JP5247846B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、異常の発生や加熱の終了を音声により確実に使用者に伝達することのできる加熱調理器、及び、加熱手段の異常加熱等を防止できる加熱調理器を提供することである。
誘導加熱調理器は、コイルを内蔵した加熱手段に高周波電圧を印加し、発生する高周波磁界によって、強磁性材料からなる調理鍋に生ずる渦電流によって、容器内の食材を加熱する調理器である。
誘導加熱調理器として、誤操作や異常発生時にメッセージを音声で報知し、使用者に注意を促すようにするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、かかる誘導加熱調理器では、本体上面に調理鍋を載置するためのトッププレートを配置し、トッププレート下側に調理鍋の温度を検知するための鍋底サーミスタにより、トッププレートを介して調理鍋温度を検知し、かかる温度に基づいて制御回路が調理鍋の加熱制御を行うことも提案されている。
通常誘導加熱調理器では、加熱制御の正確性及び安全制御を実現するために、調理鍋の大きさや油量等の判定(以下「鍋判別」という)し、鍋判別の結果に基づいて加熱手段の出力を制御するようにしている。この鍋判別は、加熱手段作動時に温度測定手段により測定される温度変化を参照して行なわれている。
特開2006−4630号公報
しかしながら、第1の課題として、報知された音声を聞き逃した場合には、再報知は行なわれないから、異常発生時等の対応を十分に採ることができない問題があった。
また、報知され、聞けた音声が加熱開始停止程度なら問題はないが、自動調理時の注意や高温警報などについては、聞けたとしても、それに対する対応はすぐには分からないことが多い。そのため、家庭内に片付けてある取扱説明書を取り出して、読み内容を確認する必要があり、大変面倒であった。
また、第2の課題として、例えば、加熱調理を行なった直後に、常温の油を入れた調理鍋に加熱する加熱調理を実行する場合など、先の調理で加熱されたトッププレートが高温状態のままで次の調理に移行するために、鍋底サーミスタで正確な調理鍋の温度が検知できない。
そのため、鍋判定で調理鍋の大きさや油量等が判定できない。特に、油量が少ない場合に、加熱手段を高出力で作動させると、油温が急上昇し、異常加熱を起こす虞れがある。
本発明の目的は、加熱直後の油温の異常上昇を抑制することのできる誘導加熱調理器を提供することである。
上記課題を解決するために本発明の加熱調理器は、
本体上面に配置され、調理鍋が載置可能なトッププレートと、
前記トッププレート下側に配置された加熱コイルを含み、前記加熱コイルで発生させた磁束で前記調理鍋を誘導加熱し前記調理鍋内の被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記調理鍋内の被加熱物の設定温度が操作入力可能な操作手段と、
前記トッププレート下側に配置され、前記トッププレートを介して前記調理鍋の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度によって、前記加熱手段の出力を制御する制御手段と、
を具え、
前記温度制御手段は、前記加熱コイル上の略中心に配置された中央サーミスタを有しており、
前記制御手段は、
前記中央サーミスタの測定温度と前記操作手段で入力した設定温度とを比較し、前記設定温度まで前記調理鍋の被加熱物を加熱する場合に、
前記中央サーミスタの測定温度が、前記設定温度よりも低い安定温度Jで前記加熱手段の加熱及び停止を繰り返した保温動作を所定時間行い、前記保温動作中に前記安定温度Jを跨いだ温度の昇降があったことを確認すると前記保温動作を終了し前記中央サーミスタの測定温度前記設定温度になるまで前記加熱手段を作動させるようにした。
本発明の加熱調理器によれば、所望の設定温度まで加熱手段を作動させる場合に、一定の出力で加熱手段を作動させるのではなく、一旦設定温度よりも低い温度で、加熱手段の加熱及び停止を繰り返し、調理鍋の油温と、中央サーミスタの測定温度との間の差を小さくする保温動作を行なった後、加熱を行なうことにより、油の異常加熱を防止することができる。
図1は、本発明を適用することのできるビルトインタイプの誘導加熱調理器(10)の一例を示す斜視図である。また、図2は、本発明の誘導加熱調理器(10)の制御ブロック図である。
誘導加熱調理器(10)は、本体(12)の上面に天板枠(14)を有し、該天板枠(14)には、セラミック製のトッププレート(16)が配置されている。斯かるトッププレート(16)は、上面に調理鍋が載置され、加熱調理される。
天板枠(14)の前端には、上操作パネル(22)が配備されている。上操作パネル(22)は、後述する前操作パネル(24)と共に使用者が誘導加熱調理器(10)を制御する操作手段(20)を構成する。上操作パネル(22)には、複数の操作ボタン(23)が設けられており、使用者が調理鍋内の撹拌等を行ないながら、前屈みにならなくても、出力の調整等を行なうことができる。
天板枠(14)の後端には、本体(12)の内部の温度上昇を防止するための吸気口と排気口が形成されており、これらを繋ぐ流路内には、強制換気のためのファンが配置されている。吸気口及び排気口は、パンチング孔を穿孔したカバー(18)(19)で覆われている。
トッププレート(16)には、符号(30)(31)で示す丸枠部分が誘導加熱対応の調理鍋を載置する加熱部であり、後方にある符号(32)で示す丸枠部分は、誘導加熱非対応の調理鍋を載置する加熱部である。誘導加熱部(30)(31)の下側には、リッツ線を撚って渦巻き状に巻回した加熱コイルが配置されている。該加熱コイルを含み、加熱コイルに高周波電流を流して磁束を発生させ、トッププレート(16)上に載置した調理鍋を誘導加熱する加熱手段(35)(36)が本体(12)内に配備されている。誘導加熱非対応の加熱部(32)の下側には、輻射加熱を行う加熱手段(37)としてラジエントヒータが配備されている。
トッププレート(16)の前部中央には、誘導加熱調理器(10)の動作状態等を表示する表示部(28)が形成されている。
本体(12)は、前面右側に前操作パネル(24)が配備されている。前操作パネル(24)には、図1に示すように、加熱手段(35)(36)のオン、オフ及び出力を調節するダイヤル式の操作部(25)(25)や、音声情報を出力する音声案内ボタン(27)、その他操作ボタン(26)を複数有している。操作部(25)(25)は、前操作パネル(24)から出没可能となっている。また、前操作パネル(24)には、後述する音声報知手段(48)に接続されたスピーカ(49)、音声案内の有無を示す表示部(46)が設けられている。表示部(46)は、LEDにより構成することができる。なお、本発明の音声出力手段は、音声報知手段(48) とスピーカ(49)とを総称している。
また、本体(12)は、前面の左側には、ロースタ部(33)が形成されている。ロースタ部(33)の調理庫(60)には、加熱手段(38)としてシーズヒータが突設されており、引出し型のトレー(61)に焼き網(62)を載置して、加熱手段(38)により食品を加熱する。調理庫(60)は、天板枠(14)の後端に設けられた排気口に連通しており、調理庫(60)内の煙や臭気を内蔵する触媒及びファンによって、脱煙や脱臭しつつ強制排気する。触媒は、プラチナ触媒を例示でき、触媒性能を高めるために、触媒をヒータにより加熱することが望ましい。なお、ロースタ部(33)の詳細な構成については、後述する。
加熱手段(35)(36)の加熱コイル上面には、トッププレート(16)を介して調理鍋の温度を測定するために、夫々温度測定手段としてサーミスタが配置されている。該サーミスタは、加熱コイルの中心に中央サーミスタ(50)と、中心から半径の略1/2離れた位置に横サーミスタ(51)とが、トッププレート(16)の裏面に当接するよう配置されている。
上記構成の加熱調理器(10)のすべての制御は、本体(12)の内部の適所に配置された制御手段(40)によって行なわれる。具体的には、図2に示すように、制御手段(40)には、加熱手段(35)(36)(37)(38)、サーミスタ(50)(51)、操作手段(20)、音声報知手段(48)及び表示部(28)が電気的に接続されており、電源(図示せず)からの電力供給を受けて作動する。
制御手段(40)は、加熱調理器(10)に関する各種制御プログラム、調理プログラム等のプログラム、以下の実施例で示すフローチャートを夫々実行するためのプログラム等を格納した記憶部(42)を有している。調理プログラムとして、自動調理プログラム、タイマー調理プログラム、手動調理プログラムを例示できる。また、自動調理プログラムとしては、揚げ物用プログラム、焼き物用プログラム等を例示できる。
さらに、記憶部(42)には、各プログラムにおける望ましい油量、水量、加熱手段の運転開始、停止、中断及び/又は異常検知等の情報を音声出力するためのデータと、操作部(25)の操作ボタン(26)の操作内容を音声出力するためのデータ及び操作内容に関する詳細な説明を音声出力するためのデータと、異常検知時のなど警報内容を音声出力するためのデータ及び警報内容に関する対処方法を音声出力するためのデータとを記憶している。これら情報を以下「音声情報」という。
<第1実施例>
図3は、本発明の第1実施例を示すフローチャート図である。
本実施例では、使用者が、操作部(25)や操作ボタン(23)(26)等を操作したとき、加熱手段(35)(36)等が運転を開始した後、停止、中断、異常が発生した場合などに、制御手段(40)は、対応した音声情報があれば、表示部(46)のLEDを点灯させて、使用者に音声情報があることを報知し、音声案内ボタン(27)を操作することにより、対応する音声情報を再生可能としたものである。
制御手段(40)は、サーミスタ(50)(51)や、その他のセンサ(図示せず)からの入力信号から、加熱手段(35)(36)等が正常に作動しているか否かを検知する異常検知手段を兼ねている。
例えば、制御手段(40)は、加熱中等に異常を検知すると、加熱を停止すると共に、警報内容となる音声情報がある場合に(ステップ1)、記憶部(42)から当該音声情報のデータを読出して音声報知手段(48)からスピーカ(49)を介して警報を再生し(ステップ2)、警報内容に関する対処方法の音声情報がある旨を使用者に伝達するために表示部(46)を点灯させる(ステップ3)。なお、ステップ2では、警報内容の音声報知のほか、操作部(25)の操作ボタン(26)の操作内容の音声報知にも適用される。かかる場合には、操作ボタン(26)の操作内容を音声出力し、また操作内容に関する詳細な説明を音声出力する。
表示部(46)が点灯している状態で、使用者が、所定時間経過するまでに(ステップ11)、音声案内ボタン(27)を操作すると(ステップ4)、制御手段(40)は、音声報知手段(48)に音声情報を出力し、スピーカ(49)から音声出力する(ステップ5)。これにより、使用者は、必要な操作、メッセージ等を聴覚により知ることができる。
かかるステップ1からステップ5では、例えば揚げ物加熱を行うのに、操作手段で児童調理モードを設定したとき、音声報知手段(48)から「揚げ物運転を開始します。」と報知するとともに、表示部(46)を点灯する。使用者は、表示部(46)を見て音声案内ボタン(27)を操作すると、「標準の油量は500gから900gです。」と詳細な説明の音声報知を行うよう動作することである。
ボリューム設定、個人差、騒音やその他理由により、スピーカ(49)から再生された音声を、使用者が聞き取れなかった場合に、再度音声情報を聞くことができるように、ステップ5における音声情報を出力した後、所定時間経過するまでに(ステップ12)、音声案内ボタン(27)を再度操作すると(ステップ6)、制御手段(40)は、音声報知手段(48)に音声情報を出力し、再度、スピーカ(49)から音声出力する(ステップ8)。なお、このとき、使用者が正しく聞き取ることができるように、前回の音声出力よりも大きなボリュームで音声を出力することが望ましい(ステップ7)。
上記において、音声案内ボタン(27)が所定時間以内に操作されない場合には(ステップ11及びステップ12)、表示部(46)を消灯すると共に(ステップ9)、制御手段(40)により読み出された音声情報やボリュームをリセットする(ステップ10)。なお、表示部(46)を点灯させておく時間は30秒〜1分程度とすることが望ましい。
本実施例によれば、使用者は、必要な音声情報がある場合に、音声案内ボタン(27)の操作により、音声情報を聞くことができる。また、再度音声情報を聞く場合に、ボリュームを大きくしたことにより、正確に音声情報を聞き取ることができる。
<第2実施例>
図4は、自動調理プログラムにおける揚げ物プログラムのフローチャート図である。
調理鍋に油を投入して、揚げ物を行なう場合、油量を正しく判別することが必要となる。
これは、調理鍋の温度はトッププレート(16)を介して中央サーミスタ(50)や横サーミスタ(51)で温度測定を行うため、調理鍋の温度がサーミスタに伝わるまでタイムラグがある。また、油は水に比べて比熱が小さいので温度が上昇しやすい。よって、加熱する油が少量の場合、サーミスタで測定した温度より実際の油の温度が高くなることがあり、最悪の場合油が発火する恐れがあるからである。
しかしながら、先の加熱調理の後、トッププレート(16)が熱くなっていると、油を入れた調理鍋の温度が低いにもかかわらず、中央サーミスタ(50)の測定温度はトッププレート(16)の温度を測定し高くなる。
一方、制御手段(40)は、調理鍋の油量を中央サーミスタ(50)の温度上昇で油量を判別、すなわち、温度上昇値が小さければ油量が多く温度上昇値が多ければ油量が少ないと判別する。しかし、トッププレート(16)が高温であると、油を入れた調理鍋の温度が測定できず、中央サーミスタ(50)の温度上昇が小さいと、油量が多いと判別するから、油温を適温に制御できず、場合によっては油温の異常加熱を起こすことがある。
そこで、中央サーミスタ(50)だけでなく、加熱コイルで発生する磁界の強くなる部分に配置された横サーミスタ(51)を利用して、安全検知を行ない、油温を異常加熱しないようにする。
具体的には、フローチャート図4に示すように、操作部(25)の操作により、揚げ物の調理プログラムが選択されると(ステップ21)、制御手段(40)は、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、高温であるか、即ち、初期高温判定温度となる温度A(例えば100℃)以上であるかを判断する(ステップ22)。このとき、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが温度Aより低ければ、油量判別ができると判断し、低温スタート制御を行なう(ステップ23)。なお、低温スタート制御については、フローチャート図9にて説明する。
中央サーミスタ(50)の測定温度が、温度A以上であると判断されると(ステップ22)、上記理由により、正確な油量判別は困難であるから、横サーミスタ(51)を使用した安全検知が可能かどうかを判断するため、中央サーミスタ(50)の温度Tcと、横サーミスタ(51)の温度Tyを比較する(ステップ24)。
その結果、横サーミスタ(51)の温度Tyが、中央サーミスタ(50)の温度Tcよりも温度b(例えば10℃)以上高ければ(ステップ25)、横サーミスタ(51)を使用した安全検知が可能と判断し、ステップ27に進む。一方、横サーミスタ(51)が正しく温度検知できないと判断した場合には、出力を下げた状態(例えば1000W)で運転(ステップ26)し、ステップ24に戻る。
ステップ25で、安全検知が可能であると判断されると、調理鍋の油温が異常であることが横サーミスタ(51)の温度で判断することのできる安全検知温度Cと横サーミスタ(51)の測定温度Tyを比較する(ステップ27及びステップ28)。安全検知温度Cとは、例えば、揚げ物調理中に上昇することのない温度(例えば250℃)を意味する。
安全検知温度Cと横サーミスタ(51)の測定温度Tyを比較した結果、横サーミスタ(51)の測定温度が、安全検知温度Cを越えていれば、横サーミスタ(51)の測定温度Tyが、安全検知温度Cよりも所定温度d(例えば5℃)低い温度となるまで加熱を停止する(ステップ29及びステップ30)。
ステップ28で横サーミスタ(51)の温度Tyが安全検知温度Cよりも低くなった場合、又は、上記ステップ29及びステップ30にて、横サーミスタ(51)の測定温度Tyが、安全検知温度Cよりも所定温度d低い温度となった場合、油温が異常に加熱されていないと判断される。
このとき、中央サーミスタ(50)の温度Tcが設定温度となっているか否かを判断し(ステップ32)、設定温度となっていれば、音声報知手段(48)から、例えば「適温になりました。」等のメッセージを報知して加熱を終了する(ステップ33)。
ステップ32にて、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが設定温度となっていない場合には、高出力(例えば1600W)で加熱を行ない、ステップ27に戻る。
上記実施例によれば、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcだけでなく、横サーミスタ(51)の測定温度Tyも考慮して、加熱手段の出力を制御するから、調理鍋を載置したときに、トッププレート(16)が熱い状態でも、油量を適正に判別し、油温が異常加熱されることを防止できる。
<第3実施例>
図5は、自動調理プログラムにおける揚げ物プログラムの異なる実施例を示すフローチャート図である。
上記第2実施例と同様、調理鍋に油を投入して、揚げ物を行なう場合、油量を正しく判別することが必要となる。
しかしながら、先に加熱調理を行なっていると、トッププレート(16)が熱くなっているから、中央サーミスタ(50)の測定温度は高くなる。このとき、油を入れた調理鍋をトッププレート(16)に載置すると、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと、油温との間に測定誤差が生ずる。
この状態で加熱を行なうと、第2実施例と同様な問題を生じる。すなわち、トッププレート(16)の熱が調理鍋及び油に伝わり、中央サーミスタ(50)により測定される温度Tcも下がるため、制御手段(40)は、油量が多いと判断し、高出力で加熱手段を制御するから、場合によっては油温の異常加熱を起こすことがある。
そこで、本実施例では、調理鍋の実際の油温と、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcを、設定温度Tgよりも低い温度(第1安定温度J、第2安定温度M)で近づける安定制御を行ない、油の異常加熱を防止する。
フローチャート図5に示すように、操作部(25)の操作により、揚げ物の調理プログラムが選択されると(ステップ41)、制御手段(40)は、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、高温であるか、即ち、初期高温判定温度となる温度H(例えば100℃)以上であるかを判断する(ステップ42)。このとき、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが温度Hより低ければ、油量判別ができると判断し、低温スタート制御を行なう(ステップ43)。なお、低温スタート制御については、フローチャート図9にて説明する。
中央サーミスタ(50)の測定温度が、温度H以上であると判断されると(ステップ42)、正確な油量判別は困難であり、調理鍋の油温と中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが離れていると考えられる。
そこで、以下の制御を行なう。
まず、中央サーミスタの測定温度Tcと、設定温度(適温制御温度)Tgとを比較する(ステップ44)。その結果、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、設定温度Tgよりも所定温度i(例えば30℃)低い温度よりも高くなるまで(ステップ45)、高出力(例えば1600W)で加熱を行なう(ステップ46)。
中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、設定温度Tgよりも所定温度i低い温度以上に到達すると(ステップ45)、第1安定制御(ステップ48〜ステップ53)を行なう。
第1安定制御は、設定温度Tgよりも低い第1安定温度Jにて、油温と中央サーミスタ(50)の測定温度Tcとを近づける制御であり、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcを第1安定温度Jと比較して(ステップ47)、図6に示すように、測定温度Tcが、第1安定温度Jを温度k(例えば2℃)越えたときに(ステップ48)、加熱を停止し(ステップ49及びステップ52)、測定温度Tcが、第1安定温度Jよりも温度k以下となると再加熱を行なう(ステップ50乃至ステップ52)。
上記ステップを所定時間(例えば30秒)繰り返すことにより、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと油温とを近づけることができる。
所定時間経過後、第1安定温度Jを跨いだ温度の昇降を、加熱手段の運転(ステップ51)、停止(ステップ49)により確認すると、第1安定制御は終了し、次のステップ54に移行する(ステップ53)。
斯かるステップ47からステップ52は、本発明の安定温度Jで加熱手段の加熱及び停止を繰り返した保温動作に相当する。
ステップ53では、再度、中央サーミスタの測定温度Tcと、設定温度(適温制御温度)Tgとを比較する。その結果、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、設定温度Tgよりも所定温度l(例えば15℃)低い温度よりも高くなるまで(ステップ55)、高出力(例えば1600W)で加熱を行なう(ステップ56)。
中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが、設定温度Tgよりも所定温度l低い温度以上に到達すると(ステップ55)、本発明の保温動作となる第2安定制御(ステップ58〜ステップ63)を行なう。
第2安定制御は、第1安定温度Jよりも高く、設定温度Tgよりも低い第2安定温度Mにて、油温と中央サーミスタ(50)の測定温度Tcとを近づける制御であり、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcを第2安定温度Mと比較して(ステップ57)、図6に示すように、測定温度Tcが、第2安定温度Mを温度n(例えば2℃)越えたときに(ステップ58)、加熱を停止し(ステップ59及びステップ62)、測定温度Tcが、第2安定温度Mよりも温度n以下となると再加熱を行なう(ステップ60乃至ステップ62)。
上記ステップを所定時間(例えば30秒)繰り返すことにより、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと油温とを近づけることができる。
所定時間経過後、第2安定温度Mを跨いだ温度の昇降を、加熱手段の運転(ステップ61)、停止(ステップ59)により確認すると、第2安定制御は終了し、次のステップ64に移行する(ステップ63)。
上記第1安定制御及び第2安定制御によって、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと、実際の油温は近づき、ほぼ一致するから、以降は、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが設定温度Tgに到達するまで(ステップ64及びステップ65)、加熱手段を高出力(例えば1600W)で運転し(ステップ66)、測定温度Tcが設定温度Tgに到達すると、音声報知手段(48)から、例えば「適温になりました。」等のメッセージを報知して加熱を終了する(ステップ67)。
本実施例によれば、第1安定制御及び第2安定制御によって、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと、油温とを近づけることができるから、測定温度Tcと実際の油温との乖離による油の異常加熱を防止できる。
なお、上記では、保温動作となる安定制御は2回行なっているが、安定制御は1回だけでもよく、また、3回以上としてもよい。
<第4実施例>
本実施例は、上記第2実施例及び第3実施例のステップ23及びステップ43における低温スタート制御に関するものである。
加熱手段(35)(36)では、図7に示すように加熱コイルはドーナツ状に配置されており、中心の加熱コイルのない位置に中央サーミスタ(50)が配置され、横サーミスタ(51)は、加熱コイル上に配置される。
加熱コイル上に配置される横サーミスタ(51)は、加熱コイルに誘導加熱により発生する熱量の影響を受ける。また、調理鍋の底形状の凹凸や反りの有無、材質、油量、油温等により、中央サーミスタ(50)と横サーミスタ(51)の測定温度に差が生じることがある。
実際の油温と、中央サーミスタ(50)の測定温度Tc、横サーミスタ(51)の測定温度Tyを比較すると、図8に示すように、横サーミスタ(51)の測定温度Tyは、実際の油温よりも高いことがわかる。なお、図8は、油量900gの鉄鍋を加熱したときの両サーミスタ(50)(51)の温度Tc、Tyと油温の実測値との関係を示している。
図8のとおり、横サーミスタ(51)の測定温度Tyを利用して、油温を精度よく制御することは困難であることがわかる。
そこで、本実施例では、横サーミスタ(51)の測定温度Tyと中央サーミスタ(50)の測定温度Tcから、実際の油温に近い制御温度Twを算出し、油温を精度よく制御するものである。
具体的には、図9に示すフローチャートに基づいて、図10に示すように調理鍋の底形状や油量等の調理鍋の状態を判別(「鍋判別」)し、得られた鍋判別データに基づいて、制御温度Twを決定するようにした。
図9に示すように、揚げ物が開始されると(ステップ71)、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが所定温度(例えば120℃)に到達しているか比較し、側手温度Tcが所定温度以下であれば、所定温度に到達するまで高出力で加熱を行なう(ステップ72及びステップ73)。
所定温度到達後、高出力で加熱を行ないつつ、x秒間(例えば70秒)における温度上昇率を測定し、鍋判別データΔV0を算出する(ステップ74乃至ステップ76)。鍋判別データΔV0は、x秒間の加熱による上昇温度をx秒で除算することにより算出できる。
x秒経過後、次に、y秒間(例えば40秒)加熱を停止し、y秒間における温度降下率を測定し、鍋判別データΔV1を算出する(ステップ77乃至ステップ79)。鍋判別データΔV1は、y秒間の加熱停止による降下温度をy秒で除算することにより算出できる。
制御手段(40)は、図10に示すように、種々の実験により予め作成された鍋判別マップに、算出された鍋判別データΔV0及びΔV1を適用し、図10に示すように、予め設定された鍋判別データΔV0’とΔV1’の値と比較し、鍋判別する(ステップ80)。
鍋判別マップには、上記のように、調理鍋の底形状、材質、油量、油温を、得られた鍋判別データΔV0及びΔV1から決定するものであり、得られた鍋判別データΔV0とΔV1から、中央サーミスタ(50)と横サーミスタ(51)により測定される温度の検知精度を判断し、実際の油温となる制御温度Twを、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcと横サーミスタ(51)の測定温度Tyから算出するものである。
制御温度Twは、例えば、上記鍋判別マップの場合、(Ty×比率α+Tc×比率β)/(比率α+比率β)で表わすことができる。
制御手段(40)は、鍋判別マップに従い、調理鍋の底形状、材質、油量、油温を取得し、後述するとおり、上記数式により両サーミスタ(50)(51)に基づく制御温度Twを算出する(ステップ84)。
ステップ80にて、鍋判別データΔV0とΔV1が算出されると、制御手段(40)は、加熱手段を高出力で制御すると共に(ステップ81)、中央サーミスタ(50)の温度Tcと横サーミスタ(51)の温度Tyを比較し(ステップ82)、両サーミスタ(50)(51)の測定温度Tc、Tyにより、温度制御可能か否かの判断を行なう。
両サーミスタ(50)(51)の測定温度TcとTyを比較した結果、横サーミスタ(51)の測定温度Tyが、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcよりも所定温度g(例えば10℃)以上高い場合には、調理鍋がトッププレート(16)の上に正しく置かれており、横サーミスタ(51)も正常に温度測定を行えると判断し、鍋判別データΔV0、ΔV1と、鍋判別マップから、比率αとβを導き出し、上記数式に代入して、制御温度Twを算出する(ステップ84)。
ステップ83において、横サーミスタ(51)の測定温度Tyが、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcよりも所定温度g(例えば10℃)高い温度に到達していなければ、調理鍋がトッププレート(16)に正しく載置されておらず、横サーミスタ(51)が正常に温度測定できないと判断し、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcのみで温度測定を行ない、中央サーミスタ(50)の測定温度Tcが設定温度Tgに到達すると、加熱を終了して、適温報知する(ステップ86)。
上記ステップ84において、制御温度Twが算出されると、算出された制御温度Twが設定温度Tgに到達するまで(ステップ85)、加熱を行ない、制御温度Twが設定温度Tgに到達すると(ステップ86)、加熱を終了して適温報知する(ステップ86)。
本実施例によれば、2つのサーミスタ(50)(51)に基づいて、鍋判別を行なうと共に、サーミスタ(50)(51)の測定温度TcとTyにより、実際の油温に近い制御温度Twを導き出すことができ、サーミスタ(50)(51)の測定精度を高めることができ、油の異常加熱等を防止できる。
<第5実施例>
本実施例は、ロースタ部(33)の内部のトレー(61)を引き出す構造に関するものである。
図11及び図12に示すように、ロースタ部(33)は、調理庫(60)の内部側面には上下にガイド(71)(72)を有したコ字状のレール(70)が形成されている。
上側のガイド(71)の開口側上端は、上向きに屈曲しており、後述するトレー(61)のローラ(66)をスムーズに案内することができる。
レール(70)には、調理庫(60)の開口側に、ローラ(74)が配備されている。ローラ(74)は、フェノール樹脂等の耐熱性、耐久性にすぐれた硬い材料を用いることが望まれる。
調理庫(60)の内部は、ホーロー処理されており、奥側から加熱手段(38)であるシーズヒータが前方に向けて突設され、上面には平面ヒータ(38a)が配置されている。シーズヒータは、調理庫(60)の内部で屈曲しており、調理庫(60)の開口側の長さは、後述するとおり、トレー(61)を傾けた状態でトレー(61)や焼き網(62)に当たらない長さに調整されている。
なお、トレー(61)は、図17に示すように凹状であり、前端には、蓋パネル(75)を取り付けるための金具(68)が取り付けられている。蓋パネル(75)は、図16に示すように、基端側に調理庫(60)内を見ることができる窓(77)と取っ手(76)を有し、トレー(61)に着脱可能となっている。
また、トレー(61)の凹部には、図17に示すように、下向きに脚(63)が突設された焼き網(62)が載置される。
トレー(61)の側面後端には、ローラ取付板(65)が後方に向けて突設されており、該ローラ取付板(65)には、ローラ(66)が配備されている。ローラ(66)は、鍔(64)の下側にくるように形成する。ローラ(66)は、前記レール(70)のガイド(71)(72)間に嵌まることができる直径であり、フェノール樹脂等の耐熱性、耐久性にすぐれた硬い材料を採用することができる。
また、トレー(61)の上部周縁には、外向きに広がる鍔(64)が形成されている。鍔(64)は、レール(70)やローラ(74)、次で説明するローラ(66)等の摺動部分に調理物が飛散したり、油が飛散することを防止すると共に、トレー(61)の出し入れの際に下面がローラ(74)と当たる。
上記トレー(61)は、図13に示すように、調理庫(60)に対して、蓋パネル(75)側が少し上に傾くようにして、上側のガイド(71)の先端屈曲部分からガイド(71)(72)間に挿入され、図12及び図14に示すように、トレー(61)を調理庫(60)とほぼ水平に戻し、そのまま図15及び図16に示すように調理庫(60)内に押し込むことで、調理庫(60)に収納される。
このとき、トレー(61)のローラ(66)は、ガイド(71)(72)間で回転しつつ進行する。また、レール(70)のローラ(74)は、トレー(61)の鍔(64)の下面に当たって回転しつつ、トレー(61)を内部に導く。
このように、トレー(61)を調理庫(60)に収納する際に、トレー(61)の底面と調理庫(60)の底面が接触せず、また、トレー(61)とレール(70)は、ローラ(66)(74)によって、摺動抵抗が小さく、殆んど摩擦抵抗もないから、トレー(61)の出し入れの際に金属の擦れる不快音も発生することはない。
調理庫(60)に収納されたトレー(61)は、取っ手(76)を掴んで、図16、図15及び図14に示す要領で、調理庫(60)から引き出すことができる。この場合も、トレー(61)と調理庫(60)との摺動抵抗や摩擦抵抗は小さいから、不快音の発生を抑え、スムーズなトレー(61)の引き出しを実現できる。
調理物の出し入れをする場合や、トレー(61)を洗浄する場合には、図12に示すように、トレー(61)を調理庫(60)に対して水平な状態で引き出し、トレー(61)のローラ(66)が上側ガイド(71)の先端屈曲部まできたときに、図13に示すように、蓋パネル(75)側を上向きに傾けつつ引っ張ることで、トレー(61)を調理庫(60)から完全に取り外すことができる。
本実施例によれば、トレー(61)は、不快音を発することなく調理庫(60)に挿入したり、引き出すことができる。
また、トレー(61)を単に前側に引いても、トレー(61)のローラ(66)がガイド(71)(72)間に残った状態で停止するから、誤ってトレー(61)が調理庫(60)から脱落してしまうことがない。
なお、上記の実施例において、ローラ(66)(74)によりトレー(61)と調理庫(60)との摺動抵抗や摩擦抵抗は小さくして、不快音の発生を抑え、スムーズなトレー(61)の引き出しを実現していたが、本発明はこれに限らず、ローラ(66)(74)の代わりに、レール(70)のガイド(71)(72)に、トレー(61)の摺動性を高め、摩擦抵抗を低くするために、ビード(73)(73)を形成しても良い。
この構成では、トレー(61)の側面には、図17及び図18に示すように、鍔(64)の下側に前記下側のガイドレール(70)に沿って摺動する摺動板(67)が突設されている。摺動板(67)は、ガイドレール(70)のビード(73)と当接し、トレー(61)をスライド可能としている。
このレール(70)、ローラ(71)(72)及び摺動板(67)は、トレー(61)を調理庫(60)内に収納する際又は引き出す際にトレー(61)の底面と調理庫(60)の底面が接触しないように、高さ調節をしておく。
上記第1実施例乃至第5実施例において、一実施例として誘導加熱調理器を説明したが、本発明はこれに限らず、フィッシュロースタや電気加熱調理器や電気オーブンなど加熱調理器全般に適用可能である。
本発明は、使用者に伝達する音声情報がある場合に、使用者が確実に音声情報を聞き取ることができる誘導加熱調理器として有用である。
また、本発明は、調理鍋の油量に拘わらず、油の異常加熱を防止することのできる誘導加熱調理器として有用である。
本発明の誘導加熱調理器の斜視図である。 制御手段のブロック図である。 本発明の実施例1のフローチャート図である。 本発明の実施例2のフローチャート図である。 本発明の実施例3のフローチャート図である。 安定制御を行なったときの中央サーミスタの測定温度を示すグラフである。 加熱部に配置されたサーミスタと、磁界強さの関係を示す図である。 サーミスタの測定温度と油温の実測値を示すグラフである。 本発明の実施例4のフローチャート図である。 鍋判別マップである。 トレーを取り外した状態の調理庫の内部を示す斜視図である。 トレーのローラがレールに嵌まった状態を示す側面図である。 トレーを調理庫に嵌め又は取り外す状態を示す側面図である。 図12の斜視図である。 トレーを調理庫の中央近傍まで進入させた状態を示す斜視図である。 トレーを調理庫に収納した状態を示す斜視図である。 トレー及びトレーに載置された焼き網の斜視図である。 トレーの摺動板と、レールのガイドとの係合状態を示す断面図である。
(10) 加熱調理器
(16) トッププレート
(20) 操作手段
(25) 操作部
(30) 加熱部
(35) 加熱手段
(40) 制御手段
(42) 記憶部
(60) 調理庫
(61) トレー

Claims (2)

  1. 本体上面に配置され、調理鍋が載置可能なトッププレートと、
    前記トッププレート下側に配置された加熱コイルを含み、前記加熱コイルで発生させた磁束で前記調理鍋を誘導加熱し前記調理鍋内の被加熱物を加熱する加熱手段と、
    前記調理鍋内の被加熱物の設定温度が操作入力可能な操作手段と、
    前記トッププレート下側に配置され、前記トッププレートを介して前記調理鍋の温度を測定する温度測定手段と、
    前記温度測定手段により測定された温度によって、前記加熱手段の出力を制御する制御手段と、
    を具え、
    前記温度制御手段は、前記加熱コイル上の略中心に配置された中央サーミスタを有しており、
    前記制御手段は、
    前記中央サーミスタの測定温度と前記操作手段で入力した設定温度とを比較し、前記設定温度まで前記調理鍋の被加熱物を加熱する場合に、
    前記中央サーミスタの測定温度が、前記設定温度よりも低い安定温度Jで前記加熱手段の加熱及び停止を繰り返した保温動作を所定時間行い、前記保温動作中に前記安定温度Jを跨いだ温度の昇降があったことを確認すると前記保温動作を終了し前記中央サーミスタの測定温度前記設定温度になるまで前記加熱手段を作動させるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記制御手段は、前記安定温度Jでの前記保温動作後、前記安定温度Jよりも高く前記設定温度よりも低い安定温度Mで再び前記加熱手段の加熱及び停止を繰り返した保温動作を行い、
    その後に前記中央サーミスタの測定温度前記設定温度になるまで前記加熱手段を作動させるようにした請求項1に記載の加熱調理器。
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