JP5358897B2 - 成形機用シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック等の射出や押出成形機に用いられるシリンダに関する。
プラスチック製品等の成形に用いられる成形機用シリンダとして、加熱成形中の樹脂または樹脂に加えられた添加剤による腐食および摩耗を抑制するために、鋼系材料からなる外筒の内面に、耐摩耗耐食性合金からなるライニング層を形成した複合構造のシリンダが用いられている。ライニング層を形成する方法としては、遠心鋳造法、熱間静水圧焼結法、焼き嵌め法等が知られている。
ライニング層を形成する耐摩耗耐食性合金としては、ニッケル基合金、コバルト基合金などがあり、成形される樹脂から発生する腐食性ガスなどに対する耐食性をもって適宣選択される。ニッケル基合金は、塩素ガスおよび硫酸ガスに対して、またコバルト基合金は、硝酸ガスに対する耐食性が良好である。
成形される樹脂のうち、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下PPS樹脂と略す)は、一般に広く利用されている。PPS樹脂は成形中に硫黄ガスが発生する。この硫黄ガスはニッケルを著しく腐食するため、ライニング層がニッケル基合金の成形機用シリンダは耐食性が不足し、早期にライニング層が腐食摩滅する。ライニング層が摩滅すると樹脂の成形不良を起こす。PPS樹脂のように硫黄ガスを発生する樹脂に対し耐食性に優れるライニング層としては、コバルト基合金が好ましい。
ライニング層としてコバルト基合金を用いた射出成形機用シリンダとして、例えば特許文献1には、重量比でCr 5.00〜10.00%、B 2.50〜4.00%、Mn 0.20〜2.00%、Si 0.20〜2.00%、Fe 1.00%以下、Ni 2.00%以下、およびCo残部よりなる耐摩耗耐食性コバルト基合金が開示されている。特許文献1に記載の合金の組織は、ビッカース硬さHv1000〜1300のCo−Cr硼化物およびHv300〜400のCo−Cr固溶体からなることが記載されている。
また特許文献2には、重量%でCr 5〜10%、B 2.5〜4%、Mn 0.2〜2%、Fe 1%以下、Si 2.5〜10%、Ni 7〜20%、残り実質的にCoからなる肉盛用Co基合金が開示されている。前記Co基合金は、優れた耐摩耗性と耐食性をもち、これらの性質が要求されるプラスチック成形用に用いる円筒状シリンダー内面に、遠心鋳造法でライニングする合金として最適であると記載されている。
また特許文献3には、化学成分が重量比で、Cr5〜10%、B2.5〜4%、Si0.2〜2%、Mn0.2〜2%、残部Coおよび不可避的不純物からなるCo基合金中に耐摩耗性強化材としてWC粒子を重量比で10〜30%、NbC粒子を5〜25%分散させてなる合金を用い、遠心鋳造法によりライニングするシリンダ用複合ライニング材が開示されている。
特開昭48−57818号公報 特開昭54−62921号公報 特開平2−101139号公報
前記従来のコバルト基合金は、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含ませること、基地を高硬度化することおよび硬質粒子を添加することで耐摩耗性が向上することが知られている。
これにより、コバルト基合金ライニングシリンダの耐摩耗性は向上したが、依然スクリュなどと接触することにより、シリンダのライニング層内面に圧痕が発生するいわゆるカジリの現象を抑えることは不十分であった。カジリは、凝着摩耗に起因する表面損傷の形態であり、ライニング層内面に圧痕状に発生する。カジリのメカニズムは、スクリュなどがライニング層に接触することにより、前記ライニング層から金属コバルト主体の金属微粉が発生する。この金属微粉がライニング層内面に凝着し、スクリュの回転によるせん断力を受け剥がれ落ちる際にライニング層の一部をむしり取る。結果として、ライニング層に圧痕状のカジリを呈すると本発明者らは推察した。カジリが発生すると、圧痕部に樹脂が長時間停滞し炭化するいわゆる樹脂焼けが発生し、樹脂成形体の品質の劣化を引き起こす。また、カジリ部にはクラックが発生し易く、このクラックが使用中に進展し割損に至るという問題がある。コバルト基シリンダは、ニッケル基シリンダに比較してカジリが発生しやすいが、特許文献1〜3には、カジリについての考慮はなされていない。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、十分な耐摩耗性を有し、特にPPS樹脂などの樹脂成形時に発生する硫黄ガスに対し優れた耐食性を発揮し、さらにスクリュなどと接触することにより発生するカジリを抑制する、すなわち耐カジリ性に優れる成形機用シリンダを提供することを目的とする。
成形中に高速で回転するスクリュやその先端部品は、成形条件などによりシリンダのライニング層と接触することがある。これが著しくなると、シリンダのライニング層が剥離しコバルト主体の金属の微粉が発生する。前述したようにカジリの機構は前記のコバルト微粉による凝着摩耗現象であると推察される。そこで本発明者らは、コバルト基ライニング合金の金属組織および化学成分について鋭意研究した結果、下記の知見を得て本発明に想到した。
1.ライニング合金中にコバルト珪化物を生成させることにより前記凝着摩耗を抑制し、耐カジリ性が向上できる。
2.シリコンとクロムの含有量を適正な範囲とすることにより、コバルト珪化物を得ることができる。
3.ライニング層に不可避的に含まれる鉄を一定量含有させることで要求される靭性を確保できる。
すなわち、本発明は、鋼系材料からなる外筒の内面に耐摩耗耐食性合金からなるライニング層を形成した成形機用シリンダにおいて、前記ライニング層は化学成分が質量%で、Si:5.0〜9.0%、Cr:12.0〜20.0%、B:2.0〜4.0%および残部がCoと不可避不純物からなり、その金属組織中に面積率で20%〜60%のコバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含むことを特徴とする。
前記ライニング層は、さらに質量%でFe:5.0〜25.0%を含有することを特徴とする。
前記ライニング層は、さらに質量%でC:1.0%以下およびMn:3.0%以下のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
前記ライニング層は、さらに質量%で、Ni:5.0%以下を含有することを特徴とする。
前記ライニング層を遠心鋳造法により形成したことを特徴とする。
本発明の成形機用シリンダについて以下に詳述する。
[1]ライニング層の組織
(1)本発明の成形機用シリンダは、ライニング層合金はコバルトを主体とし、その金属組織中に実質的にコバルトと珪素により構成されるコバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含むことを最大の特徴とする。コバルト珪化物の硬さはHv700〜900であり、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の硬さはHv1000〜1300である。一方、金属コバルト基地の硬さHv300〜400である。
本発明のライニング層合金は、後述する凝着摩耗抑制効果のあるコバルト珪化物を含ませるとともに、金属組織中における凝着摩耗を発生する金属微粉源となる金属コバルトの占有率を相対的に減少させ、耐カジリ性をより一層向上させる。なお、本発明のコバルト珪化物は、例えば鉄やクロムなどその他の成分を一部含有しても差し支えない。
(2)コバルト珪化物の含有量が面積率で20〜60%
ライニング層に含まれるコバルト珪化物の量は、面積率で20〜60%であり、さらに好ましくは30〜50%である。ライニング層に含まれるコバルト珪化物が面積率で20%未満では、耐カジリ性が不十分である。一方、その面積率が60%を超えるとライニング層が過度に硬質になり、要求される靭性の確保が困難となり好ましくない。なお本発明において、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の面積率は10〜30%であることが好ましい。
(3)コバルト珪化物について
ここで、コバルト珪化物の生成機構について説明する。一般に、クロムとコバルトは硼素と化合し、硼化物を生成する。硼化物生成においては、クロムが優先的に硼素と化合して消費され、残ったコバルトと硼素が化合することでクロムおよびコバルトよりなる硼化物を生成する。一方、クロムが多量である場合、硼素はクロムとの化合により大半が消費され、残った少量の硼素とコバルトが化合することとなる。このため、コバルトは硼素との化合で十分消費されず余剰となる。この余剰コバルトが珪素と化合し、コバルト珪化物が生成する。すなわち、コバルト珪化物が生成するには多量のクロムが必要となる。
[2]ライニング層の組成(質量%)
(1)必須成分
(a)Si:5.0〜9.0%
珪素は主にコバルトと結合し、コバルト珪化物を形成することにより耐カジリ性を向上させる。また、一部の珪素は、コバルト基地に固溶し基地硬さを向上させる。珪素が5.0%未満ではコバルト珪化物が生成しないか微量であるため、十分な耐カジリ性が得られない。一方、珪素が9.0%を超えると、抗折力などの機械的性質が低下する。珪素の含有量は好ましくは6.0〜8.0%である。
(b)Cr:12.0〜20.0%
クロムはコバルトとともに硼素と結合し、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を形成することにより耐摩耗性を向上させる。また、一部のクロムは、コバルト基地に固溶し基地硬さを向上させる。さらに、前述のようにコバルト珪化物の生成には多量のクロムが必要である。すなわち、コバルト珪化物の生成促進には、クロムを12.0%以上含ませることが必要である。クロムが12.0%未満ではコバルト珪化物が生成しないか微量であるため、十分な耐カジリ性が得られない。一方、クロムが20.0%を超えると、鋳造性が著しく低下し、引け巣などの欠陥を生じやすい。クロムの含有量は好ましくは14.0〜18.0%である。
(c)B:2.0〜4.0%
硼素は、クロムおよびコバルトなどの合金元素と結合し硼化物を晶出または析出し、耐摩耗性向上に寄与する。さらに、硼素を2.0%以上含ませることで、コバルト珪化物の生成を促し、耐カジリ性に寄与する。硼素が2.0%未満ではコバルト珪化物が生成しないか微量である為、十分な耐カジリ性が得られない。一方、硼素が4.0%を超えると、鋳造性が著しく低下し、引け巣などの欠陥を生じやすくなるとともに抗折力などの機械的性質が低下する。硼素の含有量は好ましくは2.5〜3.5%である。
(d)残部Co
コバルトは基地を形成するとともに、コバルト珪化物を形成し耐カジリ性を向上させる主要元素である。また、コバルトの一部はクロムとともに硼化物を形成する。さらに、コバルトは、硫黄ガスに対する耐食性に優れる。本発明のライニング層の残部は実質上コバルトであればよく、例えば窒素、酸素および水素といったガス成分や、製造上不可避的に混入する不純物が含まれても構わない。
(2)任意成分
(e)Fe:5.0〜25.0%
鉄は、遠心鋳造法の鋳造の際、主にライニング層を形成せしめるライニング材溶融時に鋼系材料からなる外筒を侵食することにより、外筒に含まれる鉄から不可避的に混入する。さらに、鉄は基地を強化し、ライニング層の靭性向上に寄与する。鉄が5%未満では、靭性が不十分である。一方、Feが25%を超えると、耐食性が低下するとともに抗折力などの機械的性質が低下し好ましくない。鉄の含有量は好ましくは10〜20%である。
(f)C:1.0%以下およびMn:3.0%以下のいずれか一種以上
炭素の含有率は1.0%以下である。炭素は基地の硬さと強度を向上させる作用を有するが、1.0%を超えると共晶度が上昇して脆くなり、強度が低下するため好ましくない。マンガンは脱酸材としての作用をするが、含有率が3.0%を超えると脱酸効果が飽和するため、その含有率を3.0%以下とする。
(g)Ni:5.0%以下
コバルトは、その一部をニッケルと置換しても良い。ニッケルの含有量が5.0%を超えると合金の硬さを低下させるため好ましくない。
本発明の成形機用シリンダは、ライニング層のコバルト基合金組織中に、コバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含有させることにより、十分な耐摩耗性を有し、特にPPS樹脂などの樹脂成形時に発生する硫黄ガスに対し優れた耐食性を発揮し、さらにスクリュなどと接触することにより発生するカジリを抑制する、すなわち優れた耐カジリ性を発揮する。
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
黒鉛ルツボ中にて本発明の合金組成物を混合し、高周波電気炉にて1500〜1600℃に加熱溶融した後、鋳型に鋳造し板状の合金素材を作成した。合金素材は成分を変えたものを数種類準備した。所定の重量の合金素材を黒鉛ルツボに装入した後、高周波電気炉にて1400〜1500℃に加熱溶融した。一方、あらかじめ準備しておいたSCM440鋼からなる外筒(外径φ100mm×内孔径φ34mm×長さ800mm)の片側の開口部に金属製の蓋を取り付け、これを加熱炉中で所定の温度まで加熱した後、前述の加熱溶融した合金素材を鋳込んだ。その直後、他方の開口部に蓋をし、遠心鋳造機上にセットし、該遠心鋳造機で所定の回転数で回転させ、外筒の内孔内面に5mm厚さ程度のライニング層を形成させることにより、シリンダ素材を作製した。前記シリンダ素材は、冷却後、両端の蓋を加工除去し、外径φ100mm、長さ760mmのシリンダ材とした。また、前記同様の手法により、従来材であるコバルト基シリンダ材も作製した。
前記シリンダ材の片側端面から50mmを切断し、外径φ100mm、長さ50mmの供試材を採取した。ライニング層の内径φ30mm位置(製品内径相当位置)近傍より化学成分測定用の試験片を採取し、各供試材の化学成分を測定した。表1にその結果を示す。
表1中の供試材No.1〜8は本発明の実施例であり、ライニング層がコバルトを含む基地と、コバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物とにより構成されているものである。
供試材No.9は従来例であり、ライニング層がコバルトを含む基地と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物からなり、コバルト珪化物が含有されていないものである。
また、供試材No.1〜9において、製品内径相当位置におけるコバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の面積率を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)と画像解析装置を用いて求めた。
さらに、各供試材のライニング層を含む外径φ8mm×長さ20mmの摩擦試験片を採取し、ライニング層の往復動摩擦試験を行い耐カジリ性の評価とした。往復動摩擦試験は、外径φ20×長さ180mmのスクリュ材を各試験片のライニング層形成面に押圧摺動させ、摺動時に発生する動摩擦力を測定することで行なった。摺動条件は、1往復のストロークを260mm(片道130mm)、摺動速度を30m/minに設定した。押圧荷重の設定は、初期荷重を10kgとし、摺動数が50往復する毎に10kgずつ昇圧を行い、最大押圧荷重を300kgとした。往復動摩擦試験による耐カジリ性の評価は、試験中に凝着摩耗が発生した時にかかっている押圧荷重を用いた。すなわち、凝着摩耗発生時の押圧荷重が低いほど、耐カジリ性が劣る。ここで、凝着摩耗発生の判定は、摩擦力が大きく変化した時点とした。
図1に往復動摩擦試験の概略図を示す。図1において、イは試験片の外筒部分、ロは試験片のライニング層部分、ハはスクリュ材、Pは押圧荷重を示す。
各供試材のライニング層より、製品内径相当位置より5mm×1.5mm×40mmの抗折試験片を採取し、4点曲げ試験を行い抗折力の測定を行い靭性の評価とした。また、併せてライニング層のロックウェル硬さ試験を行い、耐摩耗性の評価とした。
表2に前述の試験結果および評価結果を示す。すなわち、コバルト珪化物の面積%、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の面積%、コバルト基地の面積%、硬さ(HRC)、耐カジリ性(kg)、抗折力(MPa)を示す。
図2は本発明例の供試材No.1のライニング層の電界放射型走査電子顕微鏡写真である。図2において、灰白色部がコバルトを主体とする基地1、不定形の灰色部がコバルト珪化物2、棒状黒色部がクロムおよびコバルトよりなる硼化物3である。
図3は従来例の供試材No.9のライニング層の電界放射型走査電子顕微鏡写真である。図3において、灰白色部がコバルトを主体とする基地1、黒色部がクロムおよびコバルトよりなる硼化物3である。図3より、図2にみられるようなコバルト珪化物は生成していないことが判る。
本発明の供試材No.1〜4の耐カジリ性は180〜270kgであり、従来例No.9に比べて耐カジリ性が極めて良好である。また、本発明の供試材No.1〜4の抗折力は598〜843MPaであり充分な靭性を確保している。これらは、耐カジリ性および靭性が要求される成形機用シリンダに最適である。
本発明の供試材No.5は、珪素とクロムをそれぞれ9.7%、24.1%と比較的多く含有する。その結果、コバルト珪化物の面積率が63%、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の面積率が32%と多量に生成する。よって、耐カジリ性は300kgと優れるが、一方で抗折力は304MPaと低いため、大きな靭性が要求されない用途に適用される。
本発明の供試材No.6は、珪素と硼素の含有量が、それぞれ2.3%、1.6%と比較的少ないため、コバルト珪化物の面積率が7%、クロムおよびコバルトよりなる硼化物の面積率が9%と少量である。その結果、抗折力は1000MPaと優れる。一方、耐カジリ性は60kgと低く、用途は適宜選択される。
本発明の供試材No.7は、鉄の含有量が2.1%と低い。その結果、抗折力は480MPaと低くなり、大きな靭性が要求されない用途に適用される。
本発明の供試材No.8は、鉄の含有量が34.6%と多い。成分中の珪素は鉄と優先的に化合するため、コバルトと化合する珪素の量が減少する。その結果、コバルト珪化物の面積率は18%となるため、耐カジリ性は90kgである。また、鉄の含有量が多いため抗折力は510MPaと比較的低く、大きな靭性が要求されない用途に適用される。
従来例の供試材No.9は公知のコバルト基ライニング層であり、コバルト珪化物を含有していないため耐カジリ性が30kgと極めて劣る。
本発明の供試材No.1と同様な方法で、外径φ90mm×内径φ30mm×全長500mmの成形機用シリンダを製造した。この成形機用シリンダを実際のPPS樹脂射出成形に供したところ、従来のコバルト基シリンダに比べ、カジリの発生は認められず、優れた耐食性、耐摩耗性を発揮し、良好に使用できることが判った。
本発明の成形機用シリンダは、ライニング層のコバルト基合金組織中に、コバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含有させることにより、十分な耐摩耗性を有し、特にPPS樹脂などの樹脂成形時に発生する硫黄ガスに対し優れた耐食性を発揮し、さらにスクリュなどと接触することにより発生するカジリを抑制する、すなわち優れた耐カジリ性を発揮する。
往復動摩擦試験の概略図である。 本発明の成形機用シリンダのライニング層における電界放射型走査電子顕微鏡写真である。 従来の成形機用シリンダのライニング層における電界放射型走査電子顕微鏡写真である。
符号の説明
P 圧力、 1 コバルトを主体とする基地、 2 コバルト珪化物、
3 クロムおよびコバルトよりなる硼化物、
イ 外筒部、 ロ ライニング層部、 ハ スクリュ材

Claims (5)

  1. 鋼系材料からなる外筒の内面に耐摩耗耐食性合金からなるライニング層を形成した成形機用シリンダにおいて、前記ライニング層は化学成分が質量%で、Si:5.0〜9.0%、Cr:12.0〜20.0%、B:2.0〜4.0%および残部がCoと不可避不純物からなり、その金属組織中に面積率で20%〜60%のコバルト珪化物と、クロムおよびコバルトよりなる硼化物を含むことを特徴とする成形機用シリンダ。
  2. 前記ライニング層は、さらに質量%でFe:5.0〜25.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載の成形機用シリンダ。
  3. 前記ライニング層は、さらに質量%でC:1.0%以下およびMn:3.0%以下のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の成形機用シリンダ。
  4. 前記ライニング層は、さらに質量%で、Ni:5.0%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
  5. 前記ライニング層を遠心鋳造法により形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形機用シリンダ。
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