JP5239801B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
そこで、車両が旋回限界に達したとき、意図的に操舵反力を小さくする特許文献1に記載の技術を適用することで、ドライバにタイヤの旋回限界を知らせることが考えられている。
図1は、実施例1の車両用操舵装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの全体構成図であり、実施例1の車両用操舵装置は、ハンドル1と前輪(転舵輪)2,2を転舵する舵取り機構3とを機械的に分離した、いわゆる、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムである。
第2コントローラ15には、回転角センサ6からのコラムシャフト回転角と、操舵トルクセンサ7からの操舵トルクと、反力モータ角度センサ8からの反力モータ角度と、第1,第2タイヤ横力センサ12a,12bからのタイヤ横力とを入力する。また、第2コントローラ15には、図外のCAN通信線を介して車輪速等の車両情報を入力する。
尚、本実施例においては反力モータ角度センサ8からの反力モータ角度をハンドル1の操舵角度として用いているが、回転角センサ6からのコラムシャフト回転角を操舵角として用いても良い。
実施例1では、タイヤ横力センサ12により検出された実際のタイヤ横力Fyと、転舵モータ9の電流値から算出した転舵軸力Fr(ラック11の軸方向に作用する力)とから、下記の式を参照して目標操舵反力Thを生成する。転舵軸力Frは、転舵モータ9の電流値を転舵モータ9の出力トルク(転舵モータ9a,9bの出力トルク合計値)に換算して算出する(転舵軸力検出手段)。
Th=K1×Fr+K2×Fy
ここで、K1は転舵軸力ゲイン,K2は転舵軸力ゲインである。これら2つのゲインK1,K2は、タイヤ横力センサ12により検出されたタイヤ横力Fyに応じて、図2に示すマップを参照して決定する。
第1閾値Fy1は、図3に示すように、タイヤ横力Fyがタイヤスリップ角βに対して線形的に変化する線形領域内におけるタイヤ横力の最大値とする。また、第2閾値Fy2は、タイヤ横力Fyがタイヤスリップ角βに対して非線形的に変化する非線形領域内であって、タイヤ横力Fyの飽和値(タイヤ横力Fyが略一定となる時の値)とする。
第1閾値Fy1および第2閾値Fy2は、タイヤの諸元で決まる値であるため、あらかじめ実験等により求め、記憶しておく。
(タイヤ線形領域の反力生成)
ハンドル1を操作したとき、前輪2,2からラック11の軸方向に入力する転舵軸力は、セルフアライニングトルクSATとタイヤ横力Fy×キャスタートレール(正確には各々にcos(キャスター角)をかけたもの)のモーメントがキングピン回りに働く。「キャスタートレール」とは、タイヤを横から見て、キングピン軸が鉛直方向となす角をいう。
タイヤ横力Fyが第1閾値Fy1以上となるタイヤ非線形領域(すなわちタイヤの旋回限界以上の領域)では、タイヤ線形領域と異なり、タイヤ横力Fyはタイヤスリップ角βに比例して増加せず、ある値(第2閾値Fy2)で飽和する。また、セルフアライニングトルクSATは、タイヤ非線形領域ではタイヤ横力Fyが第1閾値Fy1から第2閾値Fy2まで増加しているのに対し、タイヤ非線形領域では第1閾値Fy1から急減している。これは、タイヤ横力Fyが第1閾値Fy1以上のとき、ニューマチックトレールが車両前方側へ移動するためである。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 運転者によって操舵されるハンドル1と、前輪2,2に接続されるとともに当該前輪2,2を転舵駆動する舵取り機構3とが機械的に分離し、ハンドル1の操舵角に応じて舵取り機構3によって前輪2,2を駆動すると共に、ハンドル1に操舵反力を付与する反力モータ5を有する車両用操舵装置において、タイヤ横力Fyを検出する第1,第2タイヤ横力センサ12a,12bと、舵取り機構3のラック軸11に作用する転舵軸力Frを検出する転舵軸力検出手段(コントローラ15)と、反力モータ5によってハンドル1に付与する操舵反力の目標値である目標操舵反力Thをタイヤ横力と転舵軸力に応じて生成すると共に、該生成した目標操舵反力Thに基づいて反力モータ5を制御するコントローラ15と、を設け、コントローラ15は、タイヤ横力Fyがタイヤスリップ角βに対して線形的に変化する線形領域ではタイヤ横力Fyのみに応じて目標操舵反力Thを生成し、タイヤ横力Fyがタイヤスリップ角βに対して非線形的に変化する非線形領域ではタイヤ横力Fyが大きくなるほど目標操舵反力Thのうちタイヤ横力Fyに応じた操舵反力を小さくする一方、転舵軸力Frに応じた操舵反力を大きくする。これにより、コンベンショナルな操舵装置の操舵反力特性をより正確に模擬できる。
タイヤ横力Fyと転舵軸力Fr(セルフアライニングトルクSAT)との差の絶対値が第1閾値ΔF1以上であるということは、タイヤ横力Fyが非線形領域であり、かつ、セルフアライニングトルクSATが減少していることを示すものである。また、タイヤ横力Fyと転舵軸力Frとの差の絶対値が第2閾値ΔF2以上であるということは、タイヤ横力Fyが飽和していることを示すものである。
実施例2の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではない。
例えば、実施例では、転舵モータの電流値を出力トルクに換算して転舵軸力を算出する例を示したが、舵取り機構のラック軸に作用する転舵軸力を直接検出可能な軸力センサを設けた構成としてもよい。
また、上記実施例2においては、コントローラ15は前輪2,2の転舵角速度を算出し、転舵角速度に応じて設定した転舵軸力補正係数を、転舵軸力Frにかけ転舵軸力Frを補正しているが、これを実施例1に記載の転舵装置に適用してもよい。
2 前輪
3 舵取り機構
4 コラムシャフト
5 反力モータ(操舵反力付与手段)
6 回転角センサ
7 操舵トルクセンサ
8 反力モータ角度センサ
9a,9b 転舵モータ
10a,10b 転舵モータ角度センサ
11 ラック
12a,12b タイヤ横力センサ(タイヤ横力検出手段)
13 ピニオンシャフト
14 第1コントローラ(操舵反力制御手段,転舵軸力検出手段,転舵角速度検出手段)
15 第2コントローラ(操舵反力制御手段,転舵軸力検出手段,転舵角速度検出手段)
16 第3コントローラ(操舵反力制御手段,転舵軸力検出手段,転舵角速度検出手段)
17 バッテリ
18 通信線
Claims (4)
- 運転者によって操舵されるハンドルと、転舵輪に接続されるとともに当該転舵輪を転舵駆動する舵取り機構とが機械的に分離し、前記ハンドルの操舵角に応じて前記舵取り機構によって前記転舵輪を駆動すると共に、前記ハンドルに操舵反力を付与する操舵反力付与手段を有する車両用操舵装置において、
タイヤ横力を検出するタイヤ横力検出手段と、
前記舵取り機構のラック軸に作用する転舵軸力を検出する転舵軸力検出手段と、
前記操舵反力付与手段によって前記ハンドルに付与する操舵反力の目標値である目標操舵反力を前記タイヤ横力と前記転舵軸力に応じて生成すると共に、該生成した目標操舵反力に基づいて前記操舵反力付与手段を制御する操舵反力制御手段と、
を設け、
前記操舵反力制御手段は、前記タイヤ横力がタイヤスリップ角に対して線形的に変化する線形領域では前記タイヤ横力のみに応じて前記目標操舵反力を生成し、前記タイヤ横力が前記タイヤスリップ角に対して非線形的に変化する非線形領域では前記タイヤ横力が大きくなるほど前記目標操舵反力のうち前記タイヤ横力に応じた操舵反力を小さくする一方、前記転舵軸力に応じた操舵反力を大きくすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力制御手段は、前記タイヤ横力が飽和しているとき、前記タイヤ横力に応じた操舵反力および前記転舵軸力に応じた目標操舵反力を、タイヤ横力が飽和した際の目標操舵反力に維持することを特徴とする車両用操舵装置。 - 運転者によって操舵されるハンドルと、転舵輪に接続されるとともに当該転舵輪を転舵駆動する舵取り機構とが機械的に分離し、前記ハンドルの操舵角に応じて前記舵取り機構によって前記転舵輪を駆動すると共に、前記ハンドルに操舵反力を付与する操舵反力付与手段を有する車両用操舵装置において、
タイヤ横力を検出するタイヤ横力検出手段と、
前記舵取り機構のラック軸に作用する転舵軸力を検出する転舵軸力検出手段と、
前記操舵反力付与手段によって前記ハンドルに付与する操舵反力の目標値である目標操舵反力を前記タイヤ横力と前記転舵軸力に応じて生成すると共に、該生成した目標操舵反力に基づいて前記操舵反力付与手段を制御する操舵反力制御手段と、
を設け、
前記操舵反力制御手段は、前記タイヤ横力と前記転舵軸力との差の絶対値が、前記タイヤ横力がタイヤスリップ角に対して線形的に変化する線形領域を示す値である場合には前記タイヤ横力のみに応じて前記目標操舵反力を生成し、前記差の絶対値が、前記タイヤ横力が前記タイヤスリップ角に対して非線形的に変化する非線形領域を示す値である場合には前記タイヤ横力が大きくなるほど前記目標操舵反力のうち前記タイヤ横力に応じた操舵反力を小さくする一方、前記転舵軸力に応じた操舵反力を大きくすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記タイヤの転舵角速度を検出する転舵角速度検出手段を設け、
前記操舵反力制御手段は、前記転舵角速度が高いほど前記転舵軸力を減少補正することを特徴とする車両用操舵装置。
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