JP5254167B2 - ポリラジカル化合物 - Google Patents
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Description
このように、従来、一般的に用いられているラジカルポリマーは、効率的に製造されるものではなかった。
本発明のポリラジカル化合物は、下記一般式(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選ばれる少なくとも一種で表される構造単位(X)と、下記一般式(viii)及び(ix)からなる群から選ばれる少なくとも一種で表される3〜6価の基である構造単位(Y)とが、化学的に結合していることを特徴とする。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が例示できる。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基が例示できる。
R1及びR2としては、前記アルコキシ基が好ましい。
また、「・」はラジカルであり、構造単位(X)はラジカル部位を有するものである。
また、前記一般式(i)、(ii)及び(iii)において、Zは前記式(iv)又は前記一般式(vii)で表されるものが好ましい。
R4はメチル基又は水酸基である。
Aはそれぞれ独立して前記一般式(x)で表される二価の基である。すなわち、前記一般式(viii)及び(ix)において、複数のAはすべて同一でも異なっていても良く、一部が同一であっても良い。
R7は水素原子又はメチル基である。ただし、一般式(x)中の酸素原子は、一般式(viii)及び(ix)中のAに隣接するメチレン基を構成する炭素原子に結合し、一般式(x)中のメチレン基を構成する炭素原子は、一般式(viii)及び(ix)中のAに隣接する酸素原子に結合する。
o及びpはそれぞれ独立して0又は1であり、m及びrはそれぞれ独立して0以上の整数であり、n及びqはそれぞれ独立して1以上の整数であり、m+n+o及びp+q+rは3である。
aは0〜10の整数であり、0〜6であることが好ましく、0〜3であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
ここで化合物(A)とは、構造単位(X)のうち、構造単位(Y)との間で結合を形成している炭素原子が、構造単位(Y)に代わり水素原子と結合した化合物であり、下記一般式(i’)、(ii’)又は(iii’)で表される化合物である。そして、マイケル付加反応において求核種として作用する化合物であり、前記水素原子は、マイケル付加反応で活性なものであって、この活性な水素原子が結合している炭素原子又は窒素原子が、前記化合物(B)との反応部位となる。
また、化合物(B)とは、構造単位(Y)のうち、構造単位(X)との間で結合を形成している炭素原子が、構造単位(X)と結合する代わりに、また、該炭素原子に隣接する炭素原子が水素原子と結合する代わりに、これら炭素原子間で二重結合を形成した化合物であり、下記一般式(viii’)又は(ix’)で表される化合物である。そして、前記二重結合は、マイケル付加反応における活性不飽和基であり、化合物(A)との反応部位となる。
例えば、前記一般式(i’)又は(ii’)で表される化合物(A)を製造する場合には、ラジカル部位を有する化合物として、前記一般式(i’)又は(ii’)において、カルボニル基に隣接する酸素原子の代わりに水酸基がZに結合したアルコール類又はフェノール類が例示できる。そして、活性な水素原子を有する化合物として、前記一般式(i’)又は(ii’)において、Zの代わりにアルキル基が、カルボニル基に隣接する酸素原子に結合したカルボン酸エステルが例示できる。これらアルコール類又はフェノール類と、カルボン酸エステルとを反応させて、エステル交換反応を行うことで、容易に化合物(A)を製造できる。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。
前記環状のアルキル基は、単環構造及び多環構造のいずれでも良いが、炭素数が5〜10であることが好ましく、5〜7であることがより好ましい。より具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデカニル基等が例示できる。
前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
前記強塩基の触媒(C)は、二つの前記アルキル基又はアリール基が環構造を形成した単環構造でも良いし、三つの前記アルキル基又はアリール基が環構造を形成した多環構造でも良い。
また、水素原子を置換している前記アルキル基又はアリール基の総数は、3であることが好ましい。
前記トリアルキルホスフィンにおける三つのアルキル基は、すべて同一でも良いし、すべて異なっていても良く、二つが同一でも良い。
前記トリアルキルホスフィンの触媒(C)としては、好ましいものとして、トリシクロペンチルホスフィン、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリ−n−デシルホスフィン、トリ−n−ドデシルホスフィン、トリステアリルホスフィン等が例示できる。これらの中でも、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリ−n−ドデシルホスフィンが特に好ましい。
なかでも本発明においては、化合物(A)中の活性な水素原子二つあたりの、化合物(B)中の活性不飽和基の数が、好ましくは1/5〜5、より好ましくは1/3〜3となるように、化合物(A)及び化合物(B)の使用比率を調整することが好ましい。
なお、本明細書においては、触媒(C)の存在下、化合物(A)及び化合物(B)を反応させてなる硬化物である化合物を「ポリラジカル化合物」と称し、化合物(A)、化合物(B)及び触媒(C)等を混合した、マイケル付加反応し得る組成物、すなわち反応(硬化)前の組成物を「硬化性組成物」と称する。
好ましい反応方法としては、室温で所定時間反応させ、次いで加熱下でさらに所定時間反応させる方法が例示できる。なかでも、室温での反応は、15〜30℃で0.5〜6時間行うことが好ましく、18〜25℃で1〜4時間行うことがより好ましい。そして、加熱下での反応は、60〜100℃で0.5〜6時間行うことが好ましく、70〜90℃で1〜4時間行うことがより好ましい。
反応は、溶媒共存下で行うことが好ましい。この時の溶媒は、化合物(A)、化合物(B)等の反応に必要な各成分と反応しないものから適宜選択すれば良い。好ましい反応溶媒として具体的には、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の脂肪族又は芳香族系炭化水素;クロロホルム等のハロゲン系炭化水素;酢酸エチル等のエステル類;エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が例示できる。
加熱下での硬化は、60〜100℃で0.5〜18時間行うことが好ましく、70〜90℃で1〜16時間行うことがより好ましい。反応させる成分によっては、このように加熱硬化させた後、さらに、昇温して硬化を行っても良く、この場合、100〜140℃で0.5〜6時間行うことが好ましく、110〜130℃で1〜4時間行うことがより好ましい。また、加熱下での硬化の前に、あらかじめ室温で硬化を行っても良く、この場合、15〜30℃で12〜36時間行うことが好ましく、18〜25℃で18〜30時間行うことがより好ましい。
前記金属酸化物としては、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等のマンガン酸リチウム又はスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;MnO2;LiCoO2;LiNiO2;LiyV2O5(0<y<2);オリビン系材料であるLiFePO4;スピネル構造中のMnの一部を他の遷移金属で置換した材料であるLiNi0.5Mn1.5O4、LiCr0.5Mn1.5O4、LiCo0.5Mn1.5O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.33Mn0,33Co0.33O2、LiNi0.8Co0.2O2、LiN0.5Mn1.5−zTizO4(0<z<1.5)等が例示できる。
併用する他の電極活物質は、一種でも良いし、二種以上でも良い。
前記他の電極活物質の形状は特に限定されず、例えば、金属リチウムでれば薄膜状、バルク状、粉末を固めたもの、繊維状、フレーク状等が例示できる。
前記他の電極活物質としては、金属リチウム又はグラファイトが好ましい。
併用する他の電極活物質は、一種でも良いし、二種以上でも良い。
前記導電付与剤としては、活性炭、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維等の炭素材料;ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子が例示できる。これらのなかでも、炭素繊維が好ましい。さらに炭素繊維としては、50nmから300nmの平均繊維径を有するものが好ましい。
前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダが例示できる。
結着剤は、単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
電極中の結着剤の含有量は、5〜30質量%であることが好ましい。
前記触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子;ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物;金属イオン錯体等が例示できる。
触媒は、単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
電極中の触媒の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。
また、集電体に触媒効果を付与したり、電極活物質と集電体とを化学結合させたりしても良い。
前記電解質としては、例えば、電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用できる。
前記電解質塩としては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等が例示できる。これら電解質塩は、単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
固体電解質として使用する高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリロニトリル系重合体;ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらの(メタ)アクリレート体やメタクリレート体の重合体等が例示できる。
これらの固体電解質は、電解液を含有させ、ゲル状にして使用しても良いし、前記電解質塩を併用しても良い。
前記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ソーダ等が例示できる。
増粘剤は、単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
電極中の増粘剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。
(原料の製造)
下記式(10)で表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテートを、以下のように合成した。
1H−NMR (500MHz、CDCl3、ヒドロキシルアミン体);δ(ppm): 5.18 (m, 1H, COOCH), 3.45 (s, 2H, COCH2CO), 2.29 (s, 3H, COCH3), 1.97 (d, 2H, CH2), 1.58 (d, 2H, CH2), 1.26 (d, 12H, CH3)。13C−NMR (500MHz、CDCl3、ヒドロキシルアミン体) δ(ppm);207.0 (COCH3), 166.6 (CH2CO), 70.0 (OCHCH2), 67.5 (COCH2CO), 60.4 (NC(CH3)2), 43.3 (OCHCH2),31.0 (C(CH3)2), 30.3 (COCH3), 20.5 (C(CH3)2)。
質量分析(m/z): [M+1] : 256; 計算値 256.15
元素分析値(Found): C, 60.9; H 8.6 N, 5.5%.理論値(Calcd): C, 60.9; H 8.6 N, 5.5%
ESRシグナルg=2.0062積分値よりラジカルの定量的な保持を確認した。
(ポリラジカル化合物の製造(1))
ポリラジカル化合物を、以下の手順で熱硬化により製造した。
元素分析値(Found): C, 60.9; H 7.9 N; 2.3%, 理論値(Calcd): C, 60.7; H 7.8 N; 2.5%
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(1))
ポリラジカル化合物の薄膜を、以下の手順により集電体基板上に形成した。
製造例1で製造した2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート500mg、トリメチロールプロパントリアクリレート385mg及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン9mgを混合した硬化性組成物を、バーコーター(番手#3)でグラッシーカーボン電極基板(ニラコ社製 GC−20S)上に塗布した。そして、24時間静置し、80℃で2時間加熱して硬化させ、前記反応式(III)で表わされる反応の生成物であるポリラジカル化合物の薄膜を製造した(質量2.8mg、塗布面積2cm2)。
元素分析値は下記の通りであり、理論値とほぼ一致した。
元素分析値(Found): C, 60.9; H 7.9 N; 2.3%, 理論値(Calcd): C, 60.7; H 7.8 N; 2.5%
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の製造(2))
トリメチロールプロパントリアクリレート385mgの代わりに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート458mgを用いたこと以外は、実施例1と同様に反応及び処理を行い、下記反応式(IV)で表わされる反応の生成物であるポリラジカル化合物を製造した(収量928g、収量96%)。
元素分析値は下記の通りであり、理論値とほぼ一致した。
元素分析値(Found): C, 59.5; H 7.5 N; 3.1%, 理論値(Calcd): C, 59.7; H 7.5 N; 3.2%
(ポリラジカル化合物の製造(3))
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル171mg、ペンタエリスリトールテトラアクリレート198mg及び塩化マグネシウム3.5mgを混合した硬化性組成物を、実施例2と同様の方法で、80℃で12時間加熱し、次いで120℃で2時間加熱して硬化させ、下記反応式(VI)で表わされる反応の生成物であるポリラジカル化合物を製造した。
元素分析値は下記の通りであり、理論値とほぼ一致した。
元素分析値(Found): C, 61.5; H 8.9 N; 7.1%, 理論値(Calcd): C, 61.9; H 8.8 N; 7.6%.
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(2))
製造例1で得られた2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート500mg、トリメチロールプロパントリアクリレート385mg及び1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン9mgを混合した硬化性組成物から、実施例2と同様の方法で薄膜電極を製造した。
実施例2と同様の方法で測定セルを作製し、薄膜電極の電気化学応答をサイクリックボルタンメトリーにより測定した。測定セルのサイクリックボルタモグラムの積分値から算出した酸化還元容量は48mAh/gであった。すべてのラジカルが充放電に関与した場合の充放電容量密度は59mAh/gであるため、充放電に関与したラジカルの割合は81%であった。
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(3))
製造例1で得られた2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート500mg、トリメチロールプロパントリアクリレート385mg及びテトラメチルグアニジン9mgを混合した硬化性組成物から、実施例2と同様の方法で薄膜電極を製造した。
実施例2と同様の方法で測定セルを作製し、薄膜電極の電気化学応答をサイクリックボルタンメトリーにより測定した。測定セルのサイクリックボルタモグラムの積分値から算出した酸化還元容量は51mAh/gであった。すべてのラジカルが充放電に関与した場合の充放電容量密度は59mAh/gであるため、充放電に関与したラジカルの割合は86%であった。
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(4))
4−(ビス(4−メトキシフェニル)アミノ)ベンジル アセトアセテート200mgとトリメチロールプロパントリアクリレート94mgを混合し、50℃で撹拌して溶解させ、室温に戻し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン6mgを混合した硬化性組成物から、実施例2と同様の方法で、下記反応式(VII)で表わされる反応の生成物であるポリラジカル化合物の薄膜を製造した。
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(5))
製造例1で得られた2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート500mg、トリメチロールプロパントリアクリレート385mg、トルエン0.85mL及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン9mgを混合した硬化性組成物に、炭素フェルト電極(日本カーボン社製、GF−20、10×10×2mm)を10秒間浸漬して引き上げた。24時間静置し、80℃で2時間加熱して硬化させた(薄膜質量23.2mg/フェルト質量23.5mg)。
得られた薄膜の電気化学応答を、サイクリックボルタンメトリーにより測定した。より具体的には、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを支持電解質としてアセトニトリル溶液中において、薄膜を作製した炭素フェルト電極を作用極、炭素フェルト電極を対極、Ag/AgClを参照極として、得られた薄膜について、0〜1.5V vs.Ag/AgClの範囲を1mV/sの掃引速度で測定した。その結果、アノード側0.75Vに酸化還元波が現れ、繰り返し掃引してもピーク電流値は減少せず、極めて安定であった。サイクリックボルタモグラムの積分値から算出した酸化還元容量は49mAh/gであった。すべてのラジカルが充放電に関与した場合の充放電容量密度は59mAh/gであるため、充放電に関与したラジカルの割合は83%であった。
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造(6))
製造例1で得られた2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート256mg、ペンタエリスリトールテトラアクリレート176mg及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン5mgを混合した硬化性組成物を、実施例2と同様の方法で硬化し、薄膜電極を形成した。
得られたポリラジカル化合物の薄膜のFT−IRスペクトルを図5に示す。
実施例2と同様の方法で測定セルを作製し、薄膜電極の電気化学応答をサイクリックボルタンメトリーにより測定した。測定セルのサイクリックボルタモグラムの積分値から算出した酸化還元容量は53mAh/gであった。すべてのラジカルが充放電に関与した場合の充放電容量密度は62mAh/gであるため、充放電に関与したラジカルの割合は85%であった。
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
(ポリラジカル化合物の塗膜の製造)
製造例1で得られた2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル アセトアセテート200mg、トリメチロールプロパントリアクリレート77mg、ブタンジオールジアクリレート77mg及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン 3.5mgを混合した硬化性組成物を、実施例2と同様の方法でグラッシーカーボン電極基板(ニラコ社製、GC−20S)上に塗布して硬化させ、下記反応式(V)で表わされる反応の生成物であるポリラジカル化合物の薄膜を製造した。
元素分析値は下記の通りであり、理論値とほぼ一致した。
元素分析値(Found): C, 60.2; H 7.9 N; 3.1%, 理論値(Calcd): C, 60.8; H 7.9 N; 3.0%.
以上より、ポリラジカル化合物の薄膜は、優れた充放電特性を示し、二次電池の正極として機能することが確認できた。
下記式(18)で示される4−メタクロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル 240mg(1.00mmol)を、エタノ−ル中、アゾビスイソブチロニトリル8.2mg(0.05mmol)を開始剤として、70℃で二時間攪拌し、ラジカル重合を試みた。しかし、重合体は全く得られなかった。
Claims (1)
- 下記一般式(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選ばれる少なくとも一種で表される構造単位(X)と、下記一般式(viii)及び(ix)からなる群から選ばれる少なくとも一種で表される3〜6価の基である構造単位(Y)とが、化学的に結合していることを特徴とするポリラジカル化合物。
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