JP5248426B2 - 重合触媒および芳香族ビニル化合物重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、
1. 下記の(A)成分と(C)成分をモル比〔(C)/(A)〕40以上で接触させて得られる接触生成物(I)と下記の(B)成分を接触させて得られる重合触媒、
(A)成分:下記の一般式(I)または(II)で表される遷移金属化合物
(B)成分:前記接触生成物(I)と反応してイオン性錯体を形成させる、非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物
(C)成分:有機金属化合物
2. 芳香族ビニル化合物を原料モノマーとして使用する重合反応用の触媒である前記1に記載の重合触媒、
3. 原料モノマーが芳香族ビニル化合物であり、触媒として前記1または2に記載の重合触媒を使用する、芳香族ビニル化合物重合体の製造方法、
4. 原料モノマーが芳香族ビニル化合物並びにオレフィン系化合物および/またはジエン系化合物であり、触媒として前記1または2に記載の重合触媒を使用する、共重合体の製造方法を提供するものである。
本発明の重合触媒は、下記の(A)成分と(C)成分をモル比〔(C)/(A)〕40以上で接触させて得られる接触生成物(I)と下記の(B)成分を接触させることで得られる触媒である。
(A)成分:特定の遷移金属化合物
(B)成分:前記接触生成物(I)と反応してイオン性錯体を形成させる、非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物
(C)成分:有機金属化合物
以下において、各成分について更に詳しく説明する。
R1〜R11で表される炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。
R1〜R11で表される炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、トリ−t−ブチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントニル基等が挙げられる。
R1〜R11で表される炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
R1〜R11で表される炭素数6〜20のアリーロキシ基の具体例としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
R1〜R11で表される炭素数1〜20のチオアルコキシ基の具体例としては、例えば、チオメトキシ基等が挙げられる。
R1〜R11で表される炭素数6〜20のチオアリーロキシ基の具体例としては、例えば、チオフェノキシ基等が挙げられる。
R1〜R11で表されるアミノ基の具体例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
R1〜R11で表されるアミド基の具体例としては、例えば、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基等が挙げられる。
R1〜R11で表されるシリル含有基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等が挙げられる。
Mで表されるランタノイド系列の金属の具体例としては、ランタン、サマリウム、ネオジム、プラセオジム、ガドリニウム、テルビウム、セリウム、ホルミウム、ルテチウム等が挙げられる。
本発明においてMは好ましくは周期律表第3族の金属であり、より好ましくはスカンジウムである。
ハロゲン原子の具体例としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基等のアルキル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、N,N−ジメチルアミノベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアミド基の具体例としては、例えば、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基等が挙げられる。
炭素数1〜20のシリル含有基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のホスフィド基の具体例としては、例えば、ジフェニルホスフィド基等が挙げられる。
炭素数1〜20のスルフィド基の具体例としては、例えば、フェニルスルフィド基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基の具体例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
アミン類の具体例としては、例えば、ジメチルアニリンが挙げられる。
エーテル類の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが挙げられる。
ホスフィン類の具体例としては、例えば、トリメチルホスフィンが挙げられる。
チオエーテル類の具体例としては、ジエチルスルフィドが挙げられる。
本発明の(I)式で表される遷移金属化合物を調製する際は、有機溶媒中加熱条件下で行う。この際に、配位子は目的の遷移金属を含有する遷移金属化合物に対して1.0のモル比で使用することが重要である。
本発明の(II)式で表される遷移金属化合物を調製する際は、有機溶媒中低温条件下で行う。この際に、上記と同様の当量比で反応を行う。
上記の接触操作は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。好ましい有機溶媒としては、ヘキサンが挙げられる。
また、(I)式化合物と(II)式化合物の作り分けは(I)式および(II)式中のR1〜R11を選択することで可能となる。
イオン性化合物Aとしては、非配位性アニオンと置換又は無置換のトリアリールカルベニウムイオンからなるイオン性化合物や、非配位性アニオンと置換又は無置換のアニリニウムイオンからなるイオン性化合物が挙げられる。
(BZ1Z2Z3Z4)- (IV)
式(IV)中、Z1〜Z4は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(ハロゲン置換アリール基を含む)、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基及び有機メタロイド基又はハロゲン原子を表す。
〔CR12R13R14〕+ (V)
式(V)中、R12、R13及びR14は、それぞれフェニル基,置換フェニル基,ナフチル基及びアントラセニル基等のアリール基であって、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
C6H5-kR15 k (VI)
式(VI)中、R15は、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリーロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基及びハロゲン原子を表し、kは1〜5の整数である。kが2以上の場合、複数のR15は同一であってもよく、異なっていてもよい。
〔L−R16〕+ (VII)
(VII)式中、Lは、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等の芳香族アミンを表す。R16は芳香族アミンの窒素原子と結合する基であり、水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、R16の具体例としてはメチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができる。
本発明において、(B)成分として用いられるイオン性化合物Aは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
これらの有機アルミニウム化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明の重合触媒を調製する際は、まずは、前記(A)成分と前記(C)成分を接触させて接触生成物(I)を調製する。この際に(C)成分を過剰に用いることが重要であり、モル比〔(C)/(A)〕が40以上である。モル比が40未満であると、触媒活性が低下するとともに、触媒の保存安定性が悪くなる。当該観点からより好ましくは50〜300である。
次に、前記接触生成物(I)に前記(B)成分を接触させることで接触生成物(II)(本発明の重合触媒)が得られる。(B)成分は、(A)成分の遷移金属化合物に対して、通常、1.0〜2.5のモル比で使用される。
上記の接触操作は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。通常は、溶媒を用いて接触操作を行う。好ましい溶媒としては、トルエンが挙げられる。接触させる際の温度は、通常5〜70℃であり、好ましくは5〜35℃である。
重合体を製造する場合、重合触媒は、予め触媒調製槽において調製したものを使用してもよいし、重合反応器内において調製したものをそのまま使用してもよい。
本発明の重合触媒は、芳香族ビニル化合物を原料モノマーとして使用する重合反応(単独重合反応や共重合反応)に特に好適に用いられる。前記単独重合反応の例としては、芳香族ビニル化合物一種の単独重合反応が挙げられる。また、前記共重合反応の例としては、芳香族ビニル化合物二種以上の共重合反応や芳香族ビニル化合物並びにオレフィン系化合物および/またはジエン系化合物の共重合反応が挙げられる。なお、本明細書において、これらの反応で得られる重合体、すなわち芳香族ビニル化合物から構成される連鎖を有する重合体を、芳香族ビニル化合物重合体と表す。
(1)Sc錯体Aの合成
トリス(トリメチルシリルメチル)スカンジウムTHF錯体(0.5mmol)にヘキサン2mLを加え、室温下で配位子a、0.5mmolを含んだヘキサン溶液8mLを加えた。50℃で11時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、黄白色粉末199mgを得た。1H−NMR測定の結果、Sc錯体Aであることを確認した。
加熱乾燥した30mLのワインボトル型バイアル瓶に、窒素雰囲気下、室温でスチレン5mL、トリイソブチルアルミニウム0.79μmolを加え、インナーキャップ及びアルミシールにより封印した。このワインボトル型バイアル瓶を60℃のウオーターバスに入れた後、上記(1)で得られたSc錯体A、0.1μmolとトリn−ブチルアルミニウム5μmolを接触させ30分後にジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.12μmolを25℃で接触させた触媒を用いて5分後に重合を行った。1時間後、反応生成物にメタノールを投入し攪拌した後にろ別し、得られたポリマーを200℃で3時間乾燥した。0.3gのシンジオタクチックポリスチレンが得られた。立体規則性は98%以上であった。
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、室温で脱水トルエン190ml、スチレン200mL、トリイソブチルアルミニウム0.5mmolを加え、60℃に昇温した。昇温後、エチレン(0.2MPa)を入れた。上記(1)で得られたSc錯体A、0.025mmolとトリイソブチルアルミニウム1.25mmolを接触させ30分後にジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.03mmolを接触させた。5分後にこの触媒をオートクレーブに入れ、重合を行った。1時間後、反応生成物にメタノールを投入し攪拌した後にろ別し、得られたポリマーを200℃で3時間乾燥した。スチレン部82.5モル%、エチレン部17.5モル%のシンジオタクチックポリスチレン共重合体が1.3g得られた。スチレン部の立体規則性は98%以上であった。
DSC測定において、125、237、257℃にTmが観測され、エチレン連鎖が長いことが分かった。
(1)Sc錯体Bの合成
トリス(トリメチルシリルメチル)スカンジウムTHF錯体(0.3mmol)にヘキサン2mLを加え、−35℃で配位子b、0.3mmolを含んだヘキサン溶液8mLを加えた。室温にて11時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、黄白色粉末37mgを得た。1H−NMR測定の結果、Sc錯体Bであることを確認した。
加熱乾燥した30mLのワインボトル型バイアル瓶に、窒素雰囲気下、室温でスチレン5mL、トリイソブチルアルミニウム0.79μmolを加え、インナーキャップ及びアルミシールにより封印した。このワインボトル型バイアル瓶を60℃のウオーターバスに入れた後、上記(1)で得られたSc錯体B、0.1μmolとトリn−ブチルアルミニウム5μmolを接触させ30分後にジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.12μmolを25℃で接触させた触媒を用いて5分後に重合を行った。1時間後、反応生成物にメタノールを投入し攪拌した後にろ別し、得られたポリマーを200℃で3時間乾燥した。0.3gのシンジオタクチックポリスチレンが得られた。立体規則性は98%以上であった。
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、室温で脱水トルエン190ml、スチレン200mL、トリイソブチルアルミニウム0.5mmolを加え、60℃に昇温した。昇温後、エチレン(0.2MPa)を入れた。上記(1)で得られたSc錯体B、0.025mmolとトリイソブチルアルミニウム1.25mmolを接触させ30分後にジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.03mmolを接触させた。5分後にこの触媒をオートクレーブに入れ、重合を行った。1時間後、反応生成物にメタノールを投入し攪拌した後にろ別し、得られたポリマーを200℃で3時間乾燥した。スチレン部96.1モル%、エチレン部3.9モル%のシンジオタクチックポリスチレン共重合体が2.3g得られた。Mw=56,000、スチレン部の立体規則性は98%以上であった。DSC測定において、125、242、260℃にTmが観測され、エチレン連鎖が長いことが分かった。
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、窒素雰囲気下、室温で脱水トルエン367mL、トリイソブチルアルミニウム0.9mmol、スチレン25mlを加えた。攪拌しながら温度を70℃にした後、(1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐フルオレンニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム0.009mmolとトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.009mmolを予め混合した溶液7.5mlを加えた。続いてエチレンで圧力を0.1MPaに保ちながら15秒間重合した。その結果、スチレン/エチレン共重合体8.2gを得た。活性は244Kg/gSc/hrであった。
得られたポリマーの組成はエチレンが11モル%、スチレンが89モル%、DSC測定において、融点は253℃であり、ポリエチレン部に起因する融点は現れなかった。重量平均分子量Mwは75,6000、分子量分布Mw/Mnは2.4、スチレン連鎖の立体規則性(ペンタッドラセミ分率[rrrr])は99.0%以上であった。
Claims (3)
- 下記の(A)成分と(C)成分をモル比〔(C)/(A)〕40以上で接触させて得られる接触生成物(I)と下記の(B)成分を接触させて得られる重合触媒であって、芳香族ビニル化合物を原料モノマーとして使用する重合反応用の触媒である、重合触媒。
(A)成分:下記の一般式(I)または(II)で表される遷移金属化合物
(B)成分:前記接触生成物(I)と反応してイオン性錯体を形成させる、非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物
(C)成分:有機アルミニウム化合物及び/又は有機亜鉛化合物 - 原料モノマーが芳香族ビニル化合物であり、触媒として請求項1に記載の重合触媒を使用する、芳香族ビニル化合物重合体の製造方法。
- 原料モノマーが芳香族ビニル化合物並びにオレフィン系化合物および/またはジエン系化合物であり、触媒として請求項1に記載の重合触媒を使用する、共重合体の製造方法。
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