JP5247972B2 - アゾレーキ顔料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等の滲出が起こりにくく、かつ従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するC.I.ピグメントレッド57:1、その製造方法及びオフセットインキ用顔料水ペーストに関する。
C.I.ピグメントレッド57:1は、通称、カーミン6Bやリソールルビンと呼ばれ、また、カルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート](IUPAC名)、2−ナフタレンカルボン酸,3−ヒドロキシ−4−[(4−メチル−2−スルフォフェニル)アゾ]−,カルシウム塩(1:1)(CAS名)とも称される紅顔料であり、主な用途は、印刷インキである。
C.I.ピグメントレッド57:1はアゾレーキ顔料の一つであり、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩(以下ジアゾ成分と称す)を含む懸濁液と、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸のカップラー成分を含む水溶液とのカップリング反応とレーキ化反応とを水中において行うことで得られる。こうして得られた顔料の水懸濁液をろ過、水洗して含水率60〜80%の湿潤状態の顔料水ペースト等を得る。顔料は、この湿潤状態(ウエット)で被着色媒体の着色に供されるか、または更に乾燥して、乾燥状態(ドライ)の顔料として被着色媒体の着色に供される。
しかしながら、従来から、前記合成後の顔料水懸濁液をろ過、水洗する工程において、著しく赤く着色した排水が排出されることが知られている。
さらに、顔料水ペーストの様な湿潤状態の顔料を用いたインキの製造方法、例えばフラッシング法を用いた製造工程においても、顔料水ペースト由来の遊離水をデカンテーションすることが不可欠であり、そこで発生した排水(フラッシング排水)はやはり赤く着色していた。
この様な赤く着色した排水の着色要因は、不溶化されていない水溶性アゾ染料である。またこの様な水溶性アゾ染料による、例えば浮き汚れや地汚れは、アゾレーキ顔料本来の優れた印刷適性に悪影響を及ぼすものである。
一般に染料を含有する着色排水は、環境負荷を表すCOD,BOD値が比較的小さいにもかかわらず、着色度が極端に高い。例えば赤色の塩基性染料を1ppm含有する排水の着色度は希釈法(水深30cmの透視度計を用いて、希釈した排水を蒸留水と比較して区別がつかなくなった希釈倍数を表す)で約400であって、環境負荷が小さくとも濃色であり、美観を損ね、感覚的に強い汚染感を与える。
従って、顔料の製造時や使用時に排出される着色排水は、COD処理などの排水処理に加えて着色を除くための脱色処理が必要であり、通常、無機凝集剤及び/又は高分子凝集剤による凝集沈澱法又は浮上法が採用されている場合が多い。無機凝集剤は固型物換算で、顔料製造時の排水に対して約1,000ppm添加される。また、特許文献1には、水溶性染料を含有する着色排水を、経済的でかつ簡単な操作で脱色する方法が記載されている。
しかしながら、アゾレーキ顔料の製造工程内においては、今まで根本的な水溶性アゾ染料の発生の撲滅や抑制に関する対策は行われてこなかった。即ちこの脱色処理は、対症療法的なものであり、アゾレーキ顔料の製造工程で発生してしまった着色排水を脱色するために、依然として多量の凝集剤や処理物を廃棄物として処分できる形態とするための処理工程を別途必要としており、顔料およびインキメーカーのコストアップの大きな要因となっている。そこで、顔料には、脱色処理を必要としない、すなわち排水の着色度が極めて小さいことが望まれている。
また特許文献2には、レーキ顔料、該モノアゾ染料に対して3〜15重量%のロジン、該モノアゾ染料に対して1〜20重量%のオフセットインキ用ビヒクル、および全組成物に対して60〜90重量%の水からなる顔料水ペーストをオフセットインキ用ビヒクルでフラッシングするオフセットインキの製造方法が記載されている。この製造例1では、C.I.ピグメントレッド57:1に対してオフセットインキ用ビヒクルを添加することにより、フラッシング排水の着色度を小さくすることが記載されている。
しかしながら、特許文献2における顔料へのオフセットインキ用ビヒクルの添加は、ビヒクルへの顔料の濡れ性を向上させ、排水中に含まれるフラッシングされなかった顔料を減らす効果は認められるものの、やはり着色排水や印刷物の印刷適性の低下の要因である水溶性アゾ染料の発生を抑制することはできない。従って、依然として、フラッシング排水を脱色処理する必要がある。
更に特許文献3では、フラッシングを経由してインキを製造するためのC.I.ピグメントレッド57:1として、凝集し難い結晶型を持ちフラッシング排水を生じないとするC.I.ピグメントレッド57:1が記載されている。通常、湿し水を用いるオフセットインキでは、インキ中に含まれる塩類や不純物は湿し水に再溶解するため、“浮き汚れ、地汚れ”などの印刷不良の要因となる。フラッシングを経由して製造されたインキは、デカンテーション等よりインキ中に含まれる塩類や不純物が予め除去される結果、印刷適性が大幅に改善される。
しかしながら、特許文献3に記載されている方法で製造された顔料は、やはり着色排水や印刷物の印刷適性の低下の要因である水溶性アゾ染料を含有するものであるし、それから得られるインキは、それの調製に当たってフラッシングという工程を排除してしまった結果、水溶性アゾ染料だけでなく、塩類や不純物をも多く含むため、優れた印刷適性のインキが得られない。
そして、着色樹脂成型品や塗料の様な印刷インキ以外の用途においても、染料が、経時的に成型品や塗膜の表面に滲み出ることがあり、マイグレーションが起こりにくいC.I.ピグメントレッド57:1が求められている。
従って、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するC.I.ピグメントレッド57:1が望まれている。
特開平6−343976号公報 特開平10−067955号公報 特開平11−293139号公報
本発明は、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するC.I.ピグメントレッド57:1を提供することを目的とする。
本発明者等は、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するC.I.ピグメントレッド57:1はどの様にすれば製造出来るかについて、水の着色度の低減や印刷適性維持を試みるべく鋭意検討した結果、水と接触した際の水の濃い紅色の着色やマイグレーション等の最大の原因物質は、レーキ化にもかかわらず不溶化されなかった2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトトリウム塩(C.I.ピグメントレッド57:1の前駆体の水溶性アゾ染料)ではなく、それとは別の水溶性アゾ染料の2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩であることを見い出した。
さらに上記した別の水溶性アゾ染料の混入の要因は、C.I.ピグメントレッド57:1の前駆体の水溶性アゾ染料を製造する際の一方の原料である2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸中に含まれた不純物にあり、そしてこの不純物は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸であることを見い出した。
そして、C.I.ピグメントレッド57:1中に含まれる2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩を一定水準以下とすれば、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するC.I.ピグメントレッド57:1が得られること、更にC.I.ピグメントレッド57:1中の2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率を一定水準以下とするには、その一原料である2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率が一定水準以下の2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いてC.I.ピグメントレッド57:1を製造すれば、上記課題が解決出来ることに至り、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とをカップリングさせ、無機カルシウム化合物でレーキ化させるカルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]を含有するアゾレーキ顔料の製造方法において、上記2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、不純物として質量換算で0.15%以下の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いることを特徴とするカルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]を含有するアゾレーキ顔料の製造方法を提供する
また、本発明は、前記アゾレーキ顔料において、液体クロマトグラフィによる定
量分析による2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼ
ンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率が、そのナトリウム塩換算で1,000ppm
以下である前記アゾレーキ顔料の製造方法を提供する。
本発明のC.I.ピグメントレッド57:1は、着色の原因物質である特定アゾ染料をほとんど含有しないので、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するという格別顕著な効果を奏する。
本発明のオフセットインキ用顔料水ペーストは、着色の原因物質である特定アゾ染料をほとんど含有せず、オフセットインキ製造時にフラッシングにより排出される排水の着色が極めて少ないので、この排水を脱色処理する工程が不要もしくは軽減出来、従来に比べ脱色処理に用いる無機凝集剤及び/又は高分子凝集剤などの処理剤の量を大幅に減らすことが出来、しかも従来と同等水準以上の優れた印刷適性のオフセットインキを容易に得られるという格別顕著な効果を奏する。
本発明のC.I.ピグメントレッド57:1の製造方法は、着色の原因物質である特定アゾ染料が生成する原料を実質的に用いないので、特定アゾ染料による着色はなく、脱色処理を行うまでもなく、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備するという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明のC.I.ピグメントレッド57:1は、液体クロマトグラフィでの定量分析による2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の合計が、そのナトリウム塩換算で1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下であることを特徴とする。本発明においては、前記スルホン酸(2H)および前記スルホン酸のCa 2+塩、Ca 1/2+・Na +塩、2Na +塩、H・Na +塩等の水溶性塩の合計を、全て2Na +塩(ジナトリウム塩)であるとした際の含有量でもって表す。液体クロマトグラフィでの定量分析は、LC定量分析と略記し、その定量分析法については後に記す。
本発明のC.I.ピグメントレッド57:1には、必要に応じてロジン類を含有させることが出来る。ロジン類を本発明の顔料に含ませることで、それを印刷インキの調製に用いた場合には、印刷適性をより向上させることが出来る。
ここでロジン類とは、公知慣用のロジン類がいずれも挙げられるが、例えばアビエチン酸を主成分とするロジン、不均化ロジン、部分水素添加ロジン、完全水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、重合ロジン等が挙げられる。ロジン類は、カルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]の質量換算100部当たり3〜30部、好ましくは5〜25部を含めることが出来る。
本発明においては、C.I.ピグメントレッド57:1に含まれる2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率が低いほど、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくい。また、それを含有する顔料水ペーストからは、フラッシングによる着色排水における脱色処理が不要もしくは脱色処理工程を軽減でき、そのために使用する無機凝集剤及び/又は高分子凝集剤などの処理剤を大幅に減らすことが出来る上、しかも従来と同等水準以上の優れた印刷適性を兼備するオフセットインキが得られる。
尚、本発明において顔料水ペーストとは、カルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]と水とを含有し、質量換算で含水率60〜80%の顔料組成物を言う。
本発明のC.I.ピグメントレッド57:1は、例えば、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とをカップリングさせ、無機カルシウム化合物でレーキ化させるC.I.ピグメント レッド 57:1の製造方法において、上記2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、質量換算で0.15%を越える2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いて常法によりカップリングを行って、得られたアゾ染料水溶液乃至懸濁液から2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩を除去することを目的として、アゾ染料水溶液乃至懸濁液を濾過し、得られた濾過物に水を加えた後、常法により無機カルシウム化合物でレーキ化する方法(製造方法1と言う。)で製造することが出来る。
また同様に、本発明の顔料は、上記2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、質量換算で0.15%を越える2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いて、常法によりカップリングと無機カルシウム化合物でのレーキ化を行って、得られたC.I.ピグメントレッド57:1から2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩を除去することを目的として、繰り返し水洗や湯洗をする等の精製を行う方法(製造方法2と言う。)で製造することも出来る。
尚、レーキ化前の染料中又はC.I.ピグメントレッド57:1中に含まれる2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩は、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸中の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸と同様に、適当な条件を選定すれば各種クロマトグラフィー分析で同定及び定量が可能である。
しかしながら、これらの製造方法は、いずれも2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の合計が、ナトリウム塩換算で1,000ppmを越えて生成させた上で、それを除去する方法によるものである。顔料の製造時において着色排水が発生することが許容され、フラッシング時の着色排水だけを撲滅又は低減すれば良い場合には、上記製造方法1〜2で本発明の顔料を製造することも出来る。しかしながら、また、2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩と、2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩とを分離したり、2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩と、C.I.ピグメントレッド57:1とを分離することは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とを分離する原料の段階で精製に比べると、より手間がかかる。
従って、本発明のC.I.ピグメント レッド 57:1の製造方法としては、2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸自体の発生を最小限に抑制することが出来る、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とをカップリングさせ、無機カルシウム化合物でレーキ化させるC.I.ピグメント レッド 57:1の製造方法において、上記2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、質量換算で0.15%以下の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いるC.I.ピグメント レッド 57:1の製造方法(製造方法3と言う。)が最適である。
従来のC.I.ピグメントレッド57:1は、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、質量換算で0.2〜2.0%の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いて製造される。これに対して、本発明の製造方法では、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率が従来に比べて少ない2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いる。
本発明における従来に比べて少ない2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸としては、市販品:SU ZHOU LINTONG DYESTUFF CHEMICAL CO.LTD社製Super BON酸が挙げられる。
また、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸について、溶媒を用いて再結晶するなど常法による精製を繰り返すことにより、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率を上記した範囲にまで低減した2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を得ることが出来、それを用いることも出来る。
尚、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸と、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とは、適当な条件を選定すれば各種クロマトグラフィ分析で同定及び定量が可能である。質量分析装置(マススペクトロスコピー)による質量分析を予め行った上で、各種クロマトグラフィー分析で同定及び定量を行うことで、より高精度の同定及び定量が可能である。こうした同定及び定量を行うことで、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸中に含有する2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率を求めることが出来る。こうして、本発明の製造方法に用いるための、従来に比べて少ない2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を選定することが出来る。
ジアゾ成分は、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩のみであっても良いが、ジアゾ成分の15モル%以内であれば、上記芳香族アミン類の異性体や誘導体、例えば1−アミノ−4−メチルベンゼン−3−スルホン酸や、トビアス酸等の他の芳香族アミンのジアゾニウム塩を含ませることが出来る。
カップラー成分も、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸のみであることが最適であるが、カップラー成分の15モル%以内であれば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸や2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸以外のフェノール類やナフトール類、例えば2−ヒドロキシナフタレン等を含ませることが出来る。
カップラー成分から対応する水溶液を得るには、公知慣用の方法がいずれも採用できるが、例えば上記成分を温水に分散させてアルカリ性として溶解させれば良い。液性をアルカリ性とするには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用できる。
C.I.ピグメント レッド 57:1は、公知慣用の条件により、カップリングとレーキ化をすることで得られる。ジアゾ成分とカップラー成分とのモル比は、制限されないが、通常1:1である。反応率等を考慮して、ジアゾ成分とカップラー成分の一方を若干過剰に用いることも出来る。カップリングの反応温度は、制限されないが、通常0〜60℃、好ましくは0℃〜40℃で行われる。
一方、レーキ化反応は、アゾ染料中に含まれるスルホン酸基、カルボキシル基およびこれらの水溶性塩の合計当量に対応する無機カルシウム化合物を加えることで行われる。この場合も、反応率等を考慮して、その量は調整することが出来る。レーキ化の反応温度は、制限されないが、通常0〜60℃、好ましくは0℃〜40℃で行われる。無機カルシウム化合物としては、例えば、塩化カルシウム等を用いることが出来る。
レーキ化後の顔料を含む懸濁液は、そのまま濾過及び/又は乾燥して顔料として使用することもできるが、顔料の粒子形態を整えるため、必要に応じてpH調整をした上で熟成することも出来る。熟成を行う場合には、温度60〜90℃にて30分〜2時間熟成することが好ましい。
尚、上記したC.I.ピグメント レッド 57:1の製造方法1〜3においては、必要によりロジン類を、カップラー成分を含む水溶液もしくはアゾ染料水溶液乃至懸濁液に添加しても良い。ロジン類は、前記した様な量を含めることが出来る。
上記した製造方法に従い、本発明のLC定量分析による2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩が、1,000ppm以下であるC.I.ピグメントレッド57:1を容易に得ることができる。
本発明の方法に従って製造したC.I.ピグメントレッド57:1は、カップラー成分に含有される2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率が低いほど、2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸自体の発生を最小限に抑制することが出来る。また、顔料の製造時における排水の着色も最小限となる。従って、脱色処理を行うまでもなく、カップリング反応とレーキ化により生成した顔料懸濁液を濾過しても、濾液の着色は最大限に抑制され、また顔料水懸濁液を濾過せずにそのまま乾燥させても、水と接触した際に水が濃く紅色に着色することや、マイグレーション等が起こりにくく、しかも従来と同等水準以上の優れた着色適性をも兼備する。
本発明の顔料は、湿潤状態で被着色媒体の着色に供されるか、乾燥状態で被着色媒体の着色に供される。上記製造方法1〜3に従って製造した2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩が1,000ppm以下の顔料水懸濁液は、それを濾過等をして水分を低下させることで、顔料水スラリー、顔料水ペースト、ウエットケーキ等の任意の含水率の湿潤状態とすることが出来る。本発明の顔料は、着色の原因物質である2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩が含まれていない又はその含有率が大幅に低減されているので、前記した濾過や水洗による濾液の着色は著しく少ない。
上記した様に顔料水ペーストは、フラッシングを経由するオフセットインキの製造に使用することが出来る。バインダー樹脂及び有機溶剤を含有するオフセットインキ用ワニスと、本発明の顔料を含有する顔料水ペーストとを混練してフラッシングすることにより、オフセットインキのためのベースインキを調製することが出来る。本発明の顔料は、着色の原因物質である2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩が含まれていない又はその含有率が大幅に低減されているので、前記したフラッシングによる排水の着色も著しく少ない。こうして得られたベースインキと、各種希釈剤、添加剤、硬化促進剤等を混合することでオフセットインキとすることが出来る。
上記した湿潤状態の本発明の顔料は、例えば、スプレードライ、熱風乾燥、遠赤外線乾燥等の公知慣用の手法により脱水することで、乾燥状態とすることが出来る。必要であれば、更に解砕や分級を行う様にして粒子径や粒子径分布を更に整えて使用に供しても良い。
湿潤状態又は乾燥状態の本発明の顔料は、公知慣用の各種用途、例えば、平版印刷インキ、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキの様な印刷インキ、塗料、着色プラスチック成形品等の汎用用途、静電荷像現像用トナー、カラーフィルター、インクジェット記録用水性インク等のハイテク用途に適用することが出来る。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
LC定量分析の測定機器:
横河アナリティカルシステムズ(株)製液体クロマトグラフィ質量分析装置HP1100を使用した。
LC定量分析の条件:
溶離液30mM酢酸アンモニウム水溶液およびアセトニトリル、カラムとしてはODSカラムを用いた。
LC定量分析用標準試料の合成:
4−アミノトルエン−3−スルホン酸16.5部を水100部に分散後、35%塩酸10.2部を加え、0℃に保ちながら40%亜硝酸ナトリウム水溶液15.4部を一気に加え、4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩からなるジアゾ成分を含む懸濁液を得た。次に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(東京化成工業(株)製試薬1級)16.8部を50℃の水130部に分散後、25%水酸化ナトリウム水溶液32部を加えてカップラー成分を含む水溶液を得た。このカップラー成分を含む水溶液を10〜15℃に冷却し、攪拌しながらそこに上記ジアゾ成分を含む懸濁液を60分かけて滴下し、さらに60分間攪拌してカップリング反応を終了させ、塩酸を加えてpH8に調整した。次いでこの反応液を濾過、水洗、90℃で10時間乾燥し、解して純度99.5%の生成物30.5部を得た(標準試料)。
この生成物について赤外線吸収スペクトルの測定を行ったところアゾ結合の存在を確認し、質量分析の分子イオンピークから、ナトリウム塩の形でなく2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸の形で存在を確認した。ナトリウム塩同士の比較においてもこの生成物のLCによる保持時間(Rt.)は、2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸ナトリウムとは異なっており、LCによる保持時間で明確に分離出来ることを確認した。
顔料中の2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及び水溶性塩の定量分析方法:
上記標準試料5mgを用いて、塩酸を用いてpH2.7に調整したジメチルスルホキシド(DMSO)溶液25mlを栓付試験管に加え、密栓して超音波分散機(海上電機(株)製型式C−4711)にて1時間で溶解させた。これを適宜希釈して、検量線作製用の各液体試料とした。尚、標準試料を強酸性とすることで、ナトリウム塩を2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸のみに変換した。
液体クロマトグラフィ質量分析装置とは別に準備した上記カラムを設け上記溶離液を用いたLC測定機器に、上記で調製された検量線作製用の各含有率の液体試料を注入して、保持時間(Rt.)12.9分に、主たる着色原因物質である2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸のピークを検出し、各々の液体試料のピーク面積の積分値を測定することで、この水溶性アゾ染料の量につき、予め検量線を作製した。
下記実施例等で製造される粉体顔料を準備し、5mgを精秤して、上記と同様にして液体試料を調製した。上記したのと同様に、粉体顔料を強酸性とし、着色原因成分を2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸のみに変換した。
この液体試料を上記と同様の条件で上記LC測定機器に注入して、絶対検量法により、粉体顔料中に含有する2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸の含有率を求め、対応するナトリウム塩に換算した際の含有率(ppm)を算出した。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸(BON酸)中の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率:
上記2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を標準試料とし、LC定量分析により、SU ZHOU LINTONG DYESTUFF CHEMICAL CO.LTD社製Super BON酸(BON酸1と称する。)、溶離液として0.05M酢酸アンモニウムとメタノールとを用いてODSカラムにて分取したBON酸1の精製品(BON酸2と称する。)、上野製薬(株)製BON酸(BON酸3と称する。)の三つのBON酸中の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率(%)をそれぞれ算出した。それぞれのBON酸における2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の含有率を表1に示す。
Figure 0005247972
4−アミノトルエン−3−スルホン酸165部を水1,050部に分散後、35%塩酸102部を加え、0℃に保ちながら40%亜硝酸ナトリウム水溶液154部を一気に加え、ジアゾ成分を含む懸濁液を得た。次に上記BON酸1の167.5部を50℃の水1300部に分散後、25%苛性ソーダ水溶液320部を加えてカップラー成分を含む水溶液を得た。
このカップラー成分を含む水溶液を10〜15℃に冷却し、攪拌しながらそこに上記ジアゾ成分を含む懸濁液を60分かけて滴下し、さらに60分間攪拌してカップリング反応を終了させた。そこに25%不均化ロジンナトリウム塩の水溶液254部を添加し、さらに60分攪拌後、pH12.5に調整してアゾ染料懸濁液を得た。
これに35%塩化カルシウム水溶液388.7部を加え、60分攪拌してレーキ化反応を終了させた。レーキ化反応終了後、80℃で90分間加熱しつつ攪拌した。氷を加え、液温を60℃まで冷却後、塩酸を用いてpHを8.5に調整した後、この顔料水懸濁液を濾過、水洗して、乾燥時固形分30.0%のC.I.ピグメントレッド57:1の顔料水ペースト1の1,470部及び顔料水懸濁液の濾過液1を得た。顔料水懸濁液の濾過液とは、前記操作における顔料水洗前の濾過時の濾液である(以下同様。)。顔料水ペースト1は、フラッシングを経由してオフセットインキのベースインキを調製する際のオフセットインキ用顔料水ペーストとして好適である。
BON酸1の代わりにBON酸2の同量を用いた以外は、実施例1と同様にし、顔料水ペースト2及び顔料水懸濁液の濾過液2を得た。顔料水ペースト2は、同様に、フラッシングを経由してオフセットインキのベースインキを調製する際のオフセットインキ用顔料水ペーストとして好適である。
比較例1
BON酸1の代わりにBON酸3の同量を用いた以外は、実施例1と同様にし、顔料水ペースト3及び顔料水懸濁液の濾過液3を得た。
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた各顔料水ペーストを、90℃で10時間で乾燥したC.I.ピグメントレッド57:1の粉体を試料とし、LC定量分析により、これら各試料中の2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩を定量し、ナトリウム塩として換算を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005247972
本発明の実施例1及び実施例2の粉体顔料は、比較例1のそれに比べて、いずれも、排水の着色要因である2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率が低かった。尚、JIS K5101−1991から求めた、実施例1及び2の粉体顔料中の2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率は、表2に示したそれらの約半分であり、実態を表していなかった。
次に、実施例1、実施例2及び比較例1の顔料濾過時に生じた濾過液1〜3について、着色度を測定し、排水の着色度とした。
排水の着色度の測定は、希釈法〔雑誌「公害と対策」Vol.27,No.8,P.717(1991)〕にて行った。結果を表3に示す。表3中における排水の着色度の記号は、それぞれ、◎印が80以下、○印が100以下、△印が150以下、×印が150を越える、の評価基準に基づいて表示した。
Figure 0005247972
実施例1及び2の顔料濾過時に生じた濾過液1〜2の着色度は、比較例1の濾過液3のそれに比べて低く、従来に比べて着色排水を脱色する際の凝集剤の使用量を大幅に削減出来た。
ハリフェノール511(ハリマ化成株式会社製ロジン変性フェノール樹脂)225部とアマニ油110部及び5号ソルベント165部を加熱溶解させてオフセットインキ用ワニスを調製した(以下、これをオフセットインキ用ワニスと言う。)。
実施例1で得られた顔料水ペースト1とオフセットインキ用ワニスとを用いてフラッシングを行い、オフセットインキのためのベースインキを調製した。まずオフセットインキ用ワニス200部と、90℃での乾燥時固形分100部相当量の顔料水ペースト1を1Lフラッシュニーダーに仕込み、1Lフラッシュニーダーを稼動し、60℃でフラッシングを行った。生じたフラッシング時の着色排水について、その着色度を測定した。排水の着色度の評価基準は上記と同様とした。結果を表4に示す。
実施例1で得られた顔料水ペースト1の代わり実施例2で得られた顔料水ペースト2の同量を用いる以外は、実施例3と同様にし、オフセットインキのためのベースインキを調製し、フラッシング時の着色排水について、その着色度を測定した。結果を表4に示す。
比較例2
実施例1で得られた顔料水ペースト1の代わり比較例1で得られた顔料水ペースト3の同量を用いる以外は、実施例3と同様にし、オフセットインキのためのベースインキを調製し、フラッシング時の着色排水について、その着色度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005247972
実施例3及び4と比較例2とから、本発明の実施例1及び実施例2のオフセットインキ用顔料水ペーストからベースインキを調製する際のフラッシング時に排出される排水の着色度は、比較例1のそれに比べて著しく低かった。
試験例1
実施例3及び4と比較例2で作製した各ベースインキを用いて、インキの着色力を評価した。その結果を表5に示した。着色力の評価方法と評価基準は下記の通りである。
(着色力)
各ベースインキ0.1部と白インキ2.0部(酸化チタン)を混ぜ合わせ淡色インキを作製した。グレタグ(GRETAG Limited製)により判定した。比較例2のベースインキの着色力を100とした場合における、実施例3及び4のベースインキの着色力を数字で表示した。
試験例2
実施例3及び4と比較例2で作製した各ベースインキ66部と、オフセットインキ用ワニス28部及び5号ソルベント計6部を3本ロールにて練肉分散し、オフセットインキ用濃色インキを得た。この濃色インキを用いて、インキ中の顔料の分散性とインキの着画像の透明性を評価した。その結果を表5に示した。分散性と透明性の評価方法と評価基準は下記の通りである。
(分散性)
グラインドゲージを用いて各濃色インキの分散性を評価した。
◎:特に良好 ○:良好 △:やや良好 ×:劣る
(透明性)
各濃色インキを展色し、着色画像の透明性を目視により判定した。
◎:特に良好 ○:良好 △:やや良好 ×:劣る
Figure 0005247972
実施例3及び4の濃色ベースインキを用い、湿し水を用いた平版印刷機により多数枚の連続印刷を行ったところ、比較例2の濃色ベースインキで同様の作業を行った場合よりも、インキ中に含まれる塩類や不純物による「浮き汚れ」や「地汚れ」の発生はかなり遅くなった(より多くの枚数刷ってから、「浮き汚れ」や「地汚れ」が発生した。)。
また、実施例3及び4の濃色ベースインキからの着色画像は、比較例2の濃色ベースインキのそれよりも、長期間の湿熱時の画像滲み等も少なく、耐久性に優れていた。

Claims (2)

  1. 4−アミノトルエン−3−スルホン酸のジアゾニウム塩と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸とをカップリングさせ、無機カルシウム化合物でレーキ化させるカルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]を含有するアゾレーキ顔料の製造方法において、上記2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸として、不純物として質量換算で0.15%以下の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を含む2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸を用いることを特徴とするカルシウム ビス[2−(3−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォネート]を含有するアゾレーキ顔料の製造方法
  2. 前記アゾレーキ顔料において、液体クロマトグラフィによる定量分析による2−(6−カルボキシ−2−ヒドロキシナフチルアゾ)−5−メチルベンゼンスルフォン酸及びその水溶性塩の含有率が、そのナトリウム塩換算で1,000ppm以下である請求項1記載のアゾレーキ顔料の製造方法
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