JP4900806B2 - 成形機用シリンダ - Google Patents
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Description
成分 重量%
炭素 1.5 乃至 4.5
珪素 1.5 乃至 3.5
硼素 1.0 乃至 3.0
コバルト 1.0 乃至 6.0
タングステン 30.0乃至 60.0
ニッケル 残余
また、前記合金ライナー中に、7.0重量%以下のクロムを含有する、さらに、15.0重量%以下の鉄を含有する高温耐食性バイメタル・シリンダが記載されている。
成分 重量パーセント
炭化タングステン 30〜45
ニッケル 22〜61
コバルト 37以下
クローム 12以下
硼素 1.3〜3.0
珪素 0.7〜3.3
マンガン 1.0以下
鉄 3.3以下
炭素 0.6以下
からなる合金を遠心鋳造により一体に溶融せしめてなる内張層を有するシリンダが開示されている。また、炭化タングステンは内張層厚さ方向における濃度を40〜80容量%の範囲において異にし、内張層の基質の近傍の層における炭化タングステンの濃度は遠近の層における濃度より大にして両層間に炭化タングステンの濃度差を有してなる内張層が記載されている。さらに、使用される炭化タングステン粒子は、100メッシ以下の比較的小さい粒子が好ましいことが述べられている。
(1)本発明のシリンダは、ニッケルを主体とした耐摩耗耐腐食性合金に、金属タングステン中に炭化タングステンが分散した硬質粒子を分散させたライニング層を有することを最大の特徴とする。炭化タングステンはHv2000〜3000と高硬度であり、耐摩耗性向上に寄与する。一方、金属タングステンの硬さはHv360程度である。炭化タングステンを金属タングステンに含ませることで、硬質粒子全体としての硬さを調整し、耐摩耗性と被削性とを調整することが可能である。なお、炭化タングステンは金属タングステン中にラメラー状もしくは球状で、実質上均一に分散していることが好ましい。
硬質粒子に含まれる炭化タングステンの量は、面積率で20〜80%であり、さらに好ましくは30〜70%である。硬質粒子に含まれる炭化タングステンが面積率で20%未満では、耐摩耗性向上効果が不十分である。一方、その面積率が80%を超えると過度に硬質になり、被削性が著しく低下し好ましくない。
ライニング層に含まれる硬質粒子の量は、面積率で20〜80%であり、さらに好ましくは30〜70%である。ライニング層に含まれる硬質粒子が面積率で20%未満では、耐摩耗性向上効果が不十分である。一方、その面積率が80%を超えると過度に硬質となり、被削性が著しく低下し好ましくない。
ライニング層に含まれる硬質粒子の最大長さが250μmより長いと、ミクロ的な組織の均一性が損なわれ、シリンダ内面においてミクロ的に不均一に摩耗または腐食等により損耗することに加え、使用時に硬質粒子の欠け落ちや脱落が発生しやすくなるので好ましくない。
本発明のライニング層は硼化タングステンを面積率で5〜20%分散させてもよい。これは、基地の硬さを高め、耐摩耗性向上に寄与し好ましい。また、遠心鋳造法で製造する場合、硼化タングステンは、前記硬質粒子とともに遠心分離し、ライニング層に含まれる硬質粒子の間隔を適度に分散させ、被削性向上に寄与する。硼化タングステンの面積率が5%未満では前記効果が十分に得られない。一方、硼化タングステンが面積率で20%を超えると、硼化タングステンの量が過多となり、抗折力などの機械的性質が低下し好ましくない。
(1)必須成分
(a)C:1.5〜3.5%
Cは主にWと結合し、炭化タングステンを形成することにより耐摩耗性を向上させる。また、一部のCは、基地中の合金元素と結合し炭化物を形成する。Cが1.5%未満では炭化タングステンの量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Cが3.5%を超えると、炭化タングステンの量が過多となり、被削性が低下するとともに抗折力などの機械特性が低下する。C含有量は好ましくは2.0〜3.0%である。
Siは、合金の融点を下げる作用があり、遠心鋳造法で製造する場合、合金溶湯の流動性を高めることにより、シリンダの円周方向ならびに軸方向での合金の均質分布性向上に寄与する。また、Siは、基地に固溶する他、一部はNi等の合金元素と結合し珪化物を晶出または析出し、耐摩耗性向上に寄与する。Siが0.1%未満ではこの効果が十分に得られない。一方、Siが3.0%を超えると、珪化物の量が過剰となり、抗折力などの機械特性が低下し好ましくない。Siの含有量は好ましくは1.0〜2.5%である。
Bは、前述のSiと同様に合金の融点を下げる作用があり、遠心鋳造法で製造する場合、合金溶湯の流動性を高めることにより、シリンダの円周方向ならびに軸方向での合金の均質分布性向上に寄与する。また、Bは、NiやWの合金元素と結合し硼化物を晶出または析出し、耐摩耗性向上に寄与する。遠心鋳造法で製造する場合、硼化タングステンは、前記W粒子とともに遠心分離し、硬質粒子の粒子間隔を分散させ被削性向上に寄与する。Bが0.5%未満ではこの効果が十分に得られない。一方、Bが3.0%を超えると、硼化物の量が過剰となり、合金溶湯の流動性が低下し、かえって前記効果が得られなくなり、抗折力などの機械特性が低下し好ましくない。Bの含有量は好ましくは1.0〜2.0%である。
Wは主に、本発明の硬質粒子を形成する主要元素であり、金属タングステンと炭化タングステンよりなる硬質粒子により耐摩耗性を向上させる。さらに、一部のWは、基地中のBと結合し硼化タングステンを晶出または析出し、耐摩耗性向上および硬質粒子の均質な分散に寄与する。すなわち、前記硬質粒子同士の間に硼化タングステンが存在することで、優れた耐摩耗性を有しながら、被削性に優れる。Wが40.0%未満では硬質粒子や硼化タングステンの量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Wが60.0%を超えると、硬質粒子および硼化タングステンの量が過多となり、被削性が低下するとともに抗折力などの機械特性が低下する。
Niは硬質粒子を保持する基地を形成する主要元素である。Niは主に金属状態で存在し、一部はBなどと結合し硼化物となり、基地を強化する。Niは耐食性に優れ、Bを適切に制御することで他の金属元素、例えばFeに比べその合金が低融点となる特徴をもつ。また、本発明のライニング層の残部は実質上Niであればよく、例えば窒素、酸素および水素といったガス成分や、製造上不可避的に混入する不純物が含まれても構わない。
シリンダの用途及び使用方法に応じて、ライニング層は以下の元素を適宜含有しても良い。
Crは、主にBと結合し硼化物を形成し、一部はCと結合し炭化物を形成し耐摩耗性を向上させる。また、残りは基地に固溶し、耐腐食性を向上させるため、添加することが好ましい。Crが1.0%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Crが10.0%を超えると、硼化物の量が過多となり、被削性が低下するとともに抗折力などの機械特性が低下する。また、融点の上昇に伴い、溶湯の流動性が低下し好ましくない。
Feは、遠心鋳造法の鋳造の際、主にライニング層を形成せしめるライニング材溶融時に母材を侵食することにより、母材に含まれるFeから不可避的に混入する。また、FeはSiおよびBとは反対の溶湯の流動性を低下させる作用があり、溶湯の流動性調整のため、添加させてもかまわない。Feが1%未満では、前記の作用が不十分である。一方、Feが15%を超えると、耐食性が低下するとともに抗折力などの機械特性が低下し好ましくない。
Mnは溶湯の脱酸作用を有する。またMnは、遠心鋳造の際、主にライニング材溶融時に母材を侵食することにより母材に含まれるMnから混入する。前記作用はMnが2.0%あれば十分である。Mnの含有量は好ましくは0.1〜0.6%である。
Cuは基地に固溶し、合金の耐食性向上に有用な元素である。Cuが5.0%を超えて加えてもこの効果が飽和する。また、Cuは極めて高価な元素であるため、溶湯の融点を上昇させる作用があり、経済性及び使用条件を考慮し、その含有量を決定するのが望ましい。
CoはNiと同等の作用があり、特に合金の靭性および硫酸ガスに対する耐食性向上に有用な元素である。また、Coは極めて高価な元素である他、シリンダ用途のうちフッ化水素酸が発生する環境下では著しく耐食性が低下する。したがって、経済性及び使用条件を考慮し、その含有量を決定するのが望ましい。
1 ライニング層基地、 2 本発明の硬質粒子、 3 硼化タングステン、
4 炭化タングステン、 5 金属タングステン、
イ 母材、 ロ 硬質粒子が分散した層、 ハ 硬質粒子が乏しい層、 ニ 中空部、
d 硬質粒子の最大長さ、
11 硬質粒子が分散した層と硬質粒子が乏しい層の境界、
12 製品内径相当位置
Claims (10)
- 中空円筒状の鋼製外筒の内面に耐摩耗耐腐食性合金を含有したライニング層を形成した成形機用シリンダにおいて、前記ライニング層がニッケルを含む基地と、金属タングステン中に炭化タングステンが分散した硬質粒子とにより構成されていることを特徴とする成形機用シリンダ。
- 前記硬質粒子中の炭化タングステンの含有量が面積率で20〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層に占める前記硬質粒子の含有量が面積率で20〜80%であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形機用シリンダ。
- 前記硬質粒子の最大長さが250μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層にさらに硼化タングステンを面積率で5〜20%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層の成分が質量%で、C:1.5〜3.5%、Si:0.1〜3.0%、B:0.5〜3.0%、W:40.0〜60.0%および残部実質上Niからなる組成を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層は、さらに質量%で、Cr:1.0〜10.0%またはFe:1.0〜15.0%の元素のうち少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項6に記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層は、さらに質量%で、Mn:2.0%以下およびCu:5.0%以下の元素のうち少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項6または7に記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層は、さらに質量%で、Co:1.0〜10.0%を含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
- 前記ライニング層を遠心鋳造法により形成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
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