JP5229643B2 - シフトバイワイヤシステム - Google Patents

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Description

本発明は自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムに関する。
従来、車両制御の分野において、車両状態を変化させるアクチュエータを車両の運転者の指令によってバイワイヤ制御回路により電気制御するバイワイヤシステムが実用化されている。例えば、運転者の指令によって車両の自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムが知られている。シフトバイワイヤシステムでは、例えば電動のアクチュエータを回転させて自動変速機の変速機構部を駆動することによりシフトレンジを切り替える。ここで用いられるアクチュエータは、高速で回転するモータ部、および当該モータ部の回転を減速して出力する減速部を有している。また、モータ部としてSRモータ等のブラシレスモータを採用する場合、アクチュエータには、モータ部の回転角の変化分に応じたパルス信号を出力するインクリメンタル型のエンコーダが設けられることが一般的である。このエンコーダによりモータ部の最適な励磁通電制御が可能となる。
特許第4248290号公報
ところで、アクチュエータの回転により自動変速機の変速機構部を正確に駆動するには、アクチュエータの減速部の出力軸の絶対的な回転位置(絶対位置)を検出し、検出した絶対位置に基づきアクチュエータを回転させる必要がある。出力軸の絶対位置を検出する方法としては、非接触式であれば、出力軸上にリニア出力センサ、または、出力軸の回転角の絶対値を出力するアブソリュート型のエンコーダを設定する方法が考えられる。接触式であれば、出力軸上に従来自動変速機等に搭載されているニュートラルスイッチ等を設定する方法が考えられる。また、アクチュエータのモータ部上に多回転対応のアブソリュート型のエンコーダを設定することによっても出力軸の絶対位置を検出可能である。
しかしながら、接触式の場合、信頼性および耐久性の面で劣ることと、出力軸の回転位置を検出できても回転角までは検出できないため、シフトバイワイヤシステムで採用するのはフェイルセーフ上、望ましくない。また、アブソリュート型のエンコーダは、構造が複雑でコストが高く、多回転対応の場合はさらにその傾向がある。また、リニア出力センサも比較的コスト高の傾向がある。
特許文献1には、駐車用のレンジである「Pレンジ」、または、Pレンジ以外のレンジである「非Pレンジ」のいずれかにシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムが開示されている。このシフトバイワイヤシステムでは、モータ部の励磁通電制御用のインクリメンタル型のエンコーダのみを用いて、アクチュエータの出力軸の絶対位置に対応する基準位置を学習し、学習した基準位置と所定回転量とに基づき、出力軸の絶対位置を設定および検出している。このように、出力軸の絶対位置を検出するのにインクリメンタル型のエンコーダのみを用いることで、システムの低コスト化を図っている。
特許文献1のシフトバイワイヤシステムは、車両電源がオンしたとき、自動変速機のシフトレンジの両端レンジ(Pレンジまたは非Pレンジ)のうち少なくとも一方(出力軸の絶対位置)に対応する基準位置を学習する。ここで、Pレンジまたは非Pレンジのどちらの基準位置を学習するかについては、車両電源がオンしたときの車両の状態(車速)に応じて決定している。これにより、車両電源の瞬断後の電源復帰(電源オン)時においても安全かつ速やかに車両を通常の制御状態に戻すことを可能としている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術では自動変速機のシフトレンジが2つ(Pレンジおよび非Pレンジ)であることを前提としているため、当該技術を、例えば「Pレンジ(両端レンジのうちの一方)、後進用のレンジであるRレンジ、中立のレンジであるNレンジ、および、前進用のレンジであるDレンジ(両端レンジのうちの他方)の4つのレンジを含む自動変速機」の切り替え制御にそのまま適用した場合、様々な問題が生じるおそれがある。例えば実レンジがNレンジのとき(車輪に駆動トルクが伝達されていない状態のとき)に車両電源の瞬断が生じ、その後、電源が復帰した場合、学習制御によってシフトレンジがDレンジまたはPレンジに入ることにより車両が突然前進または(後進および)停止するため、運転者に危険や不安を感じさせるおそれがある。また、例えば実レンジがRレンジのとき(後進時)に車両電源の瞬断が生じ、その後、電源が復帰した場合、学習制御によってシフトレンジがDレンジまたはPレンジに入ることにより車両が突然前進(逆走)または停止するため、運転者に危険や不安を感じさせるおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、車両電源が瞬断しても安全に通常の制御状態に復帰可能なシフトバイワイヤシステムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、車両の運転者により操作されるシフト選択手段からの信号に応じて自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムであって、アクチュエータとディテントプレートとディテントスプリングと制御部とを備える。アクチュエータは、電力により回転するモータ部、当該モータ部の回転に応じてパルス信号を出力するインクリメンタル型のエンコーダ、および、モータ部の回転を減速して出力する減速部を有する。ディテントプレートは、アクチュエータの減速部に接続するよう設けられることでアクチュエータにより回転駆動され、第1凹部、第2凹部および複数の中間凹部を有する。第1凹部は、ディテントプレートの回転方向の一方側に形成されている。第2凹部は、ディテントプレートの回転方向の他方側に形成されている。複数の中間凹部は、第1凹部と第2凹部との間に形成されている。ディテントスプリングは、規制部を有し、当該規制部が第1凹部、複数の中間凹部または第2凹部に嵌り込むことでディテントプレートの回転を規制することにより、自動変速機のシフトレンジを固定可能である。制御部は、シフト選択手段からの信号に基づき目標レンジを決定する目標レンジ決定手段を有し、自動変速機のシフトレンジが、目標レンジ決定手段により決定された目標レンジとなるようアクチュエータの回転を制御する。より具体的には、目標レンジ決定手段は、シフト選択手段の信号、ブレーキ信号および車速信号等に基づき目標レンジを決定する。
ここで、第1凹部は、駐車用のレンジであるPレンジに対応している。また、第1凹部は、第2凹部とは反対側に第1壁を有している。第2凹部は、前進用のレンジである「Dレンジまたは最低速段レンジ」に対応している。複数の中間凹部は、それぞれ、後進用のレンジであるRレンジ、中立のレンジであるNレンジ、または、「最低速段レンジ以外の前進用のレンジ」に対応している。
制御部は、第1位置学習手段および電源オン判別手段を有している。第1位置学習手段は、第1凹部の第1壁にディテントスプリングの規制部が当接することによってアクチュエータの回転が規制される方向にアクチュエータを回転させ、このときエンコーダから出力されたパルス信号のカウント値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出することにより、Pレンジに対応するアクチュエータの第1基準位置を学習する。
制御部は、第1基準位置を学習することにより、例えば、予め記憶されている複数の所定値(第1基準位置から各シフトレンジに対応する位置までのアクチュエータの回転量を示す所定値)と第1基準位置とに基づき、各シフトレンジに対応するアクチュエータの回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータを回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる。
電源オン判別手段は、車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものか、車両電源が瞬断した後の復帰によるものかを判別する。
本発明では、制御部は、車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものであると電源オン判別手段により判別された場合、第1位置学習手段により第1基準位置を学習する。通常のオン操作により車両電源がオンしたときは、通常、実レンジはPレンジであり、車両は停止した状態であると考えられる。そのため、このとき、第1基準位置の学習が開始されても実レンジはPレンジのまま(車両は停止状態を維持したまま)なので、安全に、第1基準位置を学習でき、通常の制御状態に移行することができる。また、例えば実レンジがDレンジ等Pレンジ以外のレンジのとき車両電源が何らかの理由によりオフし、その後、運転者による通常のオン操作により車両電源がオンした場合、車両は停止状態のため、第1基準位置の学習が開始されることで車輪がロック(Pロック)されても何ら不都合はない。
一方、車両電源がオンしたとき、当該オンが、車両電源が瞬断した後の復帰によるものであると電源オン判別手段により判別された場合、制御部は、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう運転者に通知するとともに、アクチュエータを駆動しないことにより、そのときの実レンジを維持する。
上記構成により、本発明では、車両電源が瞬断した後の電源オン時、そのときの実レンジが維持される。また、このとき、制御部は、シフトレンジの切替要求については受け付けないが、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう運転者に通知するため、運転者の混乱を回避することができる。ここで、運転者が車両を停止し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンすると、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものであると電源オン判別手段により判別され、車両が停止した状態で、第1基準位置の学習が実施される。これにより、シフトバイワイヤシステムは、通常の制御状態に復帰する。なお、運転者によるオフ操作があったとき、エンコーダから出力されるパルス信号のカウント値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態となるまで、第1凹部の第1壁にディテントスプリングの規制部が当接することによってアクチュエータの回転が規制される方向にアクチュエータを回転させ、その後、車両電源のオフシーケンスに入れば、次の車両電源のオン操作時、実レンジがPレンジの状態で車両電源がオンされる。
このように、本発明によるシフトバイワイヤシステムは、車両電源が瞬断しても安全に通常の制御状態に復帰可能である。また、本発明では、アクチュエータの回転位置を検出するのにインクリメンタル型のエンコーダを用いているため、システム全体の構成を簡単にすることができる。よって、シフトバイワイヤシステムの小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本発明によるシフトバイワイヤシステムは、電源オン判別手段による判別後の処理が比較的単純なため、システム全体および制御ソフト(プログラム)を容易に構築することができる。
請求項2に記載の発明では、シフトレンジの切替要求があった場合、シフトレンジは切替不可であることを運転者に警告する警告手段をさらに備える。本発明では車両電源がオンしたとき、当該オンが、車両電源が瞬断した後の復帰によるものであると判別された場合、シフトレンジの切替要求の受け付けを不可とするが、このとき、運転者からシフトレンジの切替要求があった場合、警告手段により、シフトレンジは切替不可であることを運転者に警告することで運転者の混乱を回避できる。
本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを含む車両制御システムを示す概略図。 本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのアクチュエータを示す断面図。 本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムの変速機構部およびその近傍を示す図。 本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのディテントプレートを示す図。 本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムによるアクチュエータの回転位置の学習に関する処理フローを示す図。 本発明の第2実施形態によるシフトバイワイヤシステムのディテントプレートを示す図。
以下、本発明の複数の実施形態によるシフトバイワイヤシステムを図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下の説明では、電子制御ユニットを「ECU」と略記する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステム3を含む車両制御システム1を示している。例えば四輪の車両に搭載される車両制御システム1は、自動変速機制御システム2、シフトバイワイヤシステム3、エンジン制御システム4および統合ECU10などから構成されている。
自動変速機制御システム2、シフトバイワイヤシステム3およびエンジン制御システム4は、それぞれAT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14を有している。AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14は、いずれもマイクロコンピュータを主体に構成された電気回路である。AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14は、それぞれ車内のLAN回線17を経由して電気的または光学的に相互に接続されている。また、AT−ECU12、SBW−ECU13、EC−ECU14および統合ECU10は、車両の電源であるバッテリ18に電気的に接続されており、このバッテリ18から供給された電力によって作動する。統合ECU10は、上述のAT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14と共同して車両制御システム1全体を制御する。本実施形態において、SBW−ECU13は、特許請求の範囲の「制御部」に対応する。
自動変速機制御システム2は、車両の自動変速機20を油圧により駆動する。自動変速機制御システム2は、自動変速機20のシフトレンジおよび変速段を切り替える油圧回路21を備えている。本実施形態では、自動変速機20には、走行レンジとして前進用のレンジであるDレンジおよび後進用のレンジであるRレンジと、非走行レンジとして駐車用のレンジであるPレンジおよび中立のレンジであるNレンジとが設定されている。油圧回路21は、レンジ位置選択機構としてのスプールバルブであるマニュアルバルブ22を有している。マニュアルバルブ22は、軸方向へ移動することにより、油圧回路21を切り替える。マニュアルバルブ22が油圧回路21を切り替えることにより、自動変速機20は上記のシフトレンジのいずれかに設定される。自動変速機20は、いずれかのシフトレンジで締結する複数の摩擦係合要素を備えている。油圧回路21に設置されている複数の電磁弁23は、対応する摩擦係合要素を油圧により駆動する。これにより、各摩擦係合要素は、電磁弁23から供給される油圧によって締結または解放される。
AT−ECU12は、油圧回路21の電磁弁23などの電気要素に電気的に接続されている。これにより、AT−ECU12は、各電磁弁23からの出力油圧を電気的に制御する。AT−ECU12によって電磁弁23からの出力油圧を制御することにより、自動変速機20の各摩擦係合要素は締結または解放される。また、本実施形態の場合、AT−ECU12は、例えば自動変速機20の出力軸の回転数などから車両の速度を検出する車速センサ24と電気的に接続している。AT−ECU12は、車速センサ24から出力された検出信号を受信して車速を検出し、各電磁弁23を制御する。
シフトバイワイヤシステム3は、自動変速機制御システム2のマニュアルバルブ22、および、パーキングロック機構70(図3)を駆動するアクチュエータ30、および変速機構部31等を備えている。電磁駆動式のアクチュエータ30は、モータ部32、エンコーダ34および減速部33などを有している。
ここで、アクチュエータ30について説明する。本実施形態では、アクチュエータ30は、スイッチトリラクタンス(SR)モータであり、永久磁石を用いることなく駆動力を発生するブラシレスモータである。図2に示すように、モータ部32は、回転方向に配列された複数のコイル36が結線されているステータ35を有している。また、モータ部32は、ステータ35の内側にロータ37を有している。ロータ37は、中心部に軸部材38を有し、アクチュエータ30のハウジングに回転可能に支持されている。
SBW−ECU13は、モータ部32の複数のコイル36に所定のタイミングで順次通電し、ロータ37および軸部材38を回転させる。
本実施形態では、エンコーダ34は、アクチュエータ30のハウジング内に設けられている。エンコーダ34は、ロータ37と一体に回転する磁石と、ハウジングに固定された基板に実装され、磁石と対向配置されて磁石における磁束発生部の通過を検出する、磁気検出用のホールIC等により構成されている。エンコーダ34は、モータ部32(ロータ37)の回転角の変化分に応じてパルス信号を出力する。
上述のように、本実施形態でのエンコーダ34は、モータ部32の回転に応じてパルス信号を出力するインクリメンタル型のエンコーダである。SBW−ECU13は、エンコーダ34から出力されたパルス信号に応じてカウント用の値(カウント値)を減少(カウントダウン)または増大(カウントアップ)させる。これにより、SBW−ECU13は、モータ部32(ロータ37)の回転状態を検出可能である。SBW−ECU13は、エンコーダ34によってモータ部32の回転状態を検出することにより、モータ部32を脱調させることなく高速回転させることができる。なお、車両電源のオン毎(シフトバイワイヤシステム3の起動毎)に、モータ部32の励磁通電相学習(エンコーダ34から出力されたパルス信号に応じたカウント値と通電相の同期)のための初期駆動制御が行われる。この初期駆動制御により、アクチュエータ30の回転を適切に制御できるようになる。
減速部33は、モータ部32(軸部材38)の回転運動を減速して変速機構部31に伝達する。変速機構部31は、減速部33から出力された回転駆動力をマニュアルバルブ22、および、パーキングロック機構70へ伝達する。
変速機構部31は、図3に示すようにマニュアルシャフト51、ディテントプレート52およびディテントスプリング55などを有している。マニュアルシャフト51は、アクチュエータ30の減速部33に接続し、モータ部32の回転駆動力によって回転駆動される。ディテントプレート52は、マニュアルシャフト51から径方向外側に伸びてマニュアルシャフト51と一体に構成されている。これにより、ディテントプレート52は、マニュアルシャフト51と一体にアクチュエータ30によって回転駆動される。ディテントプレート52には、マニュアルシャフト51と平行に突出するピン54が設置されている。ピン54は、マニュアルバルブ22と接続している。その結果、ディテントプレート52がマニュアルシャフト51とともに回転することにより、マニュアルバルブ22は軸方向へ往復移動する。すなわち、変速機構部31は、アクチュエータ30の回転駆動力を直線運動に変換してマニュアルバルブ22に伝達する。
ディテントプレート52は、図4に示すように、マニュアルシャフト51の径方向外側に第1凹部61、中間凹部62、中間凹部63、第2凹部64を有している。第1凹部61は、ディテントプレート52の回転方向の一方側に形成されている。第2凹部64は、ディテントプレート52の回転方向の他方側に形成されている。中間凹部62および中間凹部63は、第1凹部61と第2凹部64との間に形成されている。
本実施形態では、第1凹部61は、自動変速機20のシフトレンジである「Pレンジ」に対応して形成されている。また、第1凹部61は、第2凹部64とは反対側に第1壁65を有している。中間凹部62は、「Rレンジ」に対応して形成されている。中間凹部63は、「Nレンジ」に対応して形成されている。第2凹部64は、「Dレンジ」に対応して形成されている。また、第2凹部64は、第1凹部61とは反対側に第2壁66を有している。
ディテントスプリング55は、先端に規制部としてのディテントローラ53を有している。マニュアルシャフト51を経由してディテントプレート52に回転方向の所定の力が加わると、ディテントローラ53は図4に示すように各凹部61〜64間に形成される凸部を乗り越えて隣接する他の凹部61〜64へ移動する。その結果、アクチュエータ30によってマニュアルシャフト51を回転させることにより、マニュアルバルブ22の軸方向の位置、および、パーキングロック機構70の状態が変化し、自動変速機20のシフトレンジが変更される。
ディテントローラ53が第1凹部61、中間凹部62、中間凹部63、第2凹部64のいずれかに嵌り込むことでディテントプレート52の回転を規制することにより、マニュアルバルブ22の軸方向の位置、および、パーキングロック機構70の状態が決定される。これにより、自動変速機20のシフトレンジが固定される。
本実施形態では、図4に示すようにシフトレンジが「Pレンジ」側から「Rレンジ」、「Nレンジ」および「Dレンジ」側へ切り替わるときにアクチュエータ30の減速部33が回転する方向を、正回転方向と定義している。一方、シフトレンジが「Dレンジ」側から「Nレンジ」、「Rレンジ」および「Pレンジ」側へ切り替わるときにアクチュエータ30の減速部33が回転する方向を、逆回転方向と定義している。
図4に示すように、本実施形態では、ディテントプレート52の回転可能範囲は、第1壁65とディテントローラ53とが当接する位置から、第2壁66とディテントローラ53とが当接する位置までの範囲となる。ただし、図4に示す回転可能範囲はディテントローラ53との関係におけるディテントプレート52の回転可能範囲のため、ディテントスプリング55の撓み量、伸び量、およびマニュアルシャフト51の捩れ量等を含めると、ディテントプレート52の絶対的な回転可能範囲は、図4に示す回転可能範囲よりも大きくなる。
図3は、シフトレンジが「Dレンジ」であるとき、すなわち、「Pレンジ」以外のレンジであるときのパーキングロック機構70の状態を示している。この状態では、パーキングギア74は、パーキングロックポール73によってロックされていない。そのため、車両の車輪の回転は妨げられない。この状態から、アクチュエータ30の減速部33が逆回転方向に回転すると、ディテントプレート52を介してロッド71が図3に示す矢印Xの方向に押され、ロッド71の先端に設けられたテーパ部72がパーキングロックポール73を図3に示す矢印Yの方向に押し上げる。その結果、パーキングロックポール73がパーキングギア74に噛み合い、パーキングギア74がロックされる。その結果、車輪の回転が規制された状態となる。このとき、ディテントスプリング55のディテントローラ53はディテントプレート52の第1凹部61に嵌り込んだ状態であり、自動変速機20の実際のレンジ(以下、「実レンジ」という。)は「Pレンジ」である。
SBW−ECU13は、アクチュエータ30のモータ部32およびエンコーダ34、ならびに、シフト選択手段としてのレンジセレクタ45のセレクタセンサ46等に電気的に接続している。
セレクタセンサ46は、車両の運転者がレンジセレクタ45を操作することにより指令したレンジ(以下、「指令レンジ」という。)を検出する。セレクタセンサ46は、検出した信号をSBW−ECU13へ出力する。
SBW−ECU13は、セレクタセンサ46から出力された指令レンジに関する信号に基づき、目標レンジを決定する。より具体的には、本実施形態では、セレクタセンサ46の信号、ブレーキの信号、および、車速センサ24の信号等に基づき目標レンジを決定する。ここで、SBW−ECU13は、特許請求の範囲における「目標レンジ決定手段」として機能する。
SBW−ECU13は、自動変速機20のシフトレンジが、目標レンジ決定手段により決定された目標レンジとなるようアクチュエータ30の回転を制御する。これにより、自動変速機20の実レンジが、運転者の意図するレンジに切り替わる。
本実施形態のエンコーダ34は、インクリメンタル型のエンコーダのため、モータ部32の相対的な回転位置しか検出することができない。そのため、アクチュエータ30を回転させることでシフトレンジを所望のレンジに切り替えるにあたっては、アクチュエータ30の減速部33の絶対位置に対応する基準位置を学習しておく必要がある。アクチュエータ30の基準位置を学習した後は、学習した基準位置と所定回転量(制御定数。後述の第1所定値。)とに基づき各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータ30を回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる。本実施形態では、SBW−ECU13は、ディテントプレート52の回転可能範囲の端部(Pレンジ)に対応するアクチュエータ30の基準位置を学習する。
また、SBW−ECU13は、基準位置を学習した後においては、当該基準位置と、所定回転量と、エンコーダ34からのパルス信号のカウント値(モータ部32の回転位置)とに基づく演算により、そのときの実レンジを間接的に検出することができる。本実施形態では、SBW−ECU13は、検出した実レンジの情報を、統合ECU10を経由して、車両の運転席前方に設けられた表示装置47に表示する。これにより、運転者は、その時点の実レンジを確認することができる。
本実施形態では、図4に示す各シフトレンジ(P、R、N、D)のそれぞれの範囲内にディテントローラ53の中心が位置するときのモータ部32の回転位置に基づき、対応する実レンジを検出可能である。上述の「アクチュエータ30の基準位置の学習」については、後に詳述する。
EC−ECU14は、車両の内燃機関(以下、「エンジン」という。)40のスロットル41、インジェクタ42、およびアクセルペダル43のアクセルセンサ44に電気的に接続している。スロットル41は、エンジン40の吸気通路を流れる吸気の流量を調整する。インジェクタ42は、エンジン40の吸気通路または各気筒へ噴射する燃料の量を調整する。アクセルセンサ44は、車両の運転者によるアクセルペダル43の操作量を検出し、検出した信号をEC−ECU14に出力する。このような構成により、EC−ECU14は、車両の運転者によってアクセルペダル43が操作されると、その操作に基づいてスロットル41およびインジェクタ42などを電気的に制御する。その結果、EC−ECU14は、エンジン40の回転数および出力トルクを調整する。
次に、SBW−ECU13による「アクチュエータ30の基準位置の学習」について説明する。本実施形態では、アクチュエータ30の基準位置の学習としては、第1基準位置の学習を実施することを想定している。ここで、第1基準位置とは、図4に示すようにディテントスプリング55のディテントローラ53が第1凹部61の第1壁65に当接した状態におけるアクチュエータ30の回転位置のことであり、シフトレンジのうちPレンジに対応する位置である。
SBW−ECU13は、第1基準位置の学習を行うとき、まず、第1凹部61の第1壁65にディテントスプリング55のディテントローラ53が当接することによってアクチュエータ30の回転が規制される方向、すなわち、逆回転方向にアクチュエータ30を回転させる(図4参照)。これにより、ディテントローラ53が第1壁65に当接するとともに押されることによって、ディテントスプリング55が撓み始める。そして、SBW−ECU13は、エンコーダ34から出力されたパルス信号のカウント値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出することにより、ディテントプレート52およびアクチュエータ30(モータ部32)の回転が停止したと判定する。前記カウント値の最小値または最大値のいずれを監視するかは、エンコーダ34の特性に応じて設定される。いずれにしても最小値または最大値が所定時間変化しないことは、ディテントプレート52が動かなくなった状態を示す。SBW−ECU13は、このときのカウント値を、アクチュエータ30の第1基準位置に対応する値として、記憶部15(図1参照)のうち例えばRAM等の揮発性メモリに記憶する。これにより、アクチュエータ30の第1基準位置の学習が完了する。ここで、SBW−ECU13は、特許請求の範囲における「第1位置学習手段」として機能する。
記憶部15には、予め、第1基準位置から各シフトレンジに対応する位置までのモータ部32の回転量を示す複数の所定値(以下、「第1所定値」という。)が記憶されている。そのため、SBW−ECU13は、第1位置学習手段により第1基準位置の学習をした後においては、第1基準位置と各第1所定値とに基づき各シフトレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ)に対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータ30を回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる「通常制御状態」になる。
上述のように、SBW−ECU13は、第1位置学習を行うことにより、以降、シフトバイワイヤシステム3の通常制御(運転者からの指令レンジに基づき実レンジを変更する制御)が可能な状態(通常制御状態)となる。なお、第1所定値は、設計値であり、ディテントプレート52の各凹部間の角度、各係合部材間のあそび、および、ディテントスプリング55の撓み量等を考慮して設定されている。また、第1所定値は、記憶部15のうち例えばROMやEEPROM等の不揮発性メモリに記憶されているため、記憶部15への車両電源の供給が絶たれても消去されることはない。
上述のように、本実施形態では、エンコーダ34によってはアクチュエータ30の絶対的な回転位置を検出できないものの、SBW−ECU13が第1基準位置を学習することにより、第1基準位置と第1所定値とに基づき各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータ30を回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる。
次に、SBW−ECU13による「アクチュエータ30の基準位置の学習」に関する処理について、図5に示す処理フローに基づき説明する。
図5に示すように、S101では、車両電源がオンすることにより、車両制御システム1に電源が投入される。ここで、車両電源がオンする場合としては、「運転者が車両を停車し例えばイグニッションキーにより意識的に車両電源をオフし、その後、再びイグニッションキーによりオン(正常オン)する場合」および「運転者の意思とは関係なく何らかの不具合等により車両電源がオフし、再び自動でオン(瞬断後オン)する場合」を含む。
S102では、SBW−ECU13は、S101での電源オンが、運転者による通常のオン操作によるもの(正常オン)か、車両電源が瞬断した後の復帰によるもの(瞬断後オン)かを判別する。ここで、SBW−ECU13は、前回車両電源がオフしたときに記憶部15に記憶済みであった「電源オフに関する情報」を参照することにより、前記判別を行う。このとき、SBW−ECU13および記憶部15は、特許請求の範囲における「電源オン判別手段」として機能する。なお、車両電源がオフするときの「電源オフに関する情報」を記憶する処理については、後述のS107で説明する。
電源オン判別手段により、「S101での電源オンは、運転者による通常のオン操作によるもの(正常オン)である」と判別した場合(S102:YES)、処理はS103へ移行する。一方、「S101での電源オンは、車両電源が瞬断した後の復帰によるもの(瞬断後オン)である」と判別した場合(S102:NO)、処理はS111へ移行する。なお、SBW−ECU13は、前記判別後、S103またはS111へ移行する前に、「電源オフに関する情報」の内容を消去(クリア)しておく。
S103では、SBW−ECU13は、アクチュエータ30の初期駆動制御を行う。これにより、アクチュエータ30の回転を適切に制御できるようになる。S103の後、処理はS104へ移行する。
S104では、SBW−ECU13は、第1位置学習手段として機能し、アクチュエータ30の第1基準位置を学習する。S104の後、処理はS105へ移行する。
S105では、SBW−ECU13は、シフトバイワイヤシステム3(アクチュエータ30)の通常制御を行う。すなわち、SBW−ECU13は、記憶部15に記憶されている第1所定値とS104で学習した第1基準位置とから、各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を都度演算し、演算した回転位置となるようアクチュエータ30を回転させる。通常制御では、SBW−ECU13は、「目標レンジ決定手段」として機能することによりセレクタセンサ46の信号、ブレーキの信号、および、車速センサ24の信号等に基づき目標レンジを決定し、自動変速機20のシフトレンジが、決定した目標レンジとなるようアクチュエータ30の回転を制御する。
S111では、SBW−ECU13は、統合ECU10を経由して、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう、表示装置47に表示することにより運転者に通知する。なお、ここで、SBW−ECU13は、統合ECU10に接続されたスピーカ48(図1参照)により、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう、音声で運転者に通知してもよい。また、このとき、SBW−ECU13は、アクチュエータ30を駆動しないことにより、そのときの実レンジを維持(レンジホールド)する。
また、S111において、セレクタセンサ46からの信号に基づき、運転者からシフトレンジの切替要求があったと判断した場合、SBW−ECU13は、スピーカ48により「シフトレンジは切替不可であること」を運転者に警告する。なお、ここで、SBW−ECU13は、表示装置47への表示により「シフトレンジは切替不可であること」を運転者に警告してもよい。このとき、SBW−ECU13、統合ECU10、スピーカ48および表示装置47は、特許請求の範囲における「警告手段」として機能する。
S112では、SBW−ECU13は、運転者による車両電源のオフ操作があったか否かを判断する。ここで、「運転者による車両電源のオフ操作」とは、例えば運転者がブレーキにより車両を停車させ、イグニッションキーにより車両電源をオフすることを指す。運転者による車両電源のオフ操作があったと判断した場合(S112:YES)、処理はS113へ移行する。一方、運転者による車両電源のオフ操作がない場合(S112:NO)、処理はS111へ戻る。
S113では、SBW−ECU13は、エンコーダ34からのパルス信号のカウント値が所定時間変化しない状態となるまで、アクチュエータ30を逆回転方向(図4参照)に回転させる。これにより、実レンジがPレンジに切り替えられる。
S105およびS113の後のS106では、運転者により車両電源のオフ操作が行われた場合、「電源オフに関する情報」として「車両電源のオフが通常のオフ操作により行われたこと(瞬断ではないこと)」を示す情報を記憶部15に記憶する。ここで、「電源オフに関する情報」は、記憶部15のうち例えばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されるため、記憶部15への電源の供給が絶たれても消去されることはない。なお、ここで記憶した「電源オフに関する情報」は、次回車両電源がオンした後(上述のS102)の処理において、電源オンの種別を判別するための情報として参照される。
S107で車両電源がオフすると、図5に示す一連の処理は終了する。ここで、車両電源がオフする場合としては、「運転者が車両を停車し例えばイグニッションキーにより意識的に車両電源をオフ(正常オフ)する場合」および「運転者の意思とは関係なく何らかの不具合等により車両電源がオフ(瞬断オフ)する場合」を含む。
なお、S107で車両電源がオフされても、S106で記憶部15に記憶された「電源オフに関する情報」は消去されない。
以上説明したように、本実施形態では、SBW−ECU13は、アクチュエータ30の第1基準位置を学習することにより、予め記憶されている複数の第1所定値(第1基準位置から各シフトレンジに対応する位置までのアクチュエータ30の回転量を示す所定値)と第1基準位置とに基づき各シフトレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、および、Dレンジ)に対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータ30を回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる。
また、本実施形態では、SBW−ECU13は、電源オン判別手段として機能し、車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものか、車両電源が瞬断した後の復帰によるものかを判別する。
SBW−ECU13は、車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものであると電源オン判別手段により判別された場合、第1位置学習手段により第1基準位置を学習する。通常のオン操作により車両電源がオンしたときは、通常、実レンジはPレンジであり、車両は停止した状態であると考えられる。そのため、このとき、第1基準位置の学習が開始されても実レンジはPレンジのまま(車両は停止状態を維持したまま)なので、安全に、第1基準位置を学習でき、通常の制御状態に移行することができる。また、例えば実レンジがDレンジ等Pレンジ以外のレンジのとき車両電源が何らかの理由によりオフし、その後、運転者による通常のオン操作により車両電源がオンした場合、車両は停止状態のため、第1基準位置の学習が開始されることで車輪がロック(Pロック)されても何ら不都合はない。
一方、車両電源がオンしたとき、当該オンが、車両電源が瞬断した後の復帰によるものであると電源オン判別手段により判別された場合、SBW−ECU13は、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう運転者に通知するとともに、アクチュエータ30を駆動しないことにより、そのときの実レンジを維持する。
上記構成により、本実施形態では、車両電源が瞬断した後の電源オン時、そのときの実レンジが維持される。また、このとき、SBW−ECU13は、シフトレンジの切替要求については受け付けないが、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう運転者に通知するため、運転者の混乱を回避することができる。ここで、運転者が車両を停止し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンすると、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものであると電源オン判別手段により判別され、車両が停止した状態で、第1基準位置の学習が実施される。これにより、シフトバイワイヤシステム3は、通常の制御状態に復帰する。なお、本実施形態では、運転者によるオフ操作があったとき実レンジをPレンジへ切り替えた上で車両電源をオフするため、次の車両電源のオン操作時、実レンジがPレンジの状態で車両電源がオンされる。
このように、本実施形態によるシフトバイワイヤシステム3は、車両電源が瞬断しても安全に通常の制御状態に復帰可能である。また、本実施形態では、アクチュエータ30の回転位置を検出するのにインクリメンタル型のエンコーダを用いているため、システム全体の構成を簡単にすることができる。よって、シフトバイワイヤシステム3の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態によるシフトバイワイヤシステム3は、電源オン判別手段による判別後の処理が比較的単純なため、システム全体および制御ソフト(プログラム)を容易に構築することができる。
また、本実施形態では、SBW−ECU13は、シフトレンジの切替要求があった場合、シフトレンジは切替不可であることを運転者に警告する警告手段として機能する。本実施形態では車両電源がオンしたとき、当該オンが、車両電源が瞬断した後の復帰によるものであると判別された場合、シフトレンジの切替要求の受け付けを不可とするが、このとき、運転者からシフトレンジの切替要求があった場合、警告手段により、シフトレンジは切替不可であることを運転者に警告することで運転者の混乱を回避できる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるシフトバイワイヤシステムの構成部品のうちの1つ(ディテントプレート)を図6に示す。第2実施形態は、物理的な構成としては、ディテントプレートのみが第1実施形態と異なる。
図6に示すように、本実施形態では、ディテントプレート57は、マニュアルシャフト51の径方向外側に第1凹部71、中間凹部72、中間凹部73、中間凹部74、中間凹部75、第2凹部76を有している。第1凹部71は、ディテントプレート57の回転方向の一方側に形成されている。第2凹部76は、ディテントプレート57の回転方向の他方側に形成されている。中間凹部72〜75は、第1凹部71と第2凹部76との間に形成されている。
本実施形態では、第1凹部71は、自動変速機20のシフトレンジである「Pレンジ」に対応して形成されている。また、第1凹部71は、第2凹部76とは反対側に第1壁77を有している。中間凹部72は、「Rレンジ」に対応して形成されている。中間凹部73は、「Nレンジ」に対応して形成されている。中間凹部74は、「Dレンジ」に対応して形成されている。中間凹部75は、自動変速機20の前進用レンジのうちのセカンドレンジである「2レンジ」に対応して形成されている。第2凹部76は、自動変速機20の前進用レンジのうちの最低速段レンジである「Lレンジ」に対応して形成されている。また、第2凹部76は、第1凹部71とは反対側に第2壁78を有している。
このように、本実施形態は、自動変速機のシフトレンジが「Pレンジ」、「Rレンジ」、「Nレンジ」、「Dレンジ」、「2レンジ」、「Lレンジ」の6つのレンジからなる車両に適用される例を示している。
本実施形態では、図6に示すようにシフトレンジが「Pレンジ」側から「Lレンジ」側へ切り替わるときにアクチュエータ30の減速部33が回転する方向を、正回転方向と定義している。一方、シフトレンジが「Lレンジ」側から「Pレンジ」側へ切り替わるときにアクチュエータ30の減速部33が回転する方向を、逆回転方向と定義している。
図6に示すように、本実施形態では、ディテントプレート57の回転可能範囲は、第1壁77とディテントローラ53とが当接する位置から、第2壁78とディテントローラ53とが当接する位置までの範囲となる。ただし、図6に示す回転可能範囲はディテントローラ53との関係におけるディテントプレート57の回転可能範囲のため、ディテントスプリング55の撓み量、伸び量、およびマニュアルシャフト51の捩れ量等を含めると、ディテントプレート57の絶対的な回転可能範囲は、図6に示す回転可能範囲よりも大きくなる。
本実施形態における第1基準位置の学習に関する制御、ならびに、その他の制御については、上述の第1実施形態の説明において「Dレンジ」を「Lレンジ」に、「第1凹部61」を「第1凹部71」に、「第2凹部64」を「第2凹部76」に読み替えれば、第1実施形態の制御と同様である。
すなわち、本実施形態では、SBW−ECU13は、アクチュエータ30の第1基準位置を学習することにより、予め記憶されている複数の第1所定値と第1基準位置とに基づき各シフトレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ、2レンジ、および、Lレンジ)に対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求め、当該演算により求めた回転位置となるようアクチュエータ30を回転させることで、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができる。
上記構成により、本実施形態によるシフトバイワイヤシステムは、第1実施形態と同様、車両電源が瞬断しても安全に通常の制御状態に復帰可能である。
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、第1凹部がPレンジに対応し、第2凹部が「Dレンジまたは最低速段レンジ(Lレンジ等)」に対応し、中間凹部がRレンジおよびNレンジに対応するのであれば、中間凹部は、いくつ形成されていてもよい。すなわち、本発明を適用可能な自動変速機のレンジの数は、4つまたは6つに限らない。
上述の実施形態では、警告手段により、運転者に対し警告を行う例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、運転者に対し、警告手段による警告を行わないこととしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、警告手段を備えないこととしてもよい。
本発明によるシフトバイワイヤシステムは、無段変速機(CVT)、およびP、R、N、Dの4ポジションを切り替えるHV(ハイブリッド車)の自動変速機(A/T)等のレンジ切替に用いることもできる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
3 ・・・・・・・シフトバイワイヤシステム
13 ・・・・・・SBW−ECU(制御部、目標レンジ決定手段、トルク制御手段、第1位置学習手段、電源オン判別手段)
20 ・・・・・・自動変速機
30 ・・・・・・アクチュエータ
34 ・・・・・・エンコーダ
45 ・・・・・・レンジセレクタ(シフト選択手段)
52、57 ・・・ディテントプレート
53 ・・・・・・ディテントローラ(規制部)
55 ・・・・・・ディテントスプリング
61、71 ・・・第1凹部
62、63、72、73、74、75 ・・・中間凹部
64、76 ・・・第2凹部
65、77 ・・・第1壁

Claims (2)

  1. 車両の運転者により操作されるシフト選択手段の信号に応じて自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムであって、
    電力により回転するモータ部、当該モータ部の回転に応じてパルス信号を出力するインクリメンタル型のエンコーダ、および、前記モータ部の回転を減速して出力する減速部を有するアクチュエータと、
    前記減速部に接続するよう設けられることで前記アクチュエータにより回転駆動され、回転方向の一方側に形成される第1凹部、回転方向の他方側に形成される第2凹部、および、前記第1凹部と前記第2凹部との間に形成される複数の中間凹部を有するディテントプレートと、
    規制部を有し、当該規制部が前記第1凹部、前記複数の中間凹部または前記第2凹部に嵌り込むことで前記ディテントプレートの回転を規制することにより、前記自動変速機のシフトレンジを固定可能なディテントスプリングと、
    前記シフト選択手段からの信号に基づき目標レンジを決定する目標レンジ決定手段を有し、前記自動変速機のシフトレンジが、前記目標レンジ決定手段により決定された前記目標レンジとなるよう前記アクチュエータの回転を制御する制御部と、を備え、
    前記第1凹部は、駐車用のレンジであるPレンジに対応するとともに、前記第2凹部とは反対側に第1壁を有し、
    前記第2凹部は、前進用のレンジである「Dレンジまたは最低速段レンジ」に対応し、
    前記複数の中間凹部は、それぞれ、後進用のレンジであるRレンジ、中立のレンジであるNレンジ、または、「前記最低速段レンジ以外の前記前進用のレンジ」に対応し、
    前記制御部は、
    前記第1壁に前記規制部が当接することによって前記アクチュエータの回転が規制される方向に前記アクチュエータを回転させ、このとき前記エンコーダから出力されたパルス信号のカウント値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出することにより、前記Pレンジに対応する前記アクチュエータの第1基準位置を学習する第1位置学習手段、および、
    車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものか、車両電源が瞬断した後の復帰によるものかを判別する電源オン判別手段、を有し、
    車両電源がオンしたとき、当該オンが、運転者による通常のオン操作によるものであると前記電源オン判別手段により判別された場合、前記第1位置学習手段により前記第1基準位置を学習し、
    車両電源がオンしたとき、当該オンが、車両電源が瞬断した後の復帰によるものであると前記電源オン判別手段により判別された場合、「シフトレンジを切り替える場合は、停車し、一旦車両電源をオフした後、再度、車両電源をオンする」よう運転者に通知するとともにシフトレンジの切替要求の受け付けを不可とし、前記アクチュエータを駆動しないことにより、そのときの実レンジを維持することを特徴とするシフトバイワイヤシステム。
  2. シフトレンジの切替要求があった場合、シフトレンジは切替不可であることを運転者に警告する警告手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシフトバイワイヤシステム。
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