JP5253962B2 - 耐磨耗性ライニング層の製造方法および複合シリンダ - Google Patents

耐磨耗性ライニング層の製造方法および複合シリンダ Download PDF

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Description

本発明は、遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法およびその製造方法によって得られる複合シリンダに関する。
射出モールド等において、耐磨耗性内周面を備えたシリンダ部材の要求がある。射出モールドにおいて、樹脂をスクリューで搬送する場合、搬送官となるシリンダの内周面に高い耐磨耗性が要求される。このようなシリンダは、鋼材からなる中空円筒状のシリンダ母材の内面に耐磨耗性と耐食性とを有する合金材料を遠心鋳造法によりライニングして製造することが多い。
円筒状金型内に溶融金属を注入し、高速で回転させながら遠心力で円筒内面にライニング層を形成する。樹脂成形機用シリンダ内面等、磨耗、腐食の激しい部分にライニング層を設けることができる。Ni基、Co基自溶合金を主成分とする粉末を円筒状基材内に装填し、基材ごと加熱し、装填粉末を溶融させた後、遠心鋳造する。この方法は、耐磨耗性に優れたライニング層を比較的容易に作成でき、溶射、肉盛溶接に比べると製造コストを低くすることができる。
特開平6−122137号は、遠心鋳造法によりライニング加工する際、シリンダ母材のFeがライニング層を形成する合金材料へ侵入し、ライニング層の硬度を低下させ、耐食性を劣化させる問題、熱間等方加圧(HIP)プロセスを用いても、耐磨耗性、耐食性をさらに向上させるため合金成分を多量に配合したり、耐磨耗成分を多量に添加する場合、偏析や分散性のために必ずしも耐磨耗性や耐食性の要求を満足できない問題、耐磨耗性のため硬質粒子であるWCを5〜60重量%添加すると、ライニング層の強度の低下が著しく大きくなる問題等を指摘し、Cr,Bを含むCo合金粉末100重量部にWB粉末を3〜50重量部分散させた粉末をHIPプロセスにより、シリンダ母材の内面上に加圧焼結することを提案する。
特開平7−290186号は、高硬度化が可能な熱間静水圧プレスより安価な遠心鋳造法によっても、耐磨耗性、耐食性に優れ、高硬度を有するライニングを形成できるライニング材として、球状の形状をもち、平均粒径を調整した炭化タングステン粒子を分散したライニング材を提案する。ライニング材は、炭化タングステン30〜45重量%、鉄8〜25重量%等を含むNi−Co系材料であり、炭化タングステンは平均粒径6〜12μmの球状粉末である。得られるライニング層は、炭化タングステンの体積率が25〜45%、炭化タングステン粒子間隔が平均自由工程として8〜20μmである。
特開2004−174578号は、円筒状内周面を有する筒体の内周面に自溶合金を遠心鋳造する際、溶湯中にセラミックス微粒子を分散させ、内周面位置に20〜50Gの遠心力が生じる回転速度で遠心鋳造を行い、低比重の微粒子を内径側に反遠心集積させ、凝固することで低比重の微粒子が内径側に集積した内面被覆を得ることを提案する。
特開平6−122137号公報 特開平7−290186号公報 特開2004−174578号公報 遠心鋳造法は、溶湯を金型に流し込み、遠心力をかけて円筒状に仕上げる性質上、外周側から凝固し、徐々に内周側に凝固面が移動する。シリンダ内面にライニング層を形成する場合、シリンダ基材とライニング層との界面から内径部に向かって柱状晶(デンドライト)が成長し易い。柱状晶が中心部から放射状に向いているため、柱状晶に沿って割れが生じやすい。また、耐磨耗性遠心鋳造材料として自溶合金が用いられることが多いが、Cr、Bを含む自溶合金を用いると、CrB共晶組織が成長し、割れの起点となることがある。
本発明の1つの目的は、遠心鋳造法により、耐磨耗性、耐食性に優れ、割れの発生を抑制したライニング層を製造する方法およびそのようなライニング層を備えた複合シリンダを提供することである。
本発明の他の目的は、Cr,Bを含む自溶合金を用いた場合にも、長い針状組織の成長を抑制し、微細領域が分散するライニング層を製造する方法およびそのようなライニング層を備えた複合シリンダを提供することである。
本発明の1観点によれば、
(a)B、Crを含むCo基またはNi基の自溶合金粉末にWBまたはMoBを含む硼化物粉末を添加した混合粉末を準備する工程と、
(b)前記混合粉末を基材となるシリンダ内に装填する工程と、
(c)前記シリンダを加熱し、前記混合粉末を溶融する工程と、
(d)前記シリンダを周方向に回転させ、溶融した材料に遠心力を印加する工程と、
(e)前記シリンダを降温させ、ライニング層を形成する工程と、
を含む遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法
が提供される。
本発明の他の観点によれば、
内周面を有する基材シリンダと、
前記内周面上に形成された耐磨耗性ライニング層であって、Co基またはNi基自溶合金中にWBまたはMoBを含む硼化物の微細領域が分散し、長さ100μm以上の針状組織は存在しないライニング層と、
を有する複合シリンダ
が提供される。
B,Crを含むCo自溶合金粉末にWB粉末を混合して、基材となるシリンダ中に装填し、遠心鋳造を行なうと、ライニング層中、特に基材との界面部分、膜厚中央部分において、柱状晶ないし針状組織の成長が抑制されることが実験的に判明した。この柱状晶ないし針状組織の抑制現象は、B,Crを含むCo基またはNi基の自溶合金粉末に、WBまたはMoBを含む粉末を混合した時に得られるであろう。
本発明者らは、特願2008−182501号、特願2008−190626号において、例えばFeを主成分とする基材上にB,Crを含むNi自溶合金を溶射する場合を想定し、熱力学的自由エネルギの計算により硼化物を作る傾向が、W>Fe>Cr>Niであることを確認した後、Bによって融点を下げたCo基、又はNi基の自溶合金粉末とWまたはMo粉末を混合した混合粉末を溶射し、溶射層をアニール(フュージング)処理することにより、W又はMoとBを反応させ、WBまたはMoBを微細領域として析出させ、BがWまたはMoと反応することにより自溶合金中のB組成を下げ、結果として融点を上昇させることを提案した。
遠心鋳造の場合は、溶湯が維持される必要がある。Wを添加すると、反応時に直ちに融点が上昇してしまい、溶融しない可能性が大きい。B、Crを含む自溶合金の遠心鋳造においてCrBの柱状晶ないし針状組織の成長は抑制したい。そこで、耐磨耗性の高いWB粉末またはMoB粉末を分散させ、CrBの柱状晶ないし針状組織の成長を抑制すると共に、耐磨耗性を向上することを考えた。以下、Co基自溶合金粉末にWB粉末を混合した混合粉末を用いる場合を例にとって説明する。なお、Co基自溶合金にBと共に硼化物形成傾向の高いMoを添加し、Bと反応して硼化物を形成できるようにした。単体のWやMoを粉末として添加するのではなく、自溶合金中に少量のMoを添加するので、Moは自溶合金中に溶融する。
図1A−1Eは、実験した遠心鋳造の主要工程を概略的に示す断面図である。
図1Aは、基材に用いた鋼鉄製円筒部材1を示す。ライニング層を形成して内径32mmの複合円筒部材を作成するため、内径34.5mmの円筒部材1を用いた。円筒部材の長さは、1600mmであった。
図1Bに示すように、Co基自溶合金粉末とWB粉末を混合して混合粉末を形成し、円筒部材1の内部に、混合粉末2を2720g装填した。装填する混合粉末の分量は、仕上がり径に合わせて決定した。2720gは、内径32mmのライニング層を形成するのに十分な分量である。
図2は、考察の対象とした混合粉末の組成を示す表である。WB粉末の添加量1〜25重量%を考察対象とする。残部がCo基自溶合金であり、Co基自溶合金の組成は、Cr:15〜30重量%、Mo:1〜10重量%、B:3〜5重量%、Si:3重量%以下、Cu:2重量%以下、Co:残部である。Si,Cuは、目的に応じて省略することもある。例として、組成が、Co−3.4B−21Cr−2Si−1Cu−5Moである自溶合金粉末を準備した。なお、数値は重量%を示す。
図1Cに示すように、混合粉末2を装填した円筒部材1をガス炉中1200℃以上に加熱し、混合粉末を溶融する。円筒部材1内部にはArガスを流し、混合粉末、溶湯の酸化を防止する。加熱中、円筒部材1を3rpmで円周方向に回転して、円筒部材の加熱温度を均一化し、溶湯を均一化する。溶融状態を目視で観察する。
図1Dに示すように、自溶合金粉末が完全に溶融した後、遠心鋳造装置に円筒部材を移動して、円筒部材1を高速で円周方向に回転する。100G程度の遠心力が印加されるように回転速度2290−2300rpmで円筒部材1を回転して遠心鋳造工程を行った。この段階で加熱は停止し、自然冷却が開始する。800℃に冷却したら水冷を行ない、500℃に達したら保冷庫に移動し、さらに空冷する。円筒部材1の内周には、凝固したライニング層3が形成される。
図1Eに示すように、ライニング層3の内径側を機械加工し、所定の内径(32mm)に仕上げる。高い耐磨耗性と耐食性を有するライニング層を備えた複合シリンダが製造される。
図1Dに示す、仕上げ加工前のサンプルを用い、ライニング層内の組織を厚さ方向位置を変えて観察した。作成したサンプルは、上述の組成の自溶合金に、10重量%のWB粉末を添加した。比較のため、WB粉末を添加しない比較サンプルも作成し、同様に観察した。
図3Aに示すように、円筒部材を周方向に2分割してライニング層3を露出し、実態顕微鏡を用いて、各サンプルのライニング層3を深さ位置を変えて観察した。
図3B,3Cが、それぞれWB粉末を添加しない比較サンプル及びWB粉末を添加したサンプルの観察像であり、上側から表面(内径側)部分、中央部分、基材との界面近傍の3位置の観察像を示す。各観察像において右下に20μmのスケールが示されている。観察は表面側から次第に掘り下げて行なったが、ライニング層の凝固は界面上から上方に進行する。そこで界面近傍から順に上方に向かって考察する。
図3Bに示す比較例においては、下段の界面近傍において、細長い針状組織(針状領域)が無数に存在していることが観察される。柱状晶のCrB組成と考えられる。長いものは長さ100μmを超える。図3B中段に示す中央部、上段に示す内径部においては、みじかい針状組織が多く観察され、長さ100μm程度の針状の柱状晶も数多く分布している。
図3Cに示すWBを添加したサンプルにおいては、下段の界面近傍において、長さ100μmにも達する針状組織は見当たらず、不定形の微細領域が支配的である。長さ40μm程度以下の細長い組織が不定形領域と重なり合って観察される。図3C中断の中央部においては、微細な不定形領域がより高密度に分布している。不定形領域と重なり合った細長い組織が観察されるが、その長さは界面部より短いように見える。図3C上段の内径部においては、不定形の微細領域がほとんどなくなり、長さ50μm程度以下の針状領域が観察される。但し、図3C下段、中断に示すように、界面近傍および厚さ方向中央部においては、長い針状領域は観察されないので、全厚さを貫通する柱状晶は生じないと判断される。さらに、仕上げ加工において内径側表面部は除去されるので、図3C上段に見られる針状領域の多くは除去され、柱状晶の発生を抑制したライニング層が得られるであろう。
最適なWB添加量を究明するために、WB添加量を変化させた試験を行った。WB添加量はAwt%<Bwt%<Cwt%と変化させた。Awt%として1〜5wt%、Bwt%として6〜15wt%、Cwt%として16〜25wt%を設定した。
図4Aは、遠心鋳造後切り出したサンプルの位置を概略的に示す断面図である。円筒部材1の内面上にライニング層3を遠心鋳造した後、径方向に切断して環状薄板構造を切り出し、さらにライニング層から円筒部材の一部深さまでを切り出しサンプルSを作成した。
図4B,4C,4Dは、WB添加量が5wt%,10wt%,20wt%であるサンプルA,B,Cの断面外観である。ライニング層の厚さはサンプルA,B,Cでそれぞれ3.19mm、3.45mm、3.20mmであった。サンプルAおよびBにおいては、内径側表面から深さ1mm程度までの領域に鋳造欠陥が観察された。仕上げ機械加工により、これらの領域を除去する場合、鋳造欠陥は仕上げ品には影響しない。WB添加量を増加したサンプルCにおいては、ライニング層3の全厚さ領域に亘って鋳造欠陥が観察された。添加量を増加したWB粉末が鋳造時に完全には溶解できず、鋳造層に欠陥を残すものかと考えられる。次に、反射電子像により、層内の組織を観察した。
図5A,5B,5Cは、サンプルA,B,Cの内径側表面部、及び基材側界面近傍の観察像である。組織中、白く見える部分が、重元素(WB)を含む領域である。
図5Aに示すように、相対的WB添加量の少ないサンプルAにおいては、基材側界面近傍と内径側表面部とで組織に顕著な違いは見られず、いずれにおいても長い針状組織が観察される。CrB柱状晶が生じていると考えられる。
図5Bに示すように、WB添加量を増加させたサンプルBにおいては、基材側界面近傍では白く見えるWB領域に囲まれた微細な不定形領域が高密度に分布し、針状組織は観察されない。内径側表面部においては、白く見えるWB領域の面積は大幅に減少し、不定形領域が広範囲に分布する。各不定形領域の面積はかなり拡大している。針状組織も観察される。CrB柱状晶が生じていると考えられる。表面部を機械加工で除去する場合には、CrB柱状晶も除去される可能性が高い。CrB柱状晶の発生を抑制したライニング層が得られるであろう。
図5Cに示すように、さらにWB添加量を増大したサンプルCにおいては、基材側界面近傍では白く見えるWB領域に囲まれた微細な不定形領域が高密度に分布し、針状組織は観察されない。サンプルB同様の組織と考えられる。内径側表面部においては、白く見えるWB領域が、面積は減少しているが一様に分布している。サンプルA,Bにみられるような針状組織は観察されない。CrB柱状晶の発生が抑制されていると考えられる。
図6は、これらの結果をまとめた表を示す。サンプルAでは、鋳造欠陥はないがWB添加による組織変化が少ない。サンプルBでは、影響を回避困難な鋳造欠陥は少なく、影響を回避困難なCrB針状組織も少ない。これらの実験結果を考察すると、WB粉末を6〜25wt%添加すると、CrB柱状晶の成長を抑制するのに有効であろうと考察される。サンプルCでは、内径側表面部までCrB針状組織を抑制しているが、鋳造欠陥が多数見られる。鋳造欠陥も抑制できる好ましいWB組成は、6〜15wt%であろうと考察される。
図7は、坑折試験の結果を示す。比較例サンプルの曲げ強さが924MPaであったのに対し、WBを10wt%添加したサンプルの曲げ強さは1083MPaであった。曲げ強さが約17%向上している。
図8Aは、大越式摩耗試験の概略を示す。試験片Spの上から、荷重wでリングを押し付け、リングを回転させて所定摩擦速度で摺動距離L摩擦させる。潤滑剤は用いず、ドライ状態で行った。摩擦速度は0.2〜2.5m/secの範囲で3値を設定した。試験片に掘られた体積をVとする。S=V/w・Lが比摩耗量である。比摩耗量は小さい程耐摩耗性が高い。
図8Bは結果を示すグラフである。測定全領域で、WB粉末を10wt%添加したサンプルはWB粉末を添加しない比較例サンプルに勝る耐磨耗性を示した。WB添加によりCrB組織が微細になったことと、組織中に微細に分散したWBが耐摩耗性を向上させたと考えられる。
図9A,9Bは、WB粉末を添加したサンプルの摩耗試験後の摩耗痕の組織を示す。図9Bは、図9Aの一部拡大図である。表面に耐摩耗性の優れたWB領域が均一に分散している。WB領域等の効果で耐摩耗性が向上したと考えられる。
図10は、本例サンプルの反射電子像とX線像による元素マッピングを示す。BSEが反射電子像を示し、Mo.B,Wが同一領域のMo、B,Wによる特性X線のカウント数に基づく元素マッピングを示す。Co基自溶合金に含まれていたB、Moと添加粉末成分のW、Bがほぼ同位置に存在している様子が判る。自溶合金中のMoとBとが反応してMoBを形成し、さらにMoが添加粉末のWBとも反応して複硼化物を形成していると考えられる。WBがCo基組織と強固に結びついていると考えられる。複硼化物が均一に組織内に存在することによって、耐磨耗性、抗折力が向上したと考えられる。
以上、Co基自溶合金粉末とWB粉末を混合して混合粉末を形成し、遠心鋳造を行なった場合を説明したが、WBを特性がよく似ているMoBに置き換えても、Co自溶合金を特性がよく似ているNi自溶合金に置き換えても同様の現象、効果が期待できよう。例えば、Ni基自溶合金にWB粉末を添加してもよいであろう。自溶合金はCr,Bに加え、さらに複硼化物を生成できる元素であるMo,Wを含むことが好ましい。自溶合金中の他の元素は、目的に応じて種々取捨、選択できよう。その他種々の、変更、置換、改良、組み合わせが可能なことは、当業者に自明であろう。
図1A−1Eは、実験した遠心鋳造の主要工程を概略的に示す断面図である。 図2は、混合粉末の組成を示す表である。 図3Aは、円筒部材中のサンプルの位置を概略的に示す断面図、図3B,3Cは、比較サンプル及び本例サンプルの観察像である。 図4Aは、遠心鋳造後切り出したサンプルの位置を概略的に示す断面図、図4B,4C,4Dは、WB添加量がA%,B%,C%であるサンプルの断面外観を示す観察像である。 図5A,5B,5Cは、サンプルA,B,Cの内径側表面部、及び基材側界面近傍の観察像である。 図6は、組織および鋳造欠陥の試験結果をまとめて示す表である。 図7は、坑折試験の結果を示す表である。 図8Aは、大越式摩耗試験の概略を示すダイアグラム、図8Bは試験結果を示すグラフである。 図9A,9Bは、本例サンプルの摩耗試験後の摩耗痕の組織を示す観察像である。 図10は、本例サンプルのSEM像と2次電子像による元素マッピングを示す観察である。
符号の説明
1 円筒部材、
2 混合粉末、
3 ライニング層。

Claims (15)

  1. (a)B、Crを含むCo基またはNi基の自溶合金粉末にWBまたはMoBを含む硼化物粉末を添加した混合粉末を準備する工程と、
    (b)前記混合粉末を基材となるシリンダ内に装填する工程と、
    (c)前記シリンダを加熱し、前記混合粉末を溶融する工程と、
    (d)前記シリンダを周方向に回転させ、溶融した材料に遠心力を印加する工程と、
    (e)前記シリンダを降温させ、ライニング層を形成する工程と、
    を含む遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  2. 前記自溶合金がさらに硼化物形成元素としてMoまたはWを含む請求項1記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  3. さらに、
    (f)前記ライニング層を形成したシリンダの内径部を仕上げ加工する工程、
    を含む請求項1または2記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  4. 前記工程(e)が、空冷の後、水冷、さらに空冷を行う請求項1〜3の何れか1項記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  5. 前記工程(d)と(e)が同時に行われる請求項1〜4のいずれか1項記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  6. 前記自溶合金粉末がCo基自溶合金であり、前記硼化物粉末がWB粉末である請求項1〜5の何れか1項記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  7. 前記Co基自溶合金粉末が硼化物形成元素としてMoを含み、前記WB粉末が6wt%〜25wt%である請求項6記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  8. 前記WB粉末が6wt%〜15wt%である請求項7記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  9. 前記工程(c)が、前記シリンダを1200℃以上に加熱する請求項6〜8のいずれか1項記載の遠心鋳造による耐磨耗性ライニング層の製造方法。
  10. 内周面を有する基材シリンダと、
    前記内周面上に形成された耐磨耗性ライニング層であって、B,Crを含むCo基またはNi基自溶合金中にWBまたはMoBを含む硼化物の微細領域が分散し、長さ100μm以上の針状組織は存在しないライニング層と、
    を有する複合シリンダ。
  11. 前記自溶合金が、硼化物形成元素であるMoまたはWを含み、自溶合金中にWBまたはMoBを含む複硼化物を形成している請求項10記載の複合シリンダ。
  12. 前記自溶合金が、Co基自溶合金であり、前記硼化物がWBを含む請求項10または11記載の複合シリンダ。
  13. 前記Co基自溶合金が、Cr,Moを含み、前記硼化物がW,B,Moが結合した複硼化物を形成している請求項12記載の複合シリンダ。
  14. 前記ライニング層が、WB換算で6wt%〜25wt%のWを含む請求項12又は13記載の複合シリンダ。
  15. 前記ライニング層が、WB換算で6wt%〜15wt%のWを含む請求項14記載の複合シリンダ。
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