JP5243459B2 - 透明導電膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フラットパネルディスプレイおよび太陽電池などに用いられる透明導電膜の形成方法に関するものである。
現在、フラットパネルディスプレイなどに用いられる透明電極の材料には、主にITO(Indium Tin Oxide)が用いられているが、In資源の枯渇の問題などから代替材料が探索されている。これまでのところ、AlドープZnOやGaドープZnOのようなZnO系透明導電膜が有力候補となっている。しかしながら、これらの材料は、薬品耐性の問題やウエットエッチングプロセスが未確立であることなどから、太陽電池など一部のデバイスに用いられているに過ぎない。
一方、Nbドープ酸化チタン(TNO)膜は、最近登場した新しい透明導電膜として注目されている。ZnO系透明導電膜と同様の特性がTNO膜により得られ、さらに、加工性や膜の安定性などで優れた特徴が得られれば、TNO膜が、ZnO系の材料に変わる代替材料となる。
これまで、TNO膜は、主にパルスレーザーデポジション(PLD)法により形成されている。PLD法は、素性の良い酸化物薄膜を得ることができる成膜技術である。しかしながら、PLD法による成膜では、組成のよい膜を形成可能な条件の範囲が狭く生産性に乏しいという問題がある。これに対し、生産性に優れるマグネトロンスパッタを用い、TNO膜を形成する試みもされている(非特許文献1〜3参照)。非特許文献1,2では、NbをドープしたTiO2酸化物ターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法によりTNO膜を形成している。また、非特許文献3では、Nb25ペレットをTiO2ターゲット上に置いたマグネトロンスパッタ法によりによりTNO膜を形成している。
Meagen A. Gillispie, et al. ,"Sputtered Nb- and Ta-doped TiO2 transparent conducting oxide films on glass",J. Mater. Res. ,Vol.22, No.10, pp.2832-2837, 2007. N. Yamada, et al. ,"Structural, electrical and optical properties of sputter-deposited Nb-doped TiO2 (TNO) polycrystalline films", Thin Solid Films, vol.516, pp.5754-5757, 2008. Y. Sato, et al. ,"Transparent conductive Nb-doped TiO2 films deposited by direct-current magnetron sputtering using a TiO2-x target", Thin Solid Films, vol.516, pp.5758-5762, 2008.
しかしながら、上述したTNO膜の形成技術では、Nbの添加量の割合の変更が、容易ではないという問題がある。
また、TNO膜の電気伝導性は、Nb量だけでなく、膜を構成している酸素の量にも強く依存する。例えば、化学量論組成となっているTiO2膜は、電気伝導性を示さない。また、作製されたTNO膜より酸素を分離して、電気伝導性を示す酸素不足の状態(還元状態)にすることは現実的ではない。このため、TNO膜の形成においては、還元状態のTNO膜を堆積することが重要となる。例えば、非晶質のTNO膜をあらかじめ基板上に堆積しておき、これを水素ガス雰囲気中あるいは真空中でアニールして結晶化する場合、結晶化前の非晶質TNO膜が、既に還元状態であることが必要である。
還元状態のTNO膜を形成するには、酸素不足の状態のTiO2-xターゲットを用いることになる。しかしながら、このような還元性ターゲットの製造は一般に高コストになるという問題がある。
また、還元状態であっても酸化物であるターゲットを用いる場合、よく知られているように、スパッタ速度はあまり速くなく、成膜に時間を要することになる。これに対し、金属Tiのターゲットを用い、微量の酸素を導入してスパッタ成膜することで還元状態の酸化チタンを堆積することが可能であるが、この場合、よく知られているように酸化物モードのスパッタ状態になると、スパッタ速度が急激に低下する。このような状態では、フラットパネルディスプレイなどに用いる比較的厚い膜を形成するためには、非常に多くの時間を要することになる。いずれにおいても、成膜に時間がかかるという問題があり、生産性に難がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より短時間で低コストな状態で、所望とする組成のNbドープ酸化チタン膜が形成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る透明導電膜の形成方法は、金属Tiからなる第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタを行うステップと、五酸化ニオブからなる第2ターゲットを用いたスパッタを行うステップとを同時に行うことで、基板の上にニオブがドープされた酸化チタンからなる透明導電膜を形成する。
上記透明導電膜の形成方法において、反応性スパッタと第2ターゲットを用いたスパッタとは異なる形態のスパッタであり、反応性スパッタは、電子サイクロトロン共鳴プラズマスパッタであればよい。また、五酸化ニオブからなるターゲットを用いたスパッタは、RFマグネトロンスパッタであればよい。
以上説明したように、本発明によれば、金属Tiからなる第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタと、五酸化ニオブからなる第2ターゲットを用いたスパッタとを同時に行うようにしたので、より短時間で低コストな状態で、所望とする組成のNbドープ酸化チタン膜が形成できるようになるという優れた効果が得られる。
本発明の実施の形態における透明導電膜の形成方法を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態における透明導電膜の形成方法を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態における透明導電膜の形成方法を実施するための成膜装置の構成例を示す構成図である。 金属Tiからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタで形成する酸化チタン(TiO2-x)膜の、供給する酸素流量を変化させたときのキャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。 酸素流量1.0sccmでTNO膜を成膜したときの、Nb25よりなるターゲットに印加したRFパワー(スパッタ出力)に対する、キャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。 酸素流量1.4sccmでTNO膜を成膜したときの、Nb25よりなるターゲット205に印加したRFパワー(スパッタ出力)に対する、キャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。 成膜時の酸素流量1.4sccm、Nb濃度6mol/%のTNO膜の、可視から近赤外域の透過率変化を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1A,図1Bは、本発明の実施の形態における透明導電膜の形成方法を説明するための工程図である。まず、図1Aに示すように、例えば、透明なガラスから構成された基板101を用意する。
次に、金属Tiからなる第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタと、五酸化ニオブ(Nb25)からなる第2ターゲットを用いたスパッタとを同時おこなうことで、図1Bに示すように、基板101の上にニオブがドープされた酸化チタンからなる透明導電膜102を形成する。
上述した本実施の形態によれば、第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタにおいて、スパッタ速度が低下しない範囲に酸素ガスの供給量を低下させても、第2ターゲットによるスパッタで、酸素が供給できるので、所望とする酸素組成の透明電極膜102が形成できる。同様に、第2ターゲットによるスパッタでNbをドープしているので、所望とする組成の透明電極膜102が形成できる。また、第1ターゲットおよび第2ターゲットのいずれにおいても、コストの上昇を招くことがない。このように、本実施の形態によれば、より短時間で低コストな状態で、所望とする組成のNbドープ酸化チタン膜が形成できるようになる。
ここで、金属Tiのターゲットを用いた反応性スパッタでは、例えば、実験などにより、予めメタルモードの酸素流量の範囲を確定しておき、確定しておいた範囲内で、酸素流量を決定して還元状態のTiO2-x膜のスパッタを行えばよい。このスパッタと同時に、Nb25ターゲット(第2ターゲット)からのスパッタを重畳させればよい。Nb25ターゲットのスパッタパワーを変えることにより、所望のNb量と酸素量のTNO膜が得られるようになる。
TNO膜へ供給される酸素原子は、反応性スパッタ中に金属Tiターゲット(第1ターゲット)が酸化されて形成された最表面のTiOx層に含まれる酸素原子、供給される酸素ガスがプラズマにより解離した酸素原子、およびNb25ターゲット中に含まれる酸素が含まれる。Nb25ターゲットから放出される酸素量は、導入する酸素ガスの量とは無関係であって、Nb25ターゲットへかけるパワーだけに依存する。金属Tiターゲットのスパッタによる、完全に酸化されるまではいかない若干の還元状態のTiO2-x膜については、僅かな酸素量の違いでも電気伝導特性が大きく変化する。このTiO2-x膜における酸素量が、Nb25ターゲットから供給される酸素に制御することが可能である。
ここで、金属Tiからなる第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタは、例えば、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法により行うことができる。低損傷な成膜が可能なECRスパッタ法でTiO2-xを堆積することで、良質なTNO膜を形成できる。ECRスパッタ法においては、第1にプラズマの生成が基板表面から離れた位置で行われるリモートプラズマである。また、第2に円筒型ターゲットを用いるために、高エネルギー粒子の出射方向は、主に円筒ターゲットの内側に向いており、基板表面に平行に近い方向に出射するために、基板表面に入射する量が大幅に少なくなる。これらのことにより、ECRスパッタによれば、良質なTNO膜の形成が可能となる。また、ECRスパッタにおいては、プラズマ流が成膜中に連続してTNO膜へ照射されるため、薄膜の還元性を確保しやすいという利点がある。
以下、本発明の実施の形態における透明導電膜の形成方法を実施するための成膜装置について説明する。図2は、この成膜装置の構成例を示す構成図である。この装置は、図示しないターボ分子ポンプなどの真空排気装置が連通した真空処理室201と、真空処理室201の内部に設けられたECRプラズマ源202と、ECRプラズマ源202より生成されたECRプラズマによるスパッタを行うための金属Tiからなるターゲット(第1ターゲット)203とを備える。ECRプラズマ源202とターゲット203とによりECRスパッタ源(第1スパッタ源)が構成されていることになる。ECRプラズマ源202を動作させ、アルゴンガスを用いてECRプラズマを生成し、円筒型のターゲット203にRFを印加することでTi原子がスパッタされ、これらが下流に位置する基板Wの表面に付着する。基板Wは、基板台210の上に載置されている。
なお、ターゲット203は、円筒型に限らず、ECRプラズマ源202から生成されるプラズマ流の周囲を取り巻く位置に配置され、スパッタされる面がプラズマ流の進行方向に平行な状態とされた形状となっていればよい。例えば、ターゲット203は、多角形状に成形されていてもよい。また、ターゲット203は、複数の板から構成されていてもよい。
また、本実施の形態における成膜装置は、RFマグネトロンプラズマ発生部204と、RFマグネトロンプラズマ発生部204により生成されたプラズマによりスパッタを行うための五酸化ニオブ(Nb25)からなるターゲット(第2ターゲット)205とを備え、これらが、導入部206により真空処理室201に接続されている。RFマグネトロンプラズマ発生部204とターゲット205とにより、RFマグネトロンスパッタ源(第2スパッタ源)が構成されている。RFマグネトロンプラズマ発生部204によりアルゴンガスのプラズマを生成し、円板状のターゲット205にRFを印加することで、ターゲット205のNbおよびO原子がスパッタされ(RFマグネトロンスパッタ)、これらが下流に位置する基板Wの表面に付着する。
これらの構成により、ターゲット203よりスパッタされて飛び出た粒子と、ターゲット205よりスパッタされて飛び出た粒子とが、真空処理室201の内部に配置された処理対象の基板Wの膜形成面に堆積することが可能となる。また、真空処理室201には、酸素ガスを導入するガス導入口207を備えている。なお、図2では、アルゴンなどのスパッタガスの導入については省略している。後述するように、Nb25からなるターゲット205を用いることで、Nbドープ酸化チタン膜が形成可能である。
上述したように構成された成膜装置において、ターゲット205の表面(スパッタされる面)の法線と基板Wの表面の法線とのなす角度が、60°以上90°未満にされている。図2において、角度θが、60°以上90°未満にされている。ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向を基板Wの法線方向としており、ターゲット205の表面の法線と、ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向とのなす角度がθであり、これが60°以上90°未満にされている。なお、本実施の形態では、円筒形状のターゲット203を用いており、ターゲット203の中空部の中心を通る線が、ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向となっている。
上述した角度の範囲であれば、Nbの堆積速度をあまり大きくしすぎることがなく、Nbの導入量を所望の範囲に制御することができる。一方、上記角度が90°を超えると、ターゲット205が基板Wの膜形成面から見込めなくなり、ターゲット205からの粒子がほとんど到達しなくなる。このため、上記角度は90°未満とする。実際には、上記角度が80°を越えると、ターゲット205から見込める基板Wの表面の領域(幅)が狭くなりすぎる。従って、ターゲット205の表面の法線と基板Wの表面の法線とのなす角度は、60°〜80°の範囲とするとよりよい。例えば、上述した角度を70°とすることで、RFマグネトロンプラズマ発生部204におけるRFパワーが数10W程度で、Nbの含有量が数mol%のTNO膜が形成できる。
なお、基板Wの表面に平行な平面方向において、基板Wは、ターゲット205からのスパッタ粒子が到達する領域(範囲)内に入る位置に配置する。また、基板台210に、基板Wをこの中心部を通る法線を軸として回転させる基板回転機能を備え、この機能により基板Wを回転させることで、基板Wの面内における膜厚と各組成の均一性を確保することができる。
また、ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向を基板Wの法線方向としており、この状態が、ECRスパッタ源による酸化チタン膜の堆積速度を最大とする。ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向に対し、基板Wの法線方向をずらすほど、ECRプラズマ流(スパッタ粒子)の単位面積あたりの密度が低下し、堆積速度(成膜速度)が低下する。ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向に対し、基板Wの法線方向をあまりずらすと、酸化チタン膜の堆積速度が低下しすぎ、相対的にNbのドープ量が多くなり、所望とするNbドープ量が得られない場合がある。従って、ECRプラズマ源202からのプラズマが流れる方向に対する基板Wの法線方向の角度は、あまり大きくしない方がよい。
次に、上述した本実施の形態における成膜装置を用いたNbドープ酸化チタン膜形成方法について簡単に説明する。透明なガラスから構成された基板を用意し、用意した基板を、上述した成膜装置に搬入する。
次に、ECRプラズマ源202にECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)プラズマが生成された状態とする。例えば、まず、成膜装置の内部を高真空状態の圧力に減圧し、次に、例えば希ガスであるアルゴン(Ar)ガスおよび酸素ガスを導入する。この状態で、ECRプラズマ源202に、2.45GHzのマイクロ波(500〜600W程度)と0.0875Tの磁場とを供給して電子サイクロトロン共鳴条件とすることで、プラズマ生成室内にArおよび酸素のプラズマ(ECRプラズマ)が生成された状態が得られる。磁場の供給は、電磁石に電流14Aを流すことで行う。なお、T(テスラ)は、磁束密度の単位であり、1T=20000ガウスである。
上述したことにより生成されたECRプラズマは、ECRプラズマ源202の磁気コイルの発散磁場により、プラズマ生成室から、これに連通する処理室の側に放出される。この状態で、ECRプラズマ源202のECRプラズマが供給される出口に配置されたターゲット203に、例えば13.56MHz・600Wの高周波電力(ターゲットバイアス)が供給(印加)された状態とする。このことにより、生成されているECRプラズマにより発生した粒子が、ターゲット203に衝突してスパッタリング現象が起こり、ターゲット203を構成している粒子(Ti原子)が飛び出す状態となる。
また、同時に、RFマグネトロンプラズマ発生部204において、ターゲット205に所定のRFパワー(例えば10W)を印加し、マグネトロンスパッタ源(ターゲット205)においてRFプラズマが生成されてスパッタリングが発生する状態とする。このようにして生成されたマグネトロンスパッタ源におけるプラズマで、RFパワーが印加されているターゲット203がスパッタされ、Nb23からなるターゲット205を構成している粒子(Nb原子,O原子)が飛び出す状態となる。
ここで、一般には、RFマグネトロンスパッタにおける動作圧力は、1Pa台であり、ECRプラズマ生成を行う低い圧力状態では、安定した放電をさせることができない。しかしながら、本装置においては、マグネトロンスパッタ源の領域に連通した領域においてECRプラズマが生成されており、この一部がターゲット205の近く(マグネトロンスパッタ源の領域)に浸入してくる状態となっている。このため、マグネトロンスパッタとしては低い圧力状態とされているマグネトロンスパッタ源においても、プラズマが供給されている状態となり、RFパワー10W程度でも、放電(プラズマ)を安定して継続させることができる。
以上のようにして、プラズマを生成してスパッタ状態とし、ターゲット203およびターゲット205でスパッタされている粒子が基板Wの上に堆積する状態とすることにより、基板の上に、Nbドープ酸化チタン膜が形成できる。
次に、上述した装置を用いて実際に作製した膜の評価結果について説明する。まず、Nb25からなるターゲット(第2ターゲット)からのドーピングなしの状態でTiO2-x膜を形成する。ECRスパッタ源のマイクロ波パワーを530W、ターゲット203へのRFパワーを600Wのスパッタ条件で成膜する。
図3は、供給する酸素流量を変化させたときの、形成された酸化チタン(TiO2-x)膜の、キャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。基板温度は400℃とする。
酸素流量を増大させると、堆積したTiO2-x膜がより酸化された状態になるため、キャリア密度nが次第に減少する。しかし、Hall移動度μは、酸素流量にかかわらずほぼ一定である。よって、抵抗率ρの変化は、主にキャリア密度の変化を反映しているものと考えられる。特に、酸素流量が1.2sccmから1.4sccmまで変化する間に、抵抗率は2桁も変化している。なお、sccmは流量の単位あり、0℃・1気圧の流体が1分間に1cm3流れることを示す。
上述した抵抗変化は、TiO2-x膜が、化学量論組成のTiO2膜に近くなっていることを意味している。しかし、TiO2膜は絶縁体であるから、導電性を有していることは、還元状態になっていることを意味している。
このときTiO2-x膜の成膜速度は、酸素ガス流量0.9sccmの場合の7.6nm/minから、1.4sccmの場合の5.4nm/minまで低下するものの、まだ十分大きな値を保っている。しかし、酸素流量を1.5sccmにすると、成膜速度は0.36m/minと1桁以上減少する。また、ターゲット203の電位が急激に変化する。これらのことにより、上述した条件では、酸素流量を1.5sccmにすると、酸化物モードになることがわかる。また、この酸化物モードで形成される酸化チタン膜は、導電性が失われている。以上の結果より、酸素流量が1.4sccmよりも低ければ、メタルモードでの成膜を継続できることが分かる。
図4は、酸素流量1.0sccmでTNO膜を成膜したときの、Nb25よりなるターゲット205に印加したRFパワー(スパッタ出力)に対する、キャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。図4では、スパッタ出力に対応してニオブ濃度(mol%)を示している。ICP−AES分析によりNb原子のmol濃度を算出した。
図4からわかるように、スパッタ出力を増加させてNb25からのスパッタ量を増やすにつれ、抵抗率が増大している。酸素流量1.0sccmの条件では、酸素の組成比が不十分なことにより形成される酸素空孔が、電気伝導性の大部分を担っているものと考えられる。この状態にNbが加わることによるキャリア増大効果と、ターゲット205からの酸素が加わることによる酸素空孔減少効果が相殺し、実効的なキャリア数の増大へと繋がっていないことを示している。
図5は、酸素流量1.4sccmでTNO膜を成膜したときの、Nb25よりなるターゲット205に印加したRFパワー(スパッタ出力)に対する、キャリア密度(n:白丸)、Hall移動度(μ:黒丸)、抵抗率(ρ:白四角)の変化を示す特性図である。
この条件では、上述した場合に比較してより多くの酸素が酸化チタン膜に導入された状態となっている。この状態で、Nbの添加量が増えると、この濃度が3〜4mol/%あたりで、形成される膜の抵抗率ρが極小になっている。キャリア密度nは、3〜4mol/%まで増大しているが、Hall移動度μは変化していない。さらに、高濃度にNbをドープすると、キャリア密度nとHall移動度μの両方が緩やかに減少に転じている。これは、高濃度に導入されたNbにより結晶の乱れが誘発されるためと考えられる。また図4の結果と比較すると、酸素量が多い分だけ抵抗率も1桁以上高くなっている。
図6は、成膜時の酸素流量1.4sccm、Nb濃度6mol/%のTNO膜の、可視から近赤外域の透過率変化を示す特性図である。波長500nmにピークを有しており、可視域において平均透過率65%を確保している。このTNO膜の抵抗率は、2.7×10-2Ωcmであった。
以上に説明したように、本発明では、2元スパッタ系を用い、Nb量と酸化度の両方を制御するようにしたところに特徴がある。上述した実験結果が示すように、TNO膜の電気伝導性は、酸素空孔とNb原子からのキャリア生成により生じており、両者を独立して制御することにより、所望する抵抗率と透過率のTNO膜を得ることが可能になる。また金属Tiターゲットを利用したメタルモードの範囲内でTiO2-xが成膜できるため、高速スパッタ成膜が可能である。本発明では、Nb25ターゲットから供給される酸素によりTNO膜の酸化を僅かに変化させており、金属Tiターゲットを用いた反応性スパッタでは、酸素量を多くしなくてもよく、Ti金属ターゲットからの反応性スパッタに影響が及ばない。本発明により、ポストアニールなどを行わなくても、スパッタ成膜された状態において10-2Ωcmから10-3Ωcmの抵抗率のTNO膜を容易にガラス基板上に形成することができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形が実施可能であることは明白である。例えば、上述では、金属Tiからなるターゲットを用いた反応性スパッタでは、ECRスパッタ法を用い、五酸化ニオブからなるターゲットを用いたスパッタでは、RFマグネトロンスパッタ法を用いるようにしたが、これに限るものではなく、両者ともRFマグネトロンスパッタ法を用いるようにしてもよい。一方、磁場の干渉のため、ECRスパッタ法を両者に適用させることは容易ではない。また、不活性ガスとしてアルゴンガスを用いたが、これに限るものではなく、キセノンガスを用いても同様である。また、上述では、TNO膜をガラス基板の上に形成する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、シリコン基板の上に形成してもよい。
101…基板、102…透明導電膜。

Claims (3)

  1. 金属Tiからなる第1ターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタを行うステップと、
    五酸化ニオブからなる第2ターゲットを用いたスパッタを行うステップと
    を同時に行うことで、基板の上にニオブがドープされた酸化チタンからなる透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法。
  2. 請求項1記載の透明導電膜の形成方法において、
    前記反応性スパッタと前記第2ターゲットを用いたスパッタとは異なる形態のスパッタであり、
    前記反応性スパッタは、電子サイクロトロン共鳴プラズマスパッタであることを特徴とする透明導電膜の形成方法。
  3. 請求項2記載の透明導電膜の形成方法において、
    前記五酸化ニオブからなるターゲットを用いたスパッタは、RFマグネトロンスパッタであることを特徴とする透明導電膜の形成方法。
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