JP6834414B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

この発明は、左右の転舵輪を個別に転舵するための左右の転舵機構を含み、操向のために操作される操舵部材と左右の転舵機構とが機械的に結合されておらず、左右の転舵機構が左右の転舵モータによって個別に駆動される車両用操舵装置に関する。
自動運転に代表される高度運転支援機能を成立させるとともに、エンジンルームのレイアウトの自由度向上を目的とした、中間シャフトを使用しないステア・バイ・ワイヤシステムの有効性が評価され始めている。そして、エンジンルームのレイアウトの更なる自由度向上を図るために、下記特許文献1,2に示すように、ラックアンドピニオン機構等を含むステアリングギヤ装置を使用せず、左右の転舵輪を個別の転舵モータで制御する左右独立転舵システムが提案されている。
特開2008−174160号公報 特開2015−20586号公報
左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムにおいて、左右の転舵輪の目標転舵角を演算する上位制御装置と、左転舵モータを制御するための下位制御装置としての左転舵制御装置と、右転舵モータを制御するための下位制御装置としての右転舵制御装置とを備えた制御システムによって転舵制御を行うことが考えられる。左転舵制御装置は、上位制御装置から受信した左転舵輪の目標転舵角に基づいて左転舵モータを制御し、右転舵制御装置は、上位制御装置から受信した右転舵輪の目標転舵角に基づいて右転舵モータを制御する。
このような制御システムでは、通信異常によって、左転舵制御装置および右転舵制御装置のうちのいずれか一方に、上位制御装置から目標転舵角が一時的に送られてこなくことがある。そうすると、左転舵制御装置および右転舵制御装置のうち、目標転舵角が送られてこなくなった制御装置側の転舵輪は、当該制御装置によって最後に受信された目標転舵角に転舵角が固定されてしまう。このため、操向性能を維持できなくなるおそれがある。
この発明の目的は、左転舵制御装置および右転舵制御装置のうちのいずれか一方と上位制御装置との間に通信異常が発生したとしても、操向性能を維持しながら車両を走行させることができるようになる車両用操舵装置を提供することである。
請求項1に記載の発明は、左転舵輪(3L)および右転舵輪(3R)を個別に転舵するための左転舵機構(5L)および右転舵機構(5R)を含み、操向のために操作される操舵部材(2)と前記左転舵機構および右転舵機構とが機械的に結合されておらず、前記左転舵機構が左転舵モータ(4L)によって駆動され、前記右転舵機構が右転舵モータ(4R)によって駆動される車両用操舵装置(1)であって、左目標転舵角および右目標転舵角を設定する上位制御装置(20)と、前記左転舵モータおよび前記右転舵モータをそれぞれ駆動制御する左転舵制御装置(22)および右転舵制御装置(23)とを含み、前記左転舵制御装置は、通常時は、前記左転舵輪の転舵角が前記左目標転舵角と等しくなるように前記左転舵モータが制御され、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、前記左転舵輪の転舵角が中立角となるように前記左転舵モータが制御されるように、制御モードを切り替える第1制御モード切替手段(51L、52L、53L)を含み、前記第1制御モード切替手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、前記左転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、前記左転舵モータを制御する第1移行手段(51L)を含み、前記右転舵制御装置は、通常時は、前記右転舵輪の転舵角が前記右目標転舵角と等しくなるように前記右転舵モータが制御され、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、前記右転舵輪の転舵角が中立角となるように前記右転舵モータが制御されるように、制御モードを切り替える第2制御モード切替手段(51R、52R、53R)を含み、前記第2制御モード切替手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに、前記右転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、前記右転舵モータを制御する第2移行手段(51R)を含む、車両用操舵装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この構成では、上位制御装置と左転舵制御装置および右転舵制御装置との間に通信異常が発生していない状態において、例えば上位制御装置と左転舵制御装置との間に通信異常が発生すると、左転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、左転舵モータが制御される。これにより、左転舵輪を滑らかに中立位置まで転舵させることができる。この後、左転舵モータは、左転舵角が中立角となるように制御される。一方、右転舵モータは、右転舵角が右目標転舵角に等しくなるように制御される。このため、車両は操向性能を維持しながら走行することが可能となる。
同様に、上位制御装置と左転舵制御装置および右転舵制御装置との間に通信異常が発生していない状態において、例えば上位制御装置と右転舵制御装置との間に通信異常が発生すると、右転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、右転舵モータが制御される。これにより、右転舵輪を滑らかに中立位置まで転舵させることができる。この後、右転舵モータは、右転舵角が中立角となるように制御される。一方、左転舵モータは、左転舵角が左目標転舵角に等しくなるように制御される。このため、車両は操向性能を維持しながら走行することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、前記第1移行手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに使用される異常時用左目標転舵角を設定する左目標転舵角設定手段を含み、前記左目標転舵角設定手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、異常発生開始時点での前記左転舵輪の転舵角から中立角まで、前記異常時用左目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されており、前記第2移行手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに使用される異常時用右目標転舵角を設定する右目標転舵角設定手段を含み、前記右目標転舵角設定手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、異常発生開始時点での前記右転舵輪の転舵角から中立角まで、前記異常時用右目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されている、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
請求項3に記載の発明は、前記左目標転舵角設定手段は、異常発生開始時点での前記左転舵輪の転舵角から中立角まで、躍度最小モデルに従って、前記異常時用左目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されており、前記右目標転舵角設定手段は、異常発生開始時点での前記右転舵輪の転舵角から中立角まで、躍度最小モデルに従って、前記異常時用右目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されている、請求項2に記載の車両用操舵装置である。
請求項4に記載の発明は、前記左転舵制御装置は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しておらず、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、見かけ上のオーバーオールギヤ比を減少させる手段を含み、前記右転舵制御装置は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しておらず、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、見かけ上のオーバーオールギヤ比を減少させる手段を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置である。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図である。 図2は、反力ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図3は、左転舵ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図4は、右転舵ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図5は、左転舵モータ制御部内の切替制御部の動作を説明するためのフローチャートである。 図6は、第2左目標転舵角設定部の動作を説明するためのフローチャートである。 図7は、第2左目標転舵角の開始角の絶対値|δL2S |に対する移行時間Tの設定例を示すグラフである。 図8は、経過時間tに対する第2左目標転舵角δL2 (第2右目標転舵角δR2 )の変化の一例を示すグラフである。 図9は、右転舵モータ制御部内の切替制御部の動作を説明するためのフローチャートである。 図10は、第2右目標転舵角設定部の動作を説明するためのフローチャートである。 図11は、経過時間tに対する第2左目標転舵角δL2 (第2右目標転舵角δR2 )の変化の他の例を示すグラフである。 図12は、経過時間tに対する第2左目標転舵角δL2 (第2右目標転舵角δR2 )の変化のさらに他の例を示すグラフである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図であり、左右独立転舵システムが採用されたステア・バイ・ワイヤシステムの構成が示されている。
この車両用操舵装置1は、運転者が操向のために操作する操舵部材としてステアリングホイール2と、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rと、ステアリングホイール2の回転操作に応じて駆動される左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rと、左転舵モータ4Lの駆動力に基づいて左転舵輪3Lを転舵する左転舵機構5Lと、右転舵モータ4Rの駆動力に基づいて右転舵輪3Rを転舵する右転舵機構5Rとを備えている。
ステアリングホイール2と左転舵機構5Lおよび右転舵機構5Rとの間には、機械的にトルクや回転などの動きが伝達されるような機械的な結合はない。ステアリングホイール2の操作量(操舵角、操舵トルク等)に応じて左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rが駆動制御されることによって、左転舵輪3Lおよび右転舵輪3Rが転舵される。左転舵機構5Lおよび右転舵機構5Rとしては、例えば、特許文献2に開示されたサスペンション装置や、特許文献1に開示された転舵装置を用いることができる。
この実施形態では、転舵モータ4L,4Rが正転方向に回転されると、右方向に車両を換向させる方向(右転舵方向)に転舵輪3L,3Rの転舵角が変化し、転舵モータ4L,4Rが逆転方向に回転されると、左方向に車両を換向させる方向(左転舵方向)に転舵輪3L,3Rの転舵角が変化するものとする。
ステアリングホイール2は、車体側に回転可能に支持された回転シャフト6に連結されている。この回転シャフト6には、ステアリングホイール2に作用する反力トルク(操作反力)を発生する反力モータ7が設けられている。この反力モータ7は、例えば、回転シャフト6と一体の出力シャフトを有する電動モータにより構成されている。
回転シャフト6の周囲には、回転シャフト6の回転角(ステアリングホイール2の操舵角θh)を検出するための操舵角センサ8が設けられている。この実施形態では、操舵角センサ8は、回転シャフト6の中立位置(基準位置)からの回転シャフト6の正逆両方向の回転量(回転角)を検出するものであり、中立位置から右方向への回転量を例えば正の値として出力し、中立位置から左方向への回転量を例えば負の値として出力する。
また、回転シャフト6の周囲には、運転者によってステアリングホイール2に付与される操舵トルクThを検出するためのトルクセンサ9が設けられている。この実施形態では、トルクセンサ9によって検出される操舵トルクThは、右方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、左方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクの大きさが大きくなるものとする。
左転舵機構5Lの近傍には、左転舵輪3Lの転舵角δを検出するための左転舵角センサ10Lが備えられている。右転舵機構5Rの近傍には、右転舵輪3Rの転舵角δを検出するための右転舵角センサ10Rが備えられている。車両には、さらに、車速Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
操舵角センサ8、トルクセンサ9および車速センサ11は、上位ECU(Electronic Control Unit)(上位制御装置)20にそれぞれ接続されている。反力モータ7は、下位ECUの1つである反力ECU(反力制御装置)21に接続されている。左転舵モータ4Lおよび左転舵角センサ10Lは、下位ECUの1つである左転舵ECU(左転舵制御装置)22に接続されている。右転舵モータ4Rおよび右転舵角センサ10Rは、下位ECUの1つである右転舵ECU(右転舵制御装置)23に接続されている。
上位ECU20は、所定演算周期毎に、トルクセンサ9によって検出される操舵トルクTh、操舵角センサ8によって検出される操舵角θhおよび車速センサ11によって検出される車速Vに基づいて、反力モータ7に発生させるべき反力トルクの目標値である目標反力トルクT を演算する。上位ECU20によって演算される目標反力トルクT は、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信ラインを介して反力ECU21に送信される。
また、上位ECU20は、所定演算周期毎に、操舵角センサ8によって検出される操舵角θhおよび車速センサ11によって検出される車速Vに基づいて、左転舵輪3Lの転舵角の目標値である第1左目標転舵角δL1 および右転舵輪3Rの転舵角の目標値である第1右目標転舵角δR1 を演算する。上位ECU20は、第1左目標転舵角δL1 および第1右目標転舵角δR1 のうち、車両旋回時に内側にくる車輪に対する目標転舵角の絶対値が、車両旋回時に外側にくる車輪の目標転舵角の絶対値よりも大きくなるように、第1左目標転舵角δL1 および第1右目標転舵角δR1 を演算する。
上位ECU20によって演算される第1左目標転舵角δL1 は、例えばCAN等の通信ラインを介して左転舵ECU22に送信される。上位ECU20によって演算される第1右目標転舵角δR1 は、例えばCAN等の通信ラインを介して右転舵ECU23に送信される。左転舵ECU22と右転舵ECU23とは、例えばCAN等の通信ラインを介して互いに通信可能となっている。
図2は、反力ECU21の電気的構成を示すブロック図である。
反力ECU21は、マイクロコンピュータから構成される反力モータ制御部31と、反力モータ制御部31によって制御され、反力モータ7に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、反力モータ7に流れるモータ電流を検出する電流検出部33とを備えている。
反力モータ制御部31は、上位ECU20から送信される目標反力トルクT を受信する。反力モータ制御部31は、受信した目標反力トルクT に基づいて、反力モータ7の駆動回路32を駆動制御する。具体的には、反力モータ制御部31は、目標反力トルクT に応じた反力トルクが反力モータ7から発生するように、駆動回路32を駆動制御する。
図3は、左転舵ECU22の電気的構成を示すブロック図である。
左転舵ECU22は、マイクロコンピュータから構成される左転舵モータ制御部41Lと、左転舵モータ制御部41Lによって制御され、左転舵モータ4Lに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Lと、左転舵モータ4Lに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Lとを備えている。
左転舵モータ制御部41Lは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、第2左目標転舵角設定部51Lと、切替部52Lと、切替制御部53Lと、転舵角偏差演算部54Lと、PI制御部(転舵角)55Lと、角速度演算部56Lと、角速度偏差演算部57Lと、PI制御部(角速度)58Lと、電流偏差演算部59Lと、PI制御部(電流)60Lと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部61Lとが含まれる。
左転舵モータ制御部41Lの制御モードには、通常時に設定される第1制御モードと、上位ECU20と左転舵ECU22との間に通信異常が発生したときに設定される第2制御モードとがある。第1制御モードは、左転舵輪3Lの転舵角δが、上位ECU20から受信した第1左目標転舵角δL1 と等しくなるように左転舵モータ4Lを制御するモードである。第2制御モードは、左転舵輪3Lの転舵角δが、第2左目標転舵角設定部51Lによって設定される第2左目標転舵角δL2 と等しくなるように左転舵モータ4Lを制御するモードである。
切替部52Lは第1左目標転舵角δL1 および第2左目標転舵角δL2 のいずれか一方を選択して、左目標転舵角δ として出力する。切替制御部53Lは、制御モードの切替制御を行うものであり、切替部52Lおよび第2左目標転舵角設定部51Lを制御する。転舵角偏差演算部54L、PI制御部(転舵角)55L、角速度演算部56L、角速度偏差演算部57L、PI制御部(角速度)58L、電流偏差演算部59L、PI制御部(電流)60LおよびPWM制御部61Lは、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δが、切替部52Lから出力される左目標転舵角δ に等しくなるように制御するためのものである。以下、各部について、説明する。
第2左目標転舵角設定部51Lは、上位ECU20と左転舵ECU22との間に通信異常が発生しているときに使用される左目標転舵角である第2左目標転舵角δL2 を設定する。第2左目標転舵角設定部51Lによって設定された第2左目標転舵角δL2 は、切替部52Lの第2入力端子に入力される。切替部52Lの第1入力端子には、上位ECU20から受信した第1左目標転舵角δL1 が入力される。
切替部52Lは、第1入力端子に入力される第1左目標転舵角δL1 および第2入力端子に入力される第2左目標転舵角δL2 のうちのいずれか一方を選択して出力する。切替部52Lは、切替制御部53Lによって制御される。切替制御部53Lは、通常時は、制御モードを第1制御モードに設定する。具体的には、切替制御部53Lは、切替部52Lの第1入力端子に入力される第1左目標転舵角δL1 が選択されるように、切替部52Lを制御する。
切替制御部53Lは、左転舵ECU22と上位ECU20との間に通信異常が発生したときには、第2左目標転舵角設定部51Lを起動させるとともに、制御モードを第2制御モードに切り替える。切替制御部53Lによって第2左目標転舵角設定部51Lが起動されると、第2左目標転舵角設定部51Lは、異常発生開始時点での左転舵輪3Lの転舵角δから中立位置に対応する角度(以下、「中立角」という。この実施形態では中立角は0度である。)まで、第2左目標転舵角δL2 を滑らかに変化させた後、第2左目標転舵角δL2 を中立角に固定する。切替制御部53Lは、切替部52Lの第2入力端子に入力される第2左目標転舵角δL2 が選択されるように、切替部52Lを制御する。
切替制御部53Lは、制御モードが第2制御モードに設定されている場合において、左転舵ECU22と上位ECU20との間の通信が復帰した場合には、制御モードを第1制御モードに戻すとともに、第2左目標転舵角設定部51Lの動作を停止させる。
切替制御部53Lは、例えば、左転舵ECU22と上位ECU20との間の所定時間当たりの通信エラー発生回数が所定の第1の閾値を超えたときに、左転舵ECU22と上位ECU20との間に通信異常が発生したと判定する。また、切替制御部53Lは、通信異常が発生した後、例えば、前記所定時間当たりの通信エラー発生回数が所定の第2の閾値未満となったときに、通信が復帰したと判定する。切替制御部53Lおよび第2左目標転舵角設定部51Lの動作の詳細については、後述する。
転舵角偏差演算部54Lは、切替部52Lから出力される左目標転舵角δ と、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δとの偏差Δδ(=δ −δ)を演算する。
PI制御部55Lは、転舵角偏差演算部54Lによって演算される左転舵角偏差Δδに対するPI演算を行なうことにより、左転舵角速度の目標値である左目標転舵角速度ω を演算する。
角速度演算部56Lは、左転舵角センサ10Lによって検出される左転舵角δを時間微分することによって、左転舵角δの角速度(左転舵角速度)ωを演算する。
角速度偏差演算部57Lは、PI制御部55Lによって演算される左目標転舵角速度ω と、角速度演算部56Lによって演算される左転舵角速度ωとの偏差Δω(=ω −ω)を演算する。
PI制御部58Lは、角速度偏差演算部57Lによって演算される左転舵角速度偏差Δωに対するPI演算を行なうことにより、左転舵モータ4Lに流すべき電流の目標値である左目標モータ電流I を演算する。
電流偏差演算部59Lは、PI制御部58Lによって演算される左目標モータ電流I と、電流検出部43Lによって検出される左モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。
PI制御部60Lは、電流偏差演算部59Lによって演算される左モータ電流偏差ΔIに対するPI演算を行なうことにより、左転舵モータ4Lに流れる左モータ電流Iを左目標モータ電流I に導くための左モータ駆動指令値を生成する。
PWM制御部61Lは、左モータ駆動指令値に対応するデューティ比の左PWM制御信号を生成して、駆動回路42Lに供給する。これにより、左モータ駆動指令値に対応した電力が左転舵モータ4Lに供給されることになる。
図4は、右転舵ECU23の電気的構成を示すブロック図である。
右転舵ECU23は、マイクロコンピュータから構成される右転舵モータ制御部41Rと、右転舵モータ制御部41Rによって制御され、右転舵モータ4Rに電力を供給する駆動回路(インバータ回路)42Rと、右転舵モータ4Rに流れるモータ電流を検出する電流検出部43Rとを備えている。
右転舵モータ制御部41Rは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、第2右目標転舵角設定部51Rと、切替部52Rと、切替制御部53Rと、転舵角偏差演算部54Rと、PI制御部(転舵角)55Rと、角速度演算部56Rと、角速度偏差演算部57Rと、PI制御部(角速度)58Rと、電流偏差演算部59Rと、PI制御部(電流)60Rと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部61Rとが含まれる。
右転舵モータ制御部41Rの制御モードには、通常時に設定される第3制御モードと、上位ECU20と右転舵ECU23との間に通信異常が発生したときに設定される第4制御モードとがある。第3制御モードは、右転舵輪3Rの転舵角δが、上位ECU20から受信した第1右目標転舵角δR1 と等しくなるように右転舵モータ4Rを制御するモードである。第4制御モードは、右転舵輪3Rの転舵角δが、第2右目標転舵角設定部51Rによって設定される第2右目標転舵角δR2 と等しくなるように右転舵モータ4Rを制御するモードである。
切替部52Rは第1右目標転舵角δR1 および第2右目標転舵角δR2 のいずれか一方を選択して、右目標転舵角δ として出力する。切替制御部53Rは、制御モードの切替制御を行うものであり、切替部52Rおよび第2右目標転舵角設定部51Rを制御する。転舵角偏差演算部54R、PI制御部(転舵角)55R、角速度演算部56R、角速度偏差演算部57R、PI制御部(角速度)58R、電流偏差演算部59R、PI制御部(電流)60RおよびPWM制御部61Rは、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δが、切替部52Rから出力される右目標転舵角δ に等しくなるように制御するためのものである。以下、各部について、説明する。
第2右目標転舵角設定部51Rは、上位ECU20と右転舵ECU23との間に通信異常が発生しているときに使用される右目標転舵角である第2右目標転舵角δR2 を設定する。第2右目標転舵角設定部51Rによって設定された第2右目標転舵角δR2 は、切替部52Rの第2入力端子に入力される。切替部52Rの第1入力端子には、上位ECU20から受信した第1右目標転舵角δR1 が入力される。
切替部52Rは、第1入力端子に入力される第1右目標転舵角δR1 および第2入力端子に入力される第2右目標転舵角δR2 のうちのいずれか一方を選択して出力する。切替部52Rは、切替制御部53Rによって制御される。切替制御部53Rは、通常時は、制御モードを第3制御モードに設定する。具体的には、切替制御部53Rは、切替部52Rの第1入力端子に入力される第1右目標転舵角δR1 が選択されるように、切替部52Rを制御する。
切替制御部53Rは、右転舵ECU23と上位ECU20との間に通信異常が発生したときには、第2右目標転舵角設定部51Rを起動させるとともに、制御モードを第4制御モードに切り替える。切替制御部53Rによって第2右目標転舵角設定部51Rが起動されると、第2右目標転舵角設定部51Rは、異常発生開始時点での右転舵輪3Rの転舵角δから中立角(0度)まで、第2右目標転舵角δR2 を滑らかに変化させた後、第2右目標転舵角δR2 を中立角に固定する。切替制御部53Rは、切替部52Rの第2入力端子に入力される第2右目標転舵角δR2 が選択されるように、切替部52Rを制御する。
切替制御部53Rは、制御モードが第4制御モードに設定されている場合において、右転舵ECU23と上位ECU20との間の通信が復帰した場合には、制御モードを第3制御モードに戻すとともに、第2右目標転舵角設定部51Rの動作を停止させる。
切替制御部53Rは、例えば、右転舵ECU23と上位ECU20との間の所定時間当たりの通信エラー発生回数が所定の第1の閾値を超えたときに、右転舵ECU23と上位ECU20との間に通信異常が発生したと判定する。また、切替制御部53Rは、通信異常が発生した後、例えば、前記所定時間当たりの通信エラー発生回数が所定の第2の閾値未満となったときに、通信が復帰したと判定する。切替制御部53Rおよび第2右目標転舵角設定部51Rの動作の詳細については、後述する。
転舵角偏差演算部54Rは、切替部52Rから出力される右目標転舵角δ と、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δとの偏差Δδ(=δ −δ)を演算する。
PI制御部55Rは、転舵角偏差演算部54Rによって演算される右転舵角偏差Δδに対するPI演算を行なうことにより、右転舵角速度の目標値である右目標転舵角速度ω を演算する。
角速度演算部56Rは、右転舵角センサ10Rによって検出される右転舵角δを時間微分することによって、右転舵角δの角速度(右転舵角速度)ωを演算する。
角速度偏差演算部57Rは、PI制御部55Rによって演算される右目標転舵角速度ω と、角速度演算部56Rによって演算される右転舵角速度ωとの偏差Δω(=ω −ω)を演算する。
PI制御部58Rは、角速度偏差演算部57Rによって演算される右転舵角速度偏差Δωに対するPI演算を行なうことにより、右転舵モータ4Rに流すべき電流の目標値である右目標モータ電流I を演算する。
電流偏差演算部59Rは、PI制御部58Rによって演算される右目標モータ電流I と、電流検出部43Rによって検出される右モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。
PI制御部60Rは、電流偏差演算部59Rによって演算される右モータ電流偏差ΔIに対するPI演算を行なうことにより、右転舵モータ4Rに流れる右モータ電流Iを右目標モータ電流I に導くための右モータ駆動指令値を生成する。
PWM制御部61Rは、右モータ駆動指令値に対応するデューティ比の右PWM制御信号を生成して、駆動回路42Rに供給する。これにより、右モータ駆動指令値に対応した電力が右転舵モータ4Rに供給されることになる。
図5は、左転舵モータ制御部41L内の切替制御部53Lの動作を説明するためのフローチャートである。
左転舵ECU22の電源がオンされると、切替制御部53Lは、制御モードを第1制御モードに設定する(ステップS1)。具体的には、切替制御部53Lは、切替部52Lの第1入力端子に入力される第1左目標転舵角δL1 が選択されるように、切替部52Lを制御する。そして、切替制御部53Lは、左転舵ECU22と上位ECU20との間に通信異常が発生したか否かを判別する(ステップS2)。
通信異常が発生していない場合には(ステップS2:NO)、切替制御部53Lは、ステップS1に戻る。
前記ステップS2において、通信異常が発生したと判別された場合には(ステップS2:YES)、切替制御部53Lは、第2左目標転舵角設定部51Lを起動させる(ステップS3)。これにより、第2左目標転舵角設定部51Lは起動し、第2左目標転舵角δL2 を設定する。
また、切替制御部53Lは、制御モードを第2制御モードに設定する(ステップS4)。具体的には、切替制御部53Lは、切替部52Lの第2入力端子に入力される第2左目標転舵角δL2 が選択されるように、切替部52Lを制御する。この後、切替制御部53Lは、左転舵ECU22と上位ECU20との間の通信が復帰したか否かを判別する(ステップS5)。
通信が復帰していない場合には(ステップS5:NO)、切替制御部53Lは、ステップS4に戻る。前記ステップS5において、通信が復帰したと判別された場合には(ステップS5:YES)、切替制御部53Lは、第2左目標転舵角設定部51Lの動作を停止させた後(ステップS6)、ステップS1に戻る。
図6は、第2左目標転舵角設定部51Lの動作を説明するためのフローチャートである。
第2左目標転舵角設定部51Lは、切替制御部53Lによって起動されると、転舵角センサ10Lによって検出されている左転舵角δを取得し、取得した左転舵角δを第2左目標転舵角の開始角δL2S として設定する(ステップS11)。また、第2左目標転舵角設定部51Lは、車速センサ11によって検出された車速Vを取得する(ステップS12)。
次に、第2左目標転舵角設定部51Lは、第2左目標転舵角の開始角δL2S の絶対値|δL2S |と車速Vと基づいて、第2左目標転舵角を中立角(0度)に収束させるまでの時間(以下、「移行時間T」という。)を設定する(ステップS13)。図7は、第2左目標転舵角の開始角δL2S の絶対値|δL2S |に対する移行時間Tの設定例を示すグラフである。移行時間Tは、第2左目標転舵角の開始角δL2S の絶対値|δL2S |が大きくなるほど、大きくなるように設定される。また、移行時間Tは、車速Vが大きくなるほど、小さくなるように設定される。
次に、第2左目標転舵角設定部51Lは、第2左目標転舵角設定部51Lが起動されてからの経過時間tを0を設定する(ステップS14)。そして、第2左目標転舵角設定部51Lは、例えば、躍度最小モデルに従って、第2左目標転舵角δL2 を演算する(ステップS15)。具体的には、第2左目標転舵角設定部51Lは、次式(1)に基づいて、第2左目標転舵角δL2 を演算する。
δL2 =δL2S +(0−δL2S )(6τ−15τ+10τ)…(1)
ただし、τ=t/Tである。
切替制御部53Lによって制御モードが第2制御モードに設定されているので(図5のステップS4参照)、第2左目標転舵角設定部51Lによって演算された第2左目標転舵角δL2 が左目標転舵角δ として、転舵角偏差演算部54Lに与えられる。
この後、所定の演算周期Δtが経過すると(ステップS16:YES)、第2左目標転舵角設定部51Lは、第2左目標転舵角設定部51Lが起動されてからの経過時間tを(t+Δt)に更新する(ステップS17)。そして、第2左目標転舵角設定部51Lは、更新後の経過時間tが移行時間T以上であるか否かを判定する(ステップS18)。更新後の経過時間tが移行時間Tに達していない場合には(ステップS18:NO)、第2左目標転舵角設定部51Lは、ステップS15に戻り、第2左目標転舵角δL2 を演算する。
ステップS18において、更新後の経過時間tが移行時間T以上であると判定された場合には(ステップS18:YES)、第2左目標転舵角設定部51Lは、第2左目標転舵角設定部51Lを中立角(0度)に設定する(ステップS19)。そして、今回の処理を終了する。
前記式(1)に基づいて第2左目標転舵角δL2 を演算した場合、第2左目標転舵角δL2 は、図8に示されるように、第2左目標転舵角の開始角δL2S から0度まで滑らかに変化する。図8の実線は開始角δL2S が正の場合の第2左目標転舵角δL2 の経過時間tに対する変化を示し、図8の破線は開始角δL2S が負の場合の第2左目標転舵角δL2 の経過時間tに対する変化を示している。躍度最小モデルは比較的良く人間の運動と一致することが知られている。この場合、人間がハンドル(ステアリングホイール)を回したときの転舵輪の動きに良く一致させることができるため、乗員に違和感を与えることなく、左転舵輪を中立位置(中立角)に戻すことができる。
図9は、右転舵モータ制御部41R内の切替制御部53Rの動作を説明するためのフローチャートである。
右転舵ECU23の電源がオンされると、切替制御部53Rは、制御モードを第3制御モードに設定する(ステップS21)。具体的には、切替制御部53Rは、切替部52Rの第1入力端子に入力される第1右目標転舵角δR1 が選択されるように、切替部52Rを制御する。そして、切替制御部53Rは、右転舵ECU23と上位ECU20との間に通信異常が発生したか否かを判別する(ステップS22)。
通信異常が発生していない場合には(ステップS22:NO)、切替制御部53Rは、ステップS21に戻る。
前記ステップS22において、通信異常が発生したと判別された場合には(ステップS22:YES)、切替制御部53Rは、第2右目標転舵角設定部51Rを起動させる(ステップS23)。これにより、第2右目標転舵角設定部51Rは起動し、第2右目標転舵角δR2 を設定する。
また、切替制御部53Rは、制御モードを第4御モードに設定する(ステップS24)。具体的には、切替制御部53Rは、切替部52Rの第2入力端子に入力される第2右目標転舵角δR2 が選択されるように、切替部52Rを制御する。この後、切替制御部53Rは、右転舵ECU23と上位ECU20との間の通信が復帰したか否かを判別する(ステップS25)。
通信が復帰していない場合には(ステップS25:NO)、切替制御部53Rは、ステップS24に戻る。前記ステップS25において、通信が復帰したと判別された場合には(ステップS25:YES)、切替制御部53Rは、第2右目標転舵角設定部51Rの動作を停止させた後(ステップS26)、ステップS21に戻る。
図10は、第2右目標転舵角設定部51Rの動作を説明するためのフローチャートである。
第2右目標転舵角設定部51Rは、切替制御部53Rによって起動されると、転舵角センサ10Rによって検出されている右転舵角δを取得し、取得した右転舵角δを第2右目標転舵角の開始角δR2S として設定する(ステップS31)。また、第2右目標転舵角設定部51Rは、車速センサ11によって検出された車速Vを取得する(ステップS32)。
次に、第2右目標転舵角設定部51Rは、第2右目標転舵角の開始角δR2S の絶対値|δR2S |と車速Vと基づいて、第2右目標転舵角を中立角(0度)に収束させるまでの時間(以下、「移行時間T」という。)を設定する(ステップS33)。ステップS33の移行時間Tの設定方法は、前述した第2左目標転舵角設定部51Lによる移行時間Tの設定方法と同様である(図6のステップS13を参照)。
次に、第2右目標転舵角設定部51Rは、第2右目標転舵角設定部51Rが起動されてからの経過時間tを0を設定する(ステップS34)。そして、第2右目標転舵角設定部51Rは、例えば、躍度最小モデルに従って、第2右目標転舵角δR2 を演算する(ステップS35)。具体的には、第2右目標転舵角設定部51Rは、次式(2)に基づいて、第2右目標転舵角δR2 を演算する)。
δR2 =δR2S +(0−δR2S )(6τ−15τ+10τ)…(2)
ただし、τ=t/Tである。
切替制御部53Rによって制御モードが第4モードに設定されているので(図9のステップS24参照)、第2右目標転舵角設定部51Rによって演算された第2右目標転舵角δR2 が右目標転舵角δ として、転舵角偏差演算部54Rに与えられる。
この後、所定の演算周期Δtが経過すると(ステップS36:YES)、第2右目標転舵角設定部51Rは、第2右目標転舵角設定部51Rが起動されてからの経過時間tを(t+Δt)に更新する(ステップS37)。そして、第2右目標転舵角設定部51Rは、更新後の経過時間tが移行時間T以上であるか否かを判定する(ステップS38)。更新後の経過時間tが移行時間Tに達していない場合には(ステップS38:NO)、第2右目標転舵角設定部51Rは、ステップS35に戻り、第2右目標転舵角δR2 を演算する。
ステップS38において、更新後の経過時間tが移行時間T以上であると判定された場合には(ステップS38:YES)、第2右目標転舵角設定部51Rは、第2右目標転舵角設定部51Rを中立角(0度)に設定する(ステップS39)。そして、今回の処理を終了する。
前記式(2)に基づいて第2右目標転舵角δR2 を演算した場合、第2右目標転舵角δR2 は、図8に示されるように、第2右目標転舵角の開始角δR2S から0度まで滑らかに変化する。図8の実線は開始角δR2S が正の場合の第2右目標転舵角δR2 の経過時間tに対する変化を示し、図8の破線は開始角δR2S が負の場合の第2右目標転舵角δR2 の経過時間tに対する変化を示している。躍度最小モデルは比較的良く人間の運動と一致することが知られている。この場合、人間がハンドル(ステアリングホイール)を回したときの転舵輪の動きに良く一致させることができるため、乗員に違和感を与えることなく、右転舵輪を中立位置(中立角)に戻すことができる。
上位ECU20と左転舵ECU22との間および上位ECU20と右転舵ECU23との間に通信異常が発生していない場合には、左転舵モータ4Lは第1制御モードによって制御され、右転舵モータ4Rは第3制御モードによって制御される。つまり、左転舵モータ4Lおよび右転舵モータ4Rは、それぞれ左転舵角δおよび右転舵角δが、上位ECU20から送られてくる第1左目標転舵角δL1 および第1右目標転舵角δR1 に等しくなるように制御される。
左転舵モータ4Lが第1制御モードによって制御され、右転舵モータ4Rが第3制御モードによって制御されている場合において、例えば、上位ECU20と左転舵ECU22との間に通信異常が発生すると、第2左目標転舵角設定部51Lが起動されるとともに、左転舵モータ4Lは第2制御モードによって制御される。これにより、左転舵モータ4Lは、左転舵角δが滑らかに中立角(0度)まで変化するように制御されるので、左転舵輪3Lを滑らかに中立位置(中立角)まで転舵させることができる。この後、左転舵モータ4Lは、左転舵角δが中立角となるように制御される。一方、右転舵モータ4Rは、右転舵角δが第1右目標転舵角δR1 に等しくなるように制御される。左転舵モータ4Lは左転舵角δが中立角となるように制御されるため、右転舵輪3Rによる車両の旋回に左転舵輪3Lが与える影響が小さくなる。このため、車両は操向性能を維持しながら走行することが可能となる。
この後、上位ECU20と左転舵ECU22との間の通信が復帰した場合には、左転舵モータ4Lは第1制御モードによって制御されるようになる。
左転舵モータ4Lが第1制御モードによって制御され、右転舵モータ4Rが第3制御モードによって制御されている場合において、例えば、上位ECU20と右転舵ECU23との間に通信異常が発生すると、第2右目標転舵角設定部51Rが起動されるとともに、右転舵モータ4Rは第4制御モードによって制御される。これにより、右転舵モータ4Rは、右転舵角δが滑らかに中立角(0度)まで変化するように制御されるので、右転舵輪3Rを滑らかに中立位置(中立角)まで転舵させることができる。この後、右転舵モータ4Rは、右転舵角δが中立角となるように制御される。一方、左転舵モータ4Lは、左転舵角δが第1左目標転舵角δL1 に等しくなるように制御される。右転舵モータ4Rは右転舵角δが中立角となるように制御されるため、左転舵輪3Lによる車両の旋回に右転舵輪3Rが与える影響が小さくなる。このため、車両は操向性能を維持しながら走行することが可能となる。
この後、上位ECU20と右転舵ECU23との間の通信が復帰した場合には、右転舵モータ4Rは第3制御モードによって制御されるようになる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、第2左目標転舵角設定部51Lは、第2左目標転舵角の開始角δL2S の絶対値|δL2S |と車速Vとに基づいて移行時間Tを設定しているが、第2左目標転舵角の開始角δL2S の絶対値|δL2S |のみに基づいて、移行時間Tを設定してもよい。同様に、第2右目標転舵角設定部51Rは、第2右目標転舵角の開始角δR2S の絶対値|δR2S |と車速Vとに基づいて移行時間Tを設定しているが、第2右目標転舵角の開始角δR2S の絶対値|δR2S |のみに基づいて、移行時間Tを設定してもよい。
前記実施形態では、第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、それぞれ、躍度最小モデルに従って、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を、その開始角から中立角(0度)まで滑らかに変化させている。しかしながら、第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、それぞれ、躍度最小モデル以外のモデルに従って、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を、その開始角から中立角(0度)まで滑らかに変化させてもよい。
第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、例えば、正弦波モデルに従って、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を、その開始角から中立角(0度)まで滑らかに変化させてもよい。具体的には、第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、それぞれ次式(3)および次式(4)に基づいて、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を演算するようにしてもよい。
δL2 =δL2S cos(2πft) …(3)
δR2 =δR2S cos(2πft) …(4)
ただし、1/(4f)=Tである。Tは移行時間。
この場合の経過時間tに対する第2左目標転舵角δL2 (第2右目標転舵角δR2 )の変化の一例を図11に示す。
また、第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、例えば、時間関数発生器(TBG)モデルに従って、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を、その開始角から中立角(0度)まで滑らかに変化させてもよい。具体的には、第2左目標転舵角設定部51Lおよび第2右目標転舵角設定部51Rは、それぞれ次式(5)および次式(6)に基づいて、第2左目標転舵角δL2 および第2右目標転舵角δR2 を演算するようにしてもよい。
dδL2 /dt=δL2S ・γ{δL2 (1−δL2 )}β …(5)
dδR2 /dt=δR2S ・γ{δR2 (1−δR2 )}β …(6)
ただし、γ=Γ(1−β)/T・Γ(2−2β)である。Γは、ガンマ関数である。β(0<β<1)は、定数である。Tは、移行時間(収束時間)である。
この場合の経過時間tに対する第2左目標転舵角δL2 (第2右目標転舵角δR2 )の変化の一例を図12に示す。
左転舵モータ4Lが第1制御モードによって制御され、右転舵モータ4Rが第3制御モードによって制御されている場合において、例えば、上位ECU20と左転舵ECU22との間に通信異常が発生した場合には、左転舵モータ制御部41L側の制御モードは第2制御モードとなる。この場合、さらに、右転舵モータ制御部41Rにおいて、見かけ上のオーバーオールギヤ比(転舵角に対するハンドル角の比)を減少させるような制御を行うようにしてもよい。
例えば、右転舵モータ制御部41Rは、上位ECU20から送られてくる第1右目標転舵角δR1 に1よりも大きなゲインを乗算し、ゲイン乗算後の第1右目標転舵角δR1 を、切替部52Rの第1入力端子に入力させるようにしてもよい。また、例えば、右転舵モータ制御部41Rは、PI制御部58Rによって演算される右目標モータ電流I に1よりも大きなゲインを乗算し、ゲイン乗算後の右目標モータ電流I を電流偏差演算部59Rに与えるようにしてもよい。こうすることで、右転舵輪3Rがより大きなコーナリングフォースを発生するため、左転舵輪3Lの転舵角δの絶対値が右転舵角δの絶対値よりも小さくなっても、車両の旋回性能の低下を抑制できる。
同様に、前述の実施形態では、左転舵モータ4Lが第1制御モードによって制御され、右転舵モータ4Rが第3制御モードによって制御されている場合において、例えば、上位ECU20と右転舵ECU23との間に通信異常が発生した場合には、右転舵モータ制御部41R側の制御モードは第4制御モードとなる。この場合、さらに、左転舵モータ制御部41Lにおいて、見かけ上のオーバーオールギヤ比(転舵角に対するハンドル角の比)を減少させるような制御を行うようにしてもよい。
例えば、左転舵モータ制御部41Lは、上位ECU20から送られてくる第1左目標転舵角δL1 に1よりも大きなゲインを乗算し、ゲイン乗算後の第1左目標転舵角δL1 を、切替部52Rの第1入力端子に入力させるようにしてもよい。また、例えば、左転舵モータ制御部41Lは、PI制御部58Lによって演算される左目標モータ電流I に1よりも大きなゲインを乗算し、ゲイン乗算後の目標モータ電流I を電流偏差演算部59Lに与えるようにしてもよい。こうすることで、左転舵輪3Lがより大きなコーナリングフォースを発生するため、右転舵輪3Rの転舵角δの絶対値が左転舵角δの絶対値よりも小さくなっても、車両の旋回性能の低下を抑制できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…車両用操舵装置、2…ステアリングホイール、3L…左転舵輪、3R…右転舵輪、4L…左転舵モータ、4R…右転舵モータ、5L…左転舵機構、5R…右転舵機構、20…上位ECU、22…左転舵ECU、23…右転舵ECU、51L…第2左目標転舵角設定部、51R…第2右目標転舵角設定部、52L,52R…切替部、53L,53R…切替制御部

Claims (4)

  1. 左転舵輪および右転舵輪を個別に転舵するための左転舵機構および右転舵機構を含み、操向のために操作される操舵部材と前記左転舵機構および右転舵機構とが機械的に結合されておらず、前記左転舵機構が左転舵モータによって駆動され、前記右転舵機構が右転舵モータによって駆動される車両用操舵装置であって、
    左目標転舵角および右目標転舵角を設定する上位制御装置と、前記左転舵モータおよび前記右転舵モータをそれぞれ駆動制御する左転舵制御装置および右転舵制御装置とを含み、
    前記左転舵制御装置は、通常時は、前記左転舵輪の転舵角が前記左目標転舵角と等しくなるように前記左転舵モータが制御され、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、前記左転舵輪の転舵角が中立角となるように前記左転舵モータが制御されるように、制御モードを切り替える第1制御モード切替手段を含み、
    前記第1制御モード切替手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、前記左転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、前記左転舵モータを制御する第1移行手段を含み、
    前記右転舵制御装置は、通常時は、前記右転舵輪の転舵角が前記右目標転舵角と等しくなるように前記右転舵モータが制御され、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、前記右転舵輪の転舵角が中立角となるように前記右転舵モータが制御されるように、制御モードを切り替える第2制御モード切替手段を含み、
    前記第2制御モード切替手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに、前記右転舵輪の転舵角が中立角まで滑らかに変化するように、前記右転舵モータを制御する第2移行手段を含む、車両用操舵装置。
  2. 前記第1移行手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに使用される異常時用左目標転舵角を設定する左目標転舵角設定手段を含み、前記左目標転舵角設定手段は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、異常発生開始時点での前記左転舵輪の転舵角から中立角まで、前記異常時用左目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されており、
    前記第2移行手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときに使用される異常時用右目標転舵角を設定する右目標転舵角設定手段を含み、前記右目標転舵角設定手段は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生したときには、異常発生開始時点での前記右転舵輪の転舵角から中立角まで、前記異常時用右目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されている、請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記左目標転舵角設定手段は、異常発生開始時点での前記左転舵輪の転舵角から中立角まで、躍度最小モデルに従って、前記異常時用左目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されており、
    前記右目標転舵角設定手段は、異常発生開始時点での前記右転舵輪の転舵角から中立角まで、躍度最小モデルに従って、前記異常時用右目標転舵角を滑らかに変化させるように構成されている、請求項2に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記左転舵制御装置は、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しておらず、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、見かけ上のオーバーオールギヤ比を減少させる手段を含み、
    前記右転舵制御装置は、前記上位制御装置と前記右転舵制御装置との間に通信異常が発生しておらず、前記上位制御装置と前記左転舵制御装置との間に通信異常が発生しているときには、見かけ上のオーバーオールギヤ比を減少させる手段を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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