JP5255266B2 - 新規なα−ガラクトオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Geobacillus thermocatenulatusに属する菌株由来のα-ガラクトシダーゼを利用して、スクロースとガラクトースを含む原料から高濃度のα−ガラクトオリゴ糖を製造するα−ガラクトオリゴ糖の製造方法に関するものである。
近年、食生活・社会生活が多様化する中で、健康に対する意識向上から消費者の食品や食品素材等への関心が高まっている。その中で、ラフィノースやスタキオース、プランテオースなどに代表される末端にα−ガラクトシル結合を有するオリゴ糖、すなわち、α−ガラクトオリゴ糖が、腸内細菌叢を改善する等の機能を有することが認められ、飲食品や医薬品、香粧品等あるいは、その原料として注目を浴びている。最近では、いくつかのα−ガラクトオリゴ糖は、免疫腑活作用やアトピー性皮膚炎に対しても有用であることが明らかとなってきている。
これらα-ガラクトオリゴ糖は豆類、ナタネ、ゴマ、綿実など植物の種子、キュウリやメロンなどウリ科植物の他、さとうきび、蜂蜜、キャベツ、じゃがいも、ぶどう、麦類、とうもろこしなど天然に広く分布しており、現在、ほとんどのα−ガラクトオリゴ糖は上記の植物から抽出されている。例えば、ラフィノースは、ビート糖製造の際の副産物として回収されているが、ビート中のラフィノース含有量は0.1%程度に過ぎず、生産量は、主生産物である砂糖の生産量にも関わってくるため、ラフィノース増産には限界がある。
また、ラフィノース以外のα−ガラクトオリゴ糖に関しても、天然界の植物中存在比率は低く、スタキオースはダイズの成熟種子中に約5〜15%程度含まれる炭水化物のうち約4%、プランテオースは黒ゴマ中に存在するが、含有量は約0.23%と非常に低い。従って、このような有用特性をもつα−ガラクトオリゴ糖を安価に安定的に市場へ供給するために、天然からの抽出品のみでなく、安価な原料からの合成品が求められている。
これまでに試みられている、実験的あるいは工業的なα−ガラクトオリゴ糖の合成方法としては、α−ガラクトシダーゼの糖転移作用を利用したもの、あるいはα−ガラクトシダーゼの加水分解反応の逆反応である脱水縮合反応を利用したものが挙げられる。α−ガラクトシダーゼの糖転移作用を利用する方法としては、スクロースをガラクトース受容体とし、メリビオースやラフィノースをガラクトース供与体として用いてラフィノースやスタキオース、ベルバスコースなどのα−ガラクトオリゴ糖を得る方法(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)が挙げられる。ガラクトース供与体としてはこの他にもp−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを利用する方法(例えば、非特許文献3参照)、ガラクチノールを利用する方法(例えば、特許文献2参照)、UDP−ガラクトースを利用する方法(例えば、特許文献3参照)、ガラクトビオースを利用する方法(例えば、特許文献4参照)などが報告されている。しかしながら、いずれの場合にせよ安価にガラクトース供与体を大量供給できないという問題があった。
一方、脱水縮合反応を利用した方法としては、安価なスクロースとガラクトースを原料とした例がいくつか報告されている(非特許文献4〜5および特許文献3参照)。
特許第2688854号 特開平10−84973 特開2001−321179 特公平8−24592 Agric.Biol.Chem.,52(9),2305−2311,1988 Biosci.Biotech.Biochem.,59(4),619−623,1995 Phytochemistry,18,35−38,1979 Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi, 38(8),722−728,1991 Carbohydr. Res., 185, 139−146, 1989
脱水縮合反応を利用した場合、熱力学的には不利な反応であるものの、糖転移反応に比べ安価な基質が利用できるため工業性を考えた場合に有利である。
しかし、これまでに試みられている脱水縮合反応を利用した製造方法は、全て精製酵素を用いた反応であるため、酵素の精製工程が必要となり、プロセスが非常に煩雑なものとなってしまう。これらの問題を解決するために未精製の酵素を利用すると、微生物内の夾雑酵素の影響により、生成物中に目的とするα−ガラクトオリゴ糖以外の夾雑オリゴ糖が大量に生成してしまい、最終製品からの夾雑オリゴ糖の分離が困難になるだけでなく、夾雑酵素による原料の浪費といった問題が生じる。従って、従来の技術においては、複雑なプロセス工程を経なければ、α−ガラクトオリゴ糖のみを選択的に得ることは不可能であった。
また、脱水縮合反応に使用されている酵素そのものも様々な問題を抱えており、工業性を満足する酵素は提供されてこなかった。具体的には、酵素の熱安定性、α−ガラクトオリゴ糖の蓄積能、有用であると言われるラフィノースやプランテオースの選択性などのいずれか一つ以上に問題があった。
本発明は、こうした状況のもとに、安価な原料を用い、煩雑な酵素精製を必要とせず、選択的にα−ガラクトオリゴ糖を高蓄積可能なα-ガラクトオリゴ糖の製造方法を提供することを目的とするものである。
これらの課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らはこれまでα-ガラクトシダーゼ持つことが知られていなかったGeobacillus thermocatenulatusに属する菌株が非常に高い耐熱性を示し、且つ、α−ガラクトオリゴ糖を高濃度蓄積可能なα-ガラクトシダーゼを持つことを発見した。また、さらには、本微生物を用いた場合、酵素の精製工程を経ることなく、選択的にα−ガラクトオリゴ糖を製造できることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)に示すα−ガラクトオリゴ糖の製造方法である。
(1) Geobacillus thermocatenulatus に属する菌株由来のα-ガラクトシダーゼを利用して、スクロースとガラクトースを含む原料からα−ガラクトオリゴ糖を製造するα−ガラクトオリゴ糖の製造方法
(2) α−ガラクトオリゴ糖がラフィノースおよび/またはプランテオースを含有することを特徴とする、(1)に記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
(3) α−ガラクトシダーゼがGeobacillus thermocatenulatus AKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255), AKC−014株(受託番号FERM P−21256)およびAKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255), AKC−014株(受託番号FERM P−21256)を親株として得られる変異株由来のものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
(4) 生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率が35%以上である、(1)から(3)の何れかに記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
(5) 生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率が80%以上である、(1)から(4)の何れかに記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
(6)Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255), AKC−014株(受託番号FERM P−21256)およびAKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255), AKC−014株(受託番号FERM P−21256)を親株として得られる変異株
本発明を用いることにより、安価な基質を原料とし、酵素精製といった煩雑な工程を経ることなく、選択的にα−ガラクトオリゴ糖を高濃度蓄積可能なα-ガラクトオリゴ糖の製造方法を提供できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明におけるα−ガラクトオリゴ糖とは、α−ガラクトシル基を分子内に有するスクロースとガラクトースを原料として得られる三糖以上のオリゴ糖であり、例えば、ラフィノース、スタキオース、ベルバスコース、アジュゴース、プランテオースなどが挙げられる。本発明を利用した場合、特にラフィノースおよび/またはプランテオースを選択的に製造することができ、反応系中にそれらα−ガラクトオリゴ糖を4.5%(w/v)以上蓄積可能である。また、生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率を35%以上に向上することができ、より好ましい条件では80%以上に向上することができる。α−ガラクトオリゴ糖の含有率が低い場合、生成物からのα−ガラクトオリゴ糖の精製が著しく困難となるだけでなく、基質であるスクロースあるいはガラクトースの無駄な消費も重大な問題となる。本発明において使用されるガラクトースは、ガラクトースそのものを利用しても良いし、UDP−ガラクトースや、その他ガラクトシル基を有する化合物等から製造されるガラクトースを利用することもできる。
また、本発明における夾雑オリゴ糖とは、分子内にα−ガラクトシル基を有しない三糖以上のオリゴ糖であって、例えば、マルトトリオース、イソマルトトリオース、メレジトース、パノース、イソパノース、セロトリオース、ゲンチアノース、ケストース、エルロース、ラクトシルスクロースなどが挙げられる。
α−ガラクトオリゴ糖の製造に用いるα−ガラクトシダーゼは、通常行われる培養方法によって得られるものを使用できる。α−ガラクトシダーゼは微生物から精製したものを用いることもできるが、工業的な実用性を考慮して、酵素精製を行わずに、微生物そのもの、あるいは微生物培養液、微生物培養上清を利用することができる。一方、培養法により得られた微生物は必要に応じて、水や緩衝液等で洗浄した後、利用することもできる。例えば、培養した微生物の培養液、または遠心分離、バッファーによる洗浄等により得た微生物懸濁液、微生物または微生物の処理物(例えば微生物の破砕物等)を懸濁または溶解させた水溶液、あるいは微生物、微生物処理物または精製酵素を包括法、架橋法、又は担体結合法によって固定化したものを用いることができる。固定化する際の固定化担体の例としては、ガラスビーズ、シリカゲル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いる微生物としては、Geobacillus thermocatenulatus に属する微生物であればどのようなものを用いてもよく、スクロースとガラクトースからα−ガラクトオリゴ糖を合成する活性を有する任意の微生物を用いることができる。好ましくは、Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株, AKC−012株, AKC−013株, AKC−014株が挙げられる。また、本発明における微生物は、Geobacillus thermocatenulatusに属する微生物を親株として得られる変異株であってもかまわない。Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株, AKC−012株, AKC−013株, AKC−014株はそれぞれ、平成19年3月14日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。受託番号は以下の通りである。
AKC-011株(FERM P−21253)
AKC-012株(FERM P−21254)
AKC-013株(FERM P−21255)
AKC-014株(FERM P−21256)
Geobacillus thermocatenulatusに属する微生物を親株として得られる変異株としては、公知の変異処理を施された変異株を用いることができる。ここでいう公知の変異処理とは、Geobacillus thermocatenulatusに属する微生物を、必要であれば紫外線照射やニトロソグアニジンのような変異誘発剤を使用し、変異誘導処理し、それらの菌株からα-ガラクトシダーゼ活性が高い菌株を選ぶ処理のことである。変異誘導処理に用いる微生物としては、親株としてGeobacillus thermocatenulatus AKC−011株, AKC−012株, AKC−013株, AKC−014株を用いることが好ましい。
本発明に用いる微生物の培養方法としては、通常の通気攪拌培養あるいは固体培養が用いられ、一般的に行われている微生物の培養方法が適応できる。培地としては、当該微生物が良好に生育し且つ、微生物中のα−ガラクトシダーゼを順調に生産するために必要な炭素源、窒素源、無機塩、必要な栄養源等を含有する合成培地または天然培地が挙げられる。例えば、炭素源としては、グルコース、グリセロール、スクロース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、スタキオース、セロビオース、エルロース、有機酸、大豆粕、澱粉、オリーブ油、大豆油等を用いることができる。窒素源としては、例えば、硫安、硝安、尿素、アミノ酸、アミン類、アンモニア、各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、その他含窒素化合物、ペプトン、トリプトン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、綿実粕、コーンスティープリカー、および大豆粕等があげられる。また、無機塩類としては、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸鉄、炭酸カルシウム等が用いられる。培養温度は25〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜65℃、さらに好ましくは50〜60℃である。また、培地の初期pHは3〜9が好ましく、より好ましくは4.5〜7.5である。さらに、培養中のpHは広範囲で調整可能であり、pH3〜9で培養可能である。
本発明におけるα−ガラクトオリゴ糖を製造するには、脱水縮合反応の性質上、原料濃度は高い方が好ましいが、ガラクトース濃度が高くなりすぎるとガラクトースの分子内縮合によりスクロースとガラクトース間の脱水縮合反応が抑制されるため好ましくない。スクロース濃度は30%(w/v)〜90%(w/v)にするのが好ましい。ガラクトース濃度は2%(w/v)〜45%(w/v)にするのが好ましく、より好ましくは、5%(w/v)〜35%(w/v)にするのが好ましい。
反応温度は、20〜90℃、より好ましくは40〜80℃であり、さらに好ましくは50〜70℃である。反応温度が20℃未満である場合、反応速度が極めて小さく、90℃を超える温度領域では酵素活性の失活が早く大量の微生物触媒を要するため好ましくない。反応pHは広範囲で調整可能であり、好ましくはpH2.0〜10.0、より好ましくはpH3.0〜8.5、さらに好ましくはpH4.0〜7.0である。反応pHが2.0未満、あるいは10.0より大きい場合、触媒の失活が著しく早くなるため好ましくない。反応時間は微生物触媒の使用量によっても異なるが、工業的利用を考慮した際、好ましくは通常20分〜360時間、より好ましくは、1〜200時間である。しかしながら、本発明は以上の反応条件や反応形態に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
本発明において得られるα−ガラクトオリゴ糖は以下の方法により測定される。
[α−ガラクトオリゴ糖の含有率の測定方法]
α−ガラクトオリゴ糖合成反応終了後、反応液を25倍希釈して、99℃で10分間保持することで反応を停止した。反応停止後、遠心分離により微生物を除去し、得られた反応溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)より分析した。
HPLC分析条件
カラム:Hypercarbカラム
カラム温度:60℃
流量:0.5ml/min
溶離液:蒸留水950mLとアセトニトリル50mLと蟻酸5mLの混合液
検出器:RI
生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率は、HPLC分析チャートに検出された各々のピーク面積比から(α−ガラクトオリゴ糖のピーク面積)/(生成三糖以上オリゴ糖のピーク面積)×100により算出した。
[α−ガラクトオリゴ糖蓄積濃度の測定方法]
α−ガラクトオリゴ糖合成反応終了後、反応液を25倍希釈して、99℃で10分間保持することで反応を停止した。反応停止後、遠心分離により微生物を除去し、得られた反応溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)より分析した。反応溶液中のラフィノース蓄積濃度およびプランテオース蓄積濃度は、ラフィノースを標品として作成した検量線(面積−糖濃度%(w/v))を元に、算出した。
HPLC分析条件
カラム:Hypercarbカラム
カラム温度:60℃
流量:0.5ml/min
溶離液:蒸留水950mLとアセトニトリル50mLと蟻酸5mLの混合液
検出器:RI
[α−ガラクトシダーゼ活性の測定方法]
α−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法としては、例えば、2.67mMのp−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを含むpH5.0の100mM酢酸ナトリウム緩衝液450μLに適宜調整した酵素液150μLを混合し、40℃で10分間程度反応させた後、1Mの炭酸ナトリウム水溶液1mLに添加して酵素を失活させ、反応を停止する。得られた溶液の着色度を波長420nmの吸収を測定し、各濃度のp−ニトロフェノールで作製した検量線を用いて濃度を算出する。また、酵素活性は上記条件下で1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uとして評価する。
α−ガラクトシダーゼの熱安定性は各温度条件下に一定時間さらした後に、α―ガラクトシダーゼ活性を測定することにより評価することができる。
本発明の方法により製造されるラフィノースやプランテオース等のα−ガラクトオリゴ糖を精製、分離する方法としては、一般的に用いられている精製処理方法を利用することができる。すなわち、例えば、遠心分離、MF膜やUF膜等による膜処理、フィルタープレス等により微生物触媒を除き、陽イオン交換クロマトグラフィーや陰イオン交換クロマトグラフィー等のクロマト処理や透析等の脱塩処理により緩衝液や培地等から持ち込まれる塩類等を除去し、さらに、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、活性炭クロマトグラフィー等のクロマト処理や溶解度の差等を利用した結晶化処理、その他の常法に従ってα−ガラクトオリゴ糖を分離、精製することができる。クロマト処理はこれらの方法を単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良く、移動層方式や擬似移動層方式、多成分分離擬似移動層方式、多成分分離循環方式等を適宜利用することができる。これらの分離、精製方法を利用した場合、α−ガラクトオリゴ糖をその他の夾雑オリゴ糖成分から分離することができるだけではなく、様々な結合形態あるいは異なる分子量を有する複数のα−ガラクトオリゴ糖類を分離することもできる。これらのα−ガラクトオリゴ糖の精製、分離処理方法は、バッチ式で行っても良いしカラムを利用するなどして連続的に行っても良い。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株(受託番号FERM P−21253:寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)をTBAB(Tryptose Blood Agar Base)プレート (DIFCO)で、55℃、24時間培養してコロニーを形成させる。その1白金耳を培地−A(表.1参照) 100mLを500mL容三角フラスコに分注したものに接種して、55℃、150rpmで28時間培養した。
本培養28時間後、培養菌体10mL分を15mL容チューブに回収した。培養液を回収した15mL容チューブを10,000rpmで遠心後、上清を除去した。次に、100mM酢酸Na buffer(pH5)を1mL添加し、再懸濁した後、懸濁液を2mL容ポリプロピレン製チューブに移した。再度、チューブを遠心し、上清を除去した後、糖液(pH5.0の100mM酢酸ナトリウム緩衝液にスクロース66.7%、ガラクトース20%を含む)を300μL添加し、菌体をボルテックスミキサーでよく懸濁させ、糖合成反応をスタートした。本糖合成反応は反応温度60℃、回転数1200rpmで行った。糖合成反応開始93時間後に、反応液40μLを回収し、蒸留水960μLとよく混合し、99℃で10分間酵素の熱失活を行った。本希釈糖液を常温に戻した後、HPLC分析(Hypercarbカラム)した結果を、図1に示した。図1におけるPeak−1およびPeak−2に対応する画分を分取し、13C−NMRで解析した結果、Peak−1はプランテオース、Peak−2がラフィノースに対応することを確認した。α−ガラクトオリゴ糖蓄積濃度は5.5%(w/v)(ラフィノース濃度が2.8%、プランテオース濃度が2.7%)であった。生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率は84%であった。
実施例2
Geobacillus thermocatenulatus AKC−012株(受託番号FERM P−21254:寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)をTBAB(Tryptose Blood Agar Base)プレート (DIFCO)で、55℃、24時間培養してコロニーを形成させる。その1白金耳を培地−A(表.1参照) 100mLを500mL容三角フラスコに分注したものに接種して、55℃、150rpmで28時間培養した。
本培養28時間後、培養菌体10mL分を15mL容チューブに回収した。培養液を回収した15mL容チューブを10,000rpmで遠心後、上清を除去した。次に、100mM酢酸Na buffer(pH5)を1mL添加し、再懸濁した後、懸濁液を2mL容ポリプロピレン製チューブに移した。再度、チューブを遠心し、上清を除去した後、糖液(pH5.0の100mM酢酸ナトリウム緩衝液にスクロース66.7%、ガラクトース20%を含む)を300μL添加し、菌体をボルテックスミキサーでよく懸濁させ、糖合成反応をスタートした。本糖合成反応は反応温度60℃、回転数1200rpmで行った。糖合成反応開始93時間後に、反応液40μLを回収し、蒸留水960μLとよく混合し、99℃で10分間酵素の熱失活を行った。本希釈糖液を常温に戻した後、HPLC分析(Hypercarbカラム)した結果、α−ガラクトオリゴ糖蓄積濃度は5.8%(w/v)(ラフィノース濃度が3.0%、プランテオース濃度が2.8%)であった。生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率は84%であった。
実施例3
Geobacillus thermocatenulatus AKC−013株(受託番号FERM P−21255:寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)をTBAB(Tryptose Blood Agar Base)プレート (DIFCO)で、55℃、24時間培養してコロニーを形成させる。その1白金耳を培地−A(表.1参照) 100mLを500mL容三角フラスコに分注したものに接種して、55℃、150rpmで26時間培養した。
本培養26時間後、培養菌体10mL分を15mL容チューブに回収した。培養液を回収した15mL容チューブを10,000rpmで遠心後、上清を除去した。次に、100mM酢酸Na buffer(pH5)を1mL添加し、再懸濁した後、懸濁液を2mL容ポリプロピレン製チューブに移した。再度、チューブを遠心し、上清を除去した後、糖液(pH5.0の100mM酢酸ナトリウム緩衝液にスクロース66.7%、ガラクトース20%を含む)を300μL添加し、菌体をボルテックスミキサーでよく懸濁させ、糖合成反応をスタートした。本糖合成反応は反応温度60℃、回転数1200rpmで行った。糖合成反応開始167時間後に、反応液40μLを回収し、蒸留水960μLとよく混合し、99℃で10分間酵素の熱失活を行った。本希釈糖液を常温に戻した後、HPLC分析(Hypercarbカラム)した結果、α−ガラクトオリゴ糖蓄積濃度は5.0%(w/v)(ラフィノース濃度が2.6%、プランテオース濃度が2.4%)であった。生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率は83%であった。
実施例4
実施例1に記載の方法で得られるGeobacillus thermocatenulatus AKC−011株の菌体を100mM酢酸Na buffer(pH5)に懸濁して、4℃および50℃で2時間インキュベートを行い、それぞれα−ガラクトシダーゼ活性測定を行った。活性測定は、100mM酢酸Na buffer(pH5)に溶解させた2.67mMのp−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシド450μLに、各温度でインキュベートした菌液150μLを混合し、40℃で10分間反応させた。反応後、遊離されたp−ニトロフェノールを定量することで活性を測定し、4℃および50℃でインキュベートした菌液の活性を算出した。4℃でインキュベートした菌体活性を100とすると、50℃でインキュベートした菌体の活性は97という高い値を示し、Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株のα−ガラクトシダーゼが非常に高い耐熱性を示すことが明らかとなった。
比較例1
Geobacillus thermodenitrificans DSM13147株(寄託機関; Deutsche Sammlung Von Mikroorganismen Und Zellkulturen)をTBAB(Tryptose Blood Agar Base)プレート (DIFCO)で、55℃、24時間培養してコロニーを形成させる。その1白金耳を培地−B(表.2参照) 100mLを500mL容三角フラスコに分注したものに接種して、55℃、150rpmで31時間培養した。
本培養2日後、培養菌体10mL分を15mL容チューブに回収した。培養液を回収した15mL容チューブを10000rpmで遠心後、上清を除去した。次に、100mM酢酸Na buffer (pH5.0)を1mL添加し、再懸濁した後、懸濁液を2mL容ポリプロピレン製チューブに移した。再度、チューブを遠心し、上清を除去した後、糖液(pH5.0の100mM酢酸ナトリウム緩衝液にスクロース62.5%、ガラクトース12.5%を含む)を300μL添加し、菌体をボルテックスミキサーでよく懸濁させ、糖合成反応をスタートした。本糖合成反応は反応温度60℃、回転数1200rpmで行った。糖合成反応開始39時間後に、反応液40μLを回収し、蒸留水960μLとよく混合し、99℃で10分間酵素の熱失活を行った。本希釈糖液を常温に戻した後、HPLC分析(Hypercarbカラム)した結果を図2に示した。α−ガラクトオリゴ糖蓄積濃度は0.70%(w/v)(ラフィノース濃度が0.30%、プランテオース濃度が0.40%)であった。生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率は25%であった。
比較例2
Geobacillus stearothermophilus AKC−001株
(受託番号FERM P−21089:寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)をTBAB(Tryptose Blood Agar Base)プレート (DIFCO)で、55℃、24時間培養してコロニーを形成させる。その1白金耳を培地−B(表.2参照) 100mLを500mL容三角フラスコに分注したものに接種して、55℃、150rpmで28時間培養した。
上記によって得られた菌体を実施例5に記載した方法で、熱安定性試験を行った。実施例4と同様に、4℃でインキュベートした菌体活性を100とすると、50℃でインキュベートした菌体の活性は80であり、Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株のα−ガラクトシダーゼより低い熱安定性を示した。
比較例3
Green coffee beans由来α−ガラクトシダーゼ(SIGMA−ALDRICH製)を用いて実施例4に記載した方法で、熱安定性試験を行った。実施例4と同様に、4℃でインキュベートしたα−ガラクトシダーゼの活性を100とすると、50℃でインキュベートしたα−ガラクトシダーゼの活性は50であり、Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株のα−ガラクトシダーゼより低い熱安定性を示した。
本発明を用いることにより、安価な基質を原料として用いて、煩雑な酵素精製工程を行わずに、選択的にα−ガラクトオリゴ糖を製造できるα−ガラクトオリゴ糖の製造方法を提供する。
図1は、Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株を用いた糖合成反応(実施例1)の反応液をHPLC分析した結果を示す。 図2は、Geobacillus thermodenitrificans DSM13147株を用いた糖合成反応(比較例1)の反応液をHPLC分析した結果を示す。

Claims (6)

  1. Geobacillus thermocatenulatus に属する菌株由来のα−ガラクトシダーゼを利用して、スクロースとガラクトースを含む原料からα−ガラクトオリゴ糖を製造するα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
  2. α−ガラクトオリゴ糖がラフィノースおよび/またはプランテオースを含有することを特徴とする、請求項1に記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
  3. α−ガラクトシダーゼがGeobacillus thermocatenulatus AKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255)およびAKC−014株(受託番号FERM P−21256)のいずれかに由来することを特徴とする、請求項1又は2に記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
  4. 生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率が35%以上である、請求項1から3の何れかに記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
  5. 生成物オリゴ糖中のα−ガラクトオリゴ糖含有率が80%以上である、請求項1から4の何れかに記載のα−ガラクトオリゴ糖の製造方法。
  6. Geobacillus thermocatenulatus AKC−011株(受託番号FERM P−21253), AKC−012株(受託番号FERM P−21254), AKC−013株(受託番号FERM P−21255)およびAKC−014株(受託番号FERM P−21256)のいずれかの菌株。
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