JP5235271B2 - 再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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SO4 2-イオン濃度を100μg/g以下とした乳化剤、及びレドックス系重合開始剤を用いて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー混合物を、一括重合法により行われるエマルション重合に付すことにより得られるアクリルエマルション系重合体を主成分とし、ヒドラジン架橋剤を前記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して0.3〜3重量部含む粘着剤組成物であって、
上記モノマー混合物が、カルボニル基含有モノマーを全モノマー100重量部に対して0.7〜4重量部含み、
アクリルエマルション系重合体のガラス転移温度が−70〜−30℃であり、
該組成物を層状に成形して粘着剤層を作製した際の該粘着剤層の引張試験における初期弾性率が0.20〜1.50MPa、最大強度が1.0〜8.0MPa、破断伸びが180〜900%、ゲル分率が95%以上である、半導体ウエハ加工用粘着シートに用いる水分散型アクリル系粘着剤組成物を提供する。
なお、本明細書では、上記発明のほか、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー混合物をエマルション重合して得られるアクリルエマルション系重合体を主成分とし、ヒドラジン架橋剤を含む粘着剤組成物であって、上記モノマー混合物が、カルボニル基含有モノマーを全モノマー100重量部に対して0.5〜10重量部含み、アクリルエマルション系重合体のガラス転移温度が−80〜−20℃である水分散型アクリル系粘着剤組成物、についても説明する。
実施例比較例で得た粘着シートについて、以下の試験を行った。結果を表3に示す。
(ガラス転移温度)
レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置[商品名『ARES』]を用いて、サンプル厚さ約1.5mmで、φ7.9mmパラレルプレートの治具を用い、周波数1Hz、昇温速度5℃/分にて測定し、得られた損失弾性率のピーク点の温度をガラス転移温度とした。
断面積0.75mm、長さ30mmの円柱状の粘着剤を作成し、23℃×50%RH雰囲気下、引張試験機により、チャック間距離10mm、引張速度50mm/minにて引張試験を行う。初期弾性率は、伸び−応力曲線の初期接線を引き、その接線と試験片が100%すなわち20mmまで伸びた所の交点(伸び=20mmの直線との交点)の応力を求め、単位初期断面積当たりのその応力値として表される。最大強度は、単位初期断面積当たりの伸び−応力曲線における最大応力値を表す。破断伸びは、引張試験で、試験片が破断したときの伸びを表し、「破断伸び」%=(「破断時の試験片の長さ」−「初期長さ(10mm)」)÷「初期長さ(10mm)」×100で計算される。
粘着剤のゲル分率は、試料0.1gをサンプリングして精秤し、これを約50mlの酢酸エチル中に室温で一週間浸漬したのち、溶剤不溶分を取り出し、130℃で約1時間乾燥して、秤量することにより、「上記ゲル分率(重量%)」=[(浸漬・乾燥後の重量)÷試料の重量]×100として算出される。
(対ウエハ有機物汚染)
粘着シート片をアルミ蒸着ウエハ(12〜13atomic%)に、テープ貼り合わせ機[商品名『DR8500−II』(日東精機(株)製)]にて貼り付け(貼り付け圧力:0.25MPa、貼り付け速度2.4m/min)、40℃中に1日放置後、シート片をテープ剥離機[商品名『HR8500−II』(日東精機(株)製)]にて剥離し(剥離速度8m/min、剥離角度180度)、ウエハ上に転写した有機物をESCA[商品名『mode15400』(アルバックファイ社製)]を用いて測定した。全く粘着シートを貼り付けていないウエハも同様に分析し、検出された炭素原子のatomic%の増加量により有機物の転写量を評価した。対ウエハ有機物汚染増加量は10atomic%以下が望ましい。
PIウエハ上に、厚み20μm、幅2mmのテープを貼り付け、高さ20μmの段差を作る。段差と垂直方向に、幅20mmの粘着シート片を2kgの圧着荷重で貼り付ける。そのサンプルを60℃で1日保存後、23℃雰囲気下で2時間保存し冷却をする。その後粘着シート片を剥離角度180度、引張速度300mm/minにて剥離する。剥離後、PIウエハ表面の状態を、光学顕微鏡を用いて観察し、糊残りが見られたものを『×』、見られなかったものを『○』とし評価を行った。
クリーンルーム内でセパレーターを剥離してその粘着剤層を介して粘着シート片を4インチミラーウエハーに接着して23℃で1時間放置した後、粘着シート片を剥離速度12m/min、剥離角度180度で剥離し、ミラーウエハ面における0.28μm以上のパーティクル数をレーザー表面検査装置[商品名『LS−5000』(日立電子エンジニアリング(株)製)]にて評価した。パーティクル数は100個/4インチウエハ以下であることが望ましい。
高さ7μm、エッジリンス幅3.5mmにポリイミドでコーティングされた8インチウエハを、幅90μm、高さ7μmのストリートを10mm間隔でXY方向に作成し、碁盤目上にストリートラインがあるサンプルウエハを作製した。このウエハをJEOL社製:商品名「JEH−01TS」により下表1の条件にて酸素プラズマ処理を行い、エッジリンス上のPI残渣を除去した。このウエハに、テープ貼り合わせ機[商品名『DR8500−II』(日東精機(株)製)]にて粘着シート片を貼り付け(貼り付け圧力:0.25MPa、貼り付け速度2.4m/min)、23℃中に1時間放置後、ウエハ裏面研削機[商品名『8460』(DISCO社製)]にてウエハ裏面を表2記載の条件で、厚み730μmから250μmまで研削後、粘着シート片をテープ剥離機[商品名『HR8500−II』(日東精機 (株)製)]にて剥離する(剥離速度8m/min、剥離角度180度)。ウエハストリートおよびその周辺に水浸入した跡を光学顕微鏡で観察し、水浸入した面積比率を出す。水浸入が見られたものを『×』、見られなかったものを『○』とし評価を行った。
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた反応容器に、水180重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル55重量部、メタクリル酸n−ブチル40重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2重量部、アクリル酸2重量部、ダイアセトンアクリルアミド1重量部及びエーテルサルフェート型の反応性ノニオンアニオン系界面活性剤(旭電化工業(株)製:商品名「アデカソープSE−10N」)をアルコール沈殿ろ過により精製し、不純物SO4 2-イオン濃度を560μg/gから70μg/g以下とした乳化剤2重量部部を乳化機で乳化して得られたエマルジョン溶液を仕込み、撹拌下1時間窒素置換した。以後、重合中の内浴温度は25℃に制御した。ここに過酸化水素水(30重量%)0.1重量部を加えた後、アスコルビン酸0.05重量部及び水10重量部からなるアスコルビン酸水溶液1ml添加し重合を開始させた。重合開始から5時間後から残りのアスコルビン酸水溶液を2時間かけて滴下し、さらに2時間反応を熟成し完了した。その後、10重量%のアンモニア水で中和してアクリルエマルション系重合体Aを作製した。
アクリルエマルション系重合体A100重量部にヒドラジン架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジドを粘着剤組成物の全固形分100重量部に対して0.5重量部添加してアクリル系粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を厚さ60μmのポリオレフィンフィルムの片面に塗工し、100℃で3分間乾燥して、厚さ15μmの粘着剤層を形成し、該粘着剤層の粘着面にコロナ放電式で表面酸化処理をしたエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(厚さ135μm)を貼り合わせ、粘着剤層を転写し粘着シートを得た。
粘着剤層のガラス転移温度は−40℃、初期弾性率は0.34MPa、最大強度は1.2MPa、破断伸びは290%、ゲル分率は98%であった。
モノマーをアクリル酸n−ブチル78重量部、メタクリル酸n−ブチル17重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2重量部、アクリル酸2重量部、ダイアセトンアクリルアミド1重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行いアクリルエマルション系重合体Bを作製した。
続いて、アクリルエマルション系重合体Aのかわりにアクリルエマルション系重合体Bを使用した以外は実施例1と同様の操作により粘着シートを作製した。
粘着剤層のガラス転移温度は−42℃、初期弾性率は0.38MPa、最大強度は1.6MPa、破断伸びは260%、ゲル分率は98%であった。
ヒドラジン架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い粘着シートを作製した。
粘着剤層のガラス転移温度は−40℃、初期弾性率は0.19MPa、最大強度は1.1MPa、破断伸びは570%、ゲル分率は92%であった。
モノマーとしてアクリル酸n−ブチル37重量部、メタクリル酸n−ブチル58重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2重量部、アクリル酸2重量部、ダイアセトンアクリルアミド1重量部を使用した以外は実施例1と同様の操作を行いアクリルエマルション系重合体Cを作製した。
アクリルエマルション系重合体Aのかわりにアクリルエマルション系重合体Cを使用した以外は実施例1と同様の操作をおこない粘着シートを作製した。
粘着剤層のガラス転移温度は−15℃、初期弾性率は2.02MPa、最大強度は6.7MPa、破断伸びは185%、ゲル分率は99%であった。
ヒドラジン架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)のかわりに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学(株)製:商品名「テトラッドC」)を2重量部、(株)日本触媒製:商品名「エポクロスWS−500」を0.5重量部使用した以外は実施例1と同様の操作を行い粘着テープを作製した。
粘着剤層のガラス転移温度は−40℃、初期弾性率は1.53MPa、最大強度は2.0MPa、破断伸びは150%、ゲル分率は98%であった。
ヒドラジン架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)のかわりに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学(株)製:商品名「テトラッドC」)0.5重量部を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い粘着テープを作製した。
粘着剤層のガラス転移温度は−40℃、初期弾性率は0.48MPa、最大強度は2.3MPa、破断伸びは285%、ゲル分率は98%であった。
Claims (5)
- SO4 2-イオン濃度を100μg/g以下とした乳化剤、及びレドックス系重合開始剤を用いて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー混合物を、一括重合法により行われるエマルション重合に付すことにより得られるアクリルエマルション系重合体を主成分とし、ヒドラジン架橋剤を前記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して0.3〜3重量部含む粘着剤組成物であって、
上記モノマー混合物が、カルボニル基含有モノマーを全モノマー100重量部に対して0.7〜4重量部含み、
アクリルエマルション系重合体のガラス転移温度が−70〜−30℃であり、
該組成物を層状に成形して粘着剤層を作製した際の該粘着剤層の引張試験における初期弾性率が0.20〜1.50MPa、最大強度が1.0〜8.0MPa、破断伸びが180〜900%、ゲル分率が95%以上である、半導体ウエハ加工用粘着シートに用いる水分散型アクリル系粘着剤組成物。 - モノマー混合物が、水酸基含有モノマーを全モノマー100重量部に対して1〜5重量部含む請求項1記載の半導体ウエハ加工用粘着シートに用いる水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 一括重合法により行われるエマルション重合が、5〜30℃で行われる請求項1又は2記載の半導体ウエハ加工用粘着シートに用いる水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 一括重合法により行われるエマルション重合において、イオン交換樹脂法、膜分離法、アルコールを用いた不純物の沈殿ろ過法から選択される少なくとも1つの方法により不純物イオンを取り除いてSO4 2-イオン濃度を100μg/g以下とした乳化剤が用いられる請求項1〜3何れかの項に記載の半導体ウエハ加工用粘着シートに用いる水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 請求項1〜4何れかの項に記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物よりなる粘着剤層を支持体上に設けてなり、半導体ウエハに貼付後再剥離可能な半導体ウエハ加工用水分散型アクリル系粘着シート。
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