図1は本発明が適用される監視システムにおける受信機の構成をアナログ型感知器及び中継器と共に示したブロック図である。図1において、本発明が適用される監視システムは、親機としての受信機10から警戒区域に向けて引き出された伝送線12a,12bに、子機としてアナログ型感知器14及び中継器16を設けている。
アナログ型感知器14及び中継器16は、受信機10との間で上り信号及び下り信号による伝送機能を備えており、アナログ型感知器14及び中継器16には1つの伝送回線当たり、例えば127アドレスを最大アドレスとする固有のアドレスが予め割り当てられている。
アナログ型感知器14は火災による煙濃度または温度を検出し、検出した値をアナログデータとして受信機10に伝送し、受信機10側で受信した煙濃度または温度のアナログデータから火災を判断して警報するようにしている。
一方、中継器16は伝送機能を持たないオンオフ型感知器20を伝送線12a,12bに接続するために設けられている。中継器16は受信機10との間で伝送機能を持ち、中継器16から引き出された感知器回線18a,18bにオンオフ型感知器20を接続している。オンオフ型感知器20は火災を検出すると、感知器回線18a,18b間に発報電流を流し、この発報電流を中継器16で受信し、火災発報データを受信機10に伝送する。
ここで受信機10から子機となるアナログ型感知器14及び中継器16に対する下り信号は、電圧モードで伝送している。例えば受信機10は一定のポーリング周期で子機アドレスを順次指定してポーリング信号を伝送しており、このポーリング信号は伝送線12a,12bの電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
これに対し、アナログ型感知器14及び中継器16からの上り信号は電流モードで伝送される。即ち電流モードにあっては、伝送線12a,12b間に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送され、このとき伝送電流が流れる。
また伝送線12a,12bは、子機となるアナログ型感知器14及び中継器16に対する電源供給線として使用されている。即ち伝送線12a,12bは、電圧モードによる下り信号の伝送時にあっても18ボルトから30ボルトの範囲で電圧を変動させており、最低でも18ボルトの電圧供給が行われていることから、これによって子機側に電源供給を継続的に行っている。
中継器16から引き出されている感知器回線18a,18bに対しても、伝送線12a,12bから行われた電源供給が中継器16を経由して同時に行われ、オンオフ型感知器20に電源を供給している。
受信機10にはCPU22が設けられ、CPU22に対しては伝送回路部24が設けられ、伝送回路部24より伝送線12a,12bが引き出されている。
伝送回路部24には伝送出力回路26と伝送入力回路28が設けられている。伝送出力回路26は、CPU22からの例えばポーリングなどのコマンド指示に基づき、電圧モードで下り信号を伝送線12a,12bに出力する。
伝送入力回路28は、子機となるアナログ型感知器14または中継器16からの電流モードによる上り信号、即ち伝送電流を受信し、伝送電流検出信号をCPU22に出力し、火災警報動作を行わせる。
CPU22に対しては、表示部30、操作部32、記憶部34及び移報部36が設けられ、火災監視に必要な各種の警報出力、警報表示、操作、監視情報の記憶、移報信号の出力などができるようにしている。
アナログ型感知器14には、CPU38、センサ部40、伝送回路部42、LEDを用いた表示灯44及びスイッチ45が設けられている。センサ部40は火災による煙濃度あるいは温度などを検出してCPU38に出力する。
伝送回路部42は、受信機10から自己アドレスを指定したポーリングコマンドの下り信号を受信し、CPU38に対し正常であれば、正常を示す応答上り信号を電流モードで受信機10に送信する。
CPU38は火災を検出すると、自己アドレスを指定したポーリングコマンドの応答として火災割込みの上り信号として火災発報信号を受信機10に伝送する。同時にスイッチ45をオンして表示灯44を点灯し、その後、火災が検出されなくなった場合はスイッチ45をオフして表示灯44を消灯する。
中継器16には、CPU46、発報受信部48及び伝送回路部50が設けられている。発報受信部48からは感知器回線18a,18bが引き出され、そこにオンオフ型感知器20を負荷として接続している。
オンオフ型感知器20が火災を検出すると、感知器回線18a,18b間に発報電流を流し、この発報電流を発報受信部48で受信してCPU46に出力し、CPU46は伝送回路部50により、自己アドレスを指定したポーリングコマンドの応答として火災割込みの上り信号を受信機10に伝送する。
また中継器16は、アナログ型感知器14と同様、受信機10からの自己アドレスを指定したポーリングコマンドの下り信号を受信すると、異常がなければ、正常を示す上り信号を電流モードで受信機10に伝送する。
更に、受信機10と子機との間の伝送処理を詳細に説明すると次のようになる。受信機10は、通常の監視時にあっては、子機アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ型感知器14及び中継器16は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると、正常監視応答を行う。このため受信機10にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかった子機となるアナログ型感知器14又は中継器16の障害を検出することができる。
アナログ型感知器14は、受信機10の全ての感知器アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに繰り返し出力される一括DA変換コマンドを受信した際に、内蔵した火災検出機構における煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較し、火災レベルを超えたときに火災を検出するようにしている。
アナログ型感知器14で一括DA変換コマンドに基づくサンプリング結果から火災を判断した場合には、その後の自己の感知器アドレスを指定したポーリングコマンドのタイミングで、受信機10に対し割込信号を送信する。割込信号は応答ビットをオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
中継器16も受信機10からの一括DA変換コマンドに基づき発報受信部48による受信状態をサンプリングし、発報受信を検出した場合は、その後の自己の感知器アドレスを指定したポーリングコマンドのタイミングで、受信機10に対し割込信号を送信する。
受信機10はアナログ型感知器14又は中継器16からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行して、火災検出したアナログ型感知器14又は中継器16を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別し、続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ型感知器や中継器に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、火災応答(アナログデータや火災発報データ)を受けることで、火災を検出したアナログ型感知器14又は中継器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
伝送線12a,12bに接続される最大127台のアナログ型感知器14及び中継器16は、例えば8台ごとにグループアドレスが設定されており、受信機10からのグループ検索コマンドに対し、火災を検出している感知器が含まれるグループから割込応答が行われ、火災を検出しているアナログ型感知器14又は中継器16を含むグループを特定できるようにしている。
図2は本発明による伝送入力回路とその制御回路として機能するCPUの第1実施形態を示した回路図である。図2において、受信機10に設けられた伝送入力回路28は、電流検出抵抗R0、オペアンプ52、DAコンバータ(DA変換器)54、コンパレータ56、基準電圧源58、オペアンプ52の入力抵抗R1と帰還抵抗R2、及びコンパレータ56の出力のプルアップ抵抗R3で構成される。なお、伝送入力回路28は図14に示した本願発明者の提案回路と同じものである。
受信機10から引き出された伝送線12aには所定の電源電圧Vccが印加されており、伝送線12a,12b間には、図1に示したように、子機としてのアナログ型感知器14や中継器16が接続されており、主に中継器16に設けている感知器回線18a,18bに接続したオンオフ型感知器20の消費電流に伴う負荷電流Izが伝送線12bから流れており、受信機10からのポーリングなどによるアナログ型感知器14及び中継器16からの正常応答などに伴う伝送電流Iaが一定周期で流れている。
電流検出抵抗R0は、伝送線12bから流れ込む電流に応じた線路電流検出電圧Viを発生する。子機が伝送電流Iaを出力しない状態にあっては、負荷電流Izが基底的に流れ込んでおり、したがって電流検出抵抗R0は負荷電流Izに応じた負荷電流検出電圧Vzを発生する。
この状態で負荷電流Izに上乗せする形で子機からの伝送電流Iaが流れ、このとき電流検出抵抗R0には負荷電流検出電圧Vzに伝送電流検出電圧Vaを加えた線路電流検出電圧Vi、即ち
Vi=Vz+Va
が発生する。
オペアンプ52は電流検出抵抗R0に発生した線路電流検出電圧Viをプラス入力端子に入力し、マイナス入力端子に対してはDAコンバータ54から調整電圧Vbを入力している。オペアンプ52は入力抵抗R1及び帰還抵抗R2によって増幅率が例えば1に設定されたバッファアンプとして動作し、線路電流検出電圧Viから調整電圧Vbを差し引いた補正検出電圧Vc、即ち
Vc=Vi−Vb
を出力する。
オペアンプ52から出力された補正検出電圧Vcはコンパレータ56のマイナス入力端子に入力され、プラス入力端子に入力している基準電圧源58からの基準電圧Vrと比較される。即ち、補正検出電圧Vcが基準電圧Vr未満であればコンパレータ56はHレベル出力を生じており、補正検出電圧Vcが基準電圧Vr以上になるとコンパレータ56はLレベル出力に反転する。
伝送入力回路28の制御回路として機能するCPU22に設けた調整処理部62は、オペアンプ52から出力された線路電流検出電圧Vi、即ち、この場合には負荷電流Izのみであることから、負荷電流検出電圧VzからDAコンバータ54による調整電圧Vbを差し引いた補正検出電圧Vc、即ち
Vc=Vz−Vb
を、コンパレータ56に設定している基準電圧源58からの基準電圧Vrに一致させるように、DAコンバータ54からの調整電圧Vbを調整する。
具体的には、DAコンバータ54に対するデジタル値を1ビットずつ変化させて、コンパレータ56の出力が反転したときのデジタル値または反転直前のデジタル値に調整することで、補正検出電圧Vc(=Vz−Vb)を基準電圧Vrに一致させる。
次に調整処理部62は、基準電圧Vrに一致するように調整された補正検出電圧Vcを、伝送電流Iaに対応した伝送電流検出電圧Vaの半分となる一定電圧(Va/2)だけ低下させた補正検出電圧Vcとなるように、DAコンバータ54からの調整電圧Vbを調整する。
これによって、その後、入力する子機からの伝送電流Iaに応じた伝送電流検出電圧Va分の増加に対し、基準電圧Vrは増加した線路電流検出電圧Vaのほぼ半分となる位置に設定され、これによって伝送電流Iaをコンパレータ56により確実に検出することができる。
図3は図2の第1実施形態における各部の信号波形を示したタイムチャートである。即ち図3(A)は線路電流検出抵抗R0に発生する線路電流検出電圧Viであり、子機からの伝送電流Iaのない空きタイミングでは、基底的に流れる負荷電流Izに対応した負荷電流検出電圧Vzが発生している。この状態で子機からの伝送電流Iaが流れると、負荷電流検出電圧Vzに上乗せする形で伝送電流検出電圧Va分の増加となったパルス電圧が検出される。
図3(B)はDAコンバータ54から出力される調整電圧Vbである。また図3(C)はコンパレータ56に入力するオペアンプ52から出力された補正検出電圧Vc及び基準電圧Vrを示している。更に図3(D)はコンパレータ56の出力である。
図3において、図2のCPU22に設けた調整処理部62による調整処理を説明すると、次のようになる。
まず調整処理部62は、伝送線12bに伝送電流Iaが流れていない空きタイミングとなる時刻t1で調整処理を開始し、オペアンプ52から出力される補正検出電圧Vcを基準電圧Vrに一致させるように、DAコンバータ54からの調整電圧Vbを調整する。
なお、調整開始時にDAコンバータ54からの調整電圧Vbは0ボルトの初期値にあったものとする。また、このときの負荷電流検出電圧Vzは基準電圧Vrより高めになっていたとする。
時刻t1の調整開始時にあっては、調整電圧Vb=0ボルトであることから、オペアンプ52から出力される補正検出電圧VcはVc=Vzであり、基準電圧Vrを上回っていることからコンパレータ56の出力はLレベルとなっている。したがって調整処理部62は、補正検出電圧Vcを下げるために、DAコンバータ54に対し1ビット単位に増加させるデジタル値を設定し、これに伴い、オペアンプ52に対する調整電圧Vbが1ビット単位に増加され、出力される調整電圧Vbを順次増加させる。
調整電圧Vbが増加すると、オペアンプ52からは、そのときの負荷電流検出電圧Vzから調整電圧Vbを差し引いた補正検出電圧Vcが出力されるため、補正検出電圧Vcは、図3(C)に示すよう、に基準電圧Vrに向かって減少する。
時刻t2で、DAコンバータ54における1ビット変化に伴う調整電圧Vbの上昇で、逆に補正検出電圧Vcが低下して基準電圧Vrを下回ると、コンパレータ56の出力が、それまでのHレベルからLレベルに反転する。これによって調整処理部62は、補正検出電圧Vcが基準電圧Vrに一致したことを判別する。
続いて時刻t3〜t4で、調整処理部62がDAコンバータ54に対するデジタル値の調整により、コンパレータ56に対する補正検出電圧Vcを伝送電流検出電圧Vaの半分となる一定電圧(Va/2)だけ低下させる調整処理を行う。
即ち調整処理部62は、DAコンバータ54に対するデジタル値を増加させ、調整電圧Vbを図3(B)に示すように伝送電流検出電圧Vaの半分の(Va/2)だけ増加させ、これに伴い、図3(C)に示すように、コンパレータ56に対するオペアンプ52から出力される補正検出電圧Vcが(Va/2)だけ低下させる。
次に調整処理が終了した後の時刻t5〜t6に亘り、子機から例えば10ビットデータ「1011010001」に対応した伝送電流Iaが出力され、伝送電流検出電圧Vaが得られたとする。この伝送電流検出電圧Vaは負荷電流Vzに上乗せして流れることで、線路電流検出電圧ViはVi=(Vz+Va)となり、オペアンプ52における調整電圧Vbの減算により一定電圧(Va/2)だけ低下された補正検出電圧Vcとしてコンパレータ56に入力する。
このため図3(C)に示すように、コンパレータ56に入力する補正検出電圧Vcにおける線路電流検出電圧Vaの変化分のほぼ中央に基準電圧Vrが位置し、これによって、より正確に線路電流検出電圧Viを検出することができる。
即ちコンパレータ56は、補正検出電圧Vcが基準電圧Vr以上であればLレベル出力を生じ、基準電圧Vrより小さければHレベル出力を生じ、したがって図3(D)に示すように、伝送電流検出電圧Vaを反転した伝送電流検出信号、例えば「0100101110」の10ビットデータをCPU22に入力することになる。
CPU22にはプログラムの実行により実現される機能として、ポーリング処理部60、調整処理部62、調整タイミング設定部64及びT1タイマ66が設けられている。CPU22に設けた調整処理部62と調整タイミング設定部64は、伝送入力回路28の制御回路として機能する。
ポーリング処理部60は、伝送出力回路26に対し一定周期でポーリングコマンドを子機のアドレスを順次指定しながら出力し、伝送出力回路26は伝送線12a,12b間に電圧モードによりポーリングコマンドを示す電圧信号、即ち18ボルトと30ボルトの間で変化するパルス列でなるポーリングコマンドを送信する。
調整処理部62は子機からの伝送電流Iaが流れていない空きタイミング、即ち負荷電流Izのみが入力しているタイミングで調整処理を実行する。調整処理部62における調整処理タイミングは、調整タイミング設定部64により設定される。
調整タイミング設定部64は、調整処理部62による調整タイミングを伝送電流Iaの空きタイミングで、且つ子機からの負荷電流が表示灯を点灯または消灯する操作により急激に変動した後のタイミングに設定して調整処理を行わせる。この調整タイミングの設定は、具体的には子機からの伝送電流の受信開始で所定の時間T1を設定したT1タイマ66をスタートし、T1時間が経過した次の伝送電流の受信開始の直前のタイミングを設定して調整処理を行わせる。
調整処理部62は、オペアンプ52から出力された線路電流検出電圧Vi、即ち、この場合には負荷電流Izのみであることから、負荷電流検出電圧VzからDAコンバータ54による調整電圧Vbを差し引いた補正検出電圧Vc、即ち
Vc=Vz−Vb
を、コンパレータ56に設定している基準電圧源58からの基準電圧Vrに一致させるように、DAコンバータ54からの調整電圧Vbを調整する。
具体的には、DAコンバータ54に対するデジタル値を1ビットずつ変化させて、コンパレータ56の出力が反転したときのデジタル値または反転直前のデジタル値に調整することで、補正検出電圧Vc(=Vz−Vb)を基準電圧Vrに一致させる。
更に詳細には、例えば調整開始時にDAコンバータ54から出力される調整電圧Vbが0ボルトの初期値にあったとすると、このときのオペアンプ52から出力される補正検出電圧Vcは負荷電流検出電圧Vzと同じで基準電圧Vrより大きく、コンパレータ56の出力はLレベルとなっている。
コンパレータ56の出力がLレベルのとき調整処理部62はDAコンバータ54に対するデジタル値を1ビット単位に増加させて調整電圧Vbを増加させ、オペアンプ52からの補正検出電圧Vcを順次下げ、コンパレータ56の出力がLレベルからHレベルに反転したとき、そのデジタル値または反転直前のデジタル値に固定し、このときの調整電圧Vbにより、オペアンプ52から出力される補正検出電圧Vcが基準電圧Vrに一致した状態となる。
逆に、調整開始時に補正検出電圧Vcが基準電圧Vrより低かった場合には、コンパレータ56の出力はHレベルにあり、この場合にはDAコンバータ54のデジタル値を1ビット単位に減少させて調整電圧Vbを下げ、補正検出電圧Vcを順次上げていく。
このDAコンバータ54による調整電圧Vbの1ビット単位の減少に伴う補正検出電圧Vcの増加で、コンパレータ56の出力がHレベルからLレベルに反転したとき、このときのDAコンバータ54に対するデジタル値または反転直前のデジタル値に固定し、これによって補正検出電圧Vcを基準電圧Vrに一致させることができる。
次に調整処理部62は、基準電圧Vrに一致するように調整された補正検出電圧Vcを、伝送電流Iaに対応した伝送電流検出電圧Vaの半分となる一定電圧(Va/2)だけ低下させた補正検出電圧Vcとなるように、DAコンバータ54からの調整電圧Vbを調整する。
これによって、その後、入力する子機からの伝送電流Iaに応じた伝送電流検出電圧Va分の増加に対し、基準電圧Vrは増加した線路電流検出電圧Vaのほぼ半分となる位置に設定され、これによって伝送電流Iaをコンパレータ56により確実に検出することができる。
図4は第1実施形態における負荷電流が表示灯の点灯で急激に変動した場合の各部の信号波形を示したタイムチャートである。即ち図4(A)はポーリングコマンド、図4(B)は線路電流検出電圧、図4(C)はコンパレータ入力、図4(D)は調整タイミング、図4(E)は表示灯を示している。
受信機10は、図4(A)に示すように、一定周期T0でポーリングコマンドを子機としてのアナログ型感知器14及び中継器16に対し、それぞれのアドレスを1,2,3,・・・に示すように順次指定して送信しており、このポーリングコマンドは図8の伝送出力回路26から電圧モードで伝送線12a,12b間に送信される。
図2のCPU22に設けた調整タイミング設定部64は、図4(C)に示すコンパレータ56に対するオペアンプ54からの補正検出電圧Vcに重畳される伝送電流検出電圧Vaの受信開始タイミングでT1タイマ66をスタートし、T1タイマ66による設定時間T1が経過した時点で次の調整タイミングを設定し、コンパレータ56に対する補正検出電圧Vcを、基準電圧Vrに一致させた後に一定電圧(Va/2)だけ低下した電圧に調整している。
ここで受信機10と子機との間のデータ伝送速度を19200bps、子機の最大アドレスを127アドレス、127アドレスの子機に対する1回の通信周期を0.5秒とすると、ポーリングコマンドの送信周期T0及び、これに同期した伝送電流の送信周期T0はT0=4.3ミリ秒となり、これに対し調整タイミングの設定で実行される調整処理は0.2〜0.3ミリ秒とごく短時間で行うことができる。
したがって調整タイミングを設定するT1タイマ66の設定時間T1としては、例えばT1=4ミリ秒に設定することで、伝送電流の空きタイミングにおける次の伝送電流受信直前のタイミングに調整タイミングを設定することができる。
このような調整タイミングの設定による調整処理を行いながら伝送電流Iaを検出している段階で、例えば時刻t1に示すように、任意のアナログ型感知器14において火災検出が行われ、CPU38がスイッチ45をオンして表示灯44を点灯したとすると、表示灯44の点灯に伴い負荷電流Ieが流れ、それまでの負荷電流Izに対応した負荷電流検出電圧Vzに対し、表示灯44の点灯による負荷電流検出電圧Veがステップ的に増加する。
なおアナログ型感知器14における表示灯44の点灯または消灯などの操作は、ポーリングコマンドに対する伝送電流の応答タイミングを外れた空きタイミングで行うようにしている。
このように時刻T1で負荷電流が表示灯の点灯に伴いVeだけステップ的に増加すると、コンパレータ56に対する補正検出電圧Vcは基準電圧Vrを上回ることになる。
ここで時刻t1以前に受信した伝送電流検出電圧の立ち上がりでT1タイマがスタートしており、時刻t1で負荷電流がステップ的に増加した後の次の伝送電流検出電圧Vaの受信直前の時刻t2で調整タイミングが設定されて調整処理が行われ、このため表示灯の点灯でステップ的に増加した負荷電流は基準電圧Vrに対し(Va/2)だけ低い電圧に調整され、その直後に次の伝送電流検出電圧Vaが入力することになる。
したがって、負荷電流のステップ的な増加に対し、その後の伝送電流受信直前での調整により負荷電流の変動は調整され、次の負荷電流検出電圧がコンパレータ56で確実に検出できる。
なお、アナログ型感知器14で表示灯44を点灯した後に、火災が検出されなくなった場合には表示灯44を消灯する。この表示灯44を消灯する場合にも、負荷電流がIeだけ急減に低下するが、負荷電流が急激に低下した後の次の伝送電流の直前のタイミングで調整処理が行われ、負荷電流の変動が調整され、次の負荷電流検出電圧をコンパレータ56で確実に検出できる。
図5は図2の第1実施形態における調整処理を示したフローチャートである。図5において調整処理は、まずステップS1で伝送電流の受信の有無をチェックしている。伝送電流の受信の有無は、コンパレータ56の出力がHレベルからLレベルに反転することで検出できる。
ステップS1で伝送電流の受信を判別すると、ステップS2に進み、T1タイマをスタートする。続いてステップS3で設定時間T1の経過を判別すると、ステップS4に進み、DAコンバータ54の調整処理を実行する。
図6は図5のステップS5におけるDAコンバータ調整処理の詳細を示したフローチャートである。図6において、まずステップS11でコンパレータ56の出力がLレベルか否かチェックする。
コンパレータの出力がLレベルであった場合には、このときオペアンプ52からの補正検出電圧Vcは基準電圧Vrより高いことから、補正検出電圧Vcを下げるためにはオペアンプ52に対する調整電圧Vbを上げる必要があり、したがってステップS12に進み、DAコンバータ54を1ビット単位に増加させて、調整電圧Vbを増加させる。
続いてステップS13でコンパレータ56の出力が反転したか否かチェックし、コンパレータ56の出力が反転するまで、ステップS11,S12の処理により、DAコンバータ54に対するデジタル値を1ビット単位に順次増加させて、調整電圧Vbを増加させる処理を繰り返す。
ステップS13でコンパレータの出力がLレベルからHレベルに反転することを判別すると、このとき補正検出電圧Vcが基準電圧Vrに一致するように調整電圧Vbが調整されたと判断し、ステップS15に進み、調整処理部による処理として、DAコンバータ54の出力を伝送電圧検出電圧Vaの半分となる一定電圧(Va/2)だけ増加させる処理を行い、これによって基準電圧Vrに一致したオペアンプ52からの補正検出電圧Vcを一定電圧(Va/2)だけ低下させ、一連の調整処理を終了する。
一方、ステップS11でコンパレータの出力がHレベルであった場合には、このときオペアンプ52から出力されている補正検出電圧Vcは基準電圧Vrより小さいことから、補正検出電圧Vcを増加させるために調整電圧Vbを下げる必要があり、そこでステップS14に進み、DAコンバータ54のデジタル値を1ビット単位にダウンさせ、調整電圧Vbを順次減少させる。
続いてステップS13でコンパレータの出力がHレベルからLレベルに反転したか否かチェックし、Lレベルに反転するまで、ステップS11,S14の処理を繰り返す。
ステップS13でコンパレータ56の出力反転が判別されると、このときオペアンプ52からの補正検出電圧Vcが基準電圧Vrに一致したと判断し、ステップS15でDAコンバータ54からの調整電圧Vbを一定電圧(Va/2)だけ低下させる調整を行い、これによって基準電圧Vrに一致したオペアンプ56からの補正検出電圧Vcを一定電圧(Va/2)だけ低下させ、一連の調整処理を終了する。
図7は本発明による伝送入力回路とその制御回路として機能するCPUの第2実施形態を示した回路図であり、第2実施形態にあっては、負荷電流の急激な変動を検出した際に、負荷電流の変動が安定するまでの所定時間のあいだ、調整処理及びポーリングを中断するようにしたことを特徴とする。
図7において、伝送入力回路28は図2の第1実施形態と同じであり、線路電流検出抵抗R0、オペアンプ52、DAコンバータ54、コンパレータ56、基準電圧源58、入力抵抗R1、帰還抵抗R2、プルアップ抵抗R3で構成され、その動作も図2の第1実施形態と同じである。
一方、CPU22にはプログラムの実行により実現される機能として、ポーリング処理部60、調整処理部62、第2実施形態固有の処理を行う調整タイミング処理部70、T1タイマ66及びT2タイマ68が設けられている。ポーリング処理部60及び調整処理部62の処理機能は図2の第1実施形態と同じである。
調整タイミング設定部70は、第1実施形態の調整タイミング設定部64と同じ子機からの伝送電流の受信開始からT1タイマ66をスタートし、T1時間経過した次の伝送電流受信開始直前のタイミングを調整タイミングとして設定すると同時に、更に、伝送電流の空きタイミングで子機の負荷操作による負荷電流の急激な変動を検出した際に、負荷電流の急激な変動が安定する所定時間としてのT2時間を設定したT2タイマ68をスタートし、T2タイマ68により設定時間T2が経過するまでのあいだ、調整タイミングの設定及びポーリング処理部60による子機のポーリングを中断するようにしている。
図8は図7の第2実施形態における負荷電流が表示灯の点灯で急激に変動した場合の各部の信号波形を示したタイムチャートであり、図8(A)がポーリングコマンド、図8(B)が線路電流検出電圧、図8(C)がコンパレータ入力、図8(D)が調整タイミング、図8(E)が表示灯、更に図8(F)がポーリングステータスを示している。
図8にあっては、時刻t2でアナログ型感知器14に設けているCPU38が火災検出に基づきスイッチ45をオンすることで、表示灯44を点灯し、これに伴い、定常的な負荷電流Izに加え表示灯44の点灯による負荷電流Ieが流れ、線路電流検出電圧Viが負荷電流検出電圧VzからVe分、ステップ的に増加した状態を示している。
時刻t2で負荷電流がステップ的に増加する以前の時刻t1で伝送電流検出電圧Vaが受信されて、その受信開始タイミングでT1タイマが起動しており、T1タイマが設定時間T1に達する以前に、時刻t2で負荷電流がVe分だけステップ的に増加している。
この時刻t2における負荷電流のステップ的な増加は、コンパレータ入力となるオペアンプ54からの補正検出電圧Vcが基準電圧Vrを上回ることで、コンパレータ56の出力がそれまでのHレベルからLレベルに反転することにより検出される。
コンパレータ56の出力から負荷電流のステップ的な増加が判別されると、調整タイミング設定部70は時刻t2からT2タイマ68をスタートし、設定時間T2が経過する時刻t3までのあいだ、調整タイミングの設定を中断すると同時に、ポーリング処理部60からのポーリングコマンドの送信を停止するため、ポーリングステータスを中断とする。
この結果、時刻t2〜t3までのT2時間のあいだ、ポーリングコマンドの送信が行われないことから、子機側から伝送電流の応答は行われず、伝送線12a,12bにはステップ的に増加した後の負荷電流のみが流れた状態となり、その間にステップ的に増加した負荷電流が安定する。このように負荷電流の安定を待つためのT2タイマ68の設定時間T2としては、例えばT2=20ミリ秒が設定される。
設定時間T2が経過した時刻t3に至ると、ここで調整タイミングを設定し、調整処理部62による調整処理により、図8(C)に示すように、コンパレータ56に対するオペアンプ54からの補正検出電圧Vcを基準電圧Vrより(Va/2)だけ低い電圧に調整し、ステップ的に増加した負荷電流による影響を除去する。
同時に、ポーリングステータスが中断からアクティブ状態に戻されることでポーリングコマンドの送信が再開され、これに伴い、時刻t4で子機側から伝送電流Iaが送信されて伝送電流検出電圧Vaが得られ、正常に伝送電流が検出され、同時に、調整タイミングの設定禁止が解除されたことで、伝送電流が受信された時刻t4でT1タイマ66が起動され、設定時間T1経過後に次の調整タイミングを設定する通常動作に戻る。
なお図8のタイムチャートはアナログ型感知器14に設けた表示灯44の点灯による負荷電流のステップ的な増加に対する調整処理を例に取っているが、その後、アナログ型感知器14のCPU38で火災状態が解消されて、スイッチ45のオフにより表示灯44が消灯された場合、それまでの負荷電流は点灯時の負荷電流Ieだけ減少し、そのときの負荷電流検出電圧はVe分だけステップ的に低下する。
このような負荷電流検出電圧のステップ的な低下についても、図8の時刻t2〜t3と同様、負荷電流の急激な変動が検出され、T2タイマ68のスタートにより調整タイミングの設定及びポーリングが中断され、負荷電流のステップ的な低下による変動が安定した後に再開されることになる。
図9は図7の第2実施形態における調整処理を示したフローチャートである。図9において、まずステップS21で伝送電流の受信の有無をチェックしており、伝送電流の受信を判別すると、ステップS22に進み、T1タイマ66をスタートする。
続いてステップS23で設定時間T1の経過をチェックしており、設定時間T1の経過を判別すると、ステップS24に進み、負荷電流が急激に変動したか否か判別する。
負荷電流に急激な変動がない場合には、ステップS25に進んでDAコンバータ54の調整処理を実行する。ステップS25のDAコンバータの調整処理は図6のフローチャートと同じになる。またステップS21〜S28の処理は図2に示した調整タイミング設定部64の処理に相当する。
一方、ステップS24で負荷電流が急激に変動したことを判別した場合には、ステップS26に進み、動作中にあるT1タイマ66をリセットした後、ステップS27でT2タイマ68をスタートし、更にステップS23でポーリングを中断する。
続いてステップS29で設定時間T2の経過を判別しており、設定時間T2の経過を判別すると、ステップS30に進み、DAコンバータ54の調整処理をステップS25の場合と同様に実行した後、ステップS31でポーリングを再開し、再びステップS21の処理に戻ることになる。
なお上記の実施形態にあっては、調整タイミングを伝送電流の空きタイミングで且つ次の伝送電流受信直前に設定するT1タイマを、伝送電流の受信時にスタートしているが、ポーリングコマンドの送信開始時にスタートして、そのポーリングコマンドに対する子機からの応答による伝送電流の受信開始直前のタイミングまでをT1時間として設定するようにしてもよい。
また、上記の実施形態は受信機から引き出された伝送線に主に負荷電流を流す機器としてオンオフ型火災感知器を接続した中継器を例に取っているが、オンオフ型感知器以外にガス漏れ検出器や盗難警報機などを接続した場合も同様である。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。