JPH04371820A - 射出または押出成形機 - Google Patents

射出または押出成形機

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JPH04371820A
JPH04371820A JP3148378A JP14837891A JPH04371820A JP H04371820 A JPH04371820 A JP H04371820A JP 3148378 A JP3148378 A JP 3148378A JP 14837891 A JP14837891 A JP 14837891A JP H04371820 A JPH04371820 A JP H04371820A
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JP
Japan
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cylinder
screw
weight
less
lining layer
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Application number
JP3148378A
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English (en)
Inventor
Yutaka Sasaki
豊 佐々木
Kenji Maruta
丸田 賢二
Iwao Kashiwagi
柏木 巌
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ふっ素樹脂等強い腐食
性を有し、あるいはさらにガラス繊維などの充填材を多
量に含有する樹脂に対し、特に高い耐摩耗性、耐食性を
備えた射出または押出成形機に関する。より、詳しくは
それぞれ適当な合金母材とその表面に施した表面層から
なる複合シリンダと複合スクリュの組合せからなる射出
または押出成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂の射出成形あるいは押出成形に
使用される成形機用のシリンダには、加熱成形中の樹脂
または該樹脂に加えられた添加剤等による腐食あるいは
摩耗を防止するため、当初、鋼材からなる中空円筒状の
シリンダ母材の内面に、耐摩耗性と耐食性とを有する合
金材料を遠心鋳造法によりライニングした複合構造のも
のが用いられてきた。しかしながら、上述のような成形
機用の複合シリンダを遠心鋳造法により作製する場合は
、溶着反応時にライニング層を形成する合金材料にシリ
ンダ母材を形成する鋼材中の鉄が拡散し侵入する。この
鉄の侵入はライニング層とシリンダ母材との溶着を遂行
するために、ある程度は必要であるが、鉄はライニング
層の硬度を低下させ、また耐食性を劣化させてしまうと
いう問題がある。また、近年合成樹脂は、用途が多種多
様化し、様々な添加剤を混合するようになってきている
ため、成形機用の複合シリンダ内ライニング層の耐摩耗
性および耐食性を、さらに向上させるべき要求が高まっ
てきている。このためには、合金成分を多量に配合した
り、耐摩耗粒子を多量に添加したりする必要があるが、
遠心鋳造法では、偏析や分散性等の問題のため、必ずし
もこれらの要求を満足することができない。
【0003】一方、スクリュについては、熱分解ガスで
あるふっ素ガスによる腐食が生じるため、従来マトリッ
クス強化形Ni基合金が使用されてきた。しかし、硬さ
の高い充填材を混入した樹脂の成形においては、特にス
クリュの山形部が、使用に際しこれらの樹脂と接触し、
かつ高い成形圧を受けるため、山形部のヘタリ、摩耗な
どが激しく、短時間で寿命に至ってしまう。また、充填
材を混入しないふっ素樹脂の成形においても、マトリッ
クス強化形Ni基合金製スクリュは常温硬さ、ならびに
強度が低いために、シリンダ内面との焼付きを生じたり
、場合によっては捩れ現象を生じ寿命低下が顕著であり
、全く工具費の節約に寄与していない。このため最近は
、マトリックス強化形Ni基合金(例.主要成分:Ni
 60%、Cr 15%、Mo 15%)を冷間引抜き
による加工硬化により硬さを上げるとともに、耐焼付摩
耗性の向上を図ったスクリュがあり、これにより若干の
改善は可能となったが、充填材を混入した樹脂に対して
は、硬さに限界があるため、未だ充分ではないことや、
製造可能寸法に限界があることなどにより高価な割りに
工具費の節約には至っていないのが現状である。
【0004】また、本願出願人は粉体肉盛を利用して得
られた耐食、耐摩スクリュとして特開昭61−2487
03号を提案している(以下先願発明という)。この先
願発明は、スクリュ軸部の外周に螺旋状に連なる山形を
有する母材の山形部、および山形部間の谷部の全表面に
Co基、Ni基合金またはこれらに硬質粒子を分散保持
したものを粉体肉盛することを内容とするものである。 これは、主に耐摩耗性を重視しており、本願発明がふっ
素樹脂等に対する耐食性を重視している点で本質的に異
なるものであるが、前記先願発明を実施する過程で以下
の知見を得た。すなわち、スクリュの摩耗状況は、谷部
に比較して山形部の摩耗が激しく、山形部は耐食性より
も耐摩耗性を重視することが重要であること、山形部お
よび谷部の全面肉盛とした場合、谷部はスクリュの曲り
、軸方向収縮等の変形の防止を重視した材質、施行方法
としなければならず、材質選定、作業性の面で制約があ
ること、またシリンダ内面とスクリュ山形頂面相互の材
質間には総合的摩耗量減少に関し相性が存在し、この双
方の材質の組合せにより総合的摩耗量の減少を図ること
ができる、等であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上説明し
た従来技術に鑑み、ふっ素樹脂あるいはガラス繊維、そ
の他硬さの硬い充填材を混入された腐食性の強い樹脂の
成形において、シリンダおよびスクリュともに十分な耐
食性、耐摩耗性を有する射出または押出成形機の提供を
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は重量比で、B 
0.5〜4.0%、C 0.7%以下、Si 0.6〜
6.0%、Mn 2.0%以下、Cr 20.0%以下
、Cu 4.0〜40.0%、または、さらにMo 0
.3〜3.0重量%およびWC等の硬質炭化物粒子、残
部実質的にNiおよび不可避的不純物からなるHIPプ
ロセスによる焼結合金ライニング層を有するシリンダお
よび少なくとも螺旋山形部が含Bの低融点Ni基合金に
よる肉盛り層で構成されたスクリュの組合せでなること
を特徴とする射出または押出成形機である。
【0007】本発明は、前述のシリンダとスクリュとの
間の相性について、見出された結果に基づいてなされた
ものである。スクリュの山形頂面とシリンダ内面は、射
出、押出両成形方法とも、使用中にかなりの頻度で接触
していると考えられる。この際、取扱われる樹脂等は極
圧添加剤のように摩擦抑制作用をなす場合もあるが、通
常は摩耗と腐食あるいはその相乗作用によりスクリュと
シリンダを寿命に至らしめる。そこで、本発明者は、樹
脂成分による腐食のうち、最も問題になっているふっ素
による腐食に対する耐食性を最重要視し、かつ、炭素や
ガラス繊維等のいわゆるフィラーに対する耐摩耗性をも
兼備した最適なシリンダとスクリュの組合せを検討した
。まず、シリンダについては、ライニング層を形成する
合金材料の組成を最適化するとともに、その合金材料を
HIP(熱間静水圧プレス、以下HIPと記す)プロセ
スによりシリンダ母材の内面上で加圧焼結することによ
り、ライニング層に鉄が侵入せず、したがって、該ライ
ニング層は優れた耐食性を有するとともに、後述の特定
材質のスクリュとの組合せによる優れた耐摩耗性を有す
ることを発見し、本発明に想到した。すなわち、本発明
の一部をなすライニング層とシリンダ母材とからなる複
合シリンダは、前記ライニング層が、重量比で、B 0
.5〜4.0%、C 0.7%以下、Si 0.6〜6
.0%、Mn 2.0%以下、Cr 20.0%以下、
Cu 4.0〜40.0%、残部実質的にNiおよび不
可避的不純物からなるHIPプロセスによる焼結合金ラ
イニング層を有することを特徴とする。また、この複合
シリンダと組合せで使用されるスクリュの少なくとも螺
旋山形部が含Bの低融点Ni基合金による肉盛り層で構
成されているものである。よって、本発明のうち第1の
発明は、重量比で、B 0.5〜4.0%、C 0.7
%以下、Si 0.6〜6.0%、Mn 2.0%以下
、Cr 20.0%以下、Cu 7.0〜40.0%、
残部実質的にNiおよび不可避的不純物からなるHIP
プロセスによる焼結合金ライニング層を有するシリンダ
および少なくとも螺旋山形部が含Bの低融点Ni基合金
による肉盛り層で構成されたスクリュの組合せでなるこ
とを特徴とする射出または押出成形機であり、第2の発
明は前記シリンダのライニング層として、さらにMo 
0.3〜3.0重量%を含有せしめたものである。
【0008】さらに本発明のシリンダにおいては、上述
のシリンダのライニング層に、周期律表のIVa族、V
a族あるいはVIa族に属する元素の炭化物からなる微
粒子を均一に分散させることにより、耐摩耗性をさらに
向上することができる。これが本発明の第3の発明であ
る。上記炭化物からなる微粒子を含有する場合、含有率
は、ライニング層を形成する合金材料 100重量部当
り、5〜60重量部であるのが好ましい。5重量部未満
であると耐摩耗性の向上が少ないし、60重量部を超え
ると機械的強度の低下が大きいため好ましくない。また
、この場合は、前記炭化物からなる微粒子の粒径が5〜
100μmであるのが好ましい。5μm未満であると均
一に分散せず、また100μmを超えるとライニング層
の強度が低下するため好ましくない。
【0009】
【作用】次に、本発明のシリンダのライニング層とスク
リュの母材および山形部の肉盛り層の合金の成分範囲の
限定理由について述べる。先ず、シリンダのライニング
層について述べる。Bの含有率は0.5〜4.0重量%
とする。Bは組織中に高硬度の硼化物を形成し、合金の
耐摩耗性および耐食性を向上させる作用を有するが、0
.5重量%未満ではその効果が得られず、また、4.0
%を超えると合金の強度を劣化させてしまう。Cの含有
率は、0.7重量%以下である。CはCrと炭化物を形
成し、基地の硬さと強度を増大させ、耐摩耗性を向上さ
せる作用を有するが、0.7重量%を超えると合金の硬
さおよび強度を低下させてしまう。Siの含有率は0.
6〜6.0重量%である。Siは耐摩耗性を向上させる
作用を有するとともに、アトマイズ処理により、合金粉
末を得る際に粉末粒径を均一化する作用を有するが、0
.6重量%未満では、その効果が得られず、また6.0
重量%を超えると合金の靭性を損なってしまう。
【0010】Mnの含有率は、2.0重量%以下である
。Mnは、Siとともに脱酸剤として作用するとともに
、不純物として混入するSによる影響を防止する作用を
有するが、2.0重量%を超えると合金の靭性および耐
食性を損なってしまう。Crの含有率は20.0重量%
以下である。CrはC,Bと結合して炭化物、硼化物を
形成し、耐摩耗性を向上させる作用を有するが、20.
0重量%を超えると合金の靭性を低下させてしまう。C
uの含有率は、4.0〜40.0重量%である。Cuは
酸に対する耐食性を向上させる作用を有するが、4.0
重量%未満ではその効果が得られず、また40.0重量
%を超えると合金の硬さを著しく低下させてしまう。な
お、不可避的に混入するFeの含有率は5.0重量%以
下である。Feは理想的には含まないのが好ましい。F
eが含有される量は5%以上に増加すると硬さが低下す
るとともに、酸に対する耐食性を低下させてしまう。
【0011】また、本発明のシリンダのライニング層に
は、Moを含有することも可能であり、この場合Moの
含有率は0.3〜3.0重量%である。Moは、特に塩
酸に対する耐食性を向上させる作用を有するが、0.3
重量%未満では、その作用が不十分であり、また3.0
重量%を超えるとその作用が飽和し、合金の経済性を損
なう。また、本発明のシリンダのライニング層とする粉
末は、上述した成分組成の原料を溶融し、ガスアトマイ
ズ法等により粉末化して製造すればよい。上記原料は融
点が余り高くなく、また溶湯の粘度が低いため、ガスア
トマイズ法による粉末化に適する。ガスアトマイズ法は
、Arガス等を用い、通常の方法により行なうことがで
きる。アトマイズ粉末の粒径は、HIPが可能である限
り特に限定されないが、組成の均一性を高めるために、
10〜100μm程度であるのが好ましい。
【0012】次に、スクリュの山形部に肉盛りで形成さ
れる含B低融点Ni基合金層の作用について述べる。本
発明で使用する肉盛り合金材料は、コルモノイ(商品名
)等の名称で、粉末、棒の形態で供給されているもので
ある。これによる合金層が高い耐摩耗性、耐食性を要求
される射出または押出成形機に前記ライニング層と組み
合わされて高い総合性能を示す理由は、1つはコルモノ
イ中のBが肉盛層中でCやCrと高硬度の硼化物を形成
し、肉盛層の耐摩耗性や耐食性を向上させること、他の
1つはコルモノイが低融点であって、肉盛り作業時に母
材に過度の熱影響を与えず、したがってスクリュに肉盛
りに伴う母材の特性の変化を生じさせないことであると
考えられる。そして、シリンダもスクリュも相対する部
分は、同程度の硬さと耐食性を有しているのでバランス
がとれており、一方が極端に早期に摩耗や腐食が進むこ
となく、ほぼ均等に材料の損耗がゆっくり進行すると考
えられる。含Bの低融点Ni基合金肉盛り層のより望ま
しい組成範囲は、重量比で、C 0.1〜0.8%Si
 0.1〜5.0%、Cr 8〜16%、Fe 2.0
〜5.0%、B 1.5〜5.0%、残部Feおよび不
可避不純物からなるものまたは前記Crに代えてCu 
2〜3%としたものがよい。これが本発明のうち、第4
の発明である。
【0013】次にスクリュの母材は、γ′析出強化型ニ
ッケル基合金が望ましい。これは該合金が優れた耐食性
を示すと共に、特に強度や強さの必要性から、少なくと
もHRC30以上を確保するためである。また、Ni基
であり添加元素の種類としても類似する肉盛り合金層と
のなじみの点からも該合金が望ましい。具体的な合金の
例としては、ルネ41合金(19Cr−11Co−10
Mo−3.2Ti−1.5Al−残Ni)や13Cr−
13Co−12Mo−3.5Ta−1.5Ti−0.4
5Al−3.5Fe−残Niで示される合金等が適して
いる。このように母材をγ′析出強化型ニッケル基合金
とすることにより、谷部への肉盛を省略することも可能
となる。なお、山形部に肉盛をするに際し、注意しなけ
ればならないのは、山形部底部の剪断強度、曲げ強度不
足による山底部からの破断についてである。本発明にお
いては、係合部、具体的にはスクリュ母材の外周に螺旋
状に連なる突起部、または螺旋状に連なる溝部を設け、
当該部分に沿って肉盛層(山形部)を形成することによ
り、剪断強度、曲げ強度不足に対処するとよい。なお、
粉体肉盛溶接後に時効処理などのしかるべき熱処理を施
し、肉盛層の強度向上をはかることも有用である。
【0014】
【実施例】次に本発明の一部である複合シリンダについ
て、先ず、その製造方法の一例を説明する。図1は、シ
リンダ母材1内にライニング層形成用合金粉末3aを充
填した状態を示す断面図である。図1に示すように、ホ
ッパー用開口部41を有し、高強度鋼材等からなるシリ
ンダ母材1の内側に、芯金2を挿入することにより、シ
リンダ母材1と該芯金2との間に環状の中空部を形成し
、芯金2およびシリンダ母材1の両端に、蓋4、5を溶
接等で接合することによりシールする。この場合、ライ
ニング用の合金粉末3aは開口部41より入れることに
なるが、場合によっては、蓋4、5の一方を合金粉末充
填後にシールするようにしてもよい。合金粉末の充填は
シリンダ母材1に振動を適当に与えることにより行なう
のが望ましい。最後にホッパー用開口部41も、蓋8に
よりシールする。なお、芯金2および蓋4、5は軟鋼等
により作製することができる。合金粉末が密封充填され
たシリンダ組立体は、排気チップ6より真空排気し、該
チップを封止した後、HIP装置内に装填され、HIP
処理が行なわれるが、通常のHIP処理条件は、温度9
00〜1,050℃、圧力 1,000〜1,500a
tmであり、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で1〜5
時間行なう。
【0015】HIP処理を行なった後の複合体は、切削
加工等により蓋4、5を、次いで、芯金2を除去し、シ
リンダ内面の仕上げを行なう。以上により作製される複
合シリンダは、ライニング層がHIPプロセスにより形
成されるため、Feがシリンダ母材から侵入することが
なく、HIP合金本来の優れた硬度および耐食性を有し
、また、該ライニング層は、相手材である特定材質の山
形部を有するスクリュとの組合せにより、相互に優れた
耐摩耗性を示す。なお、上述した複合シリンダには、H
IP処理後または芯金2等の除去後、適当な熱処理を施
し、シリンダ母材を所望の組織にすることにより、シリ
ンダ母材の強度を向上させ、ライニング層の耐クラック
性を向上させることも可能である。このような熱処理を
施す場合に最適なシリンダ母材について説明する。シリ
ンダ母材として、亜共析または共析の合金鋼を用いるこ
とが好ましい。合金鋼として、Cr−Mo鋼を用いる場
合、日本工業規格(JIS G 4105)に規定され
るSCM440、SCM445相当のCr−Mo鋼が、
強度上特に好ましい。また、合金鋼として、Ni−Cr
−Mo鋼を用いる場合には、日本工業規格(JIS G
4103)に規定されるSNCM439相当のNi−C
r−Mo鋼が、強度上特に好ましい。
【0016】また、上述のようにシリンダ母材に適当な
熱処理を施すことにより、その組織を強度上有利な構成
にするが、この場合、20%以上をベイナイト組織、残
部をソルバイト組織とすることが好ましい。組織のベイ
ナイトが20%未満であると十分な強度が得られず好ま
しくない。以上に示す組織構成とするために、本実施例
では、上述した複合シリンダに熱処理を施したが、この
熱処理方法を図2に示す熱処理パターンにより、以下に
説明する。ここで、図2の横軸は時間、縦軸は温度であ
り、また熱処理パターン上のAは焼入加熱工程、Bは冷
却工程、Cは保持工程、Dは焼もどし加熱工程、Eは焼
もどし工程、Fは室温までの冷却工程を示している。本
実施例においては、A〜Fの全工程はHIP装置内で行
なった。すなわち、Aに示す焼入加熱工程はHIPの圧
密化処理を兼ね、またはその後適当温度に保持する工程
である。その後Bに示す冷却工程において、ベイナイト
変態温度域まで冷却した。この時の冷却温度は40〜1
00℃/分とするとよい。この冷却速度が40℃/分未
満であると、トルースタイトを生じ、また100℃/分
を超えるとライニング層の内面に割れが生じ易くなる。 次いでCに示す保持工程において、ベイナイト変態を生
ぜしめる。この温度範囲は、300〜550℃とすると
よい。この温度が300℃未満であると低温でのシリン
ダ母材の変態膨張によりライニング層の内面に割れが生
じ易くなり、また550℃を超えるとパーライトが生じ
る。また、保持工程Cにおける保持時間は10分以上で
ある。保持時間が、10分未満であると、シリンダ母材
のベイナイト量が20%未満となり、十分な強度が得ら
れなくなる。次いでDに示すように焼もどし温度まで加
熱を行なうが、この時、加熱速度は1〜10℃/分であ
る。加熱速度が1℃/分未満であると、シリンダ母材の
ベイナイト量が過多となり、ライニング層の内面に割れ
が発生しやすくなる。また10℃/分を超えると、逆に
ベイナイト量が不足して強度が得られなくなる。次いで
Eに示す焼もどしを行なうが、この時、焼もどし温度は
550〜650℃である。焼もどし温度が550℃未満
であると残留応力除去という焼もどしの目的を果たさず
、また650℃を超えると金属組織に影響を及ぼす。ま
た焼もどし時間は、1〜5時間である。焼もどし時間が
1時間未満であると十分に残留応力を除去できず、また
5時間を超えても、その効果に著しい変化はない。  
最後にFに示すように室温まで冷却する。以上により形
成される本実施例における複合シリンダは、シリンダ母
材の強度が著しく向上するため、ライニング層が優れた
疲労強度、特に耐クラック性を有する物となる。 以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。
【0017】(実施例1)図1に示す構造の組立体を上
述の方法により作製した。ライニング層用の合金粉末と
して、B 2.5重量%、C 0.2重量%、Si 2
.5重量%、Mn 1.0重量%、Cr 10重量%、
Fe 0.5重量%、Cu 10重量%、残部実質的に
Niおよび不可避的不純物からなる合金のアトマイズ粉
末を用い、またシリンダ母材としてSCM440を用い
た。HIP処理条件は、Arガス雰囲気中、温度 95
0℃、圧力 1,000atm、4時間である。図2に
示した熱処理を施したが、その処理については後に述べ
る。 (実施例2)実施例1と同様に、組立体を作製した。ラ
イニング層用合金粉末として、B 2.5重量%、C 
0.3重量%、Si 2.5重量%、Mn 1.0重量
%、Cr 10重量%、Fe 0.5重量%、Cu 1
0重量%、Mo 1.0重量%、残部実質的にNiおよ
び不可避的不純物からなる合金のアトマイズ粉末に、さ
らにWCからなる粒径 5〜30μm微粒子をアトマイ
ズ粉末 100重量部当り、20重量部均一に分散させ
たものとした。また、シリンダ母材としてSNCM43
9を用いた。HIP処理条件は、温度 950℃、圧力
 1,000atmであり、Arの不活性ガス雰囲気中
で4時間の条件であった。熱処理以降の処理については
後に述べる。
【0018】(実施例3)実施例1によるHIP処理に
引き続き、形成された複合シリンダにさらに熱処理を施
した。この時の熱処理条件は、加熱温度 900℃(図
2に示すA)、冷却速度 80℃/分(図2に示すB)
、ベイナイト変態を起こす温度 500℃、保持時間 
20分(図2に示すC)、加熱速度 5℃/分(図2に
示すD)、焼もどし温度 630℃、保持時間 5時間
(図2に示すE)であった。以上により、形成された複
合シリンダのシリンダ母体の組織は、約50%のベイナ
イトと約50%のソルバイトからなっていた。 (実施例4)実施例2によるHIP処理に引き続き、形
成された複合シリンダにさらに熱処理を施した。この時
の熱処理条件は、加熱温度 870℃(図2に示すA)
、冷却速度 50℃/分(図2に示すB)、ベイナイト
変態を起こす温度 450℃、保持時間 20分(図2
に示すC)、加熱速度 5℃/分(図2に示すD)、焼
もどし温度 600℃、保持時間 5時間(図2に示す
E)であった。 以上により、形成された複合シリンダのシリンダ母体の
組織は、約60%のベイナイトと約40%のソルバイト
からなっていた。
【0019】上述した本実施例の複合シリンダについて
、単独でライニング層の耐摩耗性、耐食性およびシリン
ダ母材の強度を測定した。耐摩耗性については、成形機
用シリンダから、10mm×15mm×10mmの大き
さの試料を作製し、#400の研磨紙に、荷重 2.0
kgで押圧し、480mの距離を摺動させた後にライニ
ング材の摩耗量を調べた。 この結果を、後述する比較例の結果を10とした時の相
対値によって表し、耐摩耗性を評価した。耐食性につい
ては、成形機用シリンダから試料を作製し、50℃の1
0%HF水溶液中に24時間浸漬した後に、ライニング
材の腐食原料量率を調べた。この結果を、上記耐摩耗性
についてと同様SACM645の窒化品である比較例の
結果を10とした時の相対値によって表し、腐食性を評
価した。これらの結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から明らかなように、実施例1,2,
3,4の複合シリンダにおいては、ライニング層が優れ
た耐摩耗性および耐食性を有していた。また、実施例3
,4の複合シリンダにおいては、適当な熱処理が施され
ているために、シリンダ母材の強度が著しく向上してい
ることがわかる。そのため、作動中の高い内圧を母材が
十分な強度でバックアップすることにより、ライニング
層に加わる歪が小さくなり、疲労強度および耐クラック
性が向上する。なお、本実施例においては、単軸の複合
シリンダを例にとり説明したが、複数軸の複合シリンダ
とすることも可能であり、この場合も良好な効果を発揮
することは勿論である。
【0022】次に本発明の一部をなすスクリュについて
の単度での耐摩、耐食テストについて述べる。 (実施例5)表2にテストを行なった本発明のスクリュ
用の母材と肉盛材との組合せ、ならびに比較材としてγ
′析出強化型Ni基合金および従来のマトリックス強化
型Ni基合金(ハステロイC)と冷間引抜きをしたハス
テロイC−276について、スクリュ側単独での耐食性
および耐摩耗性テストの結果の比較を、表3には表2記
載の各種材料の化学成分を示す。なお、本発明のスクリ
ュのデータは立方体状の母材表面にプラズマ粉体肉盛溶
接して作製したテストピースによるものである。また、
表2のうち、本発明の組合せについて、同様の母材表面
にTIG肉盛りして作製したテストピースについても同
様のテストを行なった。その結果はほとんど同じであり
、これから作業の容易な方を適宜選択し得ることがわか
った。しかし、粉体肉盛法はより高合金のもの、WC等
硬質粒子の配合が可能である等の利点がある。表2から
本発明品は、耐食性については比較材とほぼ同程度であ
るが、耐摩耗性については格段に優れた結果が出ており
、いずれも長寿命化が期待できるものであることがわか
る。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】(実施例6)図3は本発明の一部であるス
クリュの製造に際して、採用したスクリュの製造方法を
示す図である。スクリュ母材10は予め溶体化処理、お
よび時効処理を施した後、山形経路に沿って所定断面形
状の螺旋溝11を施したものを使用し、所定温度に予定
した後、その溝に沿って、図のように1〜4の4工程で
TIG溶接により肉盛形成した。肉盛り作業を行なった
のは、表2のNo.1,6,8,9であり、肉盛り施行
後、直ちに所定温度の後熱を施した。いずれも冷却後に
割れ、大幅な変形等はなく、その後二点鎖線で示す仕上
形状に機械加工を行なった。この予め形成した螺旋溝1
1に肉盛りする方法は、粉体プラズマ肉盛法でもテスト
した結果、支障なく採用できることが確認された。特に
粉体肉盛法においては、高価な肉盛用粉末の使用量を従
来に比し、格段に減少することができ、この結果TIG
法においてさえ、総合製造コストを大幅に削減可能であ
ることが確認できた。
【0026】次に、シリンダとスクリュとの組合せにつ
いてのテスト結果を述べる。表4に射出形成機に組み込
み、寿命テストを行なったシリンダとスクリュの組合せ
およびその結果をまとめた。シリンダは、本発明として
前記の実施例1および2で述べたものである。また、比
較例のシリンダは、SCM440の母材にNi Bal
%、Si 3.5%、Cr 15%、B 3.0%の粉
末を本発明のシリンダと同様にHIP処理したもの、S
CM440母材にNi Bal%、Si 2.0%、C
r 13%、B 2.5%、V15%、C 3.2%の
粉末をHIP処理したもの、および焼入れ焼もどし熱処
理により、硬さHRC約32としたSACM645の内
面に深さ約0.15mm、表面硬さ約HV1100の窒
化を施したものとした。表4にはそれぞれライニングの
硬さを付記した。一方、スクリュは表2のNo.6(A
)およびNo.8(B)とした。
【0027】
【表4】
【0028】組合せテストは、ふっ素樹脂の押出成形用
とし、いずれも約1ヶ月間のランニング使用後、分解、
寸法測定により、シリンダ、スクリュそれぞれの摩耗量
を算出し、また、摩耗表面の状況を観察した。表4から
次のことがわかる。 1.同一構成であるAおよびBのスクリュとも、相手シ
リンダの内面の材質が異なることにより、自身の摩耗量
が指数100〜11と大幅に変化する。この際、相手材
と自身の摩耗量の関係は必ずしも槓杆関係とはならない
。 2.本発明の組合せは、ふっ素樹脂に対し、シリンダ、
スクリュとともに、いずれの比較例に対しても高い耐摩
耗性能を有し、シリンダの内面は滑らかである。また、
十分な耐食性(変色なし)を有し、このため、成形され
る製品も汚染されることがない。 3.さらにWC 20%添加したシリンダは(テストN
o.23,24)は、一層高い耐摩耗性を示し、摩耗は
ほとんど認められない程度であり、一方、スクリュの摩
耗量の増加は僅少である。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の特定成分範
囲のHIPによる焼結合金ライニングを有するシリンダ
と低Bの低融点Ni基合金肉盛り山形を有するスクリュ
との組合せは、ともに高い耐食性を有して、ふっ素樹脂
への使用に十分耐え、かつ摩耗に対して相性がよく、互
いに少摩耗量化効果を有し、総合工具費低減に有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】HIP処理の前のシリンダを示す図である。
【図2】シリンダのHIP処理後の熱処理を示す図であ
る。
【図3】実施例で採用したスクリュ製造過程を説明する
図である。
【符号の説明】
1  シリンダ 2  芯金 3a  合金粉末 4,5  蓋 6  排気チップ 8  蓋 41  開口部 A  焼入加熱工程 B  冷却工程 C  保持工程 D  焼もどし加熱工程 E  焼もどし工程 F  冷却工程

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量比で、B 0.5〜4.0%、C
     0.7%以下、Si 0.6〜6.0%、Mn 2.
    0%以下、Cr 20.0%以下、Cu 4.0〜40
    .0%、残部実質的にNiおよび不可避的不純物からな
    るHIPプロセスによる焼結合金ライニング層を有する
    シリンダおよび少なくとも螺旋山形部が含Bの低融点N
    i基合金による肉盛り層で構成されたスクリュとの組合
    せでなることを特徴とする射出または押出成形機。
  2. 【請求項2】  請求項1のシリンダのライニング層の
    NiをMo 0.3〜3.0重量%で置換したものであ
    る射出または押出成形機。
  3. 【請求項3】  シリンダのライニング層は、請求項1
    または2に記載の上にさらに100重量部当り、IVa
    族、Va族あるいはVIa族に属する元素の炭化物の微
    粒子 5〜60重量部を均一に分散させてなる射出また
    は押出成形機。
  4. 【請求項4】  含Bの低融点Ni基合金肉盛り層は、
    重量比で、C 0.1〜0.8%Si 0.1〜5.0
    %、Cr 8〜16%、Fe 2.0〜5.0%、B 
    1.5〜5.0%、残部Feおよび不可避不純物からな
    るものまたは前記Crに代えてCu 2〜3%とした請
    求項1〜3に記載の射出または押出成形機。
  5. 【請求項5】  スクリュの母材は、γ′析出強化型ニ
    ッケル基合金である請求項1〜4に記載の射出または押
    出成形機。
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