JP5234570B2 - プリプレグの製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、ガラスクロスまたは有機繊維不織布からなる基材と樹脂からなるプリプレグを用いたビルドアップ方式の多層配線板の製造技術が提案されている(特許文献2参照)。当該技術においては、パターン化された内層回路基板に加圧、加熱条件下でプリプレグを積層し一体化させ有機絶縁層を形成した後、酸化材により該有機絶縁層の表面を粗化し、その粗化面に導体層をメッキにより形成する方法を取っている。
ところでプリプレグの表面には基材を含まない樹脂のみからなる薄層(以下、「表面樹脂層」ともいう。)を設けることが信頼性上好ましいため、プリプレグの製造方法においては、基材に含浸させる樹脂ワニスの量を制御する必要がある。このためには通常、基材に過剰量の樹脂ワニスを一旦含浸させた後、一定の幅を有するスリットまたはロール間を通すことによって余分な樹脂ワニスを掻き落とすことが行われる。その結果、加熱乾燥後のプリプレグの表面樹脂層は、基材の裏表でほぼ同一の厚さの状態で作成される。具体的には、導体パターンをエッチング法で作成するプリント配線板に使用するプリプレグの場合は、表面裏面ともに厚さは0.002〜0.015mm程度であり、導体パターンをメッキ法で作成するプリント配線板に使用するプリプレグの場合はより厚いのが通常である。
すなわち、本発明は、
1.走行する長尺状の基材に樹脂ワニスを含浸させる含浸工程、基材に含浸させた樹脂ワニスの量を調整する調整工程、樹脂ワニスを加熱乾燥する乾燥工程を含むプリプレグの製造方法であって、調整工程において基材が厚さ調整手段を通過するに際し、厚さ調整手段を通過した直後の基材の進行方向と該厚さ調整手段を通過する直前の基材の進行方向とのなす角度(A)が0.5〜10度である状態で基材を走行させ、
且つ、該厚さ調整手段の形状が一対のナイフロールであり、
乾燥工程後のプリプレグの片面又は両面に支持ベースフィルム又は金属箔を積層する積層工程を有し、且つ
基材が厚さが0.010〜0.050mmのガラスクロスであることを特徴とするプリプレグの製造方法、に関する。
本発明で使用される基材としては、従来からプリプレグの基材として用いられる任意のものを使用することができる。例えば、ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維基材、ポリエステル繊維やアラミド繊維、液晶ポリマーなどの織布や不織布で形成される有機繊維基材、または紙基材が好ましい。また、長尺状の基材とは、幅に比べて長さが長い基材を意味し、取扱い上の理由で通常はロール状に巻かれた形で供給される。
特に基材としてガラスクロスを使用する際には、厚さが0.010〜0.050mmであるものがビルドアップ方式の多層配線板に適するため好ましい。また、ガラスクロスを構成する糸のフィラメント径が3〜5μmと小さく、バスケットホールの少ない厚さ0.010〜0.030mmのガラスクロスを使用すればレーザ加工性に優れておりより好ましい。具体的には旭化成エレクトロニクス株式会社製商品名1027、1037、1067等のガラスクロスが適している。
上記樹脂としては、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリシアネート樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系の単独樹脂、並びに該樹脂の変成物、または混合物に代表される熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂ワニス中には、該熱硬化性樹脂を必須成分として含有し、
必要に応じてその熱硬化性樹脂の硬化剤、硬化促進剤、及び無機充填材からなる群から選択される少なくとも1種以上の任意成分を含有することができる。
本発明のプリプレグの製造方法は、走行する長尺状の基材に樹脂ワニスを含浸させる含浸工程、基材に含浸させた樹脂ワニスの量を調整する調整工程、樹脂ワニスを加熱乾燥する乾燥工程を含む。
調整工程は、走行する長尺状の含浸基材が厚さ調整手段を通過することによって、樹脂ワニスを過剰に含浸させた含浸基材から余分な樹脂ワニスを掻き落とす工程である。該厚さ調整手段としては、例えば、一定幅のスリット、並びに間隔調整の可能な一対の回転ロールまたは一対のナイフロールがあげられる。材質は、変形しにくい硬質の金属であり、好ましくは信頼性を考慮した錆等の劣化の生じにくいもの、たとえば硬質クロムメッキしたステンレス鋼が好ましい。ロールの大きさはφ50〜150mmの寸法を有するものが好ましい。
また、乾燥工程後のプリプレグの片面又は両面に支持ベースフィルム又は金属箔を積層する積層工程を有してもよい。この支持ベースフィルム又は金属箔は、プリプレグを上記回路基板上に加圧・加熱して積層する(その後粗面化してメッキされる)に当り、該プリプレグの取扱いを容易にし、且つゴミ等の付着を防止するためのもので、該積層操作の前に剥離されるもの(即ち、剥離性支持ベースフィルム又は金属箔)である。支持ベースフィルムとしては、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
カーボネート等の樹脂からなり、厚さが10〜150μm程度のフィルムであることが好ましい。金属箔としては、厚さが10〜150μmの銅箔、アルミ箔が好ましい。尚、支持フィルムにはコロナ処理、プラズマ処理の他、離形処理を施してあってもよい。支持ベースフィルムあるいは金属箔をプリプレグに積層する積層工程は、調整工程の後であれば乾燥工程の前であっても後であってもよい。また、支持ベースフィルム又は金属箔を積層したプリプレグはロールに巻き取って保管することが好ましいが、切断して枚葉形態として保管しても特に問題は無い。また、支持ベースフィルムが積層されたプリプレグにおいて、プリプレグの面積は支持ベースフィルムの面積と同じか又は支持ベースフィルムより小さい面積とすることが好ましい。
厚み調整手段の形状は、厚み調整が的確に実施されるものであれば特に限定されるものではないが、図2に示した断面が略円形のロールに断面略扇型の切欠部をロールの幅方向全長に亘って設けた形状の一対のナイフロールが好ましいものとしてあげられる。なお、形状より理解できるように、該ナイフロールは回転させずに固定スリットとして使用する。
そして、このような装置を用いて長尺状の基材(1)に樹脂ワニス(2)を含浸するにあたっては、まず、ディップロール(3)の下側に接触するように基材(1)を樹脂ワニスバス(5)に貯留された樹脂ワニス(2)内に導入し、基材(1)が樹脂ワニス(2)に浸漬されて基材(1)に樹脂ワニス(2)が含浸される。この時、ディップロール(3)の配置は、厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす角度(A)が0.5度〜10度となるよう配置することが好ましい。
先述の特許文献3に記載された従来の方法においては、樹脂ワニスが含浸された基材を樹脂ワニスバス内の樹脂ワニスから垂直に引き上げ、一対の厚み調整手段の間を鉛直に通過させることで、基材の表面に付着する余剰のワニスを除去する方法が記載されている。しかしながら、この方法では表裏で異なる厚さの表面樹脂層を有するプリプレグの作成はできなかった。
に含浸、厚さ調整することができる。この後、樹脂ワニスが含浸された基材を乾燥すると共に基材中の樹脂を加熱することによりBステージ化することによって、プリプレグを形成することができる。
[エポキシ樹脂ワニスの組成]
5046B80(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名):70質量%、180S75B70(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名):14質量%、ジシアンジアミド:1.6質量%、2−エチル−4−メチル−イミダゾール:0.2質量%、ジメチルホルムアミド:7.1質量%、メチルセロソルブ:7.1質量%
図1に示した装置を用いて、基材(1)に樹脂ワニス(2)を含浸した。基材(1)としては旭化成エレクトロニクス株式会社製のガラスクロス(製品名:1027MS 厚さ:0.020mm)を用いた。樹脂ワニス(2)は前述したエポキシ樹脂ワニスを用いた。
また、厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす角度(A)を1°(厚み調整手段(4)の高さとディップロール(3)の高さの差が255mm)に設定した。そして、基材(1)を樹脂ワニス(2)に含浸させた後、乾燥温度160℃、時間1分30秒の条件で乾燥させると共に基材(1)中の樹脂をBステージ化することでプリプレグを得た。
図1に示した装置を用いて、基材(1)に樹脂ワニス(2)を含浸した。基材(1)としては旭化成エレクトロニクス株式会社製のガラスクロス(製品名:1027MS 厚さ:0.020mm)を用いた。樹脂ワニスは前述したエポキシ樹脂ワニスを用いた。
また、厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす角度(A)を2°(厚み調整手段(4)の高さとディップロール(3)の高さの差が255mm)に設定した。そして、基材(1)を樹脂ワニス(2)に含浸させた後、乾燥温度160℃、時間1分30秒の条件で乾燥させると共に基材(1)中の樹脂をBステージ化することでプリプレグを得た。
図1に示した装置を用いて、基材(1)に樹脂ワニス(2)を含浸した。基材(1)としては旭化成エレクトロニクス株式会社製のガラスクロス(製品名:1027MS 厚さ:0.020mm)を用いた。樹脂ワニスは前述したエポキシ樹脂ワニスを用いた。
また、厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす角度(A)を3°(厚み調整手段(4)の高さとディップロール(3)の高さの差が255mm)に設定した。そして、基材(1)を樹脂ワニス(2)に含浸させた後、乾燥温度160℃、時間1分30秒の条件で乾燥させると共に基材(1)中の樹脂をBステージ化することでプリプレグを得た。
図1に示した装置を用いて、基材(1)に樹脂ワニス(2)を含浸した。基材(1)としては旭化成エレクトロニクス株式会社製のガラスクロス(製品名:1027MS 厚さ0.020mm)を用いた。樹脂ワニスは前述したエポキシ樹脂ワニスを用いた。
また、厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす角度(A)を0°(厚み調整手段(4)の高さとディップロール(3)の高さの差が255m
m)に設定した。そして、基材(1)を樹脂ワニス(2)に含浸させた後、乾燥温度160℃、時間1分30秒の条件で乾燥させると共に基材(1)中の樹脂をBステージ化することでプリプレグを得た。
表1から判るように、実施例1から3のプリプレグの表面樹脂層厚さは、裏表でそれぞれ異なった厚みの表面樹脂層を有している。比較例1に関しては、プリプレグ裏表で表面樹脂層の厚さが同じであった。
2...ワニス
3...ディップロール
4...一対のロールからなる厚み調整手段
5...樹脂ワニスバス
A...厚み調整手段(4)直前の基材の走行方向と直後の基材の走行方向とがなす
角度
B...角度(A)が0度の時の仮想ディップロールに対する実際のディップロール
(3)の位置ズラシ量
C...厚み調整手段(4)と走行する基材が接する接点
Claims (1)
- 走行する長尺状の基材に樹脂ワニスを含浸させる含浸工程、基材に含浸させた樹脂ワニスの量を調整する調整工程、樹脂ワニスを加熱乾燥する乾燥工程を含むプリプレグの製造方法であって、調整工程において基材が厚さ調整手段を通過するに際し、厚さ調整手段を通過した直後の基材の進行方向と該厚さ調整手段を通過する直前の基材の進行方向とのなす角度(A)が0.5〜10度である状態で基材を走行させ、
且つ、該厚さ調整手段の形状が一対のナイフロールであり、
乾燥工程後のプリプレグの片面又は両面に支持ベースフィルム又は金属箔を積層する積層工程を有し、且つ
基材が厚さが0.010〜0.050mmのガラスクロスであることを特徴とするプリプレグの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2007137753A JP5234570B2 (ja) | 2007-05-24 | 2007-05-24 | プリプレグの製造方法 |
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JP2007137753A JP5234570B2 (ja) | 2007-05-24 | 2007-05-24 | プリプレグの製造方法 |
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JP2008290331A JP2008290331A (ja) | 2008-12-04 |
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