JP2009135477A - 熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冷却水の流路の水密性を良好に得ることができる熱交換器を提供すること。
【解決手段】 アッパーケース4及び、アッパーケース4に立設した放熱フィン3からなるアッパーケース4及び放熱フィン3と、板材状で基端面51から凹んだ流路部52が形成されたロワケース5を、流路外となる放熱フィン3を切除し、残存する放熱フィン3が流路21の内部に配置されるように、アッパーケース4とロワケース5の基端面51が接合された。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に直交流の変換を行うインバーターの冷却に用いられる熱交換器の技術分野に属する。
従来では、平坦な底部を有する鍋型のケーシングの開口をベースプレートで閉塞し、内部にインナーフィンを配置し、閉塞した内部に冷却水を流すことにより、サイリスタや各種電力用コンデンサ等の冷却を行っている。なお、ケーシングとベースプレート、インナーフィンはろう付けで固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、アルミダイキャスト等の鋳造工程により製造したケース体の設置面に溝として設けられた冷却水通路の内壁から突出させて多数のフィンを機械加工で設け、この冷却水通路を部材で閉塞し、冷却水を冷却水通路に流すことにより冷却を行っているものもある(例えば、特許文献2。)。
特開2002−170915号公報(第2−4頁、全図) 特開2007−202309号公報(第2−11頁、全図)
このように、従来にあっては、製造工数がかかることにより製造コストが高いという問題があった。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、製造コストを低くしつつ、熱交換性能と液密性能を充分に確保することができる熱交換器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、基板及び、前記基板に立設した熱交換促進部からなる第1部材と、板材状で基端面から凹んだ流路が形成された第2部材を、前記流路外となる前記熱交換促進部を切除し、残存する前記熱交換促進部が前記流路内に配置されるように、前記第1部材と前記第2部材の基端面が接合される、ことを特徴とする。
よって、本発明にあっては、製造コストを低くしつつ、熱交換性能と液密性能を充分に確保することができる。
以下、本発明の熱交換器を実現する実施の形態を、請求項1,2,4,5,6,10に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,3に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,7に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,4,5,6,8,9に係る発明に対応する実施例4に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の熱交換器の平面図である。図2は実施例1の熱交換器の正面図である。図3は図1のA−A断面図である。
実施例1では、車両の駆動に用いるインバーターにおいて、電源供給を行うパワーモジュール1を熱交換器2により冷却する。パワーモジュール1と熱交換器2との組付け構造については後述する。
熱交換器2は、放熱フィン3、アッパーケース4、ロワケース5を主要な構成とし、図1〜図3に示す流路21に冷却水を流すことにより冷却を行うものである。
図4は実施例1の放熱フィンが設けられたアッパーケースの平面図である。図5は実施例1の放熱フィンが設けられたアッパーケースの正面図である。
放熱フィン3は、アッパーケース4の下面から下方に突出した矩形の舌片である。図1、図2に示すように同じ方向を長手方向として、所定の間隔で複数配置されたものである。実施例1ではアッパーケース4から押し出し工法により形成されたものとする。
実施例1において、放熱フィン3、アッパーケース4はアルミを材質とするものとする。放熱フィン3は、アッパーケース4と一体にアルミで形成されるため高い伝熱性を有し、熱交換する表面積を広くすることにより熱交換を促進する。
アッパーケース4は、矩形板状のアルミ部材であり、下面には放熱フィン3が複数配列して設けられる。そして、放熱フィン3が設けられている範囲が、冷却水の流路21の上壁となる。
放熱フィン3、アッパーケース4についてさらに説明する。
図6は実施例1の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明平面図である。図7は実施例1の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明正面図である。
アッパーケース4に放熱フィン3を設ける場合には、図6、図7に示すように、アッパーケース4の下面全体に放熱フィン3が同じ長手方向で所定の間隔となるように設ける。このように均一に放熱フィン3を設けることにより、偏って押し出し形状を複雑にすることなく、流路21の変更機種への対応高く、放熱フィン3が設けられる。
そして、図6、図7に示す1面に設けた放熱フィン3の不要部分を切除することにより、つまり流路21の部分以外を切除することにより図4、図5に示す放熱フィン3が形成される。
図8は実施例1の熱交換器のロワケースの平面図である。図9は実施例1の熱交換器のロワケースの正面図である。
ロワケース5は、矩形板状の上面を基端面51とし、基端面51から凹むようにして流路部52が形成されている。流路部52は、長手方向に伸びる直進部521と、曲がり部522からなり、蛇行する流れとなる形状である。
ここで、実施例1の放熱フィン3は、流路部52の直進部521に収容される部分のみに設けるものとし、曲がり部522に収容される部分は切除される。
さらにロワケース5には、図8において正面側となる側面から内部の流路部52の始端部及び終端部と連通する連通路53,54を設けるようにし、冷却水の取り入れ口、排出口とする。
また、流路部52を蛇行させるよう流路を仕切るロワケース5の部分は、図8に示すように、直線状に設けるのみでなく、直線を途中で斜めにし、次の直線に移る言わばオフセットするように設けて、冷却水の流量や流速を変更する部分を設けるようにすればよい。
次に、アッパーケース4とロワケースの組付構造、及びパワーモジュールの取付構造について説明する。
図10は実施例1の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態を示す説明断面図である。図11は実施例1の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態の説明分解図である。なお、パワーモジュール1については、内部構造を省略した断面形状で図に示す。
実施例1では、図1〜図3、図10、図11に示すようにアッパーケース4の下面に突出するように設けられている放熱フィン3が、ロワケース5の流路部52内に収容されるようにして、アッパーケース4の下面とロワケース5の上面である基端面51を当接させる。
そして、摩擦攪拌接合工法により、水密性のある流路21を形成するように、アッパーケース4とロワケース5を接合する。
摩擦攪拌接合は、例えば特開2002−210570公報に示すように、2つの被接合部材の合わせ部分にピンを回転させながら移動することにより、摩擦熱により母材を攪拌させる接合方法である。これにより溶かし込み材や余肉を有することなく接合を行える。
実施例1では、ロワケース5の流路部52の開口端となる上端部に、基端面51から矩形に凹んだ部分を設け、そこにアッパーケース4の矩形板状部分を嵌合させるようにし、流路21を形成しない重なり部分で摩擦攪拌接合を行うように、摩擦攪拌接合部22を設けるようにする。つまり熱交換器2は、図2に示すようにロワケース5の基端面51にアッパーケース4の下面を合わせる構造でも、このように、ロワケース5に設けた凹んだ部分にアッパーケース4を嵌合させるものであってもよい。
このようにして、内部に放熱フィン3を備えた流路21を形成した熱交換器2のアッパーケース4の上面に、パワーモジュール1を載せるように配置する。
パワーモジュール1には締結用孔11を設けておくようにし、アッパーケース4の締結用孔11と重なる位置には貫通孔41を設けておくようにし、ロワケース5の締結用孔11と重なる位置にはねじ孔55を設けておくようにする。
そして、ボルト6を締結用孔11と貫通孔41に貫通させ、ねじ孔55に締結するようにして、パワーモジュール1を熱交換器2に取り付ける。すると、パワーモジュール1の底面がアッパーケース4の上面に面接した状態となる。
作用を説明する。
[パワーモジュールの冷却作用]
実施例1の熱交換器2では、連通路53に冷却水を注入し,連通路54から冷却水を排水させる。この冷却水は、例えばインバーターが車両の駆動に用いられるものとすれば、空調システム、あるいは別個に設けられる冷却システムから冷却水を得るようにし、供給される冷却水が冷却に有効な状態になるよう循環されるものとする。実施例1では冷却水として説明するが、冷媒であればよい。
冷却水は連通路53から流路21のロワケース5の直進部521の部分を直進する。この直進部521の部分では、放熱フィン3により表面積広く熱交換が行われ、熱交換が促進される。また、この直進部521の部分では、放熱フィン3により複数の小流路が並列し、互いの小流路同士はあまり流通しない状態となる。
そして、流路21のロワケース5の曲がり部522の部分では、放熱フィン3が設けられていない部分であるので、曲がり部522の形状によりほぼ180°、流れの向きが変わる。そして、次の直進部521の部分へと流れる。このようにして、冷却水は蛇行して流れ、多くの水量が流れつつ流路21内にあることにより、そして放熱フィン3により広い面積と接触することにより効率よく冷却が行われる。
また、冷却の際には、アッパーケース4の上面に冷却対象物であるパワーモジュール1が面接していることになる。そのため、放熱フィン3の冷却は同じ部材の熱伝達によりアッパーケース4の上面で行われることになり、非常に効率がよい。
また、放熱フィン3をアッパーケース4からの押し出し成形とすることより、アッパーケース4はアルミ鋳物品より材質特性上、熱伝導率が向上し、放熱フィン3の形状を単純化しても放熱性能を維持でき、通水抵抗の低減を図る放熱フィン3の形状にすることができる。
さらに、放熱フィン3をアッパーケース4からの押し出し成形とすることより、アルミ鋳物品とするよりもファイン形状化、つまり、薄肉、低ピッチにすることが可能になる。そのため、フィン形状を単純化しても放熱性能を維持することができ、通水抵抗も低減される。
[不具合なく水密性の良好な接合を得る作用]
実施例1の熱交換器では、アッパーケース4とロワケース5の接合を、摩擦攪拌接合により行う。そのため、アッパーケース4とロワケース5の一方、または両方をアルミダイキャスト製としても、溶接時の高温割れや、ブローホールの溶接時の膨れ(膨張・破裂)等を生じることがなく、良好な水密性を得ることができる。
摩擦攪拌接合は、接合とともにシールも可能であることから、パッキン、Oリング、液状ガスケット等のシール材や取り付け用ネジ等を省くことが可能となり、部品点数削減と組み付け加工工数低減を得ることになる。
また、摩擦攪拌接合は、接合時の発生温度を低く抑えることができ、且つ加工温度に曝される部位を少なくすることができるために熱歪みが少なく、アッパーケース4及びロワケース5の歪みを無視できるレベルにする。
次に、効果を説明する。
実施例1の熱交換器にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)アッパーケース4及び、アッパーケース4に立設した放熱フィン3からなるアッパーケース4及び放熱フィン3と、板材状で基端面51から凹んだ流路部52が形成されたロワケース5を、流路外となる放熱フィン3を切除し、残存する放熱フィン3が流路21の内部に配置されるように、アッパーケース4とロワケース5の基端面51が接合されるため、製造コストを低くしつつ、熱交換性能と水密性能を充分に確保することができる。
(2)流路21は、直進部521と曲がり部522で蛇行するよう形成され、曲がり部522に配置される放熱フィン3を切除したため、放熱フィン3が存在しない曲がり部522で良好に流れの方向をターンさせ、冷却効率を充分にする蛇行した流路21の流れを実現することができる。
(4)アッパーケース4とロワケース5は、摩擦攪拌接合により接合したため、高温割れやブローホールの溶接時の膨れ等を生じることなく、水密性の良好な接合を行うことができる。
(5)ロワケース5、又はアッパーケース4とロワケース5は、アルミダイキャストにより形成されたものであるため、コストを低く抑え、高い生産性で熱交換器2を製造することができる。
(6)アッパーケース4の外周面を冷却面にしたため、放熱フィン3を設けた部材を冷却面とし、効率よく冷却を行うことができる。
(10)アッパーケース4とロワケース5に分割し、アッパーケース4を、板状部分と、板状部分から放熱フィン3を立設させて一体に形成し、ロワケース5を、基端面51から凹んだ形状の流路部52を形成させた板状材で形成し、アッパーケース4とロワケース5を接合した際に、流路外となるアッパーケース4の放熱フィン3を切除し、残存する放熱フィン3が流路内に配置されるように、アッパーケース4とロワケース5の基端面を接合するため、製造コストを低くしつつ、熱交換性能と水密性能を充分に確保することができる。
実施例2の熱交換器は、冷却水の流路の曲がり部においても放熱フィンがあるようにし、その下方の深い部分で流れをターンさせるようにした例である。
構造を説明する。
図12は実施例2の熱交換器の平面図である。図13は実施例2の熱交換器の正面図である。図14は図12のB−B断面図である。図15は図12のC−C断面図である。
実施例2では、図12、図14に示すように、放熱フィン3は、曲がり部522においても存在するよう長手方向を長くする。なお、放熱フィン3の高さは同じとし、長手方向に延長したものにする。
まず、放熱フィン3のアッパーケース4の流路側面からの先端まで、言い換えると、放熱フィン3の基端から先端までの距離をhとする。さらに、ロワケース5の流路部52の曲がり部522において、基端面51から曲がり部522の底となる壁面までの距離、言い換えると曲がり部522の深さ距離をHとする。
そして、この距離Hが距離hより大きくなるように曲がり部522の深さを深くするロワケース5の形状にする(図15参照)。
作用を説明する。
[放熱効率を向上させる作用]
実施例2の熱交換器では、ロワケース5の曲がり部522の部分の流路21において、放熱フィン3を設けるようにする。これにより、放熱フィン3の熱交換面積が大きくなるため、冷却効率が向上する。
そして、放熱フィン3の深さ方向の距離hより、基端面51から流路部52の底までの深さ方向の距離Hが大きくなるようにする。
冷却水は、この放熱フィン3より深く、放熱フィン3に仕切られることがない下方位置で、流れ方向をターンし、徐々に深さが浅くなるようにして、放熱フィン3で複数に仕切られた次の直進部521へ流れていくようになる。
また、図12、図14に示すように、放熱フィン3の長手方向の端部と、曲がり部522の長手方向の壁面との間には、わずかに間隙を設けているので、ここでは、冷却水が下方に向かうようにして、下方で、流れ方向をターンさせる。
このように、実施例2では、放熱フィン3の熱交換面積を増やすことができ、また、深さ方向でターンすることにより、熱交換器2内に位置する冷却水の量を増やすことができ、冷却水の冷却容量を増加させることができる。これにより実施例2の熱交換器2では、冷却効率が向上する。
効果を説明する。
実施例2の熱交換器では、上記(1)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(3)流路21は、直進部521と曲がり部522で蛇行するよう形成され、曲がり部522では、基端面51からの流路深さ距離Hが、放熱フィン3のアッパーケース4から先端までの距離hより大きいため、放熱フィン3の熱交換面積を大きくして冷却効率を向上でき、距離Hと距離hの差の部分により冷却水の流れ方向を変更させ、蛇行させて、蛇行により、より熱交換面積を大きくして充分な冷却を得るようにできる。
実施例3は、曲がり部に、冷却水の流れが方向を変更しつつ流れることができる熱交換促進部を設けた例である。
構造を説明する。
図16は実施例3の熱交換器における曲がり部の熱交換促進部の例の説明図である。図17は実施例3の熱交換器における曲がり部の熱交換促進部の別の例の説明図である。
実施例3では、図16に示すように、曲がり部522の部分で、アッパーケース4から放熱部31(熱交換促進部)を立設する。
放熱部31は、蛇行の直進部521の流れ方向に対して、斜めとなる矩形舌片状の小放熱部311を直進方向に複数配置し、これとハの字を形成するように、この斜め角度が逆となる矩形舌片状の小放熱部312を直進方向位置をずらして配置し、且つ個々が間隙を有するように設ける。そして、小放熱部311と小放熱部312で構成した列313を隣の列313を間隔を空けて並列させる配置にする。
また、放熱部32として、図17に示すものを設けてもよい。図17に示す放熱部32では、円柱状のピン321を、蛇行の直進部521の流れ方向に複数配置し、その隣りに、直進部521の流れ方向の位置をずらして、円柱状のピン322を、蛇行の直進部521の流れ方向に複数配置する。これを列323とし、同様に構成した列324を間隔を空けて並列させる配置にする。
作用を説明する。
[流れ方向の変更を許容しつつ熱交換を促進する作用]
実施例3の図16の構成のものは、列313と列314の間を通るように直進方向の流れを許容する。そして、それぞれの列においては、小放熱部311と小放熱部312の間を通るようにすると、直進方向の流れと異なる方向へ流れることが可能となる。これにより、直進もターンも可能にしつつ、曲がり部522においても熱交換が促進するようにする。
また、図17の構成のものは、列323と列324の間を通るように直進方向の流れを許容する。そして、それぞれの列においても、ピン321とピン322の間を通るようにすれば、直進方向に流れることができ、また、直進方向の流れと異なる方向へ流れることも可能となる。これにより、直進もターンも可能にしつつ、曲がり部522においても熱交換が促進するようにする。
効果を説明する。
実施例3の熱交換器にあっては、上記(1)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(7)流路21は、ロワケース5の直進部521と曲がり部522で蛇行するよう形成され、曲がり部522の放熱部32は、アッパーケース4に小放熱部311と小放熱部312又は、ピン321とピン322を複数立設する構成であり、且つ流れの直進と曲がりを許容するようそれぞれ間隙を有する配置にしたため、曲がり部522において、流れをターンさせて蛇行させるようにして充分な冷却を行うようにし、さらに、曲がり部522においても熱交換を促進させることができる。
実施例4の熱交換器は、流路21の流れのターンを1回とし、アッパーケース4へ設ける放熱フィン3の組を2条にした例である。
まず構成を説明する。
図18は実施例4の熱交換器の平面図である。図19は実施例4の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態を示す説明断面図である。図20は実施例4の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態の説明分解図である。
実施例4では、図18に示すように、流路21の直線に流す部分を左右に設け、ターンを1回とし、左右1対となったパワーモジュール1を、流路21の左右の直線部分に上下に対応させる配置にしている。
実施例4のアッパーケース4の構造を説明する。
図21は実施例1の熱交換器の放熱フィンが設けられたアッパーケースの底面図である。図22は実施例1の熱交換器の放熱フィンが設けられたアッパーケースの正面図である。図23は実施例1の熱交換器の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明底面図である。
実施例4のアッパーケース4は、放熱フィン3の複数からなる組を左右にそれぞれに設けるようにする。その1組は放熱フィン3を複数並列に配置したものである。そして、図23に示すように、押し出し工法で、押し出しが可能なように一様な形状にしつつ、図23の範囲A1,A2,A3は、押し出し形状によって、放熱フィン3のない部分を形成する。そして、その後に図21の範囲B1〜B4の部分、つまり押し出し方向の両端部分を加工で削除して、図21、図22に示すアッパーケース4を形成する。
次に実施例4のロワケース5について説明する。
図24は実施例4の熱交換器のロワケースの平面図である。図25は実施例4の熱交換器のロワケースの底面図である。図26は実施例4の熱交換器のロワケースの正面図である。図27は図24のD−D断面図である。図28は図24のE−E断面図である。
実施例4のロワケース5では、まず、摩擦攪拌接合部22を内側に含む部分をその周囲より一段高くした形状にする。一段高くした内側部分を第1上面部511、その周囲を第2上面部512として図24〜図28に示す。
そして、この第1上面部511からアッパーケース4を嵌合させる凹部56を設け、この凹部56からさらに下方に凹ませるようにして、流路部52を設ける。
流路部52は、実施例1と同様に直進部521と曲がり部522からなるが、実施例1と異なり蛇行する流路ではなく、Uターンするように、往路と復路で構成される。そのため、ロワケース5の一方の側面に開口させて連通路53、連通路54を設け、それぞれ左右の直進部521に接続する。
曲がり部522は、直進部521より深さを深くして、この部分に突出した放熱フィン3の下方に流路部分を存在させる。
直進部521の連通路53、54と接続する端部では、図27に示すように、深さを深くした部分521aを設け、この部分521aに連通路53、54を接続する。
実施例4における連通路53、54は口径を大きくして冷却水を多く入水し、排水する。
そして、左右の直進部521は曲がり部522でターンする流路部分を形成するように接続される。この曲がり部522では、深さを直進部521より深くする。なお、ロワケース5のねじ孔については後述する。
また、図25、図26に示すように、ロワケース5の側面及び下面には、凹んだ形状となった部分を設けるようにする。これを支持部57とする。支持部57において、凹ませる部分は、ロワケース5の上面を凹ませることなく、側面及び下面を凹ませるようにする。支持部57はロワケース5のダイキャストの容量を少なくさせる省略部分であり、且つ摩擦攪拌接合の際にロワケース5を固定する部分となる。
次に実施例4におけるアッパーケース4とロワケース5の組付構造について説明する。
図29は実施例4の熱交換器における摩擦攪拌接合部の説明図である。なお、図29内の()内は経路例を示すための順序を示すための数字である。
実施例4では、左右の直進部521の間を所定の間隔にする。そして、左右の組で2条となるように設けた複数の放熱フィン3が、ロワケース5の流路部52内に収容されるようにして、アッパーケース4をロワケース5の凹部56に嵌合させる。
そして、摩擦攪拌接合工法により、水密性のある流路21を形成する。
摩擦攪拌接合では、アッパーケース4とロワケース5の合わせ部分を下方に突出した突起部と突起部の基端部となるショルダを回転させながら押し当て、アッパーケース4とロワケース5の合わせ部分に沿って移動させることにより摩擦攪拌接合を行う。実施例4では、図29に符号100で示すように、摩擦攪拌接合を行う加工具を押し当てた後の移動経路が、1経路となるようにする。これにより、左右の直進部521の間の中央は、左右に摩擦攪拌接合部22が位置する。
そして、実施例4では、摩擦攪拌接合後にパワーモジュール1を取り付けるためのネジ孔23を設ける。その際には、摩擦攪拌接合部22の一部を加工するように設ける。なお、このネジ孔23は、接合されたアッパーケース4の厚みを超えてロワケース5に至る深さで設ける。その次に、アッパーケース4の上面とロワケース5の第1上面部511、第2上面部512が同じ高さの1面となるように加工を行なう。第1上面部511と第2上面部512を設けることにより、第2上面部512の加工代を非常に小さくする。
そして、熱交換器2の上面にパワーモジュール1を載置し、パワーモジュール1に設けられた締結用孔11にボルト6を貫通させてネジ孔23に締結し、パワーモジュール1を熱交換器2に取り付ける。すると、パワーモジュール1の底面がアッパーケース4の上面に、非常に密着して、面接した状態となる。
次に作用を説明する。
[アッパーケースの切除加工量を抑制する作用]
実施例4の熱交換器2では、図21の範囲A1〜A3の範囲が、図23に示すように予め押し出し加工の際に省略された形状で、一様な断面形状に製造される。そのため、図23の押し出し方向に一様な断面形状の状態から、図21の形状にするためには、図21に範囲B1〜B4で示す部分のみを切除すればよく、加工工数、材料コスト等が非常に節約される。
[良好な水密性の確保と生産性の両立について]
実施例4では、熱交換器2へ冷却水を送る側の性能、パワーモジュール1の冷却要求から、流路21として比較的、流量を多く流し、左右の直進部521がそれぞれ、左右一対のパワーモジュール1の左右それぞれを冷却する構成にしている。さらに、パワーモジュール1との接触面を、加工量を抑制しつつ削除する加工をして密着性を高め、冷却効率を高めている。
また、摩擦攪拌接合はその加工経路が図29に示すように1経路となるようにして、加工工数が抑制されている。また、摩擦攪拌接合時は支持部57でロワケース5を支持するとともに、凹形状を用いて強く位置を維持する。この支持部57は、ロワケース5を軽量化、省材料化する省略部分を兼ねる。
そして、左右の直進部521の間の中央の両側を摩擦攪拌接合部22とし、摩擦攪拌接合部22と一部重なるようにネジ孔23を設けることにより、良好な水密性が確保されつつ、締結により密着させることが可能となる。また、中央以外の部分を含め、ネジ孔23は摩擦攪拌接合部22と一部重なるように設けるため、熱交換器2及びパワーモジュール1の密着による冷却効率を高めつつ、熱交換器2及びパワーモジュール1の小型化に寄与する。
また、ネジ孔23は、ロワケース5に達する深さで設け、パワーモジュール1の固定強度を強くする。なお、摩擦攪拌接合部22は加工具の突起部分が最も接合部深さの深い部分となる。接合強度や水密性を含む接合性能への配慮としてネジ孔23の重なる部分は、この部分とは重ならないようにしている。
このように、実施例4の熱交換器では、要求された冷却性能、水密性を充分に満たしつつ、製造コストを非常に抑制している。
効果を説明する。実施例4の熱交換器にあっては、上記(1),(4),(5),(6)に加えて以下の効果を有する。
(8)アッパーケース4は、板形状部分と放熱フィン3が押し出し加工又は引き抜き加工により一体に形成され、押し出し又は引き抜き方向の両端部分で且つ流路外となる放熱フィン3の範囲B1〜B4を切除された放熱フィン3の残存部を備え、アッパーケース4とロワケース5の接合される基端面は、摩擦攪拌接合されるため、放熱フィン3の切除箇所をさらに減らし、製造コストをさらに低くしつつ、熱交換性能と水密性能を充分に確保することができる。
(9)摩擦攪拌接合部22と少なくとも一部が重なる位置で且つロワケース5に達する孔深さで設けられ、パワーモジュール1を少なくともアッパーケース4の外周面に面接させて締結するネジ孔23を備えたため、パワーモジュール1、熱交換器2を小型にしつつ、パワーモジュール1を強度高く固定することができ、密着性をよくして冷却性を向上させることができる。
以上、本発明の熱交換器を実施例1〜実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
(他の実施例)
図30〜図32は、熱交換促進部の他の例を示す説明断面図である。
放熱フィン3(熱交換促進部)は、アッパーケース4から、図30に示すように切り起して切り起しフィン33としても、また、コルゲートフィン34としてもよい。
また、放熱フィン3は、図31に示すようにクリンプ工法によりクリンプフィン35としてもよい。
また、放熱フィン3は、図32に示すように別部材をロー付けで取り付けてロー付けフィン36としても、半田付けにより半田付けフィン37としてもよい。
さらに、放熱フィン3には、図33に示す波型や図34に示す角R形状の部分を設けるようにしてもよい。
また、実施例では、放熱フィン3を押し出し工法で設けたが、引き抜き工法であってもよい。
実施例1の熱交換器の平面図である。 実施例1の熱交換器の正面図である。 図1のA−A断面図である。 実施例1の放熱フィンが設けられたアッパーケースの平面図である。 実施例1の放熱フィンが設けられたアッパーケースの正面図である。 実施例1の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明平面図である。 実施例1の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明正面図である。 実施例1の熱交換器のロワケースの平面図である。 実施例1の熱交換器のロワケースの正面図である。 実施例1の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態を示す説明断面図である。 実施例1の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態の説明分解図である。 実施例2の熱交換器の平面図である。 実施例2の熱交換器の正面図である。 図12のB−B断面図である。 図12のC−C断面図である。 実施例3の熱交換器における曲がり部の熱交換促進部の例の説明図である。 実施例3の熱交換器における曲がり部の熱交換促進部の別の例の説明図である。 実施例4の熱交換器の平面図である。 実施例4の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態を示す説明断面図である。 実施例4の熱交換器にパワーモジュールを取り付けてインバーターで用いる状態の説明分解図である。 実施例1の熱交換器の放熱フィンが設けられたアッパーケースの底面図である。 実施例1の熱交換器の放熱フィンが設けられたアッパーケースの正面図である。 実施例1の熱交換器の放熱フィンがアッパーケースに押し出し工法で設けられた状態を示す説明底面図である。 実施例4の熱交換器のロワケースの平面図である。 実施例4の熱交換器のロワケースの底面図である。 実施例4の熱交換器のロワケースの正面図である。 図24のD−D断面図である。 図24のE−E断面図である。 実施例4の熱交換器における摩擦攪拌接合部の説明図である。 熱交換促進部の他の例を示す説明断面図である。 熱交換促進部の他の例を示す説明断面図である。 熱交換促進部の他の例を示す説明断面図である。 熱交換促進部の他の例を示す説明図である。 熱交換促進部の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1 パワーモジュール
11 締結用孔
2 熱交換器
21 流路
22 摩擦攪拌接合部
23 ネジ孔
3 放熱フィン
4 アッパーケース
41 貫通孔
5 ロワケース
51 基端面
511 第1上面部
512 第2上面部
52 流路部
521 直進部
521a 深さを深くした部分
522 曲がり部
53 連通路
54 連通路
55 ねじ孔
56 凹部
57 支持部
6 ボルト
31 放熱部
311 小放熱部
312 小放熱部
313 列
314 列
32 放熱部
321 ピン
322 ピン
323 列
324 列
33 切り起しフィン
34 コルゲートフィン
35 クリンプフィン
36 ロー付けフィン
37 半田付けフィン
100 (摩擦攪拌接合を行う加工具を押し当てた後の移動経路を示す)符号
A1〜A3 (フィン形状を押し出しで設けない)範囲
B1〜B4 (フィン形状を切除する)範囲

Claims (10)

  1. 基板及び、前記基板に立設した熱交換促進部からなる第1部材と、
    板材状で基端面から凹んだ流路が形成された第2部材を、
    前記流路外となる前記熱交換促進部を切除し、残存する前記熱交換促進部が前記流路内に配置されるように、前記第1部材と前記第2部材の基端面が接合される、
    ことを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1に記載の熱交換器において、
    前記流路は、直進部と曲がり部で蛇行するよう形成され、
    前記曲がり部に配置される前記熱交換促進部を切除した、
    ことを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項1記載の熱交換器において、
    前記流路は、直進部と曲がり部で蛇行するよう形成され、
    前記曲がり部では、前記基端面からの流路深さ距離Hが、前記熱交換促進部の前記基板から先端までの距離hより大きい、
    ことを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱交換器において、
    前記第1部材と前記第2部材は、摩擦攪拌接合により接合した、
    ことを特徴とする熱交換器。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱交換器において、
    前記第2部材、又は前記第1部材及び前記第2部材は、アルミダイキャストにより形成されたものである、
    ことを特徴とする熱交換器。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱交換器において、
    前記第1部材の外周面を冷却面にした、
    ことを特徴とする熱交換器。
  7. 請求項1記載の熱交換器において、
    前記流路は、直進部と曲がり部で蛇行するよう形成され、
    前記曲がり部の前記熱交換促進部は、前記基板に小片を複数立設する構成であり、且つ前記小片が流れの直進と曲がりを許容するようそれぞれ間隙を有する配置にした、
    ことを特徴とする熱交換器。
  8. 請求項1に記載の熱交換器において、
    前記第1部材は、
    前記基板と前記熱交換促進部が押し出し加工又は引き抜き加工により一体に形成され、押し出し又は引き抜き方向の両端部分で且つ前記流路外となる前記熱交換促進部を切除された残存部を備え、
    前記第1部材と前記第2部材の接合される基端面は、摩擦攪拌接合される、
    ことを特徴とする熱交換器。
  9. 請求項8に記載の熱交換器において、
    前記摩擦攪拌接合部と少なくとも一部が重なる位置で且つ前記第2部材に達する孔深さで設けられ、被熱交換物を少なくとも前記第1部材の外周面に面接させて締結するネジ孔を備えた、
    ことを特徴とする熱交換器。
  10. 第1部材と第2部材に分割し、
    第1部材を、基板と、基板から熱交換促進部を立設させて一体に形成し、
    第2部材を、基端面から凹んだ形状の流路を形成させた板状材で形成し、
    第1部材と第2部材を接合した際に、前記流路外となる前記第1部材の前記熱交換促進部を切除し、
    残存する前記熱交換促進部が前記流路内に配置されるように、前記第1部材と前記第2部材の基端面を接合する、
    ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
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