このような冷却通路は、液体冷媒の流入口から排出口までが直線状に配列される構造以外にも、冷却対象部材である電気機器のレイアウトや部品数によって蛇行構造や屈曲構造も採用されており、これら蛇行構造や屈曲構造の場合には、流入口と排出口の位置に対して冷却通路全体が迂回した構成となる。すなわち、冷却フィンより高い壁部を形成したケース体に蓋をすることで冷却通路を仕切り、これによって迂回する経路を形成した構成(例えば、JP2007−207917A参照)の場合には、流入口から導入された冷媒が、壁部の頂面と蓋の内面との間に生じる隙間から排出口側の通路へと直接的に流れ、本来の冷却通路全体に十分な液体冷媒が供給されない可能性がある。
図7に、冷却通路に壁部を設けて迂回経路を形成した冷却装置の一例を示す。図7に示す冷却装置100は、流入口から流入した直後の液体冷媒が流通する往路側の通路102aと、図示しない折り返し部で折り返した後の液体冷媒が流通する復路側の通路102bとを備える。これら通路102a、102bは、ケース体104内に設けられた壁部106で仕切られることで並設され、その内部にはケース体104上に設置された電気部品108を冷却するための冷却フィン110が、液体冷媒の流通方向(図7で紙面に対して垂直方向)に延在している。そして、壁部106の頂部106aがケース蓋112の内面に接触することにより、各通路102a、102bが区画形成されている。なお、図7中の参照符号114は、ケース体104とケース蓋112との間をシールするシール部材であり、参照符号116は、ケース体104とケース蓋112とを連結固定するボルトである。
このような構成からなる冷却装置100では、組立精度や加工精度による壁部106の頂部106aとケース蓋112の内面との隙間Gから冷媒が漏れてしまうと、流入側の通路102aから排出側の通路102bへと冷媒が直接的に流通し(図7中の矢印F0参照)、本来の通路102a、102b全体に十分に冷媒が流通されない状態となる。特に、冷媒の液圧によってケース蓋112が図7に示すように湾曲変形した場合には、前記隙間Gが拡大し、上記の冷媒漏れが一層増加する。そうすると、本来の通路102a、102b全体への冷媒流通量が一層低下し、冷却対象部材を十分に冷却することが難しくなる可能性がある。
本発明は、上記従来の課題を考慮してなされたものであり、液体冷媒を冷却通路に沿って円滑に流通させ、冷却対象部材を適切に冷却することができる冷却構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る冷却構造体は、冷却対象部材の設置面と、該設置面の裏面側に設けられた冷却フィンと、該冷却フィンを液体冷媒によって冷却する冷却通路とを備え、前記液体冷媒を流入口から前記冷却通路へと流入させて排出口から排出する冷却構造体であって、前記冷却通路は、前記冷却フィンを設けた第1面と、該第1面に対向する第2面と、前記第1面と前記第2面の間に設けられる壁部とを備えると共に、前記流入口と前記排出口とを直線で結んだ経路より長い経路に構成されており、前記壁部は、前記第2面から前記第1面に向かって延びた第1壁部と、前記第1面から前記第1壁部の頂部を越える高さまで前記第1壁部に平行して延びた第2壁部とを有することを特徴とする。
このような構成によれば、冷却フィンを設けた第1面と該第1面に対向する第2面との間に壁部を有し、この壁部が、第2面から延びた第1壁部と、該第1壁部の頂部を越える高さまで該第1壁部に平行して第1面から延びた第2壁部とを有する。従って、当該冷却構造体の組立精度や加工精度による壁部付近での隙間精度の低下や、液体冷媒の液圧による筐体変形等に起因して、液体冷媒が壁部を乗り越え、冷却通路の一部をショートカットして流入口側から排出口側へと流通することを防止することができる。このため、液体冷媒は本来の冷却通路全体に円滑に流通され、冷却対象部材を適切に冷却することができる。
前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記冷却フィンと平行であると、壁部の壁面での流路抵抗を効果的に高めることができ、該壁部での冷媒の乗り越え流通を一層確実に防止することができる。
前記第2面には、前記冷却フィンと並んで前記冷却通路に設置される第2冷却フィンが設けられ、前記第2面の裏面側に、前記第2冷却フィンによって冷却する第2冷却対象部材を設置する第2設置面が設けられると、冷却通路の上下両面でそれぞれ異なる冷却対象部材を一層効率的に冷却することができる。また、第2冷却フィンが前記冷却フィンと対向配置されることで、前記壁部での冷媒の乗り越え流通の防止効果を高めることができる。
前記第2壁部は凹部を有し、該凹部に前記第1壁部が挿入配置されると、壁部での隙間を一層複雑に且つ長尺に構成することができ、該壁部での冷媒の乗り越え流通を一層確実に防止することができる。
前記冷却通路は、前記壁部の一面側と他面側とで、前記液体冷媒の流通方向が異なる構成であってもよい。
この場合、前記冷却通路は、前記流入口から前記排出口へと向かう途中に折り返し部が形成されており、前記壁部は、前記折り返し部で折り返された前記冷却通路の往路と復路とを仕切る仕切り壁部であると、簡単な構造で2つの冷却通路を確実に仕切ることができる。
本発明によれば、冷却フィンを設けた第1面と該第1面に対向する第2面との間に壁部を有し、この壁部が、第2面から延びた第1壁部と、該第1壁部の頂部を越える高さまで該第1壁部に平行して第1面から延びた第2壁部とを有する。従って、当該冷却構造体の組立精度や加工精度による壁部付近での隙間精度の低下や、液体冷媒の液圧による筐体変形等に起因して、液体冷媒が壁部を乗り越え、冷却通路の一部をショートカットして流入口側から排出口側へと流通することを防止することができるため、液体冷媒が本来の冷却通路全体に円滑に流通され、冷却対象部材を適切に冷却することができる。
以下、本発明に係る冷却構造体について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る冷却構造体としての冷却装置10の平面断面図である。図2Aは、図1中のII−II線に沿う断面図であり、図2Bは、図2Aに示す冷却装置10を構成するヒートシンク本体12からヒートシンク蓋14を取り外した状態での分解断面図である。
この冷却装置10は、ヒートシンク本体12に形成され、ヒートシンク蓋14によって閉塞された冷却通路(冷媒流路)16に液体冷媒を流通させることにより、ヒートシンク本体12の設置面(搭載面)18に搭載された所定の冷却対象部材20を冷却するための冷却構造体である。なお、図1は、冷却通路16での液体冷媒の流通方向(図1中の矢印F1、F2参照)に平行する方向で冷却装置10を切断した断面図であり、図2中のI−I線に沿う断面図である。
冷却装置10で冷却する冷却対象部材20としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド型の電気自動車、燃料電池自動車等に搭載されるインバータ(電力変換器)等の電気機器が挙げられる。この種の電気機器は、スイッチング素子、リアクトル、コンデンサ等の各種の電気部品で構成され、駆動時に相当な発熱を伴う発熱体である。
図1、図2A及び図2Bに示すように、冷却装置10は、扁平な箱形状に構成され、内側に冷却通路16を設けたヒートシンク本体(ケース体)12と、ヒートシンク本体(ケース蓋)12の冷却通路16側の面に密着固定されることにより該冷却通路16を画成するヒートシンク蓋14とを備える。ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14とは、冷却通路16の外周部にシール部材19を挟んでボルト21によって締結され、これにより冷却通路16が液密に形成される。
図2A及び図2Bに示すように、ヒートシンク本体12の外周部に沿って配設されるシール部材19は、例えば液体パッキンで構成されるが、これ以外であっても勿論よく、Oリング状のシール部材19a(図4A参照)等でもよい。さらに、図4Bに示すように、ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14との密着面に段差を設け、この段差部分に液体パッキンや薄板状のパッキン等からなるシール部材19bを介装した構成とすることもできる。
ヒートシンク本体12の冷却通路16側と反対側の面(外面)は、冷却対象部材20を搭載するための設置面18を構成しており、ヒートシンク蓋14の冷却通路16側と反対側の面(外面)は、別の冷却対象部材である第2冷却対象部材22を搭載するための第2設置面(第2搭載面)24を構成している。設置面18及び第2設置面24には、冷却対象部材20や第2冷却対象部材22を直接設置してもよいが、銅やアルミニウム等からなる所定の放熱板や、液状の放熱ペースト等を介在させてもよい。
図1に示すように、冷却通路16には、ヒートシンク本体12に設けた流入口26及び排出口28を介して液体冷媒が循環されることで、設置面18及び第2設置面24に搭載された冷却対象部材20及び第2冷却対象部材22を効率的に冷却することができる。なお、流入口26及び排出口28には、例えば、図示しない循環ポンプやラジエータ等が配管接続される。これにより、該循環ポンプの駆動作用下に液体冷媒が循環され、液体冷媒が冷却対象部材20や第2冷却対象部材22から受け取った熱が前記ラジエータによって外部に放熱される。
冷却通路16は、流入口26から導入された水やクーラント等の液体冷媒(例えば、冷却水)が最初に流通する直線状の第1通路(往路)16aと、第1通路16aを通過した液体冷媒の流通方向を反転させる折り返し部16bと、折り返し部16bを通過した液体冷媒が流通する第2通路(復路)16cとを有する。第1通路16aと第2通路16cの間は、壁部30によって仕切られている。第2通路16cを通過した液体冷媒は、排出口28から外部に排出され、例えば、前記ラジエータで放熱された後、再び流入口26へと導入される。
図1から諒解されるように、冷却通路16は、流入口26と排出口28とを直線で結んだ経路より長い経路に構成されており、流入口26と排出口28との間が第1通路16a、折り返し部16b及び第2通路16cによって迂回されると共に、第1通路16aと第2通路16cとを壁部30の壁面で仕切って並列した構成である。この構成により、冷却装置10では、その全体寸法を可及的に小型化しつつ、所望の経路長を確保することが可能となっている。
図1、図2A及び図2Bに示すように、冷却通路16内には、液体冷媒の流通方向に延びた薄板状の冷却フィン32が複数枚設けられている。冷却フィン32は、ヒートシンク本体12の内面である第1面12aから、該第1面12aに対向するヒートシンク蓋14の内面である第2面14a近傍まで突出している(図2A参照)。
冷却フィン32は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い材質により形成された薄板からなり、冷却対象部材20からの熱を高効率に冷却液に伝達可能である。また、ヒートシンク本体12やヒートシンク蓋14についても冷却フィン32と同様な材質で形成してもよい。ヒートシンク本体12と冷却フィン32は、例えば、アルミダイキャスト成型により一体構造とされる。
本実施形態の場合、冷却通路16の直線部分である第1通路16a及び第2通路16cでは、冷却通路16の幅方向(図1に示す平面視で液体冷媒の流通方向に直交する方向)に沿って4枚の直線形状からなる冷却フィン32を並列した組を流通方向に沿って3組配置した構成を例示している。また、冷却通路16の曲線部分である第1通路16aの上流側及び下流側では、それぞれ冷却通路16の幅方向に沿って3枚の湾曲形状からなる冷却フィン32を並列した組を1組配置した構成を例示しており、第2通路16cの上流側及び下流側の曲線部分についても同様な構成である。冷却フィン32の設置数や設置間隔等は、当該冷却装置10の仕様・用途や冷却対象部材20の種類等によって適宜変更可能であることは勿論である。
図3に示すように、第1通路16aと第2通路16cとを仕切る壁部30は、第2面14aから第1面12aに向かって延びた第1壁部34と、第1面12aから第1壁部34の頂部(頂面)34aを越える高さまで第1壁部34に平行して延びた第2壁部36とを有する。壁部30では、第1壁部34の頂部34aから第1面12aまでの距離h1よりも、第1面12aから突出する第2壁部36の高さh2の方が長く設定され(h1<h2)、これにより、第1壁部34と第2壁部36とは互いの頂部同士がすれ違い、互いに重なり合って隣接している。
本実施形態の場合、第2壁部36は、第1壁部34を挟むように一対設置されており、つまり、壁部30は、一対の第2壁部36、36間に形成された凹部36aに第1壁部34が挿入配置されたラビリンス構造となっている。
図1に示すように、壁部30は、流入口26及び排出口28に対応する位置から折り返し部16bの内周面まで、第1通路16a及び第2通路16cの流通方向に平行して延びており、その一面側に第1通路16aを形成し、他面側に第2通路16cを形成している。
次に、以上のように構成される冷却装置10の動作及び作用効果について説明する。
例えば、冷却装置10を電気自動車に搭載されたインバータの冷却に用いる場合には、一方の設置面18には冷却対象部材20として、例えばスイッチング素子を設置し、他方の第2設置面24には第2冷却対象部材22として、例えばリアクトルを設置する。そして、当該電気自動車のECU等の制御部の制御下に、所定の循環ポンプやラジエータを介して、流入口26から排出口28へと液体冷媒が循環される。従って、冷却対象部材20は、冷却通路16を流通する液体冷媒と冷却フィン32及び第1面12aとの間の熱交換によって適宜冷却され、同様に、第2冷却対象部材22は、液体冷媒と第2面14aとの間の熱交換によって適宜冷却される。
この場合、本実施形態に係る冷却装置10では、流入口26と排出口28とを直線で結んだ経路より長い経路で冷却通路16を構成すると共に、ヒートシンク本体12の第1面12aとヒートシンク蓋14の第2面14aとの間に壁部30を設け、当該冷却通路16を第1通路16aと第2通路16cとに区画している。そして、壁部30は、第2面14aから第1面12aに向かって延びた第1壁部34と、第1面12aから第1壁部34の頂部34aを越える高さまで該第1壁部34に平行して延びた第2壁部36とを有して構成される。すなわち、第1壁部34と第2壁部36とはその対面する壁面同士が平行している。なお、第1壁部34と第2壁部36が平行しているとは、両者の壁面同士が完全に平行している場合だけでなく、多少の傾斜を持って略平行している場合も含み、また、両者の壁面同士の間隔が多少隙間を持っている場合や、壁面同士が面接触等によって互いに接触している場合も含み、要は、第1通路16a側から第2通路16c側へと冷媒が該壁部30を容易に乗り越えてしまうことが阻止できる程度に第1壁部34と第2壁部36とが並んでいる構成であればよい。
従って、例えば、流入口26からの液体冷媒の流入圧や、冷却通路16を流通する液体冷媒の液圧等により、第1通路16a側から第2通路16c側に向かって、液体冷媒が流入口26から排出口28へと直接的に向かう方向の流れF3(図1及び図3参照)を生じた場合であっても、第1壁部34と第2壁部36が互いに重なり合って設置されたことによるラビリンス構造により、壁部30での流路抵抗は非常に高く、流れF3が壁部30の各壁面を乗り越えたショートカット流れを生じることを可及的に防止することができる。
すなわち、壁部30では、第2壁部36が第1壁部34の頂部34aを越える高さまで延在していることから、例えば、ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14の組立精度やその加工精度によって壁部30近傍での隙間精度が低い場合や、液体冷媒の液圧によってヒートシンク蓋14が湾曲変形した場合であっても、壁部30での流通阻止機能(冷媒漏れ阻止機能)が確実に維持される。このため、液体冷媒は本来の冷却通路16全体に円滑に流通され、冷却対象部材20や第2冷却対象部材22を適切に冷却することができる。しかも、冷却装置10では、第2壁部36を一対設け、その間の凹部36aに第1壁部34を挿入配置し、より複雑且つ長尺なラビリンス構造としたことにより、前記の流通阻止機能の効果を一層高めることができる。
冷却装置10では、上記のように、冷却通路16に壁部30を設けて液体冷媒が第1通路16aから第2通路16cに直接的に流れることを防止している。このため、ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14との間に介装するシール部材19(19a、19b)は、ヒートシンク本体12(冷却通路16)の外周部に沿う位置(例えば、図1中の2点鎖線Sで示す位置)に設けるだけでよい。換言すれば、第1通路16aと第2通路16cとを仕切る壁部30に対応する位置にシール部材を設置する必要がないため、当該冷却装置10の構造を簡素化でき、製造効率の向上とコスト削減とが可能になる。
なお、上記実施形態では、一方の冷却対象部材20側の設置面18の裏面である第1面12a側にのみ冷却フィン32を設置した構成を例示したが、他方の第2冷却対象部材22側の第2設置面24の裏面である第2面14a側に別の冷却フィンである第2冷却フィン38(図2A及び図2B中の2点鎖線参照)を設けてもよい。第2冷却フィン38は、隣接する冷却フィン32間の隙間に挿入される位置に設置するとよい。
このような第2冷却フィン38を設置することにより、第2冷却対象部材22に対する冷却性能を向上させることができる。さらに、第2冷却フィン38によってヒートシンク蓋14の剛性を高めることができるため、上記した液体冷媒の液圧によるヒートシンク蓋14の湾曲変形を防止して、壁部30での冷媒漏れを一層確実に防止することができる。また、ヒートシンク蓋14を十分な剛性を持って可及的に薄型化することができるため、当該冷却装置10を小型軽量化することができる。冷却フィンは、ヒートシンク蓋14側の第2冷却フィン38のみを設置し、ヒートシンク本体12側の冷却フィン32を省略した構成としてもよいことは勿論である。また、当該冷却装置10で冷却する冷却対象部材は、1又は3つ以上であっても勿論よい。
図5は、図1中のV−V線に沿う断面図であり、ヒートシンク蓋14側の第2冷却フィン38を第2通路16c下流側の曲線部分に設置した構成例での断面図である。ヒートシンク蓋14側の第2冷却フィン38は、図5に示すように、冷却通路16の曲線部分について設置してもよいことは勿論である。冷却通路16の曲線部分、特に、流入口26及び排出口28近傍の曲線部分のヒートシンク蓋14に第2冷却フィン38を設置すると、該第2冷却フィン38が冷却フィン32との間で交互に重なり合うことによる壁面効果により、ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14との接触面に液体冷媒が浸入することを一層抑制することができ、壁部30での前記流通阻止機能を一層高めることができる。
また、上記実施形態では、冷却通路16に設置する壁部として、第1面12aと第2面14aとの間を垂直方向に延びて、冷却フィン32と平行に設置される第1壁部34及び第2壁部36からなる構成の壁部30を例示したが、該壁部は、図3に示す構成以外のものであっても勿論よく、要は、第1通路16a側から第2通路16c側への液体冷媒の直接的な流通(ショートカット流れ)を防止できる構造であればよい。
例えば、図6A及び図6Bに示すように、壁部30に代えて、先細り傾斜形状の第1壁部40と、該第1壁部40と重なり合い壁面同士が平行又は略平行する第2壁部42とを有する壁部44として構成することもできる。壁部44では、一対の第2壁部42間の凹部42aが開口側に向かって拡幅する構成であることから、ヒートシンク本体12とヒートシンク蓋14とを組み付ける際に、凹部42aへと第1壁部40の頂部40aを容易に挿入することができ、高い組立性を得ることができる。
なお、冷却フィン32と平行に設置される第1壁部34及び第2壁部36からなる上記の壁部30の場合には、第1壁部34及び第2壁部36がそれぞれ第2面14a及び第1面12aから垂直方向に起立しているため、液体冷媒の流通にかかる流路抵抗が前記壁部44よりも高く、前記の流通阻止機能がより高いという利点がある。
上記では、折り返し部16bを介して第1通路16a及び第2通路16cが配設されたU字形状の冷却通路16を例示したが、冷却通路の構造は、他の形状であっても勿論よく、例えば、V字形状やS字形状等であってもよい。このようなV字形状やS字形状の冷却通路の場合であっても、上記の壁部30と同様な壁部を設けることにより、流入口から排出口へと液体冷媒が直接的に流通することを防止することができる。
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。