JP5262520B2 - 加熱制御装置 - Google Patents
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Description
〔燃料電池システムの構成〕
本発明の第1の実施形態となる燃料電池システム1は、図1に示すように、燃料極及び酸化剤極にそれぞれ水素及び空気の供給を受けて発電する燃料電池が複数積層された燃料電池スタック2を備える。燃料電池は、固体高分子型燃料電池により構成され、燃料極側及び酸化剤極側の触媒層とガス拡散電極により挟持された固体電解質膜とから成る膜電極接合体と、燃料極及び酸化剤極にそれぞれ水素及び空気を供給するためのガス流路を有し膜電極接合体を挟持するセパレータとを備える。燃料極及び酸化剤極における電気化学反応及び燃料電池全体としての電気化学反応は以下に示す式(1)〜(3)による。
〔酸化剤極〕 1/2 O2 +2H+ +2e- → H2O …(2)
〔全体〕 H2 +1/2 O2 → H2O …(3)
〔水素系の構成〕
燃料電池システム1は、高圧水素タンク3及び水素調圧弁4を備え、水素調圧弁4によって高圧水素タンク3内の高圧水素を燃料電池スタック2の運転条件に適した圧力まで圧力低下させた後、水素供給配管L1を介して燃料電池スタック2の燃料極に水素を供給する。燃料極から排出された水素は、気液分離装置5において過剰な水分が液化した液水を除去した後、水素循環ポンプ6及び水素循環配管L2を介して燃料極の上流側へ循環される。水素循環ポンプ6及び水素循環配管L2を設けることにより、燃料極で未使用の水素を再利用することが可能となり、燃料電池システム1の燃費性能を向上させることができる。なお燃料電池の運転条件と適合すれば、水素循環ポンプ6に代えて流体ポンプであるエゼクタを使用してもよい。
燃料電池システム1はコンプレッサ9を備え、コンプレッサ9は吸入口10から取り込んだ空気を空気供給配管L4を介して燃料電池スタック2の酸化剤極に圧縮供給する。酸化剤極の出口側には排出制御弁11を介して排出配管L3が接続されている。排出制御弁11の開度を制御することにより、燃料電池スタック2の酸化剤極に供給される空気の圧力を調整することができると共に酸化剤極から排出された空気を排出配管L3を介して系外に排出することができる。
燃料電池システム1は、水素供給配管L1内のガス圧力を検出する圧力センサP1と、空気供給配管L4内のガス圧力を検出する圧力センサP2と、気液分離装置5の貯水タンク(図示せず)内の水位レベルを検出する水位センサS1と、燃料電池システム1全体の動作を制御するECU12とを備える。本実施形態では、ECU12は、CPU,プログラムROM,作業用RAM,及び入出力インタフェースを備えたマイクロプロセッサにより構成されている。
一般に、気液分離装置5に蓄積された液水の排出を制御する排出制御弁7は液水が凍結した場合に動作が保障されなくなる。そこで本実施形態では、凍結した液水を解凍するために、排出制御弁7の近傍には、図2に示すように、排出制御弁7を加熱するためのヒータ21が設けられ、また排出制御弁7とヒータ21との間には排出制御弁7の温度を検出するための温度センサ22が配置されている。すなわち本実施形態では、排出制御弁7,ヒータ21,及び温度センサ22はそれぞれ、ヒータ21を稼働させた際に温度センサ22の検知温度が排出制御弁7の温度よりも高くなる位置に配置されている。ヒータ21はECU12が制御スイッチ23を制御することによりオン/オフされる。
このような構成を有する燃料電池システム1では、起動時にECU12が以下に示す凍結判断処理を実行することにより、排出制御弁7の不要な加熱動作を実行することにより起動時間が長くなることを防止する。以下、図3に示すフローチャートを参照して、この凍結判断処理を実行する際のECU12の動作について説明する。
本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムでは、排出制御弁7の構成及び凍結判断温度の設定が上記第1の実施形態となる燃料電池システムにおける排出制御弁7の構成及び凍結判断温度の設定と異なる。そこで以下では、本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムにおける排出制御弁7の構成及び凍結判断温度の設定についてのみ説明し、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムと共通する構成要素についての説明は省略する。
本実施形態では、排出制御弁7,ヒータ21,及び温度センサ22はそれぞれ、図6に示すように、ヒータ21を稼働させた際に排出制御弁7の温度が温度センサ22の検知温度よりも高く位置に配置されている。
本実施形態では、加熱停止時間と凍結判断温度の関係を示すマップは図7に示すような形態を有する。すなわち本実施形態では、凍結判断温度の上限値(上限温度)が、排出制御弁7の加熱動作を停止してから十分な時間が経過することによって温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が十分小さくなっている時に温度センサ22によって排出制御弁7が凍結したと判断可能な温度に設定されている。また凍結判断温度の下限値(下限温度)は、ヒータ21の稼働によって発生する温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差の最大値を上限温度から減算した値に設定されている。そして温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差は加熱停止時間が長くなるほど小さくなっていくことから、上限温度と下限温度との間の凍結判断温度は、温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差の特性に基づいて、加熱停止時間の経過に伴い下限温度から上限温度に漸近するように設定されている。また本実施形態では、図8に示す加熱時間と凍結判断温度の関係を表すマップにおける凍結判断温度の下限値(下限温度)及び上限値(上限温度)は図7に示すマップにおける下限温度及び上限温度と同じ値に設定されている。そして温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差は加熱時間が長くなるほど大きくなっていくことから、上限温度と下限温度との間の凍結判断温度は、温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差の特性に基づいて、加熱時間の経過に伴い上限温度から下限温度に漸近するように設定されている。
本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムでは、凍結判断温度の設定が上記第1の実施形態となる燃料電池システムにおける凍結判断温度の設定と異なる。そこで以下では、本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムにおける凍結判断温度の設定についてのみ説明し、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムと共通する構成要素についての説明は省略する。
本実施形態では、加熱停止時間と凍結判断温度の関係を示すマップは図9に示すような形態を有する。すなわち本実施形態では、排出制御弁7の加熱動作を停止してから十分な時間が経過していない場合には凍結判断温度は閾値TH2に設定されている。一方、排出制御弁7の加熱動作を停止してから十分な時間が経過することによって温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が十分小さくなっている場合には凍結判断温度は閾値TH2より小さな閾値TH1に設定されている。また本実施形態では、加熱時間と凍結判断温度の関係を示すマップは図10に示すような形態を有する。すなわち本実施形態では、加熱動作を開始してから所定時間の間は凍結判断温度は閾値TH1に設定されている。そして排出制御弁7の加熱動作を開始してから所定時間が経過することによって温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が大きくなった場合には凍結判断温度を閾値TH1より大きい閾値TH2に設定する。なお閾値TH1,TH2は共に、システム状況に応じて図4,5に示す凍結判断温度の時間変化よりも高い温度に設定する。具体的には、閾値TH1については、凍結判断温度を小さくする前に凍結判断がなされて温度閾値を変更する効果が小さくなることから、部品内の温度差が十分小さくなるのに要する時間が長いほど下限温度より高い値に設定し、逆に部品内の温度差が十分小さくなるのに要する時間が短い程下限温度に近い値に設定することが望ましい。
本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムでは、凍結判断温度の設定が上記第2の実施形態となる燃料電池システムにおける凍結判断温度の設定と異なる。そこで以下では、本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムにおける凍結判断温度の設定についてのみ説明し、本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムと共通する構成要素についての説明は省略する。
本実施形態では、加熱停止時間と凍結判断温度の関係を示すマップは図11に示すような形態を有する。すなわち本実施形態では、温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が小さくなるのに十分な時間が加熱動作を停止してから経過していない場合には凍結判断温度は閾値TH1に設定されている。一方、温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が小さくなるのに十分な時間が加熱動作を停止してから経過している場合には凍結判断温度は閾値TH1より高い閾値TH2に設定されている。また本実施形態では、加熱時間と凍結判断温度の関係を示すマップは図12に示すような形態を有する。すなわち本実施形態では、加熱時間が短く温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が十分に小さい間は凍結判断温度は閾値TH2に設定されている。そして加熱時間が長く温度センサ22と排出制御弁7との間の温度差が大きくなる時間が経過した後は凍結判断温度を閾値TH2より低い閾値TH1に設定する。なお閾値TH1,TH2は共に、システム状況に応じて図7,8に示す凍結判断温度の時間変化よりも高い温度に設定する。具体的には、閾値TH1については、凍結判断温度を高くする前に凍結判断がなされる条件であれば温度閾値を変更する効果が大きくなることから、温度差が十分小さくなるのに要する時間が長いほど下限温度より高い値に設定し、逆に温度差が十分小さくなるのに要する時間が短い程下限温度に近い値に設定することが望ましい。
2:燃料電池スタック
3:高圧水素タンク
4:水素調圧弁
5:気液分離装置
6:水素循環ポンプ
7,11:排出制御弁
8:パージ弁
9:コンプレッサ
10:吸入口
12:ECU
21:ヒータ
22:温度センサ
23:制御スイッチL1:水素供給配管
L2:水素循環配管
L3:排出配管
L4:空気供給配管
P1,P2:圧力センサ
S1:水位センサ
Claims (10)
- 構成部品を加熱する加熱手段と、
当該構成部品の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段が温度を検出する検出部位と凍結によって当該構成部品の機能が保証されなくなる凍結部位との温度差を、前記加熱手段の作動を停止又は開始してからの経過時間、及び前記加熱手段を作動させた際の前記検出部位と前記凍結部位との温度上昇の関係に応じて推定する温度差推定手段と、
前記温度差推定手段により推定される温度差に応じて温度閾値を変更し、前記温度閾値に基づき前記加熱手段の作動/非作動を制御する制御手段とを備えること
を特徴とする加熱制御装置。 - 前記温度を検出する部位と前記構成部品の部位は、前記加熱手段を作動させた際に前記温度を検出する部位の温度が前記構成部品の部位の温度よりも高くなる位置関係にあり、前記温度差推定手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間から前記温度差を推定し、前記制御手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が長くなるのに応じて前記温度閾値を低くすることを特徴とする請求項1に記載の加熱制御装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が所定時間未満である場合、前記温度閾値を第1閾値に設定し、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が所定時間以上である場合には、前記温度閾値を前記第1閾値より低い第2閾値に設定することを特徴とする請求項2に記載の加熱制御装置。
- 前記温度を検出する部位と前記構成部品の部位は、前記加熱手段を作動させた際に前記温度を検出する部位の温度が前記構成部品の部位の温度よりも高くなる位置関係にあり、前記温度差推定手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間から前記温度差を推定し、前記制御手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が長くなるのに応じて前記温度閾値を高くすることを特徴とする請求項1に記載の加熱制御装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が所定時間未満である場合、前記温度閾値を第3閾値に設定し、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が所定時間以上である場合には、前記温度閾値を前記第3閾値より高い第4閾値に設定することを特徴とする請求項4に記載の加熱制御装置。
- 前記温度を検出する部位と前記構成部品の部位は、前記加熱手段を作動させた際に前記温度を検出する部位の温度が前記構成部品の部位の温度よりも低くなる位置関係にあり、前記温度差推定手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間から前記温度差を推定し、前記制御手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が長くなるのに応じて前記温度閾値を高くすることを特徴とする請求項1に記載の加熱制御装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が所定時間未満である場合、前記温度閾値を第1閾値に設定し、前記加熱手段の作動を停止してからの経過時間が所定時間以上である場合には、前記温度閾値を前記第1閾値より高い第2閾値に設定することを特徴とする請求項6に記載の加熱制御装置。
- 前記温度を検出する部位と前記構成部品の部位は、前記加熱手段を作動させた際に前記温度を検出する部位の温度が前記構成部品の部位の温度よりも低くなる位置関係にあり、前記温度差推定手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間から前記温度差を推定し、前記制御手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が長くなるのに応じて前記温度閾値を低くすることを特徴とする請求項1に記載の加熱制御装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が所定時間未満である場合、前記温度閾値を第3閾値に設定し、前記加熱手段の作動を開始してからの経過時間が所定時間以上である場合には、前記温度閾値を前記第3閾値より低い第4閾値に設定することを特徴とする請求項8に記載の加熱制御装置。
- 前記温度推定手段は、前記構成部品の冷却条件を考慮して前記温度差を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1項に記載の加熱制御装置。
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