JP5246720B2 - 被覆硬化成形体の製造方法、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を含む被覆硬化成形体の製造システム - Google Patents

被覆硬化成形体の製造方法、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を含む被覆硬化成形体の製造システム Download PDF

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本発明は、少なくとも、剥離性フィルム層と紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材を、成形体に被覆させる被覆硬化成形体の製造方法、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を含む被覆硬化成形体の製造システムに関する。
従来、ノートパソコンや携帯電話の筐体を加飾する方法として、塗装やインモールド法(IMR)が広く用いられている。IMRとは、金型内に表皮材を挟んだ状態で射出成型することにより、射出成型品の表面を加飾するものである。
しかしながら、塗装は、有機溶剤を使うため環境に好ましくなく、歩留まりが悪い、という問題がある。また、IMRは、表皮材が溶けるために金属筐体に用いることができず、複雑な形状(30℃以上の角度がある形状や深絞りなど)を有する成形品では隙間なく被覆できない、という問題点がある。すなわち、この方法では、加飾できる成形品の材質や形状に制限がされる。さらに、大型の成形品には加飾できず、印刷方法も実質的にグラビア印刷のみであり、印刷方法にも制限がある、という問題点もある。
さらに、真空成形法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この方法は、減圧可能なチャンバーボックス内において、成形品と表皮材が離れた状態で、成形品を下部に、表皮材を上部に配置する。次に、チャンバーボックス内に加熱装置を移動させ、表皮材を加熱して軟かくした後、加熱装置をチャンバーボックスの外に移動させる。次に、表皮材を下降変位させ、表皮材を成形品へ押し付ける。そして、ボックス内全体を減圧した後、表皮材より上部の空間を大気圧に戻す。これにより、表皮材は成形品側に引っ張られ、成形されるものである。
しかしながら、この方法では、1つの成形品を加飾するのに(1サイクルに)時間がかかるため、量産性が悪い、という問題点がある。より詳しくは、この方法では、表皮材を加熱するのに1〜2分間、表皮材より上部を減圧し、その後、大気圧に戻すのに1〜2分間かかるため、少なくとも1サイクルに2〜4分間は必要であり、1サイクルに時間がかかり、短時間で多くの成形品を加飾することができない。また、加熱した表皮材を移動させ、成形品に押しつけるため、位置決めが上手くいかない、という問題点がある。また、この方法を用いた成形装置は、高価であり、上記のように大量生産には向かないことから、広く用いられているとは言えない。
さらに、熱転写法が知られている。この方法は、減圧可能なチャンバーボックス内に、成形品を配置し、当該成形品の表面に表皮材を配設する。配設された表皮材の上部には、上下変位可能なシリコンシートが設けられている。次に、下部から減圧した後、比較的厚みのある、加熱されたシリコンシートが下降変位して、表皮材を成形品へ押し付ける。これにより、表皮材は、成形品の被覆面の沿った形状で被覆され、さらに表皮材の接着層にあるホットメルト接着剤が機能して、表皮材が成形品に接着される。被覆後、シリコンシートは上昇変位して、表皮材から離れる。
しかしながら、この方法では、シリコンシートには比較的厚みがあることから、成形品の複雑な形状部分に表皮材を押し付けることができず、結果として、複雑な形状を有する成形品では隙間なく被覆できない、という問題点がある。さらに、この方法に用いる装置は、一般的に、成形品を配置した受治具が、順次、圧着工程、加熱工程、熱転写工程と一定の方向に移動した後、再度、逆方向に戻る構成となっているため、1つの成形品を加飾するのに(1サイクルに)時間がかかり、量産性が悪い、という問題点がある。
特開2005−262501号公報 特開2005−262502号公報
以上より、従来の加飾方法では、複雑な形状を有する成形体では隙間なく被覆できず、成形体の材質により制限を受け、量産性が悪い、という問題点がある。
そこで、本発明の課題は、従来の加飾方法と比して、複雑な形状を有する成形体に対して、隙間なく十分な強度で被覆でき、広範な材質に対しても被覆でき、量産性が良好な、被覆硬化成形体の製造方法、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を含む被覆硬化成形体の製造システムを提供することである。
本発明は、少なくとも、剥離性フィルム層と紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体の製造方法であって、加圧減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する成形工程を有する、被覆硬化成形体の製造方法である。
また、本発明は、少なくとも、剥離性フィルム層と紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置であって、加圧減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧する減圧手段及び、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する加圧手段を備える、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置である。
また、本発明は、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置と、硬化手段との組み合わせによる、被覆硬化成形体の製造システムである。
本発明は、従来の加飾方法と比して、複雑な形状を有する成形体に対して、隙間なく十分な強度で被覆でき、広範な材質に対しても被覆でき、量産性が良好な、被覆硬化成形体の製造方法、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を含む被覆硬化成形体の製造システムを提供する。
本発明の被覆成形体製造用の成形体の製造装置を示す概念図である。
[被覆硬化成形体の製造方法]
以下、本発明の被覆硬化成形体の製造方法について説明する。
本発明は、少なくとも、剥離性フィルム層と紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体の製造方法であって、(3A)加圧減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する成形工程を有する、被覆硬化成形体の製造方法である。
これにより、従来の加飾方法と比して、複雑な形状を有する成形体に対して、成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。そして、短時間で十分な強度で、表皮材を成形体へ接着できるため、量産性が向上する。
さらに、本発明は、下記(2A)〜(5A)の工程を有することが好ましい。
(2A)成形体に圧着された表皮材を加熱する加熱工程;
(3A)加圧減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する成形工程;
(4A)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程を行った後に、(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程又は、(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程を行った後に、(4A)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程。
(2A)加熱工程を行うことにより、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
さらに、本発明は、前記(2A)加熱工程の前に、(1A)ローラにより、成形体に表皮材を圧着させる圧着工程を有することが好ましい。
(1A)圧着工程を行うことにより、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
さらに、本発明は、前記(3A)成形工程において、実質的な加圧の前に減圧を開始する、又は加圧及び減圧を同時に開始することが好ましい。
これにより、表皮材と成形体との間の気体をより排除できるため、表皮材と成形体をより密着させることができる。
さらに、本発明は、前記(3A)成形工程中の減圧において、一定の圧力で気体を吸引して減圧した後に、前記一定の圧力よりもさらに強い圧力で気体を吸引して減圧することが好ましい。
これにより、表皮材と成形体との間の気体をより排除できるため、表皮材と成形体をより密着させることができる。
さらに、本発明は、表皮材の破壊伸びが、40〜1200%であることが好ましい。
破壊伸びの割合が大きい表皮材を用いて、当該被覆成形体の製造方法を行うことにより、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
さらに、本発明は、表皮材として、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させた表皮材(以下、「事前硬化表皮材」という場合がある。)を用い、その後、表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程を行わないことが可能である。
比較的単純な形状を持つ成形体であれば、最初に表皮材を硬化させることも可能である。
さらに、本発明は、装飾層として、夜光加工、潜像加工、凹凸加工のうち、いずれか1つを処理することが可能である。
以下、本発明の被覆硬化成形体の製造方法について、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明の被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置(10)を示す概念図である。被覆成形体は、被覆硬化成形体の製造に用いるものである。被覆成形体は、事前硬化表皮材を用いない場合において、成形工程後であって、硬化工程前の状態をさす。図1には、圧着工程、加熱工程、成形工程が例示されている。硬化工程と剥離工程は図示していない。図1では、表皮材(1)が配設された成形体(2)を載せた受治具(3)は、右側から左側へ移動し、順次、圧着工程、加熱工程、成形工程を経る。
〔圧着工程〕
圧着工程(1A)は、ローラにより、成形体に表皮材を圧着させる工程である。
具体的には、受治具に支持され、受治具に配置された成形体の上方に、成形体の被覆面と表皮材の接着層が相対するように配設された表皮材に対して、ローラにより、成形体に表皮材を圧着させる工程である。この状態では、圧着される表皮材は、受治具に支持されおり、そして、受治具に配置された成形体の上方に、成形体の被覆面と表皮材の接着層が相対するように配設されている。
(成形体、表皮材、受治具)
具体的には、例えば、成形体の被覆面を上向きにして、成形体を受治具に設置する。次いで、表皮材の接着層を下向きにして、成形体の上方に表皮材を配設する。そして、表皮材の端部(将来的に、被覆に用いられない部分の一部)は、受治具に支持される。よって、成形体の被覆面と表皮材の接着層が相対向し、成形体から見て最表層に剥離性フィルム層が来る。成形体と表皮材については、後述する。
受治具は、成形工程(後述)において、チャンバーボックスの一部を形成する場合、上方向が開放された箱型であり、下面部(底面部)と4方の枠部からなる。受治具の下面部の内側には、通常、成形体に対応した溝や突起があり、これにより成形体が着脱可能に固定される。
表皮材は、受治具の枠部上部(上面)または枠部の外側(外面)で支持される。表皮材を受治具に支持する理由は、成形工程(後述)において、チャンバーボックスを形成した際、表皮材が、チャンバーボックス上側部材の枠部と受治具の枠部に挟まれ、チャンバーボックス内側の空間を表皮材で区画するためである。これにより、表皮材より上方の空間(加圧される空間)と、表皮材より下方の空間(減圧される空間)が形成される。従って、表皮材の大きさは、受治具の内枠の大きさよりも大きいものである。
表皮材を支持する方法は特に制限はない。表皮材が、受治具の枠部上部(上面)で支持される場合を例示する。前述のとおり、表皮材の大きさは受治具の内枠の大きさよりも大きいため、将来的に被覆に用いられない部分(通常、表皮材の端部)が存在する。被覆に用いられない部分の一部に穴を開けておき、これを受治具の枠部上面に設けた凸部(支持部)に引っかけて、表皮材を受治具に支持する。他の方法として、表皮材が受治具の枠部の外側で支持される場合、例えば、受治具の枠部の外側にクリップ構造を設け、これにより支持することができる。
成形体の被覆面と表皮材の接着層との接触は、必須ではない。成形体の被覆面の形状に応じて、接触させ又は接触せず、配設できる。例えば、成形体の被覆面が比較的平坦な部分が多ければ、接触していることが好ましい。接触していない場合、例えば、配設された表皮材と成形体との間が2ミリ以下が好ましい。このように配設することにより、目的の位置に文字や図柄などを付すための位置決めが正確にできるとともに、圧着工程に係るローラをかける際にズレが生じにくくなる点で好ましい。
このように表皮材を配設する作業は、手作業でも構わないし、公知の配設手段により自動で行っても構わない。
(ローラ)
この工程により、表皮材にローラがかけられ、圧力がかかる。これにより、表皮材と成形体との間の気体が抜け、表皮材と成形体が密着される。ローラは、より表皮材と成形体が密着させるため、加熱することが好ましい。加熱により、短時間であるが、表皮材が軟らかくなると共に、接着層の接着剤の一部が機能する。ローラの温度は、表皮材及び成形体の材質により適宜選択されるので、一概に規定することはできない。例えば50〜200℃、好ましくは70℃〜160℃が挙げられる。
〔加熱工程〕
加熱工程(2A)は、成形体に圧着された表皮材を加熱する工程である。加熱工程(2A)は、圧着工程(1A)を経た後に行われる。
この工程により、表皮材が加熱され、軟かくなる。この目的は、接着層の接着剤を機能させつつ、成形工程(後述)において、成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、隙間なく表皮材を成形体に密着させるためである。加熱条件としては、例えば50〜200℃、好ましくは70℃〜160℃が挙げられる。
〔成形工程〕
成形工程(3A)は、加圧減圧可能なチャンバーボックス(以下、「ボックス」と言う場合がある。)内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する工程である。成形工程(3A)は、加熱工程(2A)を経た後に行われる。
この工程により、成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、隙間なく表皮材は成形体に接着される。
表皮材が圧着された成形体がボックス内に位置したとき、ボックス内の空間は、表皮材により区画され、表皮材より上方の空間と、表皮材より下方であって成形体が存する空間に区別される。次に、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材の上方の空間を加圧する。減圧により表皮材を成形体へ引っ張り、加圧により表皮材を成形体へ押し付け、成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。減圧の場合、例えば、ボックス下面にある気体吸引口からボックス内の空気を吸引して、減圧する。加圧の場合、例えば、ボックス上面にある気体供給口からボックス内へ空気を供給し、表皮材より上方の空間を加圧する。
表皮材の上方より供給される気体は加熱されていることが好ましい。例えば、50〜200℃であり、好ましくは80〜150℃である。これにより、表皮材が軟らかくなるとともに、接着層にある接着剤が十分に機能して、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
減圧の度合いも特に規定はないが、通常、約−1気圧(工業的には真空)まで減圧される。加圧の度合いも特に規定はないが、通常、1気圧を超え20気圧以下、好ましくは2気圧以上10気圧以下である。
減圧処理と加圧処理(以後、「両処理」という場合がある。)の開始の前後や、両処理の終了の前後は問わない。もちろん、両処理を同時に行っても良い、一方の処理を開始して、その処理を行いながら、他方の処理を開始してもよい。また、一方の処理を終了した後、次いで他方の処理を行ってもよい。
例えば、実質的な加圧の前に減圧を開始するか、又は加圧及び減圧を同時に開始することが好ましい。このようにすることにより、より成形体と表皮材との間の気体が除去され、成形体と表皮材は密着し、結果として、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
減圧の前に加圧を行った場合、成形体と表皮材との間に気体が入ったり、既にあった気体が膨張して、気泡ができたりする等の不具合が生じる場合がある。「実質的な加圧」とは、前記の不具合が生じる程度の加圧という意味であり、前記の不具合が生じない程度の加圧を排除する趣旨である。例えば、2気圧以上の加圧である。
減圧処理における減圧のかけ方は、特に限定されない。例えば、減圧の度合いを徐々に強くしたり、段階を追って強くすることができる。段階を追って強くする方法として、一定の圧力で気体を吸引して減圧した後に、前記一定の圧力よりもさらに強い圧力で気体を吸引して減圧することが好ましい。これにより、表皮材と成形体との間の気体はさらに抜け、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材は成形体に密着する。例えば、約−0.5気圧で一定時間減圧し、さらに、約−1気圧で減圧することが挙げられる。
〔硬化工程及び、剥離工程〕
硬化工程及び剥離工程を行う順番は、剥離性フィルム層の材質に応じて、適宜選択することができる。剥離性フィルム層の上から紫外線を照射した場合、剥離性フィルム層が紫外線を反射又は吸収し、紫外線硬化性樹脂層の硬化が不十分であれば、硬化工程の前に剥離工程を行うことが必要である。剥離性フィルム層の上から紫外線を照射した場合、紫外線硬化性樹脂層の硬化が十分であれば、いずれを先に行っても構わない。すなわち、(4A)紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程の後に、(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程を行うか、又は、(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程の後に、(4A)紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程を行うことができる。
表皮材として、事前硬化表皮材を用いる場合には、前記成形工程の後に、当該硬化工程を行わない。
(硬化工程)
硬化工程(4A)は、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる工程である。これにより、表皮材が硬化して、被覆部分の保護などの機能を発揮する。硬化工程は、表皮材を硬化するため、成形工程を経た後に行われる。すなわち、成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、隙間なく表皮材が接着した成形体に対して行われる。硬化工程は、図1に示されていない。紫外線は表皮材に照射されるため、紫外線の照射口は、一般的に、表皮材の上方及び横方向に位置する。
(剥離工程)
剥離工程(5A)は、剥離性フィルム層を剥離する工程である。これにより、紫外線硬化性樹脂層が表層に出る。剥離する際、表皮材で被覆に用いられなかった部分も同時に除去できることが好ましい。剥離工程は、手作業でも構わないし、公知の剥離手段により自動で行っても構わない。
[被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を用いる被覆硬化成形体の製造システム]
以下、本発明の被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、該製造装置を用いる被覆硬化成形体の製造システムについて説明する。
本発明は、少なくとも、剥離性フィルム層と紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置であって、(3a)加圧減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧する減圧手段及び、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する加圧手段を備える、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置である。
これにより、従来の加飾方法と比して、複雑な形状を有する成形体に対して、隙間なく表皮材が接着された成形体が製造できる。そして、短時間で十分な強度で、表皮材を成形体へ接着できるため、量産性が向上する。
得られる被覆成形体は、被覆硬化成形体製造用であり、その後、硬化手段により紫外線硬化性樹脂層が硬化され、被覆硬化成形体となる。よって、この被覆成形体は、被覆硬化成形体の中間体である。
さらに、本発明は、(2a)成形体に圧着された表皮材に加熱するための加熱手段を備えることが好ましい。
この前処理を行うことにより、より複雑な形状を有する成形体に対して、さらに隙間なく表皮材が強固に接着された成形体が製造できる。
さらに、本発明は、(1a)成形体に表皮材を圧着させるためのローラを備えることが好ましい。
この前処理を行うことにより、より複雑な形状を有する成形体に対して、さらに隙間なく表皮材が強固に接着された成形体が製造できる。
さらに、本発明は、成形体を保持する受治具を備え、該受治具が、順次、(1a)ローラを備える領域、(2a)加熱手段を備える領域、(3a)減圧手段及び加圧手段を備える領域へ移動可能であることが好ましい。
これにより、連続的に被覆成形体を製造することができるので、量産性が上がる。被覆成形体を製造する際、表皮材を成形体に被覆・接着させる工程までが最も時間を要するので、被覆成形体の量産性が上がることにより、被覆硬化成形体の量産性も飛躍的に向上する。
さらに、本発明は、加圧減圧可能なチャンバーボックスが、成形体を保持する受治具と、当該装置内に備えられた上下変位可能なチャンバーボックス上側部材とが分離可能に連結したものであることが好ましい。
これにより、表皮材が配設・圧着された成形体を受治具に保持したまま、チャンバーボックスを形成することができるため、減圧・加圧処理(成形工程)を短時間ですることが可能とあり、量産性が向上する。
さらに、本発明では、(i)成形体を保持した受治具が、(3a)減圧手段及び加圧手段を備える領域へ移動し、次いでチャンバーボックス上側部材が下降変位することにより、受治具とチャンバーボックス上側部材とが分離可能に連結してチャンバーボックスを形成し、(ii)さらに、チャンバーボックス内で(3a)減圧手段及び加圧手段により所定の処理を行った後、チャンバーボックス上側部材が上昇変位することにより、受治具とチャンバーボックス上側部材が分離し、次いで成形体を保持した受治具が、他の作業領域へ移動することを可能とすることが好ましい。
これにより、表皮材が配設・圧着された成形体を受治具に保持したまま、チャンバーボックスを形成することができるため、減圧・加圧処理(成形工程)を短時間ですることが可能とあり、量産性が向上する。
さらに、本発明は、表皮材の破壊伸びが、40〜1200%であることが好ましい。
破壊伸びの割合が大きい表皮材を用いて、当該製造装置を用いることにより、より成形体の被覆面の沿った形状に表皮材が成形され、さらに隙間なく表皮材を成形体に接着することができる。
さらに、本発明は、装飾層として、夜光加工、潜像加工、凹凸加工のうち、いずれか1つを処理することが可能である。
さらに、本発明は、表皮材として、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させた表皮材を用い、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置からなる被覆硬化成形体の製造装置とすることも可能である。
比較的単純な形状を持つ成形体であれば、最初に表皮材を硬化させることも可能である。
さらに、本発明は、表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化手段を備える、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置からなる、被覆硬化成形体の製造装置とすることも可能である。
さらに、本発明は、表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化手段を備える、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置からなる被覆硬化成形体の製造装置とすることも可能である。
総じて、これらの構成をとることにより、連続的に被覆成形体を製造することができるので、被覆成形体(及び被覆硬化成形体)の量産性が上がる。そして、成形体の大きさに応じた、チャンバーボックスを容易に用意できるため、デッドスペースが少なくなり、短時間で成形工程を行うことができる。これによっても、被覆成形体(及び被覆硬化成形体)の量産性が上がる。
本発明は、被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置と、硬化手段との組み合わせによる、被覆硬化成形体の製造システムである。
これにより、複雑な形状を有する成形体に対して、隙間なく表皮材が強固に被覆された被覆硬化成形体を、効率良く製造することが可能となる。
以下、本発明の被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置及び、当該製造装置を用いる被覆硬化成形体の製造システムについて、さらに詳細に説明する。
本発明の前記被覆成形体の製造装置により得られる被覆成形体は、被覆硬化成形体の製造に用いられる。被覆成形体は、紫外線を照射して、表皮材中の紫外線硬化性樹脂層を硬化させることにより、被覆硬化成形体となる。よって、被覆成形体は、被覆硬化成形体の中間体である。
本発明の前記被覆成形体の製造装置に、事前硬化表皮材を用いた場合には、被覆硬化成形体が製造される。
本発明の製造装置は、少なくとも、上記(3a)減圧手段及び加圧手段を備える。さらに好ましくは、上記(1a)〜(3a)のうち、一部又は全部を備える。そして、下記(4a)と(5a)のうち、一部又は全部を備えることができる。
(4a)紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化手段
(5a)剥離性フィルム層を剥離する剥離手段
(被覆硬化成形体の製造装置)
本発明の前記被覆成形体の製造装置は、(4a)硬化手段を備えることにより、被覆硬化成形体の製造装置となる。剥離性フィルム層の剥離は、成形工程を行った後、硬化工程の前後に行う。
(被覆硬化成形体の製造システム)
本発明の前記被覆成形体の製造装置は、(4a)硬化手段を組み合わせることにより、被覆硬化成形体の製造システムとなる。
図1の例では、圧着領域(102)に加熱ローラがあり、加熱領域(103)に加熱手段があり、成形領域(104)に減圧手段と加圧手段がある。図1には、(4a)硬化手段と(5a)剥離手段は示されていない。
本発明の被覆成形体製造用の成形体の製造装置は、表皮材(1)が配設された成形体(2)を脱着可能に固定した受治具(3)が、順次、圧着領域(102)、加熱領域(103)、成形領域(104)へ移動可能に構成されている。圧着領域(102)、加熱領域(103)、成形領域(104)は、水平方向に、同軸上(直線上)に配置されている。このように配置されることにより、簡単に受治具を移動可能な構成にすることができるため、好ましい。
〔ローラ〕
ローラ(1a)は、成形体に表皮材を圧着させるための手段である。
具体的には、受治具に支持され、成形体の被覆面と表皮材の接着層が相対するように、受治具に配置された成形体の上方に配設された表皮材に対して、成形体に表皮材を圧着させるための手段である。
受治具は、成形体を保持するものであり、表皮材を支持するために支持部を有する。受治具は、成形工程(後述)において、チャンバーボックスの一部を形成することから、上方向が開放された箱型であり、下面部(底面部)と4方の枠部からなる。受治具の下面部(底面部)には、気体吸引口(9)が設けられている。これは、成形工程(後述)において、チャンバーボックス上側部材と受治具で構成するチャンバーボックス内の気体を吸引して減圧するためのものである。
受治具(3)は、成形体及び表皮材を載せた状態で、順次、ローラに係る圧着領域(102)、加熱領域(103)、成形領域(104)へ移動可能である。
ローラは、成形体に表皮材を圧着させるものであり、公知のものが用いられる。ローラは、例えば50〜200℃、好ましくは70℃〜160℃で加熱される。ローラの数は、特に制限はなく、1つでも、2つ以上でも構わない。通常、表皮材の上方よりローラをかけるため、ローラは、表皮材の上方に位置する。
例として図1の配設領域(101)について説明する。
図1の配設領域(101)には、ローラによる圧着工程前の状態が示されている。すなわち、受治具に成形体が設置され、成形体の上方に表皮材が配設され、表皮材が受治具に支持されている状態を示している。表皮材は、成形体の被覆面と表皮材の接着層が相対するように、成形体に配設されている。図1の場合、成形体の被覆面の中央部と表皮材の中央部は接触している。そして、受治具の枠部上部と被覆に用いられない部分(通常、表皮材の端部)の所定の位置に設けられた穴が、これに対応する受治具の枠部上部(上面)に設けた凸部(支持部)に引っかかり、表皮材を受治具に支持している。受治具の下面部(底面部)には、複数の気体吸引口(9)が設けられている。
このように表皮材を配設する作業は、手作業でも構わないし、公知の配設手段により自動で行っても構わない。被覆成形体又は被覆硬化成形体の製造装置において、このように表皮材を成形体に配設する配設手段を設けることも可能である。
次に、例として図1の圧着領域(102)について説明する。
配設領域に示された状態のまま、表皮材が配設された成形体は、圧着工程が行われる圧着領域(102)へ移動する。圧着領域(102)において表皮材を圧着された成形体は、加熱領域(103)へ移動する。
図1の圧着領域(102)には、加熱ローラ(4)によって、表皮材が成形体に圧着されている状態が示されている。表皮材の上方よりローラをかけるため、加熱ローラ(4)は、表皮材の上方に位置する。
〔加熱手段〕
加熱手段(2a)は、成形体に圧着された表皮材に加熱するため手段である。
加熱手段は、例えば、公知の遠赤外線照射器(加熱ヒーター)などが用いられる。加熱手段の数や熱エネルギー供給口(例えば、遠赤外線供給口)の数は、特に制限はなく、1つでも、2つ以上でも構わない。熱エネルギー供給口の位置は、特に制限はなく、熱エネルギーが表皮材にあたる位置であればよい。熱エネルギーは表皮材にあたるため、熱エネルギー照射口は、通常、表皮材の上方に位置する。加熱条件としては、例えば50〜200℃、好ましくは70℃〜160℃が挙げられる。
例として図1について説明する。
圧着領域(102)において、表皮材を圧着された成形体は、加熱工程が行われる加熱領域(103)へ移動する。加熱領域(103)において表皮材が加熱された成形体は、成形領域(104)へ移動する。
図1の加熱領域(103)には、遠赤外線の加熱ヒーターより、成形体に圧着された表皮材を加熱している状態が示されている。遠赤外線は表皮材に照射されるため、遠赤外線の照射口は、表皮材の上方に位置する。
〔減圧手段及び加圧手段について〕
減圧手段及び加圧手段の構成は、ボックス内において、〔1〕表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧手段と、〔2〕表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧する加圧手段を含む。
(チャンバーボックス)
ボックスは、下記の減圧手段及び加圧手段に耐えうる程度の構造が必要である。
ボックスの構成は特に制限はないが、受治具をボックスの一部として使用することが好ましい。具体的には、チャンバーボックス上側部材(6)(以下、「上側部材」という場合がある。)と受治具(3)により構成されることが好ましい。この構成により、成形領域へ表皮材が圧着された成形体を移動させ、加圧減圧処理により表皮材の成形工程を行い、次いで、他の作業領域へ表皮材が成形・接着された成形体を移動させる時間を短くすることが可能となり、被覆成形体(及び被覆硬化成形体)の生産性が格段に向上する。また、成形体の大きさに応じた大きさの受治具(3)とチャンバーボックス上側部材(6)を容易に用意することができ、それにより、ボックス内のデッドスペースを極端に減らすことができるため、短時間で加圧減圧処理により表皮材の成形工程を行うことができ、被覆成形体の生産性が格段に向上する。
好ましい例として、以下の態様が挙げられる。
表皮材が圧着された成形体を載せた受治具が、成形領域の所定の位置まで移動し、次いで上下変位可能な上側部材が下降変位して、上側部材の枠部下部と受治具の枠部上部が分離可能に連結し、ボックスを形成する。その後、加圧減圧処理により表皮材の成形工程を行った後、上側ボックスは所定の位置まで上方変位し、受治具は他の作業領域へ移動する。
他の例として、上側部材が固定され、受治具が上昇変位してボックスを形成することも可能だが、受治具が直線上に、順次、圧着領域、加熱領域、成形領域、他の作業領域へ移動することを考慮すれば、上記の好ましい例が有効である。
(減圧手段)
減圧手段は、気体を吸引して減圧するものであり、公知の気体吸引器(例えば、減圧ポンプ)を用いることができる。
減圧の度合いは特に規定はないが、本発明では、通常、約−1気圧(工業的には真空)まで減圧するため、約−1気圧(工業的には真空)まで減圧可能な気体吸引器が好ましい。
減圧手段の数や気体吸引口の数は、特に制限はなく、1つでも、2つ以上でも構わない。短時間に効率良く減圧できるという観点から、気体吸引口は複数の方が好ましい。気体吸引口の位置は、特に制限はなく、表皮材より下方にあればよい。
(加圧手段)
加圧手段は、気体を供給して加圧するものであり、公知の気体供給器(例えば、気体供給コンプレッサー)を用いることができる。
加圧の度合いは特に規定はないが、本発明では、通常、通常、1気圧を超え20気圧以下、好ましくは2気圧以上10気圧以下まで加圧するので、20気圧(少なくとも10気圧)まで加圧可能な気体供給コンプレッサーが好ましい。
加圧手段の数や気体供給口の数は、特に制限はなく、1つでも、2つ以上でも構わない。短時間に効率良く加圧できるという観点から、気体供給口は複数の方が好ましい。気体供給口の位置は、特に制限はなく、表皮材より上方にあればよい。通常、風圧が当り、熱風の場合に表皮材が短時間で加熱しやすいように、気体供給口の一部は、表皮材に吹きつけられるような位置にあることが好ましい。
表皮材の上方より供給される気体は加熱されていることが好ましい。熱風の温度は、例えば、50〜200℃であり、好ましくは80〜150℃が挙げられる。
例として図1について説明する。
成形工程(3A)は、成形領域(104)において行われる。
成形領域(104)において生じた成形体(表皮材が接着された成形体)は、成形体取出領域(105)へ移動して取り出され、硬化手段や剥離手段が設けられた機械や装置(図示せず)などへ移動する。
成形領域(104)には、チャンバーボックス上側部材(6)と受治具(3)により構成された加圧減圧可能なチャンバーボックス(8)内において、表皮材が圧着された成形体に対して、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧しながら、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧している状態が図示されている。気体供給器と気体吸引器は、図示されていない。
(チャンバーボックス)
加圧減圧可能なチャンバーボックス(8)は、上下変位可能なチャンバーボックス上側部材(6)と受治具(3)が分離可能に連結して構成されている。前記上側部材(6)は、下面が開放された箱型であり、上面部と4方の枠部を有する。受治具(3)は、上面が開放された箱型であり、下面部と4方の枠部を有する。
前記ボックス(8)には、気体供給口(7)と気体吸引口(9)が存在する。
複数の気体供給口(7)は、前記上側部材(6)の上面部内側にあり、下向きに設けられている。表皮材の上方より気体を供給して加圧するため、気体供給口(7)は、表皮材の上方に位置する。
複数の気体吸引口(9)は、受治具(3)の下面部に設けられている。減圧手段は、前記部材6に内蔵されていても、別の箇所にあっても構わない。表皮材の下方より気体を吸引して減圧するため、気体吸引口(8)は、表皮材の下方に位置する。
次に動作について説明する。
装置(10)内には、前記上側部材(6)が設けられており、加熱領域(103)より成形体を載せた受治具が移動し、前記上側部材(6)の下方(所定の位置)へ位置する。そして、上下変位可能なチャンバーボックス上側部材(6)が下降変位して、前記上側部材(6)の枠部下部と受治具3の枠部上部が分離可能に連結し、チャンバーボックス(8)を形成する。このように、チャンバーボックス(8)が形成されることにより、表皮材が圧着された成形体は、チャンバーボックス内に配置される。よって、ボックス内に、成形体と表皮材を別々にセットする必要がないので、時間が短縮でき、生産効率が良い。
次に、受治具(3)にある気体吸引口(9)から気体が吸引され、表皮材の下方より減圧される。そして、表皮材の下方であり成形体が存する空間を減圧した状態で、前記上側部材(6)にある気体供給口(7)から気体が供給され、表皮材の上方より加圧される。
成形工程終了後、前記ボックス内は大気圧に戻され、前記上側部材(6)は受治具(3)と分離して、もとの位置(所定の位置)まで上方変位する。そして、受治具は別の領域(105)に移動し、被覆成形体が取り出される。被覆成形体の取り出し方は特に規定されず、受治具に載せたまま、硬化工程や剥離工程を行ってもよい。
〔硬化手段〕
硬化手段(4a)は、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させるための手段である。
被覆成形体の製造装置において、硬化手段は任意の構成であり、硬化手段を設けることができる。被覆成形体の製造装置に配設手段がない場合、成形工程より得られた成形体を、個別の紫外線照射器(別の装置)で照射すればよい。
硬化手段は、例えば、公知の紫外線照射器が用いられる。紫外線照射手段の数や紫外線照射口の数は、特に制限はなく、1つでも、2つ以上でも構わない。紫外線の照射口に位置は、特に制限はなく、紫外線が表皮材に照射される位置であればよい。通常、紫外線は表皮材に照射されるため、紫外線の照射口は、表皮材の上方及び横方向に位置する。
表皮材として、事前硬化表皮材を用いる場合には、硬化手段は不要である。
〔剥離手段〕
剥離手段(5a)は、剥離性フィルム層を剥離するための手段である。
被覆成形体の製造装置において、剥離手段は任意の構成であり、剥離手段を設けることができる。被覆成形体の製造装置に剥離手段がない場合、硬化工程の前後において、別個の剥離機器(公知)で剥離すればよい。また、剥離手段を設けず、手作業でも構わない。
次に、本発明に用いる表皮材及び成形体について説明する。
〔表皮材について〕
本発明で使用する表皮材は、少なくとも、剥離性フィルム層と硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された熱可塑性積層シートである。当該表皮材は、本発明(特に成形工程)において、成形体の被覆面の沿った形状に成形され、隙間なく成形体に密着されるので、熱可塑性を有する。
本発明で使用する表皮材は、公知の方法により製造できる。例えば、特開2008−132654号や、特開2005−186396号を参考に製造できる。
当該表皮材を用いることにより、剥離性フィルムが熱処理を伴う成形工程中には剥がれず、且つ、紫外線硬化処理の前後に速やかに剥離できるので、加飾部分(装飾層)が損傷を受けることなく、綺麗な被覆硬化成形体を得ることができる。
また、当該表皮材を用いることにより、加飾部分(装飾層)は硬化性樹脂で覆われるため、加飾部(装飾層)が保護され、強度や美観維持に優れた被覆硬化成形体を得ることができる。よって、当該被覆硬化成形体は、加飾部(装飾層)の保護のため、クリア塗装などの処理は必要ない。
表皮材の破壊伸び(JIS−K7127)は特に規定はないが、通常、40〜1200%であり、好ましくは250〜700%であり、より好ましくは300%超え650%以下である。表皮材の破壊伸びの割合が高いシートを用いて、本発明の製造方法及び製造装置を使用することにより、成形される際、適度にシートが伸び、複雑な成形体に対して、成形体の被覆面の沿った形状に成形され、隙間なく成形体に密着した被覆硬化成形体及び、被覆硬化成形体製造用の被覆硬化成形体を製造可能とする。
(剥離性フィルム層)
本発明で使用する表皮材の剥離性フィルム層は、成形工程後において剥離される。
本発明で使用する剥離性フィルムは、熱可塑性フィルムが好ましい。フィルムの材質は、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリメタアクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。そして、該熱可塑性樹脂の延伸若しくは未延伸フィルム、又は該フィルム同士を共押し出しやラミネートなどにより多層化したフィルムも用いることができる。これにより、表面の剥離性と成形性を両立させることが可能である。また、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、アミノアルキッドなどの剥離能を高める樹脂との積層体を使用することができる。
剥離性フィルム層の厚みは特に限定はないが、熱成形性、あるいは剥離性に優れることから20〜400μmが好ましく、さらに好ましくは50〜200μmが好ましい。
特に、熱成形時に破断せず、成形後に良好な剥離性を示すフィルムとしては、フィルムの厚みが25〜200μmの無延伸のポリプロピレンフィルム、無延伸又は二軸延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
通常、本発明に使用する表皮材を製造する際には、前記剥離性フィルム上に後述の硬化性樹脂の有機溶媒溶液を塗工する。従って、剥離性フィルムの材質または表面は、硬化性樹脂の有機溶媒溶液に使用する有機溶剤に対して耐性を有するフィルムが好ましい。耐溶剤性の低い剥離性フィルムを用いると、紫外線硬化後に剥離することが困難となったり、成形工程時に該フィルムに割れを生じるおそれがある。
(紫外線硬化性樹脂層)
本発明に使用する表皮材の紫外線硬化性樹脂層とは、成形工程後に剥離性フィルム層を剥離除去するため、被覆硬化成形体の表面となる層である。被覆部分の保護、強度維持、美観維持などの目的を有する。紫外線を照射して硬化させることで、耐傷付性や耐溶剤性に優れた層を形成する。
紫外線硬化性樹脂層の材質としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の紫外線硬化性樹脂に光重合開始剤を配合したものを主材として、架橋剤を添加したものを挙げることができる。
光重合開始剤としては、アゾ系の重合開始剤や光カチオン重合開始剤が挙げられ、紫外線硬化性樹脂に対して0.5〜5重量%配合させると良い。架橋剤としては、熱架橋型のイソシアネート、有機酸無水物、ポリアミンなどが挙げられ、紫外線硬化性樹脂に対して0.1〜10重量%配合させると良い。
硬化性樹脂の形成方法は、グラビア、オフセット、スクリーンなどの各種印刷方法や、グラビアコート、リバースコート、ローラコート、コンマコート、リップコートなどのコート法でもよい。また、塗装、ディッピングなどの方法でもよい。これらの方法で塗布した後は、適度の加熱をしてタックフリーの状態にすると良い。
硬化性樹脂層を半硬化状態にする方法は、硬化性樹脂層を形成する紫外線硬化型のモノマーやオリゴマー等に熱によって弱い架橋反応を起こす官能基を部分的に導入し、架橋剤の添加と加熱によってモノマーやオリゴマー等を部分的に架橋させる方法があるが、これ以外の方法であっても構わない。
硬化性樹脂層が半硬化状態か否かは、硬化性樹脂層表面の硬度によって判定する。そして、本発明でいう半硬化状態とは、硬化すれば本来得られるべき硬度にまだ達していない状態をいう。
硬化性樹脂層の膜厚は0.5μm〜50μmが好ましい。膜厚が0.5μmより薄いと、十分な剥離性が得られない場合があり、50μmより厚いと、印刷後に乾燥し難い場合があるためである。
(装飾層)
本発明に使用する表皮材の装飾層は、図柄や文字等を表す加飾層である。
当該装飾層の形成に用いる印刷インキまたは塗料は、前記硬化性樹脂層表面または後述の支持体フィルムに印刷または塗工が可能な印刷インキまたは塗料であり、成形工程時の退色や変色がなく、被転写体に転写層を転写する際に十分な柔軟性が得られることが好ましい。また、絵柄のない着色層を塗工によって形成することもできる。支持体フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、剥離処理ポリエチレンテレフタレートなどの素材からなる剥離性を有する支持体フィルムを用いることができる。
使用するインキに特に制限はないが、熱成形時に退色等の恐れのないような色剤を使用することが好ましい。インキに含有される色剤としては、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれも使用が可能である。
例えば、汎用の着色顔料としては、黒色顔料としてカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、アントラキノンイエロー、ミネラルファストイエロー、チタンイエロー;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ;白色顔料として、チタンホワイト等が挙げられる。金属調等を呈する顔料として金属粉顔料(アルミ、ブロンズ等)金属箔顔料(アルミ、ブロンズ等)、金属蒸着箔顔料(アルミ、ブロンズ等が蒸着されたプラスチック等のフィルムを粉砕したもの)が挙げられる。パール調、多色効果、偏光効果、ホログラム等を呈する顔料として、パール顔料(天然の真珠を粉砕したもの、マイカ、アルミ、ガラス等薄片状物質に酸化チタン、酸化鉄等を被覆したもの等)等が挙げられる。炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー(China Clay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料や、シリコーン、ガラスビーズなども用いることができる。
また、インキに含有されるワニス用樹脂は、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油系樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。これらの中でもポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合樹脂が、セルロース誘導体樹脂系は有機溶剤への溶解性、流動性、顔料分散性、転写性に優れることから好ましく用いられ、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、及び、セルロース誘導体樹脂系が好ましく、ポリウレタン樹脂系、及び、セルロース誘導体樹脂系が特に好ましい。
装飾層の形成方法は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、真空蒸着、塗装などを用いることができる。柔軟性の点でグラビア印刷が特に好ましい。これらの印刷方式に対応する塗工方式は、ローラコーティング、コンマコーティング、ロッドグラビアコーティング、マイクログラビアコーティングなどの塗工方式、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ローラコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター、コンマコーター、コンマリバースコーター、マイクログラビアコーター等の塗工方式を用いることができる。インキの場合は、全面を同じインキで全面(網点ならば100%)を印刷または塗工してもよいし、絵柄を成すように部分的に印刷してもよい。
装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。
なお、意匠性、展延性を阻害しない限り、硬化性樹脂層および装飾層中に消泡剤、沈降防止剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤などの慣用の各種添加剤を加えても構わない。
暗所で文字や図柄が見えるように、夜光塗料を使用することができる(夜光加工)。また、反射を利用して、特定の方向から見たときのみ特定の文字・図柄等が見えるように、隠れ文字・図柄等を印刷することができる(潜像加工)。また、本発明では、成形体に対して表皮材が隙間なく強固に被覆されるため、特殊な印刷技術によらなければ印刷することができなかった凹凸の手触り感のある文字・図柄等を印刷することが可能である(凹凸加工)。凹凸の段差としては、80μm程度まで可能である。
(成形体に対して接着性を示す接着層)
本発明に用いる表皮材の接着層は、主に成形工程において、成形体に対して表皮材を接着する機能を有する。
当該接着層に使用できる接着剤は、ホットメルト型の接着剤を用いる。例えば、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤およびポリアロマチック系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤や、不飽和ポリエステルやアクリレート等のラジカル重合性組成物からなるラジカル反応型の接着剤、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、ナイロン及びシアノアクリレート樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤やクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤等のゴム系接着剤等が挙げられる。
また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、ポリアルキルシリコン系、ウレタン系、ポリエステル系等が好ましく用いられる。
また、反応型ホットメルト接着剤を用いることができる。この接着剤は、代表的には、成分の中に水分と反応する官能基(例えば、イソシアネート基、アルコキシシリル基など)を含んでおり、冷却硬化後、成形体や表皮材に付着している水分や空気中の水分と反応する。反応後は、加熱をしても溶融せず、高い接着強度を有するという特徴がある。例えば、ポリウレタン系反応型ホットメルト接着剤がある。ポリウレタン系反応型ホットメルトは市販されているものも利用することができ、例えばDIC(株)製、タイホースFH−100が挙げられる。
前記接着剤は、使用する成形体に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、成形体が樹脂成形体である場合は、アクリル樹脂やポリプロピレン系樹脂の接着性が良好であり、減圧時の伸びの追随性が良好なことからアクリルウレタン樹脂の接着剤が好ましい。ラジカル重合性の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂や、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル等に熱重合開始剤を添加した接着剤を使用することができる。これらは、単独でも組み合わせて用いることもできる。
また、これらの接着剤は、塗工後粘着性があってもなくてもよいが、巻き取り時などに流動しない粘性が必要であるため、フィルム積層時にわずかに架橋していることが好ましい。
本発明において接着剤の塗工は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ローラコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、コンマコーター等を用いることが出来る。また塗布量は、0.1〜30g/mの範囲が好ましく、特に好ましくは2〜10g/mである。2g/mより少なすぎると接着力が弱くなり、10g/mより多すぎると乾燥性が低下し外観不良となり易い。接着剤層の厚さとしては、0.1〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは、1〜20μm、特に好ましくは、2〜10μmである。
(表皮材の製造方法)
本発明で使用する表皮材は、公知の方法により製造できる。例えば、特開2008−132654号や、特開2006−110722号を参考に製造できる。
本発明に使用する表皮材は、剥離性フィルム上に硬化性樹脂層を形成し、該層上に装飾層、接着層を順次積層して得る。
剥離性フィルム上に硬化性樹脂層を形成する方法としては、例えば、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ローラコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、コンマコーター、リバースコーター、スプレー塗装等の塗装方法、あるいはグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷等の印刷方法を用いることができる。
装飾層は、硬化性樹脂層上に直接グラビア印刷やスクリーン印刷してもよいし、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、剥離処理ポリエチレンテレフタレートなどの素材からなる剥離性を有する支持体フィルム上に印刷を行い、印刷された装飾層表面と硬化性樹脂層の表面とを相対させてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせ、該支持体フィルムを剥がして、装飾層を硬化性樹脂層上に転移させてもよい。硬化性樹脂層の組成によっては、印刷インキ中に含まれる有機溶剤が、印刷時に被印刷面となる硬化性樹脂層を溶解してしまうおそれがあるので、後者のドライラミネーションによる方法が好ましい。
ドライラミネーション法によって硬化性樹脂層に装飾層を転移させる方法では、未硬化または半硬化の硬化性樹脂層がラミネート温度にて粘着性を発現し、相対する装飾層との付着力が発生する。この際のラミネート温度は、硬化性樹脂層のTgや硬化度にもよるが、60〜100℃が好ましい。
〔成形体について〕
本発明に使用できる成形体は、特に限定はない。例えば、プラスチック成形加工品、金属加工品、ガラス製品、陶磁器などを用いることができる。
プラスチック成形加工品としては、射出成型品、異形押出成形品、中空成形品などが挙げられる。プラスチック原料としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂などが使用できる。金属加工品としては、アルミニウムやマグネシウムなどのプレス加工品が挙げられる。また、繊維強化熱硬化樹脂複合材料(FRP)や、例えば樹脂、充填材などの混合物を補強剤に含浸させたシートモールディングコンパウンド(SMC)(FRPの一種)などの加工品を用いることができる。
また、成形体の大きさや形状についても、特に限定はない。本発明によれば、成形体に対して、表皮材を隙間なく強固に被覆することができるため、複数箇所に複雑な形状を有する成形体についても、被覆処理が可能である。凹凸部があっても構わないし、深絞りや90度に近い角度がある形状も、被覆可能である。
具体的には、例えば、ノートパソコンや携帯電話機の筐体、自動車のセンターパネル、エアコンの噴出し口、冷蔵庫やファンヒーターの外装などの三次元曲面を有する成形体が挙げられる。
本発明の製造方法及び製造装置は、表皮材を隙間なく、強固に被覆された被覆硬化成形体の製造に利用可能である。
1 成形体
2 表皮材
3 受治具
4 加熱ローラ
5 加熱ヒーター
6 チャンバーボックス上側部材
7 熱風供給口
8 チャンバーボックス
9 気体吸引口
10 被覆硬化成形体製造用の被覆成形体の製造装置
101 配設領域
102 圧着領域
103 加熱領域
104 成形領域
105 成形体取出領域

Claims (14)

  1. 少なくとも、紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体の製造方法であって、下記(2A)〜(5A)の工程を有する、被覆硬化成形体の製造方法。
    (2A)剥離性フィルム層と紫外線に未硬化でかつタックフリーの紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順で積層された表皮材を成形体に圧着し、成形体に圧着された表皮材を加熱する加熱工程。
    (3A)加圧・減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧し、一方表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧し、表皮材と成形体とを一体化させる成形工程。
    (4A)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程。
    (5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程。
  2. 前記(2A)〜(3A)の工程を順次行ったのち、(4A)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程を行った後に、(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程を行うか、あるいは(5A)剥離性フィルム層を剥離する剥離工程を行った後に、(4A)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化工程を行う、請求項1記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  3. 前記(2A)加熱工程の前に、(1A)ローラにより、成形体に表皮材を圧着させる圧着工程を有する、請求項1または2に記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  4. 前記(3A)成形工程において、加圧の前に減圧を開始するか、あるいは加圧及び減圧を同時に開始する、請求項1〜3いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  5. 前記(3A)成形工程中の減圧において、一定の圧力で吸引して減圧した後に、前記一定の圧力よりもさらに強い圧力で吸引して減圧する、請求項1〜4いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  6. 紫外線硬化前の表皮材の破壊伸びが、40〜1,200%である、請求項1〜5いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  7. 装飾層が、夜光加工、潜像加工、凹凸加工のうち、いずれか1つで処理されている、請求項1〜6いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造方法。
  8. 少なくとも、紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順に積層された表皮材が、成形体に被覆された被覆硬化成形体の製造装置であって、下記(2a)〜(5a)の手段を備える、被覆硬化成形体の製造装置。
    (2a)剥離性フィルム層と紫外線に未硬化でかつタックフリーの紫外線硬化性樹脂層と装飾層と成形体に対して接着性を示す接着層とがこの順で積層された表皮材を成形体に圧着し、成形体に圧着された表皮材を加熱するための加熱手段。
    (3a)加圧・減圧可能なチャンバーボックス内において、表皮材の下方より気体を吸引して、表皮材の下方であって成形体が存する空間を減圧する一方、表皮材の上方より気体を供給して、表皮材より上方の空間を加圧し、表皮材と成形体とを一体化させる成形手段。
    (4a)表皮材に紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる硬化手段。
    (5a)剥離性フィルム層を剥離する剥離手段。
  9. (3a)成形手段を構成する加圧・減圧可能なチャンバーボックスが、成形体を保持する受治具と上下変位可能な上側部材とで構成され、かつ受冶具と上側部材とが分離可能に連結したものである、請求項8に記載の被覆硬化成形体の製造装置。
  10. 前記チャンバーボックスは、成形体を保持する受治具上に、上側部材が下降変位することにより、受治具と上側部材とが分離可能に連結してチャンバーボックスを形成し、成形後、上側部材が上昇変位することにより、受治具と上側部材が分離するものである、請求項9に記載の被覆硬化成形体の製造装置。
  11. 前記(2a)〜(3a)の手段を順次備え、かつその次に、前記(4a)硬化手段と(5a)剥離手段を順次備えるか、あるいは、前記(5a)剥離手段と(4a)硬化手段を順次備えてなる、請求項8〜10いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造装置。
  12. 前記(2a)加熱手段の前に、(1a)成形体に表皮材を圧着させるためのローラからなる圧着手段を備える、請求項8〜11いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造装置。
  13. 成形体を保持する受治具を備え、該受治具が、順次、(1a)圧着手段、(2a)加熱手段、(3a)成形手段へと移動可能である、請求項12に記載の被覆硬化成形体の製造装置。
  14. 被覆硬化成形体が、ノートパソコンの筐体、携帯電話機の筐体、自動車のセンターパネル、エアコンの吹き出し口、冷蔵庫の外装、およびファンヒータの外装から選ばれた、三次元曲面を有する成形体である、請求項8〜13いずれかに記載の被覆硬化成形体の製造装置。
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