JP5238404B2 - 扁平セグメントリングの継手構造 - Google Patents
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Description
ところが、セグメントの厚さ寸法を大きくすることは、セグメントが高価になるうえ、トンネルの掘削断面が大きくなるといった欠点があり、経済的ではなかった。
この特許文献1に記載の構造は、扁平トンネルの内空側において、水平方向に引張力を受けもち略水平方向に配置された弦材をなす補強部材(第1補強部材)を設けることで、セグメントに水平方向に圧縮力を与えるものである。
さらに、縦方向(上下方向)に圧縮力を受けもち該縦方向に配置された棒状の補強部材(第2補強部材)を設けることで、扁平セグメントリングに作用する集中応力を減少させている。
この特許文献2に記載の構造によれば、扁平セグメントリングの断面視斜め下方に位置するトンネル脚部に、扁平セグメントリングのセグメント間を周方向に連結するヒンジ継手を設け、さらにトンネル脚部から底盤部までのセグメント厚さ寸法を扁平セグメントリングの上方部より大きくすることで、応力の集中を緩和させるとともに曲げモーメントを小さくさせる。
この際、上記従来の扁平セグメントリングのトンネル脚部においては、コンクリートからなるセグメントの接合面同士が直接的に接触して連結される構造とされているため、当該セグメントに直接的に応力が生じるとともに曲げモーメントを十分に分散することができず、場合によってはセグメントの連結箇所にクラック等が生じるおそれがあった。また、扁平セグメントリングにおいては、このような大きな曲げモーメントが生じた場合であっても、周方向の軸力を確実に伝達できることが望まれる。
即ち、本発明に係る扁平セグメントリングの継手構造は、シールドトンネルに構築された扁平セグメントリングの断面視斜め下方に位置するトンネル脚部における扁平セグメントリングの継手構造であって、前記トンネル脚部で連結される一方のセグメントの接合端部に、該接合端部の外側に向かって突出してトンネル方向に沿って延びる凸曲面を有する雄継手が設けられるとともに、他方のセグメントの接合端部に、該接合端部の内側に向かって凹んでトンネル方向に沿って延びる凹曲面を有し前記雄継手と連結される雌継手が設けられ、前記雄継手及び前記雌継手は、鋼材又は硬質樹脂から形成されており、前記雄継手の前記凸曲面の曲率が前記雌継手の前記凹曲面の曲率よりも僅かに大きくされていることを特徴としている。
また、当該雄継手及び雌継手の線接触部に生じる応力は、雄継手及び雌継手の厚みに応じて分散されて両セグメントに伝達されるため、これら両セグメントに生じる応力を低減させることが可能となる。
さらに、セグメントに曲げモーメントが作用した際には、両セグメントが凸曲面及び凹曲面に沿って揺動することによって曲げモーメントによる力を逃がし、応力の集中を緩和させることができる。
また、大きな圧縮力が作用した際には、雄継手の凸曲面が広がるように撓むことによって当該雄継手の凸曲面と雌継手の凹曲面とが面接触することになり、これら雄継手及び雌継手に生じる応力を分散させることができる。さらに、このように面接触した場合、扁平セグメントリング周方向の軸力をより確実に伝達することが可能となる。
円管状の部材に簡易な加工を施すことのみもって雄継手及び雌継手を構成することができるため、加工容易性及び生産性を担保することが可能となる。
図1は本発明の実施の形態に係る扁平セグメントリングを示す断面図、図2は扁平セグメントリングの断面形状の構成を示す説明図、図3は扁平セグメントリングの脚部付近を示す拡大図、図4は本実施形態の扁平セグメントリングに係る継手構造の拡大図である。
図2に示すように、扁平セグメントリング2の断面形状は、それぞれが所定位置に円心を有する4つの円の円弧の一部を繋いた形状に設計されたものであり、略上半部の円弧領域の一部を形成する半径R1の中円2Aと、底盤部の円弧領域の一部を形成する半径R2の大円2Bと、側部から底盤部にかけて断面視左右斜め下方に位置する円弧領域の一部を形成する半径R3の小円2C、2Cとから構成されている。この小円2C、2Cの円弧領域を、「トンネル脚部K1、K2」として以下説明する。
各トンネル脚部K1、K2の領域には、扁平セグメントリング2の周方向に配置されるセグメント20、20間を連結する継手構造10が設けられている。ここで、この継手構造10の下方側に配置されたセグメントを脚部セグメント21とし、同じく上方側に配置されたセグメントを側壁部セグメント22とする。
また、図1に示すように、扁平セグメントリング2には、脚部セグメント21、21の内空側の間を略水平方向に延在させて水平方向に引張力を受けもつPC鋼材30(水平補強部材)と、水平方向の圧縮力を受けもつ床版40とが設けられている。
図3及び図4示すように、継手構造10は、側壁部セグメント22の下端接合面22aに埋設されている雄継手11と、雄継手11と対向する位置で脚部セグメント21の上端接合面21aに埋設されている雌継手12とから構成されている。
なお、この雄継手11は、上記鋼材や硬質樹脂に代えて繊維補強高硬度コンクリート、セラミック、鋳鉄等から形成されていてもよい。
また、この雌継手12についても、雄継手11と同様に、上記鋼材や硬質樹脂に代えて繊維補強高硬度コンクリート、セラミック、鋳鉄等から形成されていてもよい。
なお、このように雄継手11及び雌継手12によって側壁部セグメント21と脚部セグメント22とが連結された際には、当該雄継手11と雌継手12とが接触する以外は、側壁部セグメント22の下端接合面22aと脚部セグメント21の上端接合面21aが接触することはなく、一定の隙間15が形成されている。これにより、側壁部セグメント21と脚部セグメント22との軸力は当該雄継手11及び雌継手12のみを介して伝達されることなる。
そして、図3に示すように、床版40には、その長手方向に貫通した挿通孔41が形成され、その挿通孔41に円筒形状のシース管42が挿入され、そのシース管42内にPC鋼材30が挿通されている。このようにPC鋼材30を床版40に内蔵させた構成とすることで、トンネル空間を有効に使うことができる。
つまり、脚部セグメント21、21には、床版40を所定の位置に設置した状態で、PC鋼材30と同軸となるように棒状の異形鋼材61が埋設されている。この異形鋼材61は、雄ネジが形成された端部61aを、脚部セグメント21の内周面21bを切り欠いて形成させた切欠部(図示省略)で露出させている。
扁平セグメントリング2には、その断面形状が扁平であることから土圧やセグメント自重により上下方向にトンネル断面が潰れるようにして圧縮力が作用し、トンネル脚部K1、K2付近にトンネルの外側に向けた応力が集中して最大曲げモーメントが発生し、特にトンネル施工時や地震発生時等の外力が加わる場合には曲げモーメントの値は大きなものとなる。
なお、このトンネル脚部K1、K2付近には、セグメントリング2を外周側に張り出すように撓ませる、いわゆる負のモーメントが作用する。
これによって、連結箇所に生じる応力をより分散させることができ、両セグメント21、22に伝達されて生じる応力をより低減させることが可能となる。さらに、このように雄継手11及び雌継手12が面接触した場合、扁平セグメントリング2周方向の軸力をより確実に伝達することが可能となる。
従って、たとえ施工時や地震発生時等にトンネルに大きな圧縮力が作用し、これによってトンネル脚部K1、K2に大きな曲げモーメントが発生したとしても、コンクリートセグメント20にクラック等の損傷を発生させずしてトンネル構造を維持することが可能となる。
例えば、雄継手11及び雌継手12の厚みは、図3及び図4に示す比較的厚みの大きなものから、図5に示すような比較的厚みの小さなものまで適宜選択可能である。
即ち、図6における継手構造10においては、上述の構成に加えて、側壁部セグメント22の内周面22b及び脚部セグメント21の内周面21bに、それぞれ切欠部71、71が形成されている。そして、この2つの切欠部71、71を連通するようにして側壁部セグメント22、雄継手11、雌継手12及び脚部セグメント21を連続して貫通する曲がり孔72が穿設されている。この曲がり孔72は一定の曲率でもって滑らかな円弧を描くように形成されており、その円弧の頂部付近が雄継手11及び雌継手12を通過するように構成されている。
さらに、この曲がり孔72には、該曲がり孔72と等しい曲率を有する曲がりボルト73が挿入されており、該曲がりボルト73の両端はそれぞれ切欠部71、71から突出した状態で固定ナット74及び座金75等の締結手段により締結固定されている。
以上のような構成の変形例の継手構造10においては、曲がりボルト73によって、雄継手11及び雌継手12がそれぞれ両セグメント21、22に強固に固定一体化される。これにより、耐震性を向上させることが可能となる。
10 継手構造
11 雄継手
11a 凸曲面
12 雌継手
12a 凹曲面
13、14 インサート
20 コンクリートセグメント(セグメント)
21 脚部セグメント(セグメント)
21a 上端接合面(接合端面)
22 側壁部セグメント(セグメント)
22a 下端接合面(接合端面)
K1、K2 トンネル脚部
Claims (4)
- シールドトンネルに構築された扁平セグメントリングの断面視斜め下方に位置するトンネル脚部における扁平セグメントリングの継手構造であって、
前記トンネル脚部で連結される一方のセグメントの接合端部に、該接合端部の外側に向かって突出してトンネル方向に沿って延びる凸曲面を有する雄継手が設けられるとともに、
他方のセグメントの接合端部に、該接合端部の内側に向かって凹んでトンネル方向に沿って延びる凹曲面を有し前記雄継手と連結される雌継手が設けられ、
前記雄継手及び前記雌継手は、鋼材又は硬質樹脂から形成されており、
前記雄継手の前記凸曲面の曲率が前記雌継手の前記凹曲面の曲率よりも僅かに大きくされていることを特徴とする扁平セグメントリングの継手構造。 - 前記雄継手及び前記雌継手が、前記鋼材又は前記硬質樹脂に代えて、繊維補強高硬度コンクリート、セラミック及び鋳鉄のいずれかから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の扁平セグメントリングの継手構造。
- 前記雄継手及び前記雌継手を、それぞれ前記一方のセグメント又は前記他方のセグメントに対して固定するインサートが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の扁平セグメントリングの継手構造。
- 前記雄継手及び前記雌継手が、円管状の部材を該円管の軸線方向に分割することで形成された瓦状をなしていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の扁平セグメントリングの継手構造。
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