JP5275359B2 - 伝送入力回路 - Google Patents

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Description

本発明は、電源供給線を兼ねた伝送線を介して接続された火災感知器などの子機からの伝送電流を検出する受信機などの親機に設けられた伝送入力回路に関する。
本願は、2008年10月02日に、日本に出願された特願2008−257173号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来の監視システムでは、受信機からの伝送線に火災感知器、ガス検知器などのセンサを接続して火災、ガス漏れなどの異常を監視している(例えば、特許文献1,2を参照)。この監視システムでは、前記受信機から、制御情報などの下り信号であるデジタル信号を電圧モードで端末に伝送する。一方、端末は、センサ情報などの上り信号であるデジタル信号を電流モードで前記受信機に伝送している。
図15は、従来の監視システムを示している。同図に示すように、親機である受信機100からは電源供給線を兼ねた伝送線102a,102bが引き出され、子機であるアナログ型感知器104や中継器106が接続されている。アナログ型感知器104及び中継器106には、それぞれ固有のアドレスが設定されている。
アナログ型感知器104は、火災発生に伴う煙の濃度又は周囲温度のアナログ値を検出し、煙濃度データ又は温度データを受信機100に伝送する。そして、受信機100は、前記煙濃度データ又は温度データに基づいて火災発生の有無を判断し、火災発生と判断した場合には火災警報を出す。
中継器106からは感知器回線108a,108bが引き出され、伝送機能を持たない複数のオンオフ型感知器110が負荷として接続されている。オンオフ型感知器110が火災発生の兆候を検出すると、感知器回線108a,108bを介して中継器106に向かって発報電流を流す。この発報電流が中継器106で受信されると、中継器106から受信機100に向かって火災発報データが伝送される。そして、受信機100が火災警報を出す。
受信機100は、子機アドレスを順次指定してポーリング用の下り信号を、電圧モードで各子機(アナログ型感知器104や中継器106)に送っている。このポーリング用の下り信号を受信した子機は、自己アドレスを判別し、正常状態を示す上り信号である伝送電流を受信機100に送り返す。
図16は、図15に示した上記従来システムにおける受信機100、アナログ感知器104及び中継器106を等価回路により示した図である。中継器106は、負荷として接続されているオンオフ型感知器110に電源を供給することによって定常的な動作電流を流しているので、抵抗で示される負荷122と見做すことができる。このため、伝送線102a,102bには負荷122に応じた負荷電流Izが定常的に流れている。
アナログ型感知器104は、定電流源112とスイッチ114とを備えている。そして、アナログ型感知器104では、例えば受信機100からのポーリングに対し、CPU116が、正常を示す上り信号を所定ビット長の電流パルス信号として受信機100に向かって送り返している。
アナログ型感知器104から伝送された前記電流パルス信号は、受信機100の伝送入力回路118に入力し、この電流パルス信号に比例した電流検出電圧パルス信号を生成してCPU120に送る。その結果、電流検出電圧パルス信号を読み込んだCPU120は、アナログ型感知器104が正常であることを認識する。即ち、伝送入力回路118は、電源供給線を兼ねた伝送線102a,102bに負荷122からの負荷電流Izを流している状態で、子機であるアナログ型感知器104からの伝送電流の有無を検出する。
図17は、図16に示した受信機100に設けられた従来の伝送入力回路118の回路図である。図17において、伝送入力回路118では、伝送線102aに所定の電源電圧Vcを印加する一方、信号線102b側を、ダイオードD11を介して電流検出抵抗R11に接続している。
伝送線102a,102bには、図15で示したように、中継器106とアナログ型感知器104とが接続され、伝送電流Iaが流れていない空きタイミングでは、中継器106の負荷122に依存した負荷電流Izが流れている。そして、アナログ型感知器104が伝送信号を出力すると、負荷電流Izに上乗せして伝送電流Iaが流れる。
図17に示す電流検出抵抗R11の両端に発生した、線路電流に応じた検出電圧は、コンパレータ122のマイナス入力端子に加えられる。コンパレータ122のプラス入力端子にはコンデンサC11が接続され、コンデンサC11は更にスイッチSW11を介してダイオードD11の入力側に接続されている。
スイッチSW11は、CPU120により、アナログ型感知器104などの子機からの伝送電流Iaが流れていない空きタイミングでスイッチングされ、電流検出抵抗R11の負荷電流検出電圧VzにダイオードD11の順方向降下電圧となる閾値電圧Vfを加えた基準電圧Vr、即ちVr=(Vz+Vf)をコンデンサC11に基準電圧Vrとしてサンプルホールドする。
図18は、図17の各部の信号波形を示したタイムチャートである。図18の(A)はコンパレータ112への入力電圧であり、図18の(B)はスイッチSW11によるコンデンサC11のサンプルタイミングを示している。
図18の(A)に示すように、伝送電流Iaのない状態では、伝送線102a,102bに流れる負荷電流Izによる負荷電流検出電圧Vzが、基底電圧として入力する。また、伝送電流Iaのない空きタイミングにおけるスイッチSW1のスイッチングにより、コンデンサC11に電流検出抵抗R11の負荷電流検出電圧Vzに対してダイオードD11の順方向降下電圧である閾値電圧Vfを加えた基準電圧Vrを、サンプルホールドする。
子機からの伝送信号の送信により伝送電流Iaが流れると、電流検出抵抗R11に、伝送電流Iaに応じた伝送電流検出電圧Vaが負荷電流検出電圧Vzに上乗せする形で発生する。コンパレータ122は、コンデンサC11に保持された基準電圧Vr=(Vz+Vf)を越える受信電圧成分(電圧パルス成分)を抽出し、これを伝送電流検出信号としてCPU120に入力し、火災警報処理などを行わせる。
図19は、図18の時間軸を縮めて示したタイムチャートである。子機側からは一定周期でパルス信号が伝送電流Iaにより送出されており、その空きタイミングで、負荷電流検出電圧VzにダイオードD11の順方向降下電圧である閾値電圧Vfを加えた基準電圧Vr=(Vz+Vf)を、コンデンサC11にサンプリングホールドする。そして、その直後に得られる伝送電流検出電圧Vaの基準電圧Vrを越える電圧成分を検出して、伝送電流検出信号としてCPU120に入力している。
なお、負荷電流Izに対応した負荷電圧Vzを一定電圧として示しているが、実際には、環境温度などに応じて負荷電流Izが緩やかに変化する。
特開平9−91576号公報 特開平6−301876号公報
上記従来の伝送入力回路では、子機からの伝送電流を検出するための閾値電圧Vfを、ダイオードD11の順方向電圧Vfに依存して決めているため、任意の閾値を設定することができず、また、温度による変動も大きく、充分な信頼性を確保することができないという問題があった。
また、アナログ電圧としてダイオードD11の順方向降下電圧である閾値電圧Vfを加えた基準電圧VrをコンデンサC11に保持しているが、コンデンサC11の保持電圧は、漏れ電流などにより時間の経過に伴って変化する。よって、頻繁にサンプルホールドしなければならないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、伝送電流を検出するための閾値電圧を任意に設定でき、温度や時間経過による変動もなく、子機からの伝送電流の有無を正確に検出可能とする伝送入力回路の提供を目的とする。
本発明は、上記問題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。
(1)本発明の伝送入力回路は、電源供給線を兼ねた伝送線に負荷からの負荷電流が流れている状態で、子機からの伝送電流の有無を検出する親機の伝送入力回路であって、前記伝送線を流れる線路電流を自らに入力して線路電流検出電圧を生成する電流検出抵抗と;スイッチングにより、定電流回路からの所定の基準電流を前記電流検出抵抗に流して閾値電圧を生成させるスイッチと;デジタル値に応じて抵抗値を設定することにより任意の基準電圧を生成するデジタル可変抵抗回路と;入力端子の一方に前記電流検出抵抗で生成した前記線路電流検出電圧が入力されると共に、入力端子の他方に前記デジタル可変抵抗回路で生成した前記基準電圧が入力され、さらに、前記線路電流検出電圧のうちの、前記基準電圧を越える成分を伝送電流検出信号として出力するコンパレータと;前記子機からの前記伝送電流が流れていない空きタイミングで前記スイッチをオンにして前記定電流回路から前記電流検出抵抗に前記基準電流を流し、前記負荷電流に対応した負荷電流検出電圧に対して前記基準電流に対応した閾値電圧を加算した目標調整電圧を前記電流検出抵抗に生成させ、さらには、前記デジタル可変抵抗器から出力される前記基準電圧が前記目標調整電圧と一致するように前記デジタル値を調整する調整処理部と;を備える。
(2)上記(1)に記載の伝送入力回路では、前記デジタル可変抵抗回路が、両端に所定の内部電源電圧が印加される直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力するワイパー端子とを有する単一のデジタル可変抵抗器を備え;前記調整処理部が、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、1ビット変化で前記コンパレータの出力が反転するデジタル値又は反転直前のデジタル値に調整する;構成を採用してもよい。
(3)上記(2)に記載の伝送入力回路では、前記調整処理部が、調整開始時の前記コンパレータの出力がハイレベルの場合は、このハイレベルをローレベルに反転させる方向に前記デジタル値を1ビット単位で変化させてかつ、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、前記ハイレベルから前記ローレベルに反転した時のデジタル値または反転直前のデジタル値に調整する一方、調整開始時の前記コンパレータの出力がローレベルの場合は、このローレベルをハイレベルに反転させる方向に前記デジタル値を1ビット単位で変化させてかつ、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、前記ローレベルから前記ハイレベルに反転した時のデジタル値または反転直前のデジタル値に調整する構成を採用してもよい。
(4)上記(1)に記載の伝送入力回路では、前記デジタル可変抵抗回路が、両端に所定の内部電源電圧が印加される第1直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第1ワイパー端子とを有する粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と;両端に前記所定の内部電源電圧が印加される第2直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第2ワイパー端子とを有する微調整用の第2デジタル可変抵抗器と;前記第1ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続するラインに設けられた第1抵抗と;前記第2ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続する前記ラインに設けられてかつ、前記第1抵抗よりも大きい抵抗値を有する第2抵抗と;を備え、前記調整処理部が、前記基準電圧と前記目標調整電圧とが略一致するように、前記第1デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整した後に、前記基準電圧と前記目標調整電圧とが一致するように、前記第2デジタル可変抵抗器に対する前記デジタル値を調整する、構成を採用してもよい。
(5)上記(4)に記載の伝送入力回路では、前記調整処理部が、前記第1デジタル可変抵抗器を調整する際に、前記第2デジタル可変抵抗器の前記第2ワイパー端子の位置を中点位置に固定する構成を採用してもよい。
(6)上記(1)に記載の伝送入力回路では、前記デジタル可変抵抗回路が、両端に所定の内部電源電圧が印加される第1直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第1ワイパー端子とを有する粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と;両端に前記所定の内部電源電圧が印加される第2直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第2ワイパー端子とを有する微調整用の第2デジタル可変抵抗器と;前記第1ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続するラインに設けられた第1抵抗と;前記第2ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続する前記ラインに設けられてかつ、前記第1抵抗よりも大きい抵抗値を有する第2抵抗と;前記調整処理部に入力が接続される一方、前記第2直列抵抗アレイのグランド側端子に出力が接続された第1インバータと;この第1インバータからの前記出力が入力接続されてかつ、前記第2抵抗の2倍の抵抗値を有する第3抵抗を介して前記コンパレータの前記他方の入力端子に出力接続された第2インバータと;前記コンパレータの前記他方の入力端子とグランドとの間に接続された前記第2抵抗の2倍の抵抗値を有する第4抵抗と;を備え、前記調整処理部が、前記基準電圧と前記目標調整電圧とが略一致するように、前記第1デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整した後に、前記基準電圧と前記目標調整電圧とが一致するように、前記第2デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整し、また、前記第1デジタル可変抵抗器の抵抗値を調整する際に、ローレベル信号を前記第1インバータに入力して前記内部電源電圧となるハイレベル信号の出力を得ることにより前記第1デジタル可変抵抗器を介して前記第2抵抗に前記内部電源電圧を印加すると共に、前記第2インバータからのローレベル信号の出力により、前記第3抵抗をグランド側に接続して前記第2抵抗に前記第3抵抗及び第4抵抗からなる並列回路を直列接続する回路を形成し、これにより、直列接続点の電圧を、前記第2ワイパー端子の位置が中点位置にあるときの出力電圧と同じ値に設定し、さらには、前記第2デジタル可変抵抗器の抵抗値を調整する際に、ハイレベル信号を前記第1インバータに入力してローレベル信号の出力を得ることにより前記第2デジタル可変抵抗器の一端をグランド側に接続して調整可能にすると共に、前記第2インバータからのハイレベル信号の出力を得ることにより前記内部電源電圧及び前記グランド間に前記第3抵抗及び前記第4抵抗を直列接続する回路を形成し、これにより、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の直列接続点の電圧を前記内部電源電圧の1/2に設定する、構成を採用してもよい。
(7)本発明の他の伝送入力回路は、電源供給線を兼ねた伝送線に負荷からの負荷電流が流れている状態で、子機からの伝送電流の有無を検出する親機の伝送入力回路であって、前記伝送線を流れる線路電流を自らに入力して線路電流検出電圧を生成する電流検出抵抗と;スイッチングにより、定電流回路から所定の基準電流を前記電流検出抵抗に流して閾値電圧を生成させるスイッチと;デジタル値に応じた任意の基準電圧を発生するDAコンバータと;入力端子の一方に前記電流検出抵抗で生成した前記線路電流検出電圧が入力されると共に、入力端子の他方に前記DAコンバータが生成した前記基準電圧が入力され、前記線路電流検出電圧のうちの、前記基準電圧を越える成分を伝送電流検出信号として出力するコンパレータと;前記子機からの前記伝送電流が流れていない空きタイミングで前記スイッチをオンにして前記定電流回路から前記電流検出抵抗に前記基準電流を流し、前記負荷電流に対応した負荷電流検出電圧に対して前記基準電流に対応した閾値電圧を加算した目標調整電圧を前記電流検出抵抗に生成させ、さらには、前記DAコンバータから出力される前記基準電圧が前記目標調整電圧と一致するように前記デジタル値を調整する調整処理部と;を備える。
(8)上記(1)又は上記(7)に記載の伝送入力回路では、前記定電流回路が、前記伝送電流に対応した伝送電流検出電圧の1/2となる閾値電圧を生成する前記基準電流を供給する構成を採用してもよい。
本発明の伝送入力回路によれば、伝送線に負荷が負荷電流を流している状態で、子機からの伝送電流の有無を検出するための基準電圧を、デジタル可変抵抗器がコンパレータに対して設定することで、コンデンサがサンプルホールドを行う従来の構成に比べて、時間の経過とともに基準電圧が変化することがなく、子機から送出される伝送電流を正確に検出することができる。
また、デジタル可変抵抗器が設定する基準電圧が変化しないため、負荷電流検出電圧が一定であれば、デジタル可変抵抗器の調整は必要ないか、または調整頻度を大幅に低減できる。よって、基準電圧を調整するための処理負担を軽減できる。
また、負荷電流が変動している場合には、伝送電流が流れていない空きタイミングを利用したデジタル可変抵抗器の調整により、負荷電流の変動の影響を受けることなく、伝送電流を正確に検出することができる。
また、粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と微調整用の第2デジタル可変抵抗器とを設けて、粗調整と微調整との2回に分けて基準電圧を調整することで、デジタル可変抵抗器の1回の調整に要する処理時間を短縮することができる。
また、粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と微調整用の第2デジタル可変抵抗器とを設けた場合、粗調整の際に、微調整用の第2デジタル可変抵抗器の第2ワイパー端子の位置を中点位置に固定することで、第1デジタル可変抵抗器による粗調整ができない状態(即ち、目標調整電圧に基準電圧を調整できない状況)を回避することができる。
また、粗調整の際に、微調整用の第2デジタル可変抵抗器の第2ワイパー端子の位置を中点位置に固定する処理を、第2デジタル可変抵抗器の調整ではなく、2台のインバータ(第1インバータ及び第2インバータ)を用いた論理回路と抵抗との組合せにより等価的に実現することで、調整処理を簡単且つ高速に行うことができる。
本発明が適用された監視システムにおける受信機をアナログ型感知器及び中継器と共に示したブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る伝送入力回路を備えた受信機の回路図である。 同実施形態の受信機に設けられたデジタル可変抵抗器の回路構成を示す回路ブロック図である。 同実施形態におけるコンパレータ入力電圧及び基準電圧の調整タイミングを示すタイムチャートである。 同実施形態における基準電圧の調整処理を示すフローチャートである。 負荷電流が安定している場合における負荷電流検出電圧及び基準電圧の調整タイミングを示すタイムチャートである。 負荷電流が変動している場合における負荷電流検出電圧及び基準電圧の調整タイミングを示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る伝送入力回路を備えた受信機の回路図である。 同実施形態おける2台のデジタル可変抵抗器による粗調整及び微調整によりコンパレータ入力電圧Vbを変化させるための等価回路の図である。 同実施形態における基準電圧の調整処理を示すフローチャートである。 本発明に係る伝送入力回路の第3実施形態を示す回路図である。 同実施形態における2台のインバータにより微調整用の第2デジタル可変抵抗器を切り離してワイパー位置の中点に相当する出力電圧を生成する抵抗回路を示す等価回路図である。 同実施形態における2台のインバータにより微調整用の第2デジタル可変抵抗器を切り離してワイパー位置の中点に相当する出力電圧を生成する抵抗回路を示す等価回路図である。 同実施形態における基準電圧の調整処理を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る伝送入力回路を備えた受信機の回路図である。 従来の監視システムを示すシステムブロック図である。 従来の監視システムにおける中継器及びアナログ型感知器を等価回路で示したブロック図である。 従来の伝送入力回路を示す回路図である。 図17に示した従来の伝送入力回路におけるコンパータ入力電圧及びサンプルホールドのタイミングを示すタイムチャートである。 負荷電流が安定している場合の、従来の伝送入力回路における受信電圧及びサンプルホールドのタイミングを示すタイムチャートである。
図面を参照しながら本発明の伝送入力回路の各実施形態を以下に説明するが、各実施形態間で共通する構成要素には同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された監視システムにおける受信機の構成を、アナログ型感知器及び中継器と共に示したブロック図である。図1において、本発明が適用される監視システムでは、親機である受信機10から警戒区域に向けて引き出された伝送線12a,12bに、子機であるアナログ型感知器14及び中継器16を複数接続している。
アナログ型感知器14及び中継器16は、受信機10との間で、上り信号及び下り信号を送受信する伝送機能を備えている。アナログ型感知器14及び中継器16には、1本の伝送回線当たり、例えば127アドレスを最大アドレスとする固有のアドレスが、予め割り当てられている。
アナログ型感知器14は、火災により発生した煙の濃度(煙濃度)または温度(例えば室温)を検出し、検出した値をアナログデータとして受信機10に伝送する。一方、受信機10側では、受信した煙濃度または温度のアナログデータから火災発生の有無を判断し、火災発生と判断された場合には警報を発する。
中継器16は、伝送機能を持たない複数のオンオフ型感知器20を伝送線12a,12bに接続するために設けられている。中継器16は、受信機10との間で伝送機能を持つ。中継器16から引き出された感知器回線18a,18bには、各オンオフ型感知器20が接続されている。オンオフ型感知器20は、火災を検出すると、感知器回線18a,18b間に発報電流を流し、この発報電流を中継器16で受信し、火災発生を示す火災発報データを受信機10に伝送する。
受信機10から、子機であるアナログ型感知器14及び中継器16に向かう下り信号は、電圧モードで伝送している。例えば受信機10は、一定のポーリング周期で子機アドレスを順次指定してポーリング信号を伝送している。このポーリング信号は、伝送線12a,12b間の電圧を例えば18ボルトと30ボルトとの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
これに対し、アナログ型感知器14及び中継器16から受信機10に向かう上り信号は、電流モードで伝送される。即ち、伝送線12a,12b間に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送され、この時に伝送電流が流れる。
伝送線12a,12bは、子機であるアナログ型感知器14及び中継器16に対する電源供給線としても使用されている。即ち、伝送線12a,12bは、電圧モードによる下り信号の伝送時において18ボルトから30ボルトの範囲で供給電圧を変動させており、最低でも18ボルトの電圧供給が行われている。すなわち、親機である受信機10から子機であるアナログ型感知器14及び中継器16に向かって電源供給が継続的に行われている。
中継器16から引き出されている感知器回線18a,18bに対しても、伝送線12a,12bを介して供給される電力が中継器16を経由して供給される。その結果、感知器回線18a,18bを介して各オンオフ型感知器20に電力が供給される。
受信機10には、CPU22と、このCPU22に対応する伝送回路部24とが設けられている。そして、伝送回路部24より、伝送線12a,12bが引き出されている。
伝送回路部24には、伝送出力回路26と本発明の一実施形態に係る伝送入力回路28とが設けられている。伝送出力回路26は、CPU22からの例えばポーリングなどのコマンド指示に基づき、電圧モードで下り信号を伝送線12a,12bに出力する。
伝送入力回路28は、子機であるアナログ型感知器14または中継器16からの電流モードによる上り信号、即ち伝送電流を受信した場合に、この受信を示す伝送電流検出信号をCPU22に出力し、火災警報動作をCPU22に行わせる。
受信機10には、CPU22に対応して、表示部30と、操作部32と、記憶部34と、移報部36とが設けられており、火災監視に必要な各種の警報出力、警報表示、操作、監視情報の記憶、移報信号の出力などができる。
アナログ型感知器14には、CPU38と、センサ部40と、伝送回路部42とが設けられている。センサ部40は、火災発生により生じた煙の濃度(煙濃度)あるいは温度などを検出してCPU38に出力する。
伝送回路部42は、受信機10から自己アドレスを指定したポーリングコマンドの下り信号を受信し、CPU38が正常であると判断すれば、正常を示す応答上り信号を電流モードで受信機10に送信する。CPU38は、火災発生を検出すると、自己アドレスを指定したポーリングコマンドへの応答として、火災割込みの上り信号である火災発報信号を受信機10に送信する。
中継器16には、CPU44と、発報受信部46と、伝送回路部48とが設けられている。発報受信部46からは感知器回線18a,18bが引き出されており、これら感知器回線18a,18bに各オンオフ型感知器20が負荷として接続されている。
オンオフ型感知器20が火災発生を検出すると、感知器回線18a,18b間に発報電流を流し、この発報電流を発報受信部46が受信してCPU44に出力する。すると、CPU44は、伝送回路部48により、自己アドレスを指定したポーリングコマンドへの応答として火災割込みの上り信号を受信機10に向けて送信する。
中継器16も、アナログ型感知器14と同様に、受信機10からの自己アドレスを指定したポーリングコマンドの下り信号を受信した場合、異常がなければ、正常を示す上り信号を電流モードで受信機10に伝送する。
受信機10と子機との間の伝送処理の詳細について、以下に説明する。
受信機10は、通常の監視時では、子機アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信している。アナログ型感知器14及び中継器16は、自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると、正常監視応答を行う。このため、受信機10は、ポーリングコマンドに対する応答の有無により、アナログ型感知器14又は中継器16の障害の有無を検出することができる。
アナログ型感知器14は、受信機10の全ての感知器アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに繰り返し出力される一括AD変換コマンドを受信する。そして、受信した際に、アナログ型感知器14は、これに内蔵された火災検出機構(センサ部40)により、煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較し、この火災レベルを超えたときに火災発生と判断する。
アナログ型感知器14において、一括AD変換コマンドに基づくサンプリング結果から火災発生と判断した場合には、その後の自己の感知器アドレスを指定したポーリングコマンドを送信するタイミングで、受信機10に対して火災割込信号を送信する。火災割込信号としては、応答ビットをオール1とするような、通常では使用されない信号が用いられる。
中継器16も、受信機10からの一括AD変換コマンドに基づいて発報受信部46による受信状態をサンプリングする。そして、中継器16は、発報受信を検出した場合は、その後の自己の感知器アドレスを指定したポーリングコマンドのタイミングで、受信機10に対し割込信号を送信する。
受信機10は、アナログ型感知器14又は中継器16から火災割込信号を受信した場合、グループ検索コマンドを発行して、火災を検出したアナログ型感知器14又は中継器16を含むグループからの火災割込応答を受信してグループを判別する。続いて、受信機10は、判別したグループに含まれる個々のアナログ型感知器14や中継器16に対し、アドレスを順次指定してポーリングを行い、火災応答(アナログデータや火災発報データ)を受けることで、火災を検出したアナログ型感知器14又は中継器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行う。
伝送線12a,12bに接続される最大127台のアナログ型感知器14及び中継器16は、例えば8台ごとにグループアドレスが設定されている。そして、受信機10から送信されるグループ検索コマンドに対し、火災発生を検出しているアナログ型感知器14が含まれるグループから火災割込応答が行われる。これにより、火災発生を検出しているアナログ型感知器14又は中継器16を含むグループを特定できるようにしている。
図2は、本実施形態に係る伝送入力回路28の構成を示した回路図である。図2に示すように、受信機10に設けられた伝送入力回路28は、電流検出抵抗R0と、コンパレータ48と、定電流回路50と、トランジスタやMOS−FETなどを用いたスイッチ52と、デジタル可変抵抗器54と、プルアップ抵抗R5とを備えている。
受信機10から引き出された伝送線12a,12bのうち、負荷に応じて流れる負荷電流Izと、子機より上り信号として送出される伝送電流Iaとが流れ込む伝送線12b側に、電流検出抵抗R0が接続されている。その結果、電流検出抵抗R0は、伝送線12bから流れ込んでくる線路電流に比例した電流検出電圧Viを生成する。
電流検出抵抗R0が生成した電流検出電圧Viは、コンパレータ48のマイナス入力端子に入力される。コンパレータ48のプラス入力端子には、デジタル可変抵抗器54で設定される基準電圧Vrが入力される。
コンパレータ48は、電流検出電圧Viが基準電圧Vr未満の場合にH(High)レベルとなり、電流検出電圧Viが基準電圧Vrを超えた場合にL(Low)レベルに反転して、伝送電流検出信号を出力する。コンパレータ48からの出力は、抵抗R5を介して内部電源電圧Vdにプルアップされている。
定電流回路50は、その一端が、電源電圧Vcが流れる伝送線12aに接続される一方、他端が、スイッチ52を介して電流検出抵抗R0に接続されている。この定電流回路50は、スイッチ52をオンにすると、予め定めた基準電流Ieが、スイッチ52を介して電流検出抵抗R0に流れる。その結果、電流検出抵抗R0に、伝送電流検出電圧を検出するための閾値電圧Veが発生する。
CPU22には、プログラムの実行により実現される機能として調整処理部55が設けられている。調整処理部55は、伝送線12a,12bに伝送電流Iaが流れていない空きタイミング、即ち負荷による負荷電流Izのみが流れている所定の調整タイミングでスイッチ52をオンにすることで、定電流回路50から電流検出抵抗R0に向かって基準電流Ieが流れる。
この時の電流検出抵抗R0には、伝送線12bから同時に負荷電流Izが流れている。このため、スイッチ52をオンにすると、電流検出抵抗R0には、負荷電流検出電圧Vzに対して、基準電流Ieに応じた閾値電圧Veが加算された目標調整電圧Vt、即ちVt=Vz+Veが発生する。
この状態で、調整処理部55は、コンパレータ48のマイナス入力端子に電流検出抵抗R0から入力される調整目標電圧Vtに対して基準電圧Vrが一致するように、デジタル可変抵抗器54における制御値C(デジタル値)を調整する。
図3は、本実施形態のデジタル可変抵抗器54の回路構成を示したブロック図である。図3に示すように、デジタル可変抵抗54は、直列抵抗アレイ56と、アップダウンカウンタ60と、不揮発メモリ62と、制御回路64と、デコーダ66とを備えている。
直列抵抗アレイ56は、所定の抵抗値を持つ固定抵抗rを所定数、直列接続したものであり、その両端と、各抵抗r間の接続箇所とのそれぞれに、MOS−FETなどを用いたスイッチ58の一端が接続されている。そして、各スイッチ58の他端が、共通の配線56aに接続されている。
直列抵抗アレイ56の直列抵抗回路の一端からは電源端子68が取り出され、他端からはグランド端子70が取り出されている。更に、スイッチ58を介して接続した前記共通の配線56a側は、ワイパー端子72に接続されている。
直列抵抗アレイ56は、スイッチ58をデコーダ66の出力によりオンオフすることで、例えば256段階に亘ってその抵抗値を切り替えることができ、これにより、電源端子68とグランド端子70との間に印加している直流電圧を、256段階のうちの任意の段階の電圧に調整して出力することができる。
デコーダ66にはアップダウンカウンタ60が接続されている。アップダウンカウンタ60は、制御端子73に対して入力される制御信号であるカウント信号を受け取ることにより、アップカウントまたはダウンカウントを最小値から最大値の間で行う。アップダウンカウンタ60でカウントされた2進データは、デコーダ66で例えば1〜256段階の10進データに変換される。そして、デコーダ66から送り出される上記10進データに対応した位置のスイッチ58をオンにすることで、デコーダ66で設定した値(段数)に対応した電圧を、ワイパー端子72から取り出すことができる。
制御回路64は、アップダウンカウンタ60及びデコーダ66のタイミング制御などを行う。また、このデジタル可変抵抗器54には、アップダウンカウンタ60の値を記憶する不揮発メモリ62が設けられている。
このため、デジタル可変抵抗器54への電源供給が断たれても、不揮発メモリ62にはその時のアップダウンカウンタ60の値が保持されているため、次に電源を投入した時の初期値として、不揮発メモリ62の値がアップダウンカウンタ60にセットされる。これによって、電源を切っても、その時の調整値を保持することができる。なお、電源を切っても調整値を保持する必要がない場合には、不揮発メモリ62を設ける必要がない。
図4は、本実施形態におけるコンパレータ入力電圧と基準電圧調整タイミングとの関係を示したタイムチャートである。図4の(A)は、コンパレータ48の入力電圧を示している。コンパレータ48には、通常時は伝送線12bから負荷に流れる負荷電流Izのみが入力している。このため、電流検出抵抗R0には負荷電流Izに対応した負荷電圧Vzが発生し、コンパレータ48の入力端子に線路電流検出電圧Viとして入力する。
図2のCPU22に設けられている調整処理部55は、伝送線12bから負荷電流Izのみが流れているタイミング、即ち子機から伝送電流Iaの送出が行われていない空きタイミングとなる時刻t1〜t2の間に、デジタル可変抵抗器54から発生する基準電圧Vrの調整処理を実行する。
この調整処理は、スイッチ52をオンにして定電流回路50からの基準電流Ieを電流検出抵抗R0に流し、基底的に流れている負荷電流Izによる負荷電流検出電圧Vzに上乗せする形で、基準電流Ieに対応した閾値電圧Veを発生させる。そして、両者を加算した調整目標電圧Vt=Vz+Veを生成し、これをコンパレータ48のマイナス入力端子に加える。
この状態で、調整処理部55は、デジタル可変抵抗器54に対する制御値Cとなるデジタル値を調整し、デジタル可変抵抗器54から出力されている基準電圧Vrが、マイナス入力端子に加えられている調整目標電圧Vtに一致した時点で、調整処理を終了する。この結果、調整終了後のデジタル可変抵抗器54は、調整タイミングt1〜t2でコンパレータ48のマイナス入力端子に加えていた調整目標電圧Vt(即ちVt=Vz+Ve)に一致する基準電圧Vrを、コンパレータ48のプラス入力端子に加えるように設定することになる。
定電流回路50からの基準電流Ieにより電流検出抵抗R0に発生させる閾値電圧Veは、子機からの発報電流Iaにより電流検出抵抗R0に発生させる伝送電流検出電圧Vaの2分の1となる電圧を発生させる基準電流Ieの値に基づいて決められる。
このように、デジタル可変抵抗器54による基準電圧Vrの調整が完了した後は、コンパレータ48に対する基準電圧Vrを超える、子機からの伝送電流Iaに応じた伝送電流検出電圧Vaの基底的な負荷電流検出電圧Vzに対する増加分が基準電圧Vrを超えたとき(即ち、閾値電圧Veを超えて増加したとき)、基準電圧Vrを上回る電圧部分につき、コンパレータ48はLレベルに反転した伝送電流検出信号をCPU22に出力する。
図5は、本実施形態における基準電圧調整処理を示すフローチャートである。
この図5に示すように、基準電圧調整処理は、まずステップS1で、子機からの伝送電流Iaの送出がない空きタイミングとなる調整タイミングか否かを判別する。そして、調整タイミングであると判別すると、ステップS2に進み、スイッチ52をオンにする。そして、定電流回路50から電流検出抵抗R0に基準電流Ieを流し、コンパレータ48のマイナス入力端子に対してVt=Vz+Veとなる目標調整電圧Vtを入力させる。
この状態でステップS3に進み、コンパレータ48の出力がHレベルか否かをチェックする。その結果、コンパレータ48の出力がHレベルであれば、デジタル可変抵抗器54からの出力電圧が目標調整電圧Vtよりも高いことになるので、その場合にはステップS4に進み、デジタル可変抵抗器54に対する制御値Cを1ビットカウントダウンさせる。そして、図3に示したアップダウンカウンタ60の値を−1とする。これによって、高い値となっているデジタル可変抵抗器54の出力電圧が、調整目標電圧V1に近付く。
続いて、ステップS6で、コンパレータ48の出力がHレベルからLレベルに反転したか否か判定しており、Lレベルに反転するまで、ステップS3,S4によるカウントダウンを繰り返す。デジタル可変抵抗器54の出力電圧が調整目標電圧Viを1ビット変化で通過すると、1ビット変化前のHレベル出力から1ビット変化後のLレベル出力に反転する。したがって、この時点で調整終了と判断し、ステップS7に進み、スイッチ52をオフにして調整処理を終了する。
一方、ステップS3で最初にコンパレータ48の出力をチェックした結果がLレベル出力であった場合には、調整目標電圧Vtよりもデジタル可変抵抗器54の出力電圧の方が小さいことになるので、この場合にはステップS5に進む。そして、制御値Cによってデジタル可変抵抗器54に設けているアップダウンカウンタのカウントアップを1ビット単位で行う。そして、ステップS6でカウントアップ中にコンパレータ48の出力がLレベルからHレベルに反転した時、デジタル可変抵抗器54の出力電圧が調整目標電圧Vtに一致したものと判定して、ステップS7でスイッチ52をオフにして調整処理を終了する。
なお、図5に示す調整処理では、デジタル可変抵抗器54に対するカウントダウンまたはカウントアップによる1ビット単位の調整中に、コンパレータ48の出力が反転した場合に、反転後の制御値によるデジタル可変抵抗器54の出力電圧を基準電圧Vrとしている。しかしながら、反転後に、反転より1ビット前の制御値によるデジタル可変抵抗器54の出力電圧を、基準電圧Vrとしてもよい。
図6は、負荷電流が安定している場合における、線路電流検出電圧と基準電圧調整タイミングとの関係を示したタイムチャートである。図6の(A)は、コンパレータ48に入力する線路電流検出電圧であり、負荷電流Izが一定であることから、これに対応して一定の負荷電流検出電圧Vzが発生している。そして、この一定の負荷電流検出電圧Vzに上乗せする形で、子機からの伝送電流Iaによるパルス状の伝送電流検出電圧Vaが発生している。
また、基準電圧Vrは、デジタル可変抵抗器54の調整処理により、基底的な負荷電流検出電圧Vzに伝送電流検出電圧Vaの2分の1となる閾値電圧Veを加算した電圧に設定されている。そして、伝送電流検出電圧Vaのうち、基準電圧Vrを上回る部分につき、コンパレータ48が伝送電流検出信号として検出及び出力している。
子機から送出された伝送電流は、例えば図1に示した受信機10からの子機アドレスを順次指定したポーリングに対する正常応答として、一定周期で出力されている。このため、図6の(B)に示す基準電圧調整タイミングとしては、デジタル可変抵抗器54を用いたことで、従来のコンデンサによりサンプルホールドする場合のような、時間の経過に伴う基準電圧Vrの低下がない。そのため、例えば周期的に出力される伝送電流のすべての空きタイミングではなく、例えば図6の(B)に示すように1つおきの空きタイミングにつき、基準電圧調整タイミングを設定することができる。
図7は、負荷電流が変動している場合における、線路電流検出電圧と基準電圧調整タイミングとの関係を示したタイムチャートである。本実施形態の伝送線12a,12bに接続されているアナログ型感知器14や中継器16が動作していない状態にあっては、一定の消費電流を流し、その合計が負荷電流として流れている。しなしながら、この負荷電流は必ずしも一定ではなく、温度や経年変化などにより緩やかに変化する。
図7の(A)はこのような緩やかな負荷電流Izの変動に応じた負荷電流検出電圧Vzの変動を示しており、この場合には、図7の(B)に示すように、伝送電流の空きタイミングの全てにおいて基準電圧調整タイミングを設定することで、負荷電流Izの変動に追従しながら基準電圧Vrを設定することができる。
この場合にも、デジタル可変抵抗器54を用いたことにより、基準電圧を調整してから次の基準電圧を調整するまでの間に、従来のコンデンサでサンプルホールドする構成のような時間的な基準電圧の変化が生じない。よって、より正確に伝送電流を検出することができる。
[第2実施形態]
図8は、本発明の伝送入力回路の第2実施形態を示す回路図である。本実施形態では、基準電圧の調整時間を短縮するために、粗調整用のデジタル可変抵抗器と微調整用のデジタル可変抵抗器とを設けている。
図8に示すように、受信機10に設けられた伝送入力回路28には、上記第1実施形態の場合と同様に、電流検出抵抗R0と、コンパレータ48と、定電流回路50と、スイッチ52と、プルアップ抵抗R5とが設けられている。これらに加えて、本実施形態の伝送入力回路28には、粗調整用の第1デジタル可変抵抗器54−1と、微調整用の第2デジタル可変抵抗器54−2とが設けられている。
第1デジタル可変抵抗器54−1は、十分大きな抵抗値を持つ第1抵抗R1を介してコンパレータ48のプラス入力端子に接続されている。また、第2デジタル可変抵抗器54−2も、十分大きな抵抗値を持つ第2抵抗R2を介して、同じくコンパレータ48のプラス入力端子に接続されている。
ここで、第1抵抗R1及び第2抵抗R2は、2つのデジタル可変抵抗器54−1,54−2による基準電圧Vrの調整割合を決めるものであり、粗調整側の第1抵抗R1の抵抗値を、微調整側の第2抵抗R2の抵抗値よりも小さくしている。例えば、粗調整側の第1抵抗R1を10kΩとすると、微調整側の第2抵抗R2は100kΩであり、これによって、第1デジタル可変抵抗器54−1による粗調整側の調整割合を1とした場合、同じ操作量で、第2デジタル可変抵抗器54−2による調整電圧を10分の1に設定することができる。
図9は、本実施形態における2台のデジタル可変抵抗器54−1,54−2による粗調整及び微調整により、コンパレータ48に対する基準電圧を変化させる等価回路図を示している。図9において、第1及び第2デジタル可変抵抗器54−1,54−2は、同じ内部電源電圧Vdとグランド側との間に接続されており、それぞれのワイパー端子を第1抵抗R1及び第2抵抗R2を介して、コンパレータ48のプラス入力端子に至る接続点Pに接続している。
ここで、第1デジタル可変抵抗器54−1のワイパー端子電圧をV1、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子電圧をV2とした場合、コンパレータ48に対する基準電圧Vrは次式(1)で表される。
Vr=V1−(V1−V2)R1/(R1+R2) (1)
即ち、基準電圧Vrは、第1及び第2のデジタル可変抵抗器54−1,54−2におけるワイパー端子電圧V1,V2の差電圧(V1−V2)を第1抵抗R1と第2抵抗R2で分圧して、例えばワイパー端子電圧V1から減算した値となる。
再び図8を参照すると、本実施形態にあっては、粗調整用の第1デジタル可変抵抗器54−1と微調整用の第2デジタル可変抵抗器54−2とを設けたことで、基準電圧調整の分解能をより細かくできると同時に、調整時間を短くすることができる。
例えば、第1及び第2デジタル可変抵抗器54−1,54−2が次の性能を持っていたとする。
・最大調整電圧:10ボルト
・最小分解能 :1ミリボルトを10マイクロ秒/回
このような調整性能を持っていた場合、例えば第1デジタル可変抵抗器54−1の1台のみで調整する場合には、10000段の調整ステップを持つデジタル可変抵抗器が必要となり、最大調整時間は100ミリ秒かかることになる。
これに対し、本実施形態のように、第1及び第2デジタル可変抵抗器54−1,54−2を使用した場合には、それぞれ100段のデジタル可変抵抗器として2回に分けて調整することで、10000段の調整が可能となる。この場合、それぞれ100段の調整が可能であることから、調整時間は、1ミリ秒が2回で2ミリ秒と短時間で済むことになる。
図10は、本実施形態における基準電圧の調整処理を示すフローチャートである。図10に示すように、まずステップS11で、子機からの伝送電流がない調整タイミングか否か判別しており、調整タイミングであると判別するとステップS12に進む。ステップS12では、スイッチ52をオンにし、定電流回路50から電流検出抵抗R0に基準電流Ieを流す。この時、伝送線12bから入力している負荷電流Izによる負荷電流検出電圧Vzに対して、基準電流Ieによる閾値電圧Veを加えた目標調整電圧Vt(即ちVt=Vz+Ve)を生成して、コンパレータ48のマイナス入力端子に加える。
続いて、ステップS13では、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子を中点位置に設定する。これは、万一、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー位置が最小電圧0ボルトの位置にあったり、または最大電圧Vdの電圧位置にあったりした場合に、第1デジタル可変抵抗器54−1による調整ができなくなることを回避するためである。
続いて、ステップS14〜S17において、第1デジタル可変抵抗器54−1による基準電圧Vrの粗調整を行う。即ち、ステップS14で、コンパレータ48の出力がHレベルか否かを判別する。判別の結果、Hレベルにあった場合には、調整目標電圧Vtよりも基準電圧Vrの方が大きいことから、ステップS15で第1制御値C1のカウントダウンを−1として行い、ステップS17でコンパレータ48の出力がLレベルに反転するまで、ステップS14,S15の処理を繰り返す。
一方、ステップS14での判別の結果、コンパレータ48の出力がLレベルであった場合には、調整目標電圧Vtよりも基準電圧Vrの方が小さいことから、ステップS16に進み、第1デジタル可変抵抗器54−1に対する第1制御値C1のカウントアップとして+1を行う。続いて、ステップS17でコンパレータ48の出力がHレベルに反転するまで、ステップS14,S16の処理を繰り返す。
ステップS17において、コンパレータ48の出力の反転が判別されると、これによって第1デジタル可変抵抗器54−1の粗調整完了と判断し、次のステップS18〜S21による第2デジタル可変抵抗器54−2の微調整を行う。
この微調整においても、ステップS18でコンパレータ48の出力がHレベルであった場合には、ステップS19で第2制御値C2をカウントダウンする−1を行う。また、コンパレータ48の出力がLレベルであった場合には、ステップS20で第2制御値C2をカウントアップする+1の処理を行う。この、第2制御値C2のカウントアップまたはカウントダウンの繰り返しにより、ステップS21でコンパレータ48の出力の反転が判別された時に、基準電圧Vrが目標調整電圧Vtに一致したと判断し、ステップS22でスイッチをオフにして微調整を終了する。
[第3実施形態]
図11は、本発明の伝送入力回路の第3実施形態を示す回路図である。本実施形態では、上記第2実施形態における第1デジタル可変抵抗器54−1の粗調整の際に微調整用の第2デジタル可変抵抗器54−2を中点位置に固定するCPU22の調整処理部55によるソフトウェア処理が煩雑であることから、第2デジタル可変抵抗器54−2を中点位置に保持する処理を論理回路及び抵抗回路によりハードウェア的に行うようにしている。
図11に示すように、受信機10に設けられた伝送入力回路28は、上記第2実施形態と同様に、電流検出抵抗R0と、コンパレータ48と、定電流回路50と、スイッチ52と、プルアップ抵抗R5と、粗調整用の第1デジタル可変抵抗器54−1と、微調整用の第2デジタル可変抵抗器54−2とを備えている。
これらに加えて、第2デジタル可変抵抗器54−2側には、インバータ74,76による論理回路と、第3抵抗R3及び第4抵抗R4からなる抵抗回路とが付加されている。そして、CPU22に設けた調整処理部55からインバータ74に対して制御信号を出力することで、ハードウェア的に第2デジタル可変抵抗器54−2側の出力を、ワイパー端子の位置を中点位置とした出力電圧に固定できるようにしている。
即ち、第1インバータ74は、CPU22の調整処理部55から発せられた制御信号を入力すると共に、その出力を第2デジタル可変抵抗器54−2のグランド端子に接続している。また、第2インバータ76は、インバータ74の出力を入力するとともに、その出力を、第3抵抗R3を介してコンパレータ48のプラス入力端子に接続している。更に、第3抵抗R3と並列に第4抵抗R4が接続されている。
ここで、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子の出力ラインに設けた第2抵抗R2と、新たに設けた第3抵抗R3,R4との間には、下式(2)の関係がある。
R3=2×R2R4=2×R2 (2)
コンパレータ48に対する基準電圧Vrの調整時には、まず第1デジタル可変抵抗器54−1による粗調整を行うが、この時の調整処理部55は、第1インバータ74にLレベル信号を出力する。第1インバータ74は、Lレベル信号の入力を受けてHレベル信号を反転出力する。これを受けて、第2インバータ76は、Hレベル入力を反転させてLレベル出力を生ずる。
ここで、第1インバータ74及び第2インバータ76のHレベル出力の電圧として、内部電源電圧Vdを出力するようにしている。したがって、この時のコンパレータ48のプラス入力端子に対する抵抗回路網は図12Aに示すようになる。
図12Aにおいて、調整対象となる第1デジタル可変抵抗器54−1側は、ワイパー端子を、第1抵抗R1を介してコンパレータ48と接続する点となるP点に接続している。これに対し、第2デジタル可変抵抗器54−2側については、第1インバータ74のHレベル出力でグランド端子側に内部電源電圧Vdが印加される。したがって、ワイパー端子にも同じ内部電源電圧Vdが加えられる。更に、第3抵抗R3の他端は第2インバータ76のローレベル出力でグランド側に接続されたことに相当することから、図12Aに示すように、内部電源電圧Vdに対して、第2抵抗R2に第3抵抗R3及び第4抵抗R4からなる並列回路を直列接続した等価回路が実現される。
ここで、R3=R4=2×R2であることから、抵抗R3及び抵抗R4からなる並列回路の抵抗値はR2と同じになり、したがって直列接続点Qの電圧は、内部電源電圧Vdの半分であるVd/2となる。
即ち、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子の位置を中点位置にして、Vd/2を出力した状態に調整したと同じ状態を作り出すことができる。これによって、第1デジタル可変抵抗器54−1は、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子の位置に依存することなく、基準電圧Vrを目標調整電圧Vtにほぼ一致させるための粗調整を行うことができる。
図11に示す調整処理部55は、第1デジタル可変抵抗器54−1による粗調整が終了すると、第1インバータ74に対する出力を、それまでのLレベル出力からHイレベル出力に反転させる。このため、第1インバータ74の出力はHレベルからLレベルに反転し、第2デジタル可変抵抗器54−2のグランド端子がLレベルとなってグランド側に接続され、正常な内部電源電圧の印加状態に戻る。
また、第1インバータ74のLレベル出力は、第2インバータ76で反転されてHレベル出力となり、第3抵抗R3の他端側に内部電源電圧Vdが印加されたことになる。
この状態は、図12Bに示す等価回路で示される。即ち、第1デジタル可変抵抗器54−1は、そのワイパー端子の位置が粗調整済みの位置にある。この状態で、第2デジタル可変抵抗器54−2が、第2抵抗R2を介してコンパレータ48に対する接続点Pにワイパー端子を接続し、更にコンパレータ48に対する接続点であるP点に対しては第3抵抗R3及び第4抵抗R4からなる直列回路の直列接続点Rが接続される。
この直列接続点Rの電圧は、R3=R4であることからVd/2となり、第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー端子の位置を中点位置とした場合と同じ電圧となる。したがって、第3抵抗R3及び第4抵抗R4の接続による影響を受けることなく、第2デジタル可変抵抗器54−2による微調整が可能となる。
図13は、本実施形態における基準電圧の調整処理を示すフローチャートである。図13に示す調整処理は、基本的には上記第2実施形態のフローチャートに示したものと同じであるが、(a)ステップS31で第1デジタル可変抵抗器54−1による粗調整に先立って、第1インバータ74に対してローレベル出力を行って、図12Aに示す第2デジタル可変抵抗器54−2のワイパー位置を中点位置とした場合と同等の回路状態を作り出す点と、(b)ステップS38で粗調整が進んで第2デジタル可変抵抗器54−2による微調整に先立ち、第1インバータ74に対してハイレベル出力を行って、図12Bに示す第2デジタル可変抵抗器54−2による粗調整が可能な等価回路状態を作り出す処理を行う点と、が新たに設けられている。
即ち、図13のステップS31,S32は、図10のステップS11,S12に相当し、ステップS34〜S37は、図10のステップS14〜S17に相当し、更にステップS40〜S44は、図10のステップS18〜S22に相当する。
[第4実施形態]
図14は、本発明の伝送入力回路の第4実施形態を示す回路図であり、本実施形態では、コンパレータ48に対して基準電圧を設定する手段として、DAコンバータを用いている。
図14において、受信機10に設けられた伝送入力回路28は、基本的に上記第1実施形態のものと同じであり、電流検出抵抗R0と、コンパレータ48と、定電流回路50と、スイッチ52と、プルアップ抵抗R5とを備えている。相違点は、図2に示したデジタル可変抵抗器54の代わりに、DAコンバータ78を設けたことにある。
DAコンバータ78に対しては、CPU22に設けられた調整処理部55により、調整タイミングにおいてスイッチ52をオンにすることによって定電流回路50から基準電流Ieを流すことで、電流検出抵抗R0に発生する目標調整電圧Vt(即ちVt=Vz+Ve)に一致する基準電圧Vrが得られるように、DAコンバータ78に対するデジタル値を直接設定している。
本実施形態における基準電圧調整処理も、基本的に上記第1実施形態における図5のフローチャートで説明したものと同じであり、図5におけるステップS4,S5における制御値としてDAコンバータ78に対するデジタル値を1ビット単位で+1または−1としている点が相違するだけである。
また、上記第1実施形態で使用しているデジタル可変抵抗器についても、デジタル値をアナログ電圧に変換して出力することから一種のDAコンバータと見なすことができる。しかしながら、図3に示したように、直列抵抗アレイ56の切替えにより出力電圧を調整する点が固有の構成であり、これ以外の構成をとる、デジタル信号をアナログ電圧に変換する回路を、図14に示すDAコンバータ78としている。
なお、上記の各実施形態は、受信機から引き出された伝送線に主に負荷電流を流す機器としてオンオフ型火災感知器を接続した中継器を例に取っているが、これのみに限らず、オンオフ型感知器以外の、例えばガス漏れ検出器や盗難警報機などを接続した場合も同様である。
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の各実施形態に示した数値のみによる限定は受けない。
本発明によれば、伝送電流を検出するための閾値電圧を任意に設定でき、温度や時間経過による変動もなく、子機からの伝送電流の有無を正確に検出可能とする伝送入力回路を提供することができる。
10 受信機
12a,12b 伝送線
14 アナログ型感知器
16 中継器
18a,18b 感知器回線
20 オンオフ型感知器
22,38,44 CPU
24 伝送回路部
26 伝送出力回路
28 伝送入力回路
30 表示部
32 操作部
34 記憶部
36 移報部
40 センサ部
42,48 伝送回路部
46 発報受信部
48 コンパレータ
50 定電流回路
52,58 スイッチ素子
54 デジタル可変抵抗器
54−1 第1デジタル可変抵抗器
54−2 第2デジタル可変抵抗器
55 調整処理部
56 直列抵抗アレイ
60 アップダウンカウンタ
62 不揮発メモリ
64 制御回路
68 電源端子
70 グランド端子
72 ワイパー端子
74 第1インバータ
76 第2インバータ
78 ADコンバータ

Claims (8)

  1. 電源供給線を兼ねた伝送線に負荷からの負荷電流が流れている状態で、子機からの伝送電流の有無を検出する親機の伝送入力回路であって、
    前記伝送線を流れる線路電流を自らに入力して線路電流検出電圧を生成する電流検出抵抗と;
    スイッチングにより、定電流回路からの所定の基準電流を前記電流検出抵抗に流して閾値電圧を生成させるスイッチと;
    デジタル値に応じて抵抗値を設定することにより任意の基準電圧を生成するデジタル可変抵抗回路と;
    入力端子の一方に前記電流検出抵抗で生成した前記線路電流検出電圧が入力されると共に、入力端子の他方に前記デジタル可変抵抗回路で生成した前記基準電圧が入力され、さらに、前記線路電流検出電圧のうちの、前記基準電圧を越える成分を伝送電流検出信号として出力するコンパレータと;
    前記子機からの前記伝送電流が流れていない空きタイミングで前記スイッチをオンにして前記定電流回路から前記電流検出抵抗に前記基準電流を流し、前記負荷電流に対応した負荷電流検出電圧に対して前記基準電流に対応した閾値電圧を加算した目標調整電圧を前記電流検出抵抗に生成させ、さらには、前記デジタル可変抵抗器から出力される前記基準電圧が前記目標調整電圧と一致するように前記デジタル値を調整する調整処理部と;
    を備えたことを特徴とする伝送入力回路。
  2. 前記デジタル可変抵抗回路が、両端に所定の内部電源電圧が印加される直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力するワイパー端子とを有する単一のデジタル可変抵抗器を備え;
    前記調整処理部が、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、1ビット変化で前記コンパレータの出力が反転するデジタル値又は反転直前のデジタル値に調整する;
    ことを特徴とする請求項1に記載の伝送入力回路。
  3. 前記調整処理部が、
    調整開始時の前記コンパレータの出力がハイレベルの場合は、このハイレベルをローレベルに反転させる方向に前記デジタル値を1ビット単位で変化させてかつ、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、前記ハイレベルから前記ローレベルに反転した時のデジタル値または反転直前のデジタル値に調整する一方、
    調整開始時の前記コンパレータの出力がローレベルの場合は、このローレベルをハイレベルに反転させる方向に前記デジタル値を1ビット単位で変化させてかつ、前記デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を、前記ローレベルから前記ハイレベルに反転した時のデジタル値または反転直前のデジタル値に調整する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の伝送入力回路。
  4. 前記デジタル可変抵抗回路が、
    両端に所定の内部電源電圧が印加される第1直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第1ワイパー端子とを有する粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と;
    両端に前記所定の内部電源電圧が印加される第2直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第2ワイパー端子とを有する微調整用の第2デジタル可変抵抗器と;
    前記第1ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続するラインに設けられた第1抵抗と;
    前記第2ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続する前記ラインに設けられてかつ、前記第1抵抗よりも大きい抵抗値を有する第2抵抗と;
    を備え、
    前記調整処理部が、
    前記基準電圧と前記目標調整電圧とが略一致するように、前記第1デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整した後に、
    前記基準電圧と前記目標調整電圧とが一致するように、前記第2デジタル可変抵抗器に対する前記デジタル値を調整する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の伝送入力回路。
  5. 前記調整処理部が、前記第1デジタル可変抵抗器を調整する際に、前記第2デジタル可変抵抗器の前記第2ワイパー端子の位置を中点位置に固定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の伝送入力回路。
  6. 前記デジタル可変抵抗回路が、
    両端に所定の内部電源電圧が印加される第1直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第1ワイパー端子とを有する粗調整用の第1デジタル可変抵抗器と;
    両端に前記所定の内部電源電圧が印加される第2直列抵抗アレイと、前記調整処理部から入力されてかつ前記デジタル値に応じて可変された電圧を出力する第2ワイパー端子とを有する微調整用の第2デジタル可変抵抗器と;
    前記第1ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続するラインに設けられた第1抵抗と;
    前記第2ワイパー端子を前記コンパレータの前記他方の入力端子に接続する前記ラインに設けられてかつ、前記第1抵抗よりも大きい抵抗値を有する第2抵抗と;
    前記調整処理部に入力が接続される一方、前記第2直列抵抗アレイのグランド側端子に出力が接続された第1インバータと;
    この第1インバータからの前記出力が入力接続されてかつ、前記第2抵抗の2倍の抵抗値を有する第3抵抗を介して前記コンパレータの前記他方の入力端子に出力接続された第2インバータと;
    前記コンパレータの前記他方の入力端子とグランドとの間に接続された前記第2抵抗の2倍の抵抗値を有する第4抵抗と;
    を備え、
    前記調整処理部が、
    前記基準電圧と前記目標調整電圧とが略一致するように、前記第1デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整した後に、前記基準電圧と前記目標調整電圧とが一致するように、前記第2デジタル可変抵抗器に対して付与する前記デジタル値を調整し、
    また、前記第1デジタル可変抵抗器の抵抗値を調整する際に、ローレベル信号を前記第1インバータに入力して前記内部電源電圧となるハイレベル信号の出力を得ることにより前記第1デジタル可変抵抗器を介して前記第2抵抗に前記内部電源電圧を印加すると共に、前記第2インバータからのローレベル信号の出力により、前記第3抵抗をグランド側に接続して前記第2抵抗に前記第3抵抗及び第4抵抗からなる並列回路を直列接続する回路を形成し、これにより、直列接続点の電圧を、前記第2ワイパー端子の位置が中点位置にあるときの出力電圧と同じ値に設定し、
    さらには、前記第2デジタル可変抵抗器の抵抗値を調整する際に、ハイレベル信号を前記第1インバータに入力してローレベル信号の出力を得ることにより前記第2デジタル可変抵抗器の一端をグランド側に接続して調整可能にすると共に、前記第2インバータからのハイレベル信号の出力を得ることにより前記内部電源電圧及び前記グランド間に前記第3抵抗及び前記第4抵抗を直列接続する回路を形成し、これにより、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の直列接続点の電圧を前記内部電源電圧の1/2に設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の伝送入力回路。
  7. 電源供給線を兼ねた伝送線に負荷からの負荷電流が流れている状態で、子機からの伝送電流の有無を検出する親機の伝送入力回路であって、
    前記伝送線を流れる線路電流を自らに入力して線路電流検出電圧を生成する電流検出抵抗と;
    スイッチングにより、定電流回路から所定の基準電流を前記電流検出抵抗に流して閾値電圧を生成させるスイッチと;
    デジタル値に応じた任意の基準電圧を発生するDAコンバータと;
    入力端子の一方に前記電流検出抵抗で生成した前記線路電流検出電圧が入力されると共に、入力端子の他方に前記DAコンバータが生成した前記基準電圧が入力され、前記線路電流検出電圧のうちの、前記基準電圧を越える成分を伝送電流検出信号として出力するコンパレータと;
    前記子機からの前記伝送電流が流れていない空きタイミングで前記スイッチをオンにして前記定電流回路から前記電流検出抵抗に前記基準電流を流し、前記負荷電流に対応した負荷電流検出電圧に対して前記基準電流に対応した閾値電圧を加算した目標調整電圧を前記電流検出抵抗に生成させ、さらには、前記DAコンバータから出力される前記基準電圧が前記目標調整電圧と一致するように前記デジタル値を調整する調整処理部と;
    を備えたことを特徴とする伝送入力回路。
  8. 前記定電流回路が、前記伝送電流に対応した伝送電流検出電圧の1/2となる閾値電圧を生成する前記基準電流を供給する
    ことを特徴とする請求項1又は7に記載の伝送入力回路。
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