JP6876251B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

この発明は、左右の転舵輪を個別に転舵するための左右の転舵機構を含み、操向のために操作される操舵部材と左右の転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、左右の転舵機構が左右の転舵モータによって個別に駆動される車両用操舵装置に関する。
自動運転に代表される高度運転支援機能を成立させるとともに、エンジンルームのレイアウトの自由度向上を目的とした、中間シャフトを使用しないステア・バイ・ワイヤシステムの有効性が評価され始めている。そして、エンジンルームのレイアウトの更なる自由度向上を図るために、下記特許文献1,2に示すように、ラックアンドピニオン機構等を含むステアリングギヤ装置を使用せず、左右の転舵輪を個別の転舵モータで制御する左右独立転舵システムが提案されている。
また、下記特許文献3には、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムであって、一方の転舵用アクチュエータに異常が発生した場合に、正常な転舵用アクチュエータの駆動力を、異常が発生した転舵用アクチュエータに機械的に伝達することができるステア・バイ・ワイヤシステムが開示されている。
特開2008−174160号公報 特開2015−20586号公報 特開2011−131777号公報
特許文献3に記載のステア・バイ・ワイヤシステムでは、一方の転舵用アクチュエータに異常が発生した場合に、正常な転舵用アクチュエータの駆動力を、異常が発生した転舵用アクチュエータに機械的に伝達するための機構(例えば、セーフバーおよびピン)が必要となる。
そこで、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムにおいて、一方の転舵輪が失陥した場合に、正常な他方の転舵輪の転舵角制御によって、車両を換向することが考えられる。転舵輪が失陥した場合とは、当該転舵輪を転舵するための転舵モータから当該転舵輪を転舵するためのトルクを発生できなくなった場合等のように、当該転舵輪に対する転舵角制御が正常に行えなくなった場合をいう。
一方の転舵輪が失陥している状態において、正常な他方の転舵輪の転舵角制御によって車両を換向させようとした場合、次のような問題が生じることが判明した。すなわち、正常な転舵輪の転舵角の絶対値が大きくなるにつれて車両の旋回半径は小さくなるが、正常な転舵輪の転舵角の絶対値が所定値以上になると、タイヤ横力が飽和し、運転者の意図に反して車両の旋回半径が大きくなる。
この発明の目的は、一方の転舵輪が失陥した場合に、運転者の意図に反して車両の旋回半径が大きくなるのを抑制できる車両用操舵装置を提供することである。
請求項1に記載の発明は、左転舵輪(3L)および右転舵輪(3R)を個別に転舵するための左転舵機構(5L)および右転舵機構(5R)を含み、操向のために操作される操舵部材(2)と前記左転舵機構および右転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、前記左転舵機構および右転舵機構がそれぞれ左転舵モータ(4L)および右転舵モータ(4R)によって駆動される車両用操舵装置(1)であって、前記左転舵輪に対する左目標転舵角および前記右転舵輪に対する右目標転舵角を設定する目標転舵角設定手段(20)と、前記左転舵輪の転舵角が、前記左目標転舵角に等しくなるように前記左転舵モータを制御する左転舵モータ制御手段(22)と、前記右転舵輪の転舵角が、前記右目標転舵角に等しくなるように前記右転舵モータを制御する右転舵モータ制御手段(23)とを含み、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥して場合において、正常転舵輪の転舵角をその絶対値が大きくなる方向に変化させたときに、車両の旋回半径が減少傾向から増加傾向に変化する変化点の前記正常転舵輪の転舵角を旋回限界転舵角とすると、前記目標転舵角設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する演算手段と、正常転舵輪の転舵角の絶対値が前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角の絶対値よりも大きいときには、当該旋回限界転舵角を前記正常転舵輪に対する目標転舵角として設定する手段を含む、車両用操舵装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この構成では、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角の絶対値が旋回限界転舵角の絶対値よりも大きくなっている場合には、正常転舵輪の転舵角を旋回限界転舵角まで自動的に戻すことができる。このようにして、正常転舵輪の転舵角が旋回限界転舵角まで戻った場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角の絶対値が旋回限界転舵角の絶対値よりも大きくなるのを抑制できる。また、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角の絶対値が旋回限界転舵角の絶対値以下であった場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角の絶対値が旋回限界転舵角の絶対値よりも大きくなるのを抑制できる。したがって、この構成では、一方の転舵輪が失陥した場合に、運転者の意図に反して車両の旋回半径が大きくなるのを抑制できる。
請求項2に記載の発明は、前記操舵部材に操舵方向とは反対方向の操舵反力を付与するための反力モータ(7)と、前記反力モータに対する目標反力を設定する目標反力設定手段(20)と、前記目標反力に応じた反力トルクが前記反力モータから発生するように前記反力モータを制御する反力モータ制御手段とをさらに含み、前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記操舵部材の回転角である実操舵角の絶対値が、前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角に対応する操舵角である旋回限界操舵角の絶対値以上のときには、前記目標反力の絶対値を予め設定された反力最大値に設定する手段を含む、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
この構成では、一方の転舵輪が失陥したときに、実操舵角の絶対値が旋回限界操舵角の絶対値よりも大きくなっている場合には、運転者が操舵部材を切り戻すように、操作反力を増大させることができる。このようにして実操舵角の絶対値が旋回限界操舵角の絶対値以下になった後においては、実操舵角の絶対値が旋回限界操舵角の絶対値を超えるような操舵操作が行われるのを抑制できる。また、一方の転舵輪が失陥したときに、実操舵角の絶対値が旋回限界操舵角の絶対値以下であった場合には、その後に、実操舵角の絶対値が旋回限界操舵角の絶対値を超えるような操舵操作が行われるのを抑制できる。
請求項3に記載の発明は、前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記実操舵角の絶対値が前記旋回限界操舵角の絶対値未満のときには、前記目標反力の絶対値を前記実操舵角に応じて設定する手段を含む、請求項2に記載の車両用操舵装置である。
請求項4に記載の発明は、車速を検出するための車速検出手段と、車速と前記旋回限界転舵角との関係を示すマップとをさらに含み、前記演算手段は、前記車速検出手段によって検出された車速と前記マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置である。
請求項5に記載の発明は、車速を検出するための車速検出手段と、車速と、外輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係を示す第1マップと、車速と、内輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係を示す第2マップとをさらに含み、前記演算手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪であるか内輪側の転舵輪であるかを判別する判別手段と、失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第1マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第1演算手段と、失陥した転舵輪が内輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第2マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第2演算手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置である。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図である。 図2は、反力ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図3は、左転舵ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図4は、右転舵ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図5は、車速をパラメータとして、一方の転舵輪が失陥した場合の正常転舵輪の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示す両対数グラフである。 図6は、車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示すグラフである。 図7は、上位ECUによって実行される目標値設定処理の手順を示すフローチャートである。 図8は、操舵角θに対する左目標転舵角δ および右目標転舵角δ の設定例を示すグラフである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図であり、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムの構成が示されている。
この車両用操舵装置1は、運転者が操向のために操作する操舵部材としてステアリングホイール2と、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rと、ステアリングホイール2の回転操作に応じて駆動される左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rと、左転舵モータ4Lの駆動力に基づいて左転舵輪3Lを転舵する左転舵機構5Lと、右転舵モータ4Rの駆動力に基づいて右転舵輪3Rを転舵する右転舵機構5Rとを備えている。
ステアリングホイール2と左転舵機構5Lおよび右転舵機構5Rとの間には、機械的にトルクや回転などの動きが伝達されるような機械的な結合はない。ステアリングホイール2の操作量(操舵角)に応じて左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rが駆動制御されることによって、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rが転舵される。左転舵機構5Lおよび右転舵機構5Rとしては、例えば、特許文献2に開示されたサスペンション装置や、特許文献1に開示された転舵装置を用いることができる。
この実施形態では、転舵モータ4L,4Rが正転方向に回転されると、右方向に車両を換向させる方向(右転舵方向)に転舵輪3L,3Rの転舵角が変化し、転舵モータ4L,4Rが逆転方向に回転されると、左方向に車両を換向させる方向(左転舵方向)に転舵輪3L,3Rの転舵角が変化するものとする。
ステアリングホイール2は、車体側に回転可能に支持された回転シャフト6に連結されている。この回転シャフト6には、ステアリングホイール2に作用する反力トルク(操作反力)を発生する反力モータ7が設けられている。この反力モータ7は、例えば、回転シャフト6と一体の出力シャフトを有する電動モータにより構成されている。
回転シャフト6の周囲には、回転シャフト6の回転角(ステアリングホイール2の操舵角θ)を検出するための操舵角センサ8が設けられている。この実施形態では、操舵角センサ8は、回転シャフト6の中立位置(基準位置)からの回転シャフト6の正逆両方向の回転量(回転角)を検出するものであり、中立位置から右方向への回転量を例えば正の値として出力し、中立位置から左方向への回転量を例えば負の値として出力する。
左転舵機構5Lの近傍には、左転舵輪3Lの転舵角(以下、「左転舵角δ」という場合がある。)を検出するための左転舵角センサ10Lが備えられている。右転舵機構5Rの近傍には、右転舵輪3Rの転舵角(以下、「右転舵角δ」という場合がある。)を検出するための右転舵角センサ10Rが備えられている。車両には、さらに、車速Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
操舵角センサ8および車速センサ11は、上位ECU(Electronic Control Unit)20にそれぞれ接続されている。上位ECU20は、目標転舵角設定手段および目標反力設定手段の一例である。反力モータ7は、下位ECUの1つである反力ECU21に接続されている。反力ECU21は、反力モータ制御手段の一例である。
左転舵モータ4Lおよび左転舵角センサ10Lは、下位ECUの1つである左転舵ECU22に接続されている。左転舵ECU22は、左転舵モータ制御手段の一例である。右転舵モータ4Rおよび右転舵角センサ10Rは、下位ECUの1つである右転舵ECU23に接続されている。右転舵ECU23は、右転舵モータ制御手段の一例である。
左転舵ECU22からは、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δおよび左転舵輪3Lに関する第1失陥情報が、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信ラインを介して上位ECU20に送られる。右転舵ECU23からは、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δおよび右転舵輪3Rに関する第2失陥情報が、車載ネットワークを介して上位ECU20に送られる。第1および第2失陥情報については、後述する。
上位ECU20は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ20aなど)を備えたマイクロコンピュータを含む。上位ECU20は、上位ECU20に入力される情報に基づいて目標値設定処理を行って、目標反力トルクT 、左目標転舵角δ および右目標転舵角δ を設定する。目標反力トルクT は、反力モータ7に発生させるべき反力トルクの目標値である。左目標転舵角δ は、左転舵輪3Lの転舵角の目標値である。右目標転舵角δ は、右転舵輪3Rの転舵角の目標値である。目標値設定処理の詳細については、後述する。
上位ECU20によって演算される目標反力トルクT は、例えばCAN等の通信ラインを介して反力ECU21に送信される。上位ECU20によって演算された左目標転舵角δ は、例えばCAN等の通信ラインを介して左転舵ECU22に送信される。上位ECU20によって演算される右目標転舵角δ は、例えばCAN等の通信ラインを介して右転舵ECU23に送信される。
図2は、反力ECU21の電気的構成を示すブロック図である。
反力ECU21は、マイクロコンピュータから構成される反力モータ制御部31と、反力モータ制御部31によって制御され、反力モータ7に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、反力モータ7に流れるモータ電流を検出する電流検出部33とを備えている。
反力モータ制御部31は、上位ECU20から送信される目標反力トルクT を受信する。反力モータ制御部31は、受信した目標反力トルクT に基づいて、反力モータ7の駆動回路32を駆動制御する。具体的には、反力モータ制御部31は、目標反力トルクT に応じた反力トルクが反力モータ7から発生するように、駆動回路32を駆動制御する。より具体的には、反力モータ制御部31は、電流検出部33によって検出されるモータ電流が、目標反力トルクT に応じたモータ電流(目標モータ電流)に等しくなるように、駆動回路32を駆動制御する。
図3は、左転舵ECU22の電気的構成を示すブロック図である。
左転舵ECU22は、マイクロコンピュータから構成される左転舵モータ制御部41Lと、左転舵モータ制御部41Lによって制御され、左転舵モータ4Lに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Lと、左転舵モータ4Lに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Lとを備えている。
左転舵モータ制御部41Lは、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δが上位ECU20から与えられる左目標転舵角δ に等しくなるように、駆動回路42Lを制御する。具体的には、左転舵モータ制御部41Lは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、転舵角偏差演算部51Lと、PI制御部(転舵角)52Lと、角速度演算部53Lと、角速度偏差演算部54Lと、PI制御部(角速度)55Lと、電流偏差演算部56Lと、PI制御部(電流)57Lと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部58Lと、失陥検出部59Lが含まれる。
転舵角偏差演算部51Lは、上位ECU20から与えられた左目標転舵角δ と、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角(実左転舵角)δとの偏差Δδ(=δ −δ)を演算する。
PI制御部52Lは、転舵角偏差演算部51Lによって演算される左転舵角偏差Δδに対するPI演算を行なうことにより、左転舵角速度の目標値である左目標転舵角速度ω を演算する。
角速度演算部53Lは、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δを時間微分することによって、左転舵角δの角速度(左転舵角速度)ωを演算する。
角速度偏差演算部54Lは、PI制御部52Lによって演算される左目標転舵角速度ω と、角速度演算部53Lによって演算される左転舵角速度ωとの偏差Δω(=ω −ω)を演算する。
PI制御部55Lは、角速度偏差演算部54Lによって演算される左転舵角速度偏差Δωに対するPI演算を行なうことにより、左転舵モータ4Lに流すべき電流の目標値である左目標モータ電流I を演算する。
電流偏差演算部56Lは、PI制御部55Lによって演算される左目標モータ電流I と、電流検出部43Lによって検出される左モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。
PI制御部57Lは、電流偏差演算部56Lによって演算される左モータ電流偏差ΔIに対するPI演算を行なうことにより、左転舵モータ4Lに流れる左モータ電流Iを左目標モータ電流I に導くための左モータ駆動指令値を生成する。
PWM制御部58Lは、左モータ駆動指令値に対応するデューティ比の左PWM制御信号を生成して、駆動回路42Lに供給する。これにより、左モータ駆動指令値に対応した電力が左転舵モータ4Lに供給されることになる。
失陥検出部59は、左転舵輪3Lが失陥したか否かを判定し、その判定結果を示す第1失陥情報を上位ECU20に送信する。左転舵輪3Lが失陥した場合とは、左転舵輪3Lに対する転舵角制御が正常に行えなくなった場合をいう。失陥検出部59は、例えば、転舵角偏差Δδが所定閾値以上である状態が所定時間以上継続した場合、電流偏差ΔIが所定閾値以上である状態が所定時間以上継続した場合等に、左転舵輪3Lが失陥したと判定する。
図4は、右転舵ECU23の電気的構成を示すブロック図である。
右転舵ECU23は、マイクロコンピュータから構成される右転舵モータ制御部41Rと、右転舵モータ制御部41Rによって制御され、右転舵モータ4Rに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Rと、右転舵モータ4Rに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Rとを備えている。
右転舵モータ制御部41Rは、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δが上位ECU20から与えられる右目標転舵角δ に等しくなるように、駆動回路42Rを制御する。具体的には、右転舵モータ制御部41Rは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、転舵角偏差演算部51Rと、PI制御部(転舵角)52Rと、角速度演算部53Rと、角速度偏差演算部54Rと、PI制御部(角速度)55Rと、電流偏差演算部56Rと、PI制御部(電流)57Rと、PWM制御部58Rと、失陥検出部59Rが含まれる。
転舵角偏差演算部51Rは、上位ECU20から与えられた右目標転舵角δ と、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δとの偏差Δδ(=δ −δ)を演算する。
PI制御部52Rは、転舵角偏差演算部51Rによって演算される右転舵角偏差Δδに対するPI演算を行なうことにより、右転舵角速度の目標値である右目標転舵角速度ω を演算する。
角速度演算部53Rは、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δを時間微分することによって、右転舵角δの角速度(右転舵角速度)ωを演算する。
角速度偏差演算部54Rは、PI制御部52Rによって演算される右目標転舵角速度ω と、角速度演算部53Rによって演算される右転舵角速度ωとの偏差Δω(=ω −ω)を演算する。
PI制御部55Rは、角速度偏差演算部54Rによって演算される右転舵角速度偏差Δωに対するPI演算を行なうことにより、右転舵モータ4Rに流すべき電流の目標値である右目標モータ電流I を演算する。
電流偏差演算部56Rは、PI制御部55Rによって演算される右目標モータ電流I と、電流検出部43Rによって検出される右モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。
PI制御部57Rは、電流偏差演算部56Rによって演算される右モータ電流偏差ΔIに対するPI演算を行なうことにより、右転舵モータ4Rに流れる右モータ電流Iを右目標モータ電流I に導くための右モータ駆動指令値を生成する。
PWM制御部58Rは、右モータ駆動指令値に対応するデューティ比の右PWM制御信号を生成して、駆動回路42Rに供給する。これにより、右モータ駆動指令値に対応した電力が右転舵モータ4Rに供給されることになる。
失陥検出部59Rは、右転舵輪3Rが失陥したか否かを判定し、その判定結果を示す第2失陥情報を上位ECU20に送信する。右転舵輪3Rが失陥した場合とは、右転舵輪3Rに対する転舵角制御が正常に行えなくなった場合をいう。失陥検出部59Rは、例えば、転舵角偏差Δδが所定閾値以上である状態が所定時間以上継続した場合、電流偏差ΔIが所定閾値以上である状態が所定時間以上継続した場合等に、右転舵輪3Rが失陥したと判定する。
以下、上位ECU20によって実行される目標値設定処理について詳しく説明する。
この車両用操舵装置1では、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rのうちの一方の転舵輪が失陥した場合には、正常な他方の転舵輪の転舵角制御によって、車両が換向される。つまり、左転舵輪3Lが失陥した場合には、右転舵ECU23による。右転舵輪3Rに対する転舵角制御によって車両が換向される。右転舵輪3Rが失陥した場合には、左転舵ECU22による左転舵輪3Lに対する転舵角制御によって車両が換向される。
図5は、車速をパラメータとして、一方の転舵輪が失陥した場合の正常転舵輪の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示す両対数グラフである。
以下において、外輪側の転舵輪を「外輪」といい、内輪側の転舵輪を「内輪」という場合がある。図5において、実線の曲線は外輪が失陥した場合の内輪(正常な転舵輪)の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示している。図5において、破線の曲線は内輪が失陥した場合の外輪(正常な転舵輪)の転舵角の絶対値と車両の旋回半径との関係を示している。
図5に示すように、一方の転舵輪が失陥している場合、正常な転舵輪の転舵角の絶対値が大きくなるにつれて車両の旋回半径は小さくなる。しかしながら、正常な転舵輪の転舵角の絶対値が所定値以上になると、タイヤ横力が飽和するため、正常な転舵輪の転舵角の絶対値が大きくなるにつれて、車両の旋回半径が大きくなる。車両の旋回半径が減少傾向から増加傾向に変化する変化点の正常転舵輪の転舵角を、「旋回限界転舵角」ということにする。旋回限界転舵角は、操舵方向が右方向(操舵角θが正)の場合には正の値となり、操舵方向が左方向(操舵角θが負)の場合には負の値となる。
図5に示すように、正常転舵輪の転舵角の絶対値に対する旋回半径は、車速が大きいほど大きくなる。この理由は、車速が大きいほど、車体に作用する遠心力が大きくなるので、車両が旋回しにくくなるためである。また、正常転舵輪の転舵角の絶対値に対する旋回半径は、外輪が失陥する場合に比べて内輪が失陥する場合の方が小さい。この理由は、車両旋回時には、遠心力により外輪の接地荷重が内輪の接地荷重よりも大きくなり、外輪が正常である場合(内輪が失陥している場合)の方が、内輪が正常である場合(外輪が失陥している場合)に比べて、旋回性能が高くなるからである。
図6は、車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示すグラフである。図6において、実線の曲線は外輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示している。図6において、破線の曲線は内輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示している。図6のグラフは、図5のグラフに基づいて作成することができる。図6に示すように、旋回限界転舵角の絶対値は、車速が大きくなるほど小さくなる。また、車速が同じである場合には、旋回限界転舵角の絶対値は、外輪が失陥した場合に比べて、内輪が失陥した場合の方が小さくなる。
この実施形態では、外輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示すマップ(以下、「第1旋回限界転舵角マップ」という。)が、予め作成されて不揮発性メモリ20aに記憶されている。また、内輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示すマップ(以下、「第2旋回限界転舵角マップ」という。)が、予め作成されて不揮発性メモリ20aに記憶されている。
図7は、上位ECU20によって実行される目標値設定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、所定演算周期毎に繰り返し実行される。
上位ECU20は、まず、操舵角センサ8によって検出される操舵角θ、車速センサ11によって検出される車速V、左転舵ECU22から与えられる左転舵角δおよび第1失陥情報ならびに右転舵ECU23から与えられる右転舵角δおよび第2失陥情報を取得する(ステップS1)。
次に、上位ECU20は、第1失陥情報に基づいて、左転舵輪3Lが失陥しているか否かを判別する(ステップS2)。左転舵輪3Lが失陥していない場合には(ステップS2:NO)、上位ECU20は、第2失陥情報に基づいて右転舵輪3Rが失陥しているか否かを判別する(ステップS3)。
右転舵輪3Rが失陥していない場合には(ステップS3:NO)、上位ECU20は、予め設定されている転舵輪3L,3Rの最大転舵角に対応する操舵角の絶対値(以下、「最大操舵角θmax」という。)を、仮想操舵限界角α(α>0)として設定する(ステップS4)。最大操舵角θmax(θmax>0)は予め設定されて不揮発性メモリ20aに記憶されている。
次に、上位ECU20は、通常の目標転舵角設定処理を行う(ステップS5)。具体的には、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θに基づいて、左目標転舵角δ および右目標転舵角δ を設定する。操舵角θに対する左目標転舵角δ および右目標転舵角δ の設定例は図8に示されている。
図8を参照して、左目標転舵角δ および右目標転舵角δ は、操舵角θが正のとき(右操舵時)には正の値とされ、操舵角θが負のとき(左操舵時)には負の値とされる。右操舵時には、右転舵輪3Rが内輪となり、左転舵輪3Lが外輪となる。右操舵時には、内輪側の右転舵輪3Rの転舵角の絶対値を外輪側の左転舵輪3Lの転舵角の絶対値よりも大きくするために、右目標転舵角δ の絶対値は、左目標転舵角δ の絶対値に比べて大きくなるように設定されている。この実施形態では、操舵角θが正のときには、左目標転舵角δ の絶対値は、操舵角θが大きくなるほど一次関数的に大きくなるように設定されている。これに対して、右目標転舵角δ の絶対値は、操舵角θが大きくなるほど二次関数的に大きくなるように設定されている。
左操舵時には、左転舵輪3Lが内輪となり、右転舵輪3Rが外輪となる。左操舵時には、内輪側の左転舵輪3Lの転舵角の絶対値を外輪側の右転舵輪3Rの転舵角の絶対値よりも大きくするために、左目標転舵角δ の絶対値は、右目標転舵角δ の絶対値に比べて大きくなるように設定されている。この実施形態では、操舵角θが負のときには、右目標転舵角δ の絶対値は、操舵角θの絶対値が大きくなるほど一次関数的に大きくなるように設定されている。これに対して、左目標転舵角δ の絶対値は、操舵角θの絶対値が大きくなるほど二次関数的に大きくなるように設定されている。このように、本実施形態では、公知のアッカーマン・ジャントー理論に基づいて、左右の目標転舵角δ ,δ が設定されている。
不揮発性メモリ20aには、図8に示すような操舵角θに対する左目標転舵角δ の関係を示すマップ(以下、「操舵角/左目標転舵角マップ」という。)および操舵角θに対する右目標転舵角δ の関係を示すマップ(以下、「操舵角/右目標転舵角マップ」という。)が記憶されている。前述のステップS5では、これらのマップと操舵角θとに基づいて、左目標転舵角δ および右目標転舵角δ が設定される。
また、不揮発性メモリ20aには、図8に示すような、左目標転舵角δ に対する操舵角θの関係を示すマップが、左転舵角δに対する操舵角θの関係を示す「左転舵角/操舵角マップ」として格納されている。同様に、不揮発性メモリ20aには、図8に示すような、右目標転舵角δ に対する操舵角θの関係を示すマップが、右転舵角δに対する操舵角θの関係を示す「右転舵角/操舵角マップ」として記憶されている。
次に、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θの絶対値が仮想操舵限界角α以上であるか否かを判別する(ステップS6)。操舵角θの絶対値が仮想操舵限界角α未満である場合には(ステップS6:NO)、上位ECU20は、第1目標反力トルク設定処理を行う(ステップS7)。具体的には、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θおよび車速Vに基づいて、目標反力トルクT を設定する。目標反力トルクT は、操舵角θが正のときには(右操舵時)、左操舵方向の反力トルクが発生するように負の値とされ、操舵角θが負のときには(左操舵時)、右操舵方向の反力トルクが発生するように正の値とされる。目標反力トルクT の絶対値は、操舵角θの絶対値が大きいほど大きな値となるように設定され、車速Vが大きいほど大きな値となるように設定される。上位ECU20は、ステップS7の処理を実行すると、今演算周期での目標値設定処理を終了する。
前記ステップS6において、操舵角θの絶対値が仮想操舵限界角α以上であると判別された場合には(ステップS6:YES)、上位ECU20は、第2目標反力トルク設定処理を行う(ステップS8)。具体的には、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θの符号および予め設定された反力最大値TFMAX(TFMAX>0)に基づいて、目標反力トルクT を設定する。目標反力トルクT は、操舵角θが正のときには負の値とされ、操舵角θが負のときには正の値とされる。目標反力トルクT の絶対値は、反力最大値TFMAXに設定される。これにより、操舵角θの絶対値が仮想操舵限界角αを超えるような操舵操作が行われるのを抑制できる。上位ECU20は、ステップS8の処理を実行すると、今演算周期での目標値設定処理を終了する。
前記ステップS2において、左転舵輪3Lが失陥している判別された場合には(ステップS2:YES)、上位ECU20は、右転舵輪3Rが失陥しているか否かを判別する(ステップS9)。右転舵輪3Rが失陥していなければ(ステップS9:NO)、つまり、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rのうちの左転舵輪3Lのみが失陥している場合には、上位ECU20はステップS10に移行する。
前記ステップS3において、右転舵輪3Rが失陥している判別された場合には(ステップS3:YES)、つまり、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rのうちの右転舵輪3Rのみが失陥している場合には、上位ECU20はステップS10に移行する。
ステップS10では、上位ECU20は、失陥していない方の転舵輪(正常転舵輪)の旋回限界転舵角δおよびそれに対応する旋回限界操舵角θを設定する。具体的には、上位ECU20は、まず、失陥している転舵輪が内輪であるか外輪であるかを判別する。具体的には、失陥している転舵輪が左転舵輪3Lである場合には、上位ECU20は、ステップS1で取得された操舵角θの符号が正(右操舵)であれば、失陥している転舵輪が外輪であると判別し、操舵角θの符号が負(左操舵)であれば、失陥している転舵輪が内輪であると判別する。
一方、失陥している転舵輪が右転舵輪3Rである場合には、上位ECU20は、操舵角θの符号が正(右操舵)であれば、失陥している転舵輪が内輪であると判別し、操舵角θの符号が負(左操舵)であれば、失陥している転舵輪が外輪であると判別する。
上位ECU20は、失陥している転舵輪が内輪であるか外輪であるかの判別結果と、ステップS1で取得された車速Vと、第1または第2旋回限界転舵角マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角δの絶対値|δ|を求める。そして、上位ECU20は、操舵角θの符号が正の場合には、旋回限界転舵角δの符号を正に設定し、操舵角θの符号が負の場合には、旋回限界転舵角δの符号を負に設定する。
また、上位ECU20は、このようして求めた旋回限界転舵角δと、左転舵角/操舵角マップまたは右転舵角/操舵角マップのうちの正常転舵輪に対応するマップとに基づいて、旋回限界転舵角δに対応した旋回限界操舵角θを求める。
このようにして、旋回限界転舵角δおよび旋回限界操舵角θが設定されると、上位ECU20は、旋回限界操舵角θの絶対値|θ|を、仮想操舵限界角αとして設定する(ステップS11)。
次に、上位ECU20は、ステップS1で取得された左転舵角δおよび右転舵角δのうち、正常転舵輪に対する転舵角(以下「δx」で表す)の絶対値|δx|が、ステップS10で設定された旋回限界転舵角δの絶対値|δ|よりも大きいか否かを判別する(ステップS12)。|δx|が|δ|以下である場合には(ステップS12:NO)、上位ECU20は、ステップS5に移行する。この場合には、正常転舵輪および失陥している転舵輪の目標転舵角は、通常の目標転舵角設定処理によって設定される。
前記ステップS12において、|δx|が|δ|よりも大きいと判別された場合には(ステップS12:YES)、上位ECU20は、ステップS10で設定された旋回限界転舵角δを、正常転舵輪の目標転舵角δx(δ またはδ )として設定する(ステップS13)。この後、上位ECU20は、ステップS6に移行する。
前記ステップS9において、右転舵輪3Rが失陥していると判別された場合(ステップS9:YES)には、両転舵輪3L,3Rが失陥しているので、上位ECU20は、車両を停止させるための車両停止処理を行う(ステップS14)。この場合には、上位ECU20は、両転舵輪3L,3Rが失陥したことを図示しない表示装置に表示する。
前述の実施形態では、一方の転舵輪が失陥している場合において、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δの絶対値|δ|よりも大きいと判別された場合には、旋回限界転舵角δが正常転舵輪の目標転舵角δxとして設定される(ステップS12,S13参照)。
これにより、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δの絶対値|δ|よりも大きくなっている場合には、正常転舵輪の転舵角δxを旋回限界転舵角δまで自動的に戻すことができる。このようにして、正常転舵輪の転舵角δxが旋回限界転舵角δまで戻った場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δの絶対値|δ|よりも大きくなるのを抑制できる。また、一方の転舵輪が失陥したときに、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δの絶対値|δ|以下であった場合には、その後に、正常転舵輪の転舵角δxの絶対値|δx|が旋回限界転舵角δの絶対値|δ|よりも大きくなるのを抑制できる。したがって、この実施形態では、一方の転舵輪が失陥した場合に、運転者の意図に反して車両の旋回半径が大きくなるのを抑制できる。
前記実施形態では、一方の転舵輪が失陥している場合には、旋回限界操舵角θの絶対値|θ|が仮想操舵限界角αとして設定される(ステップS11参照)。したがって、一方の転舵輪が失陥している場合には、ステップS6において、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|以上であるか否かが判別されることになる。そして、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|以上であるときには、反力最大値TFMAXの絶対値が、目標反力トルクT の絶対値として設定される(ステップS8参照)。
これにより、一方の転舵輪が失陥したときに、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|よりも大きくなっている場合には、運転者がステアリングホイール2を切り戻すように、操作反力を増大させることができる。このようにして操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|以下になった後においては、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|を超えるような操舵操作が行われるのを抑制できる。また、一方の転舵輪が失陥したときに、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|以下であった場合には、その後に、操舵角θの絶対値|θ|が旋回限界操舵角θの絶対値|θ|を超えるような操舵操作が行われるのを抑制できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、外輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示す第1旋回限界転舵角マップと、内輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示す第2旋回限界転舵角マップとが、不揮発性メモリ20aに記憶されている。しかしながら、内輪が失陥した場合の車速と旋回限界転舵角の絶対値との関係を示すマップ(第2旋回限界転舵角マップ)のみを、旋回限界転舵角マップとして不揮発性メモリ20aに記憶するようにしてもよい。この場合には、失陥した転舵輪が内輪であるか外輪であるかにかかわらず、1種類の旋回限界転舵角マップに基づいて、旋回限界転舵角δの絶対値が求められることになる。
また、前述の実施形態では、回転シャフト6の回転角を検出するための操舵角センサ8によって、ステアリングホイール2の回転角である操舵角θが検出されている。しかしながら、反力モータのロータの回転角を検出する回転角センサを設け、この回転角センサによって検出されるロータ回転角に基づいて操舵角θを演算するようにしてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…車両用操舵装置、2…ステアリングホイール、3L…左転舵輪、3R…右転舵輪、4L…左転舵モータ、4R…右転舵モータ、5L…左転舵機構、5R…右転舵機構、20…上位ECU、20a…不揮発性メモリ、22…左転舵ECU、23…右転舵ECU、59L,59R…失陥検出部

Claims (5)

  1. 左転舵輪および右転舵輪を個別に転舵するための左転舵機構および右転舵機構を含み、操向のために操作される操舵部材と前記左転舵機構および右転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、前記左転舵機構および右転舵機構がそれぞれ左転舵モータおよび右転舵モータによって駆動される車両用操舵装置であって、
    前記左転舵輪に対する左目標転舵角および前記右転舵輪に対する右目標転舵角を設定する目標転舵角設定手段と、
    前記左転舵輪の転舵角が、前記左目標転舵角に等しくなるように前記左転舵モータを制御する左転舵モータ制御手段と、
    前記右転舵輪の転舵角が、前記右目標転舵角に等しくなるように前記右転舵モータを制御する右転舵モータ制御手段とを含み、
    前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥して場合において、正常転舵輪の転舵角をその絶対値が大きくなる方向に変化させたときに、車両の旋回半径が減少傾向から増加傾向に変化する変化点の前記正常転舵輪の転舵角を旋回限界転舵角とすると、
    前記目標転舵角設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する演算手段と、正常転舵輪の転舵角の絶対値が前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角の絶対値よりも大きいときには、当該旋回限界転舵角を前記正常転舵輪に対する目標転舵角として設定する手段を含む、車両用操舵装置。
  2. 前記操舵部材に操舵方向とは反対方向の操舵反力を付与するための反力モータと、
    前記反力モータに対する目標反力を設定する目標反力設定手段と、
    前記目標反力に応じた反力トルクが前記反力モータから発生するように前記反力モータを制御する反力モータ制御手段とをさらに含み、
    前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記操舵部材の回転角である実操舵角の絶対値が、前記演算手段によって演算された旋回限界転舵角に対応する操舵角である旋回限界操舵角の絶対値以上のときには、前記目標反力の絶対値を予め設定された反力最大値に設定する手段を含む、請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記目標反力設定手段は、前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、前記実操舵角の絶対値が前記旋回限界操舵角の絶対値未満のときには、前記目標反力の絶対値を前記実操舵角に応じて設定する手段を含む、請求項2に記載の車両用操舵装置。
  4. 車速を検出するための車速検出手段と、
    車速と前記旋回限界転舵角との関係を示すマップとをさらに含み、
    前記演算手段は、前記車速検出手段によって検出された車速と前記マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
  5. 車速を検出するための車速検出手段と、
    車速と、外輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係を示す第1マップと、
    車速と、内輪が失陥した場合の前記旋回限界転舵角との関係とを示す第2マップとをさらに含み、
    前記演算手段は、
    前記左転舵輪および右転舵輪のうちの一方が失陥している場合に、失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪であるか内輪側の転舵輪であるかを判別する判別手段と、
    失陥した転舵輪が外輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第1マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第1演算手段と、
    失陥した転舵輪が内輪側の転舵輪である場合には、前記車速検出手段によって検出された車速と前記第2マップとに基づいて、車速および操舵方向に応じた旋回限界転舵角を演算する第2演算手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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