JP5240545B2 - 電磁波遮蔽シートおよび複合シート材 - Google Patents

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本発明は、電磁波遮蔽用の導電性パターンを有し、粘着層を積層されるようになる電磁波遮蔽シートに係り、とりわけ、粘着層と導電性パターンとの間に気泡が入り込むことを効果的に防止することができる電磁波遮蔽シートに関する。
また、本発明は、電磁波遮蔽用の導電性パターンを有する電磁波遮蔽シートと、シート材と、電磁波遮蔽シートおよびシート材の間に配置された粘着層と、を有する複合シート材に係り、とりわけ、導電性パターンの側における電磁波遮蔽シートと粘着層との間への気泡の入り込みが効果的に防止された複合シート材に関する。
近年、大型フラットパネルディスプレイの一つとして、プラズマディスプレイパネル(以下において、単に「PDP」とも呼ぶ)を有するプラズマディスプレイが広く普及しつつある。このプラズマディスプレイにおいて、PDPは二枚のガラス基板を有し、この二枚のガラス基板の間には希ガスが充填されている。そして、この希ガス雰囲気中にプラズマを生成し、このときに生じる紫外線を蛍光体に当てることによって、画素毎に可視光を発生させるようになっている。例えば特許文献1に開示されているように、このPDPの観察者側(前面側)には、種々の機能をそれぞれ付与された複数枚のシート状(フィルム状)のシート材(フィルム材)が積層されている。
PDPの観察者側に貼合されるシート材の一例として、電磁波遮蔽シートが挙げられる。PDPからは、紫外線の発生にともない、機器にとって都合の悪い電磁波も放射される。電磁波遮蔽シートは、この電磁波を遮蔽するためのシート材である。広く普及している形態において、電磁波遮蔽シートは、透明な基部と、基部の一方の面上に形成された導電性パターンと、を含んでいる。
電磁波遮蔽シートの導電性パターンは、通常、その抵抗値を低くするために非透明な金属等から形成される。そして、電磁波遮蔽シートが高い透光性と優れた電磁波遮蔽性とを有するようにすることを目的として、導電性パターンを形成するライン部の幅を狭くし、かつ、ライン部の高さ(透明基部からの突出量)を高くするとともに、導電性パターンを微細化することが好ましいとされている。
特開2005−22365
上述したように、PDPの前面側には複数のシート材が貼合される。通常、電磁波遮蔽シートの両側にも、粘着層を介して他のシート材がそれぞれ貼合される。ところが、電磁波遮蔽シートは導電性パターンを含み、この導電性パターンは微細であるとともに、導電性パターンをなすライン部の高さが高いことが好ましいとされている。このため、導電性パターン側における電磁波遮蔽シートと、粘着層と、の間に気泡が入り込みやすくなる。このような気泡は、周囲との屈折率の相違に基づき、光を拡散反射させ、白く濁った点として(白濁点)として観察されるようになる。このような白濁点の存在はディスプレイとして重大な欠陥となる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、電磁波遮蔽用の導電性パターンを有し、粘着層を積層されるようになる電磁波遮蔽シートであって、粘着層との間、中でも特に、該導電性パターン層とこれに対面する該粘着剤層との間に気泡が入り込むことを効果的に防止することができる電磁波遮蔽シートを提供することを目的とする。また、本発明は、電磁波遮蔽用の導電性パターンを有する電磁波遮蔽シートと、シート材と、これらの間に配置された粘着層と、を有する複合シート材であって、導電性パターンの側における電磁波遮蔽シートと粘着層との間への気泡の入り込みが効果的に防止された複合シート材を提供することを目的とする。
本発明による電磁波遮蔽シートは、電磁波遮蔽用の導電性パターンを有する電磁波遮蔽シートであって、シート状の基部と、前記基部の一方の面から突出し、前記導電性パターンを形成するライン部と、を備え、前記ライン部は、前記基部に隣接した基端部と、前記基部から最も離間した頂部を含む先端部と、を有し、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記基端部における外輪郭は、当該基端部における外輪郭の両端部を結ぶ直線よりも内側に位置していることを特徴とする。
本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記基端部における外輪郭に対する接線と、前記基部のシート面と、がなす角度は、当該接線の前記外輪郭に対する接点が前記基部の前記法線に沿った方向において前記基部に近付くにつれて、小さくなるようにしてもよい。
また、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記基部のシート面に沿った前記ライン部の幅は、前記基部から離間するにつれて、小さくなるようにしてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭は、当該先端部における外輪郭の基部側の端部と前記ライン部の前記頂部とを結ぶ直線よりも外側に位置しているようにしてもよい。このような本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭に対する接線と、前記基部のシート面と、がなす角度は、当該接線の前記外輪郭に対する接点が前記基部の前記法線に沿った方向において前記基部から離間するにつれて、小さくなるようにしてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記ライン部は、前記頂部を含む先端面と、前記先端面と前記基部の前記一方の面との間をそれぞれ延びる一対の側面と、を有し、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭は、前記先端面に対応する領域と、前記側面の一部分に対応する領域と、を含み、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記側面の一部分に対応する領域における前記先端部の外輪郭は、当該側面の一部分に対応する領域における外輪郭の両端部を結ぶ直線よりも外側に位置しているようにしてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記先端部と前記基端部とが隣接して配置され、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記先端部における前記ライン部の外輪郭に対する接線および前記基端部における前記ライン部の外輪郭に対する接線は、前記ライン部の前記先端部における外輪郭と前記ライン部の前記基端部における外輪郭とが接続する位置にて接するようになっていてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記ライン部は、前記頂部を含む先端面と、前記先端面と前記基部の前記一方の面との間をそれぞれ延びる一対の側面と、を有し、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記側面に対応する領域における前記ライン部の外輪郭は、当該側面に対応する領域における外輪郭の両端部を結ぶ直線よりも内側に位置しているようにしてもよい。このような本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記側面に対応する領域における外輪郭に対する接線と、前記基部のシート面と、がなす角度は、当該接線の前記外輪郭に対する接点が前記基部の前記法線に沿った方向において前記基部に近付くにつれて、小さくなるようにしてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記ライン部は、前記頂部を含む先端面と、前記先端面と前記基部の前記一方の面との間をそれぞれ延びる一対の側面と、を有し、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭は、前記先端面に対応する領域と、前記側面の一部分に対応する領域と、を含み、前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記側面の一部分に対応する領域における前記先端部の外輪郭の少なくとも一部分は、直線状になっているようにしてもよい。
さらに、本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、基材シートと、前記基材シートの一方の面を被覆し、前記基材シートとともに前記基部を形成する被覆層と、前記導電性パターンに対応したパターンで前記被覆層上に設けられた導電性の導電層と、を備え、前記被覆層は、前記導電層が設けられている領域において前記導電層内に突出した突出部を含み、
前記被覆層の前記導電層内への突出部と、前記導電層と、によって前記ライン部が形成されているようにしてもよい。このような本発明による電磁波遮蔽シートにおいて、前記突出部が形成された領域における前記被覆層の厚さは、それ以外の領域における前記被覆層の厚さよりも厚くなっていてもよい。また、このような本発明による電磁波遮蔽シートが前記前記導電層を被覆する金属層をさらに備え、前記被覆層の前記導電層内への突出部と、前記導電層と、前記金属層と、によって前記ライン部が形成されていてもよい。
本発明による複合シート材は、粘着層と、前記粘着層の一方の側に積層されたシート材と、前記粘着層の他方の側に積層された上述したいずれかの電磁波遮蔽シートと、を備えることを特徴とする。
本発明による複合シート材において、前記シート材は、前記粘着層に対する剥離性を有した剥離シートであるようにしてもよい。
本発明によれば、基部のシート面の法線に沿った断面において、ライン部の基端部における外輪郭は、当該基端部における外輪郭の両端部を結ぶ直線よりも内側に位置している。したがって、導電性パターンの側から電磁波遮蔽シートに粘着層を積層する場合に、積層時の加圧により、気泡が滞留しやすくなるライン部の基端部の周囲において、ライン部の外輪郭に沿って先端部の側へ向けて気泡を誘導することが可能になる。これにより、導電性パターンの側における電磁波遮蔽シートと粘着層との間への気泡の混入を効果的に抑制することができる。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさ便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比を、実物のそれと変更し誇張してある。
図1乃至図9は本発明による電磁波遮蔽シートおよび複合シート材の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は電磁波遮蔽シートを示す部分斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は複合シート材を説明するための図であり、図4は複合シート材の製造時における電磁波遮蔽シートの作用を説明するための図である。また、図5乃至図9は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図である。
図1乃至図4に示すように、本実施の形態における電磁波遮蔽シート10は、シート状の基部12と、基部12の一方の面12aから突出したライン部15とを、備えている。このような電磁波遮蔽シート10は、図3に示すように、プラズマディスプレイ装置に組み込まれ、プラズマディスプレイパネル58の観察者側(前面側)に配置されて用いられ得る。上述したように、PDP56からは電磁波が放射される。そして、電磁波遮蔽シート10は、PDP56から放射されるMHzからGHz帯域の電磁波(すなわち、ここで言う「電磁波」とは、可視光線、近赤外線、及び紫外線を含まない概念である)を遮蔽するためのフィルタとして機能する。また、図3に示すように、この電磁波遮蔽シート10は、粘着層54を介して他のシート材52と接着され、プラズマディスプレイ用の複合シート材50を形成するようになる。
図1に示す例において、直線状に形成されたライン部15が、一方向に沿って一定間隔を空けて複数配置されるとともに、前記一方向とは異なる他方向に沿っても一定間隔を空けて複数配置されている。すなわち、ライン部15はメッシュ状(網状乃至格子状)のパターンに沿って配列されている。また、基部12から突出するライン部15の少なくともその一部分は、導電性となっている。そして、このライン部15は、電磁波遮蔽用の導電性パターン14を形成している。電磁波遮蔽シート10へ優れた電磁波遮蔽性および高い透明性を付与する観点から、例えば、基部12のシート面の法線NLに沿った方向から見た場合におけるライン部15の幅を5〜30μmとするとともに、ライン部の配列ピッチを100〜500μmとすることができる。
なお、ここで、本件で言う「シート面」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合におけるその平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態において、電磁波遮蔽シート10のシート面、基部12のシート面、基部12の一方の面12a、後述する基材シート32のシート面、および、後述する基材シート32の一方の面32aは、互いに平行となっている。
また、導電性パターン14は、図1に示された態様に限られず、例えばストライプ状等のその他の既知の態様とすることができる。
ライン部15は、基部12に隣接した基端部20と、基部12から最も離間した頂部26を含む先端部25と、を有している。図2および図4に示されている断面であって、ライン部15の延出する方向(長手方向)に直交する方向であって、基部12のシート面の法線NLに沿った方向における断面(以下において、単に「主切断面」とも呼ぶ)において、基部12のシート面に沿ったライン部15の幅は、基部12から離間するにつれて小さくなる。また、図2および図4に示されているように、本実施の形態において、ライン部15は、頂部26を通過する基部12のシート面の法線NLaにそった面を中心として、対称となっている。なお、ここで言う「基部12から離間するにつれて小さくなる」とは、基部12から離間する距離に対して、少なくとも平均的な傾向としては、広義の減少函数になる事を意味する。即ち、基部12からの距離の定常函数や増加函数にはなら無いことを意味するものであり、基部12から離間するにつれて幅が小さくなるように変化し続けることだけでなく、幅が一定で変化しない領域も含んで良い。
また、特に図4に示されているように、主切断面から見た場合、ライン部15の基端部20における外輪郭16は、当該基端部20における外輪郭16の両端部以外において、当該基端部20における外輪郭16の両端部を結ぶ直線La1よりも内側(言い換えると、当該ライン部15の中心の側)に位置しており、当該基端部20における外輪郭16の両端部を結ぶ直線La1の外側に延びていない。さらには、ライン部15の基端部20における外輪郭16は、当該基端部20における外輪郭16の両端部を結ぶ直線La1と、当該基端部20における外輪郭16の基部12側の端部を通過し基部12のシート面に平行な直線La2と、当該基端部20における外輪郭16の基端部20の上端部を通過し基部12の法線NLに平行な直線La3と、によって囲まれる三角形の領域内に位置している。この結果、ライン部15の外輪郭16は、主切断面において、基部12の一方の面12aに滑らかに接続している。
さらに詳細には、主切断面から見た場合、ライン部15の基端部20における外輪郭16(外輪郭線)に対する接線Laと、基部12のシート面と、がなす角度はθa、当該接線Laの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12に近付くにつれて、小さくなる。なお、ここで言う「角度θaが基部12に近付くにつれて小さくなる」とは、基部12に近付くにつれて角度θaが、少なくとも平均的には、広義の減少函数になることを意味するものであり、基部12に近付くにつれて角度θaが小さくなるように変化し続けることだけでなく、角度θaが一定で変化しない領域を含んでも良い。言い換えると、ライン部15の基端部20における外輪郭16に対する接線Laの傾きが、当該接線Laの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12に近付くにつれて、基部12の一方の面12aに沿うようになる。つまり、接線Laの傾きが、接点が基部12に近付くにつれて小さくなる。すなわち、基部12の一方の面12aをx軸として主切断面におけるライン部15の外輪郭16を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数はライン部15の基端部20に対応する領域において下に凸となる。この結果、ライン部15の外輪郭16は、主切断面において、気泡が入り込み滞留し得るような凹凸を有さず、かつ、基部12の一方の面12aに極めて滑らかに接続している。
より好ましくは、基端部20における外輪郭16に対して当該外輪郭16の基部12側の端部において接する接線Laが、基部12の一方の面12aと略平行となる。このような場合、ライン部15の外輪郭16は、基部12の一方の面12aに対して極めて滑らかに接続するようになる。
次に、先端部25におけるライン部15の外輪郭について説明する。特に図4に示されているように、主切断面から見た場合、ライン部15の先端部25における外輪郭16は、ライン部15の頂部26を通過する基部12の法線NLaを中心として線対称となっている。ライン部15の先端部25における外輪郭16は、主切断面において、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部とライン部15の頂部26とを結ぶ直線Lb1よりも外側(言い換えると、当該ライン部15の中心とは反対の側)に位置しており、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部とライン部15の頂部26とを結ぶ直線Lb1の内側に延びていない。さらには、ライン部15の先端部25における外輪郭16は、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部とライン部15の頂部26とを結ぶ直線Lb1と、当該ライン部15の頂部26を通過し基部12のシート面に平行な直線Lb2と、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部を通過する基部12の法線Lb3(NL)と、によって囲まれる三角形の領域内を通過している。
さらに詳細には、主切断面から見た場合、ライン部15の先端部25における外輪郭16(外輪郭線)に対する接線Lbと、基部12のシート面と、がなす角度θbは、当該接線Lbの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12から離間するにつれて、小さくなる。なお、ここで言う「角度θbが基部12から離間するにつれて小さくなる」とは、基部12から離間するにつれて角度θbが、少なくとも平均的には、広義の減少函数になることを意味するものであり、基部12から離間するにつれて角度θbが小さくなるように変化し続けることだけでなく、角度θbが一定で変化しない領域を含んでも良い。言い換えると、ライン部15の先端部25における外輪郭16に対する接線Lbの傾きが、当該接線Lbの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12から離間するにつれて、基部12のシート面に沿うようになる。つまり、接線Lbの傾きが、接点が頂部26に近付くにつれて小さくなる。すなわち、基部12の一方の面12aをx軸として主切断面におけるライン部15の外輪郭16を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数はライン部15の先端部25に対応する領域において上に凸となる。この結果、ライン部15の外輪郭16は、主切断面において、気泡が入り込み滞留し得るような凹凸を有さず、先端部25における基部12側の端部からライン部15の頂部26まで滑らかに延びるようになる。
さらに、図4に示すように、本実施の形態において、ライン部15は、先端部25と基端部20とから構成され、先端部25と基端部20とが隣接して配置されている。つまり、先端部25におけるライン部15の外輪郭16と基端部20におけるライン部15の外輪郭16とは直接接続されている。したがって、先端部25におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Lbおよび基端部20におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Laが、当該接線La,Lb同士が近付くにつれて平行になっていく。この結果、先端部25におけるライン部15の外輪郭16と、基端部20におけるライン部15の外輪郭16と、が滑らかに接続されるようになる。
さらに詳細には、主切断面から見た場合に、先端部25におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Lbおよび基端部20におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Laは、ライン部15の先端部25における外輪郭16とライン部15の基端部20における外輪郭16とが接続する位置にて接するようになっている。すなわち、基部12の一方の面12aをx軸として主切断面におけるライン部15の外輪郭16を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数は、基端部20と先端部25との接続点において、変曲点を有するようになり、かつ、先端部25におけるライン部15の外輪郭16と、基端部20におけるライン部15の外輪郭16と、が極めて滑らかに接続されるようになる。
次に、以上のような外輪郭16のライン部15を含む電磁波遮蔽シート10の層構成の一例を、主に図2を参照して説明する。
図2に示された電磁波遮蔽シート10は、基材シート32と、基材シート32の一方の面32aを被覆する被覆層36と、導電性パターン14に対応したパターンで被覆層36上に設けられた導電性の導電層40と、導電層40上に設けられ導電層40を被覆する金属層46と、を備えている。図2に示すように、被覆層36は、導電層40が形成されている領域において、導電層40内に突出する突出部36aを有している。この突出部36aが存在することにより、被覆層36のうちの導電層40が形成されている領域における厚さ、すなわち、被覆層36のうちの導電層40直下の領域における厚さは、被覆層36のうちの導電層40が形成されていない領域における厚さよりも厚くなっている。
そして、図2に示す例において、電磁波遮蔽シート10の上述した基部12は、基材シート32と、突出部36aを除いた被覆層36と、から形成されている。また、図2に示す例において、電磁波遮蔽シート10の上述したライン部15は、被覆層36の突出部36aと、導電層40と、金属層46と、から形成されている。以下、各構成部分について説明していく。
まず、基材シート32について説明する。基材シート32は、電磁波遮蔽シート10の基材として機能する層である。したがって、基材シート32の材料や厚さ等は、基材シート32が適度な強度および適度な透明性を有するよう、適宜設定され得る。一般的に用いられている基材シート32の厚さは20μm〜150μmであり、また、光透過率は80%以上となっている。このような基材シート32として、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、適度な透明性と、紫外線照射処理や加熱処理等に対する耐久性と、を有している点で、基材シート32としての適用に好適である。
また、被覆層36との間で良好な接着性を有するようにするため、基材シート32の一方の面32aに接着性を向上させるための処理を施してもよい。例えば、基材シート32の一方の面32aに、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を行うようにしてもよい。あるいは、基材シート32の一方の面32a側に易接着層を形成するようにしてもよい。
次に、被覆層36について説明する。被覆層36は、導電層40の基材シート32に対する接着性(密着性)を向上させるための層として機能する。したがって、被覆層36をなす材料としては、基材シート32および導電層40の両方に対して高い密着性を有するようになる材料が選択される。また、被覆層36をなす材料としては、透明性を有する材料が選択される。該被覆層36は、特に、導電性パターンが、導電性インキの凹版印刷法で形成される場合は、凹版からのインキ転移率向上効果、及びインキ転移不良(インキ欠落)改善効果を奏する。
具体的な例として、被覆層36は、後述する製造方法を採用する上で、電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を塗工してなる層であることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いた場合、被覆層36をなす材料が、大きな流動性を有する流動状態と、流動性が低下して硬化状態と、をとることができるようになる。なお、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射されると硬化する性質を有する樹脂のことである。電離放射線としては、紫外線または電子線が代表的なものであるが、この他の既知な電離放射線、例えば、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることも可能である。また、「流動性」または「流動状態」とは、被覆層36をなす材料が、加圧されることにより流動(変形)する性質または状態のことを指し、常温の水のように極めて低粘度となっている必要はない。
また、密着性改善、耐久性改善、または各種物性付与等を目的として、被覆層36が添加剤や変性樹脂等を含むようにしてもよい。具体的な例としては、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸收剤、赤外線吸收剤、色素(着色染料、着色)顔料、体質顔料等を、添加剤として用いることができる。
次に、導電層40について説明する。導電層40は、導電性パターン14に対応したパターンで被覆層36上に設けられている。図2に示すように、導電層40は、突出部36aを略完全に覆うようにして、被覆層36上に設けられている。図2に示す例において、導電層40は、導電性粉末42と、バインダー樹脂44と、で主に構成された導電性材料組成物(導電性インキ)41からなっている。導電層40は、導電性パターン14の近傍に配置されたベタ塗りの接地パターン(図示せず)に電気的に接続されている。そして、導電層40は、接地パターンを介して接地され、電磁波遮蔽機能を発揮するようになっている。
導電性材料組成物41をなすバインダー樹脂44としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。一方、導電性材料組成物41を構成する導電性粉末42としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末、表面が金や銀等の低抵抗金属でめっきされた粉末(高抵抗金属、樹脂、非金属無機物から成る粉末)、グラファイト粉末、カーボンブラック粉末等を好ましく挙げることができる。また、導電性粉末42の形状は、球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状等の種々の形状から選択され得る。もちろん、導電性材料組成物41が、複数の材料からなる導電性粉末42や、複数の形状からなる導電性粉末42を含むようにしてもよい。
導電性材料組成物41中の導電性粉末42の含有量は、導電性粉末42の導電性や粉末の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性材料組成物41の固形分100重量部のうち、導電性粉末を40〜99重量部の範囲で含有させることができる。
次に、金属層46について説明する。金属層46は、導電性の高い金属からなり、導電層40上に薄膜として積層されている。上述したライン部15の外輪郭16は、この金属層46の外輪郭から構成されている。このような金属層46は、例えば、めっきによって導電層40上に成膜され得る。金属層46をなす材料としては、例えば、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケルを挙げることができる。
金属層46は、ライン部15に十分な導電率をもたらすこと、言い換えると、ライン部15によって形成される導電性パターン14が十分に低い抵抗値で接地されることを目的として、設けられた層である。すなわち、導電性パターン14の電磁波遮蔽機能を高めるために設けられた層である。金属層46の体積抵抗率は、導電層40の体積抵抗率と比較して、一桁以上小さくなり得る。したがって、薄膜状の金属層46を設けることによって、ライン部15の導電率を維持しながら、ライン部15全体としての断面積(とりわけ、基部からの突出高さ)を小さくすることができる。これにより、上述したように、電磁波遮蔽シート10の導電性パターン14の側に粘着層54を積層した場合における、電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡の混入を効果的に防止することができる。
なお、このような金属層46に対して黒化処理を施してもよいし、このような金属層46上に保護層を設けるようにしてもよい。また、導電層40自体が十分な導電率を有していれば、この金属層46を省略し、導電層40と被覆層36の突出部36aとのみによってライン部15を構成するようにしてもよい。
次に、主に図5乃至図9を参照して、以上のような構成からなる電磁波遮蔽シートを製造する方法の一例を説明する。以下に説明する電磁波遮蔽シートの製造方法は、基材シート32および基材シート32上に積層された未硬化で流動性のプライマー層37(該層が硬化して、最終的に図2の如き被覆層36と成る)を有する積層体31を準備する工程と、ライン部形成装置60を用いて積層体31のプライマー層37(被覆層36)上にライン部15を形成する工程と、を有している。
図5に示すように、ライン部形成装置60は、形成されるべきライン部15(導電性パターン14)に対応したパターンで凹部64が形成された版面62を有する版(所謂凹版)61と、版61の版面62に向けて積層体31を押圧するニップロール64と、版61の版面62に導電性材料組成物41を供給するピックアップロール66と、版面62上に付着した余分な導電性材料組成物41を掻き取るドクターブレード68と、を有している。図5に示す例において、版61は、その外周面に版面62が形成されたロール状の版として形成されている。また、ピックアップロール66の外周面の少なくとも一部分は、導電性材料組成物41を収容する容器(インキパン)67内に配置され、導電性材料組成物41に浸されている。
このようなライン部形成装置60を用いることにより、ライン部を形成する工程は、積層体31を、其のプライマー層37側が版面62側と対面する向きにして、版61の版面62に押圧して、流動性を有したプライマー層37を凹部64内の導電性材料組成物41に密着させる工程と、導電性材料組成物41に密着したプライマー層37を硬化させて被覆層36を形成する工程と、導電性材料組成物41を被覆層36及び基材シート32とともに離型する工程と、を含むようになる。
以下、各工程について、詳述していく。まず、基材シート32と、基材シート32の一方の面32a上に積層されたプライマー層37と、を有した積層体31を準備する。図5に示すように、準備された積層体31は、その後、ライン部形成装置60へと搬送される。其の際、該プライマー層37側が該版面62側と対向する向きとする。上述したように、基材シート32として、透明樹脂からなるフィルム、例えば、二軸延伸PETフィルムを用いることができる。一方、被覆層36を構成するようになるプライマー層37なす材料としては、ライン部形成装置60の版61に対面する位置において流動状態に保たれ得る樹脂が選択される。このような樹脂として、例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂が被覆層36に用いられる場合、電離放射線硬化性を持ったインキを基材シート32の一方の面32a上に塗布することによって、積層体31が得られる。このインキは希釈用の溶剤を含んでもよいが、インキが溶剤を含む場合、インキの塗布後に塗布膜を乾燥する工程を設けなければならなくなる。したがって、溶剤を含まないタイプ(いわゆる無溶剤タイプ)のインキを用いることが好ましい。基材シート32上に形成されたプライマー層37は、後述するようにライン部形成装置60の版61に対面する位置において、電離線を照射されて硬化するまで、流動性を有したままの状態となる。
一方、熱可塑性樹脂が被覆層36に用いられる場合には、例えば、熱可塑性樹脂組成物の溶液を基材シート32の一方の面32a上に塗布し、形成された塗布膜を乾燥することにより、あるいは、ホットメルト状態の樹脂を基材シート32の一方の面32a上に塗布することにより、積層体31が形成され得る。基材シート32上に形成されたプライマー層37は、加熱されることによって流動性を有するようになる。
なお、プライマー層37をなす材料を基材シート32上に塗布する方法としては、各種コーティング方式を採用することができる。具体的には、グラビアコート、コンマコート、ダイコート、ロールコート等を採用することができる。
以上のような積層体31の準備工程に並行して、ロール状版61の版面62に形成された凹部64内に、導電層40を形成するようになる導電性材料組成物41が充填される。図5に示された方法においては、ピックアップロール66が回転することにより、容器67に収容されていた導電性材料組成物41がピックアップロール66の外周面に付着する。ピックアップロール66の外周面に付着した導電性材料組成物41は、その後、ピックアップロール66の外周面に対面するロール状版61の版面62に転写される。版面62の移動経路に沿ったピックアップロール66の下流側には、ドクターブレード68が配置されている。図6に示すように、このドクターブレード68によって、版面62の凹部64以外に付着した導電性材料組成物41は掻き取られ、版面62上の凹部64内のみに導電性材料組成物41が存在するようになる。なお、上述したように、導電性材料組成物41のバインダー樹脂44としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が用いられ得り、硬化状態でなく流動性を有した状態で版61の版面62に供給される。
図5および図7に示すように、以上のようにして凹部64内のみに導電性材料組成物41が充填された版面62に対向するようにして、上述した積層体31がライン部形成装置60へ供給される。
以下、ライン部形成装置60を用いてライン部を形成するための各工程について説明する。
まず、プライマー層37が版面62に対面するようにして、積層体31を版61の版面62に押圧して、流動性を有したプライマー層37を凹部64内の導電性材料組成物41に密着させる工程について説明する。積層体31は、プライマー層37が版61の版面62に対面するようにして、版61と上流側のニップロール64との間に送り込まれる。積層体31は、上流側のニップロール64および下流側のニップロール64の間において、版61の版面62に向けて押圧される。この際、プライマー層37は、流動性を有した状態に保たれている。例えば、熱可塑性樹脂によってプライマー層37が形成されている場合、ロール状版61に組み込まれた加熱装置(図示せず)よって、あるいは、ロール状版61よりも上流側に配置された加熱装置(図示せず)によって、積層体31が加熱され、プライマー層37が流動状態に保たれる。
ところで、図6および図7に示すように、ドクターブレード68によって、版61の版面62上から粘着性を有する導電性材料組成物31を掻き取った場合、凹部64に残留する導電性材料組成物41の表面(図7から図9で言えば上方)は、凹部64の中央部分において凹んだ状態となる。そして、積層体31が版61の版面62に向けて押圧されることにより、図8に示すように、流動性を有するプライマー層37が、凹部64に充填された導電性材料組成物41上の凹みへこみ内に入り込み該凹みを充填すると共に、該プライマーの一部は該導電性材料組成物層内に浸透し、相溶する。このようにして積層体31が適度の押圧力によって押圧されることにより、版面62の凹部64内に充填された導電性材料組成物41が、プライマー層37に向かい合う全表面において、プライマー層37に接触し、さらには、プライマー層37によって略均一な圧力で押圧されるようになる。
次に、導電性材料組成物41に密着したプライマー層37を硬化させて被覆層36を形成する工程について説明する。図5に示すように、ライン部形成装置60は、一対のニップロール64の間に版面62の移動経路沿って設けられた硬化装置69を有している。硬化装置69は、プライマー層37を硬化させ、プライマー層37から被覆層36を形成する装置である。図7に示すように、この硬化装置69は、その一部分が導電性材料組成物41内に押し込まれたプライマー層37を、その状態のまま硬化させる。この結果、プライマー層37から上述した被覆層36が形成される。また、プライマー層37のうちの導電性材料組成物41内に入り込んでいた部分から、被覆層36の突出部36aが形成される。
図5に示すように、硬化装置69は、一対のニップロール64間に配置されている。したがって、硬化装置69によってプライマー層37が硬化されている間、積層体31は版61の版面62に向けて押圧され続けている。そして、プライマー層37が硬化されている間、版面62の凹部64内に充填された導電性材料組成物41は、プライマー層37に向かい合う全面において、プライマー層37に接触するとともに、プライマー層37によって略均一な圧力で押圧されている。この結果、得られた被覆層36は、凹部64内の導電性材料組成物41と隙間無く密着し、一部導電性材料組成物中に侵入し混合した状態となっている。
なお、硬化装置69は、プライマー層37をなす材料の硬化方法に応じた構成を有している。例えば、プライマー層37をなす材料が電離放射線硬化性樹脂である場合、硬化装置69は、プライマー層37をなす材料に対応した紫外線、電子線等の電離放射線を基材シート32越しにプライマー層37へ照射する電離放射線照射装置として構成され得る。また、プライマー層37をなす材料が熱可塑性樹脂である場合、硬化装置69は、加熱され流動状態にあるプライマー層37をなす材料を冷却する冷却装置として構成され得る。
次に、導電性材料組成物41を被覆層36とともに離型する工程について説明する。図5に示すように、版61の版面62の移動経路に沿って硬化装置69の下流側で、積層体31は、版61の版面62から引き剥がされる。このとき、図9に示すように、版61に形成された凹部64の壁面に付着していた部分が、極少量は、そのまま凹部64内に残留するものの、導電性材料組成物41の多くの部分は、被覆層36(積層体31)に付着したまま積層体31とともに版61から抜き出される。とりわけ、図9に示されているように、導電性材料組成物41のうち、凹部64内に充填されていた際に被覆層36に対面した部分は、被覆層36に接着されたまま、版61から引き剥がされる。このようにして離型された導電性材料組成物41は、被覆層36の突出部36aを略前面に渡って覆うとともに、上述したライン部15の少なくとも基端部20における外輪郭16に対応した輪郭を有するようになる。このような現象は、プライマー層37を硬化する際に加圧されて密着していた領域において、プライマー層37(被覆層36)と導電性材料組成物41との間の密着力が強められることに、起因しているものと推測される。なお、版61の凹部64の形状を適宜設計しておくことにより、離型された導電性材料組成物41の外輪郭を、基端部20だけでなく先端部25においても、上述したライン部15の外輪郭16と精度良く一致させることができる。
その後、図示しない硬化装置によって被覆層36上の導電性材料組成物41が硬化され、導電性材料組成物41から導電層40が形成される。
なお、上述したように、導電性材料組成物41のバインダー樹脂44として、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の種々の樹脂を用いることができる。したがって、プライマー層37と同一の方法で硬化させることが可能な材料が導電性材料組成物41のバインダー樹脂44に用いられていたとすると、硬化装置69によって、プライマー層37の硬化が進んでいる間、このような硬化に並行して、導電性材料組成物41も硬化して導電層40を形成するようになる。この場合においても、積層体31を版61から引きは剥がす際に、積層体31とともに導電性材料組成物41(導電層40)が離型され、離型された導電性材料組成物41(導電層40)は上述したライン部15の外輪郭16に略対応した輪郭を有するようになる。
このようにして形成された導電層40に対してめっき処理が施され、導電層40上に金属層46が積層されるようになる。なお、めっき処理は、そのままインラインで施されてもよいし、一旦巻き取られた後に、別個のめっきラインで施されるようにしてもよい。
以上のようにして、基部12と導電性メッシュ14とを有した電磁波遮蔽シート10が、帯状に延びるウェブ状の形態にて、製造されていく。以上のような製造方法によれば、被覆層36と導電層40とを隙間無く密着させることができ、導電性材料組成物41の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波遮蔽シート10を製造することができる。
また、上述したように、被覆層36と導電性材料組成物41(導電層40)とを強固に密着させることができ、これにより、とりわけ被覆層36近傍において、導電性材料組成物41(導電層40)をより安定して離型させることが可能となる。この結果、この製造方法によって形成された電磁波遮蔽シート10のライン部15は、とりわけ基端部15において、所望の形状を安定して有するようになる。
次に、主に図3および図4を参照し、以上のような電磁波遮蔽シート10の作用、とりわけここでは、粘着層54を介して電磁波遮蔽シート10を他のシート材52と接着してプラズマディスプレイ装置用の複合シート材50を製造する場合における作用について、説明する。
上述したように、プラズマディスプレイ装置のPDP56の前面には、粘着層58を介して、種々のシート材52が積層されるようになる。このようなシート材52には、PDPから放射される放射線等を遮蔽するための種々の前面フィルタや、光学機能や保護機能等を付与された機能シート等が含まれる。前面フィルタとしては、近赤外線遮蔽シート、ネオン光遮蔽シート、UV光(紫外線)遮蔽シート等が挙げられる。また、機能シートとしては、反射防止シート、防眩シート、ハードコートシート、防汚染シート、帯電防止シート等が挙げられる。さらに、ここで言うシート材52には、PDP56の一部分を構成するガラス基板、PDP56の前面に配置され、他のシート材を支持するガラス基板、並びに、粘着層54に対して剥離性を有した剥離シート55aも含まれる。そして、これらのシート材52が、粘着層54を介して上述した電磁波遮蔽シート10と接着され、複合シート材50をなすようになる。
以下においては、上述した電磁波遮蔽シート10と、電磁波遮蔽シート10のライン部15の側に配置された粘着層54と、粘着層54を介し、電磁波遮蔽シート10と接着された剥離シート55a(シート材52)と、を備えた複合シート材50(図3参照)について検討する。なお、このような複合シート材50においては、剥離シート55aを粘着層54から剥がすことにより、何らかの作用効果を期待された別のシート材52を、露出した粘着層54を介して電磁波遮蔽シート10と貼合することができる。また、剥離シート55aを粘着層54から剥がすことにより、電磁波遮蔽シート10をガラス基板と貼合することもできる。
電磁波遮蔽シート等、PDP56の前面に配置されるシート材52は、粘着層54と、この粘着層54の両側にそれぞれ積層された一対の剥離シート55a,55bと、を有した粘着シート55を用いて、互いに貼合されることがある。この場合、図3に示すように、まず、粘着シート55の一方の剥離シート55bが粘着層54から剥がされる。次に、露出した粘着層54が電磁波遮蔽シート10の導電性パターン14(ライン部15)に対面するようにして、粘着層54と剥離シート55aとの積層体が、電磁波遮蔽シート10に積層される。
このとき、図4に示すように、例えばニップロールを用い、電磁波遮蔽シート10と粘着層54とが、シート面上における一側から他側へ(図4では左側から右側へ)としだいに貼り合わされていく。なお、ウェブ状の電磁波遮蔽シート10に対して、粘着層54およびこれに接着された剥離シート55aを積層する場合には、例えばナイフエッジを用いて、ウェブ状に延びる一方の剥離シート55bから、枚葉状の粘着層54およびこれに接着された枚葉状の剥離シート55aを剥離させ、その後、ウェブ状に形成された電磁波遮蔽シート10に対して、枚葉状の粘着層54および剥離シート55aを順次積層していくことも可能である。
ところで、基部12から突出したライン部15を有した電磁波遮蔽シート10に対し、粘着層54をライン部15に対面するようにして積層する場合、電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間に気泡が混入しやすくなる。混入した気泡が微量であれば、粘着層50中に溶解したり、例えば電磁波遮蔽シート10の基部12を透過して気泡が複合シート50外に排出されたりすることを期待することもできる。その一方で、複合シート材50に気泡がある程度混入すると、上述したように、複合シート材50を透過する光が拡散され、複合シート材50の透明性が著しく低下する。そして、一般的には、電磁波遮蔽シート10を含む複合シート材50を製造する場合、気泡を排除するためのオートクレーブ処理が別途に設けられ、生産性を悪化させている。
しかしながら、本実施の形態によれば、図4に示すように、主切断面において、ライン部15の基端部20における外輪郭16は、当該基端部20における外輪郭16の両端部の間の全区間で、当該基端部20における外輪郭16の両端部を結ぶ直線La1の内側(ライン部15の基端部20側)に延びている。したがって、導電性パターン14(ライン部15)の側から電磁波遮蔽シート10に粘着層54を積層した場合に、最も気泡が滞留しやすくなると推測されるライン部15の基端部20の周囲において、積層時の加圧(図4における太矢印参照)により、ライン部15の外輪郭16に沿って先端部25の側へ向けて気泡Gを誘導することが可能になる。これにより、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡の混入を効果的に防止することができる。
なお、このような作用効果を有効に発現させるには、混入すると不具合を来たし得るようになる気泡の大きさを考慮し、所定の外輪郭を有する基端部20の基部12からの突出高さは、5μm以上12.5μm以下となっていることが好ましい。一方、気泡の混入を防止するためには、ライン部15の基部12からの突出高さは、20μm以下より好ましくは8μm以下となっていることが好ましい。
さらには、主切断面において、ライン部15の基端部20における外輪郭に対する接線Laと、基部12のシート面と、がなす角度θaは、当該接線Laの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12に近付くにつれて、小さくなっていく。したがって、ライン部15の基端部20における外輪郭16は、気泡Gが滞留してしまう虞のあるくぼみ部分等を含まず、滑らかな曲線となる。これにより、安定して気泡Gを誘導し、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡Gの混入をさらに効果的に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、図4に示すように、主切断面において、ライン部15の先端部25における外輪郭16は、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部およびライン部15の頂部26の間の全区間で、当該先端部25における外輪郭16の基部12側の端部とライン部15の頂部26とを結ぶ直線Lb1の外側を延びている。したがって、導電性パターン14の側から電磁波遮蔽シート10に粘着層54を積層した場合に、上述したようにして基端部20側から誘導されてきた気泡Gを、積層時の加圧により、ライン部15の先端部25における外輪郭16に沿ってさらにライン部15の頂部26上まで誘導し、さらには、磁波遮蔽シート10と粘着層54との積層が進む他側(図4における紙面の右側)へ向けて気泡Gを誘導することが可能になる。これにより、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡Gの混入をさらに効果的に防止することができる。
さらに、主切断面において、ライン部15の先端部25における外輪郭16に対する接線Lbと、基部12のシート面と、がなす角度θbは、当該接線Lbの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12から離間するにつれて、小さくなっていく。したがって、ライン部15の先端部25における外輪郭16は、気泡Gが滞留してしまう虞のあるくぼみ部分等を含まず、滑らかな曲線となる。これにより、安定して気泡Gを誘導し、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡Gの混入をさらに効果的に防止することができる。
加えて、本実施の形態によれば、基部12のシート面に沿ったライン部15の幅が基部12から離間するにつれて小さくなる。したがって、ライン部15の外輪郭16は、気泡Gを基部12の側から頂部26の上方まで誘導する際に気泡Gが滞留してしまう虞のあるくぼみ部分等を含まず、滑らかな曲線となる。これにより、安定して気泡Gを誘導し、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡Gの混入をさらに効果的に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、先端部25におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Lbおよび基端部20におけるライン部15の外輪郭16に対する接線Laは、ライン部15の先端部25における外輪郭16とライン部15の基端部20における外輪郭16とが接続する位置にて接するようになる。したがって、積層時の加圧により、ライン部15の基端部20における外輪郭16に沿って誘導されてきた気泡Gを、そのまま、ライン部15の先端部25における外輪郭16に沿ってさらに誘導することができる。これにより、導電性パターン15の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層25との間への気泡Gの混入をさらに効果的に防止することができる。
以上のように本実施の形態によれば、電磁波遮蔽シート10と粘着層54とを積層する際に加えられる圧力を利用して、気泡Gをライン部15の外輪郭16に沿って誘導し、導電性パターン14の側における電磁波遮蔽シート10と粘着層54との間への気泡Gの混入を効果的に防止することができる。したがって、本実施の形態による電磁波遮蔽シート10は、他のシート材52と積層された際においても、極めて優れた透明性を有するようになる。また、本実施の形態によれば、電磁波遮蔽シート10を含む複合シート材50から気泡を除去するための別途の処理(例えば、オートクレーブ処理)を省くことも可能となる。これにより、電磁波遮蔽シート10の生産性を大幅に向上させることもできる。さらに、電磁波遮蔽シート10を含む複合シート材50に気泡が混入されにくくなることから、電磁波遮蔽シート10のライン部15の幅を狭くすることができ、これにより、電磁波遮蔽シート10の透明性を向上させることができる。また、電磁波遮蔽シート10を含む複合シート材50に気泡が混入されにくくなることから、電磁波遮蔽シート10のライン部15の高さを高くすることができ、これにより、電磁波遮蔽シート10の電磁波遮蔽性を向上させることもできる。
なお、上述した実施の形態に対して種々の変更が可能である。
一例として、ライン部15の構成を、図10乃至図13に示すように変更することができる。なお、図10乃至図13は、主切断面におけるライン部15の外輪郭16が上述した実施の形態と異なるだけであって、他は上述した実施の形態と略同一である。図10乃至図13において上述した実施の形態と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
図10乃至図12に示す例において、ライン部15は、頂部26を含む先端面17aと、先端面17aと基部12の一方の面12aとの間をそれぞれ延びる一対の側面17bと、を有しており、主切断面において、ライン部15の先端部25における外輪郭16は、先端面17aに対応する領域と、側面17bの一部分に対応する領域と、を含んでいる。なお、図10乃至図12に示す例において、先端面17aは、基部12の一方の面12aと平行に対向して配置されているが、これに限られない。
このうち図10に示す例では、側面17bの一部分に対応する領域における先端部25の外輪郭16は、上述した実施の形態における先端部25の外輪郭16と同様な構成となっている。具体的には、側面17bの一部分に対応する領域における先端部25の外輪郭16は、主切断面において、当該側面17bの一部分に対応する領域における外輪郭16の両端部の間の全区間に渡って、当該側面17bの一部分に対応する領域における外輪郭16の両端部を結ぶ直線Lb1よりも外側に位置している。さらに詳細には、主切断面から見た場合、側面17bの一部分に対応する領域における先端部25の外輪郭16に対する接線Lbと、基部12のシート面と、がなす角度θbは、当該接線Lbの外輪郭16に対する接点が基部12の法線に沿った方向において基部12から離間するにつれて、小さくなる。一方、図10に示す例において、基端部20の外輪郭16は、上述した実施の形態と同一となっている。すなわち、図10に示されたライン部15は、先端面17aを有し、その幅が広くなっていることにおいて、上述した実施の形態と異なるが、他は略同一となっている。このような電磁波遮蔽シート10によれば、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏することができる。
また、図11に示す例では、主切断面において、側面17bに対応する領域におけるライン部15の外輪郭16は、当該側面17bに対応する領域における外輪郭の両端部の間の全区間に渡って、当該側面17bに対応する領域における外輪郭16の両端部を結ぶ直線Lc1よりも内側に位置している。また、主切断面において、ライン部15の側面17bに対応する領域における外輪郭16(外輪郭線)に対する接線Lcと、基部12のシート面と、がなす角度θcは、当該接線Lcの外輪郭16に対する接点が基部12の法線NLに沿った方向において基部12に近付くにつれて、小さくなる。このような電磁波遮蔽シート10によれば、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏することができる。
さらに、図12に示す例では、主切断面において、側面17bの一部分に対応する領域における先端部25の外輪郭16は、直線状になっており、さらに詳細には、基部12の法線NLと平行に延びている。また、このような例に限られず、側面17bの一部分に対応する領域における先端部25の外輪郭16の少なくとも一部分だけが、直線状になっているようにしてもよい。このような電磁波遮蔽シート10によれば、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏することができる。
さらに、上述した実施の形態において、ライン部15において、基端部20と先端部25とが隣接して配置されている例を示したが、これに限られず、図13に示すように、基端部20と先端部25とが離間して配置されていてもよい。図13に示す例において、ライン部15は、基端部20と先端部25との間に配置された、中間部28をさらに
有している。図13に示す例では、主切断面において、中間部28における外輪郭16は、直線状となっており、さらに詳細には、基部12の法線NLと平行に延びている。このような電磁波遮蔽シート10によれば、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏することができる。
なお、以上のようなライン部15は、図5乃至図9を参照しながら説明したライン部の形成方法において、版61の凹部64の形状を適宜変更することにより、形成され得る。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下に説明するようにして、実施例1、参考例、比較例1および比較例2に係る電磁波遮蔽シートを作製した。そして、作製された各電磁波遮蔽シートに粘着層を積層し、電磁波遮蔽シートと粘着層との間に気泡が混入しているか否かを評価した。
(実施例1)
図5乃至図9を参照しながら説明した上述の電磁波遮蔽シートの製造方法により、実施例1に係る電磁波遮蔽シートを作製した。まず、厚さ100μmの二軸延伸性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる基材シート上に、厚さ5μmの紫外線硬化性樹脂組成物からなるプライマー層を形成した。なお、基材シート上に形成されたプライマー層は、略1300cps(at25℃、B型粘度計)の粘度を有する流動状態であったが、基材シート上から流れ落ちることはなかった。
<紫外線硬化性樹脂組成物>
・エポキシアクリレート:35重量部
・ウレタンアクリレート:12重量部
・単官能モノマー:44重量部
・3官能モノマー:9重量部
・光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製の「イルガキュア184」):3重量部
上述したライン部形成装置を用い、基材シート越しにプライマー層に紫外線を照射してプライマー層を硬化してなる被覆層を形成した。また、導電層を形成するようになる導電性材料組成物としての銀ペーストを、メッシュ状のパターンで被覆層上に転写した。
<導電性材料組成物(銀ペースト)>
・導電性粉末(平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末):93重量部
・バインダー樹脂(熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂):7重量部
・溶剤(ブチルカルビトールアセテート):25重量部
その後、110度の雰囲気中で導電性材料組成物を乾燥させ、導電性材料組成物を硬化してなる導電層を形成した。次に、電解銅めっきによって、導電層上に、厚さ2μmの金属層(銅層)を形成した。
以上のようにして、実施例1に係る電磁波遮蔽シートを作製した。作製された電磁波遮蔽シートについて、主切断面から見た場合におけるライン部の外輪郭をトレースした(図14参照)。
図14に示すように、得られた電磁波遮蔽シート10のライン部15は、主切断面において、上述した実施の形態のライン部(例えば、図4参照)と略同様の外輪郭16を有していた。例えば、ライン部15の基端部20における外輪郭16は、当該基端部20における外輪郭16の両端部を結ぶ直線La1よりも内側に位置していた。同様に、主切断面において、ライン部15の先端部20における外輪郭16は、当該先端部20における外輪郭16の基部12側の端部とライン部15の頂部26とを結ぶ直線Lb1よりも外側に位置していた。
参考例
実施例1と同様の材料を用い、実施例1と同様の方法で、参考例に係る電磁波遮蔽シートを作製した。ただし、使用したライン部形成装置に含まれる版の凹部の形状を変更することにより、ライン部が、実施例1におけるライン部とは異なる外輪郭を有するようにした。作製された電磁波遮蔽シートについて、主切断面から見た場合におけるライン部の外輪郭をトレースした(図15参照)。
図15に示すように、得られた電磁波遮蔽シート10のライン部は、主切断面において、上述した実施形態に対する変形例として図11を参照して説明したライン部と、略同様の外輪郭16を有していた。例えば、主切断面において、側面17bに対応する領域におけるライン部15の外輪郭16は、当該側面17bに対応する領域における外輪郭16の両端部を結ぶ直線Lc1よりも内側に位置していた。
(比較例1)
まず、実施例1と同一の基材シート上に、銅箔をドライラミネートした。その後、フォトリソグラフィー技術を利用したエッチングにより、銅箔をメッシュ状にパターニングし、銅箔からなるライン部を含む導電性メッシュを形成した。
以上のようにして、比較例1に係る電磁波遮蔽シートを作製した。作製された電磁波遮蔽シートについて、主切断面から見た場合におけるライン部の外輪郭をトレースした(図16参照)。
図16に示すように、得られた電磁波遮蔽シート10のライン部15は、主切断面において、略矩形状となっていた。すなわち、ライン部15は、基材シート32の表面32aに略平行な略平坦な先端面17aと、先端面17aと基材シート32の表面32aとをそれぞれ結ぶ一対の略平坦な側面17bと、を有していた。また、各側面17bは、基材シート32の表面32aに対して略直交していた。
(比較例2)
まず、導電層を形成するようになる導電性材料組成物を、グラビア印刷により、メッシュ状のパターンで基材シート上に直接塗布した。導電性材料組成物は、実施例1で用いられた導電性材料組成物(銀ペースト)と同一のものを用いた。また、基材シートも、実施例1で用いられた基材シートと同一のものを用いた。
その後、110度の雰囲気中で導電性材料組成物を乾燥させ、導電性材料組成物を硬化してなる導電層を形成した。次に、電解銅めっきによって、導電層上に、厚さ2μmの金属層(銅層)を形成した。
以上のようにして、比較例2に係る電磁波遮蔽シートを作製した。作製された電磁波遮蔽シートについて、主切断面から見た場合におけるライン部の外輪郭をトレースした(図17参照)。
図17に示すように、得られた電磁波遮蔽シート10のライン部15は、主切断面から見た場合、略釣り鐘状の外輪郭を有しており、頂部26を通過する基材シート32(基部)の法線NLaを中心として対称形状となっている。ライン部15の外輪郭16は、主切断面において、外輪郭16の基材シート32側の端部と頂部26とを結ぶ直線Ld1よりも外側に位置していた。さらに詳細には、主切断面から見た場合、ライン部15の外輪郭16(外輪郭線)に対する接線Ldと、基材シート32のシート面と、がなす角度θdは、当該接線Ldの外輪郭16に対する接点が基材シート32の法線NLaに沿った方向において基材シート32から離間するにつれて、小さくなっていた。すなわち、基材シート32の表面32aをx軸として主切断面におけるライン部15の外輪郭16を数学的に曲線に近似した場合、当該曲線を表す関数は、いずれの領域においても、上に凸となっていた。
(評価試験)
以上のようにしてそれぞれ得られた電磁波遮蔽シートと、粘着層および剥離シートの積層体と、を積層し、複合シート材を作製した。粘着層および剥離シートの積層体は、上述したように、粘着シートから一方の剥離シートを剥がすことによって得られた。粘着層が電磁波遮蔽シートの導電性パターン(ライン部)に対面するようにして、電磁波遮蔽シートに積層体を重ね、ゴムローラにより、10kg/cm程度の線圧で積層体を電磁波遮蔽シートに向けて押圧した。
以上のようにして得られた各複合シート材について、50倍のルーペを用い、電磁波遮蔽シートと粘着層との間に気泡が混入しているか否かを確認した。なお、評価対象とした複合シート材には、オートクレーブ処理等の脱気泡処理は施さなかった。
実施例1および参考例に係る複合シート材については、複合シート材中に気泡は確認されなかった。比較例1および比較例2に係る複合シート材については、複合シート材中の気泡が混入していた。気泡は、電磁波遮蔽シートのライン部の近傍、とりわけ、ライン部の基端部の周囲に残留していた。
図1は、本発明による電磁波遮蔽シートの一実施の形態を示す部分斜視図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面を示す断面図である。 図3は、図1に示された電磁波遮蔽シートを用いて製造された複合シート材を示す図である。 図4は、図1に示された電磁波遮蔽シートを用いて複合シート材を製造する際の作用を説明するための図である。 図5は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図であって、ライン部の形成工程を示す図である。 図6は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図であって、ライン部の形成工程中の一工程を示す図である。 図7は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図であって、ライン部の形成工程中の他の一工程を示す図である。 図8は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図であって、ライン部の形成工程中のさらに他の一工程を示す図である。 図9は、電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を説明するための図であって、ライン部の形成工程中のさらに他の一工程を示す図である。 図10は、図2に対応する断面図であって、電磁波遮蔽シートのライン部の変形例を説明するための図である。 図11は、図2に対応する断面図であって、電磁波遮蔽シートのライン部の他の変形例を説明するための図である。 図12は、図2に対応する断面図であって、電磁波遮蔽シートのライン部のさらに変形例を説明するための図である。 図13は、図2に対応する断面図であって、電磁波遮蔽シートのライン部のさらに変形例を説明するための図である。 図14は、図2に対応する断面図であって、実施例1に係る電磁波遮蔽シートのライン部を示す図である。 図15は、図2に対応する断面図であって、参考例に係る電磁波遮蔽シートのライン部を示す図である。 図16は、図2に対応する断面図であって、比較例1に係る電磁波遮蔽シートのライン部を示す図である。 図17は、図2に対応する断面図であって、比較例2に係る電磁波遮蔽シートのライン部を示す図である。
符号の説明
10 電磁波遮蔽シート
12 基部
12a 一方の面
14 導電性パターン
15 ライン部
16 外輪郭
17a 先端面
17b 側面
20 基端部
25 先端部
26 頂部
32 基材シート
32a 一方の面
36 被覆層
40 導電層
46 金属層
50 複合シート材
52 シート材
54 粘着層
55a 剥離シート
56 プラズマディスプレイパネル(PDP)

Claims (6)

  1. 電磁波遮蔽用の導電性パターンを有する電磁波遮蔽シートであって、
    シート状の基部と、
    前記基部の一方の面から突出し、前記導電性パターンを形成するライン部と、を備え、 前記ライン部は、前記基部に隣接した基端部と、前記基端部に隣接して配置された先端部であって、前記基部から最も離間した頂部を含む先端部と、からなり、
    前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記基端部における外輪郭は、当該基端部における外輪郭の前記基部側の端部と前記先端部側の端部とを結ぶ直線よりも内側に位置し、
    前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記基端部における外輪郭に対する接線と、前記基部のシート面と、がなす角度は、当該接線の前記外輪郭に対する接点が前記基部の前記法線に沿った方向において前記基部に近付くにつれて、小さくなり、
    前記基部のシート面に沿った前記ライン部の幅は、前記基部から離間するにつれて、小さくなり、
    前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭は、当該先端部における外輪郭の基部側の端部と前記ライン部の前記頂部とを結ぶ直線よりも外側に位置し、
    前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記ライン部の前記先端部における外輪郭に対する接線と、前記基部のシート面と、がなす角度は、当該接線の前記外輪郭に対する接点が前記基部の前記法線に沿った方向において前記基部から離間するにつれて、小さくなり、
    前記電磁波遮蔽シートは、
    基材シートと、
    前記基材シートの一方の面を被覆し、前記基材シートとともに前記基部を形成する被覆層と、
    前記導電性パターンに対応したパターンで前記被覆層上に設けられた導電性の導電層と、を備え、
    前記被覆層は、前記導電層が設けられている領域において前記導電層内に突出した突出部を含み、
    前記被覆層の前記導電層内への突出部と、前記導電層と、によって前記ライン部が形成されている
    ことを特徴とする電磁波遮蔽シート。
  2. 前記先端部と前記基端部とが隣接して配置され、
    前記基部のシート面の法線に沿った断面において、前記先端部における前記ライン部の外輪郭に対する接線および前記基端部における前記ライン部の外輪郭に対する接線は、前記ライン部の前記先端部における外輪郭と前記ライン部の前記基端部における外輪郭とが接続する位置にて接するようになる
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽シート。
  3. 前記突出部が形成された領域における前記被覆層の厚さは、それ以外の領域における前記被覆層の厚さよりも厚い
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波遮蔽シート。
  4. 前記前記導電層を被覆する金属層をさらに備え、
    前記被覆層の前記導電層内への突出部と、前記導電層と、前記金属層と、によって前記ライン部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽シート。
  5. 粘着層と、
    前記粘着層の一方の側に積層されたシート材と、
    前記粘着層の他方の側に積層された請求項1乃至のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽シートと、を備える
    ことを特徴とする複合シート材。
  6. 前記シート材は、前記粘着層に対する剥離性を有した剥離シートである
    ことを特徴とする請求項に記載の複合シート材。
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