JP5240203B2 - マイクロ可動素子およびマイクロ可動素子アレイ - Google Patents

マイクロ可動素子およびマイクロ可動素子アレイ Download PDF

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Description

本発明は、微小な可動部を有する例えばマイクロミラー素子、加速度センサ、角速度センサ、振動素子などのマイクロ可動素子およびマイクロ可動素子アレイに関する。
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、角速度センサ、加速度センサなど、微小な可動部を有するマイクロ可動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバック開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。このようなマイクロ可動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開2003−19700号公報 特開2004−341364号公報 特開2006−72252号公報
図23から図25は、従来のマイクロ可動素子の一例たるマイクロ可動素子X3を表す。図23は、マイクロ可動素子X3の平面図であり、図24および図25は、各々、図23の線XXIV−XXIVおよび線XXV−XXVに沿った断面図である。
マイクロ可動素子X3は、揺動部40と、フレーム51と、一対のトーションバー52と、櫛歯電極53とを備え、マイクロミラー素子として構成されたものである。図の明確化の観点より、図23においては、揺動部40およびフレーム51についてハッチングを付して表す。
揺動部40は、ランド部41と、櫛歯電極42と、梁部43とを有し、揺動可能に設けられている。ランド部41の表面には、光反射機能を有するミラー面41aが設けられている。櫛歯電極42は、本素子の駆動機構における可動電極を構成し、導電性を付与されたシリコン材料よりなる。梁部43は、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、ランド部41および櫛歯電極42を連結する。
フレーム51は、揺動部40を囲む形状を有し、導電性を付与されたシリコン材料よりなる。
一対のトーションバー52は、揺動部40ないしランド部41の揺動動作の軸心A3を規定する。各トーションバー52は、揺動部40の梁部43およびフレーム51に接続してこれらを連結する。また、トーションバー52は、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、フレーム51と梁部43とを電気的に接続する機能を有する。
櫛歯電極53は、櫛歯電極42と協働して静電引力を発生するための部位であり、図25に表れているように、絶縁膜54を介してフレーム51に固定されている。すなわち、櫛歯電極53は、本素子の駆動機構における固定電極を構成する。このような櫛歯電極53は、導電性を付与されたシリコン材料よりなる。また、絶縁膜54は酸化シリコンよりなり、絶縁膜54の厚さは0.5μmである。櫛歯電極42,53は、揺動部40の例えば非動作時には、図24および図25に示すように、互いに異なる高さに位置する。非動作における櫛歯電極42,53間の離隔距離は3μm程度である。また、櫛歯電極42,53は、揺動部40の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯が位置ずれした態様で配されている。
マイクロ可動素子X3においては、櫛歯電極42,53の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部40ないしランド部41を軸心A3まわりに回転変位させることができる。櫛歯電極42に対する電位付与は、フレーム51、両トーションバー52、および梁部43を介して実現することができ、櫛歯電極42はグラウンド接続されている。櫛歯電極42,53の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極42,53間に電界を形成して所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極42は櫛歯電極53に引き込まれる。そのため、揺動部40ないしランド部41は、軸心A3まわりに揺動動作し、電極間の静電引力と各トーションバー52の捩り抵抗力の総和とが釣り合う角度まで回転変位し得る。このような揺動動作における回転変位量を調節するには、櫛歯電極42,53への付与電位が調整される。また、櫛歯電極42,53間に作用する静電引力を消滅させると、各トーションバー52はその自然状態に復帰し、揺動部40ないしランド部41は、図25に表れているような配向をとる。以上のような揺動部40ないしランド部41の揺動駆動により、ランド部41上に設けられたミラー面41aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子X3を駆動するためには、上述のように櫛歯電極42,53間に電位差を生じさせて電界を発生させる必要があるところ、櫛歯電極42,53間に電位差が生ずるときには、櫛歯電極42と電気的に接続しているフレーム51と、櫛歯電極53との間にも、電位差が生ずる。そして、マイクロ可動素子X3を適切に駆動するためには、櫛歯電極42,53間に比較的大きな電位差を生じさせて比較的強い電界を発生させる必要があるところ、素子駆動時には、この電極間電界よりも更に強い電界が、フレーム51と櫛歯電極53の間に介在する絶縁膜54にて発生する傾向がある。絶縁膜54の誘電率が櫛歯電極42,53間のギャップの誘電率よりも大きいからである。また、絶縁膜54の厚さが櫛歯電極42,53間のギャップよりも小さいほど、絶縁膜54にて発生する電界は強い。
このように絶縁膜54にて発生する強い電界は、絶縁膜54の絶縁特性を劣化させる要因となる。そのため、マイクロ可動素子X3では、フレーム51および櫛歯電極53の間に介在してこれらを接合する絶縁膜54の絶縁特性は劣化しやすい。絶縁膜54の絶縁特性が劣化すると、マイクロ可動素子X3における駆動特性が劣化する。絶縁膜54の絶縁特性が劣化して絶縁膜54にて絶縁破壊が生ずると、マイクロ可動素子X3を駆動することができなくなる。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、駆動特性の劣化を抑制するのに適したマイクロ可動素子およびマイクロ可動素子アレイを提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、第1層部と、第2層部と、前記第1層部と前記第2層部との間に設けられた絶縁膜と、を備えるフレームと、第1駆動電極を有する可動部と、前記第1駆動電極との間に静電引力を発生させるための第2駆動電極と、前記第1駆動電極と電気的に接続している前記第2層部に由来する第1導体部と、前記第2駆動電極と電気的に接続している前記第2層部に由来する第2導体部と、前記第1および第2駆動電極と電気的に接続しておらず、前記第1導体部と前記絶縁膜を介して接合し、且つ、前記第2導体部と前記絶縁膜を介して接合している、前記第1層部に由来する第3導体部と、を備える。本マイクロ可動素子では、第1および第2駆動電極の各々に所定の電位を付与し、当該電極間に電界を形成して所望の静電引力を発生させることによって、可動部を動作させることができる。
本マイクロ可動素子においては、第1および第2駆動電極間に電位差を生じさせて電界を発生させると、これと共に、第1駆動電極と電気的に接続している第1導体部と、第2駆動電極と電気的に接続している第2導体部との間にも、電位差が生ずる。しかしながら、本マイクロ可動素子では、比較的大きな電位差が生じ得る第1および第2導体部は、単一の絶縁膜を介しては接合していない。本マイクロ可動素子では、第1導体部と絶縁膜を介して接合し且つ第2導体部と絶縁膜を介して接合している第3導体部が存在し、第1および第2導体部を機械的に連結する。そのため、本マイクロ可動素子では、第1および第3導体部の間の電位差ならびに第2および第3導体部の間の電位差を抑制することができ、従って、第1および第3導体部の間の絶縁膜(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、第2および第3導体部の間の絶縁膜(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能となる。例えば、一定の基準電位を第1導体部に付与し且つ一定の駆動電位を第2導体部に付与する場合、当該基準電位と駆動電位の間の中間電位を第3導体部に付与することによって、第1および第3導体部の間の電位差を抑制して第1絶縁膜にて発生する電界を抑制するとともに、第2および第3導体部の間の電位差を抑制して第2絶縁膜にて発生する電界を抑制することが可能である。例えば、一定の基準電位を第1導体部に付与し且つ可変の駆動電位を第2導体部に付与する場合、当該基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を第3導体部に付与することによって、第1および第3導体部の間の電位差を抑制して第1絶縁膜にて発生する電界を抑制するとともに、第2および第3導体部の間の電位差を抑制して第2絶縁膜にて発生する電界を抑制することが可能である(最大の駆動電位とは、基準電位との差が最大となる駆動電位である)。例えば、一定の基準電位を第2導体部に付与し且つ可変の駆動電位を第1導体部に付与する場合、当該基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を第3導体部に付与することによって、第1および第3導体部の間の電位差を抑制して第1絶縁膜にて発生する電界を抑制するとともに、第2および第3導体部の間の電位差を抑制して第2絶縁膜にて発生する電界を抑制することが可能である。
このようにして、第1導体部と他の導体部との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制ないし緩和するとともに、第2導体部と他の導体部との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制ないし緩和することが可能な、本マイクロ可動素子では、当該絶縁膜の絶縁特性の劣化は抑制される。このようなマイクロ可動素子は、絶縁特性の劣化に起因する駆動特性の劣化を抑制するのに適している。
好ましい実施の形態においては、本マイクロ可動素子は、フレームと、フレームおよび可動部を連結して可動部の揺動動作の軸心を規定する連結部とを更に備える。このようにして、本マイクロ可動素子は、いわゆるマイクロ揺動素子として構成されてもよい。この場合、本マイクロ可動素子は、追加フレームと、フレームおよび追加フレームを連結し、且つ、フレームの揺動動作の、軸心と交差する方向に延びる追加軸心を規定する、追加連結部と、フレームの揺動動作の駆動力を発生させるための駆動機構と、を更に備えてもよい。本マイクロ可動素子は、このような構成を具備するいわゆる二軸型揺動素子であってもよい。追加連結部は、好ましくは、第1導体部と電気的に接続している部位、第2導体部と電気的に接続している部位、および、第3導体部と電気的に接続している部位を含む。
第3導体部は、第1導体部と絶縁膜を介して接合する第1部位と、第2導体部と絶縁膜を介して接合する第2部位と、を含む、電気的に分離された複数の部位を有する。このような構成によると、上述の第1および第2絶縁膜の絶縁特性の劣化を抑制しやすい。
好ましくは、第1および第2駆動電極は、各々、櫛歯電極である。好ましくは、第1および第2駆動電極の間の離隔距離は、導体部間の絶縁膜の厚さよりも大きい。一般に、電位差のある導体部間に介在する絶縁膜においては当該絶縁膜が薄いほど強い電界が発生して不具合が生じやすいが、絶縁膜における電界緩和効果を享受することのできる本発明によると、このような構成をとりやすい。
本発明の第2の側面によるとマイクロ可動素子アレイが提供される。このマイクロ可動素子アレイは、本発明の第1の側面に係るマイクロ可動素子を複数含んでなる。好ましくは、複数のマイクロ可動素子における揺動部の第1駆動電極には、共通的に電位を付与可能であり、且つ、複数のマイクロ可動素子における第2駆動電極には、マイクロ可動素子ごとに個別に電位を付与可能である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。 図2は、図1に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。 図3は、図1の線III−IIIに沿った断面図である。 図4は、図1の線IV−IVに沿った拡大断面図である。 図5は、図1の線V−Vに沿った拡大断面図である。 図6は、図1の線VI−VIに沿った拡大断面図である。 図7は、図1の線VII−VIIに沿った拡大断面図である。 図8は、駆動時における図1の線III−IIIに沿った断面図である。 図9は、図1に示すマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。 図10は、図9の後に続く工程を表す。 図11は、マスクパターンの平面図である。 図12は、他のマスクパターンの平面図である。 図13は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイの平面図である。 図14は、図13の線XIV−XIVに沿った部分拡大断面図である。 図15は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイの部分平面図である。 図16は、図15に示すマイクロ可動素子アレイに含まれるマイクロ可動素子の平面図である。 図17は、図16に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。 図18は、図16の線XVIII−XVIIIに沿った拡大断面図である。 図19は、図16の線XIX−XIXに沿った拡大断面図である。 図20は、図16の線XX−XXに沿った拡大断面図である。 図21は、図16の線XXI−XXIに沿った拡大断面図である。 図22は、図16の線XXII−XXIIに沿った拡大断面図である。 図23は、従来のマイクロ可動素子の平面図である。 図24は、図23の線XXIV−XXIVに沿った断面図である。 図25は、図23の線XXV−XXVに沿った断面図である。
図1から図7は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1を表す。図1は、マイクロ可動素子X1の平面図であり、図2は、マイクロ可動素子X1の一部省略平面図である。図3は、図1の線III−IIIに沿った断面図である。図4から図7は、各々、図1の線IV−IV、線V−V、線VI−VI、および線VII−VIIに沿った拡大断面図である。
マイクロ可動素子X1は、揺動部10と、フレーム20と、一対の連結部31と、駆動電極32とを備え、本実施形態ではマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ可動素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)ウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁膜よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図2に示される構造は、マイクロ可動素子X1において第2シリコン層に由来するものである。
揺動部10は、ランド部11と、駆動電極12と、梁部13と、錘部14A,14B,14Cを有し、本発明における可動部を構成する。
ランド部11は、第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。ランド部11について図1に示す長さL1は、例えば20〜300μmである。
駆動電極12は、第1シリコン層に由来する部位であり、一対のアーム12A,12B、複数の電極歯12a、および複数の電極歯12bを有する。アーム12A,12Bは、図1に示す矢印D方向に平行である。電極歯12aは、図1および図4に示すようにアーム12Aからアーム12B側へ延出し、且つ、図1に示すようにアーム12Aの延び方向に離隔して並列する。電極歯12bは、アーム12Bからアーム12A側へ延出し、且つ、アーム12Bの延び方向に離隔して並列する。また、駆動電極12は、マイクロ可動素子X1の駆動時に所定の基準電位(例えばグラウンド電位)が付与されるための部位である。このような駆動電極12は、本発明における第1駆動電極を構成する。
梁部13は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11および駆動電極12を連結する。
錘部14Aは、駆動電極12のアーム12Aの先端に固定され、且つ、駆動電極12と電気的に接続されている。錘部14Bは、駆動電極12のアーム12Bの先端に固定され、且つ、駆動電極12と電気的に接続されている。錘部14Cは、図2に示すように第2シリコン層に由来する部位であり、ランド部11および駆動電極12の間において、図5に示すように絶縁膜15を介して駆動電極12に接合している。錘部14Cおよび駆動電極12は、絶縁膜15を貫通する導電ビア16を介して電気的に接続されている。
フレーム20は、例えば図3および図6に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21と、第2シリコン層に由来する第2層部22と、当該第1および第2層部21,22の間の絶縁膜23とからなる積層構造を有する。
フレーム20の第1層部21は、図1に示すように、空隙を介して分離した部分21a,21bからなり、揺動部10を部分的に囲む形状を有する。部分21aは、本発明における第3導体部である。
フレーム20の第2層部22は、例えば図2に示すように、空隙を介して分離した部分22a,22b,22cからなり、揺動部10を全体的に囲む形状を有するフレーム本体である。部分22bは、本発明における第2導体部である。部分22cは、本発明における第1導体部である。
第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22aは、図6に示すように、絶縁膜23を介して接合し且つ当該絶縁膜23を貫通する導電ビア24を介して電気的に接続されている。第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22bは、図6および図7に示すように、絶縁膜23を介して接合している。第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22cは、図6および図7に示すように、絶縁膜23を介して接合している。第1層部21の部分21bおよび第2層部22の部分22cは、図6に示すように、絶縁膜23を介して接合し且つ当該絶縁膜23を貫通する導電ビア25を介して電気的に接続されている。
連結部31は、各々、図1に示すように二本のトーションバー31aからなる。各トーションバー31aは、第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21bとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する。トーションバー31aにより、梁部13と部分21bとは電気的に接続される。各連結部31を構成する二本のトーションバー31aの間隔は、フレーム20の側から揺動部10の側にかけて漸増する。また、トーションバー31aは、図3に示すように、厚さ方向Hにおいて、揺動部10より薄肉であり、且つ、フレーム20の第1層部21よりも薄肉である。このような一対の連結部31は、揺動部10ないしランド部11の揺動動作の軸心A1を規定する。軸心A1は、図1に示す矢印D方向と、即ち、駆動電極12のアーム12A,12Bの延び方向と、直交する。フレーム20の側からランド部11の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー31aを含む各連結部31は、ランド部11の揺動動作における不要な変位成分の発生を抑制するのに好適である。
駆動電極32は、図2によく表れているように、第2シリコン層に由来する部位であり、アーム32A、複数の電極歯32a、および複数の電極歯32bからなる。アーム32Aは、フレーム20の第2層部22の部分22bから延出し、図1に示す矢印D方向に延びる。複数の電極歯32aは、駆動電極12のアーム12A側へアーム32Aから延出し、且つ、アーム32Aの延び方向に離隔して並列する。複数の電極歯32bは、駆動電極12のアーム12B側へアーム32Aから延出し、且つ、アーム32Aの延び方向に離隔して並列する。
マイクロ可動素子X1において、一対の駆動電極12,32は、揺動部10に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成する。当該駆動機構において、駆動電極12のアーム12A,12Bは、離隔して、軸心A1と直交する方向に延びる。一対のアーム12A,12Bは、駆動電極12,32からなる駆動機構の構造において、揺動部10に係る軸心A1の延び方向における最も外側の部位をなす。駆動電極32は、図1および図4に示すように、このようなアーム12A,12Bの離隔距離L2以内に設けられている。離隔距離L2は、例えば10〜300μmである。また、駆動電極12,32の離隔距離は、上述の絶縁膜23の厚さよりも大きい限りにおいて、例えば0.5〜20μmである。
マイクロ可動素子X1の揺動部10においては、ランド部11よりも疎な構造をとる駆動電極12がランド部11と錘部14A,14Bとの間に位置するように、ランド部11、駆動電極12、および錘部14A,14Bは配列されている。このような揺動部10の揺動動作の軸心A1は、ランド部10および駆動電極12の間の梁部13に接続してフレーム20と揺動部10とを連結する連結部31ないしトーションバー31aによって規定されるところ、相対的に疎な構造をとる駆動電極12の側に錘部14A,14Bが連結している構成によると、ランド部11および駆動電極12を含む揺動部10における軸心A1まわりの重量バランスをとりやすい(特に、図1に示す矢印D方向において軸心A1を中心として一方に延びる側と他方に延びる側との重量バランスをとりやすい)。
マイクロ可動素子X1の揺動部10は、このような錘部14A,14Bに加えて錘部14Cを有する。錘部14Cは、揺動部10の厚さ方向Hにおいて駆動電極12上に積層形成されたものである。このような錘部14Cは、ランド部11と、駆動電極12と、錘部14A,14Bとを含む揺動部10における軸心A1まわりの重量バランスをとるのに資する(特に、揺動部10の厚さ方向Hにおいて軸心A1を中心として一方の側に位置する構造部と他方の側に位置する構造部との重量バランスをとるのに資する)。
これら錘部14A,14B,14Cを具備することによって、マイクロ可動素子X1においては、揺動部10について軸心A1まわりの重量バランスがとられている。具体的には、揺動部10における軸心A1から図3中右側に位置する構造(ランド部11、梁部13の一部、および錘部14Cの一部を含む)の質量と、軸心A1から図3中左側に位置する構造(駆動電極12、梁部13の一部、錘部14A,14B、錘部14Cの一部を含む)の質量とが等しくなり(すなわち、揺動部10における軸心A1から図1中上側に位置する構造の質量と、軸心A1から図1中下側に位置する構造の質量とが等しくなり)、且つ、揺動部10における軸心A1から図3中上側に位置する構造(ランド部11の一部、駆動電極12の一部、梁部13の一部、および錘部14A,14Bの一部を含む)の質量と、軸心A1から図3中下側に位置する構造(ランド部11の一部、駆動電極12の一部、梁部13の一部、錘部14A,14Bの一部、および錘部14Cを含む)の質量とが等しくなるように、ランド部11、駆動電極12、および梁部13に加えて揺動部10に錘部14A,14B,14Cが設けられている。
マイクロ可動素子X1の駆動時には、揺動部10の駆動電極12に基準電位を付与し、駆動電極32に駆動電位を付与し、フレーム20の第1層部21の部分21aに中間電位を付与する。
駆動電極12に対する基準電位の付与は、フレーム20における第2層部22の部分22c(例えば図2および図6に示す)、導電ビア25、第1層部21の21b、連結部31のトーションバー31a(例えば図1に示す)、および、揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。基準電位は、例えばグラウンド電位または−V1であり、一定に維持される。そして、駆動電位を駆動電極32に付与することにより、駆動電極12,32間(電極歯12a,32a間,電極歯12b,32b間)に静電引力を発生させることができる。駆動電極32に対する電位付与は、フレーム20における第2層部22の部分22b(例えば図2に示す)を介して実現することができる。基準電位がグラウンド電位である場合、駆動電位は例えば0〜V2であり、基準電位が−V1である場合、駆動電位は例えば−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である。また、このような素子駆動時には、フレーム20の第1層部21の部分21aには、基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を付与する(最大の駆動電位とは、基準電位との差が最大となる駆動電位である)。部分21aに対する中間電位の付与は、フレーム20の第2層部22の部分22a(図2および図6に示す)および導電ビア24を介して実現することができる。基準電位がグラウンド電位であり且つ駆動電位が0〜V2である場合、中間電位は例えばV2/2である。基準電位が−V1であり且つ駆動電位が−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である場合、中間電位は例えばグラウンド電位である。
駆動電極12,32間に所定以上の電位差が生じて所定以上の静電引力が発生すると、駆動電極12は駆動電極32に引き込まれる。そのため、揺動部10ないしランド部11は、軸心A1まわりに揺動動作し、当該静電引力と各トーションバー31aの捩り抵抗力の総和とが釣り合う角度まで回転変位する。釣り合い状態においては、駆動電極12,32は、例えば図8に示す配向をとる。このような揺動動作における回転変位量は、駆動電極32に対して付与する駆動電位を調整することにより、調節することができる。また、駆動電極12,32間の静電引力を消滅させると、各トーションバー31aはその自然状態に復帰し、揺動部10ないしランド部11は、図3に表れているような配向をとる。以上のような揺動部10ないしランド部11の揺動駆動により、ランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子X1においては、駆動電極12,32間に電位差を生じさせて電界を発生させると、これと共に、駆動電極12と電気的に接続しているフレーム20の第2層部22部の部分22c(第1導体部)と、駆動電極32と電気的に接続しているフレーム20の第2層部22の部分22b(第2導体部)との間にも、電位差が生ずる。しかしながら、マイクロ可動素子X1では、比較的大きな電位差が生じ得る部分22b,22cは、単一の絶縁膜を介しては接合していない。マイクロ可動素子X1では、部分22cと絶縁膜23(第1絶縁膜)を介して接合し且つ部分22bと絶縁膜23(第2絶縁膜)を介して接合している、フレーム20の第1層部21の部分21a(第3導体部)が存在し、部分22b,22cを機械的に連結している。そのため、マイクロ可動素子X1では、部分21a,22c間の電位差および部分21a,22b間の電位差を抑制することができ、従って、部分21a,22c間の絶縁膜23にて発生する電界を抑制するとともに、部分21a,22b間の絶縁膜23にて発生する電界を抑制することが可能となる。具体的には、部分22cに基準電位が付与され且つ部分22bに可変の駆動電位が付与される場合、当該基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を部分21aに付与することによって、部分21a,22c間の電位差を抑制して絶縁膜23(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分21a,22b間の電位差を抑制して絶縁膜23(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能なのである。
このようにして、部分22c(第1導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分22b(第2導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能な、マイクロ可動素子X1では、当該絶縁膜23の絶縁特性の劣化は抑制される。このようなマイクロ可動素子X1は、絶縁特性の劣化に起因する駆動特性の劣化を抑制するのに適している。
マイクロ可動素子X1の駆動時には、駆動電極32に基準電位を付与し、揺動部10の駆動電極12に駆動電位を付与し、フレーム20の第1層部21の部分21aに中間電位を付与してもよい。この場合、駆動電極32に付与される基準電位は、例えばグラウンド電位や−V1であり、一定に維持される。基準電位がグラウンド電位である場合、駆動電極12に付与される駆動電位は例えば0〜V2であり、部分21aに付与される中間電位は例えばV2/2である。基準電位が−V1である場合、駆動電極12に付与される駆動電位は例えば−V1〜V3(|−V1|=|V3|)であり、部分21aに付与される中間電位は例えばグラウンド電位である。
マイクロ可動素子X1においては、錘部14A,14B,14Cを具備することによって上述のように揺動部10の重量バランスがとられているため、当該揺動部10の揺動動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
マイクロ可動素子X1においては、駆動電極12の一部を構成するアーム12A,12Bは、駆動電極12,32からなる駆動機構の構造において、揺動部10に係る軸心A1の延び方向における最も外側の部位をなし、且つ、素子駆動時には、アーム12A,12Bを含む駆動電極12に対して基準電位(例えばグラウンド電位)が付与されている。このようなアーム12A,12B間の離隔距離L2以内に、駆動電極32は設けられている。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に駆動電極32から発する電界は、駆動電極12のアーム12A,12Bによって吸収されやすい(即ち、駆動電極32から発する電界は、アーム12A,12Bを越えて駆動機構外に漏出しにくい)。したがって、マイクロ可動素子X1は、その駆動時に素子外への電界漏れを抑制するのに適する。このようなマイクロ可動素子X1は、素子密度の高いマイクロ可動素子アレイを構成するうえで好ましい。当該マイクロ可動素子アレイでは、複数のマイクロ可動素子X1を一次元的に配してもよいし、二次元的に配してもよい。
マイクロ可動素子X1においては、駆動電極12と、揺動部10の錘部14Cと、フレーム20における第1層部21の部分21bおよび第2層部22の22cとは、電気的に接続されている。したがって、素子駆動時には、駆動電極12と共に、錘部14C、第1層部21の部分21b、および第2層部22の部分22cにも基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に駆動電極32から例えばランド部11側へ発する電界は、錘部14Cによって吸収されやすい(即ち、錘部14Cは電界シールドとしても機能し、当該電界は錘部14Cを越えて例えばランド部11に至りにくい)。また、素子駆動時に駆動電極32から発する電界は、第1層部21の部分21bによって吸収されやすい(即ち、部分21bは電界シールドとしても機能し、当該電界は、フレーム20の第1層部21の部分21bを越えては素子外に漏出しにくい)。加えて、素子駆動時に駆動電極32から発する電界は、第2層部22の部分22cによって吸収されやすい(即ち、部分22cは電界シールドとしても機能し、当該電界は、フレーム20の第2層部22の部分22cを越えては素子外に漏出しにくい)。これら電界吸収効果は、素子外への電界漏れを抑制するのに資する。
マイクロ可動素子X1においては、フレーム20内において比較的大きな電位差が生じ得る部分22b(第2導体部)と部分22c(第1導体部)が、部分22cと絶縁膜23を介して接合し且つ部分22bと絶縁膜23を介して接合している部分21a(第3導体部)によって機械的に連結される構成に代えて、部分22cと絶縁膜23を介して接合している第1部位と、部分22bと絶縁膜23を介して接合している第2部位とを含む、電気的に分離されて絶縁膜を介して連なる複数の部位によって、部分22b(第2導体部)と部分22c(第1導体部)を機械的に連結してもよい。このような構成によると、上述の部分22b,22cに接する絶縁膜23の絶縁特性の劣化を抑制しやすい。
図9および図10は、マイクロ可動素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロ可動素子X1を製造するための一手法である。図9および図10においては、図10(d)に示すランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ可動素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部Lは、ランド部11の一部に相当する。梁部Bは、梁部13に相当し、梁部13の横断面を表す。フレームF1,F2は、各々、フレーム20に相当し、フレーム20の横断面を表す。連結部C1は、連結部31に相当し、トーションバー31aの延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部31に相当し、トーションバー31aの横断面を表す。電極E1は、駆動電極12の一部に相当し、電極歯12a,12bの横断面を表す。電極E2は、駆動電極32の一部に相当し、電極歯32a,32bの横断面を表す。
マイクロ可動素子X1の製造においては、まず、図9(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハであり、図外において導電ビア16,24,25が予め埋め込み形成されたものである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
次に、図9(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aを形成する。ミラー面11aの形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aをパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。
次に、図9(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき揺動部10(ランド部11、梁部13、駆動電極12、錘部14A,14Bを含む)およびフレーム20の一部等に対応する図11に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部31に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべきフレーム20の一部、駆動電極32、および錘部14Cに対応する図12に示すパターン形状を有する。
次に、図9(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC48ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
次に、図10(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
次に、図10(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、揺動部10(ランド部L、梁部B、電極E1を含む)、フレーム20(フレームF1,F2を含む)の一部(第1層部21)、および各連結部31(連結部C1,C2を含む)が、成形される。
次に、図10(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、フレーム20(フレームF1,F2を含む)の一部(第2層部22)、駆動電極32(電極E2を含む)、および錘部14Cが、成形される。
次に、図10(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
以上の一連の工程を経ることにより、ランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2などを成形してマイクロ可動素子X1を製造することができる。
図13は、第2の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイY1を表す。図14は、図13の線XIV−XIVに沿った、マイクロ可動素子アレイY1の部分拡大断面図である。
マイクロ可動素子アレイY1は、複数(本実施形態では4個)のマイクロ可動素子X1を含んでなる。マイクロ可動素子アレイY1において、複数のマイクロ可動素子X1は、軸心A1の方向に一列に(即ち一次元的に)配されている。したがって、マイクロ可動素子アレイY1では、複数のミラー面11aは、軸心A1の方向に一列に配されている。
マイクロ可動素子アレイY1において、フレーム20の第2層部22の部分22cは、全てのマイクロ可動素子X1にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ可動素子X1における駆動電極12と、揺動部10の錘部14Cと、フレーム20の第1層部21の部分21bとは、電気的に接続されている。また、マイクロ可動素子アレイY1において、各マイクロ可動素子X1におけるフレーム20の第1層部21の部分21aは、隣り合う一つのマイクロ可動素子X1におけるフレーム20の第1層部21の部分21aと連続している。
マイクロ可動素子アレイY1の駆動時には、全てのマイクロ可動素子X1における揺動部10の駆動電極12に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ可動素子X1の駆動電極32に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ可動素子X1の揺動部10ないしランド部11が個別に揺動駆動され、各マイクロ可動素子X1のランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。各マイクロ可動素子X1の駆動手法については、具体的には、第1の実施形態に関して上述したとおりである。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1においては、部分22c(第1導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分22b(第2導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能であり、当該絶縁膜23の絶縁特性の劣化は抑制される。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1においては、錘部14A,14B,14Cを具備することによって揺動部10の重量バランスがとられているため、各揺動部10の揺動動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1では、駆動機構(駆動電極12,32)の構造において軸心A1の延び方向における最も外側の部位をなし且つ素子駆動時に基準電位(例えばグラウンド電位)が付与されているアーム12A,12B間の離隔距離L2以内に、駆動電極32は設けられているため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して素子駆動時に駆動電極32から発する電界は、当該駆動電極12のアーム12A,12Bによって吸収されやすく、当該素子外への電界漏れは抑制される。したがって、マイクロ可動素子アレイY1においては、一のマイクロ可動素子X1の駆動機構(駆動電極12,32)からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ可動素子X1の駆動特性に不当な影響を与えることが、抑制される。このようなマイクロ可動素子アレイY1は、複数のマイクロ可動素子X1について、従って、複数のミラー面11aについて、短い配設ピッチを実現するのに適する。すなわち、マイクロ可動素子アレイY1は、マイクロ可動素子X1ないしミラー面11aの高密度化を図るのに適するのである。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1では、駆動電極12のアーム12A,12Bに加えて錘部14C、第1層部21の部分21b、第2層部22の部分22cも電界吸収効果を発揮することができる。これらによる電界吸収効果も、マイクロ可動素子アレイY1における一のマイクロ可動素子X1の駆動機構(駆動電極12,32)からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ可動素子X1の駆動特性に不当な影響を与えることを抑制するのに、資する。
図15は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイY2の部分平面図である。マイクロ可動素子アレイY2は、複数のマイクロ可動素子X2を含んでなる。マイクロ可動素子アレイY2において、複数のマイクロ可動素子X2は、一列に(即ち一次元的に)配されている。
図16から図22は、マイクロ可動素子アレイY2を構成するマイクロ可動素子X2を表す。図16は、マイクロ可動素子X2の平面図であり、図17は、マイクロ可動素子X2の一部省略平面図である。図18から図22は、各々、図16の線XVIII−XVIII、線XIX−XIX、線XX−XX、線XXI−XXI、および線XXII-XXIIに沿った断面図である。
マイクロ可動素子X2は、揺動部10と、フレーム20’と、一対の連結部31と、駆動電極32と、フレーム40と、一対の連結部33,34と、駆動電極35,36とを備え、本実施形態ではマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ可動素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって得られたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動素子X2における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図16においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図17に示される構造は、マイクロ可動素子X2において第2シリコン層に由来するものである。
マイクロ可動素子X2は、フレーム20に代えてフレーム20’を備える点、および、フレーム40と、一対の連結部33,34と、駆動電極35,36とを追加的に備える点において、第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1と異なる。マイクロ可動素子X2における揺動部10、一対の連結部31、および駆動電極32は、マイクロ可動素子X1における揺動部10、一対の連結部31、および駆動電極32と、同様である。
フレーム20’は、第1層部21が部分21c,21dを有し且つ第2層部22が部分22aを有しない点において、第1の実施形態におけるフレーム20と実質的に異なる。部分21cは、図16および図18に示すように、第1層部21において、空隙を介して部分21aから分離している。図18に示すように、部分21cは、絶縁膜23を貫通する導電ビア26を介して、フレーム20’の第2層部22の部分22bと電気的に接続されている。部分21dは、図16に示すように、フレーム20の端部に位置し、図16に示す矢印D方向に延びる部位を有し、図21に示すように、絶縁膜23を貫通する導電ビア27を介して第2層部22の部分22cと電気的に接続されている。
フレーム40は、図19および図20に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部41と、第2シリコン層に由来する第2層部42と、当該第1および第2層部41,42の間の絶縁膜43とからなる積層構造を有する。
フレーム40の第1層部41は、図16、図19、および図22に示すように、空隙を介して分離した部分41a,41b,41c,41dからなる(部分41a,41cは図外で連続していてもよい)。部分41cは、本発明における第3導体部である。
フレーム40の第2層部42は、図17、図19、および図22に示すように、空隙を介して分離した部分42a,42b,42c,42d,42eからなる。部分42dは、本発明における第1導体部である。部分42eは、本発明における第2導体部である。
第1層部41の部分41aおよび第2層部42の部分42aは、図19に示すように、絶縁膜43を介して接合し、且つ、当該絶縁膜43を貫通する導電ビア44を介して電気的に接続されている。第1層部41の部分41bおよび第2層部42の部分42bは、図19に示すように、絶縁膜43を介して接合し、且つ、当該絶縁膜43を貫通する導電ビア45を介して電気的に接続されている。第1層部41の部分41cおよび第2層部42の部分42cは、図22に示すように、絶縁膜43を介して接合し、且つ、当該絶縁膜43を貫通する導電ビア46を介して電気的に接続されている。第1層部41の部分41dおよび第2層部42の部分42dは、図22に示すように、絶縁膜43を介して接合し、且つ、当該絶縁膜43を貫通する導電ビア47を介して電気的に接続されている。また、第1層部41の部分41cおよび第2層部42の部分42dは、図20および図22に示すように、絶縁膜43を介して接合している。第1層部41の部分41cおよび第2層部42の部分42eは、絶縁膜43を介して接合している。
連結部33は、図16に示すように二本のトーションバー33a,33bからなる。トーションバー33aは、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20’の第1層部21の部分21aとフレーム40の第1層部41の部分41aとに接続して、フレーム20’,40を連結する。トーションバー33aにより、部分21a,41aは電気的に接続される。トーションバー33bは、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20’の第1層部21の部分21cとフレーム40の第1層部41の部分41bとに接続して、フレーム20’,40を連結する。トーションバー33bにより、部分21c,41bは電気的に接続される。二本のトーションバー33a,33bの間隔は、フレーム40の側からフレーム20’の側にかけて漸増する。また、トーションバー33a,33bは、第1の実施形態における連結部31のトーションバー31aと同様に薄肉である。
連結部34は、図16に示すように二本のトーションバー34aからなる。各トーションバー34aは、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20’の第1層部21の部分21dとフレーム40の第1層部41の部分41dとに接続して、フレーム20’,40を連結する。トーションバー34aにより、部分21d,41dは電気的に接続される。二本のトーションバー34aの間隔は、フレーム40の側からフレーム20’の側にかけて漸増する。また、トーションバー34aは、第1の実施形態における連結部31のトーションバー31aと同様に薄肉である。
これら一対の連結部33,34は、フレーム20’の揺動動作の軸心A2を規定する。軸心A2は、図16に示す矢印D方向に延びる。フレーム40の側からフレーム20’の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー33a,33bを含む連結部33、および、フレーム40の側からフレーム20’の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー34aを含む連結部34は、フレーム20’の揺動動作における不要な変位成分の発生を抑制するのに好適である。
駆動電極35は、第1シリコン層に由来する部位であり、複数の電極歯35aからなる。複数の電極歯35aは、フレーム20’における部分21dから駆動電極36側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
駆動電極36は、第2シリコン層に由来する部位であり、アーム36Aおよび複数の電極歯36aからなる。アーム36Aは、例えば図17に示すように、フレーム40における第2層部41の部分42eから延出し、軸心A2の延び方向に延びる。複数の電極歯36aは、アーム36Aから駆動電極35側へ延出し、且つ、アーム36Aの延び方向に離隔して並列する。
マイクロ可動素子X2において、一対の駆動電極12,32は、揺動部10に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し、且つ、一対の駆動電極35,36は、フレーム20’に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成する。
マイクロ可動素子X1の駆動時には、揺動部10の駆動電極12,35に基準電位を付与し、駆動電極32に第1駆動電位を付与し、駆動電極36に第2駆動電極を付与し、フレーム20’の第1層部21の部分21aとフレーム40の第1層部41の部分41cとに中間電位を付与する。
駆動電極12に対する基準電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42d(例えば図22に示す)、導電ビア47、第1層部41d、連結部34のトーションバー34a(図16に示す)、フレーム20’における第1層部21の部分21d、導電ビア27(図21に示す)、第2層部22の部分22c、導電ビア25(第1の実施形態に関して図6に示す)、第1層部21の部分21b、連結部31のトーションバー31a(図16に示す)、および、揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。この基準電位は、例えばグラウンド電位または−V1であり、一定に維持される。
駆動電極35に対する基準電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42d、導電ビア47、第1層部41d、連結部34のトーションバー34a、およびフレーム20’における第1層部21の部分21dを介して実現することができる。駆動電極12,35は電気的に接続されている。
駆動電極32に対する第1駆動電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42b(例えば図19に示す)、導電ビア45、第1層部41の部分41b、連結部33のトーションバー33b(図16に示す)、フレーム20’における第1層部21の21c、導電ビア26(図18に示す)、および第2層部22の部分22bを介して実現することができる。基準電位がグラウンド電位である場合、第1駆動電位は例えば0〜V2であり、基準電位が−V1である場合、第1駆動電位は例えば−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である。
駆動電極36に対する第2駆動電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42eを介して、駆動電極32に対する電位付与とは独立に実現することができる。基準電位がグラウンド電位である場合、第2駆動電位は例えば0〜V2であり、基準電位が−V1である場合、第2駆動電位は例えば−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である。
フレーム20’の第1層部21の部分21a(例えば図18に示す)に対する中間電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42a(例えば図19に示す)、導電ビア44、第1層部41の部分41a、連結部33のトーションバー33a(図16に示す)、およびフレーム20’における第1層部21の部分21aを介して実現することができる。フレーム20’における第2層部22の部分22cに付与される基準電位がグラウンド電位であり、且つ、フレーム20’における第2層部22の部分22bに付与される第1駆動電位が0〜V2である場合、部分21aに対して付与されるこの中間電位は例えばV2/2である。フレーム20’における第2層部22の部分22cに付与される基準電位が−V1であり、且つ、フレーム20’における第2層部22の部分22bに付与される第1駆動電位が−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である場合、部分21aに対して付与されるこの中間電位は例えばグラウンド電位である。
フレーム40の第1層部41の部分41c(例えば図22に示す)に対する中間電位の付与は、フレーム40における第2層部42の部分42cおよび導電ビア46を介して実現することができる。フレーム40における第2層部42の部分42dに付与される基準電位がグラウンド電位であり、且つ、フレーム40における第2層部42の部分42eに付与される第2駆動電位が0〜V2である場合、部分41cに対して付与されるこの中間電位は例えばV2/2である。フレーム40における第2層部42の部分42dに付与される基準電位が−V1であり、且つ、フレーム40における第2層部42の部分42eに付与される第2駆動電位が−V1〜V3(|−V1|=|V3|)である場合、部分41cに対して付与されるこの中間電位は例えばグラウンド電位である。
マイクロ可動素子X2においては、第1駆動電位を駆動電極32に対して必要に応じて付与することにより、駆動電極12,32間に静電引力を発生させて揺動部10を軸心A1まわりに揺動駆動することができ、また、第2駆動電位を駆動電極36に対して必要に応じて付与することにより、駆動電極35,36間に静電引力を発生させてフレーム20’およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに揺動駆動することができる。マイクロ可動素子X2は、いわゆる二軸型の揺動素子である。二軸型の揺動駆動により、マイクロ可動素子X2のランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子X2においては、駆動電極12,32間に電位差を生じさせて電界を発生させると、これと共に、駆動電極12と電気的に接続しているフレーム20’の第2層部22部の部分22c(第1導体部)と、駆動電極32と電気的に接続しているフレーム20’の第2層部22の部分22b(第2導体部)との間にも、電位差が生ずる。しかしながら、マイクロ可動素子X2では、比較的大きな電位差を生じ得る部分22b,22cは、単一の絶縁膜を介しては接合していない。マイクロ可動素子X2では、部分22cと絶縁膜23(第1絶縁膜)を介して接合し且つ部分22bと絶縁膜23(第2絶縁膜)を介して接合している、フレーム20’の第1層部21の部分21a(第3導体部)が存在し、部分22b,22cを機械的に連結している。そのため、マイクロ可動素子X2では、部分21a,22c間の電位差および部分21a,22b間の電位差を抑制することができ、従って、部分21a,22c間の絶縁膜23にて発生する電界を抑制するとともに、部分21a,22b間の絶縁膜23にて発生する電界を抑制することが可能となる。具体的には、部分22bに基準電位が付与され且つ部分22cに可変の駆動電位が付与される場合、当該基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を部分21aに付与することによって、部分21a,22c間の電位差を抑制して絶縁膜23(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分21a,22b間の電位差を抑制して絶縁膜23(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能なのである。
このようにして、部分22c(第1導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分22b(第2導体部)と他の導体部(部分21a)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜23(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能な、マイクロ可動素子X2では、当該絶縁膜23の絶縁特性の劣化は抑制される。このようなマイクロ可動素子X2は、絶縁特性の劣化に起因する駆動特性の劣化を抑制するのに適している。
マイクロ可動素子X2においては、駆動電極35,36間に電位差を生じさせて電界を発生させると、これと共に、駆動電極35と電気的に接続しているフレーム40の第2層部42の部分42d(第1導体部)と、駆動電極36と電気的に接続しているフレーム40の第2層部42の部分42e(第2導体部)との間にも、電位差が生ずる。しかしながら、マイクロ可動素子X2では、比較的大きな電位差を生じ得る部分42d,42eは、単一の絶縁膜を介しては接合していない。マイクロ可動素子X2では、部分42dと絶縁膜43(第1絶縁膜)を介して接合し且つ部分42eと絶縁膜43(第2絶縁膜)を介して接合している、フレーム40の第1層部41の部分41c(第3導体部)が存在し、部分42d,42eを機械的に連結している。そのため、マイクロ可動素子X2では、部分41c,42d間の電位差および部分41c,42e間の電位差を抑制することができ、従って、部分41c,42d間の絶縁膜43にて発生する電界を抑制するとともに、部分41c,42e間の絶縁膜43にて発生する電界を抑制することが可能となる。具体的には、部分42dに基準電位が付与され且つ部分42eに可変の駆動電位が付与される場合、当該基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位を部分41cに付与することによって、部分41c,42d間の電位差を抑制して絶縁膜43(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分41c,42e間の電位差を抑制して絶縁膜43(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能なのである。
このようにして、部分42d(第1導体部)と他の導体部(部分41c)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜43(第1絶縁膜)にて発生する電界を抑制するとともに、部分42e(第2導体部)と他の導体部(部分41c)との間に介在して両導体部を電気的に分離する絶縁膜43(第2絶縁膜)にて発生する電界を抑制することが可能な、マイクロ可動素子X2では、当該絶縁膜の絶縁特性の劣化は抑制される。このようなマイクロ可動素子X2は、絶縁特性の劣化に起因する駆動特性の劣化を抑制するのに適している。
第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1の構成を実質的に全て具備するマイクロ可動素子X2においては、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、各揺動部10の揺動動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1の構成を実質的に全て具備するマイクロ可動素子X2においては、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、素子駆動時に駆動電極32から発する電界の素子外への漏出は抑制される。
図15に示すマイクロ可動素子アレイY2は、このようなマイクロ可動素子X2を複数含んでなる。マイクロ可動素子アレイY2において、複数のマイクロ可動素子X2は、全ての軸心A2(図15には図示せず)が相互に平行となるように一列に配されている。
マイクロ可動素子アレイY2において、フレーム40の第2層部42の部分42dは、全てのマイクロ可動素子X2にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ可動素子X2における、部分42dと電気的に接続している駆動電極12は電気的に接続され、且つ、全てのマイクロ可動素子X2における、部分42dと電気的に接続している駆動電極35は電気的に接続されている。そのため、マイクロ可動素子アレイY2の駆動時には、全てのマイクロ可動素子X2における揺動部10の駆動電極12,35に対して共通的に所定の基準電位を付与することができる。そして、全てのマイクロ可動素子X2における揺動部10の駆動電極12,35に対して共通的に所定の基準電位を付与した状態で、選択されたマイクロ可動素子X2の駆動電極32,36の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ可動素子X2の揺動部10およびフレーム20’が個別に揺動駆動され、各マイクロ可動素子X2のランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子アレイY2の各マイクロ可動素子X2においては、上述のように、素子駆動時に駆動電極32から発する電界の素子外への漏出は抑制される。したがって、マイクロ可動素子アレイY2においては、一のマイクロ可動素子X2の駆動機構(駆動電極12,32)からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ可動素子X2の駆動特性に不当な影響を与えることが、抑制される。このようなマイクロ可動素子アレイY2は、複数の二軸型のマイクロ可動素子X2について、従って、複数のミラー面11aについて、短い配設ピッチを実現するのに適する。すなわち、マイクロ可動素子アレイY2は、マイクロ可動素子X2ないしミラー面11aの高密度化を図るのに適するのである。

Claims (10)

  1. 第1層部と、第2層部と、前記第1層部と前記第2層部との間に設けられた絶縁膜と、を備えるフレームと
    第1駆動電極を有する可動部と、
    前記第1駆動電極との間に静電引力を発生させるための第2駆動電極と、
    前記第1駆動電極と電気的に接続している前記第2層部に由来する第1導体部と、
    前記第2駆動電極と電気的に接続している前記第2層部に由来する第2導体部と、
    前記第1および第2駆動電極と電気的に接続しておらず、前記第1導体部と前記絶縁膜を介して接合し、且つ、前記第2導体部と前記絶縁膜を介して接合している、前記第1層部に由来する第3導体部と、を備えるマイクロ可動素子。
  2. 前記第1導体部には基準電位が付与され、前記第2導体部には可変の駆動電位が付与され、前記第3導体部には、前記基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位が付与される、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
  3. 前記第2導体部には基準電位が付与され、前記第1導体部には可変の駆動電位が付与され、前記第3導体部には、前記基準電位と最大の駆動電位との間の中間電位が付与される、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
  4. 前記フレームおよび前記可動部を連結して前記可動部の揺動動作の軸心を規定する連結部と、を更に備える、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
  5. 追加フレームと、
    前記フレームおよび前記追加フレームを連結し、且つ、前記フレームの揺動動作の、前記軸心と交差する方向に延びる追加軸心を規定する、追加連結部と、
    前記フレームの前記揺動動作の駆動力を発生させるための駆動機構と、を更に備える、請求項4に記載のマイクロ可動素子。
  6. 前記追加連結部は、前記第1導体部と電気的に接続している部位、前記第2導体部と電気的に接続している部位、および、前記第3導体部と電気的に接続している部位を含む、請求項5に記載のマイクロ可動素子。
  7. 前記第3導体部は、前記第1導体部と絶縁膜を介して接合する第1部位と、前記第2導体部と絶縁膜を介して接合する第2部位と、を含む、電気的に分離された複数の部位を有する、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
  8. 前記第1および第2駆動電極の間の離隔距離は、前記絶縁膜の厚さよりも大きい、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
  9. 請求項1から8のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を複数含む、マイクロ可動素子アレイ。
  10. 前記複数のマイクロ可動素子における前記可動部の前記第1駆動電極には、共通的に電位を付与可能であり、且つ、前記複数のマイクロ可動素子における前記第2駆動電極には、マイクロ可動素子ごとに個別に電位を付与可能である、請求項9に記載のマイクロ可動素子アレイ。
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