JP5237873B2 - 水素精製法および水素吸蔵合金反応容器 - Google Patents

水素精製法および水素吸蔵合金反応容器 Download PDF

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Description

リン酸形あるいは固体高分子形プロトン伝導形の燃料電池等のエネルギー源としては、高純度の水素ガスが燃料として使用される。本発明は、水素吸蔵合金の選択的水素吸蔵反応を利用して水素含有ガスから、水素のみを吸蔵・精製し、効率よく高純度の水素ガスを製造する水素吸蔵合金を用いた水素精製法の改良された方法ならびにその方法に使用される水素吸蔵合金反応容器に関する。
地球環境の改善保持等の観点から急速に普及しつつある燃料電池に不可欠の水素ガスは、一般的には、天然ガス、ナフサ、灯油あるいはメタノール等の炭化水素含有燃料と水蒸気とを金属触媒の存在下で改質・変成し精製して製造される。
この変成ガスを上記固体高分子形燃料電池(以下、PEFCと略記する。)の燃料に使用する場合、変成ガス中に不可避的に含まれる一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、そして水等の不純物を完全に除去する必要がある。とくに一酸化炭素はPEFCに使用されている電極触媒の被毒原因となる。また使用面から見ると、自動車用PEFCは、純水素ガスの供給方式が一般的であり、家庭用PEFCの場合は、一酸化炭素以外の不純物成分の含有に寛大であるものの純水素ガスの方が発電効率を向上するとされている。
以上の理由から、PEFCの燃料用水素ガスとしては、高純度の水素が圧倒的に優位とされており、原料水素中に含まれる各種成分の吸脱着挙動の差異を利用して不要成分を分離除去するいわゆる水素PSA法による製法がすでに実用化されている。この方法によれば、上記した一酸化炭素、二酸化炭素、メタンおよび水等の不純物は、各種吸着剤の使用により高圧化において吸着され、吸着親和性が相対的に低い水素ガスのみが選択的に回収できる。なお、不純物成分は減圧操作により脱着して系外に放出される。
下記特許文献1に上記吸着・脱着による改良された水素PSA法が開示されている。この方法は、吸着、均圧、減圧、パージならびに昇圧の各工程を分担する複数の処理槽を使用して連続的に水素を精製する従来の水素PSA法が水素精製の収率に不十分さがある点を改善しようとする。すなわち、洗浄工程に使用されるパージガスの量を吸着剤の総容積量よりに過大になるように操作することにより、水素ガスの回収率を向上させることができる方法を提案する。
この発明によると、99.999容積%以上の高純度が製造できるとするが、回収の前提となる水素以外の不純物成分の各除去に応じた所要の吸着剤を必要とし、そのために吸着槽が大型化し、それでも水素の収率は高くても80%で、20%もの損失を招くおそれがある。
水素PSA法とは異なるが、下記特許文献2は、水素吸蔵合金を使用し、これに水素含有ガス中の水素のみを選択的に吸蔵させることにより、不純物ガスを分離させ、そして水素のみを放出回収する水素吸蔵合金法の改良された水素回収精製装置を開示する。
ところで、このような水素吸蔵合金反応は、この合金に対して水素原子が浸入溶解して固様相を形成するいわゆる相変化をともなう反応であり、この化学反応は、Gibbsの相律により、一定温度のもとでは一定水素圧力下で進行する。そして、水素吸蔵合金は、その合金種およびそのときの温度に対し、この一定水素圧力、すなわち固有の水素平衡圧を有する。水素吸蔵合金反応をおこなわせる場合、この水素平衡圧以下の分圧で水素を装入してもその水素吸蔵量は、飽和吸蔵量の10〜20%程度と非常に少ない。
したがって、水素吸蔵合金法により流通式で水素精製を実施する場合、通常、被処理ガスの水素分圧より低い平衡圧を有する水素吸蔵合金を選定・設計して使用する必要がある。ところが、被処理ガスの水素分圧は、被処理ガスが水素吸蔵合金精製容器の後段へ移行するにつれて減少する一方で、水素吸蔵にともなう発熱により合金および被処理ガスの温度が上昇する。すなわち、水素吸蔵合金の平衡圧が上昇し、結果として水素吸蔵反応が抑制されることになる。したがって、水素吸蔵合金充填部の後段における被処理ガスの水素分圧が水素吸蔵合金固有の水素平衡圧以下となり、水素が吸蔵され難い状態になる。これは水素吸蔵合金が本来保有する水素吸蔵能力が有効に活用されないことを意味し、水素吸蔵合金精製容器自体のコンパクト化がそれだけ制約されることになる。
また、水素吸蔵合金精製方式においては、その前段の原料ガス改質工程を立ち上げあるいは立ち下げする時点で、水素濃度が低い原料ガスが一時的に流通する状況になると、水素平衡圧以下の分圧となって吸蔵できない水素量が増大する問題がある。
なお、下記特許文献2は、原料ガス中に不可避的に含まれる被毒性ガス成分が水素吸蔵合金の水素吸蔵能力を低下させる点を再生機能の付加により抑制さようとする発明であって、上述した水素吸蔵合金精製方式固有の難点を考慮したものではない。
特開2002−177726号公報 特開平5−319802号公報
本発明は、水素PSA法にとって、水素回収率の向上をはかるためにプラントの大型化が必要であること、また、水素吸蔵合金精製方式にも吸蔵合金容器のコンパクト化に制約があって、水素吸蔵合金本来の水素吸蔵能力が十分に発揮できないことから、高純度水素精製に難点があることに着目して水素吸蔵合金精製方式を改良したものである。本発明は、水素吸蔵合金を用いた水素精製における高純度水素回収率の向上をはかることおよび水素吸蔵合金の使用量を低減してなお高純度水素を精製することを解決課題とする方法である。
本発明は、上記課題を解決するために、区分された複数の水素吸蔵合金充填層に水素含有ガスを流通させることにより、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる方式をベースとして、下記手段を採用することを特徴とする水素吸蔵合金を用いた水素精製法およびこの方法に使用する水素吸蔵合金反応容器である。
(1)反応容器内に区分して配置された複数の水素吸蔵合金充填層に水素を含有する被処理ガス水素を流通させることにより、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させて不純物ガスと分離して水素ガスを回収する水素吸蔵合金を用いた水素精製法において、被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が異なるように配分された複数の水素吸蔵合金充填層に、水素平衡圧が高い方から低い方の順に被処理ガスを流通させることにより、被処理ガス中の水素を各水素吸蔵合金に順次吸蔵させて不純物ガスと分離し、水素ガスを回収する水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
(2)最前段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧と、最後段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧との比が2.0以上・10.0以下である上記(1)に記載された水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
(3)被処理ガスの各入口温度における水素平衡圧が被処理ガスの同入口における水素分圧の0.05〜1.00倍である複数の水素吸蔵合金充填層に被処理ガスを流通させる上記(1)または(2)に記載された水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
(4)区分して配置された複数の水素吸蔵合金充填層に水素を含有する被処理ガスを流通し、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させて不純物ガスと分離し、水素ガスを回収するように構成された水素吸蔵合金反応容器において、被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が異なる複数の水素吸蔵合金充填層が、被処理ガスの上流側から下流側に向けて、上記水素平衡圧が低くなるように配置された水素吸蔵合金反応容器。
(5)最前段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧と、最後段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧との比が2.0以上・1.00以下となるように、複数の水素吸蔵合金充填層が配列された上記(4)に記載された水素吸蔵合金反応容器。
(6)被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が被処理ガスの同入口における水素分圧の0.05〜1.00倍である複数の水素吸蔵合金充填層を有する上記(4)または(5)に記載された水素吸蔵合金反応容器。
本発明は、水素吸蔵合金を用いた水素精製法にて使用される複数の水素吸蔵合金充填層の選択にあたって、被処理ガスの入口温度における水素平衡圧を、前段から後段へと低位になるように設定することを基本的特徴とする水素精製法ならびに水素吸蔵合金反応容器である。このようにして複数の水素吸蔵合金充填層を配置することにより、被処理ガスはその順にしたがって流通し、前段の水素吸蔵合金充填層によって水素が吸蔵されるごとに水素分圧が低下するのに比例的に平衡圧が低位の充填層において水素が吸蔵される。したがって、後段に至るほど分圧が低下することの対策として、過大な量の水素吸蔵合金を使用しなくてもプロセス全体として水素の高回収率を確保することができる。
本発明の水素精製法に使用さる水素吸蔵合金反応容器の1例を示す縦断面図である。
本発明は、水素吸蔵合金を利用して発熱吸熱反応により水素を吸脱着して精製する水素精製法および反応容器を改良し、水素精製率およびその回収率を向上するものである。通常、この水素精製法は、選択された水素吸蔵合金を充填した複数のカラムを内部に包蔵する反応容器を用いて実施され、これらのカラムに被処理ガスを流通させながら反応容器全体を冷却・加熱する操作を制御することにより、水素が吸蔵・放出され精製される。
本発明は、各カラムに充填されるべき水素吸蔵合金が一定の温度において示す水素平衡圧に着目し、これを複数のカラム相互間において相違させることにより、水素吸蔵反応をカラムごとに段階的自動的に選択させるようにすることを特徴とする。さらに本発明は、この水素平衡圧を被処理ガス入り口温度における水素分圧との関係を規定することも特徴とする。
以下、本発明のこれらの特徴点ならびにその理由および効果について、最良の実施形態をもって説明する。
図1に本発明の水素吸蔵合金反応を実施するための反応容器の構成が例示されている。まずその構造について説明する。
反応容器底部の支持部材1aと頭頂の上部蓋1bとの間に構成される反応空間に複数のカラムすなわち水素吸蔵合金充填層2が直立して配置され、支持部材1a上に取り付けられた封止部材2dにて固定される。水素吸蔵合金充填層2は、下記するように物理的性能が異なる複数の集団配列からなり、最も上流側の充填層2aにおける封止部材2dに水素を含有する被処理ガスの供給管4およびパージ管6が接続される。そして、最も下流側の充填層2cにおける封止部材2aは、オフガス取り出し管5と精製水素ガス取り出し管7が接続される。これらの配管はそれぞれ制御弁が付随する。なお、上記封止部材2dの内部には、配管に連通するように管路(図示しない。)が設けられ、ガスが配管と充填層との間を流通するようにしてガスケット仕様にしてあるのは当然である。
なお、反応容器それ自体は、全水素吸蔵合金充填層2を内包した状態で熱冷媒流通路3を形成し、したがって冷却用熱媒流通管8と加熱用熱媒流通管9とが、その入り側と出口側にそれぞれ接続される。
本装置の稼動にあたって、
(1)水素精製工程において、水素を含有する被処理ガスが上記合金充填層2群に直列状に流通させると同時に容器内に冷水を供給して水素吸蔵合金充填層を冷却することにより、発熱反応である水素吸蔵反応が生起する。使用する水素吸蔵合金の種類によっては、加圧状態で被処理ガスを導入し、本工程を加圧下で実施する場合もある。
(2)パージ工程においては、容器内に残留する不純物ガスはパージ管5から排出される。また、(3)水素放出工程において、上記水素精製工程で水素を吸蔵した状態の合金充填層2群を加熱し、あるいは水素吸蔵反応が加圧下で実施された場合は、合金充填層2群を加熱減圧し、そして取り出し管7から精製水素ガスを排出させる。
以上の構成および各工程の操作は一般的な水素吸蔵合金を用いた水素精製プラントに共通するが、本発明の特徴は、複数の上記水素吸蔵合金充填層2群が、その被処理ガスの入口温度(最も上流側の水素吸蔵合金充填層すなわち最前段の水素吸蔵合金充填層の入口温度)における水素平衡圧が相互に異なるように、複数種類の水素吸蔵合金を組み合わせて配列するようにしたことである。
すなわち、図1において、左側2本の充填層2aは、被処理ガスの入口温度において同一の水素平衡圧を示す同種の合金であるが、右側の充填層2bおよび2cの合金は、互いに水素平衡圧が相違すると同時に、左側の2本の充填層2aとも異なる水素平衡圧を示す合金を配置してある。そして、反応容器左側の供給管4から被処理ガスが供給されるとして、左側の2本の充填層2aに対し、右側の充填層2b、2cの水素平衡圧が小さくなるように、さらに充填層2bに対して充填層2cの水素平衡圧も小さくなるように、つまり3段階に分けて水素平衡圧が順に低くなるように水素吸蔵合金の組み合わせを設計してある。
なお、複数の水素吸蔵合金充填層をこのような順列で配置するとき、左側の2本の充填層2aのトップ側は図示したように接続して被処理ガスが流通するようにし、右側の充填層2bおよび2cも同様に接続し、被処理ガスが充填層2a→2a→2b→2cと流れるようにする。
本発明が、このように、カラムごとに被処理ガスの流通に沿って下流になるほど段階に分けて水素平衡圧が順に低くなるように水素吸蔵合金の組み合わせを設計してあると、前段で水素吸蔵反応が進行して被処理ガスの水素分圧が低下して吸蔵・回収し切れなかった水素は水素平衡圧が低い後段で吸蔵されるようになる。その結果、水素回収率が向上し、同時に高価な水素吸蔵合金使用の無駄を抑制して水素吸蔵合金の総量が節減される。
そして、このように本発明が水素吸蔵合金の水素平衡圧を段階的に順次低位となるように配置する場合、最前段に位置する充填層2aにおける水素吸蔵合金の被処理ガス入り口温度における水素平衡圧に対して、最後段に位置する充填層2cにおける水素吸蔵合金の被処理ガス入り口温度における水素平衡圧の比率が2.0以上、10.0以下の範囲で調整することが有効であることを確認している。このような比率関係のもとで、前段側よりも後段側に行くほど、水素吸蔵合金の被処理ガス入り口温度における水素平衡圧が小さくなるように配置すると、有効な水素回収の向上が期待できる。
すなわち、上記比率(最大水素平衡圧比)が2.0未満の相対的に低値であれば、前段の充填層2aにて水素が吸蔵されて被処理ガスの分圧が低下した分が、後段充填層2b、2cの水素平衡圧以下となるおそれがある。これでは水素回収の向上は期待できないことになる。実験によれば、最大水素平衡圧比を2.0以上とすることがよい。
しかし、最大水素平衡圧比が10.0以上に増大すると、それだけ後段充填層2b、2cによる水素回収は容易になるが、回収された水素を放出する際に過大なエネルギーが必要となり不利である。工業的な見地からは最大水素平衡圧比を10.0以下とするのがよい。
以上の点が本発明の基本的特徴であるが、さらに、被処理ガスの入り口温度における水素吸蔵合金の水素平衡圧を、同入り口での被処理ガスの水素分圧の0.05〜1.00倍の範囲となるように設定することを付加的な特徴とする。
被処理ガスの入り口温度における水素吸蔵合金の水素平衡圧が、同入り口での被処理ガスの水素分圧の0.05以下であると、水素は確実に吸蔵合金に吸蔵されるが、水素放出に必要な熱量が過大になり、同時に減圧操作に過大なエネルギーを必要とする。また、水素吸蔵合金の水素平衡圧が被処理ガスの水素分圧の1.00倍以上になると、逆に水素吸蔵量が最大水素吸蔵量の20%程度以下となって精製効率が低下し、高価な水素吸蔵合金の使用量を増すことになる。
このように本発明における以上の付加的な特徴は、複数カラムの水素平衡圧を相互に区別する場合に生ずる水素吸蔵能力の均衡の崩れを最小限にとどめることを目的とし、精製効率の向上と採算性の両面で有効な手段である。
なお、水素吸蔵合金を用いた水素精製法に使用される水素吸蔵合金はすでに多種類の合金種が開発されているので、その中から以上の条件に合う合金を選択するのは容易である。また、本発明の実施にあたっては、被処理ガスの温度、水素純度、不純物濃度、あるいは化学組成等の変更や水素吸蔵合金の劣化等による交換のために、水素吸蔵合金充填層2を容易に取替えできるような構造に設計するのは当然である。
(実施例)
本発明の実施例および比較例について説明する。使用した被処理ガスはいずれも下記仕様の水素含有ガスに統一した。
・被処理ガスの化学組成
H2:80% CO2:20%
水素分圧:0.72MPa
・被処理ガスの温度:20℃
・流量:2.0NL/min
上記の被処理ガスを水素吸蔵合金を用いた水素精製法にて高純度水素精製するために、図1に示された4カラムタイプの反応容器を準備し、水素吸蔵合金充填層ユニットとして下記合金を採用した。なお、各合金はいずれも平均粒径10μmのものを250g充填した。
(実施例1)
下記3種類の吸蔵合金を使用した。
・充填層2a2組 MH−A:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
・充填層2b MH−B:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
・充填層2c MH−C:20℃における平衡圧が0.1MPaに調整
まず、水素吸蔵合金反応容器を活性化するためにつぎの処理を行なった。反応容器内の熱冷媒通路3に200℃の水蒸気を流通させて全水素吸蔵合金充填層2を加熱すると同時に減圧操作を施した。この操作は、充填層2の温度が180℃に達してから2時間にわたって実施した。
ついで、水蒸気の流通を停止し、熱冷媒通路3に20℃の冷水を流通させて充填層2の水素吸蔵合金を冷却するとともに、純水素を、圧力:1.0MPa、流量:5.0NLMで、供給管4から充填層2に装入した。この操作はマスフローコントローラーを用いて行ない、純水素の流量が0.5NLMになるまで継続した。そして、純水素の供給を停止し、つぎに熱冷媒通路3に80℃の温水を流通させて充填層2の水素吸蔵を加熱し、同合金に吸蔵された水素を放出し、以上の操作を5回繰り返して活性化処理を終えた。
つぎに、水素精製処理をおこなうために、反応容器の熱冷媒通路3に20℃の冷水を流通させて充填層2の水素吸蔵合金を冷却しながら、供給管4から上記水素含有被処理ガスを30分間にわたって連続して供給し、充填層2a〜2cに流通させ、全充填層に水素を吸蔵させた。なお、吸蔵されなかった水素は被処理ガスそのままで排出させた。その後、0.1MPaまで減圧するともに、熱冷媒通路3に80℃の温水を流通させて水素吸蔵合金を加熱し、吸蔵されていた水素を放出させた。
以上の水素精製処理サイクルを10回くりかえし、それぞれの水素精製率を下式にて計算し、表1の結果を得た。
・水素精製率=全MHユニットから放出された水素量/容器に投入された水素量×100
(実施例2)
下記3種類の水素吸蔵合金を使用した。
・充填層2a2組 MH−A:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
・充填層2b MH−B:20℃における平衡圧が0.1MPaに調整
・充填層2c MH−C:20℃における平衡圧が0.05MPaに調整
上記組み合わせの水素吸蔵合金充填層に実施例1と同様の操作にて反応容器
内の活性化処理をほどこしたのち、同組成の水素含有被処理ガスを流通させ、計10回の水素精製・放出を反復実施し、表1の水素精製率を得た。
(比較例1)
この比較例は、水素吸蔵合金充填層の4ユニットすべてに同種の下記水素吸蔵合金を共通して使用し、実施例1、2と同様の操作にて反応容器内の活性化処理をほどこしたのち、同組成の水素含有被処理ガスを流通させ、計10回の水素精製・放出を反復実施し、表1の水素精製率を得た。
・充填層2a〜2c MH−A:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
(比較例2)
別の比較例は、下記4種類の異なる水素吸蔵合金を、その水素平衡圧が下流ほど順に低位となるように配列した。
・充填層2a(前段) MH−A:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
・充填層2a(後段) MH−A:20℃における平衡圧が0.1MPaに調整
・充填層2b MH−B:20℃における平衡圧が0.05MPaに調整
・充填層2c MH−C:20℃における平衡圧が0.01MPaに調整
この比較例でも実施例1、2と同様の操作にて反応容器内の活性化処理をほどこしたのち、同組成の水素含有被処理ガスを流通させ、計10回の水素精製・放出を反復実施し、表1の水素精製率を得た。
(比較例3)
さらに別の比較例は、被処理ガス入口温度における水素分圧に対して、高めの水素平衡圧を示す下記4種類の異なる水素吸蔵合金を使用した。
・充填層2a(前段) MH−A:20℃における平衡圧が0.8MPaに調整
・充填層2a(後段) MH−A:20℃における平衡圧が0.6MPaに調整
・充填層2b MH−B:20℃における平衡圧が0.4MPaに調整
・充填層2c MH−C:20℃における平衡圧が0.2MPaに調整
この比較例でも実施例1、2と同様の操作にて反応容器内の活性化処理をほどこしたのち、同組成の水素含有被処理ガスを流通させ、計10回の水素精製・放出を反復実施し、表1の水素精製率を得た。
以上の各実施例ならびに比較例を実施して得られた各回ごとの水素精製率は下記表1に記載のとおりであって、本発明の実施例1では、1回〜10回めの各水素精製率は95%ないし96%で安定して高収率を得ており、実施例2はさらに高く97%ないし98%の成果である。なお、精製された水素ガスの純度は99.9%以上である。
実施例1は、前段の3充填層2a、2b、2cに使用される水素吸蔵合金の20℃における水素平衡圧を同一レベルとし、最後段の充填層2cのみそれより低位レベルの組み合わせにした場合である。これに対して、実施例2は、前段の2充填層2a、2aは同一レベルの水素平衡圧とし、後段の2充填層2b、2cは順に低位レベルの組み合わせにした場合である。この2例を比較すれば、充填層の水素吸蔵合金の水素平衡圧をきめこまかく順次低位に調整して設計するほど、水素ガスの精製率が確実に向上することが明白である。
なお、実施例1は、前後段水素吸蔵合金間の水素平衡圧が後段と前段とで比率2.0に調整され、また、被処理ガス入口温度での水素平衡圧は、同ガス入口水素分圧(0.72MPa)の0.28、0.14倍である。また、実施例2では、前後段水素吸蔵合金間の水素平衡圧が後段と前段とで比率2.0、4.0に調整され、被処理ガス入口温度での水素平衡圧は、同ガス入口水素分圧(0.72MPa)の0.28、0.07倍である。
両実施例に対して、比較例1は、全充填層の水素吸蔵合金の平衡圧を同一に統一した場合であって、水素ガスの精製率は89〜90%にとどまり、90%以上に向上させることは至難である。
また、比較例2は、充填層の水素吸蔵合金の平衡圧を順次低位に調整しているが、前段の平衡圧0.2MPaに対して、後段の平衡圧が0.01MPaとあまりにも低位(水素平衡圧の比が20.0とあまりにも高い)であるために、吸蔵はできるものの、水素放出時の条件である80℃温水循環では水素を放出するための熱量が不足するため、吸蔵した水素を完全に放出することができない。そのため、水素ガスの精製率が73〜75%と低迷する結果となっている。
また、比較例3のように、水素吸蔵合金の平衡圧が全体的に0.2〜0.8MPaの高レベルにすると、より順にそのレベルを段階的に下げるように設計しても水素ガスの精製率は一挙に60%台に低下する。これは被処理ガス中の水素分圧に対して水素吸蔵合金の平衡圧が高すぎるために、オフガス中にリークする水素量が増加し、それだけ合金が十分に水素を吸蔵できない状況になるからである。
上記2実施例および3比較例には、共通してH2:80%、CO2:20%の被処理ガスを、その水素分圧を0.72MPaにて使用したが、水素濃度が異なる被処理ガスの場合は、精製時の温度での水素分圧が使用水素吸蔵合金の平衡圧以上となるように条件設定すればよく、とくに被処理ガスが限定されることはない。
また、水素吸蔵合金の被毒要因となる一酸化炭素を含有する被処理ガスを精製する場合は、CO選択吸着剤により事前にそれを除去すればよい。
なお、水素吸蔵合金充填層に充填される水素吸蔵合金類が水素吸蔵時に体積膨張をともなうおそれがある場合は、シリコン樹脂粉体、熱伝導性金属製緩衝材、カーボン、ガラスあるいはセラミックス等の繊維片もしくは硫化モリブデンやナフタレン等の固体潤滑剤等を、水素吸蔵合金に対して1〜10%程度の範囲で混合すればよい。これによって、水素吸蔵合金類が水素吸蔵時に体積膨張した場合の反応容器の外表面への応力が緩和される。また、水素吸蔵合金充填層の偏在・偏析やショートパス発生が抑制される。
Figure 0005237873
1a 水素吸蔵合金充填層ユニットの支持部材
1b 上部蓋
2 水素吸蔵合金充填層ユニット
2a 水素吸蔵合金A充填層
2b 水素吸蔵合金B充填層
2c 水素吸蔵合金C充填層
2d 封止部材
3 熱冷媒流通路
4 水素含有ガス(被処理ガス)供給管
5 オフガス取り出し管
6 パージ管
7 精製水素ガス取り出し管
8 冷却用熱媒流通管
9 加熱用熱媒流通管

Claims (6)

  1. 反応容器内に区分して配置された複数の水素吸蔵合金充填層に水素を含有する被処理ガス水素を流通させることにより、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させて不純物ガスと分離し、水素ガスを回収する水素吸蔵合金精製法において、被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が異なるように配分された複数の水素吸蔵合金充填層に、水素平衡圧が高い方から低い方の順に被処理ガスを流通させることを特徴とする水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
  2. 最前段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガス入口温度における水素平衡圧と、最後段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガス入口温度における水素平衡圧との比が2.0以上・10.0以下となるようにして被処理ガスを流通させることを特徴とする請求項1に記載された水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
  3. 被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が被処理ガスの同入口における水素分圧の0.05〜1.00倍である複数の水素吸蔵合金充填層に被処理ガスを流通させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された水素吸蔵合金を用いた水素精製法。
  4. 区分して配置された複数の水素吸蔵合金充填層に水素を含有する被処理ガスを流通し、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させて不純物ガスと分離し、水素ガスを回収するように構成された水素吸蔵合金反応容器において、被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が異なる複数の水素吸蔵合金充填層が、被処理ガスの上流側から下流側に向けて、上記水素平衡圧が低くなるように配置されたことを特徴とする水素吸蔵合金反応容器。
  5. 最前段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧と、最後段の水素吸蔵合金充填層にある水素吸蔵合金の被処理ガスの入口温度における水素平衡圧との比が2.0以上・10.0以下となるように、複数の水素吸蔵合金充填層を配列したことを特徴とする請求項4に記載された水素吸蔵合金反応容器。
  6. 被処理ガスの入口温度における水素平衡圧が被処理ガスの同入口における水素分圧の0.05〜1.00倍である複数の水素吸蔵合金充填層を配置したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載された水素吸蔵合金反応容器。
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