JP4119766B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、蒸発器の除霜機能およびドレンの凍結防止機能を備えた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機や冷蔵ショーケースなどに搭載される冷凍装置は、圧縮機から吐出される冷媒を凝縮器および蒸発器に通して圧縮機に戻す冷凍サイクルを備えている。
蒸発器は運転が進むに従って徐々に霜が付着し、そのままでは蒸発器の熱交換量が減少して冷凍能力が低下してしまう。そこで、定期的または必要に応じて蒸発器を除霜する必要がある。
【0003】
また、蒸発器から落下する結露水や除霜水などのいわゆるドレンは、ドレンパンに落下してそのドレンパンから外に排出される。ただし、ドレンパンに入ったドレンが凍結して排出が困難になることがある。
【0004】
そこで、定期的にデフロスタヒータの発熱による蒸発器の除霜を開始し、その開始後、蒸発器温度が設定値に達したところで除霜を終了し、その終了に伴いドレンパンヒータを動作してドレンの凍結を防止し、ドレンパン温度が設定値に達したところでドレンパンヒータを停止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、温度検知により蒸発器の着霜を検出し、その検出に伴い圧縮機の吐出冷媒を蒸発器に直接供給して蒸発器の除霜を開始し、その開始後、蒸発器温度が設定値に達したところで除霜を終了するとともに、除霜の開始前からドレンパンヒータを動作してドレンの凍結を防止し、除霜の終了から所定時間が経過したところでドレンパンヒータを停止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−304747号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−324248号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、蒸発器温度に応じて除霜を終了し、ドレンパン温度に応じてドレンパンヒータを停止するものでは、蒸発器温度検知用とドレンパン温度検知用の2つの温度センサが必要である。
【0009】
また、除霜の終了から所定時間後にドレンパンヒータを停止するものでは、所定時間が短いと凍結防止が不完全であり、所定時間が長いとドレンパン温度およびその周辺温度が不要に上昇して空調温度やショーケース内温度に悪影響を与えてしまう。
【0010】
この発明は上記の事情を考慮したもので、蒸発器の除霜およびドレンパン上のドレンの凍結防止を1つの温度センサで適切に行うことができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の冷凍装置は、圧縮機から吐出される冷媒を除霜用として蒸発器に導くバイパス路と、このバイパス路に設けられた開閉弁と、蒸発器から落下するドレンを受けて排出するドレンパンと、このドレンパンを加熱するヒータと、蒸発器およびドレンパンに接する伝熱部材とを備え、この伝熱部材の温度をその伝熱部材に取付けた温度センサで検知する。この温度センサの検知温度に応じて、上記開閉弁の開放による蒸発器の除霜、および上記ヒータの発熱によるドレンパン上のドレンの凍結防止を制御する。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。 図1に示すように、圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3、および蒸発器4が順次に配管接続されて、冷凍サイクルが構成されている。圧縮機1から吐出される冷媒は、凝縮器2、膨張弁3、蒸発器4を通り、圧縮機1に戻る。
【0013】
圧縮機1と凝縮器2との間の配管から膨張弁3と蒸発器4との間の配管にかけてバイパス路となるバイパス管5が接続され、そのバイパス管5に開閉弁6が設けられている。この開閉弁6が開くと、圧縮機1から吐出される高温の冷媒が除霜用として蒸発器2に直接的に導かれる。
【0014】
凝縮器2の近傍に、凝縮器用ファン7,7が設けられている。これら凝縮器2および凝縮器用ファン7,7により、凝縮器ユニット10が構成されている。蒸発器4の近傍に、蒸発器用ファン8,8および室内温度センサ9が設けられている。これら蒸発器4、蒸発器用ファン8,8、庫内温度センサ9、上記膨張弁3、および開閉弁6により、蒸発器ユニット20が構成されている。
【0015】
上記蒸発器4の下方には、ドレンパン21が設けられている。蒸発器4から落下する結露水や除霜水などのいわゆるドレンは、このドレンパン21に落下してそのドレンパン21から排水管22を通じて外部に排出される。このドレンパン21の下面部に、凍結防止用の電気ヒータ23が取付けられている。ドレンパン21は、熱伝導性の良い金属製であり、ヒータ23の発熱に対しても十分な耐熱性を備えている。
【0016】
蒸発器4の冷媒出口部およびドレンパン21の内底面の両方に接する状態に、金属製の熱伝導性の良い伝熱部材24が設けられている。この伝熱部材24に、1つの温度センサ25が取付けられている。この温度センサ25により、蒸発器4の冷媒出口部の温度およびドレンパン21の温度が検知される。
【0017】
伝熱部材24とその周辺部の具体的な構成を図2および図3に示している。伝熱部材24はL字形に形成され、立位面の上部が蒸発器4の端板4aに面接触して固定され、座面がドレンパン21の内底面に面接触して固定されている。すなわち、伝熱部材4が蒸発器4をドレンパン21上に支持する支持部材として兼用されている。そして、この伝熱部材24の立位面の中途部に温度センサ25が取付けられている。
【0018】
なお、蒸発器4の反対側の端板4aとドレンパン21の内底面との間にも、蒸発器4をドレンパン21上に支持するための金属製でL字形の支持部材28が設けられている。この支持部材28の熱伝導性は良くても悪くてもどちらでもよい。
【0019】
また、蒸発器4および蒸発器用ファン8,8は、図4に示すように、例えば冷凍車におけるコンテナの冷蔵庫内に設置される天井面取付筐体26に収容される。この筐体26において、蒸発器4の下面部と対向する位置にドレンパン21が設置される。冷蔵庫内の空気は蒸発器用ファン8,8により吸込まれ、その吸込み空気が蒸発器4の一方の側面部に流入して蒸発器4の他方の側面部から流出する。流出する空気は冷却用空気として、吹出グリル27から冷蔵庫内に吹出される。庫内空気が蒸発器用ファン8,8により吸込まれるとき、その庫内空気の温度Taが庫内温度センサ9で検知される。
【0020】
一方、制御部30に、上記圧縮機1、開閉弁6、庫内温度センサ9、ヒータ23、温度センサ25、および操作部31が接続されている。
【0021】
制御部30は、主要な機能として、次の(1)(2)を有している。
(1)庫内温度センサ9の検知温度Taと操作部31で設定される庫内設定温度Tsとの比較に応じて圧縮機1の運転を制御する制御手段。
(2)温度センサ25の検知温度に応じて、開閉弁6の開放による蒸発器4の除霜、およびヒータ23の発熱によるドレンの凍結防止をそれぞれ制御する制御手段。この制御手段は、具体的には、温度センサ25の検知温度Tedが設定値T1未満の場合に開閉弁6を開放して除霜を開始し且つヒータ23を動作して凍結防止を開始する手段と、この開始後、温度センサ25の検知温度Tedが設定値T2(>T1)以上になるとヒータ23を動作したまま圧縮機1を停止し且つ開閉弁6を閉成して除霜を終了する手段と、この終了後、温度センサ25の検知温度Tedが設定値T3(>T2)以上になるとヒータ23を停止して凍結防止を終了する手段とからなる。
【0022】
つぎに、上記の構成の作用を図5、図6、図7を参照しながら説明する。図5は制御のフローチャート、図6は検知温度Tedと設定値T1,T2,T3との関係を示す図、図7は圧縮機1・開閉弁6・ヒータ23の動作を示すタイムチャートである。
【0023】
通常の運転では、開閉弁6が閉成され(ステップ101)、ヒータ23が通電オフされる(ステップ102)。そして、庫内温度センサ9の検知温度Taが庫内設定温度Ts以上であれば圧縮機1が運転され、検知温度Taが庫内設定温度Ts未満に下がると圧縮機1が停止(中断)される。
【0024】
圧縮機1の運転時(ステップ104)、温度センサ25の検知温度Tedが設定値T1未満の状態にあれば(ステップ105のYES)、制御部30においてタイムカウントtが開始される(ステップ106)。そして、このタイムカウントtが一定時間t1とが比較される(ステップ107)。検知温度Tedが設定値T1以上になると(ステップ105のNO)、タイムカウントtがクリアされる(ステップ108)。
【0025】
タイムカウントtが一定時間t1に達すると(ステップ107のYES)、蒸発器4が着霜しているとの判断の下に、圧縮機1が運転のまま(ステップ109)、開閉弁6が開放され(ステップ110)、ヒータ23が通電オンされる(ステップ111)。開閉弁6が開放することにより、圧縮機1から吐出される高温冷媒がバイパス管5を通って蒸発器4に直接的に供給される。この供給により、蒸発器4に付着している霜や氷片が解けてドレンパン21に落下する。また、ヒータ23の通電オンにより、ヒータ23が発熱動作してドレンパン21が加熱される。この加熱により、ドレンパン21に落下したドレン(霜や氷片など)の凍結を防ぐことができ、そのドレンを排水管22を通じて確実に排出することができる。ドレンパン21内にすでにドレンがあってそのドレンが凍結していた場合には、その凍結したドレンが溶解して排水管22により外に排出される。
【0026】
この除霜時、温度センサ25の検知温度Tedと設定値T2(>T1)とが比較される(ステップ112)。
蒸発器4の除霜が進み、温度センサ25の検知温度Tedが設定値T2以上になると(ステップ112のYES)、蒸発器4の着霜が無くなったとの判断の下に、圧縮機1が停止され(ステップ113)、開閉弁6が閉成される(ステップ114)。ヒータ23の通電オンは継続される(ステップ115)。
【0027】
圧縮機1が停止されて開閉弁6が閉成されることにより、蒸発器4の除霜が終了となる。この除霜終了後、温度センサ25の検知温度Tedと設定値T3(>T2)とが比較される(ステップ116)。
【0028】
ヒータ23の発熱動作は継続しているので、温度センサ25の検知温度Tedは上昇方向に変化する。この検知温度Tedが設定値T3以上になると(ステップ116のYES)、ステップ101からの通常運転に復帰する。すなわち、ヒータ23が通電オフされて凍結防止制御が終了となる(ステップ102)。
【0029】
以上のように、蒸発器4の冷媒出口部およびドレンパン21の内底面の両方に接する状態に伝熱部材24を設け、その伝熱部材24に1つの温度センサ25を取付けることにより、その1つの温度センサ25で、蒸発器4の冷媒出口部の温度およびドレンパン21の内底面の温度をそれぞれ検知することができる。つまり、1つの温度センサ25を除霜制御および凍結防止制御に兼用することができ、よって従来に比べて温度センサの個数を削減することができ、コストの低減が図れる。
【0030】
伝熱部材24は熱伝導性が良い部材で成形されており、しかもドレンパン21が熱伝導性の良い金属製であるから、温度検知の精度が高くなり、除霜制御および凍結防止制御の信頼性が向上する。
【0031】
蒸発器4の着霜の有無については、温度センサ25の検知温度Tedと設定値T1,T2との比較により監視し、その監視に基づいて除霜の開始と終了を決定する構成であるから、蒸発器4の着霜状態に応じた温度変化を実験等で確かめて設定値T1,T2に反映させておくことにより、蒸発器4の除霜制御を適切に行うことができる。
【0032】
除霜開始と同時にヒータ23が動作してドレンパン21が加熱されるので、蒸発器4からドレンパン21に落下するドレンの凍結を防ぐことができ、またドレンパン21内ですでに凍結しているドレンを溶解することができ、これらドレンをドレンパン21から排水管22を通じて確実に排出することができる。
【0033】
除霜終了後も引き続きヒータ23が動作するので、除霜終了後に蒸発器4から落下するドレンについても、凍結することなく、ドレンパン21から排水管22を通じて確実に排出することができる。
【0034】
除霜終了後、ヒータ23の動作に基づくドレンパン21の温度上昇を温度センサ25の検知温度Tedと設定値T3との比較により監視し、その監視に基づいてヒータ23を停止する構成であるから、ドレンパン21の温度上昇の最適値を実験等で確かめ、その最適値をヒータ通電終了条件として設定値T3に反映させておくことにより、ドレンの凍結を確実に防止できることはもちろん、ドレンパン21の温度およびその周辺温度が不要に上昇して庫内温度に悪影響を与えるというような不具合はまったく生じない。
【0035】
[2]この発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態における伝熱部材24を蒸発器4に一体構造として組込むようにしている。すなわち、蒸発器4の端板4aが金属製の熱伝導性の良い部材で形成されており、その端板4aがドレンパン21側に延びてドレンパン21の内底面に面接触して固定されている。すなわち、端板4aが蒸発器4をドレンパン21上に支持する支持部材として兼用されている。そして、端板4aの所定箇所に温度センサ25が取付けられている。
【0036】
なお、蒸発器4の反対側の端板4aも、ドレンパン21側に延びてドレンパン21の内底面に固定され、蒸発器4をドレンパン21上に支持している。
他の構成、作用、効果は第1の実施形態と同じである。
【0037】
なお、上記各実施形態では、冷凍車の車両用空気調和機に搭載される冷凍装置を例に説明したが、店舗の冷蔵ショーケースに搭載される冷凍装置についても同様に実施することができる。
その他、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば蒸発器の除霜およびドレンパン上のドレンの凍結防止を1つの温度センサで適切に行うことができる冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の全体的な構成を示す図。
【図2】 第1の実施形態における伝熱部材とその周辺部の具体的な構成を示す図。
【図3】 第1の実施形態における伝熱部材とその周辺部の具体的な構成を示す斜視図。
【図4】 各実施形態における蒸発器、蒸発器用ファン、ドレンパンの関係を示す斜視図。
【図5】 各実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図6】 各実施形態における検知温度Tedと設定値T1,T2,T3との関係を示す図。
【図7】 各実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図8】 第2の実施形態における伝熱部材とその周辺部の具体的な構成を示す図。
【図9】 第2の実施形態における伝熱部材とその周辺部の具体的な構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…凝縮器、4…蒸発器、5、バイパス管、6…開閉弁、9…庫内温度センサ、10…凝縮器ユニット、20…蒸発器ユニット、21…ドレンパン、23…電気ヒータ、24…伝熱部材、25…温度センサ、30…制御部

Claims (3)

  1. 圧縮機から吐出される冷媒を凝縮器および蒸発器に通して圧縮機に戻す冷凍サイクルと、
    前記圧縮機から吐出される冷媒を除霜用として前記蒸発器に導くバイパス路と、
    前記バイパス路に設けられた開閉弁と、
    前記蒸発器から落下するドレンを受けて排出するドレンパンと、
    前記ドレンパンを加熱するヒータと、
    前記蒸発器および前記ドレンパンに接する伝熱部材と、
    前記伝熱部材に取付けられ、前記伝熱部材の温度を検知する温度センサと、
    前記温度センサの検知温度に応じて、前記開閉弁の開放による前記蒸発器の除霜、および前記ヒータの発熱による前記ドレンパン上のドレンの凍結防止を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする冷凍装置。
  2. 請求項1に記載の冷凍装置において、
    前記制御手段は、前記温度センサの検知温度Tedが設定値T1未満の場合に前記開閉弁を開放して除霜を開始し且つ前記ヒータを動作して凍結防止を開始する手段と、この開始後、前記温度センサの検知温度Tedが設定値T2(>T1)以上になると前記ヒータを動作したまま前記圧縮機を停止し且つ前記開閉弁を閉成して除霜を終了する手段と、この終了後、前記温度センサの検知温度Tedが設定値T3(>T2)以上になると前記ヒータを停止して凍結防止を終了する手段と、を備えている。
  3. 請求項1に記載の冷凍装置において、
    前記伝熱部材は、前記蒸発器の冷媒出口部および前記ドレンパンの両方に接する熱伝導性の良い部材、または前記蒸発器と一体構造を有し前記ドレンパン側に延びて同ドレンパンに接する熱伝導性の良い部材である、
    前記ドレンパンは、熱伝導性の良い金属製である、
    ことを特徴とする冷凍装置。
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