JP5262425B2 - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

この発明は、耐衝撃性能及びその他の性能がバランスよく改良されたゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂に関するものである。
スチレンモノマーにポリブタジエンを添加してラジカル重合して得られる共重合体は、ポリスチレンの持つ優れた特性に加えて耐衝撃も改良された耐衝撃性ポリスチレン系樹脂として広く知られている。この耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を製造するために用いられるゴム変性剤としては、一般にはアルキルリチウムを触媒として1,3−ブタジエンを重合して得られるシス−1,4構造が30〜35%、ビニル構造が10〜20%であり、トランス−1,4構造が50〜60%である低シスポリブタジエン(以下、低シスBR)とコバルト、チタン或いはニッケル系触媒により1,3−ブタジエンを重合して得られるシス−1,4構造が90〜98%、ビニル構造が1〜5%であり、トランス−1,4構造が1〜5%である高シスポリブタジエン(以下、高シスBR)がある。
一方、本出願人により、例えば、特開平10−139835号公報(特許文献1)、特開平10−152535号公報(特許文献2)、特開平10−218949号公報(特許文献3)、特開平10−273574号公報(特許文献4)などには、ゴム変性剤として、シス−1,4構造が65〜95%であり、1,2構造が30〜4%であるメタロセン触媒で製造された高シス−高ビニルBR(以下、HC−HVBR)を用いた耐衝撃性ポリスチレン樹脂が報告されている。
高シスBRの特徴はガラス転移温度(通常−95〜−110℃)が低いため低温特性に優れるものの、低ビニル構造含有量に起因するためにスチレンモノマーとの反応性(グラフト率)が低く、高シスBRを用いて得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、アイゾット衝撃性に優れるがゴム粒子の小粒径化(光沢性)・面耐衝撃性(デュポン衝撃性)の点で十分満足できるものではない。他方、低シスBRはガラス転移温度(通常−75〜−95℃)が高く、高ビニル構造含有量に起因するためスチレンモノマーとの反応性(グラフト率)が高く、低シスBRを用いて得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂はゴム粒子の小粒径化・面耐衝撃性が優れるものの、アイゾット衝撃性・低温特性の点で十分満足できるものではない。
一方、高シス−高ビニルBR(以下、HC−HVBR)を耐衝撃性ポリスチレン用ゴムに使用することによって、高シスBRの特性を保持し、且つ低シスBRの特性を保持したBRの開発が強く望まれている。高ビニル構造に起因するスチレンモノマーとの反応性は低シスBRと同等であり、このHC−HVBRを用いて得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、光沢性と面衝撃性が優れると共に高シス−1,4構造含有率に由来するガラス転移温度の低さからアイゾット耐衝撃性、低温特性も優れるという従来の高シスBRと低シスBRの特性を併せ持つゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂が得られることが開示されている。
しかしながら、組成などの条件によっては、スチレンモノマーとの反応性及びゴム粒子径などが制御しにくい場合があり、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性バランスなどの諸物性の向上の点から、改良が望まれる場合があった。
特開平10−139835号公報 特開平10−152535号公報 特開平10−218949号公報 特開平10−273574号公報
本発明は、上記のスチレンモノマーとの反応性、耐衝撃性(アイゾット・デュポン)、難燃性などの諸物性を同時に改良した耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム状ポリマーを含有するゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物において、該ゴム状ポリマーが、(a)トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0以上4.5以下であり、メタロセン触媒で製造された高シス-高ビニルポリブタジエン(ミクロ構造中のシス−1,4−構造と1,2−構造の比が70/15〜87.6/11.1)20〜80重量%と(b)トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0以上4.4以下であるシス−1,4構造が65%以下のポリブタジエン80〜20重量%とからなるポリブタジエン組成物であり、該(a)及び(b)からなるポリブタジエン組成物の25℃で測定した5%スチレン溶液粘度が10〜1,000の範囲であることを特徴とするゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物に関する。
前記(a)高シス−高ビニルポリブタジエンの前記固有粘度が1.0以上4.5未満であり、前記(b)ポリブタジエンの前記固有粘度が1.0以上2.4以下であることが好ましい。
また、該(a)高シス-高ビニルポリブタジエンのシス−1,4構造が70〜90%であり、ビニル構造が15〜7%であることが好ましい。
また、該メタロセン触媒が、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンからなる触媒であることが好ましい。
本発明により、特定のポリブタジエン組成物をゴム成分として用いることにより、耐衝撃性などを改良することができる。
本発明の(a)高シス-高ビニルポリブタジエンについて説明する。高シス−高ビニルポリブタジエンゴム(HC−HVBR)は、好ましくは、ミクロ構造中のシス−1,4−構造ユニット含有率が65〜95モル%、特に好ましくは70〜90モル%、及び好ましくは1,2−構造ユニット含有率が4〜30モル%であり、特に好ましくは5〜25モル%、より好ましくは7〜15モル%である。また、トランス−1,4−構造ユニット含有率が5モル%以下が好ましく、0.5〜4.0モル%が特に好ましい。
また、25℃で測定した5%スチレン溶液粘度が10〜1,000の範囲であることが好ましい。
高シス-高ビニルポリブタジエンは、トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0〜7.0、好ましくは、1.5〜5.0であるポリブタジエンである。
上記のHC−HVBRは、例えば、
(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンから得られる触媒を用いて、ブタジエンを重合させて製造できる。
あるいは、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、
(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、
(C)周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物、及び、
(D)水
から得られる触媒を用いたブタジエンを重合させて製造できる。
(A)成分の遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、周期律表第4〜8族遷移金属化合物のメタロセン型錯体が挙げられる。
例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期律表第4族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpTiClなど)、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体、クロムなどの第6族遷移金属メタロセン型錯体、コバルト、ニッケルなどの第8族遷移金属のメタロセン型錯体が挙げられる。
中でも、周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体が好適に用いられる。
上記の周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、
(1) RM・La、すなわち、シクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+1の周期律表第5族遷移金属化合物
(2) R MX2−n ・La、すなわち、少なくとも1個のシクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物
(3) R MX3−n ・La
(4) RMX ・La
(5) RM(O)X ・La
(6) R MX3−n (NR' )
などの一般式で表される化合物が挙げられる(式中、nは1又は2、aは0,1又は2である)。
中でも、RM・La、R MX2−n ・La、R M・La、RMX ・La 、RM(O)X ・La などが好ましく挙げられる。
Mは、周期律表第5族遷移金属化合物が好ましい。
(A)周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、中でも、Mがバナジウムであるバナジウム化合物が好ましい。例えば、RV・La、RVX・La、R M・La、RMX ・La 、RMX ・La 、RM(O)X ・La などが好ましく挙げられる。特に、RV・La、RMX ・Laが好ましい。
RMX・Laで示される具体的な化合物としては、以下のものが挙げられるシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。
RM(O)Xで表される具体的な化合物としては、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、ベンジルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライドなどが挙げられる。
(B)成分として、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−トなどが挙げられる。
一方、カチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。
また、(B)成分として、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R‘)O−) n で示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R' は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/ 又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R' として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。
(A)成分及び(B)成分に、さらに(C)成分として周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物を組合せて共役ジエンの重合を行ってもよい。(C)成分の添加により重合活性が増大する効果がある。周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
上記の触媒各成分の組合せとして、(A)成分としてシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド(CpVCl)などのRMX、あるいは、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド(CpV(O)Cl)などのRM(O)X、(B)成分としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、(C)成分としてトリエチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムの組合せが好ましく用いられる。
また、(B)成分としてイオン性化合物を用いる場合は、(C)成分として上記のアルモキサンを組み合わせて使用してもよい。
触媒成分の添加順序は、特に、制限はない。
また、本発明においては、触媒系として 更に、(D)成分として水を添加することが好ましい。(C)成分の有機アルミニウム化合物と(D)成分の水とのモル比(C)/(D)は、好ましくは0.66〜5であり、より好ましくは0.7〜1.5である。
また重合時に、必要に応じて水素を共存させることができる。
ここで重合すべきブタジエンモノマ−とは、全量であっても一部であってもよい。モノマ−の一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマ−あるいは残部のモノマ−溶液と混合することができる。
重合方法は、特に制限はなく、溶液重合、又は、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒として用いる塊状重合などを適用できる。トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。
本発明においての分子量を調節する方法としては、上記の触媒を用いて、水素などの連鎖移動剤の存在下にブタジエンを重合させることが挙げられる。
上記のポリブタジエンは、重合反応が所定の重合率を達成した後、遷移金属触媒を添加し、反応させることによってポリマー鎖を変性することにより、コールドフローを改善させた変性ポリブタジエンを用いてもよい。
遷移金属触媒における遷移金属化合物としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物、バナジウム化合物、クロム化合物、マンガン化合物、鉄化合物、ルテニウム化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、パラジウム化合物、銅化合物、銀化合物、亜鉛化合物などが挙げられる。中でも、コバルト化合物が特に好ましい。
本発明の遷移金属触媒は、遷移金属化合物、有機アルミニウム、および水からなる系であることが好ましい。
本発明の(b)成分は、トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0〜7.0であるシス−1,4構造が65%以下、好ましくは50%の以下のポリブタジエンである。
上記の(b)成分のポリブタジエンは、重合触媒としては、アルキルリチウムなどの有機アルカリ金属触媒などの低シスポリブタジエン製造用の公知の触媒系を用いた重合で製造できる。例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム触媒などである。
上記の(a)成分と(b)成分の混合割合は、(a)20〜80重量%と(b)80〜20重量%である。好ましくは、(a)25〜75重量%と(b)75〜25重量%である。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造法としては、ゴム状ポリマーの存在下にスチレン系モノマーの重合を行う方法が採用され、塊状重合法や塊状懸濁重合法が経済的に有利な方法である。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレン、クロルスチレンのようなハロゲン置換スチレンなど、従来ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物製造用として知られているスチレン系モノマーの1種又は2種以上の混合物が用いられる。これらのなかで好ましいのはスチレンである。
製造時に必要に応じて上記ゴム状ポリマーの他に、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン、エチレン−酢酸ビニル、アクリル系ゴムなどを上記ゴム状ポリマーに対して50重量%以内併用することができる。又、これらの方法によって製造された樹脂をブレンドしてよい。更に、これらの方法によって製造されたゴム変成ポリスチレン系樹脂組成物を含まないポリスチレン系樹脂を混合して製造してもよい。上記の塊状重合法として1例を挙げて説明すると、スチレンモノマーにゴム状ポリマーを溶解させ、場合によっては溶剤、分子量調節剤、重合開始剤などを添加して、10〜40%のスチレンモノマー転化率までゴム状ポリマーを分散した粒子に転化させる。このゴム粒子が生成するまではゴム相が連続相を形成している。更に重合を継続してゴム粒子として分散相になる相の転換(粒子化工程)を経て50〜99%の転化率まで重合して耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が製造される。
この発明で言うゴム状ポリマーの分散粒子(ゴム粒子)は、樹脂中に分散された粒子で、ゴム状ポリマーとポリスチレン系樹脂よりなり、ポリスチレン系樹脂はゴム状ポリマーにグラフト結合したり、或いはグラフト結合せずに吸蔵されている。この発明で言うゴム状ポリマーの分散粒子の径として0.5〜7.0μmの範囲、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲のものが好適に製造できる。
この発明において上記のスチレン系モノマーとゴム状ポリマーとを主体とする原料溶液は完全混合型反応器において重合されるが、完全混合型反応器としては、原料溶液が反応器において均一な混合状態を維持するものであればよく、好ましいものとしてはヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、アンカーなどの型の攪拌翼が挙げられる。ヘリカルリボンタイプの攪拌翼にはドラフトチューブを取り付けて、反応器内の上下循環を一層強化することが好ましい。
この発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物には、製造時や製造後に適宜必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、各種充填剤及び各種の可塑剤、高級脂肪酸、有機ポリシロキサン、シリコーンオイル、帯電防止剤や発泡剤、難燃剤などの公知添加剤を添加してもよい。この発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることはできるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野で使用される射出成形に好適である。
例えばカラーテレビ、ラジカセ、ワープロ、タイプライター、ファクシミリ、VTRカセット、電話器などのハウジングの家電・工業用及び包装材料・食品容器等に用いられるフィルム・シート用途などの広範な用途に用いることができる。又、高シス−高ビニルポリブタジエンは自動車タイヤ用途やゴルフボール・靴底などの非タイヤ用途にも使用できる。
ミクロ構造:赤外吸収スペクトル分析法によって、Hampton法より求めたシス−1,4構造;740cm-1,ビニル構造;911cm−1,トランス−1,4構造;967cm−1の分子吸光係数からミクロ構造を算出した。
ムーニー(ML)粘度は、JIS−K−6300に規定されている測定方法に従って測定した。
St−cpは、5gのゴム状ポリマーを95gのスチレンモノマーに溶解した時の25℃における溶液粘度を測定し、センチポイズ(cp)で示した。
固有粘度([η])は、ポリマーのトルエン溶液を使用して、30℃で測定した。
グラフト率:1gのゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂をメチルエチルケトン/アセトン=1/1(重量比)の混合液50ミリリットルに加えて1時間、激しく攪拌し、溶解・膨潤させる。次に遠心分離機にて不溶解分を沈降させた後、デカンテーションで上澄液を捨てる。このようにして得られたメチルエチルケトン/アセトン不溶解分を50℃で減圧乾燥して、デシケーター中で冷却後、秤量してメチルエチルケトン/アセトン不溶解分(MEK/AC−insol.g)を求めて、ゴム状ポリマー含有率から算出したゴム状ポリマー量(Rg)から、グラフト率を算出した。グラフト率=[MEK/AC−insol.(g)−R(g)]×100/R(g)
膨潤度:トルエン50ミリリットルにゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂1gを1時間、激しく攪拌し、溶解・膨潤させる。次に遠心分離機にて不溶解分を沈降させた後、デカンテーションで上澄液を捨てる。沈降した部分の重量(膨潤した未乾燥重量)を測定した後、100℃で真空乾燥しデシケーター中で冷却後、秤量して、膨潤時/乾燥時の重量比で示した。
ゴム粒子径:耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物をジメチルフォルムアミドに溶解させ、樹脂中のマトリックスを形成するポリスチレン部分のみを溶解させ、その溶液の一部を日科機製のコールターカウンター装置、TA−2型を使って溶媒ジメチルフォルムアミドと分散剤チオシアン酸アンモニウムからなる電解液に分散させて、得られた体積平均粒子径をゴム粒子径とした。
アイゾット(Izod)衝撃強度:JIS K7110(ノッチ付)に従って測定した。
デュポン(Dupont)衝撃強度:デュポン式落錘試験機による50%破壊エネルギーで示した。
引張特性:JIS K7113に従って降伏点強度、破断点強度、伸びを測定した。
(参考例1〜3)(a)高シス−高ビニルポリブタジエンの製造)
窒素置換した攪拌機付5Lのオートクレーブに30wt%の1.3−ブタジエンを含有するトルエン溶液(1.3−ブタジエン:814g)3.5Lを仕込んで攪拌する。次いで、水素ガスを導入して0.092kgG/cm圧力だけ高くした。30℃で3分かけてトリエチルアルミニウム2.25mmolを、次いでトリチルテトラ(パーフルオロフェニル)ボレート0.039mmol、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド0.026mmolを連続して添加し、重合温度40℃で30分間重合を行った。
重合後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含有するエタノールとへプタンの当量混合液を注入して反応を停止させた後、溶媒を蒸発させ乾燥した。
重合条件を変えることにより、分子量の異なるポリマーを得た。得られたポリマーの結果を、表1に示した。
(参考例4〜6)((b)低シスポリブタジエンの製造)
アルカリ金属触媒を用いて、公知の方法で製造した。
重合条件を変えることにより得られたポリマーの結果を、表1に示した。
(参考例7〜32)
参考例1〜6で得られたポリブタジエンを表2の組成で混合し、高シス-高ビニルポリブタジエンを得た。
〔実施例1〕
攪拌機付1.5リットルのオートクレーブを窒素ガスで置換し、スチレン465gと表に示す参考例で製造したPBサンプルの3gを加えて溶解した。次いでn−ドデシルメルカプタン0.15gを加えて、135℃で表に示した条件で攪拌しながらスチレンの転化率が30%になるまで1時間半予備重合した。次に、この予備重合液に0.5wt%ポリビニルアルコール水溶液500ミリリットルを注入し、ベンゾイルパーオキサイド1.0g(0.2重量部)及びジクミルパーオキサイド1.0g(0.2重量部)を加えて100℃で2時間、125℃で3時間、140℃で2時間攪拌下に連続的に重合した。室温に冷却して重合反応混合物からビーズ状のポリマーをろ過し、水洗・乾燥した。これを押出機でペレット化して耐衝撃性スチレン系樹脂450gを得た。難燃剤15重量部(難燃剤;デカブロモジフェニルエーテル21.2g,三酸化アンチモン7.1g)をドライブレンドした後、押出・射出成形して試験片を作り、物性を測定し表3,4に示した。
(実施例2〜9)(比較例1〜13)
条件を変えて、得られたゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の結果を表3,4に示した。
Figure 0005262425
Figure 0005262425
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Claims (4)

  1. ポリスチレン系樹脂がグラフト結合したゴム状ポリマーを含有するゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物において、該ゴム状ポリマーが、
    (a)トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0以上4.5以下であり、メタロセン触媒で製造された高シス−高ビニルポリブタジエン(ミクロ構造中のシス−1,4−構造と1,2−構造の比が70/15〜87.6/11.1)20〜80重量%と、
    (b)トルエン中30℃で測定した固有粘度が1.0以上4.4以下であるシス−1,4構造が65%以下のポリブタジエン80〜20重量%と、からなるポリブタジエン組成物であり、
    該(a)及び(b)からなるポリブタジエン組成物の25℃で測定した5%スチレン溶液粘度が10〜1,000センチポイズ(cp)の範囲であることを特徴とするゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物。
  2. 前記(a)高シス−高ビニルポリブタジエンの前記固有粘度が1.0以上4.5未満であり、前記(b)ポリブタジエンの前記固有粘度が1.0以上2.4以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物。
  3. 該(a)高シス−高ビニルポリブタジエンのシス−1,4構造が70〜90%であり、ビニル構造が15〜7%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物。
  4. 該メタロセン触媒が、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンからなる触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物。
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