JP5234601B2 - トレー治具 - Google Patents

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Description

本発明は、センサ等からなる小物品を着脱自在に粘着保持するトレー治具に関するものである。
工場等で利用される従来のトレー治具は、図示しない大きなトレーの表面に、繰り返し使用可能なゲルパックに代表される薄い粘着シートをネットや接着剤を介して強固に接着し、この粘着シートの表面にヨーレートセンサ(車両が回転する速度を検出するセンサ)等のセンサを着脱自在に粘着保持し、センサの管理、保管、あるいは搬送等の便宜を図るよう機能する(特許文献1、2参照)。
特開平7‐297306号公報 特開2000‐109170号公報
従来におけるトレー治具は、以上のように構成され、トレーの表面に粘着シートの一部又は全面が強固に接着されているので、粘着シートが汚れたり、損傷した場合には、粘着シートのみを交換することができず、治具全体を交換したり、廃棄せざるを得ないという問題がある。この問題を解消するには、トレーの表面から粘着シートを剥離してトレーに残存した接着剤を所定の溶剤により除去すれば良いが、そうすると、溶剤によりトレーが溶解し、再使用することのできないおそれがある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、治具全体を交換したり、廃棄する必要がなく、しかも、溶剤の使用に伴うトレーの溶解を抑制することのできるトレー治具を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、トレーと、このトレーの収納部に粘着される両面粘着層と、トレーの収納部に両面粘着層を介して着脱自在に収納され、小物品を着脱自在に粘着保持する保持具とを備えたものであって、
トレーの収納部と両面粘着層とに、相互に連通する排気口をそれぞれ設けて収納部の排気口の幅よりも両面粘着層の排気口の幅を大きくし、トレーの表面に、収納部を区画する区画壁を設け、
保持具を、両面粘着層に粘着される保持板と、この保持板の凹み穴に配設される複数の支持突起と、保持板の凹み穴を被覆して複数の支持突起に支持される可撓性の粘着保持層と、保持板の凹み穴に設けられてトレーと両面粘着層の排気口に連通(通し連なる)し、凹み穴の気体を排気して粘着保持層を変形させる排気孔とから形成したことを特徴としている。
なお、両面粘着層は、可撓性の基材と、この基材の両面にそれぞれ粘着される一対の粘着層とを備え、一方の粘着層の粘着力を他方の粘着層の粘着力よりも強くすることができる。
また、保持具の排気孔の幅よりも両面粘着層の排気口の幅を大きくすることができる。
また、保持板の隣接する複数の支持突起を平面視で略正三角形を描くように配列することができる。
ここで、特許請求の範囲における小物品には、少なくとも単数複数の各種センサ、電子部品、精密部品、車載部品、微小部品、半導体チップ等が含まれる。保持具は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。また、排気口の形や数は、必要に応じ、増減変更することができる。例えば排気口は、平面視で矩形や多角形等でも良い。
本発明によれば、トレー治具を組み立てる場合には、トレーの収納部に両面粘着層を粘着し、この両面粘着層に保持具を粘着すれば、トレー治具を組み立てることができる。そして、このトレー治具の粘着保持層に小物品を押し付ければ、小物品を着脱自在に粘着保持することができる。
また、トレー治具の粘着保持層から小物品を取り外す場合には、粘着保持層に覆われた凹み穴の気体を外部に排気すれば良い。すると、粘着保持層が複数の支持突起に応じ変形することにより小物品との間に隙間を形成し、この隙間の形成により、小物品を粘着保持層から取り外すことができる。
また、粘着保持層の汚染や損傷等に伴い、トレー治具を交換して再度使用したい場合には、トレーの収納部から両面粘着層と保持具のうち、少なくとも保持具を取り外し、その後、収納部に新たな保持具を収納すれば良い。こうすれば、新たな粘着保持層に小物品を保持することができるので、トレー治具を実質的に交換して再使用することができる。
本発明によれば、小物品を粘着保持する保持具を交換することができるので、治具全体を交換したり、廃棄する必要がなく、しかも、溶剤の使用に伴うトレーの溶解を抑制することができるという効果がある。また、トレーの排気口の幅よりも両面粘着層の排気口の幅を大きくするので、トレーと両面粘着層の排気口の位置決めに高精度を要することが少ない。また、トレーの表面に収納部を区画する区画壁を設けるので、両面粘着層や保持具の位置ずれに伴い、保持具の粘着収納や粘着保持層の変形に支障を来たすことが少ない。
また、両面粘着層が、可撓性の基材と、この基材の両面にそれぞれ粘着される一対の粘着層とを備え、一方の粘着層の粘着力を他方の粘着層の粘着力よりも強くすれば、簡易な構成で糊の残存を抑制することができる。また、保持具を簡単に交換したり、収納部から両面粘着層を簡易に剥がして収納部に糊が残存するのを抑制することができる。
また、保持板の隣接する複数の支持突起を平面視で略正三角形を描くように配列すれば、支持突起間の長さの相違に伴う粘着保持層の伸びの不均一を防ぎ、粘着保持層の損傷等を有効に抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係るトレー治具の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態におけるトレー治具は、図1ないし図6に示すように、扱い易い大きさのトレー1と、このトレー1の収納部3に粘着される両面粘着テープ10と、トレー1の収納部3に両面粘着テープ10を介して着脱自在に収納され、ヨーレートセンサ等のセンサ20を着脱自在に粘着保持する保持具30とを備え、両面粘着テープ10と保持具30とを個別に交換可能な別体とするようにしている。
トレー1は、図1ないし図4に示すように、例えば耐衝撃性や耐薬品性に優れるABS樹脂、PC/ABS、PC等を含有する成形材料を使用して平面矩形の平坦な板に成形され、表面の周縁部付近には枠形の区画壁2が周設されており、このエンドレスの区画壁2が平面矩形の平坦な収納部3を区画形成して両面粘着テープ10や保持具30の位置ずれ、ガタツキを防止するよう機能する。収納部3の中心には、丸い排気口4が厚さ方向に穿孔され、この排気口4に外部から負圧源である真空ポンプ5が着脱自在に接続される。
両面粘着テープ10は、図2ないし図5に示すように、例えば可撓性の薄いフィルム製の基材11の表裏両面に再剥離可能な粘着層12・12Aを備えた厚さ20〜200μmのアクリル系の粘着テープにより平面矩形に形成され、中心には、トレー1の排気口4を囲んで連通する排気口13が厚さ方向に穿孔されるとともに、この排気口13がトレー1の排気口4よりも拡径の丸孔に形成されており、トレー1の収納部3に着脱自在に粘着して収納される。
両面粘着テープ10は、長期に亘る使用性や利便性の観点から、引張破断強度が5MPa以上、引張破断伸びが500%以上、曲げ弾性率が10〜100MPaであることが好ましい。
両面粘着テープ10の表裏両面の粘着層12・12Aは、トレー1や保持具30を破壊しない程度の粘着力に調製され、かつ一方の粘着層の粘着力が他方の粘着層の粘着力よりも強く調製される。例えば、必要に応じ、トレー1の収納部3に粘着する粘着層12の粘着力が保持具30に粘着する粘着層12Aの粘着力よりも強く調製されたり、あるいは、保持具30に粘着する粘着層12Aの粘着力がトレー1の収納部3に粘着する粘着層12の粘着力よりも強く調製される。
保持具30は、図1ないし図3に示すように、トレー1の収納部3に収納されて両面粘着テープ10の表面の粘着層12Aに着脱自在に粘着される保持板31を備え、この保持板31の周縁部を除く表面には、平面矩形の凹み穴32が形成され、この凹み穴32内には複数の支持突起35が突出形成されており、凹み穴32には、複数の支持突起35に支持される弾性変形可能な薄い粘着保持層36が平坦に覆着される。
保持板31は、例えば耐熱性や耐衝撃性に優れる透明のポリカーボネート等を含む成形材料を使用して平面矩形の平坦な板に成形される。また、凹み穴32の中心部には、トレー1と両面粘着テープ10の排気口4・13に連通する排気孔33が厚さ方向に穿孔され、この排気孔33が真空ポンプ5の駆動に基づき、粘着保持層36に被覆された凹み穴32の空気(図3の矢印参照)を外部に排気することにより、粘着保持層36を複数の支持突起35に応じて凹凸に変形させる。
こうして粘着保持層36が変形すると、センサ20と粘着保持層36との間に空気の流入を許容する隙間が多数生じ、センサ20を粘着保持層36の表面から簡単に取り外すことが可能になる。
凹み穴32の排気孔33は、両面粘着テープ10の排気口13よりも縮径の丸孔に穿孔される。また、凹み穴32の周縁部には段差部34が形成され、この段差部34上に粘着保持層36の裏面周縁部が接着されることにより、保持板31の表面周縁部に粘着保持層36の表面が面一に揃えられる。また、複数の支持突起35は、図6に示すように、凹み穴32内に所定の間隔をおいて配列形成され、各支持突起35が粘着保持層36の裏面に接着する円柱形に形成される。
粘着保持層36は、例えばポリプロピレン、ゴム、エラストマー等を含む成形材料を使用して可撓性を有する平面矩形の薄膜に成形され、トレー1の収納部3に保持具30が収納される際、区画壁2の高さに揃えられる。エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばオレフィン系、シリコーン系、ウレタン系、フッ素系のエラストマー等があげられる。
上記構成において、トレー治具を製造する場合には、トレー1の収納部3に両面粘着テープ10の粘着層12を重ねて粘着してその排気口13をトレー1の排気口4に連通させ、両面粘着テープ10の表面の露出した粘着層12Aに保持具30を粘着してその排気孔33を両面粘着テープ10の排気口13に連通させ、粘着保持層36の表面を区画壁2の表面高さに整合させれば、トレー治具を製造することができる。そして、このトレー治具の露出した粘着保持層36上にセンサ20を圧接すれば、センサ20を着脱自在に粘着保持して管理、保管、あるいは搬送等の便宜を図ることができる。
次に、トレー治具の粘着保持層36からセンサ20を取り外す場合には、トレー1の排気口4に外部から真空ポンプ5を接続して駆動すれば良い。すると、凹み穴32の空気が外部に排気され、平坦な粘着保持層36が複数の支持突起35に応じ凹凸に変形することにより、センサ20との間に隙間を形成し、この隙間の形成により、センサ20を粘着保持層36の表面から取り外すことができる。
次に、粘着保持層36の汚染や損傷、異物の付着等により、トレー治具を交換したい場合には、先ず、トレー1の収納部3から保持具30を取り外し、トレー1の収納部3から両面粘着テープ10を剥離する。こうして両面粘着テープ10を剥離して除去したら、収納部3に新規の両面粘着テープ10を粘着してその排気口13をトレー1の排気口4に連通させ、その後、両面粘着テープ10の表面に新規の保持具30を粘着してその排気孔33を両面粘着テープ10の排気口13に連通させるとともに、粘着保持層36の表面を区画壁2の表面高さに整合させれば、トレー治具を事実上交換して再度使用することができる。
この際、両面粘着テープ10の排気口13がトレー1の排気口4や保持具30の排気孔33よりも拡径なので、排気口4・13と排気孔33の位置決めに高精度な位置決め作業を要したり、排気口4、排気口13、排気孔33が位置ずれして塞がり、後の粘着保持層36の変形に支障を来たすことがない。また、粘着保持層36の表面を区画壁2の表面高さに整合させなくても、トレー治具を事実上交換して再度使用することができる。
上記構成によれば、両面粘着テープ10と保持具30とがそれぞれ交換可能なので、トレー1を含むトレー治具全体を交換したり、廃棄する必要が全くなく、環境汚染や無駄を省くことができる。また、従来のようにトレー1に残存した接着剤を所定の溶剤により除去する必要がないので、溶剤によりトレー1が溶解するおそれを容易に排除することができる。
また、トレー1の区画壁2が両面粘着テープ10と保持具30とをそれぞれ位置決めするので、これら10・30の位置ずれに伴い、排気口13と排気孔33とが位置ずれして塞がり、粘着保持層36の変形に支障を来たすことがない。また、両面粘着テープ10が基材11の両面に粘着層12・12Aの積層された構造なので、簡易な構成で粘着糊の残存を抑制防止することが可能となる。
また、両面粘着テープ10の収納部3に粘着する粘着層12の粘着力を保持具30に粘着する粘着層12Aの粘着力よりも強く調製すれば、保持具30を簡単に交換することが可能になる。また、粘着層12Aの粘着力を粘着層12の粘着力よりも強く調製すれば、収納部3から両面粘着テープ10を簡易に剥離して収納部3に粘着糊が残存するのを確実に抑制防止することが可能となる。
次に、図7は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、保持具30の前後左右に隣接する複数の支持突起35をXY方向に単に並べるのではなく、平面視で正三角形を描くように配列するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、隣接する複数の支持突起35の中心部に正三角形を平面視で描かせるので、支持突起35と支持突起35との間の長さが異なることが実に少ない。したがって、支持突起35間の長さの相違に伴う粘着保持層36の伸びの不均一化や切断等を防ぐことができる。また、伸びの均一化に基づき、センサ20の取り外しに困難を来たすのを抑制防止することができるのは明らかである。
なお、上記実施形態ではトレー1、両面粘着テープ10、及び保持具30をそれぞれ平面矩形に形成したが、何らこれに限定されるものではなく、トレー1、両面粘着テープ10、及び保持具30を平面三角形、多角形、円形、楕円形等に形成しても良い。また、トレー1や保持板31は、ポリプロプレンあるいは各種の合金等を含む成形材料を使用して形成しても良い。また、両面粘着テープ10と保持具30とを共に交換しても良いが、両面粘着テープ10を交換する必要がなければ、保持具30のみを交換しても良い。
また、枠形の区画壁2を周設したが、リング形等の区画壁2でも良いし、エンドレスの区画壁2を複数に分割することもできる。また、トレー1の平坦な収納部3内に、両面粘着テープ10の剥離を容易にする突部を突出形成することもできる。また、特に問題を生じないのであれば、区画壁2の高さに粘着保持層36の表面を揃えても良いし、揃えなくても良い。さらに、粘着保持層36の裏面に支持突起35を接着したが、接触させることもできる。この支持突起35については、角柱形や円錐台形等に形成することが可能である。
本発明に係るトレー治具の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係るトレー治具の実施形態を模式的に示す分解断面説明図である。 本発明に係るトレー治具の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係るトレー治具の実施形態におけるトレーと両面粘着テープの関係を模式的に示す平面説明図である。 本発明に係るトレー治具の実施形態における複数の支持突起を模式的に示す平面説明図である。 本発明に係るトレー治具の実施形態における両面粘着テープを模式的に示す説明図である。 本発明に係るトレー治具の第2の実施形態における複数の支持突起を模式的に示す平面説明図である。
符号の説明
1 トレー
2 区画壁
3 収納部
4 排気口
5 真空ポンプ
10 両面粘着テープ(両面粘着層)
11 基材
12 粘着層
12A 粘着層
13 排気口
20 センサ(小物品)
30 保持具
31 保持板
32 凹み穴
33 排気孔
35 支持突起
36 粘着保持層

Claims (3)

  1. トレーと、このトレーの収納部に粘着される両面粘着層と、トレーの収納部に両面粘着層を介して着脱自在に収納され、小物品を着脱自在に粘着保持する保持具とを備えたトレー治具であって、
    トレーの収納部と両面粘着層とに、相互に連通する排気口をそれぞれ設けて収納部の排気口の幅よりも両面粘着層の排気口の幅を大きくし、トレーの表面に、収納部を区画する区画壁を設け、
    保持具を、両面粘着層に粘着される保持板と、この保持板の凹み穴に配設される複数の支持突起と、保持板の凹み穴を被覆して複数の支持突起に支持される可撓性の粘着保持層と、保持板の凹み穴に設けられてトレーと両面粘着層の排気口に連通し、凹み穴の気体を排気して粘着保持層を変形させる排気孔とから形成したことを特徴とするトレー治具。
  2. 両面粘着層は、可撓性の基材と、この基材の両面にそれぞれ粘着される一対の粘着層とを備え、一方の粘着層の粘着力を他方の粘着層の粘着力よりも強くした請求項1記載のトレー治具。
  3. 保持板の隣接する複数の支持突起を平面視で略正三角形を描くように配列した請求項1又は2記載のトレー治具。
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