JP5246247B2 - トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 - Google Patents
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Description
即ち、前述の様な従来構造の場合、例えば上記押圧装置14やこの押圧装置14に圧油を送り込む油路39等(プライマリーライン)で(一時的に)油漏れが生じたり、押圧力調整弁22やライン圧制御用電磁開閉弁18等で機械的作動誤差や応答遅れ等が生じた場合に、この様な異常に伴う油圧の変化を検出できない。この為、制御器16により算出される目標値と必要値との差に応じて上記押圧力調整弁22の開弁圧を低下させている際に、上述の様な異常が生じても、この様な異常に伴う油圧の変化に対応できず、上記押圧装置14に導入する油圧を適正に調節できなくなる可能性がある。
このうちの第一、第二のディスクは、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。
又、上記各パワーローラは、互いに対向するこれら第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する。
又、上記各支持部材は、上記各パワーローラを回転自在に支持する。
又、上記アクチュエータは、油圧式のもので、上記各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間の変速比を変える。
又、上記変速比制御ユニットは、この変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータの変位方向及び変位量を制御する。
又、上記押圧装置は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧するものである。
そして、この押圧装置は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる、油圧式のものである。
又、この押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置に導入する油圧を、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて(比例して)設定される油圧の目標値から、上記押圧装置に発生させるべき押圧力の最適値に応じた油圧の必要値に、補正手段により減圧する事により調節するものである。
このうちの差動ユニットは、上記トロイダル型無段変速機を構成する第一のディスクと共に入力軸により回転駆動される第一の入力部と、同じく第二のディスクに接続される第二の入力部とを有し、これら第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して出力軸に伝達するものである。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記トロイダル型無段変速機を、上述の様なトロイダル型無段変速機としている。
即ち、第一、第二各ディスクの内側面と各パワーローラの周面との転がり接触部で生じる滑りに応じて、補正手段の減圧量を変化させれば、この転がり接触部に滑りが生じた場合に、この滑りの増大と押圧装置の押圧力の低下との悪循環を断ち切る事ができる。この為、上記滑りに拘らず、上記転がり接触部に加わる押し付け力を適正に調節でき、伝達効率及び耐久性の確保を図れる。
この様に、変速比の差に応じて、補正手段が行なう減圧を停止したり、必要値の設定を変えれば、必要とする補正を或る程度行ないつつ、上記転がり接触部の滑りを抑え、上記押圧装置が発生する押圧力を適正にできる。
この様に構成すれば、複雑な装置を必要とする事なく上記伝達する力(伝達トルク)を取り出して、押圧装置に導入する油圧をこの伝達する力の大きさに応じて設定される目標値(伝達する力に比例した値)に調節できる。
この様に構成すれば、押圧装置が発生すべき適切な押圧力に影響を及ぼす複数の状態量に応じて、この押圧装置の発生する押圧力を最適な値に細かく調節できる。この為、この押圧力、延いては転がり接触部の押し付け力をより適正に調節して、更なる伝達効率及び耐久性の確保を図れる。
図1〜3は、本発明に関する参考例の第1例を示している。尚、本参考例の特徴は、転がり接触部の押し付け力を適正に調節すべく、押圧装置14に導入する油圧の実測値をフィードバックしつつこの油圧の制御を行なう点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図7〜8に示した従来構造と同様であるから、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、前記第一の油圧センサ42、或いは、1対の第二の油圧センサ43a、43bにより、その時点での押圧装置14に導入される油圧の実測値Aを検出する。次いで、ステップ2で、上記制御器16は、その時点での上記押圧装置14に導入する油圧の必要値Bを算出する。即ち、その時点での、トロイダル型無段変速機4の変速比、並びに、前記アクチュエータ13の油圧室36a、36bの油圧の差に基づき算出される伝達トルク(トロイダル型無段変速機4に入力されるトルク)、油温センサ44(図1)により検出される、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度、その他上記押圧装置14が発生すべき適切な押圧力に影響を及ぼす状態量(例えばエンジン1の回転速度等)に応じて、上記押圧装置14に発生させるべき押圧力の最適値に応じた油圧の必要値Bを算出する。
即ち、上述の様に、押圧装置14に導入される油圧の実測値Aを測定し、この測定した実測値Aをフィードバックしつつ、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉に基づき上記押圧力調整弁22の開弁圧を低下させている(減圧を行なっている)。この為、油漏れ、機械的作動誤差、応答遅れ等が生じ、この様な異常に基づき上記押圧装置14に導入される油圧が変化しても、この油圧の変化に応じて、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開度、延いては押圧力調整弁22の開弁圧を調節し、上記油圧が必要値からずれる事を防止できる。この為、上記異常に拘らず、上記油圧が過大のままの状態となったり、過度に低下した状態のままとなる事を防止して、上記押圧装置14に導入する油圧、延いては転がり接触部に加わる押し付け力を適正に調節でき、伝達効率及び耐久性の確保を図れる。
図4は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合は、制御器16に、入力側、出力側各ディスク10、11の内側面と各パワーローラ12の周面との転がり接触部で生じる滑りに応じて、押圧装置14に導入する油圧を調節する為のライン圧制御用電磁開閉弁18(図1〜2等参照)の開度(押圧力調整弁22の開弁圧の低下量)を調節する機能を持たせている。この為に、本例の場合は、上記転がり接触部の滑りを、変速比制御ユニットを構成する制御弁23を切り換える為のステッピングモータ17(図1〜2等参照)のステップ数に基づいて算出される変速比と、上記入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度に基づいて算出される変速比との差に基づいて検出する。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、トロイダル型無段変速機4の変速比を算出する。本例の場合、この変速比を、上記ステッピングモータ17のステップ数に基づいて求める。即ち、このステッピングモータ17のステップ数と、(転がり接触部に滑りが生じていない状態での)上記トロイダル型無段変速機4の変速比との相関関係を予め求め、上記制御器16のメモリに記憶させておき、この記憶させた相関関係に基づいて、現在のステッピングモータ17のステップ数に対応する変速比として求める。
その他の構成及び作用は、前述した参考例の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
尚、本例の場合は、前述した参考例の第1例の様な、押圧装置14に導入される油圧の実測値をフィードバックする必要はない。勿論、本例の特徴である、転がり接触部の滑りに応じて押圧装置14に導入する油圧の減圧を変化させる構成と、前述の参考例の第1例の特徴である、この押圧装置14に導入する油圧の実測値をフィードバックする構成との両方を採用する事もできる。但し、前述の参考例の第1例で説明した様な油圧の実測値のフィードバックする構成を採用しない場合には、この実測値を検出する為の第一の油圧センサ42(図1〜2等参照)を省略できる。
図6は、本発明に関する参考例の第2例を示している。上述した実施の形態の1例の場合は、転がり接触部の滑りを、ステッピングモータ17のステップ数に基づいて算出する変速比と、入力側、出力側各ディスク10、11(図1〜2等参照)の回転速度に基づいて算出する変速比との差に基づいて検出している。これに対して本参考例の場合には、上記転がり接触部の滑りを、上記ステッピングモータ17が停止している状態での、上記入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度に基づいて算出される変速比の変動量(ステッピングモータ17が停止した直後の変速比を基準としたこの基準とのずれ量)に基づいて検出する。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、トロイダル型無段変速機4の変速比を算出する。本参考例の場合も、前述した実施の形態の1例と同様に、この変速比を、ステッピングモータ17のステップ数に基づいて求める。次いで、上記制御器16は、ステップ2で、上記押圧装置14に導入する油圧の必要値X1 を算出する。ここまでは、上記実施の形態の1例と同じである。
尚、前述の実施の形態の1例の様に、転がり接触部の滑りを、ステッピングモータ17のステップ数から算出する変速比と入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度から算出する変速比との差に基づいて検出する場合には、トロイダル型無段変速機4の変速比を変更している状態でも(ステッピングモータ17が駆動中でも)、上記滑りを検出できる。これに対して、本参考例の様に、転がり接触部の滑りを、上記入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度から算出する変速比の変動量のみに基づいて検出する場合には、上記滑りの検出に関し、上記ステッピングモータ17のステップ数からパワーローラ12の傾きに対応する変速比を算出する必要はない。但し、上記ステッピングモータ17が停止した状態でないと、上記滑りを検出できない。この為、必要に応じて、実施の形態の1例と参考例の第2例とのうちの何れか一方、又は、双方で上記滑りを検出する。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 電磁弁
20 シフト用電磁弁
21 制御弁装置
22 押圧力調整弁
23 制御弁
24 差圧シリンダ
25a、25b 補正用制御弁
26 高速用切換弁
27 低速用切換弁
28、28a、28b オイルポンプ
29 油溜
30 低圧側調整弁
31 第一のパイロット部
32 第二のパイロット部
33 第三のパイロット部
34 油圧室
35 ピストン
36a、36b 油圧室
37 差圧取り出し弁
38 スプール
39 油路
40 入力側回転センサ
41 出力側回転センサ
42 第一の油圧センサ
43、43a、43b 第二の油圧センサ
44 油温センサ
Claims (2)
- 互いに同心に、且つ相対回転自在に配置された第一、第二のディスクと、互いに対向するこれら第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されてこれら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する複数のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材と、これら各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータと、この変速比を所望値にする為にこのアクチュエータの変位方向及び変位量を制御する為の変速比制御ユニットと、上記第一のディスクと上記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧する押圧装置とを備え、この押圧装置は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、この押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置に導入する油圧を、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される油圧の目標値から、上記押圧装置に発生させるべき押圧力の最適値に応じた油圧の必要値に、補正手段により減圧する事により調節するものであるトロイダル型無段変速機に於いて、上記補正手段は、上記目標値と必要値との差に応じて減圧を行なう際に、上記第一、第二各ディスクの内側面と上記各パワーローラの周面との転がり接触部で生じる滑りに応じて減圧量を変化させるものであり、この転がり接触部の滑りを、上記変速比制御ユニットを構成するステッピングモータのステップ数に基づいて算出される変速比と、上記第一のディスクの回転速度と上記第二のディスクの回転速度とに基づいて算出される変速比との差に基づいて検出する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
- トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットとを備え、このうちの差動ユニットは、トロイダル型無段変速機を構成する第一のディスクと共に入力軸により回転駆動される第一の入力部と、同じく第二のディスクに接続される第二の入力部とを有し、これら第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して出力軸に伝達するものである無段変速装置に於いて、上記トロイダル型無段変速機が、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機である事を特徴とする無段変速装置。
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