JP5244640B2 - 自動車用成形部品の製造方法 - Google Patents
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Description
このホットプレス成形方法によれば、素板材を加熱し、加熱した素板材を熱間状態において金型でプレス成形することで素板材に焼入れ処理を施して高張力鋼の成形部材を得ることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ホットプレス成形方法で素板材をプレス成形する場合、素板材は通常800〜1200℃程度に加熱されている。このため、素板材が柔らかくなり、ホットプレス成形の際に位置決め孔を穿設(形成)することは難しい。
しかし、ホットプレス成形前の素板材に位置決め孔を形成した場合、素板材をホットプレス成形する際に位置決め孔が変形する虞があり、位置決め孔の精度を確保することが難しい。
しかし、ホットプレス成形されたプレス成形部材は成形時に焼入れ処理が施されている。このため、焼入れ処理が施されたプレス成形部材にプレス金型で位置決め孔を穿設(形成)すると、位置決め孔の成形面(加工面)において残留応力が高くなり、成形面(加工面)に遅れ破壊が発生することが考えられる。
一方、焼入れ処理が施されたプレス成形部材にレーザで位置決め孔を加工(形成)すると、位置決め孔の加工時間が長くなりプレス成形部材のコストを抑える妨げになる。
請求項3に係る発明は、前記ホットプレス成形部品は、自動車に備えるサイドシルのインナパネルであり、前記プレス成形部材の左右の端部に前記ガイド孔を形成し、前記左右の端部のガイド孔に、前記ホットプレス成形部品の前記位置決め孔をそれぞれ設け、前記左端部のガイド孔に設けられた左側の前記位置決め孔と、前記右端部のガイド孔に設けられた右側の前記位置決め孔との間隔を所定の長さL1に確保することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記プレス成形された部材は、前記ホットプレス成形部品に連結されるインナパネルであり、前記プレス成形された部材をプレス成形する際に、前記プレス成形された部材の左右の端部に前記位置決め孔を直接形成し、前記ホットプレス成形部品の右端部および前記プレス成形された部材の左端部を重ね合わせた状態で、前記ホットプレス成形部品の右側の位置決め孔に、前記プレス成形された部材の左側の位置決め孔を位置決めし、重ね合わせた前記ホットプレス成形部品の右端部および前記プレス成形された部材の左端部を一体に接合し、前記ホットプレス成形部品の左側の位置決め孔と、前記プレス成形された部材の右側の位置決め孔との間隔を所定の長さL2に確保することを特徴とする。
これにより、ホットプレス成形部品の位置決め孔を所望位置に精度よく設けることができる。
よって、プレス成形部材をホットプレス成形する前に、プレス成形部材の素板材にガイド孔を予め形成することが可能になる。
素板材にガイド孔を形成することで、焼入れ処理が施されたプレス成形部材にプレス金型でガイド孔を形成する必要がない。
これにより、ガイド孔の成形面(加工面)の残留応力を小さく抑えることができ、加工面に遅れ破壊が発生することを防止できる。
よって、レーザでガイド孔を形成するために必要な比較的長い加工時間を不要にできる。これにより、ガイド孔を時間をかけないで形成でき、ホットプレス成形部品のコストを抑えることができる。
これにより、ホットプレス成形部品の位置決め孔を所望位置に精度よく設けることができる。
請求項2に係る発明では、ホットプレス成形部品およびプレス成形された部材を重ね合わせた状態で、ホットプレス成形部品の位置決め孔にプレス成形された部材の位置決め孔を位置決めし、重ね合わせたホットプレス成形部品およびプレス成形された部材を一体に接合した。
請求項3に係る発明では、プレス成形部材の左右の端部にガイド孔を形成し、左右の端部のガイド孔にホットプレス成形部品の位置決め孔を設け、左端部の位置決め孔と右端部の位置決め孔との間隔を所定の長さL1に確保した。
請求項4に係る発明では、プレス成形された部材をプレス成形する際に左右の端部に位置決め孔を直接形成し、ホットプレス成形部品の右端部およびプレス成形された部材の左端部を重ね合わせた状態で、ホットプレス成形部品の右側の位置決め孔にプレス成形された部材の左側の位置決め孔を位置決めする。さらに、重ね合わせたホットプレス成形部品の右端部およびプレス成形された部材の左端部を一体に接合し、ホットプレス成形部品の左側の位置決め孔と、プレス成形された部材の右側の位置決め孔との間隔を所定の長さL2に確保する。
図1に示すように、ホットプレス成形部品10は、ホットプレスで成形されたプレス成形部材12と、プレス成形部材12に設けられた左右の位置決めプレート(位置決め部材)14,16とを備えている。
このプレス成形部材12は、例えば、自動車に備えるサイドシルのインナパネルに用いられる。
また、壁部21の左端部21dのうち、後述する左位置決め孔33を設ける部位に左ガイド孔(ガイド孔)28が形成されている。
左ガイド孔28は、右ガイド孔27と左右対称の孔であり、右ガイド孔27と同様に孔径D1で形成されている。
この右位置決めプレート16は、例えば、略矩形状にプレス形成(プレス加工)される際に、左端部16bに右位置決め孔(位置決め孔)32が、孔径D2(図2(b)参照)で穿設(形成)されている。
よって、右位置決めプレート16のコストを抑えるとともに、生産性を高めることができる。
換言すれば、右ガイド孔27は、右位置決め孔32と比較して大きな孔に形成されている。
よって、右位置決め孔32の位置を、右ガイド孔27内において調整するように移動することが可能である。
このように、右ガイド孔27内において右位置決め孔32の位置を調整することで、右位置決め孔32を所望位置に精度よく位置決めすることができる。
左ガイド孔28内において左位置決め孔33の位置を調整するように移動することで、左位置決め孔33を所望位置に精度よく位置決めすることができる。
例えば、右位置決め孔32および左位置決め孔33を係止部材(図示せず)に嵌合することで、ホットプレス成形部品10を所定位置に精度よく位置決めすることができる。
図4(a)において、素板材18に右ガイド孔27および左ガイド孔28を形成する。
さらに、素板材18に、軽量化を図るために複数の孔29を形成する。
同様に、左ガイド孔28は、素板材18の左端部18cのうち、左位置決め孔33を設ける部位18dに合わせて形成される。
具体的には、右ガイド孔27、左ガイド孔28および複数の孔29を形成した素板材18を加熱し、加熱した素板材18を熱間状態において金型でプレス成形する。
このように、加熱した素板材18を熱間状態においてプレス成形することで、素板材18に焼入れ処理を施して高張力鋼のプレス成形部材12が得られる。
これにより、左右のガイド孔28,27の成形面(加工面)の残留応力を小さく抑えることができ、加工面に遅れ破壊が発生することを防止できる。
よって、レーザで左右のガイド孔28,27を形成するために必要な比較的長い加工時間を不要にできる。
これにより、左右のガイド孔28,27を時間をかけないで形成でき、ホットプレス成形部品10のコストを抑えることができる。
そして、ピン外径D3、孔径D2および孔径D1は、ピン外径D3<孔径D2<孔径D1の関係が成立する。
同様に、孔径D1およびピン外径D3は、左ピン43に左ガイド孔28を嵌合した状態で、左ピン43と左ガイド孔28との間に比較的大きな隙間が生じるように設定されている。
これにより、右ピン44に右ガイド孔27を嵌合させるとともに、左ピン43に左ガイド孔28を嵌合させることができる。
同様に、左ピン43に左位置決め孔33を嵌合させて、左位置決めプレート14をプレス成形部材12(具体的には、壁部21の左端部21dのうち外側面21f)に載せる。
このように、右ガイド孔27内において右位置決め孔32の位置を調整することで、右位置決め孔32を所望位置に位置決めすることができる。
このように、左ガイド孔28内において左位置決め孔33の位置を調整することで、左位置決め孔33を所望位置に位置決めすることができる。
これにより、左位置決め孔33および右位置決め孔32を所望位置に精度よく位置決めすることができる。
図7(a)において、ホットプレス成形部品10の右位置決め孔32にインナパネル50の左位置決め孔52を位置決めした状態で、ホットプレス成形部品10の右端部10aおよびインナパネル50の左端部50aを重ね合わせる。
よって、インナパネル50を金型でプレス成形する際に、インナパネル50の左端部50aに左位置決め孔52を直接形成し、インナパネル50の右端部50bに右位置決め孔53を直接形成することが可能である。
すなわち、ホットプレス成形部品10のように左右の位置決めプレート14,16を用いることなく、インナパネル50に左位置決め孔52および右位置決め孔53が形成されている。
この状態で、ホットプレス成形部品10の右位置決め孔32にインナパネル50の左位置決め孔52が位置決めされている。
よって、ホットプレス成形部品10の左位置決め孔33およびインナパネル50の右位置決め孔53を所望位置に精度よく設けることができる。
したがって、左位置決め孔33および右位置決め孔53を係止部材(図示せず)に嵌合することで、ホットプレス成形部品10およびインナパネル50を所定位置に精度よく位置決めすることができる。
プレス成形部材12の左右の端部に樹脂製の部材を射出成形(インサート成形)などで設けることで、左右の位置決め孔をレーザなどで加工する場合と比較して時間をかけないで簡単に形成することができ、コストを抑えるとともに、生産性を高めることができる。
Claims (4)
- 孔径D2の位置決め孔が設けられたホットプレス成形部品を備えた自動車用成形部品の製造方法において、
ホットプレス成形前の素板材において、前記位置決め孔を設ける部位に前記位置決め孔より大きな孔径D1のガイド孔を形成する工程と、
前記ガイド孔を形成した前記素板材をホットプレスでプレス成形部材に成形する工程と、
前記プレス成形部材を位置決め治具に載せるとともに、前記位置決め治具に設けられた前記位置決め孔より小さな外径D3のピンに前記ガイド孔を嵌合する工程と、
前記ピンに前記位置決め孔を嵌合させて、前記位置決め孔が形成された位置決め部材をプレス成形部材に載せる工程と、
前記位置決め孔を前記ガイド孔の内部に位置するように調整する工程と、
前記位置決め孔を前記ガイド孔の内部に位置決めした状態で前記位置決め部材を前記プレス成形部材に接合することにより前記ホットプレス成形部品を得る工程と、を備え、
前記ホットプレス成形部品を前記位置決め孔で所定位置に位置決め可能としたことを特徴とする自動車用成形部品の製造方法。 - 前記ホットプレス成形部品およびプレス成形された部材を重ね合わせた状態で、前記ホットプレス成形部品の前記位置決め孔に、前記プレス成形された部材の位置決め孔を位置決めする工程と、
重ね合わせた前記ホットプレス成形部品および前記プレス成形された部材を一体に接合する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の自動車用成形部品の製造方法。 - 前記ホットプレス成形部品は、自動車に備えるサイドシルのインナパネルであり、
前記プレス成形部材の左右の端部に前記ガイド孔を形成し、
前記左右の端部のガイド孔に、前記ホットプレス成形部品の前記位置決め孔をそれぞれ設け、
前記左端部のガイド孔に設けられた左側の前記位置決め孔と、前記右端部のガイド孔に設けられた右側の前記位置決め孔との間隔を所定の長さL1に確保することを特徴とする請求項2記載の自動車用成形部品の製造方法。 - 前記プレス成形された部材は、前記ホットプレス成形部品に連結されるインナパネルであり、
前記プレス成形された部材をプレス成形する際に、前記プレス成形された部材の左右の端部に前記位置決め孔を直接形成し、
前記ホットプレス成形部品の右端部および前記プレス成形された部材の左端部を重ね合わせた状態で、前記ホットプレス成形部品の右側の位置決め孔に、前記プレス成形された部材の左側の位置決め孔を位置決めし、
重ね合わせた前記ホットプレス成形部品の右端部および前記プレス成形された部材の左端部を一体に接合し、
前記ホットプレス成形部品の左側の位置決め孔と、前記プレス成形された部材の右側の位置決め孔との間隔を所定の長さL2に確保することを特徴とする請求項3記載の自動車用成形部品の製造方法。
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