近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、角速度センサ、加速度センサなど、微小な可動部を有するマイクロ可動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバッグ開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。このようなマイクロ可動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開2003−19700号公報
特開2004−341364号公報
特開2006−72252号公報
図24から図26は、従来のマイクロ可動素子の一例たるマイクロ可動素子Z1を表す。図24は、マイクロ可動素子Z1の平面図である。図25は、図24の線XXV−XXVに沿った断面図である。図26は、図24の線XXVI−XXVIに沿った拡大断面図である。
マイクロ可動素子Z1は、可動部81と、フレーム82と、一対のトーションバー83と、電極部84とを備え、マイクロミラー素子として構成されたものである。図の明確化の観点より、図24においては、可動部81、フレーム82、およびトーションバー83についてハッチングを付して表す。
可動部81は、ランド部81Aと、電極部81Bと、梁部81Cと、錘部81Dとを有し、回転変位動作可能に設けられている。ランド部81Aの表面には、光反射機能を有するミラー面81aが設けられている。電極部81Bは、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、複数の電極歯81bを含む櫛歯電極構造を有する。梁部81Cは、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、ランド部81Aおよび電極部81Bを連結する。錘部81Dは、可動部81について質量バランスをとるための部位である。相対的に密な構造をとるランド部81Aと相対的に疎な構造をとる電極部81Bとは梁部81Cを介して相対するところ、そのようなランド部81Aの側の質量と、そのような電極部81Bの側の質量とが、電極部81B側に位置する錘部81Dの存在によって同等化されている。
フレーム82は、図24に示すように、可動部81を囲む形状を有する。また、フレーム82は、図25および図26に示すように、第1層部82aと、第2層部82bと、これらの間の絶縁層82cとからなる積層構造を有する。第1層部82aおよび第2層部82bは、導電性を付与されたシリコン材料よりなる。
一対のトーションバー83は、可動部81の回転変位動作の軸心A3を規定する。各トーションバー83は、可動部81の梁部81Cおよびフレーム82の第1層部82aに接続してこれらを連結する。また、各トーションバー83は、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、フレーム82の第1層部82aと梁部81Cとを電気的に接続する機能を有する。
電極部84は、電極部81Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯84aからなる櫛歯電極構造を有する。電極部84は、図25に示すように、フレーム82の第2層部82bから延出する。
マイクロ可動素子Z1においては、電極部81B,84の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、可動部81を軸心A3まわりに回転変位動作させることができる。電極部81Bに対する電位付与は、フレーム82の第1層部82a、両トーションバー83、および梁部81Cを介して実現することができる。電極部84に対する電位付与は、フレーム82の第2層部82bを介して実現することができる。電極部81B,84の各々に所定の電位を付与することにより電極部81B,84間に電界を形成して所望の静電引力を発生させると、電極部81Bは電極部84に引き込まれる(このとき各トーションバー83は捩れる)。そのため、可動部81は、軸心A3まわりに回転変位動作する。また、電極部81B,84間に作用する静電引力を消滅させると、各トーションバー83はその自然状態に復帰する。以上のような可動部81についての駆動により、ランド部81A上に設けられたミラー面81aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子Z1では、可動部81は、各々が比較的細く且つ延び方向に配列する二本のトーションバー83の間に介在し、そのような二本のトーションバー83のみによってフレーム82に対して支持されている。そのため、マイクロ可動素子Z1における可動部81は、図24にて矢印Dで示す方向(非動作方向)に変位しやすい。このように可動部81が非動作方向に変位しやすいことは、可動部81について正確に回転変位動作させるうえで、好ましくない。
図27から図29は、従来のマイクロ可動素子の一例たるマイクロ可動素子Z2を表す。図27は、マイクロ可動素子Z2の平面図である。図28は、図27の線XXVIII−XXVIIIに沿った断面図である。図29は、図27の線XXIX−XXIXに沿った拡大断面図である。
マイクロ可動素子Z2は、可動部91と、フレーム92と、一対の連結部93と、電極部94とを備え、マイクロミラー素子として構成されたものである。図の明確化の観点より、図27においては、可動部91、フレーム92、および連結部93についてハッチングを付して表す。
可動部91は、ランド部91Aと、電極部91Bと、梁部91Cと、錘部91Dとを有し、回転変位動作可能に設けられている。ランド部91Aの表面には、光反射機能を有するミラー面91aが設けられている。電極部91Bは、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、複数の電極歯91bを含む櫛歯電極構造を有する。梁部91Cは、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、ランド部91Aおよび電極部91Bを連結する。錘部91Dは、可動部91について質量バランスをとるための部位である。相対的に密な構造をとるランド部91Aと相対的に疎な構造をとる電極部91Bとは梁部91Cを介して相対するところ、そのようなランド部91Aの側の質量と、そのような電極部91Bの側の質量とが、電極部91B側に位置する錘部91Dの存在によって同等化されている。
フレーム92は、図27に示すように、可動部91を囲む形状を有する。また、フレーム92は、図28および図29に示すように、第1層部92aと、第2層部92bと、これらの間の絶縁層92cとからなる積層構造を有する。第1層部92aおよび第2層部92bは、導電性を付与されたシリコン材料よりなる。
一対の連結部93は、可動部91の回転変位動作の軸心A4を規定する。各連結部93は、離隔する二本のトーションバー93aからなる。各連結部93を構成する二本のトーションバー93aの離隔距離は、フレーム92側から可動部91側にかけて漸増し、且つ、当該二本のトーションバー93aは、軸心A4を対称軸として線対称の位置に配されている。各トーションバー93aは、可動部91の梁部91Cおよびフレーム92の第1層部92aに接続してこれらを連結する。また、各トーションバー93aは、導電性を付与されたシリコン材料よりなり、フレーム92の第1層部92aと梁部91Cとを電気的に接続する機能を有する。
電極部94は、電極部91Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯94aからなる櫛歯電極構造を有する。電極部94は、図28に示すように、フレーム92の第2層部92bから延出する。
マイクロ可動素子Z2においては、電極部91B,94の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、可動部91を軸心A4まわりに回転変位動作させることができる。電極部91Bに対する電位付与は、フレーム92の第1層部92a、両トーションバー93a、および梁部91Cを介して実現することができる。電極部94に対する電位付与は、フレーム92の第2層部92bを介して実現することができる。電極部91B,94の各々に所定の電位を付与することにより電極部91B,94間に電界を形成して所望の静電引力を発生させると、電極部91Bは電極部94に引き込まれる(このとき各トーションバー93aは捩れる)。そのため、可動部91は、軸心A4まわりに回転変位動作する。また、電極部91B,94間に作用する静電引力を消滅させると、各トーションバー93aはその自然状態に復帰する。以上のような可動部91の駆動により、ランド部91A上に設けられたミラー面91aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子Z2における各連結部93は、フレーム92側から可動部91側にかけて離隔距離が漸増するように延びる二本のトーションバー93aからなる。このような連結部93は、図27にて矢印Dで示す方向に可動部91が変位するのを抑制する。そのため、マイクロ可動素子Z2の可動部91は、上述のマイクロ可動素子Z1の可動部81よりも、矢印D方向に変位(非動作方向変位)しにくい。
しかしながら、マイクロ可動素子Z2では、軸心A4まわりに回転変位動作可能な可動部91について、高い共振周波数を実現しにくい。可動部91について、軸心A4を回転軸とする小さな慣性モーメントを実現しにくいからである。
マイクロ可動素子Z2では、上述のように、各連結部93を構成する二本のトーションバー93aの離隔距離は、フレーム92側から可動部91側にかけて漸増し、且つ、当該二本のトーションバー93aは、軸心A4を対称軸として線対称の位置に配されている。このような構造を伴うマイクロ可動素子Z2では、連結部93について図30に示す最大幅Wの半分(W/2)以上の長さを、梁部91Cについて、軸心A4からランド部91A側に確保する必要がある。そのため、マイクロ可動素子Z2では、可動部91における密構造たるランド部91Aと軸心A4との間の離隔距離が長くなる傾向にある。ランド部91Aと軸心A4との間の離隔距離が長いほど、ランド部91Aひいては可動部91全体の、軸心A4を回転軸とする慣性モーメントは増大する。また、ランド部91Aと軸心A4との間の離隔距離が長いほど、可動部91において、軸心A4に対するランド部91A側と電極部91B側との質量バランスをとるための錘部91Dの質量(ないしサイズ)を増大させる必要があるところ、錘部91Dの質量が増大するほど、軸心A4を回転軸とする可動部91の慣性モーメントは増大する。そのため、可動部91においてランド部91Aと軸心A4との間の離隔距離が長くなる傾向にあるマイクロ可動素子Z2では、可動部91について、軸心A4を回転軸とする小さな慣性モーメントを実現しにくいのである。軸心A4を回転軸とする可動部91の慣性モーメントが大きいほど、可動部91は高速で回転変位動作しにくく、可動部91の共振周波数は低下する傾向にある。
図1から図5は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1を表す。図1は、マイクロ可動素子X1の平面図である。図2は、マイクロ可動素子X1の一部省略平面図である。図3は、図1の線III−IIIに沿った断面図である。図4および図5は、各々、図1の線IV−IVおよび線V−Vに沿った拡大断面図である。
マイクロ可動素子X1は、可動部10と、フレーム20と、一対の連結部30と、電極部40とを備え、本実施形態ではマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ可動素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)ウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図2に示される構造は、マイクロ可動素子X1において第2シリコン層に由来するものである。
可動部10は、ランド部11と、電極部12と、梁部13と、錘部14とを有する。
ランド部11は、第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。また、ランド部11について図1に示す長さd1は例えば100〜500μmであり、長さd2は例えば100〜1000μmである。
電極部12は、第1シリコン層に由来する部位であり、二本のアーム12aと、当該アーム12aから延出する複数の電極歯12bとを有する。このように、電極部12は櫛歯電極構造を有する。また、電極部12は、マイクロ可動素子X1の駆動時に所定の基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される部位である。
梁部13は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11および電極部12を連結する。
錘部14は、可動部10について質量バランスをとるための部位であり、電極部12のアーム12aの先端に固定されている。相対的に密な構造をとる上述のランド部11と相対的に疎な構造をとる上述の電極部12とは梁部13を介して相対するところ、そのようなランド部11の側の質量と、そのような電極部12の側の質量とを、電極部12側に錘部14を設けることよって同等化することが可能である。
フレーム20は、図3から図5に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21と、第2シリコン層に由来する第2層部22と、これらの間の絶縁層23とからなる積層構造を有する。第1層部21は、図1に示すように可動部10を部分的に囲む形状を有する。第2層部22は、可動部10を全体的に囲む形状を有するフレーム本体である。第2層部22は、図2に示すように、相互に離隔した部分22a,22bを有する。第1層部21および第2層部22の部分22aは、図5に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア24を介して電気的に接続されている。
一対の連結部30は、可動部10ないしランド部11の回転変位動作の軸心A1を規定するものであり、各々、図1に示すように二本のトーションバー31,32からなる。トーションバー31,32は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21とに接続して、可動部10およびフレーム20を連結する。また、トーションバー31,32は、図3に示すように、厚さ方向Hにおいて、可動部10より薄肉であり、且つ、フレーム20の第1層部21よりも薄肉である。連結部30をなすトーションバー31,32がこのように薄肉であることは、可動部10を回転変位動作させるのに必要な駆動力を低減するという観点から好ましい。このようなトーションバー31,32により、梁部13と第1層部21は電気的に接続される。
図1および図6に示すように、各連結部30において、二本のトーションバー31,32の間隔は、フレーム20の側から可動部10の側にかけて漸増する。フレーム20の側から可動部10の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー31,32を含む各連結部30は、可動部10ないしランド部11が図1に示す矢印D1の方向(非動作方向)に変位するのを抑制する機能を有する。また、トーションバー31は、可動部10における軸心A1に対してランド部11側に接続し、トーションバー32は、可動部10における軸心A1に対して電極部12側に接続する。トーションバー31,32の離隔方向Sにおいて、トーションバー31が可動部10に接続する第1箇所C1の方が、トーションバー32が可動部10に接続する第2箇所C2よりも、軸心A1に近い。
各連結部30について具体的には、図6に示すように、離隔方向Sにおいて、トーションバー31が軸心A1に対してなす開き角度α1は、トーションバー32が軸心A1に対してなす開き角度α2よりも小さい。このような構成によると、トーションバー31,32の離隔方向Sにおいて第2箇所C2よりも第1箇所C1の方が軸心A1に近いという構成を適切に実現することができる。本実施形態では、トーションバー31が可動部10に接続する第1箇所C1とトーションバー32が可動部10に接続する第2箇所C2との間を軸心A1が通るようにトーションバー31,32は位置するところ、軸心A1とトーションバー31とがなす開き角度α1は、軸心A1とトーションバー32がなす開き角度α2よりも、小さいこととなる。開き角度α1は例えば0〜15°であり、開き角度α2は、開き角度α1より大きい限りにおいて例えば10〜30°である。各連結部30をなすこのようなトーションバー31,32において、トーションバー31はトーションバー32より短いので、上述の可動部10の回転変位動作に係るトーションバー31の曲げバネ定数は、当該回転変位動作に係るトーションバー32の曲げバネ定数以上となりやすい。
電極部40は、図2によく表れているように、第2シリコン層に由来する部位であり、アーム41と、当該アーム41から延出する複数の電極歯42とを有する。アーム41は、フレーム20の第2層部22の部分22bから延出する。このように、電極部40は櫛歯電極構造を有する。このような電極部40は、電極部12と協働して、軸心A1まわりの可動部10の回転変位動作に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。
マイクロ可動素子X1の可動部10においては、ランド部11よりも疎な構造をとる電極部12がランド部11と錘部14との間に位置するように、ランド部11、電極部12、および錘部14は配列されている。このような可動部10の回転変位動作の軸心A1は、ランド部11および電極部12の間の梁部13に接続してフレーム20と可動部10とを連結する連結部30ないしトーションバー31,32によって規定されるところ、相対的に疎な構造をとる電極部12の側に錘部14が連結している構成によると、ランド部11および電極部12を含む可動部10における軸心A1まわりの重量バランスをとりやすい。本実施形態では、このような錘部14を具備することによって、可動部10における軸心A1から図1中上側に位置する構造(ランド部11、ミラー面11a、および梁部13の一部)の質量と、軸心A1から図1中下側に位置する構造(電極部12、梁部13の一部、および錘部14)の質量とが等しくなるように、即ち、可動部10における軸心A1から図3中右側に位置する構造の質量と、軸心A1から図3中左側に位置する構造の質量とが等しくなるように、ランド部11、電極部12、および梁部13に加えて可動部10に錘部14が設けられている。
マイクロ可動素子X1の駆動時には、可動部10の電極部12に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム20における第2層部22の部分22a、導電ビア24(図5に示す)、第1層部21、連結部30ないしトーションバー31,32、および、可動部10の梁部13を介して、実現することができる。基準電位は、例えばグラウンド電位であり、好ましくは一定に維持される。そして、基準電位よりも高い駆動電位を電極部40に付与することにより、電極部12,40間(電極歯12b,42間)に静電引力を発生させることができる。電極部40に対する駆動電位の付与は、フレーム20における第2層部22の部分22bを介して実現することができる。電極部12,40間に所定以上の静電引力が発生すると、電極部12は電極部40に引き込まれる。そのため、可動部10ないしランド部11は、軸心A1まわりに回転変位動作し、当該静電引力と各トーションバー31,32の捩り抵抗力の総和とがつり合う角度まで回転変位する。つり合い状態においては、電極部12,40は、例えば図7に示す配向をとる。このような回転変位動作における回転変位量は、電極部40に対して付与する駆動電位を調整することにより、調節することができる。また、電極部12,40間の静電引力を消滅させると、一対の連結部30のトーションバー31,32はその自然状態に復帰し、可動部10ないしランド部11は、図3に表れているような配向をとる。以上のような可動部10ないしランド部11の揺動駆動により、ランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子X1においては、錘部14を具備することによって上述のように可動部10の重量バランスがとられているため、当該可動部10の回転変位動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
マイクロ可動素子X1においては、フレーム20に対して可動部10を支持する一対の連結部30の各々は、離隔し且つフレーム20側から可動部10側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー31,32からなる。このようなトーションバー31,32は、軸心A1まわりに回転変位動作可能な可動部10が非動作方向(図1にて矢印D1で示す方向)に変位するのを抑制する。したがって、本マイクロ可動素子X1は、駆動時に回転変位動作する可動部10について非動作方向変位を抑制するのに適する。
マイクロ可動素子X1においては、フレーム20側から可動部10側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー31,32のうち、トーションバー31は、可動部10における第1の側(軸心A1を基準とした一方の側)に接続し、トーションバー32は、可動部10における第2の側(軸心A1を基準とした他方の側)に接続し、両トーションバー31,32の離隔方向Sにおいて、トーションバー31が可動部10に接続する第1箇所C1の方が、トーションバー32が可動部10に接続する第2箇所C2よりも、軸心A1に近い。このような構造を伴うマイクロ可動素子X1では、一組のトーションバー31,32によって規定される連結部30の幅は、連結部30の可動部10側端部にて最大となるところ、連結部30について図6に示す最大幅Wの中心よりもトーションバー31寄りに、軸心A1は位置する。
そのため、マイクロ可動素子X1では、離隔方向Sにおいて可動部10の第1箇所C1から外側の部分(即ち、可動部10において、トーションバー31が接続する第1箇所C1に対して軸心A1とは反対の側に位置する第1外側部分P1)の、軸心A1を回転軸とする慣性モーメントを小さく設定しやすい。離隔方向Sにおいて可動部10の第2箇所C2から外側の部分(即ち、可動部10において、トーションバー32が接続する第2箇所C2に対して軸心A1とは反対の側に位置する第2外側部分P2)については、第1外側部分P1と質量バランス(軸心A1を支点とする質量バランス)がとれるように、軸心A1を回転軸とする慣性モーメントを設定することが可能であり、第1外側部分P1の慣性モーメントを小さくするほど、第2外側部分P2の慣性モーメントも小さくすることができる。したがって、マイクロ可動素子X1においては、第1外側部分P1および第2外側部分P2ひいては可動部10全体について、軸心A1を回転軸とする小さな慣性モーメントを実現しやすい。
また、マイクロ可動素子X1では、上述のように、一組のトーションバー31,32によって規定される連結部30について図6に示す最大幅Wの中心よりもトーションバー31寄りに軸心A1が位置するため、可動部10において電極部12よりも密な構造を有するランド部11について、軸心A1を回転軸とする慣性モーメントを小さく設定しやすい。密な構造を有するランド部11について小さな慣性モーメントを実現しやすいことは、ランド部11を含む可動部10の全体について小さな慣性モーメントを実現するのに好適である。一方、可動部10においてランド部11よりも疎な構造を有する電極部12、および錘部14については、ランド部11と質量バランス(軸心A1を支点とする質量バランス)がとれるように、軸心A1を回転軸とする慣性モーメントを設定することが可能であり、ランド部11の慣性モーメントを小さくするほど、梁部13に対してランド部11とは反対側の慣性モーメント(特に錘部14の慣性モーメント)も小さくすることができる。したがって、マイクロ可動素子X1においては、ランド部11、電極部12、および錘部14、ひいては可動部10全体について、軸心A1を回転軸とする小さな慣性モーメントを実現しやすい。
可動部10について小さな慣性モーメントを実現しやすいマイクロ可動素子X1では、軸心A1まわりに回転変位動作可能な可動部10について高い共振周波数を実現しやすい。軸心A1を回転軸とする慣性モーメントが小さいほど、可動部10は高速で回転変位動作しやすく、可動部10の共振周波数は高まる傾向にある。
以上のように、マイクロ可動素子X1は、駆動時に回転変位動作する可動部10について、非動作方向変位を抑制するのに適し且つ高い共振周波数を得るのに適する。
マイクロ可動素子X1においては、フレーム20に対して可動部10を支持するための一対の連結部30は、軸心A1の延び方向においてランド部11および電極部12よりも短い梁部13に接続する。このような構成は、マイクロ可動素子X1について、軸心A1の延び方向に小型化を図るうえで好ましい。
マイクロ可動素子X1では、各連結部30において、可動部10の回転変位動作に係るトーションバー31の曲げバネ定数は、当該回転変位動作に係るトーションバー32の曲げバネ定数以上であるのが好ましい。各連結部30において、可動部10の回転変位動作に係るトーションバー31の曲げバネ定数が大きいほど、可動部10の回転変位動作に係る連結部30全体の捩れバネ定数は大きくなる傾向にある。当該回転変位動作に係る連結部30の捩れバネ定数が大きいほど、可動部10について高い共振周波数を得ることが可能である。また、各連結部30において、可動部10の回転変位動作に係るトーションバー31の曲げバネ定数と、当該回転変位動作に係るトーションバー32の曲げバネ定数との差が小さいほど、可動部10が回転変位動作する際にトーションバー31,32にかかる負荷が均等化する。このような負荷の均等化は、トーションバー31,32の破損を防止するうえで好適である。
図8は、連結部30の変形例を表す。図8(a)に示す変形例では、トーションバー32はトーションバー31よりも幅太であり、従って、トーションバー32の横断面積は、トーションバー31の横断面積よりも大きい。このような構成は、各連結部30において、可動部10の回転変位動作に係るトーションバー31の曲げバネ定数と、当該回転変位動作に係るトーションバー32の曲げバネ定数との差を小さくするうえで、好適である。上述のように、各連結部30をなすトーションバー31,32の曲げバネ定数の差が小さいほど、可動部10が回転変位動作する際にトーションバー31,32にかかる負荷が均等化する。
図8(b)に示す変形例では、トーションバー32において、可動部10側の接続端部32aは、フレーム20側の接続端部32bよりも幅太である。すなわち、接続端部32aが可動部10に接続している面積は、接続端部32bがフレーム20に接続している面積よりも大きい。トーションバー32において、可動部10の回転変位動作の軸心A1から遠い接続端部32a側には、軸心A1に近い接続端部32b側よりも、可動部10の回転変位動作する際に大きな負荷がかかりやすいが、当該変形例の構成は、接続端部32a,32bにかかる負荷を均等化するうえで好適である。このような負荷の均等化は、トーションバー32の破損を防止するうえで好適である。
マイクロ可動素子X1は、加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ可動素子X1では、可動部10のランド部11上のミラー面11aは必ずしも設ける必要はない。
加速度センサとして構成されたマイクロ可動素子X1の駆動時には、例えば、電極部12,40間に所定の直流電圧印加を行うことによって、フレーム20や電極部40に対して可動部10を静止状態にさせる。この状態で、マイクロ可動素子X1ないし可動部10に法線方向(図1の平面図において紙面に垂直な方向)の加速度が作用すると、加速度と平行なベクトル成分の慣性力が働いて、可動部10に対し、一対の連結部30によって規定される軸心A1まわりに回転トルクが作用し、加速度に比例した回転変位(軸心A1まわりの回転変位)が可動部10に生じる(当該慣性力は、図1に現れる平面視において可動部10の重心位置が軸心A1とは完全には重ならないように設計しておくことで、発生させ得る)。回転変位量は、電極部12,40間の静電容量の変化として電気的に検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X1ないし可動部10に作用する加速度を導出することが可能である。
図9および図10は、マイクロ可動素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロ可動素子X1を製造するための一手法である。図9および図10においては、図10(d)に示すランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ可動素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部Lは、ランド部11の一部に相当する。梁部Bは、梁部13に相当し、梁部13の横断面を表す。フレームF1,F2は、各々、フレーム20に相当し、フレーム20の横断面を表す。連結部C1は、連結部30に相当し、トーションバー31,32の延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部30に相当し、トーションバー31,32の横断面を表す。電極E1は、電極部12の一部に相当し、電極歯12bの横断面を表す。電極E2は、電極部40の一部に相当し、電極歯42の横断面を表す。
マイクロ可動素子X1の製造においては、まず、図9(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハであり、図外において上述の導電ビア24が予め埋め込み形成されたものである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
次に、図9(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aを形成する。ミラー面11aの形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aをパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。
次に、図9(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき可動部10(ランド部11、梁部13、電極部12、錘部14を含む)およびフレーム20の一部に対応する図11に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部30に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべきフレーム20の一部および電極部40に対応する図12に示すパターン形状を有する。
次に、図9(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC4F8ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
次に、図10(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
次に、図10(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、可動部10(ランド部L、梁部B、電極E1を含む)、フレーム20(フレームF1,F2を含む)の一部(第1層部21)、および各連結部30(連結部C1,C2を含む)が、成形される。
次に、図10(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、フレーム20(フレームF1,F2を含む)の一部(第2層部22)、および電極部40(電極E2を含む)が、成形される。
次に、図10(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
以上の一連の工程を経ることにより、ランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2などを成形してマイクロ可動素子X1を製造することができる。
図13は、第2の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイY1を表す。マイクロ可動素子アレイY1は、複数のマイクロ可動素子X1(一部省略)を含んでなる。マイクロ可動素子アレイY1において、複数のマイクロ可動素子X1は、軸心A1の方向に一列に配されている。したがって、マイクロ可動素子アレイY1では、複数のミラー面11aは、軸心A1の方向に一列に配されている。
マイクロ可動素子アレイY1において、フレーム20の第1層部21および第2層部22の部分22aは、全てのマイクロ可動素子X1にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ可動素子X1におけるフレーム20の第1層部21と、第2層部22の部分22aと、電極部12とは、電気的に接続されている。
マイクロ可動素子アレイY1の駆動時には、全てのマイクロ可動素子X1における可動部10の電極部12に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ可動素子X1の電極部40に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ可動素子X1の可動部10ないしランド部11が個別に揺動駆動され、各マイクロ可動素子X1のランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。各マイクロ可動素子X1の駆動手法については、具体的には、第1の実施形態に関して上述したとおりである。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1においては、錘部14を具備することによって可動部10の重量バランスがとられているため、各可動部10の回転変位動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1においては、フレーム20に対して可動部10を支持する一対の連結部30の各々は、フレーム20側から可動部10側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー31,32からなる。そのため、各マイクロ可動素子X1は、駆動時に回転変位動作する可動部10について非動作方向変位を抑制するのに適する。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1は、駆動時に回転変位動作する可動部10について、非動作方向変位を抑制するのに適し且つ高い共振周波数を得るのに適する。
第1の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X1において、フレーム20に対して可動部10を支持するための一対の連結部30は、軸心A1の延び方向においてランド部11および電極部12よりも短い梁部13に接続する。このような構成は、マイクロ可動素子アレイY1においては、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現するうえで好ましい。素子配列方向におけるミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ可動素子アレイY1が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
図14から図20は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子X2を表す。図14は、マイクロ可動素子X2の平面図である。図15は、マイクロ可動素子X2の一部省略平面図である。図16から図20は、各々、図14の線XVI−XVI、線XVII−XVII、線XVIII−XVIII、線XIX−XIX、および線XX−XXに沿った拡大断面図である。
マイクロ可動素子X2は、可動部10と、フレーム20’と、一対の連結部30と、電極部40と、フレーム50と、一対の連結部60A,60Bと、電極部70A,70Bとを備え、本実施形態では二軸型のマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ可動素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動素子X2における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図14においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図15に示される構造は、マイクロ可動素子X2において第2シリコン層に由来するものである。
マイクロ可動素子X2は、フレーム20に代えてフレーム20’を備える点、および、フレーム50と、一対の連結部60A,60Bと、電極部70A,70Bとを追加的に備える点において、第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1と異なる。マイクロ可動素子X2における可動部10、一対の連結部30、および電極部40の構成は、マイクロ可動素子X1における可動部10、一対の連結部30、および電極部40の構成と、同様である。
フレーム20’は、第1層部21が空隙を介して分離する部分21a,21b,21cを有する点において、第1の実施形態に係るフレーム20と異なる。部分21aは、図14に示すように、可動部10を部分的に囲む形状を有する。部分21aは、図16に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア24を介して、第2層部22の部分22aと電気的に接続されている。部分21bは、絶縁層23を貫通する導電ビア25を介して、第2層部22の部分22bと電気的に接続されている。部分21cは、図14に示すようにフレーム20の端部に位置し、図17に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア26を介して第2層部22の部分22aと電気的に接続されている。
フレーム50は、図16から図20に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部51と、第2シリコン層に由来する第2層部52と、これらの間の絶縁層53とからなる積層構造を有する。図14に示すように、第1層部51は、空隙を介して分離する部分51a,51bを含む。図15に示すように、第2層部52は、空隙を介して分離する部分52a,52b,52cを含む。部分51a,52aは、図20に示すように、絶縁層53を貫通する導電ビア54を介して電気的に接続されている。部分51b,52bは、図19に示すように、絶縁層53を貫通する導電ビア55を介して電気的に接続されている。
連結部60Aは、図14に示すように二本のトーションバー61からなる。各トーションバー61は、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20’の第1層部21の部分21bとフレーム50の第1層部51の部分51bとに接続して、フレーム20’,50を連結する。トーションバー61により、部分21b,51bは電気的に接続される。二本のトーションバー61の間隔は、フレーム50の側からフレーム20’の側にかけて漸増する。また、トーションバー61は、第1の実施形態における連結部30のトーションバー31,32と同様に薄肉である。
連結部60Bは、図14に示すように二本のトーションバー62からなる。各トーションバー62は、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20’の第1層部21の部分21cとフレーム50の第1層部51の部分51aとに接続して、フレーム20’,50を連結する。トーションバー62により、部分21c,51aは電気的に接続される。二本のトーションバー62の間隔は、フレーム50の側からフレーム20’の側にかけて漸増する。また、トーションバー62は、第1の実施形態における連結部30のトーションバー31,32と同様に薄肉である。
これら一対の連結部60A,60Bは、フレーム20’の回転変位動作の軸心A2を規定する。フレーム50の側からフレーム20’の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー61を含む連結部60A、および、フレーム50からフレーム20’の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー62を含む連結部60Bは、フレーム20’が図14に示す矢印D2の方向(非動作方向)に変位するのを抑制する機能を有する。
電極部70Aは、第1シリコン層に由来する部位であり、図14および図18に示すようにフレーム20’の第1層部21の部分21cから電極部70Bの側へ延出する複数の電極歯71を有する。このように、電極部70Aは櫛歯電極構造を有する。
電極部70Bは、第2シリコン層に由来する部位であり、図15および図18に示すようにアーム72と、当該アーム72から電極部70Aの側へ延出する複数の電極歯73を有する。アーム72は、フレーム50の第2層部52の部分52cから延出する。このように、電極部70Bは櫛歯電極構造を有する。
マイクロ可動素子X2において、一対の電極部12,40は、軸心A1まわりの可動部10の回転変位動作に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。一対の電極部70A,70Bは、フレーム20’およびこれに伴う可動部10の軸心A2まわりの回転変位動作に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。
以上のような構造を有するマイクロ可動素子X2は、第1の実施形態に係るスイッチング素子X1の製造方法と同様の手法によって製造することができる。
マイクロ可動素子X2の駆動時には、電極部12,70Aに所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム50の第2層部52の部分52aと、導電ビア54(図20に示す)と、第1層部51の部分51aと、連結部60Bないしトーションバー62と、フレーム20’の第1層部21の部分21cと、導電ビア26(図17に示す)と、フレーム20’の第2層部22の部分22aと、導電ビア24(図16に示す)と、フレーム20’の第1層部21の部分21aと、連結部30ないしトーションバー31,32と、可動部10の梁部13とを介して、実現することができる。電極部70Aに対する基準電位の付与は、フレーム50の第2層部52の部分52aと、導電ビア54(図20に示す)と、第1層部51の部分51aと、連結部60Bないしトーションバー62と、フレーム20’の第1層部21の部分21cとを介して、実現することができる。基準電位は、例えばグラウンド電位であり、好ましくは一定に維持される。
そして、基準電位よりも高い駆動電位を電極部40,70Bの各々に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,40間に静電引力を発生させて可動部10を軸心A1まわりに回転変位動作させることができ、また、電極部70A,70B間に静電引力を発生させてフレーム20’およびこれに伴う可動部10を軸心A2まわりに回転変位動作させることができる。マイクロ可動素子X2は、いわゆる二軸型の揺動素子である。電極部40に対する駆動電位の付与は、フレーム50の第2層部52の部分52bと、導電ビア55(図19に示す)と、フレーム50の第1層部51の部分51bと、連結部60Aないしトーションバー61と、フレーム20’の第1層部21の部分21bと、導電ビア25(図16に示す)と、フレーム20’の第2層部22の部分22bとを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ可動素子X2のランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロ可動素子X2は、第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1と同様に、可動部10において錘部14を具備する。したがって、マイクロ可動素子X2においては、マイクロ可動素子X1に関して上述したのと同様に、可動部10の回転変位動作における回転変位量について高精度に制御しやすい。
マイクロ可動素子X2は、第1の実施形態たるマイクロ可動素子X1と同様に一対の連結部30を有する。具体的には、マイクロ可動素子X2は、フレーム20’に対して可動部10を支持する一対の連結部30を有し、各連結部30は、フレーム20’側から可動部10側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー31,32からなる。したがって、マイクロ可動素子X2においては、マイクロ可動素子X1に関して上述したのと同様に、駆動時に回転変位動作する可動部10について非動作方向変位(図14にて矢印D1で示す方向の変位)を抑制するのに適する。
マイクロ可動素子X2は、フレーム50に対してフレーム20’およびこれに伴う可動部10を支持する一対の連結部60A,60Bを具備するところ、連結部60Aは、フレーム50側からフレーム20’側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー61からなり、連結部60Bは、フレーム50側からフレーム20’側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー62からなる。したがって、マイクロ可動素子X2においては、駆動時に回転変位動作するフレーム20’およびこれに伴う可動部10について非動作方向変位(図14にて矢印D2で示す方向の変位)を抑制するのに適する。
マイクロ可動素子X2における連結部30のトーションバー31,32は、第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1の連結部30に関して上述したのと同様に、図6に示すように可動部10の梁部13に接続する。具体的には、トーションバー31,32の離隔方向Sにおいて、トーションバー31が可動部10に接続する第1箇所C1の方が、トーションバー32が可動部10に接続する第2箇所C2よりも、軸心A1に近い。より具体的には、離隔方向Sにおいて、トーションバー31が軸心A1に対してなす開き角度α1は、トーションバー32が軸心A1に対してなす開き角度α2よりも小さい。したがって、マイクロ可動素子X2は、マイクロ可動素子X1と同様に、駆動時に回転変位動作する可動部10について、非動作方向変位を抑制するのに適するうえに高い共振周波数を得るのに適する。
マイクロ可動素子X2においては、フレーム20’に対して可動部10を支持するための一対の連結部30は、軸心A1の延び方向においてランド部11および電極部12よりも短い梁部13に接続する。このような構成は、マイクロ可動素子X2について、軸心A1の延び方向に小型化を図るうえで好ましい。
マイクロ可動素子X2においては、第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1に関して上述したのと同様に、連結部30を構成する要素として、図8(a)に示す一組のトーションバー31,32を採用してもよいし、図8(b)に示す一組のトーションバー31,32を採用してもよい。
マイクロ可動素子X2は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ可動素子X2では、可動部10のランド部11上のミラー面11aは必ずしも設ける必要はない。
角速度センサとして構成されたマイクロ可動素子X2の駆動時には、例えば、フレーム50に対して変位可能な全部位(可動部10,フレーム20’,連結部30,電極部40,電極部70A)は、所定の振動数ないし周期で軸心A2まわりに回転変位される。この回転変位は、電極部70A,70B間に対して所定の周期で電圧印加を行うことによって実現される。本実施形態では、例えば、電極部70Aをグラウンド接続したうえで、電極部70Bへの所定電位の付与を所定周期で行う。例えばこのようにして可動部10を振動させている状態において、マイクロ可動素子X2ないし可動部10に所定の角速度が作用すると、可動部10が軸心A1まわりに所定程度に回転変位して、電極部12,40の相対的配置が変化して当該電極部12,40間の静電容量が変化する。これら静電容量変化に基づいて、可動部10の回転変位量を検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X2ないし可動部10に作用する角速度を導出することが可能である。
加速度センサとして構成されたマイクロ可動素子X2の駆動時には、例えば、電極部12,40間に所定の直流電圧印加を行うことによって、フレーム20’や電極部40に対して可動部10を静止状態にさせる。この状態で、マイクロ可動素子X2ないし可動部10に法線方向(図14の平面図において紙面に垂直な方向)の加速度が作用すると、加速度と平行なベクトル成分の慣性力が働いて、可動部10に対し、一対の連結部30によって規定される軸心A1まわりに回転トルクが作用し、加速度に比例した回転変位(軸心A1まわりの回転変位)が可動部10に生じる(当該慣性力は、図14に現れる平面視において可動部10の重心位置が軸心A1と重ならないように設計しておくことで、発生させ得る)。回転変位量は、電極部12,40間の静電容量の変化として電気的に検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X2ないし可動部10に作用する加速度を導出することが可能である。
図21は、第4の実施形態に係るマイクロ可動素子アレイY2を表す。マイクロ可動素子アレイY2は、複数のマイクロ可動素子X2(一部省略)を含んでなる。マイクロ可動素子アレイY2において、複数のマイクロ可動素子X2は、軸心A1の方向に一列に配されている。したがって、マイクロ可動素子アレイY2では、複数のミラー面11aは、軸心A1の方向に一列に配されている。
マイクロ可動素子アレイY2において、各マイクロ可動素子X2のフレーム50は共通化されている。具体的には、フレーム50における第1層部51の部分51aおよび第2層部52の部分52aは、全てのマイクロ可動素子X2にわたって連続している。したがって、マイクロ可動素子アレイY2では、全てのマイクロ可動素子X2における可動部10の電極部12と電極部70Aとは、電気的に接続されている(上述のように、電極部12,70Aはフレーム50における部分51a,52aと電気的に接続されている)。
マイクロ可動素子アレイY2の駆動時には、全てのマイクロ可動素子X2における可動部10の電極部12,70Aに対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ可動素子X2の電極部40,70Bの各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ可動素子X2の可動部10およびフレーム20’が個別に回転変位動作され、各マイクロ可動素子X2のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。各マイクロ可動素子X2の駆動手法については、具体的には、第3の実施形態に関して上述したとおりである。
第3の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X2においては、錘部14を具備することによって可動部10の重量バランスがとられているため、各可動部10の回転変位動作における回転変位量について、高精度に制御しやすい。
第3の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X2においては、フレーム20’に対して可動部10を支持する一対の連結部30の各々は、フレーム20’側から可動部10側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー31,32からなる。そのため、各マイクロ可動素子X2は、駆動時に回転変位動作する可動部10について非動作方向変位を抑制するのに適する。
第3の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X2は、フレーム50に対してフレーム20’およびこれに伴う可動部10を支持する一対の連結部60A,60Bを具備するところ、連結部60Aは、フレーム50側からフレーム20’側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー61からなり、連結部60Bは、フレーム50側からフレーム20’側にかけて離隔距離が漸増するように延びるトーションバー62からなる。したがって、各マイクロ可動素子X2においては、駆動時に回転変位動作するフレーム20’およびこれに伴う可動部10について非動作方向変位を抑制するのに適する。
第3の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X2は、駆動時に回転変位動作する可動部10について、非動作方向変位を抑制するのに適するうえに高い共振周波数を得るのに適する。
第3の実施形態に関して上述したように、各マイクロ可動素子X2において、フレーム20’に対して可動部10を支持するための一対の連結部30は、軸心A1の延び方向においてランド部11および電極部12よりも短い梁部13に接続する。このような構成は、マイクロ可動素子アレイY2においては、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現するうえで好ましい。素子配列方向におけるミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ可動素子アレイY1が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
上述のマイクロ可動素子X1,X2およびマイクロ可動素子アレイY1,Y2は、光スイッチング装置の一構成要素として用いることができる。
図22は、第5の実施形態に係る空間光結合型の光スイッチング装置500の概略構成を表す。光スイッチング装置500は、一対のマイクロミラーアレイ501,502と、入力ファイバアレイ503と、出力ファイバアレイ504と、複数のマイクロレンズ505,506とを備える。入力ファイバアレイ503は所定数の入力ファイバ503aからなり、マイクロミラーアレイ501には、各入力ファイバ503aに対応するマイクロミラー501aが複数配設されている。出力ファイバアレイ504は所定数の出力ファイバ504aからなり、マイクロミラーアレイ502には、各出力ファイバ504aに対応するマイクロミラー502aが複数配設されている。マイクロミラー501a,502aは、各々、光を反射するための一のミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように設けられている。各マイクロミラー501a,502aは上述のマイクロ可動素子X1,X2によって構成される。或は、マイクロミラーアレイ501,502を、複数の上述のマイクロ可動素子アレイY1,Y2によって構成してもよい。複数のマイクロレンズ505は、各々、入力ファイバ503aの端部に対向するように配置されている。また、複数のマイクロレンズ506は、各々、出力ファイバ504aの端部に対向するように配置されている。
光スイッチング装置500において、入力ファイバ503aから出射される光L1は、対応するマイクロレンズ505を通過することによって、相互に平行光とされ、マイクロミラーアレイ501へ向かう。光L1は、対応するマイクロミラー501aで反射し、マイクロミラーアレイ502へと偏向される。このとき、マイクロミラー501aのミラー面は、光L1を所望のマイクロミラー502aに入射させるように、予め所定の方向を向いている。次に、光L1は、マイクロミラー502aで反射し、出力ファイバアレイ504へと偏向される。このとき、マイクロミラー502aのミラー面は、所望の出力ファイバ504aにマイクロレンズ506を介して光L1を入射させるように、予め所定の方向を向いている。
このように、光スイッチング装置500によると、各入力ファイバ503aから出射した光L1は、マイクロミラーアレイ501,502における偏向によって、所望の出力ファイバ504aに到達する。すなわち、入力ファイバ503aと出力ファイバ504aは一対一で接続される。そして、マイクロミラー501a,502aにおける偏向角度を適宜変更することによって、光L1が到達する出力ファイバ504aが切換えられる。
光ファイバを媒体として伝送された光信号の伝送経路を或るファイバから他のファイバへと切換えるための光スイッチング装置に求められる特性としては、切換え動作における、大容量性、高速性、高信頼性などが挙げられる。これらの観点より、光スイッチング装置に組み込まれるスイッチング素子としては、マイクロマシニング技術によって作製されるマイクロミラー素子が好ましい。マイクロミラー素子によると、光スイッチング装置における入力側の光伝送路と出力側の光伝送路との間で、光信号を電気信号に変換せずに光信号のままでスイッチング処理を行うことができ、上述の特性を得るうえで好適だからである。
図23は、第6の実施形態に係る波長選択型の光スイッチング装置600の概略構成を表す。光スイッチング装置600は、マイクロミラーアレイ601と、一本の入力ファイバ602と、三本の出力ファイバ603と、複数のマイクロレンズ604a,604bと、分光器605と、集光レンズ606とを備える。マイクロミラーアレイ601は、複数のマイクロミラー601aを有し、当該複数のマイクロミラー601aは、マイクロミラーアレイ601において例えば一列に配設されている。各マイクロミラー601aは、光を反射するためのミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように設けられている。各マイクロミラー601aは上述のマイクロ可動素子X1,X2によって構成される。或は、マイクロミラーアレイ601を上述のマイクロ可動素子アレイY1,Y2によって構成してもよい。マイクロレンズ604aは、入力ファイバ602の端部に対向するように配置されている。マイクロレンズ604bは、出力ファイバ603の端部に対向するように配置されている。分光器605は、波長によって反射光の回折の程度が異なる反射型回折格子である。
光スイッチング装置600において、入力ファイバ602から出射される光L2(複数の波長が混在している)は、マイクロレンズ604aを通過することによって、平行光とされる。この光L2は、分光器605にて反射する(このとき、波長ごとに異なる角度で反射する)。当該反射光は、集光レンズ606を通過する。その際、波長ごとに、マイクロミラーアレイ601において対応するマイクロミラー601aへ集光される。各波長の光は、対応するマイクロミラー601aで所定方向に反射される。このとき、マイクロミラー601aのミラー面は、対応する波長の光を所望の出力ファイバ603に到達させるように、予め所定の方向を向いている。マイクロミラー601aにて反射した光は、その後、集光レンズ606、分光器605、およびマイクロレンズ604bを経由して、選択された所定の出力ファイバ603に入射する。このようにして、光スイッチング装置600によると、光L2から所望の波長の光を選択することができる。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)フレームと、
可動部と、
前記フレームおよび前記可動部を連結して当該可動部の回転変位動作の軸心を規定する一対の連結部と、を備え、
各連結部は、離隔し且つフレーム側から可動部側にかけて離隔距離が大きくなるように延びる第1連結バーおよび第2連結バーを含み、
前記第1連結バーは、前記可動部における、前記軸心に対して第1の側に接続し、
前記第2連結バーは、前記可動部における、前記軸心に対して前記第1の側とは反対の第2の側に接続し、
前記第1および第2連結バーの前記離隔の方向において、前記第2連結バーが前記可動部に接続する箇所よりも、前記第1連結バーが前記可動部に接続する箇所は、前記軸心に近い、マイクロ可動素子。
(付記2)前記可動部は、第1部位と、第2部位と、当該第1および第2部位を連結し且つ前記軸心の延び方向において当該第1および第2部位よりも短い梁部とを有し、前記第1および第2連結バーは、当該梁部に接続する、付記1に記載のマイクロ可動素子。
(付記3)前記第1部位は、前記第2部位よりも密な構造を有する、付記2に記載のマイクロ可動素子。
(付記4)前記第1部位はミラー面を有する、付記2または3に記載のマイクロ可動素子。
(付記5)前記第2部位は第1電極部であり、当該第1電極部と協働して前記可動部の前記回転変位動作の駆動力を発生させるための第2電極部を更に備える、付記2から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記6)前記第1および第2電極部は櫛歯電極構造を有する、付記5に記載のマイクロ可動素子。
(付記7)前記第1および第2連結バーの前記離隔の方向において、前記軸心に対して前記第1連結バーがなす第1開き角度は、前記軸心に対して前記第2連結バーがなす第2開き角度よりも小さい、付記1から6のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記8)前記第1連結バーが前記可動部に接続する箇所と前記第2連結バーが前記可動部に接続する箇所との間を前記軸心が通るように前記第1および第2連結バーは位置し、前記軸心に対して前記第1連結バーがなす第1開き角度は、前記軸心に対して前記第2連結バーがなす第2開き角度よりも小さい、付記1から7のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記9)前記第1連結バーの曲げバネ定数は、前記第2連結バーの曲げバネ定数以上である、付記1から8のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記10)前記第2連結バーの横断面積は、前記第1連結バーの横断面積よりも大きい、付記1から9のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記11)前記第2連結バーにおける可動部側接続端部が前記可動部に接続している面積は、前記第2連結バーにおけるフレーム側接続端部が前記フレームに接続している面積よりも大きい、付記1から10のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記12)前記第1連結バーおよび/または前記第2連結バーは、前記可動部および/または前記フレームよりも薄肉である、付記1から11のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記13)追加フレームと、当該追加フレームおよび前記フレームを連結して当該フレームの回転変位動作の軸心を規定する追加連結部とを更に備える、付記1から12のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記14)付記1から13のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を複数含む、マイクロ可動素子アレイ。
(付記15)マイクロミラー素子として構成された付記1から13のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を備える、光スイッチング装置。