JP5510438B2 - マイクロ揺動素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばマイクロミラー素子や、加速度センサ、角速度センサなど、微小な揺動部を有するマイクロ揺動素子に関する。
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えばマイクロミラー素子や、加速度センサ、角速度センサなど、微小な可動部ないし揺動部を有するマイクロ揺動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。加速度センサおよび角速度センサは、例えばロボットの姿勢制御やカメラの手ぶれ防止などの用途で、利用される。
マイクロミラー素子は、光を反射するためのミラー面を備え、当該ミラー面の揺動により光の反射方向を変化させることができる。ミラー面を揺動するうえで静電力を利用する静電駆動型のマイクロミラー素子が、多くの装置で採用されている。静電駆動型マイクロミラー素子は、いわゆる表面マイクロマシニング技術により製造されるマイクロミラー素子と、いわゆるバルクマイクロマシニング技術により製造されるマイクロミラー素子とに、大きく二つに類別することができる。
表面マイクロマシニング技術では、基板上において、各構成部位に対応する材料薄膜を所望のパターンに加工し、このようなパターンを順次積層することにより、支持体、ミラー面および電極部など、素子を構成する各部位や、後に除去される犠牲層を形成する。一方、バルクマイクロマシニング技術では、材料基板自体をエッチングすることにより支持体やミラー部などを所望の形状に成形し、必要に応じてミラー面や電極を薄膜形成する。バルクマイクロマシニング技術については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開平10−190007号公報 特開平10−270714号公報 特開平2000−31502号公報
マイクロミラー素子に要求される技術的事項の一つとして、光反射を担うミラー面の平面度が高いことが挙げられる。しかしながら、表面マイクロマシニング技術によると、最終的に形成されるミラー面が薄いためにミラー面が湾曲しやすく、従って、広面積のミラー面において高い平面度を達成するのが困難である。これに対し、バルクマイクロマシニング技術によると、相対的に分厚い材料基板自体をエッチング技術により削り込んでミラー部を構成して当該ミラー部上にミラー面を設けるため、広面積のミラー面であっても、その剛性を確保することができる。その結果、充分に高い光学的平面度を有するミラー面を形成することが可能である。
図26および図27は、バルクマイクロマシニング技術によって作製される従来の静電駆動型マイクロミラー素子X4を表す。図26は、マイクロミラー素子X4の分解斜視図であり、図27は、組み立てられた状態のマイクロミラー素子X4における図26の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X4は、ミラー基板40とベース基板46とが積層する構造を有する。ミラー基板40は、ミラー部41と、フレーム42と、これらを連結する一対のトーションバー43とからなる。導電性を有するシリコン基板などの所定の材料基板に対して、その片面側からエッチングを施すことにより、ミラー基板40におけるミラー部41、フレーム42、および一対のトーションバー43の外郭形状を成形することができる。ミラー部41の表面には、ミラー面44が設けられている。ミラー部41の裏面には、一対の電極45a,45bが設けられている。一対のトーションバー43は、ミラー部41の後述の回転動作における軸心A4を規定する。ベース基板46には、ミラー部41の電極45aに対向する電極47a、および、電極45bに対向する電極47bが、設けられている。
マイクロミラー素子X4においては、ミラー基板40のフレーム42に電位を付与すると、フレーム42と同一の導体材料により一体的に成形されている一対のトーションバー43およびミラー部41を介して、電極45aおよび電極45bに電位が伝達される。したがって、フレーム42に所定の電位を付与することにより、電極45a,45bを例えば正に帯電させることができる。この状態において、ベース基板46の電極47aを負に帯電させると、電極45aと電極47aの間に静電引力が発生し、ミラー部41は、一対のトーションバー43を捩りながら、図27に示すように矢印M4の方向に回転する。ミラー部41は、電極間の静電引力と各トーションバー43の捩り抵抗力の総和とが釣合う角度まで揺動し得る。これに代えて、ミラー部41の電極45a,45bを正に帯電させた状態で電極47bを負に帯電させると、電極45bと電極47bの間に静電引力が発生し、ミラー部41は、矢印M4とは反対の方向に回転する。以上のようなミラー部41の揺動駆動により、ミラー面44により反射される光の反射方向を切り換えることができる。
揺動部を有するマイクロ揺動素子にとって、揺動部の揺動動作に係る固有振動数ないし共振周波数は、揺動部の動作速度や動作振幅(揺動角度の最大値)に対して決定的な影響を与える重要な特性である。従来のマイクロ揺動素子において、素子を一旦完成した後に揺動部の固有振動数を調整するためには、レーザや集束イオンビームを用いたトリミング加工を揺動部に対して施すことにより、当該揺動部を削って当該揺動部の質量したがってイナーシャを減少させ、或は、揺動部とフレーム(固定部)とを連結する連結部に対してトリミング加工を施すことにより、当該連結部を削って当該連結部の捩りバネ定数を減少させる必要がある(揺動部のイナーシャが小さいほど当該固有振動数は大きい傾向にあり、連結部の捩りバネ定数が小さいほど当該固有振動数は小さい傾向にある)。例えばマイクロミラー素子X4においてミラー部41(揺動部)の固有振動数を調整するためには、トリミング加工をミラー部41に施すことによりミラー部41のイナーシャを減少させ、或は、ミラー部41とフレーム42(固定部)を連結するトーションバー43に対してトリミング加工を施すことによりトーションバー43の捩りバネ定数を減少させる必要がある。素子を一旦完成した後に揺動部の固有振動数を調整する必要性は、設計上同一のマイクロ揺動素子をウエハに対する一括加工により大量生産する場合に特に高い。大量生産の場合、揺動部や連結部における加工寸法の誤差に起因して、素子間に固有振動数のバラつきを生じてしまうからである。
しかしながら、上述のような事後的な機械的加工(トリミング加工)による固有振動数の調整は、マイクロ揺動素子の製造過程の増加および製造コストの上昇を招き、好ましくない。また、上述のような事後的な機械的加工によると、揺動部のイナーシャや連結部の捩りバネ定数が減少するようにしか調整することができず、揺動部の固有振動数の調整における自由度が低い。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、揺動部の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)を調整するのに適したマイクロ揺動素子を提供することを、目的とする。
本発明により提供されるマイクロ揺動素子は、揺動部と、フレームと、揺動部およびフレームを連結して当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する連結部と、第1駆動機構と、第2駆動機構とを備える。第1駆動機構は、揺動部について第1揺動方向(例えば、揺動部の揺動角度が増大する方向)に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能に、構成されている。第2駆動機構は、揺動部について第1揺動方向とは反対の第2揺動方向(例えば、揺動部の揺動角度が減少する方向)に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能に、構成されている。第1および第2駆動機構は電気的に作動される。
揺動部と、フレームと、当該揺動部およびフレームを連結して当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定する連結部(捩れ連結部)とを備えるマイクロ揺動素子において、揺動部の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)fは、下記の式(1)で表される。式(1)において、kは連結部の捩りバネ定数を表し、Iは揺動部のイナーシャを表す。
Figure 0005510438
本発明の側面のマイクロ揺動素子では、固有振動数fの調整において、連結部の捩りバネ定数kが増減するのと等価な状態を電気的に作出することができる。具体的には、揺動動作時の揺動部に対して常に同一の回転トルクが作用するように第1および第2駆動機構が作動されるノーマル駆動における第1および第2駆動機構の作動態様に対して、第1および/または第2駆動機構の作動態様を変化させることにより、揺動部の揺動動作における一部の揺動角度範囲にて、連結部の捩りバネ定数が増減するのと等価な状態を作出することができ、これにより、揺動部の揺動動作中の連結部の平均捩りバネ定数kが増減するのと等価な状態を作出することができる。
第1駆動機構により発生される回転トルクが、揺動部の揺動角度が増大する方向に当該揺動部に作用するように設計されている場合、例えば、上述のノーマル駆動での揺動部の揺動角度増大中における第1駆動機構の作動態様に比べ、第1駆動機構により発生される回転トルクを大きくしたり、回転トルク発生期間を長くすると、当該揺動角度増大中において、連結部の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。逆に、ノーマル駆動での揺動部の揺動角度増大中における第1駆動機構の作動態様に比べ、第1駆動機構により発生される回転トルクを小さくしたり、回転トルク発生期間を短くすると、当該揺動角度増大中において、連結部の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。
第2駆動機構により発生される回転トルクが、揺動部の揺動角度が減少する方向に当該揺動部に作用するように設計されている場合、例えば、上述のノーマル駆動での揺動部の揺動角度減少中における第2駆動機構の作動態様に比べ、第2駆動機構により発生される回転トルクを大きくしたり、回転トルク発生期間を長くすると、当該揺動角度減少中において、連結部の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。逆に、ノーマル駆動での揺動部の揺動角度減少中における第2駆動機構の作動態様に比べ、第2駆動機構により発生される回転トルクを小さくしたり、回転トルク発生期間を短くすると、当該揺動角度減少中において、連結部の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。
例えば以上のようにして、ノーマル駆動における第1および第2駆動機構の作動態様に対して、第1および/または第2駆動機構の作動態様を変化させることにより、揺動部の揺動動作における一部の揺動角度範囲にて、連結部の捩りバネ定数が増減するのと等価な状態を作出することができ、これにより、揺動部の揺動動作中の連結部の平均捩りバネ定数kが増減するのと等価な状態を作出することができるのである。
上記の式(1)から理解できるように、連結部の捩りバネ定数kが小さいほど、揺動部の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)fは小さく、捩りバネ定数kが大きいほど固有振動数fは大きい。
したがって、本発明のマイクロ揺動素子においては、第1および/または第2駆動機構における作動態様の変化により、連結部の捩りバネ定数kを電気的に制御して、揺動部の揺動動作に係る固有振動数fを調整することが可能である。このような固有振動数調整によると、機械的加工を利用した上述の従来の固有振動数調整によるよりも、揺動部の揺動動作に係る固有振動数fを、アナログ的に微細に調整することができ、従って高精度に調整することができる。
また、本マイクロ揺動素子においては、固有振動数fを調整するうえで、素子を一旦完成した後に揺動部に対して機械的加工を施す必要はない。加えて、本マイクロ揺動素子においては、連結部の捩りバネ定数kを電気的に減少させることも増大させることも可能であり、従って、固有振動数fの調整における自由度は高い。
以上のように、本発明のマイクロ揺動素子は、揺動部の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)を調整するのに適するのである。
本発明において、好ましくは、第1駆動機構および第2駆動機構は、第1櫛歯電極、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極、および、第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第3櫛歯電極を含み、第1櫛歯電極は揺動部に固定され、第2櫛歯電極は、非駆動時において第1櫛歯電極に対向しない位置にてフレームに固定され、第3櫛歯電極は、非駆動時において第1櫛歯電極に対向する位置にてフレームに固定され、当該第2および第3櫛歯電極は並列する。このような構成は、第1および第2駆動機構による捩りバネ定数の電気的制御を良好に行ううえで好ましい。
本発明の第1の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るマイクロミラー素子の他の平面図である。 図1の線III−IIIに沿った断面図である。 図1の線IV−IVに沿った断面図である。 図2の線V−Vに沿った断面図である。 図2の線VI−VIに沿った断面図である。 図2の線VII−VIIに沿った断面図である。 錘部の位置制御の態様を表す。 本発明の第2の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るマイクロミラー素子の他の平面図である。 図9の線XI−XIに沿った断面図である。 図9の線XII−XIIに沿った断面図である。 図10の線XIII−XIIIに沿った断面図である。 図10の線XIV−XIVに沿った断面図である。 連結部の幅制御の態様を表す。 本発明の第3の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 本発明の第3の実施形態に係るマイクロミラー素子の他の平面図である。 図16の線XVIII−XVIIIに沿った断面図である。 図16の線XIX−XIXに沿った断面図である。 図16の線XX−XXに沿った断面図である。 図16のマイクロミラー素子の駆動態様の一例を表す。 櫛歯電極に対する他の電圧印加態様を表す。 櫛歯電極に対する他の電圧印加態様を表す。 櫛歯電極に対する他の電圧印加態様を表す。 櫛歯電極に対する他の電圧印加態様を表す。 従来のマイクロミラー素子の分解斜視図である。 組み立てられた状態における図26のマイクロミラー素子の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
図1から図7は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロミラー素子X1を表す。図1はマイクロミラー素子X1の平面図であり、図2はマイクロミラー素子X1の他の平面図である。図3および図4は、各々、図1の線III−IIIおよび線IV−IVに沿った断面図である。図5から図7は、各々、図2の線V−V、線VI−VI、および線VII−VIIに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X1は、揺動部110と、フレーム120と、一対の連結部130と、櫛歯電極140,150,160,170とを備える。また、マイクロミラー素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)基板である材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、例えば、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図1は、第1シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図であり、図2は、第2シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図である。図の明確化の観点より、図1においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位(後述のミラー面111aは除く)について、斜線ハッチングを付して表し、図2においては、第2シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。
揺動部110は、揺動主部111と、一対の錘部112と、支持基部113A,113Bと、支持梁114A,114Bと、一対の櫛歯電極115と、配線部116,117とを有し、フレーム120に対して揺動可能である。
揺動主部111は、第1シリコン層において成形された部位であり、例えば図1に示すように、光反射機能を有するミラー面111aをその表面に有する。ミラー面111aは、第1シリコン層上に成膜されたCr層およびその上のAu層よりなる積層構造を有する。
各錘部112は、図5に示すように、絶縁層118を介して揺動主部111に固定された支持基部113A,113B、支持基部113Aと錘部112を連結する支持梁114A、および、支持基部113Bと錘部112を連結する支持梁114Bを介して、揺動主部111に取り付けられており、図2における矢印D1で表すように変移可能である。各錘部112は、平行な複数の電極歯112a’からなる櫛歯電極112aを有する。可動体である錘部112の有する櫛歯電極112aは、錘部変移機構における可動電極を構成する。また、各支持基部113Aは、図2に示すように、配線部116と連結している。配線部116は、図6に示すように、絶縁層118を介して揺動主部111に対して固定されている。錘部112、支持基部113A,113B、支持梁114A,114B、および配線部116は、第2シリコン層において成形された部位である。
各櫛歯電極115は、錘部112の櫛歯電極112aと協働して静電引力を発生させるためのものであり、配線部117に対して図2に示すように固定された、平行な複数の電極歯115aからなる。配線部117は、図6および図7に示すように、絶縁層118を介して揺動主部111に対して部分的に固定されている。揺動主部111に固定された配線部117に対して固定された各櫛歯電極115は、錘部変移機構における固定電極を構成する。櫛歯電極115および配線部117は、第2シリコン層において成形された部位である。
フレーム120は、第1層部121および第2層部122を有し、揺動部110を囲む形状を有する。第1層部121は、第1シリコン層において成形された部位であり、第2層部122は、第2シリコン層において成形された部位である。これら第1層部121および第2層部122は、絶縁層123を介して接合している。
一対の連結部130は、図1、図2、および図4に表れているように、各々、三本のトーションバー131,132,133よりなり、揺動部110およびフレーム120を連結する。トーションバー131,132は、第1シリコン層において成形された部位であり、図1に示すように、揺動部110の揺動主部111とフレーム120の第1層部121とを連結する。各連結部130におけるトーションバー131,132の間隔は、フレーム120の側から揺動部110の側にかけて次第に広くなっている。各トーションバー133は、第2シリコン層において成形された部位である。図2および図6に示すように、一方のトーションバー133は、揺動部110の配線部116とフレーム120の第2層部122とを連結し、他方のトーションバー133は、揺動部110の配線部117とフレーム120の第2層部122とを連結する。各連結部130において、トーションバー131,132とトーションバー133とは、電気的に分離されている。また、第2層部122において一方のトーションバー133が接合する部位と、第2層部122において他方のトーションバー133が接合する部位とは、電気的に分離されており、従って、これらトーションバー133は電気的に分離されている。
このような一対の連結部130は、フレーム120に対する揺動部110の回転動作の揺動軸心A1を規定する。フレーム120の側から揺動部110の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー131,132を含む各連結部130は、揺動部110の回転動作における不要な変位成分を防止するのに好適である。
櫛歯電極140は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯141からなり、これら電極歯141は、例えば図1に示すように、揺動部110の揺動主部111から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極150は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯151からなり、これら電極歯151は、例えば図1に示すように、櫛歯電極140の電極歯141とは反対の側に揺動主部111から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極160は、櫛歯電極140と協働して静電引力を発生させるための部位であり、第2シリコン層に由来する複数の電極歯161からなる。これら電極歯161は、図2に示すように、フレーム120の第2層部122から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極140の電極歯141に対しても平行である。櫛歯電極140,160は、例えば図3に示すように、それらの電極歯141,161が位置ずれした態様で配されている。一対の櫛歯電極140,160は、マイクロミラー素子X1における一のアクチュエータを構成する。
櫛歯電極170は、櫛歯電極150と協働して静電引力を発生させるための部位であり、第2シリコン層に由来する複数の電極歯171からなる。これら電極歯171は、図2に示すように、フレーム120の第2層部122から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極150の電極歯151に対しても平行である。櫛歯電極150,170は、それらの電極歯151,171が位置ずれした態様で配されている。一対の櫛歯電極150,170は、マイクロミラー素子X1における一のアクチュエータを構成する。また、第2層部122において櫛歯電極160が接合する部位と、第2層部122において櫛歯電極170が接合する部位とは、電気的に分離されており、従って、これら櫛歯電極160,170は電気的に分離されている。
マイクロミラー素子X1は、上述のように、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、多層構造を有する材料基板に加工を施すことによって製造されたものである。また、当該材料基板は、上述のように、本実施形態では第1および第2シリコン層およびこれらの間の絶縁層よりなる積層構造を有する。
マイクロミラー素子X1の製造においては、例えば、揺動主部111、第1層部121、およびトーションバー131,132に対応する箇所を覆うエッチングマスクや、錘部112、支持基部113A,113B、支持梁114A,114B、櫛歯電極115、配線部116,117、第2層部122、およびトーションバー133に対応する箇所を覆うエッチングマスクなどを、適宜用いたエッチング処理を所定のタイミングで材料基板に施すことにより、各シリコン層を加工する。エッチング手法としては、Deep RIE
(Reactive Ion Etching)法によるドライエッチングや、KOHなどのウエットエッチングなどを利用することができる。絶縁層における不要な部位は、適宜エッチング除去される。このようにして、第1および第2シリコン層ならびに絶縁層を有する材料基板において、マイクロミラー素子X1の各部位が、形成されることとなる。
マイクロミラー素子X1においては、櫛歯電極140,150,160,170の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部110を揺動軸心A1まわりに揺動動作ないし回転変位させることができる。櫛歯電極140,150に対する電位付与は、フレーム120の第1層部121、各連結部130のトーションバー131,132、および揺動部110の揺動主部111を介して、実現することができる。櫛歯電極140,150は、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極160に対する電位付与は、フレーム120の第2層部122の一部を介して実現することができ、櫛歯電極170に対する電位付与は、第2層部122の他の一部を介して実現することができる。櫛歯電極160と櫛歯電極170とは上述のように電気的に分離されているため、櫛歯電極160,170に対する電位付与は独立して行うことができる。
櫛歯電極140,160の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極140,160間に所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極140は櫛歯電極160に引き込まれる。そのため、揺動部110は、揺動軸心A1まわりに揺動動作し、当該静電引力と、捩れ変形した各連結部130の捩り抵抗力の総和とが、釣り合う角度まで回転変位する。このような揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極140,160への付与電位を調整することにより、調節することができる。また、櫛歯電極140,160間の静電引力を消滅させると、各連結部130(トーションバー131,132,133)は、その捩り応力を解放して自然状態に復帰する。
また、櫛歯電極150,170の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極150,170間に所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極150は櫛歯電極170に引き込まれる。そのため、揺動部110は、揺動軸心A1まわりに、先述の揺動動作とは逆方向に揺動動作し、当該静電引力と、各連結部130の捩り抵抗力の総和とが、釣り合う角度まで回転変位する。このような揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極150,170への付与電位を調整することにより、調節することができる。また、櫛歯電極150,170間の静電引力を消滅させると、各連結部130(トーションバー131,132,133)は、その捩り応力を解放して自然状態に復帰する。
マイクロミラー素子X1においては、以上のような揺動部110の揺動駆動により、揺動主部111上に設けられたミラー面111aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
一方、マイクロミラー素子X1においては、揺動部110における各錘部112の櫛歯電極112aおよび各櫛歯電極115に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、各錘部112を揺動軸心A1と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に変移させることができる。櫛歯電極112aに対する電位付与は、フレーム120の第2層部122の一部、一方の連結部130のトーションバー133、揺動部110の配線部116、支持基部113A、および支持梁114Aを介して、実現することができる。櫛歯電極112aは、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極115に対する電位付与は、フレーム120の第2層部122の他の一部、他方の連結部130のトーションバー133、および揺動部110の配線部117を介して実現することができる。両トーションバー133は上述のように電気的に分離されているため、櫛歯電極112a,115に対する電位付与は独立して行うことができる。
櫛歯電極112a,115の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極112a,115間に所望の静電引力を発生させると、各櫛歯電極112aはこれに対向する櫛歯電極115に引き込まれる。各錘部112は、例えば図8に示すように、弾性変形した支持梁114A,114Bの復元力の総和と当該静電引力とが釣り合う位置にて静止する。櫛歯電極112a,115への付与電位を調整することにより、櫛歯電極112a,115間に発生する静電引力を調節することができ、従って、各錘部112の静止位置、ないし各錘部112の揺動軸心A1からの距離を、制御することができる。
マイクロミラー素子X1においては、揺動部110は、揺動軸心A1と交差(本実施形態では直交)する方向に上述のように変移可能な錘部112を有するところ、錘部112が変移することにより揺動部110のイナーシャIが変化する(イナーシャIは、揺動部110を構成する各部のイナーシャ成分を含む)。錘部112が揺動軸心A1に近いほど、即ち、錘部112の回転半径が小さいほど、錘部112のイナーシャ成分は小さくて揺動部110のイナーシャIは小さい。錘部112が揺動軸心A1から遠いほど、即ち、錘部112の回転半径が大きいほど、錘部112のイナーシャ成分は大きくて揺動部のイナーシャIは大きい。上記の式(1)から理解できるように、揺動部110のイナーシャIが小さいほど、揺動部110の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)fは大きく、イナーシャIが大きいほど固有振動数fは小さい。
したがって、マイクロミラー素子X1においては、揺動部110の錘部112の変移により、揺動部110のイナーシャIを制御して、揺動部110の揺動動作に係る固有振動数fを調整することが可能である。このような固有振動数調整によると、機械的加工を利用した上述の従来の固有振動数調整によるよりも、揺動部の揺動動作に係る固有振動数fを、アナログ的に微細に調整することができ、従って高精度に調整することができる。
また、マイクロミラー素子X1においては、固有振動数fを調整するうえで、素子を一旦完成した後に揺動部110に対して機械的加工を施す必要はない。加えて、マイクロミラー素子X1においては、揺動部110のイナーシャIを増大させることも減少させることも可能であり、従って、固有振動数fの調整における自由度は高い。
図9から図14は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロミラー素子X2を表す。図9はマイクロミラー素子X2の平面図であり、図10はマイクロミラー素子X2の他の平面図である。図11および図12は、各々、図9の線XI−XIおよび線XII−XIIに沿った断面図である。図13および図14は、各々、図10の線XIII−XIIIおよび線XIV−XIVに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X2は、揺動部210と、フレーム220と、一対の連結部230と、櫛歯電極240,250,260,270とを備える。また、マイクロミラー素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI基板である材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、例えば、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図9は、第1シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図であり、図10は、第2シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図である。図の明確化の観点より、図9においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位(後述のミラー面211aは除く)について、斜線ハッチングを付して表し、図10においては、第2シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。
揺動部210は、揺動主部211と、一対の可動部212A,212Bと、四つの支持基部213と、四本のバネ部214とを有し、フレーム220に対して揺動可能である。
揺動主部211は、第1シリコン層において成形された部位であり、例えば図9に示すように、光反射機能を有するミラー面211aをその表面に有する。ミラー面211aは、第1シリコン層上に成膜されたCr層およびその上のAu層よりなる積層構造を有する。
可動部212A,212Bの各々は、図10および図13を組み合わせて参照すると理解できるように、絶縁層215を介して揺動主部211に固定された支持基部213、および、支持基部213と当該可動部を連結するバネ部214を介して、揺動主部211に取り付けられており、図10における矢印D2で表すように変移可能である。可動部212A,212B、支持基部213、およびバネ部214は、第2シリコン層において成形された部位である。
フレーム220は、第1層部221と、第2層部222と、二つの可動部223Aと、二つの可動部223Bと、四つの支持基部224と、四本のバネ部225と、四つの櫛歯電極226と、2つの配線部227とを有し、揺動部210を囲む形状を有する。第1層部221は、第1シリコン層において成形された部位である。第2層部222は、第2シリコン層において成形された部位である。これら第1および第2層部221,222は、絶縁層228を介して接合している。また、可動部223A,223B、支持基部224、バネ部225、櫛歯電極226、および配線部227は、第2シリコン層において成形された部位である。
可動部223A,223Bの各々は、図10、図13、および図14を組み合わせて参照すると理解できるように、絶縁層228を介して第1層部221に固定された支持基部224、および、支持基部224と当該可動部を連結するバネ部225を介して、第1層部221に取り付けられており、図10における矢印D3で表すように変移可能である。また、各可動部223A,223Bは、平行な複数の電極歯223a’からなる櫛歯電極223aを有する。可動部223A,223Bの有する各櫛歯電極223aは、可動部変移機構における可動電極を構成する。
各櫛歯電極226は、可動部223A,223Bの櫛歯電極223aと協働して静電引力を発生させるためのものであり、配線部227に対して図10に示すように固定された、平行な複数の電極歯226aからなる。配線部227は、図14に示すように、絶縁層228を介して第1層部221に対して固定されている。第1層部221に固定された配線部227に対して固定された各櫛歯電極226は、可動部変移機構における固定電極を構成する。
一対の連結部230は、図9、図10、および図12に表れているように、各々、三本のトーションバー231,232,233よりなり、揺動部210およびフレーム220を連結する。各トーションバー231は、第1シリコン層において成形された部位であり、図9に示すように、揺動部210の揺動主部211とフレーム220の第1層部221とを連結する。一方、トーションバー232,233は、第2シリコン層において成形された部位である。図10に示すように、トーションバー232の一端は、揺動部210の可動部212Aに連結し、トーションバー232の他端は、フレーム220の可動部223Aに連結している。トーションバー233の一端は、揺動部210の可動部212Bに連結し、トーションバー233の他端は、フレーム220の可動部223Bに連結している。各連結部230におけるトーションバー231,232,233は、相互に平行であり、トーションバー231とトーションバー232,233とは電気的に分離されている。このような一対の連結部230は、フレーム220に対する揺動部210の回転動作の揺動軸心A2を規定する。
櫛歯電極240は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯241からなり、これら電極歯241は、例えば図9に示すように、揺動部210の揺動主部211から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極250は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯251からなり、これら電極歯251は、例えば図9に示すように、櫛歯電極240の電極歯241とは反対の側に揺動主部211から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極260は、櫛歯電極240と協働して静電引力を発生させるための部位であり、第2シリコン層に由来する複数の電極歯261からなる。これら電極歯261は、図10に示すように、フレーム220の第2層部222から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極240の電極歯241に対しても平行である。櫛歯電極240,260は、例えば図11に示すように、それらの電極歯241,261が位置ずれした態様で配されている。一対の櫛歯電極240,260は、マイクロミラー素子X2における一のアクチュエータを構成する。
櫛歯電極270は、櫛歯電極250と協働して静電引力を発生させるための部位であり、第2シリコン層に由来する複数の電極歯271からなる。これら電極歯271は、図10に示すように、フレーム220の第2層部222から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極250の電極歯251に対しても平行である。一対の櫛歯電極250,270は、マイクロミラー素子X2における一のアクチュエータを構成する。櫛歯電極250,270は、それらの電極歯251,271が位置ずれした態様で配されている。また、第2層部222において櫛歯電極260が接合する部位と、第2層部222において櫛歯電極270が接合する部位とは、電気的に分離されており、従って、これら櫛歯電極260,270は電気的に分離されている。
マイクロミラー素子X2は、上述のように、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、多層構造を有する材料基板に加工を施すことによって製造されたものである。また、当該材料基板は、上述のように、本実施形態では第1および第2シリコン層およびこれらの間の絶縁層よりなる積層構造を有する。
マイクロミラー素子X2の製造においては、例えば、揺動主部211、第1層部221、およびトーションバー231に対応する箇所を覆うエッチングマスクや、可動部212A,212B、支持基部213、バネ部214、第2層部222、可動部223A,223B、支持基部224、バネ部225、櫛歯電極226、配線部227、およびトーションバー232,233に対応する箇所を覆うエッチングマスクなどを、適宜用いたエッチング処理を所定のタイミングで材料基板に施すことにより、各シリコン層を加工する。エッチング手法としては、Deep RIE法によるドライエッチングや、KOHなどのウ
エットエッチングなどを利用することができる。絶縁層における不要な部位は、適宜エッチング除去される。このようにして、第1および第2シリコン層ならびに絶縁層を有する材料基板において、マイクロミラー素子X2の各部位が、形成されることとなる。
マイクロミラー素子X2においては、櫛歯電極240,250,260,270の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部210を揺動軸心A2まわりに揺動動作ないし回転変位させることができる。櫛歯電極240,250に対する電位付与は、フレーム220の第1層部221、各連結部230のトーションバー231、および揺動部210の揺動主部211を介して、実現することができる。櫛歯電極240,250は、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極260に対する電位付与は、フレーム220の第2層部222の一部を介して実現することができ、櫛歯電極270に対する電位付与は、第2層部222の他の一部を介して実現することができる。櫛歯電極260と櫛歯電極270とは上述のように電気的に分離されているため、櫛歯電極260,270に対する電位付与は独立して行うことができる。
櫛歯電極240,260の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極240,260間に所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極240は櫛歯電極260に引き込まれる。そのため、揺動部210は、揺動軸心A2まわりに揺動動作し、当該静電引力と、捩れ変形した各連結部230の捩り抵抗力の総和とが、釣り合う角度まで回転変位する。このような揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極240,260への付与電位を調整することにより、調節することができる。また、櫛歯電極240,260間の静電引力を消滅させると、各連結部230(トーションバー231,232,233)は、その捩り応力を解放して自然状態に復帰する。
また、櫛歯電極250,270の各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極250,270間に所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極250は櫛歯電極270に引き込まれる。そのため、揺動部210は、揺動軸心A2まわりに、先述の揺動動作とは逆方向に揺動動作し、当該静電引力と各連結部230の捩り抵抗力の総和とが釣り合う角度まで回転変位する。このような揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極250,270への付与電位を調整することにより、調節することができる。また、櫛歯電極250,270間の静電引力を消滅させると、各連結部230(トーションバー231,232,233)は、その捩り応力を解放して自然状態に復帰する。
マイクロミラー素子X2においては、以上のような揺動部210の揺動駆動により、揺動主部211上に設けられたミラー面211aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
一方、マイクロミラー素子X2では、フレーム220における各可動部223A,223Bの合計四つの櫛歯電極223aをグラウンド接続させた状態で、これらに対向する櫛歯電極226に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、各連結部230におけるトーションバー232,233間の距離を変化させることができる。櫛歯電極223aのグラウンド接続は、例えば、上述の絶縁層228を貫通して支持基部224と第1層部221を電気的に接続する導電プラグを設け且つ第1層部221をグラウンド接続することにより、実現することができる。櫛歯電極226に対する電位付与は、配線部227を介して実現することができる。
櫛歯電極226に所定の電位を付与することにより相対向する櫛歯電極223a,226間に所望の静電引力を発生させると、各櫛歯電極223aはこれに対向する櫛歯電極226に引き込まれる。これに連動して、可動部223Aと共にトーションバー232および可動部212Aが変位し、且つ、可動部223Bと共にトーションバー233および可動部212Bが変位する。可動部212A,223Aおよびトーションバー232からなる可動ユニットは、例えば図15に示すように、当該可動ユニットに連結して弾性変形したバネ部214,225の復元力の総和と、当該可動ユニットの二箇所に作用する静電引力とが、釣り合う位置にて静止する。これとともに、可動部212B,223Bおよびトーションバー233からなる可動ユニットは、例えば図15に示すように、当該可動ユニットに連結して弾性変形したバネ部214,225の復元力の総和と、当該可動ユニットの二箇所に作用する静電引力とが、釣り合う位置にて静止する。櫛歯電極226への付与電位を調整することにより、相対向する櫛歯電極223a,226間に発生する静電引力を調節することができ、従って、各連結部230におけるトーションバー232,233の静止位置、ないし当該トーションバー232,233間の距離を、制御することができる。
マイクロミラー素子X2においては、各連結部230は、相対的に接近離反動可能な二本のトーションバー232,233を有するところ、トーションバー232,233が相対的に接近離反動することにより各連結部230の捩りバネ定数kが変化する。トーションバー232,233間の距離が短いほど、トーションバー232,233を含んでなる連結部230の捩りバネ定数kは小さい。トーションバー232,233間の距離が長いほど連結部230の捩りバネ定数kは大きい。上記の式(1)から理解できるように、連結部230の捩りバネ定数kが小さいほど、揺動部210の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)fは小さく、捩りバネ定数kが大きいほど固有振動数fは大きい。
したがって、マイクロミラー素子X2においては、トーションバー232,233の相対的な接近離反動により、連結部230の捩りバネ定数kを制御して、揺動部210の揺動動作に係る固有振動数fを調整することが可能である。このような固有振動数調整によると、機械的加工を利用した上述の従来の固有振動数調整によるよりも、揺動部の揺動動作に係る固有振動数fを、アナログ的に微細に調整することができ、従って高精度に調整することができる。
また、マイクロミラー素子X2においては、固有振動数fを調整するうえで、素子を一旦完成した後に揺動部210に対して機械的加工を施す必要はない。加えて、マイクロミラー素子X2においては、連結部230の捩りバネ定数kを増大させることも減少させることも可能であり、従って、固有振動数fの調整における自由度は高い。
本実施形態では、可動ユニットを変移させるための駆動機構はフレーム220側に設けられているが、本発明では、そのような構成に代えて、可動ユニットを変移させるための駆動機構を揺動部210側に設けてもよい。その場合、マイクロミラー素子X2における上述の揺動部210は、揺動主部211に固定された二つの第1櫛歯電極を有し、上述の可動部212Aは、一方の第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極を有し、上述の可動部212Bは、他方の第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極を有する。
図16から図20は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロミラー素子X3を表す。図16はマイクロミラー素子X3の平面図である。図17はマイクロミラー素子X3の他の平面図である。図18から図20は、各々、図16の線XVIII−XVIII、線XIX−XIX、および線XX−XXに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X3は、揺動部310と、フレーム320と、一対の連結部330と、櫛歯電極340,350,360,370,380,390とを備える。また、マイクロミラー素子X3は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI基板である材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、例えば、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図16は、第1シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図であり、図17は、第2シリコン層に由来する構造を主に表すための平面図である。図の明確化の観点より、図16においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位(後述のミラー面311は除く)について、斜線ハッチングを付して表し、図17においては、第2シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。
揺動部310は、第1シリコン層において成形された部位であり、図16に示すように、光反射機能を有するミラー面311をその表面に有する。ミラー面311は、第1シリコン層上に成膜されたCr層およびその上のAu層よりなる積層構造を有する。
フレーム320は、第1層部321および第2層部322を有し、揺動部310を囲む形状を有する。第1層部321は、第1シリコン層において成形された部位であり、第2層部322は、第2シリコン層において成形された部位である。これら第1および第2層部321,322は、図18および図19に示すように、絶縁層323を介して接合している。
一対の連結部330は、図16、図17、および図20に示すように、各々、二本のトーションバー331よりなり、揺動部310およびフレーム320を連結する。トーションバー331は、第1シリコン層において成形された部位であり、揺動部310とフレーム320の第1層部321とを連結する。各連結部330における二本のトーションバー331の間隔は、フレーム320の側から揺動部310の側にかけて次第に広くなっている。このような一対の連結部330は、フレーム320に対する揺動部310の回転動作の揺動軸心A3を規定する。フレーム320の側から揺動部310の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー331からなる各連結部330は、揺動部310の回転動作における不要な変位成分を防止するのに好適である。
櫛歯電極340は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯341からなり、これら電極歯341は、例えば図16に示すように、揺動部310から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極350は、第1シリコン層において成形された複数の電極歯351からなり、これら電極歯351は、例えば図16に示すように、櫛歯電極340の電極歯341とは反対の側に揺動部310から各々が延出し、相互に平行である。
櫛歯電極360は、櫛歯電極340と協働して静電引力を発生させるための部位であり、本素子の非揺動駆動時において櫛歯電極340に対向する位置にて、フレーム320に固定され、第1シリコン層に由来する複数の電極歯361からなる。これら電極歯361は、図16に示すように、第1層部321から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極340の電極歯341に対しても平行である。
櫛歯電極370は、櫛歯電極340と協働して静電引力を発生させるための部位であり、非駆動時において櫛歯電極340に対向しない位置にて、フレーム320に固定され、第2シリコン層に由来する複数の電極歯371からなる。これら電極歯371は、図17に示すように、第2層部322から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極340,360の電極歯341,361に対しても平行である。櫛歯電極370の電極歯371と櫛歯電極360の電極歯361との間には絶縁部が介在するのが好ましい。
櫛歯電極380は、櫛歯電極350と協働して静電引力を発生させるための部位であり、非駆動時において櫛歯電極350に対向する位置にて、フレーム320に固定され、第1シリコン層に由来する複数の電極歯381からなる。これら電極歯381は、図16に示すように、第1層部321から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極350の電極歯351に対しても平行である。
櫛歯電極390は、櫛歯電極350と協働して静電引力を発生させるための部位であり、非駆動時において櫛歯電極350に対向しない位置にて、フレーム320に固定され、第2シリコン層に由来する複数の電極歯391からなる。これら電極歯391は、図17に示すように、第2層部322から各々が延出し、相互に平行であり且つ櫛歯電極350,380の電極歯351,381に対しても平行である。櫛歯電極390の電極歯391と櫛歯電極380の電極歯381との間には絶縁部が介在するのが好ましい。
櫛歯電極340,350と櫛歯電極360〜390とは、電気的に分離されている。また、櫛歯電極360〜390は、互いに電気的に分離されている。
以上のような櫛歯電極340〜390において、一組の櫛歯電極340,360、一組の櫛歯電極340,370、一組の櫛歯電極350,380、および一組の櫛歯電極350,390は、各々、本発明における一の駆動機構を構成する。例えば櫛歯電極360〜390は、各々、付与電位の大きさ及び電位付与期間を制御可能な電圧発生機構に電気的に接続されている。これにより、櫛歯電極340,360からなる駆動機構では、当該櫛歯電極340,360間に生ずる静電引力の大きさ及び静電引力発生期間が制御可能とされている。同様に、櫛歯電極340,370からなる駆動機構では、当該櫛歯電極340,370間に生ずる静電引力の大きさ及び静電引力発生期間が制御可能とされ、櫛歯電極350,380からなる駆動機構では、当該櫛歯電極350,380間に生ずる静電引力の大きさ及び静電引力発生期間が制御可能とされ、櫛歯電極350,390からなる駆動機構では、当該櫛歯電極350,390間に生ずる静電引力の大きさ及び静電引力発生期間が制御可能とされている。
マイクロミラー素子X3は、上述のように、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、多層構造を有する材料基板に加工を施すことによって製造されたものである。また、当該材料基板は、上述のように、本実施形態では第1および第2シリコン層およびこれらの間の絶縁層よりなる積層構造を有する。
マイクロミラー素子X3の製造においては、例えば、揺動部310、第1層部321、トーションバー331、および櫛歯電極340,350,360,380に対応する箇所を覆うエッチングマスクや、第2層部322および櫛歯電極370,390に対応する箇所を覆うエッチングマスクなどを、適宜用いたエッチング処理を所定のタイミングで材料基板に施すことにより、各シリコン層を加工する。エッチング手法としては、Deep RIE法によるドライエッチングや、KOHなどのウエットエッチングなどを利用することができる。絶縁層における不要な部位は、適宜エッチング除去される。このようにして、第1および第2シリコン層ならびに絶縁層を有する材料基板において、マイクロミラー素子X3の各部位が、形成されることとなる。
マイクロミラー素子X3においては、櫛歯電極340〜390の各々に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部310を回転軸心A3まわりに回転動作させることができ、揺動部310上に設けられたミラー面311にて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
図21は、マイクロミラー素子X3の駆動態様の一例を表す。本駆動態様は、ノーマル駆動例である。図21(a)は、櫛歯電極370に印加される電圧の時間変化を表す。図21(b)は、櫛歯電極390に印加される電圧の時間変化を表す。図21(c)は、櫛歯電極360,380に印加される電圧の時間変化を表す。本駆動態様においては、櫛歯電極340,350はグラウンド接続されている。図21(a)から図21(c)のグラフの各々においては、横軸にて時間(t)を表し、縦軸にて印加電圧(v)を表す。また、図21(d)は、本駆動態様における揺動部310の揺動角度の時間変化を表す。図21(d)のグラフでは、横軸にて時間(t)を表し、縦軸にて揺動角度(θ)を表す。
本駆動態様においては、まず、時間T0にて初期状態(揺動部310の揺動角度が0°)にあるマイクロミラー素子X3の櫛歯電極370に対し、時間T1にて揺動部310の回転変位が最大揺動角度θ1に至るように、時間T0から時間T1の間、図21(a)に示すように所定の電圧V1が印加される。時間T0から時間T1の間、櫛歯電極370と櫛歯電極340の間には静電引力が生じ、揺動部310の揺動角度は、第1揺動方向に増大し続ける。時間T1では、一組の櫛歯電極340,370は例えば図18(b)に示す配向をとり、揺動角度は図21(d)に示すようにθ1に至る。このとき、各連結部330には所定の捩れ応力が生じる。
次に、時間T1から時間T2の間、櫛歯電極360,380に対して図21(c)に示すように所定の電圧V2が印加される。この間、各連結部330の捩れ応力が復元力として作用するのに加え、櫛歯電極340,360間および櫛歯電極350,380間には静電引力が生じ、揺動部310の揺動角度は減少し続ける。時間T2では、一組の櫛歯電極340,360は図18(a)に示す配向をとり、一組の櫛歯電極櫛350,380は図19(a)に示す配向をとり、揺動角度は図21(d)に示すように0°に至る。
次に、時間T3にて揺動部310の回転変位が最大揺動角度θ2に至るように、時間T2から時間T3の間、櫛歯電極390に対して図21(b)に示すように所定の電圧V3が印加される。時間T2から時間T3の間、櫛歯電極390と櫛歯電極350の間には静電引力が生じ、揺動部310の揺動角度は、上述の第1揺動方向とは反対の第2揺動方向に増大し続ける。時間T3では、一組の櫛歯電極350,390は例えば図19(b)に示す配向をとり、揺動角度は図21(d)に示すようにθ2に至る。このとき、各連結部330には所定の捩れ応力が生じる。
次に、時間T3から時間T4の間、櫛歯電極360,380に対して図21(c)に示すように所定の電圧V4が印加される。この間、各連結部330の捩れ応力が復元力として作用するのに加え、櫛歯電極340,360間および櫛歯電極350,380間には静電引力が生じ、揺動部310の揺動角度は減少し続ける。時間T4では、一組の櫛歯電極340,360は図18(a)に示す配向をとり、一組の櫛歯電極櫛350,380は図19(a)に示す配向をとり、揺動角度は図21(d)に示すように0°に至る。時間T0から時間T4にわたる以上のような一連の電圧印加およびそれに伴う揺動部310の動作が、必要に応じて繰り返される。
マイクロミラー素子X3のノーマル駆動においては、揺動動作時の揺動部310に対して常に同一の回転トルクが作用するように、電圧V1および電圧V3は同一に設定され、電圧V2および電圧V4は同一に設定され、電圧V2,V4は電圧V1,V3より所定程度に小さく設定され、また、時間T0から時間T1の間、時間T1から時間T2の間、時間T2から時間T3の間、および時間T3から時間T4の間は、同一の長さに設定されて、各々、揺動部310の揺動動作の4分の1周期とされる。そして、揺動角度θ1の絶対値は揺動角度θ2の絶対値と同一である。揺動動作時の揺動部310に対して常に同一の回転トルクが作用する以上のようなノーマル駆動により、マイクロミラー素子X3の揺動部310について周期的な揺動動作を達成することができる。
一方、マイクロミラー素子X3では、揺動部310の揺動動作に係る固有振動数fの調整において、連結部310の捩りバネ定数kが増減するのと等価な状態を電気的に作出することができる。具体的には、揺動動作時の揺動部310に対して常に同一の回転トルクが作用するように各櫛歯電極が作動される上述のノーマル駆動における各櫛歯電極の作動態様に対して、所定の櫛歯電極の作動態様を変化させることにより、揺動部310の揺動動作における一部の揺動角度範囲にて、連結部330の捩りバネ定数が増減するのと等価な状態を作出することができ、これにより、揺動部310の揺動動作中の連結部330の平均捩りバネ定数kが増減するのと等価な状態を作出することができる。
例えば、上述のノーマル駆動において時間T0から時間T1の間に櫛歯電極370に印加される電圧V1を、図22(a)に示すようにV11(>V1)に代えると、時間T0から時間T1の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも大きくなる。このような回転トルクの増大により、時間T0から時間T1の間(即ち、揺動部310の揺動角度が0°からθ1に増大する間)、連結部330の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T0から時間T1の間に櫛歯電極370に印加される電圧V1を、図22(b)に示すようにV12(<V1)に代えると、時間T0から時間T1の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも小さくなる。このような回転トルクの減少により、時間T0から時間T1の間(即ち、揺動部310の揺動角度が0°からθ1に増大する間)、連結部330の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T1から時間T2の間に櫛歯電極360,380に印加される電圧V2を、図23(a)に示すようにV21(>V2)に代えると、時間T1から時間T2の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも大きくなる。このような回転トルクの増大により、時間T1から時間T2の間(即ち、揺動部310の揺動角度がθ1から0°に減少する間)、連結部330の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T1から時間T2の間に櫛歯電極360,380に印加される電圧V2を、図23(b)に示すようにV22(<V2)に代えると、時間T1から時間T2の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも小さくなる。このような回転トルクの減少により、時間T1から時間T2の間(即ち、揺動部310の揺動角度がθ1から0°に減少する間)、連結部330の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T2から時間T3の間に櫛歯電極390に印加される電圧V3を、図24(a)に示すようにV31(>V3)に代えると、時間T2から時間T3の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも大きくなる。このような回転トルクの増大により、時間T2から時間T3の間(即ち、揺動部310の揺動角度が0°からθ2に増大する間)、連結部330の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T2から時間T3の間に櫛歯電極390に印加される電圧V3を、図24(b)に示すようにV32(<V3)に代えると、時間T2から時間T3の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも小さくなる。このような回転トルクの減少により、時間T2から時間T3の間(即ち、揺動部310の揺動角度が0°からθ2に増大する間)、連結部330の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T3から時間T4の間に櫛歯電極360,380に印加される電圧V4を、図25(a)に示すようにV41(>V4)に代えると、時間T3から時間T4の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも大きくなる。このような回転トルクの増大により、時間T3から時間T4の間(即ち、揺動部310の揺動角度がθ2から0°に減少する間)、連結部330の捩りバネ定数が増大するのと等価な状態を作出することができる。
上述のノーマル駆動において時間T3から時間T4の間に櫛歯電極360,380に印加される電圧V4を、図25(b)に示すようにV42(<V4)に代えると、時間T3から時間T4の間に揺動部310に作用する回転トルクは、ノーマル駆動時のそれよりも小さくなる。このような回転トルクの減少により、時間T3から時間T4の間(即ち、揺動部310の揺動角度がθ2から0°に減少する間)、連結部330の捩りバネ定数が減少するのと等価な状態を作出することができる。
マイクロミラー素子X3においては、例えば以上のような駆動態様変化(上述のノーマル駆動からの変化)のいずれかを採用することにより、或は、例えば以上のような駆動態様変化の適宜の組み合わせを採用することにより、揺動部310の揺動動作における一部の揺動角度範囲にて、連結部310の捩りバネ定数が増減するのと等価な状態を作出することができ、これにより、揺動部310の揺動動作中の連結部330の平均捩りバネ定数kが変化するのと等価な状態を作出することができる。
上記の式(1)から理解できるように、連結部330の捩りバネ定数kが小さいほど、揺動部310の揺動動作に係る固有振動数(共振周波数)fは小さく、捩りバネ定数kが大きいほど固有振動数fは大きい。したがって、マイクロミラー素子X3においては、例えば以上のような駆動態様変化のいずれかを採用することにより、或は、例えば以上のような駆動態様変化の適宜の組み合わせを採用することにより、連結部310の捩りバネ定数kを電気的に制御して、揺動部310の揺動動作に係る固有振動数fを調整することが可能である。このような固有振動数調整によると、機械的加工を利用した上述の従来の固有振動数調整によるよりも、揺動部の揺動動作に係る固有振動数fを、アナログ的に微細に調整することができ、従って高精度に調整することができる。
また、マイクロミラー素子X3においては、固有振動数fを調整するうえで、素子を一旦完成した後に揺動部330に対して機械的加工を施す必要はない。加えて、マイクロミラー素子X3においては、連結部330の捩りバネ定数kを電気的に減少させることも増大させることも可能であり、従って、固有振動数fの調整における自由度は高い。
上述のマイクロミラー素子X1,X2,X3は、いずれも、揺動部と、フレームと、当該揺動部およびフレームを連結して当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する連結部と、を備えるマイクロ揺動素子である。マイクロミラー素子X1は、マイクロ揺動素子における揺動部のイナーシャを変化させるための構成(第1の構成)を具備する。マイクロミラー素子X2は、マイクロ揺動素子における連結部の形状変化により当該連結部の捩りバネ定数を変化させるための構成(第2の構成)を具備する。マイクロミラー素子X3は、マイクロ揺動素子における連結部の捩りバネ定数が変化するのと等価な状態を電気的に作出するための構成(第3の構成)を具備する。本発明においては、第1の構成と第2の構成を組み合わせてもよいし、第2の構成と第3の構成を組み合わせてもよいし、第3の構成と第1の構成を組み合わせてもよいし、第1から第3の構成を全て組み合わせてもよい。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)揺動部と、
フレームと、
前記揺動部および前記フレームを連結し、且つ、当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する、連結部と、を備え、
前記揺動部は、揺動主部、および、当該揺動主部に取り付けられ且つ前記揺動軸心と交差する方向に変移可能な錘部を有する、マイクロ揺動素子。
(付記2)前記揺動部は、前記揺動主部に固定された支持基部、および、当該支持基部と前記錘部とを連結する支持梁を有する、付記1に記載のマイクロ揺動素子。
(付記3)前記揺動部は、前記揺動主部に固定された第1櫛歯電極を有し、前記錘部は、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極を有する、付記1または2に記載のマイクロ揺動素子。
(付記4)前記連結部は、並列する複数のトーションバーを含み、当該複数のトーションバーから選択される二本のトーションバーは、相対的に接近離反動可能に設けられている、付記1から3のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記5)前記揺動部について第1揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第1駆動機構と、前記揺動部について前記第1揺動方向とは反対の第2揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第2駆動機構と、を更に備える、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記6)揺動部と、
フレームと、
前記揺動部および前記フレームを連結し、且つ、当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する、連結部と、を備え、
前記連結部は、並列する複数のトーションバーを含み、当該複数のトーションバーから選択される二本のトーションバーは、相対的に接近離反動可能に設けられている、マイクロ揺動素子。
(付記7)前記揺動部は、揺動主部と、当該揺動主部に取り付けられ且つ前記揺動軸心と交差する方向に変移可能な第1可動部とを有し、前記フレームは、フレーム主部と、当該フレーム主部に取り付けられ且つ前記第1可動部と同方向に変移可能な第2可動部とを有し、前記連結部に含まれる一のトーションバーは、当該第1および第2可動部を連結する、付記4または6に記載のマイクロ揺動素子。
(付記8)前記揺動部は、前記揺動主部に固定された第1櫛歯電極を有し、前記第1可動部は、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極を有する、付記7に記載のマイクロ揺動素子。
(付記9)前記フレームは、前記フレーム主部に固定された第1櫛歯電極を有し、前記第2可動部は、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極を有する、付記7または8に記載のマイクロ揺動素子。
(付記10)前記揺動部について第1揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第1駆動機構と、前記揺動部について前記第1揺動方向とは反対の第2揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第2駆動機構と、を更に備える、付記6から9のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記11)揺動部と、
フレームと、
前記揺動部および前記フレームを連結し、且つ、当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する、連結部と、
前記揺動部について第1揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第1駆動機構と、
前記揺動部について前記第1揺動方向とは反対の第2揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間を制御可能な、第2駆動機構と、を備えるマイクロ揺動素子。
(付記12)前記第1駆動機構および前記第2駆動機構は、第1櫛歯電極、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極、および、前記第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第3櫛歯電極を含み、前記第1櫛歯電極は前記揺動部に固定され、前記第2櫛歯電極は、非駆動時において前記第1櫛歯電極に対向しない位置にて前記フレームに固定され、前記第3櫛歯電極は、非駆動時において前記第1櫛歯電極に対向する位置にて前記フレームに固定され、当該第2および第3櫛歯電極は並列する、付記5,10,11のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
X1,X2,X3,X4 マイクロミラー素子
110 揺動部
111 揺動主部
112 錘部
112a,115,140,150,160,170 櫛歯電極
113A,113B 支持基部
114A,114B 支持梁
116,117 配線部
120 フレーム
121 第1層部
122 第2層部
130 連結部
131,132,133 トーションバー
210 揺動部
211 揺動主部
212A,212B,223A,223B 可動部
213,224 支持基部
214,225 バネ部
220 フレーム
221 第1層部
222 第2層部
223a,226,240,250,260,270 櫛歯電極
227 配線部
230 連結部
231,232,233 トーションバー
310 揺動部
320 フレーム
321 第1層部
322 第2層部
330 連結部
331 トーションバー
340,350,360,370,380,390 櫛歯電極

Claims (2)

  1. 揺動部と、
    フレームと、
    前記揺動部および前記フレームを連結し、且つ、当該フレームに対する当該揺動部の揺動動作における揺動軸心を規定する、連結部と、
    前記揺動部について第1揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間が変更される、第1駆動機構と、
    前記揺動部について前記第1揺動方向とは反対の第2揺動方向に回転トルクを発生可能であり、且つ、当該回転トルクの大きさ及び/又は発生期間が変更される、第2駆動機構と、を備え、
    前記第1駆動機構および前記第2駆動機構により発生される回転トルクが前記揺動部の揺動角度が増大する方向に作用するときにノーマル動作に比べ前記回転トルクが大きく及び/又は前記発生期間が長くなるように変更されたとき、前記回転トルクが前記揺動角度が減少する方向に作用するときには前記ノーマル動作に比べ前記回転トルクが小さく及び/又は前記発生期間が短くなるように変更され、前記回転トルクが前記揺動角度が増大する方向に作用するときに前記ノーマル動作に比べ前記回転トルクが小さく及び/又は前記発生期間が短くなるように変更されたとき、前記回転トルクが前記揺動角度が減少する方向に作用するときには前記回転トルクが前記ノーマル動作に比べ大きく及び/又は前記発生期間が長くなるように変更され、
    前記ノーマル動作は、前記揺動部の前記揺動角度が増大する方向に作用するときと、前記揺動部の前記揺動角度が減少する方向に作用するときと、で前記回転トルクが同じである動作である、マイクロ揺動素子。
  2. 前記第1駆動機構および前記第2駆動機構は、第1櫛歯電極、当該第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第2櫛歯電極、および、前記第1櫛歯電極と協働して静電引力を発生させるための第3櫛歯電極を含み、前記第1櫛歯電極は前記揺動部に固定され、前記第2櫛歯電極は、非駆動時において前記第1櫛歯電極に対向しない位置にて前記フレームに固定され、前記第3櫛歯電極は、非駆動時において前記第1櫛歯電極に対向する位置にて前記フレームに固定され、当該第2および第3櫛歯電極は並列する、請求項1に記載のマイクロ揺動素子。
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