JP5240352B2 - 接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香環含有脂環式エポキシ化合物を含む接着剤、および、その接着剤を活性エネルギー線で硬化してなる積層体に関する。
エポキシ化合物はその硬化物が光学特性、機械特性、電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性、耐水性、耐薬品性等に優れた性質を示すことから、たとえば、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、塗料、接着剤等、各種用途の構成材料として幅広く用いられている。
特に光学部材、電気・電子部材のような光学特性が要求される用途では透明性の制御が要求される。
一般的にエポキシ化合物は、アミン類、チオール類、酸無水物、フェノール類等の硬化剤を用いて熱硬化させることで、様々な特性を発現させているが、熱硬化時に着色するものが多く、光学特性が要求される用途には適応できないという問題があった。そのため、紫外線等の活性エネルギー線を用いてカチオン種を発生させ、エポキシ基を重合させるカチオン硬化技術が検討されている。
カチオン硬化時において、エポキシ化合物はグリシジルエーテル等のグリシジル化合物よりも脂環式エポキシ化合物が硬化性良好であることからよく用いられる。たとえば、特許文献1に挙げられる化合物があるが、透明性を考慮して化合物はすべて脂肪族で構成されている。その結果、耐熱性が低いなどの問題がある。
一方、高耐熱性、高屈折率化を狙ったものとしてビスフェノール骨格やフルオレン骨格を含むような特許文献2に挙げられる化合物がある。しかし、酸素原子が芳香環に直接結合した化合物は耐熱試験や耐光試験時に黄変しやすい傾向にあり、透明性が求められる用途では使用できない。
特開平5−310885号公報 特開2009−179568号公報
本発明は上記の現状に鑑みてなされたものであり、高耐熱性と透明性を両立できる芳香環
含有脂環式エポキシ化合物を含む接着剤および、その接着剤を活性エネルギー線で硬化し
てなる積層体を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される香環含有脂環式エポキシ化合物と、光酸発生剤とを含むことを特徴とする接着剤に関する。
一般式(1)
Figure 0005240352


(式中、Arは芳香族骨格を、Xは2価の脂肪族炭化水素基を、Yはエポキシ基を有する脂環族骨格を表し、nは1以上の整数である。)
また本発明は、Arがベンゼン環であり、nが1〜6の整数であることを特徴とする、上記接着剤に関する。
また本発明は、Xがメチレン基(−CH2−)であることを特徴とする、上記接着剤に関する。
また本発明は、Yがエポキシシクロヘキサン環であることを特徴とする、上記接着剤に関する。
また本発明は、上記接着剤を用いて基材を接着してなることを特徴とする積層体に関する。
また本発明は、基材が光学フィルムであることを特徴とする上記積層体に関する。
また本発明は、上記接着剤を用いてポリビニルアルコール系偏光子の片面または両面に保護フィルムを接着してなることを特徴とする偏光板に関する。
また本発明は、上記接着剤の製造方法であって、下記一般式(2)で表される芳香環含有アルコールと、カルボキシ基を有し、非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物、そのハロゲン化物、その酸無水物から選ばれる脂環式化合物とをエステル化反応させたのちに、非芳香族性の炭素−炭素二重結合をエポキシ化する工程を含むことを特徴とする、接着剤の製造方法に関する。
一般式(2)
Figure 0005240352


(式中、Arは芳香族骨格を、Xは2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは1以上の整数である。)
本発明により、高耐熱性や高屈折率化と透明性を両立できる芳香環含有脂環式エポキシ化合物を含む接着剤および、その接着剤を活性エネルギー線で硬化してなる積層体を提供することができた。

本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物について以下に説明する。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は上記一般式(1)で表される構造を有する。芳香族骨格Arは芳香族化合物の芳香環に直接結合した水素原子をn個除いた、n価の芳香族基である。上記芳香族化合物は、たとえば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ペンタセン、インデン、フルオレン、ジフェニルメタン、ジフェニルエタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルスルホン、ジフェニルフルオレン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ピリジン、ピロール、カルバゾール、フラン、チオフェン、および、これらの芳香族化合物中の水素原子の一部がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、などに置換した化合物が挙げられる。より高透明性を求められる用途ではベンゼン、ビフェニルなどヘテロ原子が含まれておらず、2つ以上の芳香環が平面上に並ばない化合物が好ましい。
2価の炭化水素基Xは、芳香族骨格Arの芳香環に直接結合する。芳香環に酸素原子や窒素原子等のヘテロ原子が結合した化合物は非常に着色しやすく、特に熱や光による着色が著しい。そのため、芳香環に結合する原子を水素原子と炭素原子に限定していることが本発明の特徴である。2価の炭化水素基Xとしては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
エポキシ基を有する脂環族骨格Yとは、脂環族化合物の環構造を形成する隣接する炭素原子と酸素原子とでエポキシ基(オキシラン環)を形成した化合物から、水素原子を1つ除いた1価の脂環族基である。脂環族化合物の環構造を形成する隣接する炭素原子と酸素原子とでエポキシ基(オキシラン環)を形成した化合物としては、たとえば、エポキシシクロヘキサン、エポキシシクロペンタン、エポキシノルボルナン、などが挙げられる。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物の製造方法について以下に説明する。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物の製造方法は次の2段階の反応で行われる。第1段階は、一般式(2)で表される芳香環含有アルコールと、カルボキシ基を有し、非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物をエステル化する工程であり、第2段階は非芳香族性の炭素−炭素二重結合をエポキシ化する工程である。
一般式(2)
Figure 0005240352
(式中、Arは芳香族骨格を、Xは2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは1以上の整数である。)
まず、第1段階のエステル化について説明する。
上記の芳香環含有アルコールとしては、たとえば、ベンジルアルコール、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、メチルベンジルアルコール、トリメチルベンジルアルコール、エチルベンジルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール、tert−ブチルベンジルアルコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ヒドロキシメチルナフタレン、ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、ビス(ヒドロキシエチル)ナフタレン、ヒドロキメチルアントラセン、ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、ヒドロキシメチルピリジン、ビスヒドロキシメチルピリジン、フェニルプロパンジオールなどが挙げられる。
カルボキシ基を有し、非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物としては、たとえば、シクロヘキセンカルボン酸、メチルシクロヘキセンカルボン酸、ノルボルネンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸などが挙げられる。
エステル化方法は様々なものがあるが、芳香環含有アルコールと、カルボキシ基を有し非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物とを脱水縮合してエステル化する、もしくは、芳香環含有アルコールと、カルボキシ基を有し、非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物のハロゲン化物または酸無水物とを脱ハロゲン化水素、脱カルボン酸反応でエステル化する方法が挙げられる。
上記脱水縮合反応において、必要に応じて溶媒や触媒を使用することができる。使用する溶媒は、アルコール、アミン、カルボン酸など反応基質と反応する溶媒以外であれば使用できる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
使用する触媒は、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基触媒、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾールなどのアミン類、鉄(III)、ジルコニウム(IV)、スカンジウム(III)、チタン(IV)、スズ(IV)、ハフニウム(IV)などの金属イオンを含む塩や錯体、ジフェニルアンモニウムトリフラート、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラートなどのアンモニウム塩などが挙げられる。
脱水縮合反応において、生成する水を取り除くことで平衡を生成系に移動させることができ、より短時間で反応を完結させることができる。水を取り除く方法としては、たとえば、水溶性が低く、水より密度が小さい溶媒を還流させ、ディーンスターク装置を用いる方法、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水素化カルシウム、モレキュラーシーブのような乾燥能、水吸着能のあるものを加える方法などが挙げられる。
上記脱水縮合反応を、縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤とは、カルボン酸またはアルコールを活性化させ、エステル化反応を温和な条件で行うことができると同時に、副生成物の水は縮合剤と結合して別の化合物となるため、上記の触媒作用と水除去作用を兼ね備えた化合物である。このような縮合剤としては、たとえば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル、p−トルエンスルホニルクロリド、2,4,6−トリクロロ安息香酸クロリド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
また、上記の脱ハロゲン化水素反応、脱カルボン酸反応において、必要に応じて溶媒や触媒を使用することができる。使用する溶媒は上記脱水縮合反応において例示した溶媒を使用することができる。使用する触媒は、脱離してくるハロゲン化水素、カルボン酸を中和する上記脱水縮合反応において例示した塩基、アミン触媒が使用できる。
上記脱水縮合反応、脱ハロゲン化水素反応、脱カルボン酸反応の反応条件は、使用する溶媒、触媒の種類や量によって異なる。たとえば、無触媒で脱水縮合を行う場合は高温を必要とするため、70〜250℃が好ましい。縮合剤を用いた脱水縮合や、脱ハロゲン化水素、脱カルボン酸反応では高温を必要としないため、−20〜50℃の範囲で反応させることが好ましい。
次に第2段階のエポキシ化について説明する。
エポキシ化は非芳香族性の炭素−炭素二重結合を有する化合物に酸化剤を加えて行う。酸化剤としては、たとえば、酸素を含むガス、過酸化水素、過酸化ナトリウム、ペルオキソ一硫酸カリウム等の無機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシフタル酸、ペルオキシラウリン酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルヘキサンヒドロペルオキシドなどの有機化酸化物が挙げられる。
エポキシ化において、必要に応じて触媒を使用することができる。たとえば、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、レニウム、ルテニウムなどが含まれる金属化合物、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレロアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、などのアルデヒド類、α−アミノメチルホスホン酸、α−アミノエチルホスホン酸などの、α−アミノホスホン酸類、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルエチルアンモニウム、ヨウ化ジラウリルジメチルアンモニム、リン酸水素ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、などの4級オニウム塩などが挙げられる。
エポキシ化反応に用いる溶媒は上記酸化剤と反応しないものを使用できる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
エポキシ化の反応温度は使用する酸化剤、触媒、溶媒によって異なるが、0〜150℃が好ましく、より好ましくは0〜50℃である。
本発明の光カチオン硬化性組成物について説明する。
エポキシ化合物はカチオン種を発生させる硬化触媒と配合し、光などの外部刺激によってカチオン種を発生させることで、カチオン重合が起こり硬化する。
光酸発生剤としては、たとえば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボラート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニル−p−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、などが挙げられる。
光酸発生剤は光カチオン硬化性組成物に含まれる樹脂成分(本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物、および、必要に応じて含まれる他のエポキシ化合物またはオキセタン化合物などカチオン硬化性化合物から構成される樹脂成分)100部に対して、0.01部〜20部であることが好ましい。0.01部未満であると硬化が不十分であり、20部より多い場合、光酸発生剤由来の着色や他の諸物性の低下を招く。
本発明の光カチオン硬化性組成物は、さらに、カチオン硬化性の化合物を必要に応じて添加してもよい。たとえば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などがあるが、硬化性や硬化収縮が少ないという観点から、エポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。
本発明の光カチオン硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、非反応性樹脂、などの添加剤を加えてもよい。
本発明の光カチオン硬化性組成物は接着剤として好適に用いることができる。
例えば、本発明の光カチオン硬化性組成物を、各種基材の片面または両面に塗布し、必要に応じて加熱乾燥後、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させることで、目的の積層体を得ることができる。基材としては、たとえば、ガラス、セラミック、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリビニルアルコール、ステンレス等の各種金属、などが挙げられる。
また、基材の上に本発明の光カチオン硬化性組成物を塗布し、さらにその上に、別の組成物を塗布する、あるいは、別の基材を貼り合わせる、などの方法で積層構造を形成してもよい。このとき、別の組成物を塗布する、あるいは、別の基材を貼り合わせる、などの前に紫外線等の活性エネルギー線を照射してもよいし、塗布あるいは貼り合わせ後に照射してもよい。
本発明の光カチオン硬化性組成物を基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられるが、薄膜塗工が可能であれば、特に制限はない。
活性エネルギー線の照射に用いる光源は、波長400nm以下に発光分布を有し、用いる光酸発生剤や増感剤の吸収領域の光を発するものであれば特に限定されない。たとえば、水銀ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプなどが挙げられる。
本発明の光カチオン硬化性組成物は、さらに光学用の光カチオン硬化性接着剤として好適である。即ち、フィルム状基材である光学フィルムと該光学フィルムの少なくとも一方の面に位置する接着層とを具備する積層体の形成に使用されることが好ましい。本発明の光学フィルムの積層体は、以下のようにして得ることができる。フィルム状基材である光学フィルムの片面に光硬化性接着剤を塗工し、別の光学フィルムを光硬化性接着層の表面に積層したり、更にこの積層体の片面や両面に光硬化性接着剤組成物を塗工し、更に別の光学フィルム、ガラス、あるいは光学成形体に積層したりすることによって、光学用積層体を得ることができる。光硬化性接着剤組成物の光硬化反応は、光硬化性接着剤組成物の塗工時、あるいは積層する際、さらには積層した後に活性エネルギー線を照射して進行するが、積層した後に活性エネルギー線を照射して光硬化反応を進めることが好ましい。
本発明における光学用の積層体としては、上記の各種プラスチックフィルムのうち、主に光学用途にて用いられる光学フィルムが好適に使用される。光学フィルムとしては、上記プラスチックフィルムに特殊な処理を施されたものであり、光学的機能(光透過、光拡散、集光、屈折、散乱、HAZE等の諸機能)を有するものが光学フィルムと称されている。これらの光学フィルムは単独で、または数種の光学フィルムを接着剤で多層に積層されて光学用の積層体として使用される。例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシートともいう)、導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。偏光フィルムは、偏光板とも呼ばれ、ポリビニルアルコール系偏光子の両面を2枚のアセチルセルロース系フィルムであるトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)や、ポリビニルアルコール系偏光子の片面や両面をノルボルネン系フィルムであるシクロオレフィ系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等で挟んだ多層構造からなるシート状の積層体である。
本発明の偏光板は、より具体的には、以下のようにして得ることができる。
(I)第1の保護フィルムの一方の面に、光硬化性接着剤を塗工し、第1の硬化性接着剤層を形成し、第2の保護フィルムの一方の面に、光硬化性接着剤を塗工し、第2の光硬化性接着剤層を形成し、次いで、ポリビニルアルコール系偏光子の各面に、第1の光硬化性接着剤層及び第2の硬化性接着剤層を、同時に/または順番に重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射し、第1の硬化性接着剤層及び第2の光硬化性接着剤層を硬化することによって製造する方法。
(II)ポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に、光硬化性接着剤を塗工し、第1の光硬化性接着剤層を形成し、形成された第1の光硬化性接着剤層の表面を第1の保護フィルムで覆い、次いでポリビニルアルコール系偏光子の他方の面に、光硬化性接着剤を塗工し、第2の光硬化性接着剤層を形成し、形成された第2の光硬化性接着剤層の表面を第2の保護フィルムで覆い、活性エネルギー線を照射し、第1の光硬化性接着剤層及び第2の光硬化性接着剤層を硬化することによって製造する方法。
(III)第1の保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子を重ねた端部および、ポリビニルアルコール系偏光子の第1の保護フィルムがない面に重ねた第2の保護フィルムの端部に光硬化性接着剤をたらした後、ロールの間を通過させ各層間に接着剤を広げる。次に活性エネルギー線を照射し、光硬化性接着剤を硬化させることによって製造する方法等があるが、特に限定するものではない。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は、優れた硬化性を有し、耐熱性と高透明性を兼ね備えている。そのため、特に透明性が求められる光学部材、たとえば、液晶テレビ、プラズマテレビ、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、デジタルカメラ等のディスプレイに用いられる、反射防止膜、偏光板、光散乱膜、指紋付着防止膜、光学補償フィルム、拡散板などの各部材、太陽電池パネル、窓ガラス用表面保護フィルム、木材、紙、コンクリート、アスファルト、表面コーティング、インキ用バインダー、粘接着剤、プライマー、封止材として使用することができる。
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を意味する。
合成例1
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、p−キシリレングリコール50.0部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸91.3部、キシレン143.9部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃に加熱した。ディーンスターク管にはキシレンを満たし、縮合により生成する水をキシレンと共沸させることで留出させ、キシレンは反応器に戻るようにした。8時間後残ったキシレンをすべて留去し、トルエン100部を加え、トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(純度65%)を201.8部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物111.9部を得た。
合成例2
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、m―キシリレングリコール50.0部、5−ノルボルネン−2−カルボン酸を110.0部、硫酸鉄(III)2.6部、トルエン243.9部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。ディーンスターク管にはトルエンを満たし、縮合により生成する水をトルエンと共沸させることで留出させ、トルエンは反応器に戻るようにした。8時間後トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液に過酢酸(純度35%)を174.0部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物118.8部を得た。
合成例3
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、o―キシリレングリコール50.0部、3−シクロペンテン−1−カルボン酸を97.4部、p−トルエンスルホン酸一水和物6.2部、トルエン153.6部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。ディーンスターク管にはトルエンを満たし、縮合により生成する水をトルエンと共沸させることで留出させ、トルエンは反応器に戻るようにした。8時間後トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(純度65%)を201.8部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物103.8部を得た。
合成例4
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、p―キシリレングリコール50.0部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸95.9部、ジクロロメタン895.5部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、1―エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド塩酸塩152.6部を少しずつ添加し、すべて添加したのち30分撹拌を行った。その後氷浴をはずし、室温で16時間撹拌した。この溶液を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を1000部加え、氷浴下で強撹拌しながら、m−クロロ過安息香酸(純度65%)を211.4部加え、すべて加えたのち氷浴をはずし8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後ジクロロメタンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物104.9部を得た。
合成例5
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸67.0部、アセトニトリル300部、1−メチルイミダゾール87.2部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド101.3部とアセトニトリル150部からなる溶液を滴下装置に30分かけて滴下した。すべて滴下したのち30分撹拌を行った。その後、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン50.0部を加えた。すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水800部、トルエン400部を加え分液漏斗に移し、水層とトルエン層に分けた。水層はさらにトルエン200部で2回抽出し、抽出液は最初のトルエン層に加えた。この溶液を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。この溶液にタングステン酸ナトリウム二水和物(Na2WO4・2H2O)1.8部、40%過酸化水素水54.2部、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム12.4部を加え、70℃で4時間反応させた。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物92.8部を得た。
合成例6
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸58.3部、アセトニトリル272.4部、1−メチルイミダゾール75.9部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド88.1部を5分割し、10分間隔で添加した。すべて添加した氷冷下で30分撹拌を行った。その後、ベンジルアルコール50.0部を30分かけて滴下し、すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水300部、トルエン200部を加え分液漏斗に移し、水層とトルエン層に分けた。水層はさらにトルエン100部で2回抽出し、抽出液は最初のトルエン層に加えた。この溶液を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。この溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターでトルエンを取り除いた。
得られた液体をすべて反応容器に仕込み、アセトン600部、水600部、炭酸水素ナトリウム291.6部を加え、攪拌しながらオキソン(Du Pont社製ペルオキソ一硫酸カリウム)332.1部を30分かけて少しずつ加えた。そのまま室温で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、分液漏斗に移し、水1200部、酢酸エチル600部を加えて有機層を取り出した。水層はさらに酢酸エチル300部で2回抽出を行い、先ほどの有機層に加えた。この有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物91.3部を得た。
合成例7
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸112.5部、アセトニトリル429部、1−メチルイミダゾール146.4部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド170部を5分割し、10分間隔で添加した。すべて添加した氷冷下で30分撹拌を行った。その後、1,3,5−ベンゼントリメタノール50.0部を添加し、すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水400部、トルエン200部を加え分液漏斗に移し、水層とトルエン層に分けた。水層はさらにトルエン100部で2回抽出し、抽出液は最初のトルエン層に加えた。この溶液を10%塩酸で洗浄した。この溶液を再度反応容器に仕込み、アセトン200部、水600部、炭酸水素ナトリウム562.5部を加え、攪拌しながらオキソン640.5部を1時間かけて少しずつ加えた。そのまま室温で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、分液漏斗に移し有機層を取り出した。水層はさらに酢酸エチル200部で2回抽出を行い、先ほどの有機層に加えた。この有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエン、酢酸エチルを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物144.6部を得た。
合成例8
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸83.5部、アセトニトリル245.5部、1−メチルイミダゾール108.7部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド126.2部を5分割し、10分間隔で添加した。すべて添加した氷冷下で30分撹拌を行った。その後、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン50.0部を添加し、すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水300部、酢酸エチル200部を加え分液漏斗に移し、水層と有機層に分けた。水層はさらに酢酸エチル100部で2回抽出し、抽出液は最初の有機層に加えた。この溶液を10%塩酸で洗浄した。この溶液を再度反応容器に仕込み、アセトン200部、水500部、炭酸水素ナトリウム379.4部を加え、攪拌しながらオキソン432.1部を1時間かけて少しずつ加えた。そのまま室温で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、分液漏斗に移し有機層を取り出した。水層はさらに酢酸エチル200部で2回抽出を行い、先ほどの有機層に加えた。この有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物112.2部を得た。
合成例9
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸91.3部、アセトニトリル423.8部、1−メチルイミダゾール130.7部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド151.8部を5分割し、10分間隔で添加した。すべて添加した氷冷下で30分撹拌を行った。その後、m−キシリレングリコール50.0部を添加し、すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水400部、トルエン200部を加え分液漏斗に移し、水層と有機層に分けた。水層はさらにトルエン100部で2回抽出し、抽出液は最初の有機層に加えた。この溶液を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、エバポレーターでトルエンを留去した。この溶液を再度反応容器に仕込み、アセトン500部、水500部、炭酸水素ナトリウム491.6部を加え、攪拌しながらオキソン559.8部を1時間かけて少しずつ加えた。そのまま室温で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、分液漏斗に移し水1000部、酢酸エチル400部を加え抽出し、有機層を取り除いた。水層はさらに酢酸エチル200部で2回抽出を行い、先ほどの有機層に加えた。この有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物125.9部を得た。
合成例10
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸91.3部、アセトニトリル423.8部、1−メチルイミダゾール130.7部を仕込み、氷冷下で撹拌した。十分に冷却したのち、p−トルエンスルホニルクロリド151.8部を5分割し、10分間隔で添加した。すべて添加した氷冷下で30分撹拌を行った。その後、o−キシリレングリコール50.0部を添加し、すべて加えた後氷浴をはずし16時間撹拌した。この反応液に水400部、トルエン200部を加え分液漏斗に移し、水層と有機層に分けた。水層はさらにトルエン100部で2回抽出し、抽出液は最初の有機層に加えた。この溶液を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、エバポレーターでトルエンを留去した。この溶液を再度反応容器に仕込み、アセトン500部、水500部、炭酸水素ナトリウム491.6部を加え、攪拌しながらオキソン559.8部を1時間かけて少しずつ加えた。そのまま室温で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、分液漏斗に移し水1000部、酢酸エチル400部を加え抽出し、有機層を取り除いた。水層はさらに酢酸エチル200部で2回抽出を行い、先ほどの有機層に加えた。この有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物125.9部を得た。
合成例11
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン50.0部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸34.5部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4部、トルエン254.8部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら130℃に加熱した。ディーンスターク管にはトルエンを満たし、縮合により生成する水をトルエンと共沸させることで留出させ、トルエンは反応器に戻るようにした。6時間後トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(純度65%)を72.7部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物70.5部を得た。
実施例1
合成例1で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を80部、ブチルグリシジルエーテル10部、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン10部、p−フェニルチオフェニルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスファート2部を配合し、組成物を作製した。ガラス上に貼りつけたポリビニルアルコール−染料系偏光子に上記組成物を介して日本ゼオン(株)社製の非晶性ポリオレフィンフィルム(商品名”ZEONOR”)を貼り合わせた。次に、紫外線照射機で積算光量が700mJになるように照射した。この積層体について接着力、耐熱性、耐熱黄変性(透明性)の評価を行った。接着力は○、△、?の3段階で評価した。耐熱性はガラス転移温度(Tg)を測定し、90℃以上を○、90℃未満を×とした。耐熱黄変性は試料を80℃500時間入れた前後の色差を測定しΔYで比較し、0.1未満が○、0.1以上0.5以下が△、0.5以上が?とした。
実施例2
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例2で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例3
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例3で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例4
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例4で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例5
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例5で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例6
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例6で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例7
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例7で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例8
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例8で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例9
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例9で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例10
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例10で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いた他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
比較例1
合成例1で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物の代わりに芳香環が含まれない脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学社製2021P)を使用した他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
比較例2
合成例1で作製した芳香環含有脂環式エポキシ化合物の代わりに芳香環含有グリシジル化合物であるビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日鐵化学社製YD−128)を使用した他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
比較例3
芳香環含有脂環式エポキシ化合物として合成例11で合成した化合物(芳香環に酸素原子が直接結合している)を使用した他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
比較例4
芳香環含有脂環式エポキシ化合物としてビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートを使用した他は実施例1と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例1〜10、比較例1〜4の評価結果を表1にまとめた。
Figure 0005240352
比較例2の接着性が著しく悪い結果となった。これはグリシジルエーテルがカチオン硬化においてはあまり硬化性がよくないと言われており、それを反映した結果であると考えられる。
耐熱性については芳香環を含む化合物を使用したものが耐熱性良好である傾向が見られた。比較例1は芳香環が含まれていないにも関わらず耐熱性が良好であるが、これは脂環式エポキシ(3,4−エポキシシクロヘキサン環)をつなぐ連結基が短く、連結基に由来する耐熱性の低さがあらわれていないためと考えられる。比較例2では芳香環が含まれているにも関わらず耐熱性が悪いが、これはグリシジルエーテルの硬化性がよくないことが影響していると考えられる。
耐熱黄変性においては比較例1〜4が実施例1〜10に劣る結果となった。耐熱試験時の着色は一般的に芳香環が含まれるほど悪化する傾向であり、比較例2,3はそれを支持する結果であるが、実施例1〜10は芳香環を含有しているにもかかわらず、芳香環を含まない比較例1,4よりも耐熱試験時の着色が少ない結果となっている。これは、同じ芳香族であっても、比較例2,3のような酸素原子などのヘテロ原子が芳香環に直接結合している化合物よりも、炭素原子が直接結合している化合物の方が着色しにくいことが考えられる。また、芳香環により膜が剛直になるため、着色時に起きている何らかの化学反応を抑制した結果、芳香環を含まない比較例1よりも着色が少ない結果になったと推測される。
以上の結果から、本願発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いることで、耐熱性と透明性(耐熱黄変性で着色が少ない)を両立させることができた。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される香環含有脂環式エポキシ化合物と、光酸発生剤とを含むことを特徴とする接着剤
    一般式(1)
    Figure 0005240352


    (式中、Arは芳香族骨格を、Xは2価の脂肪族炭化水素基を、Yはエポキシ基を有する脂環族骨格を表し、nは1以上の整数である。)
  2. Arがベンゼン環であり、nが1〜6の整数であることを特徴とする、請求項1記載の接着剤
  3. Xがメチレン基(−CH2−)であることを特徴とする、請求項1または2記載の接着剤
  4. Yがエポキシシクロヘキサン環であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の接着剤
  5. 請求項1〜4いずれか記載の接着剤を用いて基材を接着してなることを特徴とする積層体。
  6. 基材が光学フィルムであることを特徴とする請求項記載の積層体。
  7. 請求項1〜4いずれか記載の接着剤を用いてポリビニルアルコール系偏光子の片面または両面に保護フィルムを接着してなることを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜4いずれか記載の接着剤の製造方法であって、下記一般式(2)で表される芳香環含有アルコールと、カルボキシ基を有し、非芳香族性の炭素−炭素二重結合が環を形成する結合の中に含まれる脂環式化合物、そのハロゲン化物、その酸無水物から選ばれる脂環式化合物とをエステル化反応させたのちに、非芳香族性の炭素−炭素二重結合をエポキシ化する工程を含むことを特徴とする、接着剤の製造方法。
    一般式(2)
    Figure 0005240352


    (式中、Arは芳香族骨格を、Xは2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは1以上の整数である。)
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