JP6876251B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
そこで、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムにおいて、一方の転舵輪が失陥した場合に、正常な他方の転舵輪の転舵角制御によって、車両を換向することが考えられる。転舵輪が失陥した場合とは、当該転舵輪を転舵するための転舵モータから当該転舵輪を転舵するためのトルクを発生できなくなった場合等のように、当該転舵輪に対する転舵角制御が正常に行えなくなった場合をいう。
請求項4に記載の発明は、車速を検出するための車速検出手段と、車速と前記旋回限界転舵角との関係を示すマップとをさらに含み、前記演算手段は、前記車速検出手段によって検出された車速と前記マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置である。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図であり、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムの構成が示されている。
この車両用操舵装置1は、運転者が操向のために操作する操舵部材としてステアリングホイール2と、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rと、ステアリングホイール2の回転操作に応じて駆動される左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rと、左転舵モータ4Lの駆動力に基づいて左転舵輪3Lを転舵する左転舵機構5Lと、右転舵モータ4Rの駆動力に基づいて右転舵輪3Rを転舵する右転舵機構5Rとを備えている。
ステアリングホイール2は、車体側に回転可能に支持された回転シャフト6に連結されている。この回転シャフト6には、ステアリングホイール2に作用する反力トルク(操作反力)を発生する反力モータ7が設けられている。この反力モータ7は、例えば、回転シャフト6と一体の出力シャフトを有する電動モータにより構成されている。
左転舵モータ4Lおよび左転舵角センサ10Lは、下位ECUの1つである左転舵ECU22に接続されている。左転舵ECU22は、左転舵モータ制御手段の一例である。右転舵モータ4Rおよび右転舵角センサ10Rは、下位ECUの1つである右転舵ECU23に接続されている。右転舵ECU23は、右転舵モータ制御手段の一例である。
反力ECU21は、マイクロコンピュータから構成される反力モータ制御部31と、反力モータ制御部31によって制御され、反力モータ7に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、反力モータ7に流れるモータ電流を検出する電流検出部33とを備えている。
左転舵ECU22は、マイクロコンピュータから構成される左転舵モータ制御部41Lと、左転舵モータ制御部41Lによって制御され、左転舵モータ4Lに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Lと、左転舵モータ4Lに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Lとを備えている。
PI制御部52Lは、転舵角偏差演算部51Lによって演算される左転舵角偏差ΔδLに対するPI演算を行なうことにより、左転舵角速度の目標値である左目標転舵角速度ωL *を演算する。
角速度偏差演算部54Lは、PI制御部52Lによって演算される左目標転舵角速度ωL *と、角速度演算部53Lによって演算される左転舵角速度ωLとの偏差ΔωL(=ωL *−ωL)を演算する。
電流偏差演算部56Lは、PI制御部55Lによって演算される左目標モータ電流IL *と、電流検出部43Lによって検出される左モータ電流ILとの偏差ΔIL(=IL *−IL)を演算する。
PWM制御部58Lは、左モータ駆動指令値に対応するデューティ比の左PWM制御信号を生成して、駆動回路42Lに供給する。これにより、左モータ駆動指令値に対応した電力が左転舵モータ4Lに供給されることになる。
右転舵ECU23は、マイクロコンピュータから構成される右転舵モータ制御部41Rと、右転舵モータ制御部41Rによって制御され、右転舵モータ4Rに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Rと、右転舵モータ4Rに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Rとを備えている。
PI制御部52Rは、転舵角偏差演算部51Rによって演算される右転舵角偏差ΔδRに対するPI演算を行なうことにより、右転舵角速度の目標値である右目標転舵角速度ωR *を演算する。
角速度偏差演算部54Rは、PI制御部52Rによって演算される右目標転舵角速度ωR *と、角速度演算部53Rによって演算される右転舵角速度ωRとの偏差ΔωR(=ωR *−ωR)を演算する。
電流偏差演算部56Rは、PI制御部55Rによって演算される右目標モータ電流IR *と、電流検出部43Rによって検出される右モータ電流IRとの偏差ΔIR(=IR *−IR)を演算する。
PWM制御部58Rは、右モータ駆動指令値に対応するデューティ比の右PWM制御信号を生成して、駆動回路42Rに供給する。これにより、右モータ駆動指令値に対応した電力が右転舵モータ4Rに供給されることになる。
この車両用操舵装置1では、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rのうちの一方の転舵輪が失陥した場合には、正常な他方の転舵輪の転舵角制御によって、車両が換向される。つまり、左転舵輪3Lが失陥した場合には、右転舵ECU23による。右転舵輪3Rに対する転舵角制御によって車両が換向される。右転舵輪3Rが失陥した場合には、左転舵ECU22による左転舵輪3Lに対する転舵角制御によって車両が換向される。
以下において、外輪側の転舵輪を「外輪」といい、内輪側の転舵輪を「内輪」という場合がある。図5において、実線の曲線は外輪が失陥した場合の内輪(正常な転舵輪)の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示している。図5において、破線の曲線は内輪が失陥した場合の外輪(正常な転舵輪)の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示している。
上位ECU20は、まず、操舵角センサ8によって検出される操舵角θ、車速センサ11によって検出される車速V、左転舵ECU22から与えられる左転舵角δLおよび第1失陥情報ならびに右転舵ECU23から与えられる右転舵角δRおよび第2失陥情報を取得する(ステップS1)。
右転舵輪3Rが失陥していない場合には(ステップS3:NO)、上位ECU20は、予め設定されている転舵輪3L,3Rの最大転舵角に対応する操舵角の絶対値(以下、「最大操舵角θmax」という。)を、仮想操舵限界角α(α>0)として設定する(ステップS4)。最大操舵角θmax(θmax>0)は予め設定されて不揮発性メモリ20aに記憶されている。
図8を参照して、左目標転舵角δL *および右目標転舵角δR *は、操舵角θが正のとき(右操舵時)には正の値とされ、操舵角θが負のとき(左操舵時)には負の値とされる。右操舵時には、右転舵輪3Rが内輪となり、左転舵輪3Lが外輪となる。右操舵時には、内輪側の右転舵輪3Rの転舵角の絶対値を外輪側の左転舵輪3Lの転舵角の絶対値よりも大きくするために、右目標転舵角δR *の絶対値は、左目標転舵角δL *の絶対値に比べて大きくなるように設定されている。この実施形態では、操舵角θが正のときには、左目標転舵角δL *の絶対値は、操舵角θが大きくなるほど一次関数的に大きくなるように設定されている。これに対して、右目標転舵角δR *の絶対値は、操舵角θが大きくなるほど二次関数的に大きくなるように設定されている。
ステップS10では、上位ECU20は、失陥していない方の転舵輪(正常転舵輪)の旋回限界転舵角δAおよびそれに対応する旋回限界操舵角θAを設定する。具体的には、上位ECU20は、まず、失陥している転舵輪が内輪であるか外輪であるかを判別する。具体的には、失陥している転舵輪が左転舵輪3Lである場合には、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θの符号が正(右操舵)であれば、失陥している転舵輪が外輪であると判別し、操舵角θの符号が負(左操舵)であれば、失陥している転舵輪が内輪であると判別する。
上位ECU20は、失陥している転舵輪が内輪であるか外輪であるかの判別結果と、ステップS1で取得された車速Vと、第1または第2旋回限界転舵角マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角δAの絶対値|δA|を求める。そして、上位ECU20は、操舵角θの符号が正の場合には、旋回限界転舵角δAの符号を正に設定し、操舵角θの符号が負の場合には、旋回限界転舵角δAの符号を負に設定する。
このようにして、旋回限界転舵角δAおよび旋回限界操舵角θAが設定されると、上位ECU20は、旋回限界操舵角θAの絶対値|θA|を、仮想操舵限界角αとして設定する(ステップS11)。
前記ステップS9において、右転舵輪3Rが失陥していると判別された場合(ステップS9:YES)には、両転舵輪3L,3Rが失陥しているので、上位ECU20は、車両を停止させるための車両停止処理を行う(ステップS14)。この場合には、上位ECU20は、両転舵輪3L,3Rが失陥したことを図示しない表示装置に表示する。
これにより、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δAの絶対値|δA|よりも大きくなっている場合には、正常転舵輪の転舵角δxを旋回限界転舵角δAまで自動的に戻すことができる。このようにして、正常転舵輪の転舵角δxが旋回限界転舵角δAまで戻った場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δAの絶対値|δA|よりも大きくなるのを抑制できる。また、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δAの絶対値|δA|以下であった場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δAの絶対値|δA|よりも大きくなるのを抑制できる。したがって、この実施形態では、一方の転舵輪が失陥した場合に、運転者の意図に反して車両の旋回半径が大きくなるのを抑制できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (5)
- 左転舵輪および右転舵輪を個別に転舵するための左転舵機構および右転舵機構を含み、操向のために操作される操舵部材と前記左転舵機構および右転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、前記左転舵機構および右転舵機構がそれぞれ左転舵モータおよび右転舵モータによって駆動される車両用操舵装置であって、
前記左転舵輪に対する左目標転舵角および前記右転舵輪に対する右目標転舵角を設定する目標転舵角設定手段と、
前記左転舵輪の転舵角が、前記左目標転舵角に等しくなるように前記左転舵モータを制御する左転舵モータ制御手段と、
前記右転舵輪の転舵角が、前記右目標転舵角に等しくなるように前記右転舵モータを制御する右転舵モータ制御手段とを含み、
前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥して場合において、正常転舵輪の転舵角をその絶対値が大きくなる方向に変化させたときに、車両の旋回半径が減少傾向から増加傾向に変化する変化点の前記正常転舵輪の転舵角を旋回限界転舵角とすると、
前記目標転舵角設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する演算手段と、正常転舵輪の転舵角の絶対値が前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角の絶対値よりも大きいときには、当該旋回限界転舵角を前記正常転舵輪に対する目標転舵角として設定する手段を含む、車両用操舵装置。 - 前記操舵部材に操舵方向とは反対方向の操舵反力を付与するための反力モータと、
前記反力モータに対する目標反力を設定する目標反力設定手段と、
前記目標反力に応じた反力トルクが前記反力モータから発生するように前記反力モータを制御する反力モータ制御手段とをさらに含み、
前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記操舵部材の回転角である実操舵角の絶対値が、前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角に対応する操舵角である旋回限界操舵角の絶対値以上のときには、前記目標反力の絶対値を予め設定された反力最大値に設定する手段を含む、請求項1に記載の車両用操舵装置。 - 前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記実操舵角の絶対値が前記旋回限界操舵角の絶対値未満のときには、前記目標反力の絶対値を前記実操舵角に応じて設定する手段を含む、請求項2に記載の車両用操舵装置。
- 車速を検出するための車速検出手段と、
車速と前記旋回限界転舵角との関係を示すマップとをさらに含み、
前記演算手段は、前記車速検出手段によって検出された車速と前記マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。 - 車速を検出するための車速検出手段と、
車速と、外輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係を示す第1マップと、
車速と、内輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係とを示す第2マップとをさらに含み、
前記演算手段は、
前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪であるか内輪側の転舵輪であるかを判別する判別手段と、
失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第1マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第1演算手段と、
失陥した転舵輪が内輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第2マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第2演算手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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