JP5232048B2 - 光学補正ユニット組立方法及び光学補正ユニット、光学補正ユニットを有するレンズ鏡筒及び撮像装置 - Google Patents

光学補正ユニット組立方法及び光学補正ユニット、光学補正ユニットを有するレンズ鏡筒及び撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、撮影時に発生する像ぶれを補正するための光学補正ユニット、及びそれを備えたレンズ鏡筒並びに撮像装置に関する。
近年では、撮影における手ぶれによる像ぶれの失敗を減らすために、手ぶれによる像ぶれを補正するための手ぶれ補正機能が搭載されたカメラが多く見られるようになっている。手ぶれ補正機能を実現するための手段としては、結像光学系内に光軸と垂直な平面内を移動可能な補正レンズを有し、手ぶれ等に起因するカメラの振動を打ち消す方向にこの補正レンズを駆動させて像ぶれを補正するレンズ内光学式補正タイプと、撮影する際にイメージャの撮像領域を狭め、バッファメモリに一時記憶した複数の画像を比較することで、画像処理の段階で像ぶれを補正する電子式補正タイプがある。また、イメージャ自体を駆動させることで像ぶれを補正するカメラ内光学式補正タイプも見られる。
しかしながら電子式補正タイプでは、撮影時にイメージャの一部分しか利用されないため高精細な画像が得られないことや、1枚ずつ撮影されることの多い静止画のぶれ補正にはあまり効果的ではない等の理由から、一眼レフタイプのデジタルカメラには一般的に光学式補正タイプの手ぶれ補正機能が搭載されている。
このような光学式補正タイプの具体的な構成としては、2方向への駆動力の合力により補正レンズの駆動制御を行う2軸タイプのものと、駆動力が発生する方向を1つ追加して3方向への駆動力の合力で駆動制御する3軸タイプのものとが見られる。
補正レンズはレンズ保持枠により保持され、さらにレンズ保持枠は、保持した補正レンズを光軸と垂直な平面内において移動可能にするため、鋼球等の支持部材により支持されていることが一般的である。また、特に2軸タイプではヨー方向・ピッチ方向、それぞれの方向へ一直線にガイドするガイド軸を有する場合がある。
2軸タイプの像ぶれ補正機構であっても、3軸タイプの像ぶれ補正機構であっても、駆動させる補正レンズを保持するためのレンズ保持枠が必要となる。一般的に、補正レンズは、レンズ保持枠へ熱かしめ方法により取りつけられている。熱かしめ方法によるレンズ取りつけ方法は、射出成型により加工された熱可塑性樹脂を素材とする部材の一部分を加熱、加圧することによって変形させ、熱及び圧力を除去した後にレンズが部材に保持されるようにする取りつけ方法である。
同様に、光学式補正タイプを採用するレンズ鏡筒の結像光学系における補正レンズ以外のレンズ群も、それぞれ熱かしめ方法によってレンズ保持枠に固定されていることが一般的である。これらのレンズ群は、レンズ鏡筒組立時にまずレンズ保持枠に熱かしめ方法で固定された後、レンズ鏡筒内へ組み付けられる。
一方で、補正レンズについては、レンズ保持枠に熱かしめ方法で取りつけられることに加えて、さらにこれを光学補正ユニットへ組み付けられる必要がある。熱かしめ方法によるレンズ取りつけ方法において、補正レンズについても、他のレンズ群と同じようにまずはレンズ保持枠に固定させ、それからこれを光学補正ユニットへ組み付ける手順を踏むことのほうが簡単である。
しかし、手振れ補正ユニットは機構が複雑で、組み立ての難易度が高く、補正レンズを保持したレンズ保持枠を光学補正ユニットへ組み付ける際に、補正レンズに汚れ等が付着してしまうおそれがある。
上記課題を解決するために、引用文献1では、光学補正ユニットへの組み付けを考慮したものではないが、レンズに傷、汚れ、ごみ等がつかないレンズ鏡筒製造方法として、絞り装置を先に取り付けた後、レンズ枠へレンズを固定する方法が開示されている。このレンズ鏡筒製造方法は、かしめ加工の際に、絞り装置に干渉しない位置でレンズ枠を保持するかしめ受け手段を設けることを特徴としている。
さらに、引用文献2では、熱カシメによって樹脂製の筒にレンズをカシメるレンズのカシメ装置において、カシメ後に、カシメヘッドと筒とが接着し、筒が持ち上がってしまうことを防止するため、レンズ押え部をレンズへ圧接させるレンズのカシメ装置が開示されている。
特開平8−136783号公報
実開平4−101511号公報
しかしながら、引用文献1に記載のレンズ鏡筒製造方法では、レンズをかしめる前にレンズ枠へ取り付ける対象を絞り装置としており、レンズ保持枠を光学補正ユニットへ取り付けることを前提としてはいない。そのため、次の課題がある。
引用文献1では、レンズがかしめられるレンズ枠は、絞り装置と完全に固定されるが、光学補正ユニットでは、補正レンズが取り付けられるレンズ保持枠は、撮影時の手ぶれを補正するため、光軸と垂直な平面状で移動可能となる可動部材でなければならない。光学補正ユニットのレンズ保持枠は、一般的にレンズ鏡筒内でガイド軸やボール等の支持部材によって支持され、レンズ鏡筒内のベースとなる部材に対して可動である。
引用文献1のように、絞り装置等のレンズ以外の部材をレンズ枠に組み付けた後に、レンズをレンズ枠にかしめるだけの方法を、光学補正ユニットにおいて適用すると、光学補正ユニットのレンズ保持枠は、補正レンズがかしめられた後に熱かしめ工具(本実施例でのかしめホーン)へ接着してしまうおそれがある。これにより、もともと可動である光学補正ユニットのレンズ保持枠が、カシメ後にかしめ工具へ接着され、かしめ工具を引き上げる際にレンズ保持枠の支持部材を圧迫したり、レンズ鏡筒内のベースとなる部材に衝突してこれを破壊するおそれがある。
また、引用文献2に記載のレンズのカシメ装置では、カシメ後、カシメヘッドを引き上げる際に、樹脂製の筒がカシメヘッドへ接着して持ち上がってしまうことを防止するため、パイプ状のカシメヘッド内径部にレンズ押え部を設けているが、カシメヘッドがパイプ状であるのでレンズ押え部はレンズ自体を押えてしまっている。したがって、引用文献2に記載のレンズのカシメ装置におけるレンズ押え部は、レンズ自体に汚れや傷、ごみ等をつけてしまうおそればかりでなく、レンズ押え部の調整力によってはレンズの固定状態に対してさらに圧力を加えてしまい、光学性能を悪化させてしまうおそれがある。
本発明は、光学補正ユニットを組み立てる場合に、補正レンズを熱かしめ方法により最後に取りつけることができ、かしめ後の補正レンズやレンズ保持枠の支持部材に悪影響を与えず、レンズ保持枠がベース部材へ衝突することもなくかしめホーンを引き上げることができるレンズの熱かしめ方法に対応する光学補正ユニット組立方法及び光学補正ユニット、これを採用するレンズ鏡筒及び撮像装置の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の光学補正ユニット組立方法は、振動に起因する像ぶれを補正する補正レンズと、該補正レンズを保持する可動部材と、ユニットの基部を構成するベース部材と、該ベース部材に対して該可動部材を、該補正レンズの光軸と略直交する平面上で並進及び回転自在に支持する支持手段と、該補正レンズの位置を検出する位置検出手段と、該可動部材を、前記光軸に略直交する方向に移動させる駆動手段とを備え、前記補正レンズは前記可動部材へ熱かしめ方法により取りつけられる光学補正ユニットの組立方法において、前記ベース部材には複数の貫通孔が形成され、前記補正レンズが前記可動部材へ熱かしめ方法により取りつけられる際に、可動部固定部材に形成された可動部支えピンが、該貫通孔を通して該可動部材へ当接することにより該可動部材を押さえ、支持部材の圧迫やベース部材の破壊を防ぎ、かしめホーンが引き上げられた後に、該可動部支えピンは、該可動部材への押さえを解除する、ことを特徴とする光学補正ユニット組立方法とした。
また、本発明の光学補正ユニット組立方法は、上記の光学補正ユニット組立方法において、前記可動部材は、前記補正レンズが熱かしめ方法により取りつけられる前に、かしめ受け台又は可動部材側に形成された傾斜部により該可動部材の中心と前記ベース部材の中心とが一致するように該かしめ受け台上で位置決めされることを特徴とする光学補正ユニット組立方法とした。
また、本発明の光学補正ユニットは、上記光学補正ユニット組立方法により組み立てられ、前記ベース部材に複数の貫通孔を有することを特徴とする光学補正ユニットとした。
また、本発明の光学補正ユニットは、前記支持手段が、球体と、前記可動部材及び前記ベース部材に設けられた受け部とからなり、前記光軸を中心とする円周上に略120°間隔で配置されることを特徴とする上記の光学補正ユニットとした。
また、本発明のレンズ鏡筒は、上記の光学補正ユニットを備えたことを特徴とするレンズ鏡筒とした。
また、本発明の撮像装置は、上記のレンズ鏡筒を備えたことを特徴とする撮像装置とした。
本発明により、レンズ保持枠が可動状態で組み込まれる光学補正ユニットにおいても、光学補正ユニット組立時に補正レンズを最後に組み立てることができる。したがって、組立時に補正レンズに汚れ等が付着してしまうリスクが軽減される。また、本発明により、レンズ保持枠を加熱、加圧して補正レンズを固定する熱かしめ方法による補正レンズの取りつけ方法であっても、熱かしめ完了時に熱可塑性樹脂でできたレンズ保持枠がかしめホーンに接着してともに引き上げられることがないので、レンズ保持枠を支持する支持手段等を破壊するおそれがない。
本発明の一実施形態である光学補正ユニットの外観を示した斜視図である。 図1に示した光学補正ユニットの展開斜視図である。 図1に示した光学補正ユニットの上面図である。 図3中に示したA−A線断面図である。 位置検出手段の動作原理を説明するための図であり、図5aは構成の概略を示す説明図、図5bは磁石に対するホール素子の位置と出力電圧の関係を説明するグラフである。 駆動手段の拡大断面図であり、駆動手段内に形成される磁気回路を説明するための図である。 本発明のレンズ鏡筒及び撮像装置のぶれ補正制御の概念を示すブロック図である。 光学補正ユニットをかしめ受け台へセットする段階の断面図である。 光学補正ユニットをかしめ受け台へセットする段階の断面図である。 光学補正ユニットへ補正レンズをセットする段階の断面図である。 補正レンズをレンズ保持枠へ熱かしめ方法により取りつける段階及び熱かしめ方法に用いた治具を取り外す段階の断面図である。 図11cの状態を示した断面斜視図である。 図11cの状態を示した拡大断面斜視図である。
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態である光学補正ユニットの外観を示した斜視図であり、図2は、図1に示した光学補正ユニットの展開斜視図である。図3は、光学補正ユニットの上面図であり、説明のために一部の部材を破線で示している。図4は、図3中に示したA−A線断面図である。図5は、位置検出手段の動作原理を説明するための図であり、図5aは構成の概略を示す説明図、図5bは磁石に対するホール素子の位置と出力電圧の関係を説明するグラフである。図6は、駆動手段の拡大断面図であり、駆動手段内に形成される磁気回路を説明するための図である。図7は、本発明のレンズ鏡筒及び撮像装置のぶれ補正制御の概念を示すブロック図である。図8から図13では、光学補正ユニットのレンズ保持枠へ補正レンズを熱かしめ方法により取りつける方法を示している。図8は、光学補正ユニットをかしめ受け台へセットする段階の断面図である。図9は、光学補正ユニットをかしめ受け台へセットする段階の断面図であって、レンズ保持枠がかしめ受け台で位置決めされる様子を示している。図10は、光学補正ユニットへ補正レンズをセットする段階の断面図である。図11は、補正レンズをレンズ保持枠へ熱かしめ方法により取りつける段階及び熱かしめ方法に用いた治具を取り外す段階の断面図である。図12は、図11cの状態を示した断面斜視図である。図13は、図11cの状態を示した拡大断面斜視図である。
まず、本発明の光学補正ユニットの構成について説明する。光学補正ユニット100は、図1及び図2に示すように概ね円盤形状の外径を有していて、ユニットに加わる振動に起因する像ぶれを補正する補正レンズ111と、補正レンズ111を保持するレンズ保持枠112(特許請求の範囲に記載の可動部材に相当)と、光学補正ユニット100のベースとなるベース部材121と、補正レンズ111の光軸と直交する平面において光軸を中心とする円周上に120°間隔で設けられ、レンズ保持枠112とベース部材121との間に挟まれてレンズ保持枠112を支持する3つの鋼球131(特許請求の範囲に記載の球体に相当)と、ベース部材121に固定される回路基板122等を備えている。
レンズ保持枠112とベース部材121には、3つの鋼球131に対応する位置に、それぞれ可動側鋼球受け部132と固定側鋼球受け部133とが設けられており、鋼球131はこれらの受け部に挟まれている。これによりレンズ保持枠112はベース部材121に対して、光軸と直交する平面内で円滑に移動することができる。本実施形態では、可動側鋼球受け部132と固定側鋼球受け部133とは同一の半径を持つ円形の凹形状となっており、凹形状の壁面によって鋼球131の脱落が防止される。なお、可動側鋼球受け部132と固定側鋼球受け部133、及び鋼球131は、特許請求の範囲に記載の支持手段を構成している。
レンズ保持枠112は、補正レンズ111がかしめられる円筒部112aと、永久磁石113、バックヨーク114、及び可動側鋼球受け部132を備えるフランジ部112bとから構成されている。バックヨーク114は、このフランジ部112bにインサート成形されることで固定されている。このバックヨーク114は軟磁性体の金属で作られており、永久磁石113はこのバックヨーク114に対して磁気吸引されて保持されている。永久磁石113とバックヨーク114との間の保持力をさらに高めるために、これらの間に接着剤や両面粘着テープ等の接着手段を介在させることも考えられる。レンズ保持枠112の円筒部112aにはさらに可動ヨーク115が設けられるが、この可動ヨーク115は、円筒部112aのフランジ部112bを有さない側の端部に、永久磁石113と対向する位置に取り付けられる。
可動ヨーク115と、フランジ部112bと、円筒部112aとに囲まれている円筒形状の空気領域には、概ね円環形状の回路基板122が配置される。回路基板122は、図4及び図6に示すように、回路パターンがプリントされたフレキシブルプリント基板122aと補強用のガラスエポキシ等からなる補強板122bとから構成されている。回路基板122は、レンズ保持枠112に取り付けられた各種部材と干渉しないように、ベース部材121から伸長する不図示のボスにビス123で固定されている。この回路基板122には、不図示の電源により電力が供給されるコイル124が実装されており、永久磁石113と対向する位置に固定されている。
すなわち、回路基板122を通じてベース部材121側に固定されるコイル124は、レンズ保持枠112を介して光軸と直交する方向に移動可能な可動ヨーク115と永久磁石113とに挟まれるような構成となっている。これにより、レンズ保持枠112を光軸と直交する平面上で駆動するための駆動力を発生する駆動手段が構成される。この駆動手段は、特許請求の範囲に記載の駆動手段に対応している。なお、レンズ保持枠112の駆動については後に詳述する。
図2及び図3に示すように、本発明の光学補正ユニット100はこの駆動手段を3つ有しており、これらは光軸と直行する平面において光軸を中心とする円周上に120°の間隔で、上述した鋼球131の支持手段と干渉しない位置に設けられている。本実施形態では、隣り合う駆動手段と支持手段とが光軸を中心に60°ずれて配置されている。さらに、各コイル124は概ね矩形形状をしており、その長辺が光軸を中心とする円周の接線方向と一致するように配置されている。
回路基板122に実装される各コイル124の巻線の内側には、ホール素子125が合計で3つ実装されている。すなわち各ホール素子125は、対応する永久磁石113と可動ヨーク115とに挟まれた空間中に位置しており、同時に、ホール素子125の検出部が永久磁石113の磁極境界線上に来るように配置されている。ホール素子125は、可動部材であるレンズ保持枠112の移動によって発生する、永久磁石113からの磁束密度の変化を検知する。3つのホール素子125の出力から、そのときの補正レンズ111の位置を知ることができる。これらのホール素子125と永久磁石113とで、特許請求の範囲に記載の位置検出手段を構成している。ホール素子125の位置検出の原理、及び、ぶれ補正の原理については後に詳述する。
なお、これ以降に説明する光学補正ユニット100に備えられた各部材の配置は、レンズ保持枠112がベース部材121に対してセンタリングされた状態を基準として説明する。レンズ保持枠112がセンタリングされた状態とは、補正レンズ111の光軸とベース部材121の中心軸とが一致し、さらに、各駆動手段の各部材の中心が光軸方向に一直線に並んだ状態を指すものとする。
ここで、駆動手段を構成する可動ヨーク115について説明する。レンズ保持枠112の円筒部112a先端に設けられる可動ヨーク115は、永久磁石113及びコイル124に対応する位置に設けられる3つの対向部115aと、それらを繋ぐ連結部115bとを有するフラットな一体形状のプレスパーツである。対向部115aは対応する永久磁石113と同じような広さを持った形状であり、連結部115bは可動ヨーク115全体の強度と軽量化を両立できる範囲で対向部115aよりも細い形状となっており、可動ヨーク115は全体として概ねY字形状となっている。
この可動ヨーク115は軟磁性体の金属で作られており、このためレンズ保持枠112に設けられた永久磁石113との間で磁気吸引力が発生する。可動ヨーク115はこの吸引力を利用してレンズ保持枠112に吸着され、円筒部112aの先端に設けられた位置決め凸部115cと対応する複数の切り欠き部115dのみによって位置決めされる。これらは、位置決め手段を構成している。
このような構成とすることによって、磁束を整流するためのヨーク(本実施形態の可動ヨーク115)が磁束を発生するための永久磁石113と一体となって移動するので、可動ヨーク115に作用する磁力は常に一定となる。従って、磁石とヨークの相対位置が変化するような構成と比べて、可動ヨーク115内に渦電流が発生せず、これによる動作抵抗によってレンズ保持枠112の駆動効率が低下することもない。
また、3つの駆動手段のためのヨークを一体形状とし、この可動ヨーク115を磁気吸引力のみでレンズ保持枠112の円筒部112aを利用して固定可能としたので、3つの単体ヨークを可動部材に個別に固定する場合と比べて、単体ヨーク用の固定部材が不要となり、部品点数や組立工数を大幅に削減できる。さらに、ヨークの形状をコの字形状とした場合と比べて、上下のヨークを結ぶ連結部が不要となるため、部品点数の削減やユニットの小型化が達成できる。
ホール素子125を用いた位置検出の原理について、図5を参照して説明する。ホール素子125は、磁束密度を検知し、検知した磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサの一種である。図5aに示すように、ホール素子125の近傍に検出用磁石126が配置されているときを考える。
検出用磁石126は、図示のように角型平板状の2極磁石が2枚重なった構成となっており、その着磁方向は、磁石の平面方向を2等分するように極性を異ならせていると共に、その平面方向と直交する厚み方向をも2等分するように極性を異ならせている。このような構成とすると、検出用磁石126の両端には垂直方向に互いに逆向きの磁束が発生し、検出用磁石126を2極磁石1枚のみで構成するよりも、高い磁束密度が得られるようになる。検出用磁石126の垂直方向には軟磁性体の金属で作られたヨーク127を2つ配置している。これにより、漏洩磁束の少ない磁気回路が構成できる。ホール素子125は、この検出用磁石126の平面方向のS極とN極間の磁極境界線の延長上に位置しており、この状態を基準とする。
図5bは、検出用磁石126が形成する磁界の磁束密度を表したグラフであり、横軸は平面方向の距離、縦軸は磁束密度を示している。検出用磁石126の磁極境界線上では磁束密度がゼロとなる。図5aの構成では、検出用磁石126の磁極境界線に垂直な方向に移動したときに、ホール素子125は検出用磁石126の磁束密度を検知し、グラフに示した磁束密度に比例した電圧を出力する。
検出用磁石126の磁極境界線上の近傍では、磁束密度は図中の破線にあるような所定の範囲内では良好な直線性(リニアリティ)を示す。ホール素子125の検出精度は、検出用磁石126の1mmの移動に対して数μmのオーダーであるものが多い。従って、磁束密度のリニアリティが確保された領域内で検知された磁束密度を利用することで、ホール素子125の位置を高精度に検出することが可能となる。なお、リニアリティが確保できる領域は、検出用磁石126の大きさ、ホール素子125の動作特性、さらに検出用磁石126とホール素子125との間の空間距離等に依存する。
本実施形態では、上述した検出用磁石126が駆動手段を構成する永久磁石113を兼ねる構成としており、永久磁石113の着磁は上述した検出用磁石126と同様としてある。これにより、2つの磁石を別部材として設ける場合と比べて、重量増加の抑制やスペースの効率的な利用が可能となる。また、本実施形態の可動ヨーク115とバックヨーク114が、上述したヨーク127の役割を果たす。
次に、図3に示す上面図及び図4に示すA−A線断面図を用いて、駆動手段を構成する各部材の、光軸に垂直な平面方向での大小関係を説明する。なお図3においては説明をわかりやすくするために、可動ヨーク115と回路基板122を半透明とし、破線で示している。
概ね円盤形状を有する光学補正ユニット100の半径方向に関しては、可動ヨーク115、永久磁石113、バックヨーク114は概ね同一の大きさを有しており、コイル124はそれらよりも若干小さくなっている。接線方向に関しては、可動ヨーク115とバックヨーク114の大きさは、コイル124巻線の内径と外径の間に収まる大きさとなっており、また、永久磁石113の大きさは、コイル124巻線の内径よりも若干小さくなっている。これらの各部材の大きさの違いは、光学補正ユニット100の光学補正を行おうとする範囲や可動部の重量、使用するホール素子125の動作特性等により決定される。
光軸方向においてコイル124が永久磁石113と重なる領域は、レンズ保持枠112をベース部材121に対して駆動させる力を発生する駆動力発生部として機能する。本実施形態によれば、永久磁石113と重なるのはコイル124の長辺部分である。以下に、本実施形態の駆動手段において駆動力が発生する原理を簡単に説明する。
図6に示すように、レンズ保持枠112に固定された永久磁石113は、レンズ保持枠112にインサート成形されたバックヨーク114と、レンズ保持枠112の円筒部112a先端に磁気吸引により固定された可動ヨーク115とで挟まれることによって、各永久磁石113から発生する磁束は漏れが少なく整った向きで効率的に互いのヨークの方向に差し向けられる。これにより、各駆動手段は図6に書き込まれるような磁気回路を構成する。
上述したように、回路基板122に実装されるコイル124の長辺は磁気回路中に位置しており、このコイル124に通電するとコイル124内を流れる電子にローレンツ力が働くので、これによりレンズ保持枠112はベース部材121に対して駆動されることになる。発生する駆動力の向きはフレミング左手の法則に従う。
本実施形態では、上述した3つの駆動手段は図3に示すように、各コイル124の長辺が光軸を中心とする円周の接線方向を向くように120°間隔で配置されている。従って、各駆動手段の駆動力は円周の半径方向に120°間隔で3軸あることになる。上述したように、レンズ保持枠112は支持手段によって光軸と直交する平面内で移動自在とされているので、レンズ保持枠112は3つの駆動軸に沿って、ベース部材121に対して並進移動される。それら3軸に沿った駆動を適切に組み合わせることによって、任意の位置にレンズ保持枠112を移動させることが可能となる。
次に、レンズ保持枠112が光軸方向に移動しないようにするために、レンズ保持枠112をベース部材121側に付勢する付勢手段について説明する。図2及び図4にあるように、レンズ保持枠112の各バックヨーク114には、それぞれ吸着用磁石141が、永久磁石113の取り付けられる面とは反対側の面に磁気吸引によって取り付けられている。吸着用磁石141と永久磁石113との間の保持力をさらに高めるために、これらの間に接着剤や両面粘着テープ等の接着手段を介在させることも考えられる。また、ベース部材121の裏側であって、これら吸着用磁石141と対応する位置には、それぞれ吸着用ヨーク142が接着剤や両面粘着テープ等の接着手段によって固定されている。この吸着用ヨーク142は、レンズ保持枠112に固定される可動ヨーク115と同様に軟磁性体の金属で作られているので、吸着用磁石141と吸着用ヨーク142との間にも磁気吸引力が発生する。これらの吸着用磁石141と吸着用ヨーク142とで、付勢手段を構成している。
なお、吸着用ヨーク142は、ベース部材121の背面に設けられた凹部内に固定されているので、吸着用ヨーク142と吸着用磁石141との間の距離を短くすることができる。このため、吸着用磁石141を大きくしなくても、レンズ保持枠112の付勢に必要な吸着力が得られる。
以上のような構成とすることによって、吸着用の磁石を駆動力発生用の磁石で兼用させた場合と比べて、レンズ保持枠112の吸着力を任意に設定することができるので、支持手段を構成する鋼球131にかかる圧力を必要最小限に抑えることができる。これにより、鋼球131の受け部に高い硬度の金属板等を別途設ける必要がなく、支持手段の耐久性を維持することが可能となる。さらに、受け部の耐久性を気にせずに、永久磁石113やコイル124の大型化による駆動手段の駆動力向上を図ることができる。
また本実施形態の付勢手段では、付勢するための専用部材を可動部材側にも設けることになるが、このような構成では、吸着用の磁石を駆動力発生用の磁石で兼用させた場合と比べて、可動部材とベース部材との間で渦電流が発生することはないので動作抵抗が発生せず、駆動手段の出力効率の低下を防ぐことができる。さらに、吸着用ヨーク142と吸着用磁石141との間のコギングにより、ベース部材121に対するレンズ保持枠112の回転運動が抑制されるので、回転止め等の新たな部材を追加する必要がなくなる。
次に本発明の実施例における光学補正ユニット100への補正レンズ111の熱かしめ方法について図8から図13を用いて詳細に説明する。
光学補正ユニット100を組み立てる場合において、レンズ保持枠112へ補正レンズ111を熱かしめにより取りつけ、レンズ保持枠112と補正レンズ111が一体となった部品を光学補正ユニット100へ組み込む方法が考えられる。しかしながら、光学補正ユニット100は駆動機構等の複雑な構造を有しており、多くの組立工数を要するため、上記の組立方法をとると、補正レンズ111をレンズ保持枠112へ取りつけた後の組み立て工程において、補正レンズ111にゴミ、傷、汚れ等を付着させてしまうおそれがある。
光学補正ユニット100の完成時に、補正レンズ111にゴミ、傷、汚れ等が付着しているおそれがあると、光学性能を損なう原因となるばかりでなく、これを検査し取り除く工程が必要となり組立コストの増加につながる。したがって、光学補正ユニット100の組立工程において、補正レンズ111を最後に組み付ける方法をとるほうが効率的である。
しかし、光学補正ユニット100は複雑な構造を有しているため、補正レンズ111以外を組み付けた後で、補正レンズ111を光学補正ユニット100へ組み付けられたレンズ保持枠112へ精密に取りつけることは容易ではない。その上、レンズ保持枠112へ補正レンズ111を取りつける方法は、一般的に補正レンズ111へ圧入、加熱を行う熱かしめ方法をとるため、さらに困難性をともなう。
本発明は、光学補正ユニット100へ予め組み付けられた駆動機構等に対して歪みや破壊等の悪影響を与えることなく、補正レンズ111を光学補正ユニット100に予め組み付けられたレンズ保持枠112へ熱かしめ方法により取りつける光学補正ユニット組立方法及びその光学補正ユニットの構造を提供する。
補正レンズ111を光学補正ユニット100へ予め組み付けられたレンズ保持枠112へ熱かしめ方法により取りつけるには、後述する複数のかしめ治具を使用する。
また、熱かしめ方法は大きく四段階に分かれ、補正レンズ111の取りつけ工程のみを残して組み立てられた光学補正ユニット100をかしめ受け台へセットする段階と、この光学補正ユニット100へ補正レンズ111を圧入する段階と、補正レンズ111をレンズ保持枠112へ熱かしめ方法により取りつける段階と、熱かしめ方法に使用した治具を取り外す段階とに分かれる。
次に補正レンズ111が、光学補正ユニット100へ予め組み付けられたレンズ保持枠112へ熱かしめ方法により取りつけられる手順について説明する。
まず、補正レンズ111の取りつけ工程のみを残して組み立てられた光学補正ユニット100をかしめ受け台へセットする段階について図8の断面図を用いて説明する。
図8において、301はかしめ受け台、100は光学補正ユニット、112はレンズ保持枠、115は可動ヨークを示している。
光学補正ユニット100は、図8aに示すように上方からかしめ受け台301へ向かって下降し、図8bに示すように最終的にかしめ受け台301に形成されたレンズ保持枠受け部301aへレンズ保持枠112の内径が嵌るようにセットされる。
このとき、レンズ保持枠112は、後からレンズ保持枠112に圧入される補正レンズ111の光軸と中心が同じになるような位置で、かしめ受け台301にセットされなければならない。
すなわち、光学補正ユニット100がかしめ受け台301へセットされる際に、レンズ保持枠112を位置決めするためにかしめ受け台301に形成されたレンズ保持枠受け部301aへ、レンズ保持枠112の内径が嵌るようにしならなければならない。そのため、かしめ受け台301には、レンズ保持枠112を位置決めするレンズ保持枠受け部301aへ誘導するための傾斜部301bが設けられている。この傾斜部301bは、特に可動部材であるレンズ保持枠112の中心とベース部材121の中心とを一致させて保持する中心保持機構が設けられていない光学補正ユニット100において、後に説明する補正レンズ111をレンズ保持枠112へ正確に圧入するための重要な形状である。
ここで、図9を用いて、光学補正ユニット100がかしめ受け台301へセットされる際に、レンズ保持枠112の内径が傾斜部301bによってレンズ保持枠受け部301aへ嵌るように誘導される補正方法について説明する。
本実施例では、光学補正ユニット100が通電されていない時において、レンズ保持枠112は、ベース部材121の中心と一致する位置に固定されない。即ち、本実施例においては、レンズ保持枠121は、駆動手段により中心位置へ制御可能であるが、機械的な中心保持機構を有していないため、駆動手段への通電時以外は中心位置に固定されることなく自由に可動である。
したがって、本実施例ではレンズ保持枠112をかしめ受け台301上でしっかりと位置決めするため、レンズ保持枠112の内径が傾斜部301bによりレンズ保持枠受け部301aへ嵌るように誘導する必要がある。
まず図9aでは、光学補正ユニット100が、レンズ保持枠112の中心X1とかしめ受け台301に形成されたレンズ保持枠受け部301aの中心X2とがずれている状態で、かしめ受け台301へ向かって下降する場合を想定している。
次の図9bにおいて、光学補正ユニット100がかしめ受け台301に接触する直前まで下降してくると、レンズ保持枠112がかしめ受け台301のレンズ保持枠受け部301aに当たる前に、可動ヨーク115縁部の一部が傾斜部301bへ当たる。傾斜部301bは、光学補正ユニット100の可動ヨーク115縁部の全部又は一部が当たるように形成されている。
可動ヨーク115縁部は、かしめ受け台301の傾斜部301bに当たった後、そのまま傾斜部301bに沿って下降する。これにより、図9cに示すように、レンズ保持枠112は最終的にかしめ受け台301に形成されたレンズ保持枠受け部301aに嵌るように誘導され、位置決めされる。レンズ保持枠112がかしめ受け台301でレンズ保持枠受け部301aに位置決めされる位置は、後から圧入される補正レンズ111の光軸中心とレンズ保持枠112の中心X2とが一致する位置である。
なお、本実施例では、かしめ受け台301に傾斜部が形成されているが、逆に可動部材側に傾斜部を形成し、この傾斜部がかしめ受け台301の一部に当たり、レンズ保持枠112がかしめ受け台301の所定の位置に誘導されることとしても同等の効果が得られる。
次に、光学補正ユニット100がかしめ受け台301へセットされた後に、レンズ保持枠112へ補正レンズ111が圧入される段階について図10の断面図を用いて説明する。
図10において、111は補正レンズ、302は補正レンズ圧入ホーン、303はかしめ受け台固定部材を示している。
図10aでは、まず補正レンズ圧入ホーン302とかしめ受け台固定部材303とに保持された補正レンズ111が全て一体となり、光学補正ユニット100がセットされたかしめ受け台301に向かって上方から下降する。
図10bでは、一体となった補正レンズ圧入ホーン302とかしめ受け台固定部材303とが補正レンズ111を保持したまま、補正レンズ111がレンズ保持枠112に接触する直前まで下降する。このとき、かしめ受け台固定部材303のみが、かしめ受け台301外周部に接触する。かしめ受け台固定部材303は、かしめ受け台301外周部に接触すると、これ以上下降することはできない。
図10cでは、補正レンズ圧入ホーン302が、下降できなくなったかしめ受け台固定部材303と分離して、かしめ受け台301へ向かってさらに下降する。これにより、保持されていた補正レンズ111は、補正レンズ圧入ホーン302の突起部302aからの押し出し力でレンズ保持枠112へ向かって圧入され、補正レンズ111はレンズ保持枠112へセットされる。なお、補正レンズ111は補正レンズ圧入ホーン302の突起部302aに押し出されるだけであり、後に補正レンズ圧入ホーン302を上方に引き上げたとしても、これに光学補正ユニット100やレンズ保持枠112が接着することはない。
次に、レンズ保持枠112へ圧入された補正レンズ111を、熱かしめ方法によりレンズ保持枠112へ取りつける段階について図11の断面図を用いて説明する。
図11は、本発明の特徴をわかりやすく説明するため、光学補正ユニット100の構造である永久磁石113やコイル124等の駆動機構等を省略し、概念的に図示したものである。
図11において、304はかしめホーン、305はレンズ保持枠固定部材を示している。レンズ保持枠固定部材305は特許請求の範囲に記載の可動部固定部材に相当する。
熱かしめ方法によりレンズ保持枠112へ補正レンズ111を取りつける段階においては、図10の補正レンズ111を圧入した治具にかわって、かしめホーン304とレンズ保持枠固定部材305を使用する。
図11aでは、まずかしめホーン304とレンズ保持枠固定部材305とが、かしめ受け台301の上部にセットされ、レンズ保持枠固定部材305のみがかしめ受け台301へ向かって下降する。
次の図11bに示すように、レンズ保持枠固定部材305は最終的にかしめ受け部301に接触するまで下降する。このとき、レンズ保持枠固定部材305に複数形成されたレンズ保持枠支えピン305aの先端が、光学補正ユニット100のベース部材121に複数形成された貫通孔121aを通してレンズ保持枠112に複数箇所で当接する。レンズ保持枠支えピン305aは特許請求の範囲に記載の可動部支えピンに相当する。その後、かしめホーン304がかしめ受け台301へ向かって下降し始める。
図11cでは、かしめホーン304が下降し、最終的にレンズ保持枠112の円筒部112a外周へ圧接した状態を示している。ここで、図11cの状態を図12と図13の断面斜視図を用いて詳細に説明する。
図12は、図11cの状態を示した断面斜視図である。図12では、光学補正ユニット100の駆動機構等の図示を省略していない。図9を用いて説明した通り、レンズ保持枠112は、可動ヨーク115縁部が傾斜部301b誘導されることにより、かしめ受け台301においてレンズ保持枠受け部301aに嵌るように位置決めされる。かしめホーン304は、レンズ保持枠112内径の円筒部112aに形成されているかしめ部112cを図12及び図13のようにとらえ、さらに加熱及び加圧する。したがって、レンズ保持枠112は熱可塑性樹脂でできており、かしめ部112cは補正レンズ112外縁を保持するように成型される。
図13は、図11cの状態を示した拡大断面斜視図である。レンズ保持枠固定部材305に形成されたレンズ保持枠支えピン305aは、貫通孔121aを通してレンズ保持枠112へ当接している。図2から明かである通り、本実施例では光学補正ユニット100のベース部材121に六つの貫通孔121aが形成されており、これに対応してレンズ保持枠固定部材305にも六つのレンズ保持枠支えピン305aが形成されている。
次に、熱かしめ方法に使用したかしめホーン304をを取り外す段階について説明する。
図11dでは、熱かしめが終了した後、かしめホーン304のみがレンズ保持枠固定部材305と分離して上方へ引き上げられる。このとき、図13を用いて説明した通り、レンズ保持枠固定部材305に形成された複数のレンズ保持枠支えピン305aは、ベース部材121に複数形成された貫通孔121aを通してレンズ保持枠112へ当接されているので、レンズ保持枠112は、かしめホーン304が引き上げられる際に熱かしめでかしめホーン304と接着されてしまった場合でも、かしめホーン304とともに引き上げられてしまうことはない。
その後、図11eでは、レンズ保持枠固定部材305が引き上げられ、補正レンズ111のレンズ保持枠112への熱かしめが完了する。
レンズ保持枠112が、かしめホーン304により引き上げられてしまうと、ベース部材121に対してレンズ保持枠112を支持する鋼球131を圧迫してしまうおそれがある。そのため、ベース部材121に対して鋼球131がレンズ保持枠112を支持する以上の過度の負担を鋼球131へ与えてしまうおそれがある。
したがって、可動側鋼球受け部132あるいは固定側鋼球受け部133へ圧痕を形成してしまったり、既に組み付けられている光学補正ユニット100の駆動機構等を破壊してしまったりするおそれがある。可動側鋼球受け部132あるいは固定側鋼球受け部133に圧痕が形成されると、鋼球131の転がりが均一でなくなり、像ぶれ補正制御の精度が低下するおそれがある。
本発明では、熱かしめ終了後、まず複数のレンズ保持枠支えピン305aでレンズ保持枠112を押さえ、かしめホーン304のみを引き上げることにより、仮にかしめホーン304とレンズ保持枠112が接着していたとしても、かしめホーン304からレンズ保持枠112を引き離し、既に組み上げられた光学補正ユニット100の構造を変形や破壊から保護できる。
本発明では、熱かしめ終了後、かしめホーン304を引き上げる際に、レンズ保持枠固定部材305に形成されたレンズ保持枠支えピン305aでレンズ保持枠112を押さえたままかしめホーン304を引き上げる。したがって、本発明は、かしめホーン304とレンズ保持枠112とが熱かしめ時に接着されていたとしても、かしめホーン304の引き上げ時において、かしめホーン304がこれに接着したレンズ保持枠112を引き上げ、光学補正ユニット100の支持部材を圧迫し、鋼球131により可動側鋼球受け部132あるいは固定側鋼球受け部133へ圧痕を形成してしまうことを防ぐことができる。
本発明では、熱かしめ工程でかしめホーン304へ接着してしまったレンズ保持枠112を引き上げることにより、既に組み立てられ調整された光学補正ユニット100の構造、駆動機構等を破壊してしまうことを防止できる。
図7は、上述してきた構成及び機能を有した光学補正ユニット100を備えた本発明のレンズ鏡筒の一実施形態を示したブロック図であり、さらに、このレンズ鏡筒とカメラ本体とからなるカメラシステムのブロック図を示している。このカメラシステムは、本発明の撮像装置の一実施形態を示すものである。
カメラシステム200は、レンズ鏡筒210及びカメラ本体220から構成されている。レンズ鏡筒210は概ね円筒形状であり、内部に結像光学系211を備えている。レンズ鏡筒210の後端部には不図示のレンズ側マウントが設けられている。また、カメラ本体220の前面には不図示のカメラ側マウントが設けられており、双方のマウントが結合することでレンズ鏡筒210とカメラ本体220とが着脱可能に固定される。
結像光学系211の光軸上のカメラ本体220内部には、被写体光を光電変換する不図示の撮像素子(CCD、CMOS等)が設けられている。また、カメラ本体220背面には不図示の表示装置(LCD、有機EL等)が設けられており、さらに、カメラ本体220には記録メディア用のスロットが設けられている。これにより、このカメラ本体220は、撮像素子で得られた画像情報を記録メディアに記録したり、表示装置に表示したりすることができる。
レンズ鏡筒210内には、さらに上述してきた光学補正ユニット100が備えられている。この光学補正ユニット100の補正レンズ111は、レンズ鏡筒210の結像光学系211の一部を構成している。また光学補正ユニット100のベース部材121は、センタリング状態にある光学補正ユニット100の補正レンズ111の光軸が結像光学系の光軸と一致するように、レンズ鏡筒210内に固定されている。
レンズ鏡筒210には2つのジャイロセンサ212が備えられており、カメラシステム200のピッチ方向とヨー方向の回転を検知する。これらのジャイロセンサ212が、撮影者の手の震えや揺れ等によってカメラシステム200に働く加速度、角速度、又は角加速度からカメラ姿勢の変化を検出し、検出されたカメラ姿勢情報がCPU221内の制御量演算部221aに入力される。
また、すでに述べたように、光学補正ユニット100内で位置検出系を構成する3つのホール素子125は、永久磁石113の移動に伴う磁束の変化を検出する。3つのホール素子125の出力から、そのときの補正レンズ111の位置がわかる。検出された補正レンズ111の位置情報もCPU221内の制御量演算部221aに入力される。
CPU221内の制御量演算部221aでは、入力されたカメラ姿勢情報及び補正レンズ位置情報が比較され、ぶれ補正に必要な制御量が算出される。算出された制御量は、同じくCPU221内にある駆動制御部221bに送られる。
駆動制御部221bでは、算出された制御量に基づいて、ぶれ量を補正するために必要な補正レンズ111の駆動量及び駆動方向が演算され、各駆動手段のコイル124に流す電流量等が適切に制御される。
上述した実施形態では支持手段を構成する球体として鋼球131を用いたが、金属ではなく例えばセラミック製の球を用いてもよい。セラミックは金属に比べて熱膨張が少ないので、セラミック球を用いた支持手段を採用することによって、気温変動が大きいような過酷な環境にも耐えうる光学補正ユニットを実現することができる。
また、可動ヨーク115の位置決め手段を、可動ヨーク115に設けた切り欠き部115dと、レンズ保持枠112に設けた位置決め凸部115cとで構成していたが、これを、可動ヨーク115に設けられた穴部と、レンズ保持枠112に設けた位置決めピンとしてもよい。
上述した実施形態では、光軸を中心とする円周上に配置された各駆動手段の駆動力出力軸の交点が、光軸上に来るような構成としていたが、少なくとも1つの駆動手段の駆動力の発生方向を、光軸を中心とする円周の接線方向としてもよい。駆動力の発生方向を円周の接線方向とするためには、駆動力発生部として機能するコイル124の長辺を、光軸を中心とする円周の接線方向ではなく半径方向を向くように配置すればよい。これによりこの駆動手段は円周の接線方向の駆動力を発生することができる。また、ホール素子125が円周の接線方向の移動を検出するためには、駆動手段内の永久磁石113の着磁方向を光軸に直交する平面において90°回転させる。すなわち、永久磁石113の磁極境界線が円周の半径方向を向くように配置すればよい。
また、本発明の実施形態として光学補正ユニット100を有するレンズ鏡筒を交換レンズ210とし、これをカメラ本体220に結合したカメラシステム200について説明したが、ぶれ補正を行うための各種演算部をレンズ鏡筒内に配置することで、レンズ鏡筒のみでぶれ補正を行うことも可能である。
さらに、本発明の撮像装置の一実施形態としてカメラシステム200について説明したが、これに限られるものではなく、例えばビデオカメラやコンパクトデジタルカメラに適用することも可能である。
以上説明したように、本発明の光学補正ユニット、レンズ鏡筒及び撮像装置によれば、ガイド軸を用いない3軸タイプの光学補正ユニットであって、光学補正ユニットの小型化を達成しつつ、補正レンズの駆動効率を向上させることが可能となる。
100 光学補正ユニット
111 補正レンズ
112 レンズ保持枠
112a 円筒部
112b フランジ部
112c かしめ部
113 永久磁石
114 バックヨーク
115 可動ヨーク
115a 対向部
115b 連結部
115c 位置決め凸部
115d 切り欠き部
121 ベース部材
121a 貫通孔
122 回路基板
124 コイル
125 ホール素子
131 鋼球
141 吸着用磁石
142 吸着用ヨーク
200 カメラシステム
210 レンズ鏡筒
211 結像光学系
212 ジャイロセンサ
220 カメラ本体
221 CPU
221a 制御量演算部
221b 駆動制御部
301 かしめ受け台
301a レンズ保持枠受け部
301b 傾斜部
302 補正レンズ圧入ホーン
302a 突起部
303 かしめ受け台固定部材
304 かしめホーン
305 レンズ保持枠固定部材
305a レンズ保持枠支えピン

Claims (6)

  1. 振動に起因する像ぶれを補正する補正レンズと、
    該補正レンズを保持する可動部材と、
    ユニットの基部を構成するベース部材と、
    該ベース部材に対して該可動部材を、該補正レンズの光軸と略直交する平面上で並進及び回転自在に支持する支持手段と、
    該補正レンズの位置を検出する位置検出手段と、
    該可動部材を前記光軸に略直交する方向に移動させる駆動手段とを備え、
    前記補正レンズは前記可動部材へ熱かしめ方法により取りつけられる光学補正ユニットの組立方法において、
    前記ベース部材には複数の貫通孔が形成され、
    前記補正レンズが前記可動部材へ熱かしめ方法により取りつけられる際に、
    可動部固定部材に形成された可動部支えピンが、該貫通孔を通して該可動部材へ当接することにより該可動部材を押さえ、
    かしめホーンが引き上げられた後に、該可動部支えピンは、該可動部材への押さえを解除する、
    ことを特徴とする光学補正ユニット組立方法。
  2. 請求項1の光学補正ユニット組立方法において、
    前記可動部材は、前記補正レンズが熱かしめ方法により取りつけられる前に、
    かしめ受け台又は該可動部材側に形成された傾斜部により該可動部材の中心と前記ベース部材の中心とが一致するように該かしめ受け台上で位置決めされる、
    ことを特徴とする光学補正ユニット組立方法。
  3. 請求項1又は請求項2の光学補正ユニット組立方法により組み立てられ、前記ベース部材に複数の貫通孔を有することを特徴とする光学補正ユニット。
  4. 前記支持手段は、球体と、前記可動部材及び前記ベース部材に設けられた受け部とからなり、前記光軸を中心とする円周上に略120°間隔で配置されることを特徴とする請求項3に記載の光学補正ユニット。
  5. 請求項3又は4に記載の光学補正ユニットを備えたことを特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項5に記載のレンズ鏡筒を備えたことを特徴とする撮像装置。
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