比較例3のそれに対し2〜3倍向上しており、さらにブリスター性評価については比較例1〜4の全てにブリスターが発生した。特に、比較例3においてはブリスター特性が悪かった。
上記結果から本発明の表面自由エネルギーに調整された表面処理6−チタン酸カリウム繊維をサーモトロピック液晶ポリマーに充填することで、従来の問題点であったブリスター発生が改善され、且つ機械的強度の高い、さらには衝撃強度の大幅な向上がみられた。

Claims (3)

  1. (a)表面自由エネルギーが20〜50mN/mとなる表面処理剤を用いて表面処理後の吸油量が130ml/100g以下に調製された、pH6.5〜7.5を有し、X線回折チャート2θ=13.8゜の特性ピークにおける半値幅が0.2〜0.35である6−チタン酸カリウム繊維と、(b)サーモトロピック液晶ポリマーとを含むことを特徴とする成形用サーモトロピック液晶ポリマー樹脂組成物。
  2. (a)表面自由エネルギーが20〜50mN/mとなる表面処理剤を用いて表面処理後の吸油量が130ml/100g以下に調製された、pH6.5〜7.5を有し、X線回折チャート2θ=13.8゜の特性ピークにおける半値幅が0.2〜0.35である6−チタン酸カリウム繊維と、(b)サーモトロピック液晶ポリマーとを含む樹脂組成物を成形する、ブリスターの発生の無い成形体の製造方法。
  3. (a)表面自由エネルギーが20〜50mN/mとなる表面処理剤を用いて表面処理後の吸油量が130ml/100g以下に調製された、pH6.5〜7.5を有し、X線回折チャート2θ=13.8゜の特性ピークにおける半値幅が0.2〜0.35である6−チタン酸カリウム繊維と、(b)サーモトロピック液晶ポリマーとを含む樹脂組成物を成形して得られる、ブリスターの発生の無い成形体。
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