JP5242070B2 - 貫通配線基板 - Google Patents
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まず、半導体基板51の一方の面51a上に、第一絶縁層52を介して機能素子(不図示)に繋がる電極層53を設けた後、第一絶縁層52および電極層53を被覆するように第一樹脂層54を形成する[図7(a)]。
次に、半導体基板51の他方の面51bから電極層53に向けて、微細な孔径をもつ貫通孔γを形成する[図7(b)]。
その後、半導体基板の他方の面51b上に導体層56を設けることにより、電極層53と導電層56が接続された構成となる。その結果、半導体基板51の両面51a、51bを電気的に繋ぐ貫通電極が得られる[図7(e)]。
また、本発明者らは、半導体装置50Bの変形例として、半導体基板の他方の面側に、第四樹脂層57が形成され、貫通電極の内部空間も第四樹脂層57で埋設された構成の半導体装置50A(50)[図6(a)]を先に提案している(特許文献1を参照)。
(1)貫通孔の内部に樹脂を充填した構成Xでは、貫通孔の内側面の上下方向において、貫通孔の内側面全域に亘って、大きな応力が発生する。
(2)貫通孔の内部に樹脂を充填しない構成Yでは、貫通孔の内側面の上下方向において、貫通孔の内側面に影響する応力は殆ど発生しない。貫通孔の上端付近、下端付近および底面付近において、貫通孔の内側面で若干応力が発生するが、その大きさは構成αに比べて極めて小さい。
本発明の請求項3に記載の貫通配線基板は、請求項1において、前記第四絶縁層は、前記貫通孔内を覆いつつ、前記貫通孔の内側面に沿って該第四絶縁層は力学的に解放された外面をもつように構成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、第四絶縁層の存在により、貫通孔内に設けた配線をなす導電層の腐食が防止できる。これに加えて、このようにヤング率の小さなものを採用した第四絶縁層は、柔らかく変形しやすいため、応力の緩和も可能となる構造を有する貫通配線基板をもたらす。特に、第四絶縁層が0.5GPa以下のヤング率を有するものとした場合には、その効果が著しいことから、より好ましい。
このように貫通孔とほぼ重なる位置に凹部を備えた第四絶縁層は、この凹部の存在により、貫通孔内に配された導電層の上を、第四絶縁層が最低限に被覆する構造を有する貫通配線基板をもたらす。つまり、導電層を覆う第四絶縁層に自由面が形成されるので、たとえば外部から熱が加わった際に、第四絶縁層が伸縮したとしても、その影響は貫通孔の内側面へ及びにくくなる。ゆえに、応力の緩和が可能となる構造を有する貫通配線基板の提供が可能となる。
このように貫通孔内に配された導電層の上をその全域に亘って、予め第四絶縁層により被覆した後、この第四絶縁層に対して局部的にエッチング処理を施すことにより、第四絶縁層の下層に位置する導電層を露出させることなく、第四絶縁層に所望の形状とした凹部を作製できる。ゆえに、本発明の製造方法は、第二の貫通配線基板の作製に寄与する。
図1は、本発明に係る貫通配線基板の一例を模式的に示す図である。
本発明に係る第一の貫通配線基板10は、半導体からなる基板11の一方の面11aに第一絶縁層12を介して配された電極層13と、基板11の一方の面11aにあって、電極層13を覆うように配された第二絶縁層14を備える。
また、貫通配線基板10は、基板11の他方の面11bから電極層13の少なくとも一部が露呈するように、基板11内に開けられた貫通孔αを備えるとともに、基板11の他方の面11bと貫通孔αの内側面11cとを覆い、電極層13の少なくとも一部が露呈するように配された第三絶縁層15を有する。さらに、貫通配線基板10は、第三絶縁層15を介して、貫通孔αの内側面11c及び電極層13の露呈部を覆うように配され、電極層13と電気的に接続された導電層16、及び、この導電層16を覆うように配された第四絶縁層17、を具備して概略構成されている。すなわち、貫通配線基板10は、貫通孔αの内側面11cにおいては、内側面11cを構成する半導体からなる基板11上に、第三絶縁層15、導電層16、及び第四絶縁層17が順に積層された構造を備えている。第四絶縁層17は、貫通孔α内を全て埋めるとともに、基板11の他方の面11bを覆うように構成されている。
図2は、本発明に係る貫通配線基板の他の一例を模式的に示す図である。
本発明に係る第二の貫通配線基板20は、上述した第一の貫通配線基板10とほぼ同じ構成を備えつつ、さらに第四絶縁層17が貫通孔αとほぼ重なる位置に凹部18、を具備して概略構成されている。つまり、第二の貫通配線基板20は、第四絶縁層17が凹部18を有する点のみ第一の貫通配線基板10と相違している。
基板11としては、たとえば、シリコン(Si)等からなる半導体基材が挙げられ、その厚さは、例えば数百μm程度である。
図1に示す例では、基板11をSi等の半導体基材から構成し、基板11の一方の面11a及び他方の面11bに加え、貫通孔αの内側面11cが絶縁化された領域をなすように構成されている。具体的には、基板11の一方の面11aには第一絶縁層12を、他方の面11bと貫通孔αの内側面11cには第三絶縁層15をそれぞれ配し、半導体からなる基板11と導電層16との間を電気的に絶縁した構成としている。
また、図1では一つの貫通孔αを設けた例を示しているが、基板11上に設けられる貫通孔αの数は、特に限定されるものではない。
電極層13は、たとえば配線回路(不図示)を介して、基板11の一方の面及び/又は他方の面に配置された機能素子(不図示)と電気的に接続されている。
電極層13の材質としては、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)、アルミニウム−シリコン(Al−Si)合金、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)合金等の導電性に優れる材料が好適に用いられる。
図1及び図2の断面図に示す例では、導電層16は、貫通孔αの内側面11cの全体を覆うように配されているが、これには限定されない。例えば、導電層16が、内側面11cの一部に、基板11の一方の面11aと他方の面11bとの間に渡って配された構成としても良い。
例えば、図1に示す例のように導電層16が単層である場合には、電極層13と同材料であることが望ましく、Al、Cu、Ni、Au等の金属材料を用いれば、導電性や電極層13との密着性等の点で好ましい。
また、導電層16を、2種類以上の金属材料からなる多層構造、あるいは材料の異なる膜を積層した構造とした場合、外側の層には、電極層13をなす材質との密着性に優れる材料や、導電層16と、電極層13又は基板11との間で元素移動(拡散)が生じるのを防止できる金属材料(バリアメタル)を配し、内側の層には、導電性の高い金属を配した構成とすることが好ましい。
さらに、導電層16と貫通孔α(もしくは第三絶縁層15)との間、又は導電層16と後述する補強用の第四絶縁層17との間に、例えば、応力緩和作用のある材料や、元素移動を防止するバリアメタル、又は密着性に優れた材料等を配した多層構造の中間層を設けた構成としても良い。
例えば、導電層16がCuの場合、バリアメタルとしてTaN、Ta、W、WN、TiN、TiSiN等が挙げられ、それぞれ密着性に優れている。また、これらの材料以外にも、Cr、TiW等が、密着性の高いバリアメタルとして挙げられる。
第四絶縁層17は、導電層16に熱歪み等によって生じる応力に対して緩衝材として機能するとともに、導電層16が外気へ剥き出しにならないようにオーバーコートする。
第四絶縁層17は、導電層16の内面全体を完全に覆うように形成することが、上述した導電部16に対するオーバーコート機能を十分に発揮させる点で好ましい。
(1)貫通孔の内部に樹脂からなる第四絶縁層17を充填した構成Aであって、第四絶縁層17をなす樹脂のヤング率を0.5GPaとした場合には、貫通孔の内側面の上下方向において、貫通孔の内側面全域に亘って、極めて小さな応力しか発生しない。
(2)貫通孔の内部に樹脂からなる第四絶縁層17を充填した構成Aであって、第四絶縁層17をなす樹脂のヤング率を3.5GPaとした場合には、貫通孔の内側面の上下方向において、貫通孔の内側面全域に亘って、かなり大きな応力が発生する。
特に、ヤング率を0.5GPa以下とした樹脂からなる第四絶縁層17を設けた場合には、第四絶縁層の存在により、貫通孔内に設けた配線をなす導電層の腐食が防止できるとともに、第四絶縁層としてヤング率の小さな樹脂を採用したことにより、柔らかく変形しやすいため、応力の緩和も可能な構造を有する貫通配線基板が得られることが明らかとなった。
まず、半導体基板11の一方の面11a上に、第一絶縁層12を介して機能素子(不図示)に繋がる電極層13を設けた後、第一絶縁層12および電極層13を被覆するように第一樹脂層14を形成する[図3(a)]。
次に、半導体基板11の他方の面11bから電極層13に向けて貫通孔αを形成する。この微細な孔径をもつ貫通孔αの形成には、DRIE(Deep Reactive Ion Etching) 法が好適に用いられる[図3(b)]。
その後、半導体基板の他方の面11b上に導体層16を設けることにより、電極層13と導電層16が接続された構成となる。その結果、半導体基板11の両面11a、11bを電気的に繋ぐ貫通電極が得られる[図3(e)]。これにより、貫通電極はその断面方向から見て、貫通孔αの位置において、凹部βを備える形状をもつ。
さらに、第四絶縁層57に対して、貫通孔αとほぼ重なる位置に凹部18を形成する。
凹部18を形成する際には、たとえばRIE(Reactive Ion Etching)法などが好適に用いられる。RIE法によって凹部18を形成する際には、SF6、CF4、C4F8等の反応性ガスを用いて異方性エッチングを施すことから、第四絶縁層57を構成する樹脂としてはシリコーン樹脂が特に望ましい。
このように第四絶縁層57としてシリコーン樹脂を用いた場合は、配線をなす導電層16を露出させずに、第四絶縁層57を構成する樹脂を形状良くエッチングできるので、所望の断面形状をもつ凹部18を安定して製造できる利点がある。
Claims (4)
- 半導体からなる基板の一方の面に第一絶縁層を介して配された電極層、前記基板の一方の面にあって、前記電極層を覆うように配された第二絶縁層、前記基板の他方の面から前記電極層の少なくとも一部が露呈するように、前記基板内に開けられた貫通孔、前記基板の他方の面と前記貫通孔の内側面とを覆い、前記電極層の少なくとも一部が露呈するように配された第三絶縁層、前記第三絶縁層を介して、前記貫通孔の内側面及び前記電極層の露呈部を覆うように配され、前記電極層と電気的に接続された導電層、及び、前記導電層を覆うように配された第四絶縁層、を少なくとも備えてなる貫通配線基板であって、
前記基板は、樹脂との膨張係数差が大きい半導体であり、かつ、
前記第四絶縁層は、ヤング率が0.5GPa以下の樹脂から構成されており、
前記貫通孔の内側面においては、該内側面を構成する前記基板上に、前記第三絶縁層、前記導電層、及び前記第四絶縁層が順に積層された構造を備えることを特徴とする貫通配線基板。 - 前記第四絶縁層は、前記貫通孔内を全て埋めるとともに、前記基板の他方の面を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の貫通配線基板。
- 前記第四絶縁層は、前記貫通孔内を覆いつつ、前記貫通孔の内側面に沿って該第四絶縁層は力学的に解放された外面をもつように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の貫通配線基板。
- 前記第四絶縁層が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貫通配線基板。
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